JP2545153B2 - ガラス接合体およびその製造法 - Google Patents

ガラス接合体およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は腐食性物質に曝されるガラス接合体に関し、
特に、ナトリウム−硫黄電池のような高温2次電池もし
くはナトリウム熱電変換装置のβアルミナと絶縁用セラ
ミックスとの間のガラス接合体およびその製造法に関す
るものである。
(従来の技術) 従来、腐食性物質に曝されるガラス接合体の一例とし
て、ナトリウム・硫黄電池や熱電変換装置が知られてい
る。
ナトリウム−硫黄電池は300℃〜350℃で作動する高温
型二次電池であり、溶融ナトリウムを陰極活物質、溶融
硫黄または多硫化ナトリウムもしくはその両方を陽極活
物質とし、固体電解質としてナトリウムイオン伝導性の
あるセラミックスおよび金属製容器より構成している。
典型的なナトリウム・硫黄電池の構造を第1図に示す。
第1図において、1はナトリウムイオン伝導性のある
ベータアルミナ管、2は陽極となる金属製容器、3は硫
黄または多硫化ナトリウム、4は陰極となる金属製容
器、5はナトリウム、6はαアルミナ等の絶縁体、7は
金属製の蓋、8は溶接部、9はベータアルミナ管1とα
アルミナ等の絶縁体6とを接合する接合ガラスである。
ベータアルミナ管1を形成するベータアルミナとして
は、β″アルミナ、βアルミナおよび両者が混在するも
の等がある。
上述したナトリウム・硫黄電池の製造工程は一般に、
準備したベータアルミナ管1をαアルミナなどの絶縁体
6にガラス半田などの接合ガラス9により接合し、ベー
タアルミナ管1と絶縁体6の接合体を金属製容器2およ
び4に高温加圧下で固相反応などにより接合後、ナトリ
ウム5および硫黄もしくは多硫化ナトリウム3を金属製
容器4および2に供給し、金属製容器4に蓋7を溶接等
により密閉して電池を得ている。
(発明が解決しようとする課題) 上述した従来のナトリウム・硫黄電池においては、ベ
ータアルミナ管1とαアルミナからなる絶縁体6との接
合ガラス9がナトリウムにより腐食され、電池寿命低下
の原因となる問題があった。この問題に対して、特開平
1−54672号公報では、耐ナトリウム性に優れた封止ガ
ラスとして、アルカリ土類金属酸化物を1wt%以下に抑
え、SiO2:65〜75wt%、B2O3:10〜25wt%、残部をAl2O3
とアルカリ金属酸化物とした接合ガラスが耐熱衝撃性、
耐金属Na性に優れていることを開示している。
しかしながら、上記組成の接合ガラスは従来の珪酸塩
ガラスあるいは硼珪酸塩ガラスに比べて耐ナトリウム性
に優れるが、充分な耐食性を有するには至らず、ナトリ
ウムにより腐食され電池寿命の低下の原因となる問題が
あった。
本発明の目的は上述した課題を解消して、ガラス接合
体のガラス接合部分の信頼性を向上させたガラス接合体
およびその製造法を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明のガラス接合体は、30〜50wt%のSiO2、15wt%
以下のNa2O、残部がB2O3およびAl2O3からなるナトリウ
ムに対する耐食性を有するガラスを用いて、ナトリウム
を電極として使用した高温2次電池またはナトリウムを
電極として使用した熱電変換装置のベータアルミナと絶
縁性セラミックスとを接合した構造を有することを特徴
とするものである。
また、本発明のガラス接合体の製造法は、30〜50wt%
のSiO2、15wt%以下のNa2O、残部がB2O3およびAl2O3
らなるナトリウムに対する耐食性を有するガラスを準備
し、準備したガラスを用いてナトリウムを電極として使
用した高温2次電池またはナトリウムを電極として使用
した熱電変換装置のベータアルミナと絶縁性セラミック
スとを接合したことを特徴とするものである。
(作 用) 上述した構成において、セラミックスとセラミックス
とを接合するのに使用するガラスとして、SiO2:30〜50w
t%、Na2O:15wt%以下、残部がB2O3およびAl2O3からな
るガラスを使用することにより、ナトリウムによる腐食
速度を抑制でき、ガラス接合部分の信頼性を向上させ、
ナトリウム・硫黄電池よしくはナトリウム熱電変換装置
の長寿命化を達成することができる。
本発明のガラス組成において、SiO2を30〜50wt%、Na
2Oを15wt%以下と限定したのは、以下の理由による。Si
O2が30wt%未満であると、熱膨張係数が大きく、接合残
留応力が大きくなり、接合時にクラックが発生する。ま
たSiO2が50wt%を越えると、Naによる腐食が著しく、Na
接触状態で使用すると短時間でクラックが発生する。Na
2Oが15wt%を越えると、熱膨張係数が大きく接合残留応
力が大きくなり、接合時にクラックが発生する。
さらに、Na2O以外のアルカリ金属の酸化物およびアル
カリ土類金属の酸化物の含有量は、0.5wt%以下である
と好ましい。
また、セラミックスとセラミックスとの接合の一例と
して、アルファアルミナとベータアルミナを本発明の所
定組成のガラスにより接合する方法としては、(1)フ
リット状のガラスをアルファアルミナとベータアルミナ
の間に入れて加熱し、ガラスを溶融し、ガラスとアルフ
ァアルミナおよびガラスとベータアルミナを反応させ結
合する方法、(2)アルファアルミナとベータアルミナ
を結合するすき間の上部にガラスブロックをおいて加熱
してガラスを溶融し、ガラスとアルファアルミナ、ベー
タアルミナのぬれ性をよくしてすき間に流し込み、ガラ
スとアルファアルミナおよびガラスとベータアルミナを
反応させ結合する方法が好適である。
(実施例) 第1図は本発明のガラス接合体の一例として、ナトリ
ウム・硫黄電池に本発明を応用した例を示す図である。
その構成は上述した通りのもので、本発明で重要なの
は、接合ガラス9としてSiO2:30〜50wt%、Na2O:15wt%
以下、残部がB2O3およびAl2O3からなるガラスを使用す
る点である。
第2図は本発明のガラス接合体の他の例として、熱電
変換装置に本発明を応用した例を示す図である。第2図
に示す実施例では、ナトリウムイオンが容易に移動する
ベータアルミナ固体電解質を利用し熱エネルギーを電気
エネルギーに直接変換して発電する熱電変換装置を示し
ており、11はステンレス容器、12はステンレス容器11に
設けたαアルミナからなる絶縁体、13はベータアルミナ
管、14はαアルミナからなる絶縁体12とベータアルミナ
管13とを接合する接合ガラス、15はベータアルミナ管13
の内部に供給されるナトリウムを加熱するためのヒー
タ、16はベータアルミナ管13の外周部にスパッタにより
形成したMoポーラス電極、17はステンレス容器11内のナ
トリウムをベータアルミナ管13内に供給するための電磁
ポンプ18を有する管路、19−1,19−2は出力を取出すた
めの電極である。
本実施例でも、接合ガラス14として上述した組成のガ
ラスを使用する必要がある。
上述した装置では、ベータアルミナ管13内に供給され
るナトリウムはヒータ15により加熱され、イオン伝導に
よりMoポーラス電極16に達し電極19−1,19−2間に出力
電流として得るとともに、イオン伝導したナトリウムMo
ポーラス電極16から蒸発し、低温のステンレス容器17の
内面で液化してナトリウムが循環するよう構成してい
る。
以下、実際の例について説明する。
実施例1 各種組成のガラスの耐ナトリウム性と模擬接合体によ
る接合状態を調べるため、以下のような試験を実施し
た。
まず、第1表に示す各種組成となるように、各原料を
電子天秤により秤量し、アルミナ製乳鉢により混合粉砕
し、白金るつぼに入れて白金るつぼ中で1600℃で溶融
し、溶融物を水中投下してガラスフリットを作製した。
ガラスをより均質にするため、作製したガラスフリット
をアルミナ製乳鉢および乳棒により粉砕し、白金製るつ
ぼに入れ1600℃で再溶融し、溶融物を水中投下した後、
さらにアルミナ製乳鉢および乳棒により粉砕し、接合用
ガラスフリットを得た。
上記接合用ガラスフリットにより、第3図に断面図を
示すように、直径40mm、厚さ5mmのアルファアルミナ円
板31と外径20.0mm、内径17.5mmのベータアルミナ管32と
を1000℃で接合し、800℃から300℃まで0.5℃/minで徐
冷し歪み取りをおこなった。その後、作製したガラス接
合体をN2雰囲気で450℃のナトリウム中に浸漬し、100時
間毎に取り出し、ナトリウムをメタノールで除去し、ク
ラックの有無を蛍光探傷にて調べた。試験結果および接
合ガラス組成を第1表に示す。
第1表の結果から、本発明の試験No.1〜7は1000時間
以上クラックの発生がなく耐食性が良好であるのに対
し、比較例No.8〜14は最大でも1000時間までしか耐える
ことができず、また比較例試験No.15,16では接合段階で
クラックが発生することがわかった。接合時にクラック
が入ってしまうのは、ガラスの熱膨張係数がベータアル
ミナ、アルファアルミナの熱膨張係数に合っていないた
めである。
実施例2 本発明のガラス接合体を用いたNaS電池の充放電試験
として、実施例1の本発明のガラスとして試験No.1〜7
を用い、第1図に示すようなベータアルミナ管とアルフ
ァアルミナ製の絶縁体のガラス接合体を形成したナトリ
ウム・硫黄電池を作製し、350℃で電流密度150mA/cm2
定電流充放電試験を実施した。その結果、いずれのナト
リウム・硫黄電池も1000サイクルまで破損することなく
充放電できた。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明のガラス接合
体およびその製造法によれば、セラミックスとセラミッ
クスとを接合するにあたり、所定の組成のガラスを使用
することにより、耐ナトリウム性を向上でき、特に、ナ
トリウム・硫黄電池のような高温2次電池やナトリウム
熱電変換装置のβアルミナと絶縁用セラミックスとの間
のガラスとして使用すれば、装置の長寿命化を達成でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のガラス接合体の一例として、ナトリウ
ム・硫黄電池に本発明を応用した例を示す図、 第2図は本発明のガラス接合体の他の例として、熱電変
換装置に本発明を応用した例を示す図、 第3図は耐ナトリウム性試験を実施した試験体の断面図
である。 1……ベータアルミナ管、2……金属製容器 3……硫黄或いは多硫化ナトリウム 4……金属製容器、5……ナトリウム 6……絶縁体、7……蓋 8……溶接部、9……接合ガラス 11……ステンレス容器、12……絶縁体 13……ベータアルミナ管、14……絶縁体 15……ヒータ、16……Moポーラス電極 17……管路、18……電磁ポンプ 19−1,19−2……電極 31……アルファアルミナ円板 32……ベータアルミナチューブ 33……接合ガラス

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】30〜50wt%のSiO2、15wt%以下のNa2O、残
    部がB2O3およびAl2O3からなるナトリウムに対する耐食
    性を有するガラスを用いて、ナトリウムを電極として使
    用した高温2次電池またはナトリウムを電極として使用
    した熱電変換装置のベータアルミナと絶縁性セラミック
    スとを接合した構造を有することを特徴とするガラス接
    合体。
  2. 【請求項2】30〜50wt%のSiO2、15wt%以下のNa2O、残
    部がB2O3およびAl2O3からなるナトリウムに対する耐食
    性を有するガラスを準備し、準備したガラスを用いてナ
    トリウムを電極として使用した高温2次電池またはナト
    リウムを電極として使用した熱電変換装置のベータアル
    ミナと絶縁性セラミックスとを接合したことを特徴とす
    るガラス接合体の製造法。
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