JP2641531B2 - ナトリウム−硫黄電池およびその製造方法 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はナトリウム−硫黄電池およびその製造方法に
係り、更に詳しくは、絶縁体リングと陰極金属容器およ
び/又は陽極金属容器との接合部においてシール性が向
上し、ナトリウムおよび硫黄等のリーフ防止を確実にし
たナトリウム−硫黄電池およびその製造方法に関する。
[従来の技術] ナトリウム−硫黄電池は、一方に陰極活物質である溶
融金属ナトリウム、他方には陽極活物質である溶融硫黄
を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過
性を有するベータアルミナ固体電解質で隔離し、300〜3
50℃で作動させる高温二次電池である。
このようなナトリウム−硫黄電池の構成は、例えば第
1図に示すように、陽極活物質である溶融硫黄Sを含浸
したカーボンフェルト等の陽極用導電材1を収容する円
筒状の陽極金属容器2と、該陽極金属容器2の上端部と
例えばアルファアルミナ製の絶縁体リング3を介して連
結され、且つ溶融金属ナトリウムNaを貯留する陰極金属
容器4と、前記絶縁体リング3の内周部に接合され、且
つナトリウムイオンNa+を選択的に透過させる機能を有
する有底円筒状のベータアルミナ管5とからなってい
る。また、前記陰極金属容器4の上蓋6の中央部には、
陰極金属容器4を通して下方向にベータアルミナ管5の
底部付近まで延びた陰極管7が貫通支持されている。
以上の構成を有するナトリウム−硫黄電池において、
放電時には溶融金属ナトリウムは電子を放出してナトリ
ウムイオンとなり、これがベータアルミナ固体電解質中
を透過して陽極側に移動し、陽極の硫黄と外部回路を通
ってきた電子とが反応して多硫化ナトリウムを生成し、
2V程度の電圧を発生する。一方、充分時には放電とは逆
にナトリウム及び硫黄の生成反応が起こる。
以上のように、従来のナトリウム−硫黄電池は、アル
ファアルミナ絶縁体リングと陰極容器および陽極容器間
とは直接熱圧接合により接合されている。
[発明が解決しようとする課題] このようなナトリウム−硫黄電池において、現在の大
きな課題として、アルファアルミナ絶縁体リングと陰極
金属容器および陽極金属容器との接合部におけるリーク
と残留応力が挙げられている。即ち、従来の電池におい
ては、アルファアルミナ絶縁体リングと陰極金属容器お
よび陽極金属容器とが直接接合されているが、アルファ
アルミナと金属(Fe又はAlを通常陰陽極金属容器として
用いる。)はその熱膨張係数に大きな差があるため、室
温から使用温度(300〜350℃)まで環境温度が変化する
ことにより、上記材質間の熱膨張差に基き絶縁体リング
と陰極および陽極金属容器との接合部に歪が発生して亀
裂が生じ、陰極および陽極容器内の金属ナトリウム或い
は硫黄、硫化ナトリウム等がリークし、電池が使用不可
となる事態が起こる、という欠点があった。
[課題を解決するための手段] そこで、本発明者らは、上記接合部におけるリーク等
の問題を解決すべく、種々検討を重ねた結果、本発明を
完成したものである。
即ち、本発明の第1の発明によれば、溶融硫黄を収容
する陽極金属容器と、該陽極金属容器の端部と絶縁体リ
ングを介して接合され且つ溶融金属ナトリウムを貯留す
る陰極金属容器と、前記絶縁体リングの内周部に接合さ
れ且つナトリウムイオンを選択的に透過させる機能を有
するベータアルミナ固体電解質管とからなるナトリウム
−硫黄電池において、前記絶縁体リングと前記陰極金属
容器との接合部および/又は前記絶縁体リングと前記陽
極金属容器との接合部が、該絶縁体リングの接合面上に
形成した、SiO2 55〜70重量%、Na2O 6〜13重量%、B2O
3 20〜30重量%、Al2O3 2〜6重量%を含むガラス層を
介して熱圧接合により一体的に接合されてなることを特
徴とするナトリウム−硫黄電池、が提供される。
さらに、本発明の第2の発明によれば、溶融硫黄を収
容する陽極金属容器と、該陽極金属容器の端部と絶縁体
リングを介して接合され且つ溶融金属ナトリウムを貯留
する陰極金属容器と、前記絶縁体リングの内周部に接合
され且つナトリウムイオンを選択的に透過させる機能を
有するベータアルミナ固体電解質管とからなるナトリウ
ム−硫黄電池を製造する方法において、前記絶縁体リン
グの各容器との接合面上に予じめ、SiO2 55〜70重量
%、Na2O 6〜13重量%、B2O3 20〜30重量%、Al2O3 2〜
6重量%を含むガラス層を形成し、次いで絶縁体リング
を介して陰極金属容器および/又は陽極金属容器を熱圧
接合することにより一体的に気密接合することを特徴と
するナトリウム−硫黄電地の製造方法、が提供される。
本発明では、絶縁体リングの接合面に予じめガラス層
を形成するものであるが、そのガラス層として、SiO2 5
5〜70重量%、Na2O 6〜13重量%、B2O3 20〜30重量%、
Al2O3 2〜6重量%を含むガラス層を少なくとも有する
ものである。
なお、本発明においては、陰極および陽極の金属容器
がアルミニウムにより形成されている場合は、後述のア
ルミニウムホウロウを金属容器の接合面上に予じめ焼付
けてガラス層を形成することが好ましく、同様に金属容
器がステンレス鋼あるいは軟鋼の場合には、後述の鉄系
ホウロウを用いるのがよい。
さらに陰極および陽極の金属容器の接合面と、絶縁体
リングの接合面の両接合面上に予じめガラスを焼付けて
ガラス薄層を形成することがより好ましい。
[作用] 本発明では、例えばアルファアルミナよりなる絶縁体
リングと陰極金属容器あるいは陽極金属容器との接合
を、予じめ絶縁体リングの接合面上に最適なガラス層を
形成した後、熱圧接合して一体的に接合することによ
り、絶縁体リングと金属容器との熱膨張の差を吸収・緩
和させるとともに、絶縁体リング及び陰極および陽極の
各金属容器の接合面表面の微小な凹凸をなくして滑らか
にすることにより、接合部のシール性を向上させ、その
結果、接合部におけるリークを防止し、残留応力を減少
させたのである。
なお、絶縁体リング接合表面に形成するガラス層のガ
ラス組成としては、SiO2、Na2O、B2O3およびAl2O3から
主として構成されるホウ珪酸系ガラスが適しており、そ
の組成としてはSiO2が55〜70重量%、好ましくは60〜63
重量%、Na2Oが6〜13重量%、好ましくは8〜10重量
%、B2O3が20〜30重量%、好ましくは24〜27重量%、Al
2O3が2〜6重量%、好ましくは3〜5重量%の範囲の
ものが適用できる。
また、上記組成のホウ珪酸系ガラスは熱膨張係数が絶
縁体リングと金属容器の中間の熱膨張係数を有している
ことが望ましい。
一方、金属容器がアルミニウムである場合には、その
接合面上にガラス層を形成することが好ましく、そのガ
ラス層としてはSiO2、TiO2、ZrO2のうちの少なくとも1
種以上を20〜60重量%、Na2O、K2O、Li2Oのうち少なく
とも1種以上を10〜30重量%、CaO、BaO、MgO、ZnO、Al
2O3のうち少なくとも1種以上を1〜15重量%、PbO、B2
O3、Sb2O3のうち少なくのも1種以上を1〜40重量%よ
りなるアルミニウムホウロウを用いることが好ましい。
また、金属容器が軟鋼あるいはステンレス鋼の場合に
は、その接合面上にガラス層を形成することが好まし
く、そのガラス層としてはSiO2を35〜60重量%、Al2O3
を1〜10重量%、B2O3を10〜25重量%、Na2O及び/又は
K2Oを15〜25重量%、CaO、MgO、MnOのうち少なくとも1
種以上を1〜10重量%等よりなる組成の鉄系ホウロウを
用いることが好ましい。
本発明においては、以上のように、絶縁体リングの接
合面上に、ホウ珪酸系ガラス層および好ましくは、該陰
極および陽極の金属容器の接合面上に、その金属容器の
材質に最適のホウロウよりなるガラス層を形成させた
後、熱圧接合する。
熱圧接合は、通常、温度500〜800℃、好ましくは600
〜700℃で、約5〜30秒間、好ましくは約10秒、圧力1.5
〜40MPaで行なわれる。
[実施例] 以下、本発明を実施例に基きさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1) 予じめガラスを焼き付けるべきアルミニウム製陰極お
よび陽極の金属容器を温度60℃の10%NaOH水溶液中に5
分間浸漬し洗浄した。次に、化学組成が第1表に示すア
ルミニウムホウロウ用燐酸系ガラス粉末を平均粒径1μ
m以下に微粉砕し、当該ガラス粉末75重量%、ポリビニ
ルブチラール2.8重量%、ジブチルブタレート1.3重量
%、ブタノール20.9重量%の割合で混合し、ペーストを
作製した。その後、前記金属容器の絶縁体リングとの接
合表面の所定部分に前記ペーストを塗布した。次に各金
属容器を電気炉中で520℃、3分間加熱し、ガラス粉末
を金属容器に焼き付けた。焼き付けた後のガラス層の厚
さは約20μmであった。
一方、絶縁体リングの金属容器との接合表面上に、Si
O2 61重量%、Na2O 9.5重量%、B2O3 25重量%、Al2O3
4.5重量%よりなるホウ珪酸ガラスペーストを塗布し、
約10μmの厚さに焼き付けした。
次に絶縁体リングと金属容器を組立てた後、温度550
℃、圧力30MPaの条件で30秒間保持し、熱圧接合した。
その後、接合部分の気密性を調べるため、ヘリウムリー
ク試験を実施した。その結果、本発明のガラスを介在し
た場合の不良発生率は0.3%であったのに対し、ガラス
を介在しない従来の場合の不良発生率は33%であった。
次いで、使用時の劣化状態を調べるため、ヘリウムリ
ーク試験でリークの認められなかった良品を、使用温度
の330℃まで10時間かけて昇温し、330℃で1時間保持後
10時間かけて自然放冷して室温まで徐冷する加熱試験を
1サイクルとする試験を10回繰返し、当初と同様にヘリ
ウムリーク試験を実施したところ、本発明品は不良発生
率1.2%であったのに対し、従来品の不良発生率は58%
であって、本発明品はリーク性が極めて優れていること
が確認された。
[発明の効果] 以上述べたとおり、本発明の請求項1記載のナトリウ
ム−硫黄電池によれば、金属容器と絶縁体リングの間に
焼き付けられたガラス薄層を介在しているので、熱圧接
合後の気密性に特に優れ、さらに長期間安定して使用で
きる電池が得られる。
また、請求項2記載の製造方法によれば、絶縁体リン
グの金属容器との接合面上に予じめガラス層を焼付け形
成して熱圧接合するという、簡単な手段で完全なシール
構造のナトリウム−硫黄電池が得られるものであり、産
業の展開に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
第1図はナトリウム−硫黄電池の構成を示す概略断面図
である。 1……陽極用導電材、2……陽極金属容器、3……絶縁
体リング、4……陰極金属容器、5……ベータアルミナ
管。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融硫黄を収容する陽極金属容器と、該陽
    極金属容器の端部と絶縁体リングを介して接合され且つ
    溶融金属ナトリウムを貯留する陰極金属容器と、前記絶
    縁体リングの内周部に接合され且つナトリウムイオンを
    選択的に透過させる機能を有するベータアルミナ固体電
    解質管とからなるナトリウム−硫黄電池において、前記
    絶縁体リングと前記陰極金属容器との接合部および/又
    は前記絶縁体リングと前記陽極金属容器との接合部が、
    該絶縁体リングの接合面上に形成した、SiO2 55〜70重
    量%、Na2O 6〜13重量%、B2O3 20〜30重量%、Al2O3 2
    〜6重量%を含むガラス層を介して熱圧接合により一体
    的に接合されてなることを特徴とするナトリウム−硫黄
    電池。
  2. 【請求項2】溶融硫黄を収容する陽極金属容器と、該陽
    極金属容器の端部と絶縁体リングを介して接合され且つ
    溶融金属ナトリウムを貯留する陰極金属容器と、前記絶
    縁体リングの内周部に接合され且つナトリウムイオンを
    選択的に透過させる機能を有するベータアルミナ固体電
    解質管とからなるナトリウム−硫黄電池を製造する方法
    において、前記絶縁体リングの陰極金属容器および/又
    は陽極金属容器との接合面上に予じめ、SiO2 55〜70重
    量%、Na2O 6〜13重量%、B2O3 20〜30重量%、Al2O3 2
    〜6重量%を含むガラス層を形成し、次いで絶縁体リン
    グを介して陰極金属容器および/又は陽極金属容器を熱
    圧接合することにより一体的に気密接合することを特徴
    とするナトリウム−硫黄電地の製造方法。
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