JP3023288B2 - ガラス接合体およびその製造法 - Google Patents

ガラス接合体およびその製造法

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JP3023288B2
JP3023288B2 JP7071551A JP7155195A JP3023288B2 JP 3023288 B2 JP3023288 B2 JP 3023288B2 JP 7071551 A JP7071551 A JP 7071551A JP 7155195 A JP7155195 A JP 7155195A JP 3023288 B2 JP3023288 B2 JP 3023288B2
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周一 市川
賢治 加藤
鍠一 梅本
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腐食性物質に曝される
ガラス接合体に関するものであり、特に腐食性物質に対
して高耐食性を有するガラス接合体およびその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、ガラスはその優れたシール性
や絶縁特性を利用して極めて多くの箇所のシール材とし
て利用されてきている。そして、このガラスシールによ
って接合されたガラス接合体は、しばしば腐食性物質に
曝される箇所での使用が課せられる。このような腐食性
物質に曝されるガラス接合体の一例として、ナトリウム
−硫黄電池や熱電変換装置がある。
【0003】ナトリウム−硫黄電池は300 〜350 ℃で作
動する高温型2次電池であり、溶融ナトリウムを陰極活
物質、溶融硫黄または多硫化ナトリウムもしくはその両
方を陽極活物質とし、固体電解質としてナトリウムイオ
ン伝導性のあるベータアルミナ管の内側と外側に上記陰
極活物質と陽極活物質とを配した状態で、ベータアルミ
ナ管をアルファアルミナ等の絶縁体にガラス接合して金
属製容器内に収納して構成している。
【0004】上述した従来のナトリウム−硫黄電池にお
いては、ベータアルミナ管と絶縁体との接合ガラスがナ
トリウムにより腐食され、電池寿命低下の原因となる問
題があった。この問題に対して、本出願人は特開平4−
26565号公報、特開平4−175271号公報等に
おいて、耐ナトリウム性に優れた封止ガラス組成を開示
してきた。そして、これらの技術により、ガラスのナト
リウムによる腐食速度は著しく遅くなり、電池のガラス
接合部の耐食性を改善することが出来た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、さらにナ
トリウム−硫黄電池における接合ガラスについて研究を
行ったところ、上述したガラスの腐食には2つの腐食の
形態があることを見い出した。すなわち、図3に示すよ
うに、ベータアルミナ管11とアルファアルミナ絶縁板
12とを接合ガラス13により接合するに際し、接合ガ
ラス3の表面で起こる表面腐食14と、接合ガラス13
とベータアルミナ管11との界面または接合ガラス13
とアルファアルミナ絶縁板12との界面で起こる界面腐
食15とがあることが、新たにわかってきた。
【0006】このうち、表面腐食14は界面腐食15に
比べて進展速度が遅く、また表面がハクリするだけであ
り、接合部の破壊等の重大な問題は発生しないが、界面
腐食15は進展速度が速く、また界面腐食15が進むと
界面を起点とするクラック16が発生して、接合部の破
壊や、電池の寿命低下につながることがわかってきた。
【0007】本発明の目的は上述した課題を解消して、
ガラス接合体のガラス接合部分の信頼性を向上させたガ
ラス接合体およびその製造法を提供しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のガラス接合体
は、ガラスとセラミックスとの界面に、ガラスあるいは
セラミックスと同一成分から構成される結晶、あるいは
それぞれの組成に含有されている酸化物成分から構成さ
れる結晶が析出していることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のガラス接合体の製造法は、
上記ガラス接合体の製造法において、前記結晶を、ガラ
スとセラミックスとの界面に析出させることを特徴とす
るものである。
【0010】
【作用】上述した構成において、ガラスとセラミックス
との界面に析出した結晶が腐食に対してピン止め効果を
有し、界面腐食を起こさせないよう作用する。よって、
腐食の形態は腐食速度の遅い表面腐食のみとなるため、
著しく長寿命化したガラス接合体を得ることができる。
【0011】本発明において、界面に析出している結晶
がガラスあるいはセラミックスと同一、あるいはそれぞ
れの組成に含有されている酸化物成分から構成される結
晶であると規定したのは、構成成分の全く異なる結晶で
は析出結晶の耐ナトリウム性が逆に悪くて、腐食のピン
止め効果を果たさない可能性があるからである。
【0012】また、析出している結晶の熱膨張係数は、
ガラスあるいはセラミックスと同一、あるいはその中間
の値であることが望ましい。なぜなら、この値から外れ
ると熱膨張差により発生する応力によって、接合部にク
ラックが発生する可能性があるからである。さらに、結
晶の粒径は50μm以下望ましくは20μm 以下であること
が望ましい。なぜなら、析出結晶の粒径が50μm以上に
増大するとガラスとの界面をクラックが走りやすくな
り、接合部の強度低下につながるからである。
【0013】
【実施例】図1は本発明のガラス接合体の一例として、
ナトリウム−硫黄電池の接合界面の状態の一例を示す図
である。図1において、1はベータアルミナ管、2はア
ルファアルミナ絶縁体、3はベータアルミナ管1とアル
ファアルミナ絶縁体2とを接合するための接合ガラスで
ある。本発明の特徴は、ベータアルミナ管1と接合ガラ
ス3との界面およびアルファアルミナ絶縁体2と接合ガ
ラス3との界面に、結晶4を析出させた点である。
【0014】この結晶4の組成は、接合ガラス3あるい
はベータアルミナ管1またはアルファアルミナ絶縁体2
と同一成分、またはそれぞれの組成に含有されている酸
化物成分から構成される。また、結晶4の熱膨張係数に
ついては、特に限定するものではないが、ガラスあるい
はセラミックスと同一、あるいはその中間の値であるこ
とが望ましい。さらに、結晶4の粒径すなわち最大長さ
も特に限定するものではないが、50μm以下であること
が望ましい。このような結晶4さえ接合界面に析出でき
れば、製造方法はどのような方法でも用いることができ
る。なお、図1に示す例では、結晶4があるため界面腐
食は発生せず、問題とならない表面腐食5のみが発生し
ている。
【0015】以下、実際の例について説明する。SiO2
B2O3を主成分とし、その他の成分がAl2O3 、Na2O、Ti
O2、MgO の中の数種類の酸化物の組合わせから構成され
るなるホウケイ酸ガラスA〜Hについて、ガラス単体お
よび接合体とした時のナトリウムに対する耐食性を調べ
るため、以下の試験を行なった。
【0016】まず、ホウケイ酸ガラスのガラスフリット
A〜Hについて、白金るつぼ中で、最高温度1100℃の接
合スケジュールと同一の熱処理を行い、ガラス単体を得
た。これから3×4×5mmのサンプルを切り出し、N2
雰囲気で400 ℃のナトリウム中に浸漬し、ナトリウムを
メタノールで除去した後、1000時間経過後の表面変色層
の厚み測定を行った。変色層の厚み測定は、サンプル断
面を鏡面研磨した後、光学顕微鏡を用いて測定した。
【0017】次に、図2に示すように、上記ガラスフリ
ットを接合ガラス6として使用して、αアルミナリング
7とベータアルミナ円板8とを最高温度1100℃の接合ス
ケジュールによって接合した。その後、作製したガラス
接合体をN2雰囲気で400 ℃のナトリウム中に浸漬し、10
0 時間毎に取り出し、ナトリウムをメタノールで除去し
た後、クラックの有無を蛍光探傷により調べた。試験結
果を以下の表1に示す。なお、表1において、界面結晶
の粒径は、界面結晶の最大の長さから求めた。
【0018】
【表1】
【0019】表1の結果から、本発明の試験No.1〜4は
少なくとも1000時間はクラックの発生がなく耐食性が良
好であるのに対し、比較例の試験No.5〜8ではいずれも
1000時間までにクラックが発生してしまい、耐食性が十
分でないことがわかった。また、本発明例と比較例とを
比較すればわかるように、ガラス単体の腐食速度が変わ
らないもの(たとえばガラスBとF)でも、界面に結晶
が析出したガラス接合体の方が良好な耐食性を示すこと
がわかった。
【0020】なお、接合部にクラックが観察されたサン
プルについて解析したところ、いずれも界面の腐食部分
を起点にしてクラックが進展していた。また、本発明例
において界面に析出していた結晶を、X線回折装置を使
用して同定したところ、2Al2O3・B2O3、3MgO・B2O3、あ
るいはAl2O3 といったガラスあるいはセラミックスのそ
れぞれの組成に含有されている酸化物成分、あるいは同
一の組成から構成される結晶であった。これらの試験結
果から、界面の結晶はガラスとセラミックスの反応によ
って生成していることが考えられた。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば、ガラスとセラミックスとの界面に析出した結晶
が腐食に対してピン止め効果を有し、界面腐食を起こさ
せないよう作用するため、、腐食の形態は腐食速度の遅
い表面腐食のみとなり、著しく長寿命化したガラス接合
体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス接合体の接合界面の状態の一例
を示す図である。
【図2】本発明における実施例で使用した試験体の断面
図である。
【図3】従来のガラス接合体の接合界面の状態の一例を
示す図である。
【符号の説明】
1 ベータアルミナ管、2 アルファアルミナ絶縁体、
3 接合ガラス、4 結晶
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−95673(JP,A) 特開 昭57−4777(JP,A) 特開 昭59−223278(JP,A) 特開 平4−175270(JP,A) 特開 昭47−13539(JP,A) 特開 昭47−1475(JP,A) 特開 昭50−43117(JP,A) 特公 昭47−34805(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスとセラミックスとの界面に、ガラス
    あるいはセラミックスと同一成分から構成される結晶、
    あるいはそれぞれの組成に含有されている酸化物成分か
    ら構成される結晶が析出していることを特徴とするガラ
    ス接合体。
  2. 【請求項2】前記析出した結晶の熱膨張係数が、ガラス
    またはセラミックスと同一、あるいはその中間である請
    求項1記載のガラス接合体。
  3. 【請求項3】前記結晶の粒径が50μm以下である請求項
    1または2記載のガラス接合体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラ
    ス接合体の製造法において、前記結晶を、ガラスとセラ
    ミックスとの界面に析出させることを特徴とするガラス
    接合体の製造法。
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