JP3022986B2 - グラビア印刷の印刷不良防止方法及びグラビア印刷版 - Google Patents

グラビア印刷の印刷不良防止方法及びグラビア印刷版

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JP3022986B2 JP2274269A JP27426990A JP3022986B2 JP 3022986 B2 JP3022986 B2 JP 3022986B2 JP 2274269 A JP2274269 A JP 2274269A JP 27426990 A JP27426990 A JP 27426990A JP 3022986 B2 JP3022986 B2 JP 3022986B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はグラビア印刷の印刷不良防止方法及びそれに
用いるグラビア印刷版に関し,特に,被印刷材に印刷方
向に生じる線状のかぶりや広い面状に薄く生じるかぶり
を防止するためのグラビア印刷の印刷不良防止方法及び
グラビア印刷版に関する。
〔従来の技術〕
グラビア印刷に用いる版は,第13図に示すようにして
作られている。すなわち,版5を構成する鉄芯1の外周
面に銅メッキを施して銅メッキ層2を形成し,その銅面
上に銀の薄膜を形成し,その上に銅メッキを施して銅メ
ッキ層2′を形成し,その銅メッキ層2′に絵柄となる
穴を掘ってセル3を形成し,その後,版の耐摩耗性向上
のため,外周全面にクロムメッキを施してクロムメッキ
層4を形成している。このようにして形成した版5を用
いてグラビア印刷を行うには,第14図に示すように,版
5にインキパン6のインキ7を供給し,セルの中に入っ
たインキ以外の余剰のインキをドクター8によりかき落
とし,セルの中に入ったインキを,圧胴9によって版5
に押付けられた被印刷材10に転写し,印刷している。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが,グラビア印刷において,版5の非画線部表
面のインキをドクターでかき落としているにもかかわら
ず,被印刷材の非画線部にインキが転写し,いわゆるか
ぶりを生じるという問題があった。このかぶりには,種
々な種類のものがあり,その代表的なものとして,印刷
方向に直線状に比較的濃く生じる線状のかぶりと,面状
に薄く生じるかぶりがあった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもの
で,その目的は,線状に比較的濃く生じるかぶりを防止
することの可能な印刷不良防止方法を提供するにある。
また,本発明の他の目的は,更に面状に薄く生じるか
ぶりも防止することのできる印刷不良防止方法を提供す
るにある。
本発明の更に他の目的は,線状及び面状のかぶりを防
止しうるグラビア印刷版を提供するにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は前記した線状のかぶりの原因を検討した
結果,次の事項を見出した。すなわち,第15図に示すよ
うに,版5とドクター8との間に,インキの固形物,ド
クター摩耗粉,被印刷材のかす等の異物11がはさまる
と,その異物11がドクター8を局部的に押し上げ,その
両脇に空間12が生じ,その空間12からインキがかき漏ら
されてしまい,版の非画線部に線状にインキが残り,こ
れが被印刷材に転写して線状のかぶりとなっていた。従
って,この異物11を版とドクターとの間から除去すれ
ば,線状のかぶりを防止することが可能であると考えら
れる。
また,面状のかぶりの原因を検討した結果,このかぶ
りはグラビア印刷版の非画線部の表面の微小な凸部によ
って生じていることを見出した。一般に版表面は0.1S程
度の表面粗さとされており,この程度の表面粗さではか
ぶりは生じないものと考えられていた。これは次の理由
による。すなわち,ドクターによって余剰のインキをか
き落とした際表面の微小な凹み内にはインキが残留する
が,その残留インキが0.1μm程度の凹み内に存在する
のみであれば,被印刷材への転写位置に達するまでに乾
燥して転写することがなく,このため,表面粗さは0.1S
程度で十分であり,それ以上の平滑化は不要であると考
えられていた。ところが,ドクターによって余剰インキ
をかき落とす際,ドクターが版表面にある微小な凸部に
ぶつかって跳ね上がり,このため,良好なインキかき落
としができず,版表面の凹部内のみならずその凹部や凸
部の上方にまでインキが残留してしまい,この残留イン
キが被印刷材に転写して面状のうすいかぶりとなってい
た。そして,この版表面の微小な凸部によるドクターの
跳ね上がりを防止するには,版表面の凸部先端を平坦化
することが有効であり,そのためには版表面を更に研摩
してその平滑さを増すことが有効であることを見出し
た。
かかる知見に基づいてなされた本願第一の発明は,グ
ラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部に,円周
方向と交差する方向に延びる深さ0.3μm以下の微小溝
を形成したことを特徴とするグラビア印刷の印刷不良防
止方法を要旨とする。
また,本願第二の発明は,グラビア印刷版表面の非画
線部に上記した微小溝を形成するのみならず,その微小
溝の部分を除いた部分を,0.08S以下の表面粗さに研摩し
たことを特徴とするグラビア印刷の印刷不良防止方法を
要旨とする。
更に,本願第三の発明は,版表面の有効印刷領域内の
非画線部に,円周方向と交差する方向に延びる深さ0.3
μm以下の微小溝を有し,その微小溝を除いた非画線部
の表面粗さが0.08S以下であることを特徴とするグラビ
ア印刷版を要旨とする。
以下,図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
第1図は本発明に使用するグラビア印刷版(以下版と
略称する)15の概略斜視図である。この版15は多数のセ
ルを形成した絵柄部16と非画線部17を有している。本発
明では,線状のかぶりを防止するため,この版15の有効
印刷領域(被印刷材の製品となる領域に対応する部分)
内の非画線部17に円周方向と交差する方向に延びる多数
の微小溝18を形成することを特徴とする。この微小溝18
は,第2図(a)に示すようにドクター8と版表面との
間に微小な異物11がはさまっていても,その微小溝18が
ドクター8の下を通過する際にその異物11を引っ掛け,
第2図(b)に示すようにドクター8の下から排出させ
るように設けるものである。この微小溝18はその溝内に
留まるインキが被印刷材に転写されることがないように
極めて浅く形成する。すなわち,微小溝は版表面より凹
んでいるので,ドクターで余剰インキをかき落として
も,その微小溝内にインキが残留し,そのインキが被印
刷材に転写される可能性があるが,この微小溝内に残留
したインキが被印刷材との接触位置に達するまでに,乾
燥して転写しなくなる程度の少量のインキしか残らない
ように,微小溝の深さを浅く,0.3μm以下に選定する。
微小溝の深さとしては,0.2〜0.3μm程度が好ましい。
また,微小溝の間隔は1〜10mm程度が好ましい。なお,
微小溝は版面上の有効印刷領域内のみに限らず,有効印
刷領域外(例えば,印刷後の被印刷材から切断除去する
部分に対応する部分)にも設けて良く,有効印刷領域外
では,インキが転写しても良いので,その部分に形成す
る微小溝は,その深さをインキ転写が生じないように浅
く設定しなくてもよい。
本発明において版表面に形成する微小溝18は,版表面
の非画線部17の全面に設けてもよいし,或いは一部のみ
に設けてもよい。ただし,版の印刷領域の全幅(版の軸
方向の印刷幅)を横切るように設ける必要がある。
本発明に用いる微小溝18は,適当な粒径の研摩粒子を
取付けた研摩材を版表面に押し付け,版の軸方向に移動
させることにより,形成可能である。この微小溝の形成
は,通常,研摩機によって機械的に行われるが,この場
合にかぎらず,作業者が手で版に研摩材を押しつけなが
ら軸方向に移動させてもよい。
微小溝18の形成は,セルメイクを行う前後の銅メッキ
層に対して行ってもよく,或いはクロムメッキ層に対し
て行ってもよい。
以上のように,版15の非画線部に微小溝を形成するこ
とにより,ドクターと版表面との間にはさまっている異
物を除去して線状のかぶりを防止できるが,これのみで
は面状のかぶりは防止できない。そこで,本発明では,
面状のかぶりを防止すべく,版表面を従来よりも更に平
滑に研摩して表面にある凹凸の凸部を小さくする。研摩
の程度としては,表面粗さで0.08S以下となるように選
定する。なお,表面粗さは0.08Sよりもずっと小さくし
ても面状のかぶり防止に効果はあるが,0.08Sでも十分効
果があり,表面粗さを小さくし過ぎると研摩に時間がか
かり不経済である。そのため,表面粗さの下限は0.05S
とすることが好ましい。
版15の表面を表面粗さで0.08S以下に研摩する方法と
しては,#3000〜#5000の砥粒を用いた機械的な研摩を
挙げることができる。この際,砥粒の使用形態は特に限
定されず,例えば,フィルム等の基材に砥粒を付けた研
摩材を使用する方法,砥石形態として使用する方法,遊
離砥粒として使用する方法等任意である。研摩に際し
て,従来の0.1S程度の版表面を直接,#3000〜#5000の
砥粒によって研摩してもよいが,それに先立って,#30
00よりも小さい番手の砥粒(例えば,#2000)による研
摩を行うことが好ましい。
版表面の研摩方法としては,上記の機械的研摩方法以
外にも,腐食液による化学研摩と砥粒による機械研摩を
同時に行う化学機械研摩,或いは,電解研摩と砥粒によ
る機械研摩を同時に行う電解砥粒研摩を挙げることがで
きる。これらの研摩方法に使用する砥粒としては,#20
00〜#6000のものが好適である。使用する砥粒として
は,遊離砥粒,固定砥粒いずれでもよい。
上記の研摩を行う時期は,前記した微小溝を形成する
前後のいずれでもよい。微小溝を形成した後の版表面に
対して研摩する場合には,その研摩により先に形成した
微小溝が無くならないよう注意すべきである。また,版
表面に対する研摩を先に行い,その後微小溝を形成する
場合には,微小溝を形成した際にその溝の縁の部分が突
起することがあるので,この突起を無くすべく版表面を
再度軽く研摩することが好ましい。
〔作用〕
第2図(a)に示すように,版15に円周方向を横切る
方向に微小溝18を形成しておくと,異物11が版15とドク
ター8との間にはさまっていたとしても,版15の回転に
よりその微小溝18がドクター8の下を通過する際にその
異物11が微小溝18にひっかかり,第2図(b)に示すよ
うにドクター8と版15との間から,版の回転方向に排出
される。これにより,線状のかぶりによる印刷不良が生
じない。また,この微小溝18は,その深さを0.3μm以
下としているので,その微小溝18内のインキは転写位置
に移動する間に乾燥して被印刷材に転写することはな
く,印刷品質を劣化させることはない。
次に,グラビア印刷版15の表面を平滑に,表面粗さで
0.08S以下に研摩しておくと,表面の凹凸の凸部が小さ
くなり,かつ平滑化する。このため,ドクターが版表面
の余剰インキをかき落とす際ドクターの跳ね上がりがな
くなり,インキの良好なかき落としが可能となり,面状
のかぶりを防止することができる。また,ドクターの摩
耗も減らすことができるので,長期間に渡って良好なイ
ンキのかき落としが可能であり,かぶりを防止できる。
この点を図面を参照して説明する。第4図は従来の版5
の表面(表面粗さ0.1S程度)を誇張して示すものであ
る。この版5の表面は微小な凹凸を有しており,その凸
部13は比較的尖っている。このような凹凸のある表面の
インキ7をドクターによってかき落とす際,ドクターが
凸部13にぶつかって跳ね上がることがあり,良好なイン
キのかき落としができず,インキ7は図示したように凹
部内のみならずその凹部や凸部上方全体に残留する可能
性があり,このインキ7が被印刷材に転写して面状のか
ぶりとなる。これに対し,平滑に研摩した版表面は,第
3図に示すように,凹凸は有しているものの,その凸部
14の頂部は比較的平坦になっており,このため,ドクタ
ーでのインキかき落としが良好であり,インキ7は凹部
内のみに残留する。この凹部内の微量なインキ7は被印
刷材に接触するまでに乾燥してしまうため被印刷材に対
して転写することはなく,このため,面状のかぶりを生
じることはほとんどない。かくして,面状のかぶりによ
る印刷不良を防止できる。
〔実施例〕
まず,版表面に微小溝を形成する方法を説明する。
第5図は版15に微小溝18を形成する方法の1例を示す
概略斜視図である。ここで使用する版15はセルメイク前
の銅メッキ層を形成したもの,その銅メッキ層にセルメ
イクしたもの,或いは,更にその上にクロムメッキ層を
形成したもののいずれであってもよい。版15を矢印Aで
示すように低速で回転させ,表面に研摩用の砥粒を有す
る帯状の研摩材20をゴムロール21で押し付けながら矢印
B方向に少しずつ送る。同時に,この研摩材20とゴムロ
ール21とを矢印Cで示すように版15の軸方向に往復動さ
せる。これにより,版15の外周全面に円周方向とは交差
する方向に延びる多数の微小溝18が形成される。ここ
で,この微小溝18の深さは,主として研摩材20に取付け
ている砥粒のサイズによって定まるので,#600程度の
砥粒を用いることにより,上記したようなインキ転写を
生じることなく異物を排出できる深さの微小溝を形成で
きる。
微小溝18の形成は,第5図に示すような帯状の研摩材
を用いる場合に限らず,他の方法によっても可能であ
る。例えば,第6A図,第6B図に示すように,車輪状の研
摩材23を回転させながら版15の軸方向に移動させること
によって,版15表面に軸方向の微小溝を形成できる。こ
の場合にも,研摩材23に取付ける砥粒としては#600程
度を用いることが好ましい。
次に,版表面の研摩方法を説明する。
第7図は版表面を表面粗さ0.08S以下の平滑さに研摩
する方法の1例を示す概略斜視図である。15は研摩され
るべき版であり,上記した微小溝を形成した後のもので
あっても,形成前のものであってもよい。版15はその両
端を回転軸(図示せず)で保持され,矢印Aで示す方向
に高速回転(例えば,400rpm)している。この版15に,
フィルム等の基材表面に研摩用の砥粒を付着させてなる
研摩材25をゴムロール26で押付け,研摩材25を少しずつ
矢印B方向に送る。同時に全体を矢印Cで示すように揺
動させながら,少しずつ矢印Dで示すように版15の軸方
向に移動させる。これにより,研摩材25に付着させた砥
粒によって版表面全体を研摩することができる。ここ
で,この研摩材25に取付ける砥粒として,少なくとも最
終段の研摩工程では#3000〜#5000の砥粒を使用するこ
とにより,表面粗さが0.08S以下の平滑さを得ることが
できる。
第8図は版表面を表面粗さ0.08S以下の平滑さに研摩
する方法の他の例を示す概略斜視図,第9図はその概略
断面図,第10図はその概略側面図である。第8図〜第10
図において,15は研摩させるべき版であり,その両端を
回転軸(図示せず)で保持され,矢印Aで示す方向に回
転している。この版15に,フィルム等の基材表面に研摩
用の砥粒を付着させてなる研摩材28を,少しずつ矢印B
方向に送りながらゴムロール29で押付け版表面を研摩
し,同時にその研摩位置の手前に腐食液供給ノズル30よ
り,希塩酸,希硫酸等の腐食液を供給する。これによ
り,版表面が砥粒によって機械的に研摩され,版表面の
不働態酸化被膜が砥粒により除去されると共に腐食液に
よって腐食され,敏速に研摩される。この際,版表面の
微細凹凸の凸部が優先的に腐食液によって溶け出すた
め,凸部先端が平滑化された滑らかな研摩面が得られ
る。研摩材28,ゴムロール29,腐食液供給ノズル30等は,
研摩の進行につれて矢印Cで示すように版15に沿って移
動し,これにより版15全面の研摩が行われる。同時に,
洗浄液供給ノズル31が研摩材28及び腐食液供給ノズル30
に対して一定の間隔を保ちながら移動し,研摩材28及び
腐食液によって研摩された面に洗浄液例えば水或いは中
和剤を供給し,版面に残留している腐食液を洗い流すか
或いは中和する。これにより,それ以後の腐食の進行が
阻止され,版表面は平滑に保たれる。以上の方法によ
り,版表面を表面粗さが0.08S以下の平滑さに研摩でき
る。この方法は第7図で説明した機械的研摩方法よりも
敏速に研摩を行うことができる利点を有している。
第11図は版表面を表面粗さ0.08S以下の平滑さに研摩
する方法の更に他の例を示す概略斜視図,第12図はその
概略側面図である。第11図,第12図において,15は研摩
させるべき版であり,その両端を回転軸(図示せず)で
保持され,矢印Aで示す方向に回転するようになってい
る。33は版15とほぼ等しい長さを有する電極であり,一
端を回転自在に保持されたアーム34に取付けられ,エア
シリンダ35で版15に押付けられるようになっている。そ
の電極33にはウレタン等の多孔質で軟らかい弾性材料36
が取付けられている。37は砥粒を含んだ電解液38を供給
する吐出ノズル,39は版15と電極33とに接続された直流
電源である。
版15に電極33が弾性材料36を介して押付けられた状態
で,版15が矢印A方向に回転し,同時に砥粒を含んだ電
解液38が吐出ノズル37から版15と弾性材料36との間に供
給される。この状態で直流電源39により版15と電極33と
の間に電流が流される。これにより,版表面が砥粒によ
って機械的に研摩され,版表面の不働態酸化被膜が砥粒
により除去されると共に版表面の金属が電解液中に溶出
し,敏速な研摩が行われる。電解研摩では,版表面の微
小凹凸の凸部が優先的に電解液中に溶け出すため,凸部
先端が平滑化された滑らかな研摩面が得られる。なお,
この方法では砥粒を電解液中に混入させる代わりに,弾
性材料の表面に取付ておいてもよい。以上の方法によ
り,版表面を表面粗さが0.08S以下の平滑さに研摩でき
る。この方法も第7図で説明した機械的研摩方法よりも
敏速に研摩を行うことができる利点を有している。
以下,更に具体的な実施例を説明する。
実施例1 クロムメッキ層を形成した版15(長さ700mm,直径200m
m,表面粗さ約0.1S)を用意し,この版15に,第5図に示
す方法で微小溝18を形成した。この時の版15の回転速度
は10rpm,研摩材20の幅は50mm,研摩材20のB方向の往復
ストロークは5mm,往復速度は1500回/分であった。これ
により,版15全面に微小溝18を形成できた。
次にこの版15を用いて印刷テスト(油性インキ,水性
インキ使用)を行ったところ,線状のかぶりの発生は無
かった。なお,薄い面状のかぶりはわずかに発生する場
合があった。
実施例2 クロムメッキ層を形成した版15(長さ700mm,直径200m
m,表面粗さ約1.0S)を用意し,この版15を,第7図に示
す方法で研摩した。その際,まず,研摩材25として#20
00の砥粒を取付けた幅50mmのものを用い,版15の回転速
度を400rpm,研摩材25の矢印D方向の移動速度を450mm/
分で10回往復させ,その後,#3000の砥粒を取付けた同
じ幅の研摩材25を用い,前記と同様な条件で10回往復さ
せ,版面を研摩した。
次にこのようにして得た版15に実施例1と同様にして
微小溝18を形成した。
その後,再度第7図に示す方法で且つ#3000の砥粒を
取付けた研摩材25を前記と同様な条件で1回往復させ,
版面を再度研摩した。
以上により,版面を平滑に研摩し且つ全面に微小溝を
形成した版を得た。この時の版表面の微小溝以外の部分
の表面粗さは0.07Sであった。この版を用いて印刷テス
ト(油性インキ,水性インキ使用)を行い,かぶりの発
生状況を調査したところ,油性インキ,水性インキをい
ずれにおいても,線状,面状のかぶりともほとんど見ら
れなかった。
実施例3 実施例1と同様の操作によって,版面に微小溝18を形
成した。
次に,その版に第8図に示す方法で化学機械研摩を施
した。その時の研摩条件としては,版15の回転速度が10
0rpm,研摩材28の幅が50mm,研摩材28に取付けた砥粒が#
4000,研摩材28と洗浄液供給ノズル31との間隔が50mm,研
摩材28及び腐食液供給ノズル30の矢印C方向の送り速度
が100mm/分,腐食液が5重量%の希硫酸,供給量が約15
cc/分,洗浄液が水,供給量が約150cc/分であった。以
上により,版面を平滑に研摩し且つ全面に微小溝を形成
した版を得た。この時の版表面の微小溝以外の部分の表
面粗さは0.05Sであった。この版を用いて印刷テスト
(油性インキ,水性インキ使用)を行い,かぶりの発生
状況を調査したところ,油性インキ,水性インキをいず
れにおいても,線状,面状のかぶりとも生じなかった。
実施例4 実施例1と同様の操作によって,版面に微小溝18を形
成した。
次に,その版に第11図に示す方法で電解砥粒研摩を行
った。その時の研摩条件としては,版15の回転速度が10
0rpm,版15と電極33との間の電流密度が0.1A/cm2,電解液
がNaNO3の水溶液,混入砥粒サイズが#4000,研摩時間が
3分であった。以上により,版面を平滑に研摩し且つ全
面に微小溝を形成した版を得た。この時の版表面の微小
溝以外の部分の表面粗さは0.05Sであった。この版を用
いて印刷テスト(油性インキ,水性インキ使用)を行
い,かぶりの発生状況を調査したところ,油性インキ,
水性インキをいずれにおいても,線状,面状のかぶりと
も生じなかった。
〔発明の効果〕
以上のように,本発明によれば,版表面の非画線部に
円周方向と交差する方向の微小溝を形成しているので,
印刷時において版とドクターとの間に硬い異物が引っ掛
かっていた場合でもその異物が版表面に形成している微
小溝に引っ掛ってドクターとの間から外れ,これによ
り,ドクターによるインキかき落とし不良が防止され,
線状のかぶりの発生を防止できるという効果が得られ
る。
また,上記の微小溝を設けることに加えて,版表面を
極めて平滑に,表面粗さで0.08S以下に研摩することに
より,ドクターによるインキかき落としが確実となり,
面状のかぶりの発生も防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いる版の1例の概略斜視図,第2図
(a),(b)は,版表面に形成した微小溝による異物
除去作用を説明する要部拡大断面図,第3図は版を研摩
した後の表面状態を誇張して示す概略断面図,第4図は
従来の版の表面状態を誇張して示す概略断面図,第5図
は版に微小溝を形成する工程を示す概略斜視図,第6A
図,第6B図はその微小溝の形成工程の変形例を示す概略
側面図及び断面図,第7図は版表面を機械的研摩により
研摩する工程を示す概略斜視図,第8図は版表面を化学
機械研摩により研摩する工程を示す概略斜視図,第9図
はその概略断面図,第10図はその概略側面図,第11図
は,版表面を電解砥粒研摩により研摩する工程を示す概
略斜視図,第12図はその概略側面図,第13図は一般的な
版の製造工程を説明する概略側面図,第14図はグラビア
印刷方式を概略的に示す側面図,第15図は版表面のイン
キかき取り不良の状態を説明する要部拡大断面図であ
る。 1……鉄芯,2,2′……銅メッキ層,3……セル,4……クロ
ムメッキ層,5……版,6……インキパン,7……インキ,8…
…ドクター,9……圧胴,10……被印刷材,11……異物,12
……空間,13,14……凸部,15……版,16……絵柄部,17…
…非画線部,18……微小溝,20……研摩材,21……ゴムロ
ール,25……研摩材,26……ゴムロール,28……研摩材,29
……ゴムロール,30……腐食液供給ノズル,31……洗浄液
供給ノズル,33……電極,34……アーム,36……弾性材料,
37……吐出ノズル,38……電解液,39……直流電源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三島 秀明 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−169897(JP,A) 特開 昭62−184854(JP,A) 特開 昭54−121805(JP,A) 特公 昭26−1536(JP,B1) 特表 昭63−502096(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非
    画線部に,円周方向と交差する方向に延びる深さ0.3μ
    m以下の微小溝を形成したことを特徴とするグラビア印
    刷の印刷不良防止方法。
  2. 【請求項2】グラビア印刷版表面の非画線部を前記微小
    溝の部分を除いて,0.08S以下の表面粗さに研摩したこと
    を特徴とする請求項1記載のグラビア印刷の印刷不良防
    止方法。
  3. 【請求項3】版表面の有効印刷領域内の非画線部に,円
    周方向と交差する方向に延びる深さ0.3μm以下の微小
    溝を有し,その微小溝を除いた非画線部の表面粗さが0.
    08S以下であることを特徴とするグラビア印刷版。
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