しかしながら、従来の背支持フレーム用カバーの取付構造では、背フレームの下端に背支持フレーム用カバーが背フレーム下端の面と面一になるように配置される椅子のデザインが要求される場合には、背フレームの下端と背支持フレーム用カバーとの突き合わせ部分に隙間が発生し、これに応じることができないものである。従来の背支持フレーム用カバーの取付構造では、背フレームと背支持フレーム用カバーとの間に、ロッキング動作時にずれが生じてしまい、外観を損なう可能性がある。
そこで、椅子のデザインを重視する上で、背フレームの下端と背支持フレーム用カバーとの突き合わせ部分に隙間がでないようにすることが要求される場合には、背支持フレーム用カバーを背フレームに直接ねじ止めにより固定することが考えられるが、背フレームの取り付け構造によっては外観上の問題と破損の問題を伴う。つまり、従来の背支持フレーム用カバーの一端を例えば十字リブなどで背支持フレーム側の側壁の孔に嵌め込み、他端側を背フレームに直接ねじ止めで固定する場合、背フレームがロッキング動作時などに左右方向(水平面内で)に捩れるように変形したり、前後方向(垂直面内で)に揺れるように変形すると、ねじ止めで強固に固定されている背支持フレーム用カバーに引っ張り力や圧縮力(押しつける力)が加わるため、これらの荷重が十字リブ部分に集中するため、十字リブ部分の破損を招くことがある。特に、背フレームと背支持フレーム用カバーとが同一面を構成するように背支持フレーム用カバーを取り付ける場合、背の動きが背支持フレーム用カバー側にそのまま伝わり、背の動きに背支持フレーム用カバーが連動することがある。このため、背フレームに対して背支持フレーム用カバーを固定すれば、背支持フレーム用カバーが背支持フレーム側から外れる虞があるし、背フレームに追従しないように取り付ければ背フレームとの間に余計な隙間ができて見た目を悪くする不具合がある。
したがって、背フレームと背支持フレーム用カバーが連続するように構成される場合には、背支持フレーム用カバーには背フレームの捻れによる取り付け部の破損への対応及び背フレームと背支持フレーム用カバーとの連結部分に余計な隙間ができないようにすることの対応が要求されるが、従来の背支持フレーム用カバー取付構造では、これら2つの要求を両立させることはできない。
そこで、本発明は、背フレームが捻れるような変形を伴ってもその変位が背支持フレーム用カバーの破損や使用中の脱落を誘発することがない背支持フレーム用カバーの取付構造を提供することを目的とする。また、本発明は、背支持フレーム用カバーの取付構造を簡素化し、背支持フレーム用カバーの組み付け作業の手間を軽減しようとする背支持フレーム用カバーの取付構造を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、脚柱上のメインフレームに対して傾動可能に連結された背支持フレームを介して背凭れを傾動可能に支持する椅子の前記メインフレームと前記背凭れとの間の背支持フレームの背面側を覆う背支持フレーム用カバーの取付構造において、前記背支持フレーム側に設けられた複数の被係止部と、前記被係止部に係合して前記背支持フレーム用カバーを前記背支持フレームに係止する複数の係止部とを有し、前記背支持フレーム用カバーが前記背支持フレームの背受け座面の周りを覆い前記背フレームの底面の背フレーム取付け座と前記背支持フレームの前記背受け座面との境界並びに前記背支持フレームの側方と底面側とを覆い隠すようにしている。
ここで、前記背支持フレーム側に設けられた複数の被係止部並びに前記背支持フレーム用カバー側に設けられた係止部は、前記背支持フレームの背凭れ支持面側に配置された軸と該軸に底部側から嵌合して前記背支持フレーム用カバーの後部を前記背支持フレーム側に固定する前記背支持フレーム用カバー側のクリップ部とを含むことが好ましい。
また、請求項1または2記載の背支持フレーム用カバーの取付構造において、背フレームの底面には、背フレーム取付け座の周囲に凹部を形成し、該凹部に背支持フレーム用カバーの周縁が嵌入されることが好ましい。
また、請求項1から3のいずれか1つに記載の背支持フレーム用カバーの取付構造において、背支持フレーム用カバーの側壁の前方には、背支持フレームに穿たれた孔に嵌まって背支持フレームと係合する突起を内方に向けて突出させることが好ましい。
また、請求項1から4のいずれか1つに記載の背支持フレーム用カバーの取付構造において、背支持フレームの正面側を覆う背支持フレーム用の上カバーは、その両側の縁部が背支持フレームの背面側を覆う背支持フレーム用カバーの内側に嵌まり込んで背支持フレーム用カバーの側壁頂部と同じ高さに配置されるものである。
請求項1記載の背支持フレーム用カバーの取付構造では、背支持フレーム側にのみ背支持フレーム用カバーを複数の係止部で係止させる一方、背支持フレームの背受け座面の周りを覆い背フレームの底面の背フレーム取付け座と背支持フレームの前記背受け座面との境界並びに背支持フレームの側方と底面側とを背支持フレーム用カバーで覆い隠すようにしているので、背フレームの下端と背支持フレーム用カバーとが面一になるように配置しても、背フレームの左右方向へのねじれを背支持フレーム用カバーに直接伝えることがない構成とすることができる。したがって、背フレームの下端に背支持フレーム用カバーが背フレーム下端の面と面一になるように配置されるデザインにおいて、背支持フレームに対し背フレームが捻れるような変形を伴う場合にも、その変位が背支持フレーム用カバーに直接伝播して背支持フレームと係合する前方の係止部に負担としてかかることがない。つまり、背フレーム側に強固に固定されていないので、背フレームが捻れるような変形を伴ってもその変位が背支持フレーム用カバーの係止部に負担として集中的にかかることがないので、背支持フレーム用カバーの破損や使用中の脱落が起こりにくいものとなる。
また、背支持フレームに対し、前方を係止部で、後方を背支持フレーム側に配置された軸に底部側から嵌合するクリップ部で背支持フレーム用カバーを取付けるようにしたので、背支持フレーム用カバーの後方の取り付けは同カバーを背支持フレーム側の軸に向けて押し込むだけで完了し、カバーの取付構造を簡素化でき、カバーの背支持フレームへの組み付け作業の手間が軽減される。
また、背フレームの底面の背フレーム取付け座の周囲に凹部を形成しているので、該凹部に背支持フレーム用カバーが嵌まることで、背フレームと背支持フレーム用カバーとが連続した面一の面を構成でき、それらの間から内部構造が見える隙間の発生が防がれる。
さらに、背支持フレーム用カバーの背フレーム底面の背フレーム取付け座に重なる他端側に、背フレーム側に設けられた孔に引っ掛かる突起を設け、背フレーム側に設けた孔に引っ掛けるようにしているので、背支持フレーム用カバーが背フレームの捩れなどの変形に対して、連結方向と直交する方向にはがたつきの範囲内で遊びが生じるものの、連結方向には追従して動くので背支持フレーム用カバーの背フレームからの浮き上がりを防止することができる。
さらに、上カバーは、背支持フレーム用カバーとの間に段差の生じない連続した面を形成することにより、すっきりした外観を呈することができる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明にかかる背支持フレーム用カバーの取付構造を適用した一実施形態に係る椅子を示す。なお、本明細書においては座に座った着座者を基準にして上下、前後、左右を定義する。そして、表面側とは、着座者と接する面を、背面側とはその反対側の面を意味し、特に背フレームにおいて前面とは張地で覆われる前面側を意味するものである。
一般的な椅子は、図1に示すように、キャスターを有する脚19と、脚19の支柱の上端に取り付けられ支持されるメインフレーム(図示省略)と、このメインフレームに支持された座15及び背(背フレームを符号16で示す)とを具備してなる。そして、座15及び背フレーム16を支持するメインフレーム及び背支持フレーム並びにこれらに組み込まれて背支持フレームの後傾動作と座受部材の後傾動作とを連動させるシンクロロッキング機構が外から見えないように、それぞれ化粧用のカバー17,18などで覆われている。ただし、これら座や背凭れの形状・形態等は特定のものには限定されないので、詳細な説明や図示は省略する。
このロッキング椅子のロッキング機構は、例えば図3に示すように、脚19と、脚19の上端部に取り付けられたメインフレーム1と、該メインフレーム1の上方に配置されて当該メインフレーム1に対して前後動と傾動とを可能にするように取り付けられている座受部材2と、座受部材2の後端と回動可能に連結されると共にメインフレーム1に対して揺動可能に連結されてメインフレーム1の後方に突出する背支持フレーム3と、メインフレーム1と背支持フレーム3との間に介在されるロック機構付きガススプリング11とで構成されている。
メインフレーム1は、座受部材2と背支持フレーム3とを支持して脚19に搭載させるためのものであり、その前方に座受部材2の前部を前後方向に摺動可能でかつ回動可能に連結ピン4で連結する一方、後方に背フレーム16を支持する背支持フレーム3を連結ピン6で垂直面内で前後方向に揺動自在に連結すると共に該背支持フレーム3の中程と座受部材の2の後端とを回動軸9で回転自在に連結し、メインフレーム1の後端と背支持フレーム3の後端との間にロック機構付きガススプリング11がガススプリング取付ピン13,12でメインフレーム1及び背支持フレーム3にそれぞれ回動自在に取り付けられて連結されている。ここで、メインフレーム1の前方の連結ピン4は、前後方向に長い長孔1aに貫通され、座受部材2がメインフレーム1に対して前後方向にスライド可能且つ傾動可能に連結されている。長孔1bと連結ピン4とで回転スライド機構5を構成している。なお、座受部材2の上面には、例えば芯材となる座板とその上面に載置されるクッション材及び当該クッション材を覆う上張地とから構成される座15が取り付けられ支持される。
背支持フレーム3は、背フレーム16を支持すると共に揺動軸6を支点として座受部材2を後方に引きながら傾動させる梃子として機能するものであり、回転スライド機構5の後方の位置に左右方向に配設された揺動軸6を介して、メインフレーム1に対して揺動可能に連結される。一方、メインフレーム1と背支持フレーム3の前端との間には圧縮コイルばねから成る反力付与機構10が備えられる。反力付与機構10は、背支持フレーム3の前端部を連結ピン8を介して後ろに向けて付勢することによって、背凭れ(図示省略)及び座受部材2の傾動に対して反発力を与えて初期位置に戻す働きをする。尚、ガススプリング11の先端側の背支持フレーム3への取り付けは、ロック機構の操作機構15の支持フレーム15a部分をガススプリング取付ピン12に嵌合することで背支持フレーム3に対して回転可能に支持される。勿論、ガススプリング11の取付け位置関係は真逆であっても構わず、シリンダ側をガススプリング取付ピン12に嵌合させて支持フレーム15a側を連結ピン13でメインフレーム1側に取り付けるようにしても良い。因みに、ガスガススプリング(ロック機構付きガススプリング)のロック機構の操作機構及びその取り付け態様自体は周知の技術であるのでここでは詳細については省略する。
本実施形態の場合、背支持フレーム3は、ロック機構付きガススプリング11を内側に収容するため、例えば弓形の左右一対のプレートを後端で連結する(1枚のプレートを折り曲げて形成する)一方、前端側を揺動軸6と連結ピン8で連結すると共に中程を回動軸9で連結することにより底の無い枠状に形成され、後部側の上面に側壁の一部を内側に折り返すことで左右一対の背受け座面7が形成されている。この背受け座面7は、背凭れを構成する背フレーム16を取り付けるためのものであり、背フレーム16の底部に形成される背フレーム取付け座20と適合する形状、例えば平坦面に形成されている。そして、この背受け座面7には、背フレーム16側の背フレーム取付け座20に開けられた締結ボルトを通すための孔21と対応する位置・間隔で孔32が設けられている。また、背フレーム取付け座20の裏面側には、孔32と同心状にナット33が溶接付などによって固着されている。本実施形態の背支持フレーム3の場合、背受け座面7は、ロック機構付きガススプリング11の操作機構15と干渉しないように、左右に二分されて中程にスペースが設けられている。
また、背支持フレーム3の前方には、背支持フレーム用カバー18の前端側の係止部材即ち係止部としての十字リブ28が嵌入するための被係止部としての円孔14が左右両プレートにそれぞれ設けられている。他方、背支持フレーム3の後方には、背受け座面7の下でガススプリング取付ピン12が横切るように配置されて固着されている。
ここで、背凭れは、特定の構造並びに形状に限定されるものではないが、本実施形態の場合には、背支持フレーム3に片持ち支持される背フレーム16と、該背フレーム16の前面側を覆うように張り渡される張地(図示省略)とで構成され、ある程度の可撓性と剛性を備える樹脂コード(図示省略)を張地の縁部に取り付け、張地の周縁部を樹脂コードと共に折り返して、背フレーム16の外側部に背もたれ面に沿って形成された張地取付用の溝(図示省略)に押し込むことにより、張地をフレームの表面側に張り詰めて固定し、背凭れ面・身体支持面を構成するように設けられている。
そして、この背凭れを構成する概略矩形状の環状を成す背フレーム16の底部には、図7及び図10に示すように、当該背フレーム16を背支持フレーム3の背受け座面7に取り付けるための背フレーム取付け座20が形成されている。この背フレーム取付け座20は、背支持フレーム3の2枚の板を並べたような左右一対の背受け座面7とその間のスペースに適合する凹凸面を少なくとも裏面側に有し、背受け座面7の上に載置したときに凹凸が嵌合して互いに密着するように設けられている。この背フレーム取付け座20には、締結ボルトを通すための孔21と、ロック機構付きガススプリング11の操作機構15との干渉を回避するための空所25と、後上カバー34の突起36が貫通するための孔23とが設けられている。また、背フレーム取付け座20は、リブ20aが側方に立てられると共にリブ16aが後端側に立てられ、背フレーム取付け座20の構造強度を補強するように設けられている。さらに、側方リブ20aの外側には、背支持フレーム用カバー18の側壁の縁18a部分を収容するための凹部24が形成され、後寄りの位置に背支持フレーム用カバー18の側壁18bの上縁に立てられた係止爪26を通過させる孔22が開けられている。この孔22は、係止爪26との間で引っ掛け方向と直交する方向に相対的にがたつきを与えることで背支持フレーム用カバー18の相対的動きを許容する程度の大きさとされている。
以上のように構成された背支持フレーム3と背フレーム16とは、背支持フレーム3の背受け面7に背フレーム取付け座20を被せるように宛がい、孔21,32を合わせてから該孔21,32に図示しない締結ボルトを通して背フレーム取付け座20の裏面側のナット33にねじ込むことで、互いに連結することができる。
この椅子の背支持フレーム3及びメインフレーム1は、図2に示すように、それぞれ化粧用のカバー17,18,34,37,41で覆われ、外から見えないように隠されている。
背支持フレーム3に取り付ける主たる化粧カバーである背支持フレーム用カバー18は、本実施形態の場合、例えば図11に示すように、背支持フレーム3の側方を覆う左右の側壁18bと、背支持フレーム3の底面側を覆う底壁18cとを有する無蓋有底の箱形を成す樹脂成形部材であり、背支持フレーム3の側方並びに底面側を包み込むような輪郭形状、即ち前方(メインフレーム側)へ向かうほど高く、後方(背受け座面7側)へ向かうに従って漸次低くなるように全体として湾曲した背支持フレーム3の側方から見た形状に沿った側壁形状を成している。
背支持フレーム用カバー18の後部、即ち背受け座面7の周辺を囲繞する部分の側壁18bには背フレーム16の底面の背フレーム取付け座20の周りの凹部24に嵌合し背受け座面7と平行となるように僅かに外側に突出した縁18aを有する。これにより、図8及び9に示すように、背フレームの底部の凹部24によって区画された背フレーム取付座面20と、背支持フレーム用カバー18の縁18aとが僅かな一定の隙間を縁18aの周囲に空けて背フレーム16の底面と面一となるように嵌合される。即ち、背フレーム16と背支持フレーム用カバー18とは、背フレーム16の底面と背支持フレーム用カバー18の縁部18aとが面一に形成された連続的なデザインとすることができる。
背支持フレーム用カバー18の底壁18cの後端には、背フレーム16の背フレーム取付け座20に設けられたリブ16aと噛み合う櫛歯状の立ち上がり壁29が設けられている。この立ち上がり壁29は背支持フレーム用カバー18を背フレーム16の底部の背フレーム取付け座20に宛がったときに、背フレーム16側のリブ16aと噛み合うことにより、左右の位置決めと係着効果を発揮するようにしたものである。
また、背支持フレーム用カバー18の底壁18cの後部寄りの位置、即ち背支持フレーム3に装着するときに、ガススプリング取付ピン12と交わる位置に、ガススプリング取付ピン12と嵌合してこれを把持する把持部例えばC字形状のクリップ部(ばね状の軸受け部)27が立設されている。本実施形態の場合、クリップ部27は、例えば補強リブを兼ね備える横断面T形のプレート状柱の上に一体的に設けられており、半円形を成す。尚、本実施形態では、連結力の増大と連結後の安定保持を図るため、左右に分けて1組設けているが、これに特に限定されるものではなく、場合によっては1本あるいは3本以上のクリップ部27を設けるようにしても良い。また、本実施形態では、背支持フレーム用カバー18の後部をばね状のクリップ部27を利用してワンタッチで着脱可能に取り付けているが、このようなクリップ式取付構造に特に限られず、他の形式の挟み付け構造にしても良い。尚、側壁18bと底壁18cとにかけてリブ40が補強のため設けられている。また、このリブ40には、上方の段部40aと下方の段部40bとを有し、ガススプリング取付ピン12にクリップ部27を弾性変形させて嵌合させることによって背支持フレーム用カバー18を背支持フレーム3に装着する際に、上方の段部40aが背フレーム16の背フレーム取付け座20の裏面側に突出するリブ20aに当接すると共に下方の段部40bが背支持フレーム3の下面に当接し、底壁18c側のクリップ部27をガススプリング取付ピン12から僅かに引き離す方向の弾性力を常時付与してクリップ部27をガススプリング取付ピン12との間のがたつきを無くすように配慮されている。
さらに、背支持フレーム用カバー18の側壁18bの前方には、背支持フレーム3の孔14に嵌合される係止部となる突起28を内方に向けて突出させるように形成している。この突起28は例えば十字リブである。勿論、突起28は十字リブに限られるものではないが、最小限のプラスチック量で孔14に嵌まるピンと同程度の機能を得るに好適な形状である。突起28は、半球体であったり、単なるピンあるいは円筒、さらには角錐などでも背支持フレーム用カバー18と背支持フレーム3との係止を可能とする。
また、背支持フレーム用カバー18の側壁18bの先端側の縁30は、背支持フレーム3に装着した状態において、側面視で背支持フレーム3の揺動中心(軸6)を中心とする円弧状に形成されている。同様に、メインフレーム1に被せられるメインフレーム用カバー17の側壁の後方側の端部も、軸6を中心とする円弧状に形成されている。これにより、背支持フレーム3が揺動しても、背支持フレーム用カバー18とメインフレーム用カバー17との間の隙間が一定に保たれるように配慮されている。尚、本実施形態においては、背支持フレーム用カバー18は上述のような形態を採っているがこれに特に限定されるものでは無く、背支持フレーム3の形状に対応した形態を適宜採用することは言うまでもない。
他方、背支持フレーム3の上方には、図2及び図7に示すように、背フレーム16の背フレーム取り付け座20の上方を覆う後上カバー34と座後端連結用回転軸9の周りを覆う前上カバー37とが備えられている。ここで、前上カバー37と後上カバー34とは1枚のカバー構造とすることもできるが、本実施形態の場合、敢えて前上カバー37と後上カバー34との2部材に分離している。この場合、座15を取り外すまでも無く、後上カバー34のみを取り外すだけで、ガススプリング11を交換したり、さらには背フレーム16を背支持フレーム3から取り外すことができる。つまり、前上カバー37と後上カバー34とが1枚のカバー構造とされる場合には、部品点数を減らすというメリットはあるものの、ガススプリング11を交換したりさらには背フレーム16を背支持フレーム3から取り外すときに、座15から取り外さざるを得ないという面倒も伴う。後上カバー34は、背フレーム16の背フレーム取り付け座20の上方を覆うものであり、後端側が背フレーム16の背フレーム取り付け座20の上で下横辺部の下に潜り込むように押し込まれた状態で、背フレーム16の背フレーム取り付け座20の前端側の中央に穿孔された孔23に突起36が挿入されると共に背フレーム取り付け座20の前端側側壁部に左右両側部の係止爪35を側方から抱きかかえるように引っ掛けることによって取り付けられている。他方、この後上カバー34の周縁34aは、図7に示すように、背フレーム16の背フレーム取り付け座20の表側に形成されている凹部24fに嵌合し(図2参照)、後上カバー34の周縁34aと背フレーム16とが段差のない連続した平面を形成するように設けられている。
また、前上カバー37は、背支持フレーム3に支持される座後端連結用の回転軸9を中心にその前後部分を上から覆うものであり、後上カバー34の前端中央に設けられた突起36と嵌合する切り欠き38が後端に設けられると共に、メインフレーム用カバー17の上方を覆うメインフレーム用上カバー41の下に潜り込む舌片39が前端の両側に突出するように設けられており、メインフレーム用上カバー41の後端縁と後上カバー34の前端縁とによって背支持フレーム3に押さえつけられるように装着される。このメインフレーム用上カバー41は、回転軸9を覆う部分の半円形の側壁部37cが背支持フレーム用カバー18の側壁18bの頂部18b1と突き合わされるように形成される一方、側壁部37cよりも後方側の縁部37bが背支持フレーム用カバー18の側壁18bの内側に嵌まり込んで頂部18b1と同じ高さに配置されると共に、側壁部37cよりも前方側では蛙股状に縁部37aが形成されて背支持フレーム用カバー18の側壁18bの内側に嵌まり込んで頂部18b1と同じ高さに配置されるように設けられている。したがって、前上カバー37並びに後上カバー34は、図12及び図13に示すように、背支持フレーム用カバー18並びに背フレーム16との間に段差の生じない連続した面を形成するような外観を呈する。さらに、前上カバー37と後上カバー34並びに前上カバー37とメインフレーム用上カバー41とは、図12に示すように、椅子の側方から見てそれらの継ぎ目において段差のない連続した一直線の輪郭形状を成す。これにより、すっきりした外観を呈することができる。
以上のように構成されたカバー取り付け構造によれば、背支持フレーム用カバー18の前方を拡げて十字リブ28を背支持フレーム3の孔14に嵌め込んでから、後方のクリップ部27を背支持フレーム3側のガススプリング取付ピン12に底部側から押し当てて嵌合することにより、背支持フレーム用カバー18を背支持フレーム3に装着することができる。そして、背フレーム16の底面の背フレーム取付け座20と背支持フレーム3の背受け座面7との境界並びに背支持フレーム3の側方と底面側とを覆い隠すことができる。しかも、背もたれ・背フレーム16の下端に背支持フレーム用カバー18が背フレーム下端の面と面一になるように配置されるデザインが実現される。
さらに、背支持フレーム用カバー18は、背支持フレーム3に対し、前方を十字リブ28で、後方をガススプリング11のガススプリング取付ピン12に取付けることで、背もたれの左右方向へのねじれを背支持フレーム用カバー18に直接伝えないような構成とすることができる。背もたれの下端に背支持フレーム用カバー18が背もたれ下端の面と面一になるように配置されるデザインにおいて、背支持フレーム用カバー18を背もたれ・背フレーム16に固定する構造を採ると、背支持フレーム3に対し背フレーム16が捻れるような変形を伴う場合、その変位が背支持フレーム用カバー18に直接伝播して背支持フレーム3と係合する十字リブ28に負担がかかることとなる。しかしながら、背支持フレーム用カバー18は、背支持フレーム3に十字リブ28とガススプリング取付ピン12とを利用して取付けられており、背凭れ・背フレーム16側に強固に固定されていないので、背フレーム16が捻れるような変形を伴ってもその変位が十字リブ28に負担としてかかることはない。
さらに、背フレーム16の孔22に背支持フレーム用カバー18の上端の係止爪26が挿入されて引っ掛けられることにより、背フレーム16に対する締結方向と直交する方向には孔22と係止爪26とのがたつきの範囲で背支持フレーム用カバー18の相対的動きが許容される。これにより、締結方向には背フレーム16の動きに背支持フレーム用カバー18がある程度追従するため、凹部24内に収められている背支持フレーム用カバー18の縁部18aが浮き上がることがない。即ち、このデザインにおける、背フレーム16の底面と背支持フレーム用カバー18の縁部18aとの面一を確保することができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、ガスプリング取付ピン12を利用し、このピン12に嵌合するC字形状の爪部(軸受け部)を利用してカバーの前部をワンタッチで着脱可能に取り付けているが、このようなクリップ式取付構造に特に限られず、他の形式の挟み付け構造にしても良いし、背支持フレーム3と他の部材とを相対回動可能に枢着するヒンジ軸や、背支持フレーム内に実装した各種メカを操作するための操作軸等の軸類全般に対して適用することも可能である。要は、カバーの一端側の固定方法として、押し込むことによってデットポイントを乗り越えて相手側部材を挟持する手法を採用し、他方を背支持フレームの側面に嵌合により固定できる手法としたものであれば実施可能である。
また、上述の実施形態では、背フレーム16と該背フレーム16の表側に張り渡された状態で背凭れとして適度な弾力性と張力とを発揮し得る材質の張地とで構成される背凭れの支持フレームの例を挙げて説明したが、この構造の背凭れに特に限られるものではなく、発泡ウレタンと背板などを用いた背凭れなどを支持する背支持フレームに対して適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、背フレームに対する背支持フレーム用カバー18の引っ掛ける箇所は実施例の限りではない。
例えば、上述の実施形態の背支持フレーム3は左右に離間し対向して配設される一対のプレートを連結したものとして内方にロック機構付きガススプリング11を収容するようにし、ガスプリング取付ピン12を背支持フレーム用カバー18の固定手段として利用するようにしているが、この構造に特に限られず、ロック機構付きガススプリング11などを収容しない一本のパイプからなる背支持フレームであっても良い。この場合には、背支持フレームの外に突出する軸を背支持フレーム用カバー18の固定手段として利用することができる。