JP3023102B1 - 排ガス中の水銀除去方法及び装置 - Google Patents

排ガス中の水銀除去方法及び装置

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    • F23J2215/00Preventing emissions
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Abstract

【要約】 【課題】 次亜塩素酸ソーダに比べ取扱いの容易な金属
塩化物等によって、排ガス中の非水溶性の元素状水銀を
水溶性の塩化水銀等に変化させることにより、二次公害
のおそれがなく、かつ、処理コストを低減させる。 【解決手段】 排ガス中の非水溶性の元素状水銀を金属
塩化物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少
なくともいずれかのペレット又はハニカムの充填層12
と接触させて水溶性の水銀に変換した後、この水溶性の
水銀を湿式吸収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水銀を含有する排
ガスの処理方法及び装置、とくに元素状水銀(金属水
銀)を含有する排ガスの処理方法及び装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、ごみ焼却場の排ガス中に含まれる
水銀の除去方法として、湿式洗煙処理方法が知られてお
り、すでに実用化されている。また、ごみ焼却炉からの
排ガス中に活性炭粉末を吹き込んで排ガス中の水銀を除
去するとともに、集塵機で回収する方法が知られている
(例えば、特開平5−31323号公報参照)。また、
特開平4−300628号公報には、ごみ焼却炉からの
排ガスを電気集塵機又はバグフィルターで除塵した後、
活性コークス充填層に通してNOxの還元とともに水銀
を除去する方法が開示されている。
【0003】ごみ焼却炉排ガス中の水銀は、ガス中に含
まれるHClと結合して、90%前後が塩化水銀の形態
となっており、水に容易に吸収されるため、湿式洗煙で
除去することが可能である。しかし、従来の湿式洗煙処
理方法では、水溶性の塩化水銀は除去できるが、非水溶
性の元素状水銀蒸気は水にはほとんど吸収されないた
め、ごみ焼却場の排煙処理で用いる湿式洗煙処理技術で
は容易に除去されないといった問題があった。
【0004】一方、元素状水銀(金属水銀)除去方法と
して、活性炭を用いる方法が知られているが、この場
合、活性炭を排ガス中の水銀濃度に比べ数千倍添加する
必要があり、さらに再生ができず、繰り返し使用が不可
能であるため、活性炭のコストや最終処分が問題であっ
た。したがって、非水溶性の元素状水銀の存在割合が多
い排ガスでは、この対策として洗煙処理で除去する場合
は、噴霧水に次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤を添加し、
元素状水銀を酸化処理して水溶性の塩化水銀に転換する
方法を採る必要がある。しかし、この方法では次亜塩素
酸ソーダによる二次公害や排水処理への影響、装置の腐
食進行、薬剤コストが高いなどの問題があった。また、
脱硫のための吸収液に次亜塩素酸ソーダを添加する場合
は、脱硫性能が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の諸点に
鑑みなされたもので、本発明の目的は、次亜塩素酸ソー
ダに比べ取扱いの容易な金属塩化物等によって、排ガス
中の非水溶性の元素状水銀を水溶性の塩化水銀等に変化
させることにより、二次公害の心配がなく処理コストが
低減でき、かつ、効率よく排ガス中の水銀を除去するこ
とができる方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の排ガス中の水銀除去方法は、非水溶性の
元素状水銀を含む排ガスを金属塩化物、金属臭化物、金
属フッ化物及び金属沃化物の少なくともいずれかを含有
するペレットの充填層及びハニカムの充填層のいずれか
に通し、排ガス中の非水溶性の元素状水銀を金属塩化
物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少なく
ともいずれかと接触させて水溶性の水銀に変換した後、
この水溶性の水銀を湿式吸収するように構成される(図
1〜図参照)
【0007】本発明方法において、排ガス中の元素状
水銀と金属塩化物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属
沃化物の少なくともいずれかとの接触方法が、金属塩化
物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少なく
ともいずれかを含有するペレットの充填層及びハニカム
の充填層のいずれかを通す方法であ、空間速度が1
0,000〜200,000h -1、望ましくは30,0
00〜100,000h-1の範囲、ガス温度が25〜2
00℃、望ましくは30〜150℃の範囲となるように
する(図1、図、図参照)
【0008】上記の方法において、空間速度が上記範囲
未満の場合は、圧損が大きくなり、送風ファンの所要動
力が増大し、ランニングコストの面で非実用的となり、
一方、上記範囲を超える場合は、元素状水銀の水溶性水
銀への変換率が著しく低下し、水銀除去効果が大幅に低
下する。また、ガス温度が上記範囲未満の場合は、大容
量のガスを冷却する必要が生じ、所要エネルギーの面か
ら非現実的となり、一方、上記範囲を超える場合は、水
溶性水銀への変換率が低下し、水銀除去効果が著しく低
下することとなる
【0009】これらの方法において、金属塩化物、金属
臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少なくともいず
れかを、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、
ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン
(Mo)、アンチモン(Sb)、マンガン(Mn)、金
(Au)、ニオブ(Nb)、オスミウム(Os)、パラ
ジウム(Pd)、ポロニウム(Po)、白金(Pt)、
レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、セレン(S
e)、スズ(Sn)、テルニウム(Te)、ヴァナジウ
ム(V)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)及び
砒素(As)の群から選ばれた金属の塩化物、臭化物、
フッ化物及び沃化物の少なくともいずれかとする。
【0010】本発明の排ガス中の水銀除去装置は、非水
溶性の元素状水銀を含む排ガスが流れる煙道に、金属塩
化物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少な
くともいずれかの担持ペレット又はハニカムの充填層が
設けられ、この充填層の下流の煙道に、充填層と接触し
て変換された水溶性の水銀を吸収除去するための湿式除
去装置が設けられたことを特徴としている(図1、図
、図参照)。
【0011】上記の装置において、湿式除去装置とし
て、湿式スクラバー、排煙脱硫装置の冷却塔、排煙脱硫
装置の吸収塔、湿式電気集塵機及びバグフィルターのい
ずれかが用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら
限定されるものではなく、適宜変更して実施することが
できるものである。図1は、本発明の実施の第1形態に
よる排ガス中の水銀除去装置を示している。10は煙道
で、この煙道10には、ごみ焼却炉等から排出された非
水溶性の元素状水銀(金属水銀)を含む排ガスが流れ
る。この煙道10に、金属塩化物、金属臭化物、金属フ
ッ化物及び金属沃化物の少なくともいずれか(以下、金
属塩化物等と記す)の担持ペレット又はハニカムの充填
層12が設けられている。さらに、この充填層12の下
流の煙道14に、充填層12を形成する担持ペレット又
はハニカム成形体と接触して変換された水溶性の水銀
(塩化水銀、臭化水銀、フッ化水銀及び沃化水銀の少な
くともいずれか、以下、塩化水銀等と記す)を吸収除去
するための湿式除去装置16が設けられている。18は
清浄ガスが排出される煙突である。湿式除去装置として
は、湿式スクラバー、排煙脱硫装置の冷却塔、排煙脱硫
装置の吸収塔等が用いられる
【0013】図は、本発明の実施の第形態による排
ガス中の水銀除去装置を示している。22は燃焼炉で、
この燃焼炉22から排出される排ガスは、触媒脱硝装置
24、エアヒータ26、乾式電気集塵機28、ガス−ガ
スヒータ30を通った後、金属塩化物等担持ペレット又
はハニカムの充填層12に導入されて、排ガス中の非水
溶性の元素状水銀は塩化水銀等の水溶性のものに変換さ
れる。水溶性の塩化水銀等を含む排ガスは、冷却塔32
と吸収塔34とからなる湿式排煙脱硫装置36の冷却塔
32に導入され、スプレーされる水と接触して水溶性の
塩化水銀等が吸収除去されるとともに除塵も行われる。
吸収塔34においては、炭酸カルシウムスラリー(水ス
ラリー)、水酸化マグネシウムスラリー(水スラリー)
等の吸収液が循環ポンプ38により循環され、一部が系
外に抜き出されている。吸収塔34に導入された排ガス
は、吸収液と接触して、ここでも水溶性の塩化水銀等が
吸収除去されるとともに、脱硫、除塵が行われる。な
お、冷却塔を省略する場合もある。
【0014】吸収塔34を出た排ガスは湿式電気集塵機
40に導入されて、ここでも排ガス中の水溶性の塩化水
銀等が吸収除去されるとともに除塵された後、ガス−ガ
スヒータ42で白煙が発生しない温度(例えば50〜9
0℃)に冷却された後、清浄ガスとして煙突18から排
出される。他の構成及び作用は、実施の第1形態の場合
と同様である
【0015】図は、本発明の実施の第形態による排
ガス中の水銀除去装置を示している。廃棄物焼却炉、例
えば、ごみ焼却炉44から排出された排ガスは乾式電気
集塵機46、触媒脱硝装置48を通って処理された後、
金属塩化物等担持ペレット又はハニカムの充填層12に
導入されて、排ガス中の非水溶性の元素状水銀は水溶性
の塩化水銀等に変換される。ついで、塩化水銀等を含む
排ガスは湿式除去装置16に導入されて、塩化水銀等が
吸収除去され、清浄ガスとされて煙突18から排出され
る。他の構成及び作用は、実施の第1、形態の場合と
同様である
【0016】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。 実施例1 粒径3mmの活性アルミナに30wt%となるように塩化第
二鉄を含浸担持させた後、105℃で1時間乾燥して粒
状水銀酸化剤を調製した。この粒状水銀酸化剤を、図
に示すように、固定反応器50に充填して除去剤ペレッ
ト充填層52を形成した。この充填層52に50μg /
m3の元素状水銀を含む10%H2 O−5%O2 −残部N
2 のガス組成の供試ガスを90℃、120L /h 、空間
速度90,000h -1で導入した。そして、充填層52
を出たガスをバブリング槽54の水中に導入してバブリ
ングさせて、湿式洗浄した。バブリング槽54からの排
ガスの水銀濃度を、水銀濃度計56で計測したところ、
2μg /m3(除去率96%)であった。条件及び結果を
表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】比較例1 除去剤としてアルミナペレットを用いた以外は、実施例
1と同様の試験を行った。バブリング槽54の出口の水
銀濃度は44〜48μg /m3(除去率12〜4%)であ
った。条件及び結果を表1に示す。
【0019】実施例2 粒径3mmの活性アルミナに15wt%となるように塩化第
二銅を含浸担持させた後、95℃で2時間乾燥して粒状
水銀酸化剤を調製した。この粒状水銀酸化剤を、図
示すように、固定反応器50に充填して除去剤ペレット
充填層52を形成した。この充填層に30μg /m3の元
素状水銀を含む10%H2 O−5%O2 −残部N2 のガ
ス組成の供試ガスを80℃、120L /h 、空間速度5
0,000h -1で導入した。そして、充填層52を出た
ガスをバブリング槽54の水中に導入してバブリングさ
せて、湿式洗浄した。バブリング槽54からの排ガスの
水銀濃度を、水銀濃度計56で計測したところ、4μg
/m3(除去率87%)であった。条件及び結果を表2に
示す。
【0020】
【表2】
【0021】比較例2 除去剤としてアルミナペレットを用いた以外は、実施例
2と同様の試験を行った。バブリング槽54の出口の水
銀濃度は27μg /m3(除去率10%)であった。条件
及び結果を表2に示す。
【0022】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 排ガス中の非水溶性の元素状水銀を、金属塩化
物等との反応によって水溶性の塩化水銀等に変換して湿
式除去するので、効率よく水銀を除去することができる
上に、従来方式の次亜塩素酸ソーダを用いる場合に比べ
て取扱いが容易であるとともに、二次公害の発生のおそ
れが少なく、かつ、処理コストの低減化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による排ガス中の水銀
除去装置を示す系統的構成図である
【図2】本発明の実施の第形態による排ガス中の水銀
除去装置を示す系統的構成図である
【図3】本発明の実施の第形態による排ガス中の水銀
除去装置を示す系統的構成図である
【図4】実施例及び比較例において用いられた排ガス中
の水銀除去装置を示す系統的構成図である。
【符号の説明】
10、14 煙道 12、52 充填層 1 湿式除去装置 18 煙 22 燃焼炉 24、48 脱硝装置 26 エアヒータ 28、46 電気集塵機 30、42 ガス−ガスヒータ 32 冷却塔 34 吸収塔 36 脱硫装置 38 循環ポンプ 40 湿式電気集塵機 44 ごみ焼却炉 50 固定反応器 54 バブリング槽 56 水銀濃度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−216476(JP,A) 特開 平10−230137(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/64 B01D 53/34 F23J 15/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水溶性の元素状水銀を含む排ガスを金
    属塩化物、金属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の
    少なくともいずれかを含有するペレットの充填層及びハ
    ニカムの充填層のいずれかに通し、排ガス中の非水溶性
    の元素状水銀を金属塩化物、金属臭化物、金属フッ化物
    及び金属沃化物の少なくともいずれかと接触させて水溶
    性の水銀に変換した後、この水溶性の水銀を湿式吸収す
    ることを特徴とする排ガス中の水銀除去方法
  2. 【請求項2】 排ガス中の元素状水銀と金属塩化物、金
    属臭化物、金属フッ化物及び金属沃化物の少なくともい
    ずれかとの接触方法が、金属塩化物、金属臭化物、金属
    フッ化物及び金属沃化物の少なくともいずれかを含有す
    るペレットの充填層及びハニカムの充填層のいずれかを
    通す方法であって、空間速度が10,000〜200,
    000h -1の範囲、ガス温度が25〜200℃の範囲で
    ある請求項1記載の排ガス中の水銀除去方法
  3. 【請求項3】 金属塩化物、金属臭化物、金属フッ化物
    及び金属沃化物の少なくともいずれかが、鉄、銅、コバ
    ルト、ニッケル、タングステン、モリブデン、アンチモ
    ン、マンガン、金、ニオブ、オスミウム、パラジウム、
    ポロニウム、白金、レニウム、ルテニウム、セレン、ス
    ズ、テルニウム、ヴァナジウム、イリジウム、ロジウム
    及び砒素の群から選ばれた金属の塩化物、臭化物、フッ
    化物及び沃化物の少なくともいずれかである請求項1又
    は2記載の排ガス中の水銀除去方法。
  4. 【請求項4】 非水溶性の元素状水銀を含む排ガスが流
    れる煙道に、金属塩化物、金属臭化物、金属フッ化物及
    び金属沃化物の少なくともいずれかの担持ペレット又は
    ハニカムの充填層が設けられ、この充填層の下流の煙道
    に、充填層と接触して変換された水溶性の水銀を吸収除
    去するための湿式除去装置が設けられたことを特徴とす
    る排ガス中の水銀除去装置
  5. 【請求項5】 湿式除去装置が、湿式スクラバー、排煙
    脱硫装置の冷却塔、排煙脱硫装置の吸収塔、湿式電気集
    塵機及びバグフィルターのいずれかである請求項記載
    の排ガス中の水銀除去装置。
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