JP4181349B2 - 椅子 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リクライニング機能を有するとともに、肘掛けを備えた椅子に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のこの種の椅子としては、例えば特開平１０−１１７８８３号公報に示されているように、肘掛けを支持する肘フレームの下部を、座または支基の下面に螺締する型式のものが大部分である。
これに対して、特表平８−５０７９３５号公報には、リクライニング傾動する背凭れまたは背凭れ支持杆の起立部の中間から前方に肘掛けを突設させた椅子が示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上述の前者は、椅子をリクライニング傾動させ、着座者の背の位置が後退すると、肘掛けの位置が相対的に前になりすぎて具合が悪い。
【０００４】
後者では、リクライニング傾動に伴って肘掛けも後方に傾動するので、上述の欠点が解決されるが、この肘掛けは、その後端が背凭れまたは背凭れ支持杆に片持ち梁式に支持されているので、肘掛けの前端部に大きな荷重が加わった場合に、その基端部が折損し易く、強度的に弱いという問題がある。
【０００５】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、リクライニング傾動に伴って、肘掛けも適度に後方に傾動するとともに、肘掛けの前端部に大きな荷重が加わった場合でも、充分これを負担できる強固な構造の椅子を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(１) 座の下方に配設されて、座を支持する支基の両側部に、側面視ほぼＬ字状をなす左右１対の背凭れ支持杆における下部の水平部の前端が左右方向を向く軸をもって回動可能に軸着され、前記水平部の後端から起立する背凭れ支持杆の起立部に背凭れが取り付けられた椅子において、前記背凭れ支持杆における下部の水平部の前後方向の中間部に、外側方に向かって水平に延びる肘フレーム取付部を一体に形成し、この肘フレーム取付部に、座の側方において、座の上方に延出し、かつ上端に肘掛けが設けられた肘フレームの下端部を固着する。
【０００７】
(２) 上記(１)項において、背凭れ支持杆における水平部の前後方向の中間部に、外側方を向く肘フレーム取付部を設け、この肘フレーム取付部の外側端面と肘フレームの下端の内側端面とを当接させて、両者を左右方向を向く連結ボルトにより螺着する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図１〜図４は、本発明の一実施形態を備える椅子を示す。
【０００９】
図１及び図２に示すように、この椅子は、先端部にキャスタ(１)が設けられた放射状をなす５本の脚(２)を有する脚体(３)を備えている。脚体(３)の中央には、ガススプリング（図示略）を備える伸縮式の脚柱(４)が立設されており、脚柱(４)の上端には、支基(５)が固着されている。
【００１０】
支基(５)の前後方向（図２の左が前方、右が後方である）の中間部には、左右方向（図１の左右方向）を向く六角柱状の軸(６)が、その中心軸線回りに回動可能として貫通されている。支基(５)の両側より左右に突出する軸(６)の両端部には、背凭れ(７)を支持する側面視ほぼＬ字状の左右１対の背凭れ支持杆(８)(８)の前端部が固着されており、背凭れ(７)及び背凭れ支持杆(８)(８)は、軸(６)と一体になって、軸(６)を中心に後下方に傾動し得るようになっている。この傾動は、図示してないリクライニング制御装置により制御される。背凭れ支持杆(８)は、水平部(8a)と、その後端から起立する起立部(8b)とからなっている。
【００１１】
背凭れ支持杆(８)の上端には、ヘッドレスト(９)が設けられ、支基(５)の上方には、座(10)が、背凭れ支持杆(８)と連動して後下方に傾動するように設けられている。
【００１２】
座(10)の両側上方に位置する肘掛け(11)は、肘フレーム(12)により支持されている。
図２及び図３に示すように、背凭れ支持杆(８)の水平部(8a)の中間部、すなわち軸(６)への固着端と起立部(8b)との連設部との中間位置には、外側方に向かって水平に延びる肘フレーム取付部(13)が一体に形成されている。
【００１３】
図３及び図４に示すように、肘フレーム取付部(13)の先端は、前部が幅広で後部が幅狭の角がとれた前後方向に長い垂直断面形状をしており、その先端面の前部には、上下方向に連続する平面視山形の凸部(14)が、また先端面の後部には、左右方向を向く円形の係合孔(15)が、それぞれ設けられている。
また、凸部(14)の稜線の中央には、左右方向を向くねじ孔(16)が穿設されている。
【００１４】
他方、肘フレーム(12)の下部の左右方向内向きに曲がった基端部(12a)の内側端部は、上述の肘フレーム取付部(13)の垂直断面形状と同じ前後方向に長い断面形状をなし、その先端面における幅広の前部には、凸部(14)と補形をなす、上下方向に連続する平面視谷形またはＶ字形の凹部(17)が、また幅狭の後部には、係合孔(15)に嵌合するピン状の突部(18)が、それぞれ設けられている。
【００１５】
また、凹部(17)の谷の線の中央には、左右方向外向きに延びるボルト挿通孔(19)が穿設されている。肘フレーム(12)の基端部の外端には、上向きの屈曲部の下部を貫いて外側に解放するように、細長い開口(20)が形成されている。
(21)は、肘フレーム(12)の外側からボルト孔(19)に挿入され、肘フレーム取付部(13)のねじ孔(16)に螺締される連結ボルトである。
【００１６】
肘フレーム(12)の取付に当たっては、肘フレーム(12)の内側先端面から突出する突部(18)を、肘フレーム取付部(13)の先端面の係合孔(15)に差し入れつつ、肘フレーム(12)の凹部(17)を肘フレーム取付部(13)の凸部(14)に嵌合させる。すると、両者は完全に整合する。
この状態で、肘フレーム(12)の外側から連結ボルト(21)を挿入し、肘フレーム取付部(13)のねじ孔(16)に螺締するだけで取付は完了する。
なお、凸部(14)と凹部(17)の関係及び突部(18)と係合孔(15)の関係は、上述の場合と逆の配置であってもよく、凸部(14)の稜線の向きは、前後方向またはその他の方向としてもよい。
【００１７】
【発明の効果】
請求項１記載の発明によれば、リクライニング傾動に伴って、肘掛けも後方に傾動するので、リクライニング時の着座感がよく、しかも、肘掛けの前端部に大きな荷重が加わっても、上下方向を向く肘フレームにより、充分これに耐えることができ、強固な構造を呈することができる。
また、肘掛けと背凭れの側部との間に空間を形成することができるので、背凭れの組付け時や背凭れカバーの着脱時等に肘掛けが妨げとなることがない。
【００１８】
請求項２記載の発明によれば、肘掛けを支持する肘フレームを取り付ける連結ボルトを、椅子の側方の広い空間から差し込んで螺締することができるので、作業性がよく組立が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一実施形態を備える椅子の正面図である。
【図２】 同じく、側面図である。
【図３】 同じく、椅子の肘フレームの取付部を、斜め下方から見上げた部分分解斜視図である。
【図４】 同じく、肘フレームの取付部の部分分解平面図である。
【符号の説明】
(１)キャスタ
(２)脚杆
(３)脚体
(４)脚柱
(５)支基
(６)軸
(７)背凭れ
(８)背凭れ支持杆
(8a)水平部
(8b)起立部
(９)ヘッドレスト
(10)座
(11)肘掛け
(12)肘フレーム
(12a)基端部
(13)肘フレーム取付部
(14)凸部
(15)係合孔
(16)ねじ孔
(17)凹部
(18)突部
(19)挿通孔
(20)開口部
(21)連結ボルト

Claims (2)

1. 座の下方に配設されて、座を支持する支基の両側部に、側面視ほぼＬ字状をなす左右１対の背凭れ支持杆における下部の水平部の前端が左右方向を向く軸をもって回動可能に軸着され、前記水平部の後端から起立する背凭れ支持杆の起立部に背凭れが取り付けられた椅子において、
   前記背凭れ支持杆における下部の水平部の前後方向の中間部に、外側方に向かって水平に延びる肘フレーム取付部を一体に形成し、この肘フレーム取付部に、座の側方において、座の上方に延出し、かつ上端に肘掛けが設けられた肘フレームの下端部を固着したことを特徴とする椅子。
2. 背凭れ支持杆における水平部の前後方向の中間部に、外側方を向く肘フレーム取付部を設け、この肘フレーム取付部の外側端面と肘フレームの下端の内側端面とを当接させて、両者を左右方向を向く連結ボルトにより螺着した請求項１記載の椅子。

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