JP6612636B2 - 湿式現像装置 - Google Patents
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Description
この湿式現像装置は、感光体ドラム表面に接触した現像ローラと、現像ローラ表面に接触し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラ(凹凸ローラ)を備えている。そして、現像ローラとアニロックスローラを回転駆動することで、液体トナーをアニロックスローラにより現像ローラ表面に供給し、現像ローラは供給された液体トナーにて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する。
アニロックスローラは、ローラ表面に形成されたセル(凹部)を有し、そのセルに液体トナーを充填して回転させることで液体トナーを搬送し、その充填された液体トナーを現像ローラ表面へと受け渡す。この時、アニロックスローラ表面にはセルから溢れた余分な液体トナーが存在するため、規制ブレードをアニロックスローラ表面に当接させることで余分な液体トナーを掻き落とし、アニロックスローラ表面の液体トナー層の厚さを均一化して現像ローラ表面への液体トナー供給量、つまりアニロックスローラ表面と現像ローラ表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制している。
アニロックスローラの表面の余分な液体トナーを掻き落とすための規制ブレードは、アニロックスローラの表面に当接する薄い金属刃となっている。
このため、規制ブレードは早期に摩耗する。規制ブレードが摩耗するとアニロックスローラ表面には、摩耗した規制ブレードによってスジ状の傷が発生することがある。そのスジ状の傷により現像ローラ表面に供給する液体トナーにむらが生じ、感光体ドラム表面の静電潜像を正しく現像できなくなるので、摩耗した規制ブレードは交換している。つまり、規制ブレードは消耗品である。
現像ローラ表面には、アニロックスローラにより供給された液体トナーで均一な層厚の液体トナー層が形成される。この液体トナー層の液体トナーは感光体ドラム表面の静電潜像に転写され、静電潜像を現像する。
この時、感光体ドラム表面の静電潜像に転写されなかった液体トナーは残留液体トナーとして現像ローラ表面に残る。これにより現像ローラ表面に静電潜像の履歴が残る。つまり、現像ローラ表面に液体トナーがある部分とない部分が生じる。この静電潜像の履歴は次に現像ローラ表面に現像前の均一化された厚みの液体トナー層を形成するための障害となる。
そのため、液体トナーを現像ローラから感光体ドラムへと転写させた後に、現像ローラ表面にクリーニングブレードを当接して残留液体トナーを掻き落とすことで、静電潜像の履歴を消去している。
しかし、クリーニングブレードがウレタンで作成されたものであってもクリーニングブレード自体の摩耗等により、現像ローラ表面に傷がつくことがある。現像ローラ表面に傷がつくと感光体ドラム表面の静電潜像を正しく現像できないので、摩耗したクリーニングブレードは交換している。つまり、クリーニングブレードは消耗品である。
また、現像ローラ表面の残留液体トナーを確実に掻き落とすために、クリーニングブレードは現像ローラ表面に均一に当接するように調整している。例えば、クリーニングブレードの先端の縁を現像ローラ表面の既定の位置に正確に当接するように調整している。
この規制ブレードとクリーニングブレードは早期に摩耗し、摩耗することでアニロックスローラ表面と現像ローラ表面にそれぞれ傷をつけるので、頻繁に交換する必要がある。
このため、用途、材質、及び形状が異なる2種類のブレードを多数製作し、保管しなければならないから、ブレードの製作コストが高く、ブレードの保管が面倒である。
また、規制ブレードはアニロックスローラ表面に均一に当接するよう調整し、クリーニングブレードは現像ローラ表面に均一に当接するように調整している。
このため、2つのブレードを、それぞれ別々に調整しなければならず、しかもこれらの調整作業は困難であるから、ブレードの調整作業が面倒である。
また、クリーニングブレードは、クリーニングブレード自体の摩耗等とは別に、高濃度の液体トナーがクリーニングブレード上で凝固してしまうケーキングと呼ばれる現象が原因で、現像ローラ表面の静電潜像の履歴を確実に消去できないことがある。
また、現像ローラとクリーニングブレードは、現像ローラ表面の静電潜像の履歴を確実に消去するため、現像ローラ表面の平滑性やクリーニングブレードの縁の直線度が厳しくもとめられる。
また、規制ブレードとクリーニングブレードを前述のように正確に調整しても、アニロックスローラ上であって、アニロックスローラの表面と現像ローラの表面とが接触している部分の上流側に、液体トナーのニップ溜まり(液体トナーが溜まった状態)ができることがある。こうした場合は、最終的な現像前の現像ローラ表面の液体トナー量は、アニロックスローラの表面と現像ローラの表面とが接触した後にきまることになるが、アニロックスローラのセル内に液体トナーが固着し堆積すると、現像ローラ表面への液体トナーの適量で、且つ均一な供給精度が除々に低下してしまうことがある。
第1の湿式現像装置は、感光体ドラム表面に接触し且つ所定の方向に回転する現像ローラと、前記現像ローラ表面に接触し且つ前記所定の方向と反対方向に回転し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラを備え、前記アニロックスローラから現像ローラ表面に供給された液体トナーにて前記感光体ドラム表面の静電潜像を現像するようにした湿式現像装置において、
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と隙間を置いて対向し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、前記所定の方向と同方向に回転駆動される兼用ローラと、前記アニロックスローラ表面における前記兼用ローラ対向部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量を粗調整する液体トナー供給制御部材と、を有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行い、前記液体トナー供給制御部材は、前記アニロックスローラの表面の液体トナー層の厚さを前記隙間より大きくすることを特徴とする湿式現像装置である。
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と接触し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、前記所定の方向と同方向に回転駆動される兼用ローラを有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行うことを特徴とする湿式現像装置である。
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と隙間を置いて対向し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、静止している兼用ローラと、前記アニロックスローラ表面における前記兼用ローラ対向部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量を粗調整する液体トナー供給制御部材と、を有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行い、前記液体トナー供給制御部材は、前記アニロックスローラの表面の液体トナー層の厚さを前記隙間より大きくすることを特徴とする湿式現像装置である。
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と接触し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、静止している兼用ローラを有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行うことを特徴とする湿式現像装置である。
また、前記第2の湿式現像装置において、前記兼用ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の兼用ローラ回転方向上流側と前記現像ローラ表面との前記接触部の兼用ローラ回転方向下流側との間に押し付けられた、液体トナー回収部材を設けた構成とする。
従って、1種類のローラを製作すればよく、ローラの製作コストが安く、保管が容易である。
また、兼用ローラの表面部分は、柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成るから、兼用ローラが摩耗してもアニロックスローラ表面、現像ローラ表面を傷つけることがない。
しかも、兼用ローラをアニロックスローラ表面、現像ローラ表面の既定の位置に正確に当てる必要がなく、兼用ローラの調整作業が容易である。
さらに、現像ローラ表面に兼用ローラが接触することで、現像ローラ表面の静電潜像の履歴を消去するので、現像ローラ表面の平滑性が厳しく要求されることがなく、現像ローラの製造が容易でコストダウンに繋がる。
本発明の第1、第3の湿式現像装置によれば、兼用ローラによるアニロックスローラ表面の液体トナーの規制を効率よく行うことができる。
本発明の第2の湿式現像装置によれば、液体トナーがアニロックスローラ表面のセル内に固着して堆積することがないので、現像ローラ表面への液体トナーの適量で、且つ均一な供給精度が低下することがない。
電子写真印刷機1は、感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置3と、感光体ドラム2の表面の静電潜像を液体トナーで現像する本発明の湿式現像装置4と、感光体ドラム2の表面に現像した液体トナー像を転写紙5に転写する転写装置6等を備えている。
転写装置6は、感光体ドラム2の表面に接触して回転駆動される転写ローラ6aと、転写ローラ6aの表面に転写紙5を介して接触し、回転駆動される圧胴6bを有している。
そして、感光体ドラム2の表面に現像された液体トナー像は転写ロ−ラ6aの表面に転写される。転写ローラ6aに転写された液体トナー像は転写ローラ6aと圧胴6bの接触部において転写紙5に転写される。転写装置6の構成はこれに限ることはなく従来から知られている他の構成のものとすることができる。
湿式現像装置4は、現像ローラ10と、現像ローラ10の表面に接触したアニロックスローラ20と、兼用ローラ30と、液体トナー槽(液舟)40と、液体トナー供給制御部材(粗調整部材)50と、液体トナー排出部材60と、液体トナー回収部材70等を備えている。
アニロックスローラ20は、従来の湿式現像装置のアニロックスローラと同様に、現像ローラ10の表面に接触し且つ表面の一部が液体トナー槽40内の液体トナーに浸漬されており、現像動作時に現像ローラ10の回転方向と反対方向、例えば時計方向に回転駆動される。これによりアニロックスローラ20の表面は、現像ローラ10の表面との接触部において現像ローラ10の表面と同一方向に移動し、アニロックスローラ20がそのセルに充填された液体トナーを搬送し、現像ローラ10の表面に供給することで、現像ローラ10の表面に液体トナー層を形成する。つまり、アニロックスローラ20は現像動作時に現像ローラ10の表面に転接する。
アニロックスローラ20の周速と現像ローラ10の周速に差を付け、アニロックスローラ20の表面から現像ローラ10の表面に移動する液体トナー量を増減できるようにしている。つまり現像ローラ10の周速に対してアニロックスローラ20の周速を速くすることで移動する液体トナーの量が多くなり、現像ローラ10の周速に対してアニロックスローラ20の周速を遅くすることで移動する液体トナー量が少なくなる。
兼用ローラ30は、現像動作時にアニロックスローラ20の回転方向と反対方向、例えば反時計方向に回転駆動される。
これにより兼用ローラ30の表面はアニロックスローラ20との対向部においてアニロックスローラ20の表面と隙間を置いて同一方向に移動し、兼用ローラ30は、アニロックスローラ20が、アニロックスローラ20の表面と現像ローラ10の表面との接触部上流側へ供給する液体トナーの量、つまり現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制して、アニロックスローラ20に接触後の現像前の現像ローラ10の表面の液体トナー量を規制することができる。
これにより兼用ローラ30の表面は、現像ローラ10の表面との接触部において現像ローラ10の表面の移動方向と反対の方向に摺擦移動し、現像後に現像ローラ10の表面に残留した残留液体トナーを現像ローラ10の表面に均一に分散させ且つ払い落とし、現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴を消去する。
現像ローラ10、アニロックスローラ20、兼用ローラ30の周速は、現像ローラ10のそれを100%としたときアニロックスローラ20のそれは10%〜200%、兼用ローラ30のそれは0%〜100%の範囲とする。周速は主に液体トナーの種類に応じて変更される。
兼用ロ−ラ30の周速は、アニロックスローラ20の周速よりも遅く設定する。
液体トナー供給制御部材50は、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量を粗調整し、兼用ローラ対向部への液体トナー供給量を粗調整する。
図2に示す液体トナー供給制御部材50は、アニロックスローラ20の表面と隙間を置いて対向したプレートである。これに限ることはなく、液体トナー供給制御部材50をローラとし、そのローラをアニロックスローラ20の表面に接触させて設けてもよい。
図2に示す液体トナー排出部材60は、現像ローラ10の軸方向両端面とアニロックスローラ20の軸方向両端面と対向して設けたサイドドクターブレードである。これに限ることはなく、液体トナー排出部材60は現像ローラ10の表面の軸方向両端とアニロックスローラ20の表面の軸方向両端とに跨って接したプレートとしてもよい。なお、液体トナー排出部材60により排出された液体トナーは液体トナー槽40に流れ落ちる。
液体トナー回収部材70は、兼用ローラ30の表面部分に吸収された液体トナーを吐き出させることで、兼用ローラ30から液体トナーを回収する。
図2に示す液体トナー回収部材70は回転自在の断面円形の長尺な棒状体(丸いシャフト)で、兼用ローラ30の表面に押し付けて設けてある。このシャフトは兼用ローラ30と同一方向に回転させてもよいし、反対方向に回転させてもよい。またシャフトは回転させずに停止した状態で兼用ローラ30の表面に押し付けて設けてもよい。
液体トナー回収部材70はブレードとし、そのブレードを兼用ローラ30の表面に押し付けて設けてもよい。
従って、ローラの製作コストが安く、保管が容易である。
また、兼用ローラ30の表面部分は、柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成っているから、兼用ローラ30自体の少量の摩耗や細かい傷が原因で、現像ローラ10の表面の残留液体トナーを十分に分散させ且つ払い落すことができないことや、現像ローラ10の表面にスジ状の傷が発生することがない。
また、兼用ローラ30の表面部分は、柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成っているから、従来のウレタン板からなるクリーニングブレードと比較して、兼用ローラ30を現像ローラ10の表面の既定の位置に正確に当てる必要がなく、兼用ローラ30の調整作業が容易である。
また、現像ローラ10表面の静電潜像の履歴の消去は、兼用ローラ30を現像ローラ10の表面に接触させて行うので、現像ローラ10の表面の平滑性は従来のクリーニングブレードを用いた場合と比較して厳しく要求されることがなく、現像ローラ10の製造が容易でコストダウンに繋がる。
兼用ローラ30は、金属芯の外周面を柔軟性及び弾力性が有る多孔性部材で被覆したものである。これにより兼用ローラ30の表面部分は、柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成る。
多孔性部材とは、気孔を内部に含む部材であって、気孔が連続した連泡体と、気孔が独立した単泡体の2種類がある。
柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材としては、連泡体のスポンジと単泡体のスポンジが存在する。
連泡体のスポンジは、内部の気孔が連続しているため液体や気体が内部の気孔に浸透し吸水性や通気性に優れていて反発弾性が小さい。
単泡体のスポンジは、内部の気孔が独立しているため液体や気体が内部の気孔に浸透しないが表面の気孔による液体や気体の吸水性や通気性があり反発弾性に優れている。
現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴を消去するために、連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジを使用することができる。
しかしながら、同等の使用条件においては連泡体のスポンジは単泡体のスポンジより多く残留液体トナーを取り込み吐き出すため、連泡体のスポンジは単泡体のスポンジよりも残留液体トナーによる静電潜像の履歴を消去する性能に優れている。好適には気孔率75〜90%の連泡体のスポンジがよい。
但し、連泡体のスポンジは、液体トナーを内部の気孔が吸収し飽和することで安定するので、安定するまでの時間が長い。単泡体のスポンジは、表面の気孔が液体トナーを吸収することで安定するので、安定するまでの時間が短い。このために単泡体のスポンジの方が短時間で現像動作を開始でき、湿式現像装置の立ち上がり性能に優れている。
現像ローラ10に印加するバイアス電圧は、+200〜+1000Vである。
アニロックスローラ20に印加するバイアス電圧は、+200〜+1000Vである。
これらの効果によって、液体トナー粒子が現像ローラ10の表面に凝集し、その結果感光体ドラム2の表面の静電潜像の現像が良好に行える。
現像チャージャの印加電流は、+600〜+3600μAである。
従って、現像ローラ10の表面における現像後の部分に現像マイナスチャージャによりマイナスの電荷を付加することによって、現像ローラ10の表面の残留液体トナーが現像ローラ10の表面から遊離し、兼用ローラ30により現像ローラ10の表面の残留液体トナーが除去されやすくなる。
現像マイナスチャージャの印加電流は、−300〜−1800μAである。
アニロックスローラ20が回転することで、そのアニロックスローラ20の表面における液体トナー槽40の液体トナーから上に出た部分に液体トナーが層状に付着し、液体トナー供給制御部材50に向けて移動する。そして、アニロックスローラ20の表面に層状に付着した液体トナーが、液体トナー供給制御部材50により所定の厚さの液体トナー層に粗調整される。この粗調整された液体トナー層の厚さは、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との隙間よりも大きい。
アニロックスローラ20が更に回転することで、粗調整された液体トナー層が兼用ローラ30に触れ、兼用ローラ30によりアニロックスローラ20の表面の液体トナー層の厚さが規制され、アニロックスローラ20の表面にセルから溢れた液体トナーで薄いトナー層が形成されることでアニロックスローラ20の表面の液体トナー量が規制される。そして、アニロックスローラ20の表面の薄いトナー層が現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部へと移動する。
これにより、アニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制することができる。
つまり、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との隙間は、規制する液体トナー層の厚さとほぼ同一である。
兼用ローラ30が連泡体のスポンジで被覆されていれば、スポンジ内部の気孔が液体トナーで飽和するまで内部の気孔に液体トナーが吸収され、内部の気孔が液体トナーで飽和すればそれ以上は液体トナーが吸収されることがない。
図2に示す湿式現像装置4では、液体トナー回収部材70があるので単泡体のスポンジでも連泡体のスポンジでも気孔内に溜まった液体トナーが吐き出され、この後液体トナーを吐き出した気孔がアニロックスローラ20の表面の液体トナーに接触し、その部分の気孔は飽和するまで液体トナーを吸収する。なお、液体トナー回収部材70がない湿式現像装置の場合は、単泡体のスポンジでも連泡体のスポンジでも気孔が液体トナーで飽和しているので、アニロックスローラ20の表面と対向した部分のスポンジの気孔は液体トナーを吸収することがない。
つまり、アニロックスローラ20の表面の液体トナー層の表面寄り部分が兼用ローラ30の表面に触れることにより液体トナー層の厚さが薄くなることで、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量が規制される。
従って、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との隙間の大きさを調整することで、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量を増減させることができる。
この結果、現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部(接触開始部)に、液体トナーのニップ溜まり(液体トナーが現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側に溜まった状態)が発生する。
また、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量が所定以上に増加した場合にも、現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部(接触開始部)に、液体トナーのニップ溜まりが発生する。
つまり、現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面とのニップ幅(接触幅)を変化させずに一定であれば、兼用ローラ30から現像ローラ10の表面に吐き出された液体トナーとアニロックスローラ20の表面の増加した液体トナーは、余剰液体トナーとして現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部に溜まり、液体トナーのニップ溜まりが発生するだけで、現像ローラ10の表面に供給される液体トナーの量は増加しない。ニップ幅については後で説明する。
従って、液体トナーのニップ溜まりの液体トナーが湿式現像装置4の周囲に流れ落ちて、付着し、電子写真印刷に悪影響を及ぼすことがない。
兼用ローラ30は現像ローラ10と同一方向に回転し、兼用ローラ30の表面と現像ローラ10の表面は、その兼用ローラ30の表面と現像ローラ10の表面との接触部において反対方向に移動するので、兼用ローラ30は、現像ローラ10の表面の残留液体トナーを現像ローラ10の表面に効率よく均一に分散させ且つ払い落し、その払い落された残留液体トナーは兼用ローラ30の表面に保持され、現像ローラ10の表面から除去される。
従って、兼用ローラ30による現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴を消去する性能が向上する。
従って、これによっても兼用ローラ30の現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴を消去する性能が向上する。
そして、ニップ幅を調整することで液体トナーの吸い込み量を調整することができる。
ニップ幅を広く(大きく)すると液体トナーの吸い込み量が多くなる。
ニップ幅を狭く(小さく)すると液体トナーの吸い込み量が少なくなる。
液体トナーの吸い込み量が多いと接触部下流側のニップ離れ部の液体トナーの吸い込み量が多くなるため、兼用ローラ30の現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴を消去する性能が向上する。
また、単泡体のスポンジは、液体トナーを吸収して安定するまでの時間が連泡体のスポンジよりも短いので、単泡体のスポンジの方が時間をかけずに現像動作を開始でき、従って湿式現像装置の立ち上がり性能に優れている。
兼用ローラ30は液体トナー回収部材70に押し付けられながら回転し、その兼用ローラ30の連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジの気孔内に溜まった液体トナーが吐き出されるから、液体トナー回収部材70は兼用ローラ30から液体トナーを回収することができる。
この後液体トナーを吐き出した兼用ローラ30の気孔がアニロックスローラ20の表面の液体トナーに接触し、その気孔内に液体トナーが吸い込まれる。
このように、兼用ローラ30の連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジの気孔内に液体トナーが繰り返し吸い込まれ、吐き出されるので、その気孔内に液体トナーが固着することが防止されて、連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジの残留液体トナーの吸着力を長期間に渡って維持することができる。
湿式現像装置4の現像ローラ10、アニロックスローラ20、兼用ローラ30等は装置本体4aに取り付けてある。装置本体4aは、各ローラの軸方向に離隔した二つの縦板状のフレーム41、41を有する。
現像ローラ10とアニロックスローラ20は、二つのフレーム41、41間に跨って回転可能に取り付けている。なお、現像ローラ10とアニロックスローラ20の取り付け構造は従来と同様であるので、取り付け構造の説明及び図示は省略し、現像ローラ10、アニロックスローラ20を二点鎖線で図示してある。
回動フレーム42は、上下方向に向かう縦向き部42aと、縦向き部42aの上端部と連続し且つ水平方向に向かう横向き部42bとで、鉤型形状を呈している。縦向き部42aが、軸42cでフレーム41に回動可能に取り付けられている。軸42cは、ローラの軸方向と平行である。なお、フレーム41の内側面にはプレート41aが設けてあり、プレート41aとフレーム41とに渡って軸42cが貫通するようにして設けられている。
回動フレーム42に、ローラ取付フレーム43が取り付けられている。
ローラ取付フレーム43に、兼用ローラ30が取り付けられている。
また、回動フレーム42が軸42cを支点として現像ローラ10と離れる方向に回動すると、回動フレーム42とともにローラ取付フレーム43が同じ方向に回動する。そして、回動フレーム42が退避位置まで回動すると、兼用ローラ30の表面は現像ローラ10の表面と離れる。図3では兼用ローラ30は二点鎖線で示すように一対のフレーム41の外側まで移動する。
従って、回動フレーム42を退避位置に回動することで、兼用ローラ30の点検、保守(メンテナンス)を容易に行うことができる。
ロック機構80は、回動フレーム42の縦向き部42aに設けたロックボルト81を有している。そのロックボルト81をプレート41aの螺子孔82に螺合して締め付けることで、回動フレーム42を現像動作位置でロックする。ロックボルト81を緩めて螺子孔82から抜き出すことで、回動フレーム42のロックを解除する。
ローラ取付フレーム43は、上下方向に向かう縦向き部43aと、縦向き部43aの下端部と連続し水平方向に向かう横向き部43bとで、鉤型形状を呈している。横向き部43bは、回動フレーム42の横向き部42bに、ガイド42dに沿って現像ローラ10に向かう方向に移動可能に取り付けられている。
ローラ取付フレーム43の横向き部43bには、上下面に貫通した長孔43cが形成されている。長孔43cは現像ローラ10に向かう方向に長い。
固定ボルト43dは、長孔43cを貫通して回動フレーム42の横向き部42bに螺合され、ローラ取付フレーム43の横向き部43bを回動フレーム42の横向き部42bに固定されている。
ブロック44が回動フレーム42の上部に固定されている。ブロック44に、現像ローラ10に向かう調整ボルト44aが螺合している。調整ボルト44aの先端部は、ローラ取付フレーム43の横向き部43bに当接している。
湿式現像装置4は、このように兼用ローラ30の表面と現像ローラ10の表面とのニップ幅を調整する直線移動機構を利用した構成のニップ幅調整機構を有している。このニップ幅調整機構は、前述のものに限ることはなく、回動するレバーを有したレバー機構を利用した構成等、他の構成のものとすることができる。
図4に示すように、兼用ローラ30は、円筒形の金属芯31と、その外周面を被覆している円筒状の被覆部材32と、金属芯31の軸方向両端部に挿入して取り付けた支軸33を備えている。
ローラ取付フレーム43の縦向き部43aに回転体45が回転可能に取り付けられている。回転体45は軸支承孔46を有している。その軸支承孔46に兼用ローラ30の支軸33が挿入され、兼用ローラ30は回転体45で回転可能に支持されている。
回転体45の外周面45aの中心45a−1と軸支承孔46の中心46−1は径方向に位置がずれている。つまり、外周面45aと軸支承孔46は偏心している。
これにより、回転体45が回転すると、兼用ローラ30は、その軸方向と直角な方向に平行移動し、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との間の隙間が変化する。
回転機構90は、回転体45に取り付けたアーム91と、アーム91とローラ取付フレーム43とに渡って取り付けたシリンダ92を有している。
ローラ取付フレーム43の縦向き部43aに、ブラケット93が取り付けられている。
アーム91は、一側アーム部91aと他側アーム部91bとでL字形状を呈している。一側アーム部91aとブラケット93とに渡ってシリンダ92が取り付けられている。
従って、シリンダ92を伸び作動させると、アーム91を介して回転体45が一方向に回転させられ、兼用ローラ30は、その軸方向と直角な方向に平行移動してアニロックスローラ20から離れ、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との間の隙間が大きくなる。
また、シリンダ92を縮み作動させると、アーム91を介して回転体45が他方向に回転させられ、兼用ローラ30は、その軸方向と直角な方向に平行移動してアニロックスローラ20に近づき、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との間の隙間が小さくなる。
つまり、湿式現像装置4は、アニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との間の隙間の大きさを調整する偏心機構を利用した構成の隙間調整機構を有している。この隙間調整機構はこの構成に限ることはなく、先に述べた直線移動機構を利用した構成等、他の構成のものとすることができる。
動力伝達機構100は、兼用ローラ30の一方の支軸33に固着した第1歯車101と、一方のフレーム41を貫通してフレーム41の外側に突出した回転可能な伝達軸102と、伝達軸102の軸方向一端に固着した第2歯車103と、伝達軸102の軸方向他端に固着した第3歯車104とを備えている。第1歯車101は第2歯車103に離脱可能に噛合し、第3歯車104は図示されていない駆動歯車と噛合している。
従って、回動フレーム42が現像動作位置にある時に第1歯車101が第2歯車103に噛合し、図示されていない駆動源により第3歯車104を回転駆動することで兼用ローラ30は回転駆動される。
回動フレーム42を退避位置に回動させた時には、第1歯車101が第2歯車103から離れるため、兼用ローラ30を退避位置に移動する際に駆動源は移動しないので、兼用ローラ30を移動する力は小さくてよいし、駆動源への配線などが容易である。
液体トナー供給制御部材50は、液体トナー槽40の上方に位置し、一対のフレーム41の内側面に跨って取り付けられている。
図5に示すように、液体トナー排出部材60は、一対のフレーム41の内側面にローラ軸方向に、つまり現像ローラ10、アニロックスローラ20の軸方向両端面10a、20aに対し近づき離れる方向に、移動自在に取り付けられている。
図5においては、一対のフレーム41に取付部材61がそれぞれ取り付けられている。液体トナー排出部材60はロッド62を有し、ロッド62は取付部材61にローラ軸方向に移動自在に挿入されている。ロッド62にはピン63が、ロッド62の外周面から外方に突出するようにして取り付けられている。このピン63は、取付部材61のスリット状溝64に挿入されて、ロッド62が回転しないようにしている。取付部材61には固定用ネジ65が螺合してある。この固定用ネジ65を締め付けてロッド62に押し付けることで、ロッド62がローラ軸方向に移動しないようにしている。
従って、固定用ネジ65を緩めてロッド62をローラ軸方向に移動可能とすることで、液体トナー排出部材60をローラ軸方向に移動させることができる。
また、固定用ネジ65を締め付けてロッド62をローラ軸方向に移動できないようにすることで、液体トナー排出部材60をローラ軸方向に移動しないように固定することができる。
つまり、液体トナー排出部材60をローラ軸方向に移動させて、現像ローラ10、アニロックスローラ20の軸方向両端面10a、20aと液体トナー排出部材60との隙間を調整することができる。
液体トナー回収部材70は、回転機構90の一対のアーム91の他側アーム部91b間に渡って回転可能に取り付けられている。
これにより、液体トナー回収部材70は兼用ローラ30と共に退避位置に移動するので、液体トナー回収部材70の点検、保守が容易である。
図6に示すように、第2の実施の形態の湿式現像装置4は、兼用ローラ30の表面がアニロックスローラ20の表面に接触している点で図2に示す第1の実施の形態の湿式現像装置と異なり、他の構成は同一である。
つまり、第2の実施の形態の湿式現像装置も、兼用ローラ30の表面部分が、柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成っているから、兼用ローラ30の表面がアニロックスローラ20の表面に接触していても、兼用ローラ30が摩耗することでアニロックスローラ20の表面にスジ状の傷が発生することがない。
兼用ローラ30のアニロックスローラ20の表面の液体トナー量を規制する作用について説明する。
兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面が接触し、兼用ローラ30とアニロックスローラ20は反対方向に回転するので、その接触部において兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面は同一方向に移動する。
アニロックスローラ20の回転により、その表面の粗調整された液体トナーは兼用ローラ30の表面との接触部(兼用ローラ接触部)で堰き止められ、その粗調整された液体トナーの一部が兼用ローラ30の表面部分である連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジの気孔内に吸い込まれる。その液体トナーを吸い込んだスポンジ部分は、兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部(アニロックスローラ接触部)上流側のニップ始め部(接触開始部)で圧縮され、そのスポンジ部分の気孔内の液体トナーは吐き出される。この液体トナーを吐き出したスポンジ部分はアニロックスローラ20の表面との接触部下流側のニップ離れ部(接触終了部)で元の状態に膨らみ(伸張し)、その気孔内に液体トナーが吸い込まれる。この液体トナーの吸い込み量は、兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面とのニップ幅(接触幅)で決定される。
その接触部下流側のニップ離れ部での液体トナーの吸い込み量は、ニップ幅を広く(ニップ圧を強く)すれば多くなり、ニップ幅を狭くすれば少なくなる。
つまり、兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面とのニップ幅を調整することにより、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量、つまりアニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制することができる。
図6に示す構成であると、先ず、兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部下流側のニップ離れ部で膨らんだスポンジの気孔内に液体トナーが吸い込まれるため、アニロックスローラ20の表面のセルは液体トナーで満たされず液体トナー量が不足した状態となる。しかしながら兼用ローラ30の表面は現像ローラ10の表面とも接触しているため、兼用ローラ30の表面と現像ローラ10の表面との接触部上流側のニップ始め部で兼用ローラ30の表面を構成するスポンジが圧縮され、その圧縮されたスポンジの気孔内の液体トナーが現像ローラ10の表面に吐き出される。この吐き出された液体トナーは現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部へと移動し、アニロックスローラ20の表面のセル内に流れ込み、セルを液体トナーで満たし、液体トナーの不足を補う。
これにより、アニロックスローラ20の表面から現像ローラ10の表面に供給される液体トナー量が不足することにより、感光体ドラム2の表面で現像に用いられる液体トナーの濃度が低下することを防ぐことができる。
つまり、兼用ローラ30から現像ローラ10に吐き出された液体トナーは、現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部に流れ、液体トナーのニップ溜まりが発生する。そのニップ溜まりの液体トナーにより、アニロックスローラ20の表面のセルの液体トナー不足を補うことができる。
この利点を最大限に高めるためには、先ずアニロックスローラ20の表面と兼用ローラ30の表面との接触部下流側のニップ離れ部で膨らんだ兼用ローラ30の連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジの気孔内に、アニロックスローラ20の表面のセル内の液体トナーをすべて吸い込み、次に、兼用ローラ30が回転してその表面と現像ローラ10の表面の接触部上流側のニップ始め部で兼用ローラ30が圧縮されて、兼用ローラ30の気孔内の液体トナーが現像ローラ10の表面に吐き出され、その吐き出された液体トナーが現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側のニップ始め部へと移動し、アニロックスローラ20の表面のセルを液体トナーで十分に満たし、液体トナーのニップ溜まりが発生するようにすることである。
この湿式現像装置4は、図2に示す第1の実施の形態の湿式現像装置4と同様の構成で、兼用ローラ30が常時停止していることが第1の実施の形態の湿式現像装置と異なる。
兼用ローラ30のアニロックスローラ20の表面の液体トナー量を規制する作用を説明する。
兼用ローラ30は、その表面がアニロックスローラ20の表面と隙間を置いて対向し、アニロックスローラ20の表面の粗調整された液体トナー層の表面部分と接触するように固定して設けてある。
例えば、図3,4に示す回転体45に兼用ローラ30の支軸33を固定し、動力伝達機構100を設けず、兼用ローラ30は回転させずにローラ取付フレーム43に固定して設けられている。
そして、アニロックスローラ20の表面の粗調整された液体トナー層の表面部分は兼用ローラ30の表面に接することで、所定の厚さの液体トナー層に規制され、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量が規制される。つまり、アニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量が規制される。
アニロックスローラ20の表面の液体トナー量は兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面との隙間の大きさで規制される。
例えば、図3,4に示すシリンダ92を伸縮して回転体45を回転させて兼用ローラ30の表面とアニロックスローラ20の表面との隙間を調整することで、アニロックスローラ20の表面の液体トナー量を調整することができる。
これにより、アニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を調整することができる。
兼用ローラ30の表面部分を構成する連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジのアニロックスローラ20の表面と対向した部分の気孔は、図2に示す湿式現像装置と同様に液体トナーで飽和している。
兼用ローラ30はアニロックスローラ20の表面の粗調整された液体トナーの一部分を堰き止め、アニロックスローラ20の表面にセルから溢れた液体トナーの薄い層が形成される。
この液体トナー層が現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側へ移動し、その接触部上流側のニップ始め部に液体トナーのニップ溜まりが発生する。
従って、兼用ローラ30によりアニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制することができる。
なお、アニロックスローラ20による現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量の調整は図2に示す湿式現像装置と同様である。
兼用ローラ30の連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジは現像ローラ10の表面との接触部で常に一定に圧縮され、その接触部上流側のニップ始め部及び接触部下流側のニップ離れ部におけるスポンジの気孔による液体トナーの吐き出し及び吸い込みはそれぞれない。
現像ローラ10は、その表面が停止している兼用ローラ30の表面(圧縮された連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジ)に接触しながら回転するので、その現像ローラ10の表面と兼用ローラ30の表面との接触部上流側のニップ始め部において現像ローラ10の表面の残留トナーは、兼用ローラ30のスポンジにより表面に均一に分散され且つ掻き落とされる。
従って、感光体ドラム2の表面の静電潜像に転写されなかった残留液体トナーによる現像ローラ10の表面の静電潜像の履歴は消去される。
従って、現像ローラ10の表面にはアニロックスローラ20からのみ液体トナーが供給され、現像ローラ10の表面の液体トナー量は所定の量となるので、現像ローラ10で現像される感光体ドラム2の表面の液体トナーの濃度を常に均一化できる。
この湿式現像装置4は、図6に示す第2の実施の形態の湿式現像装置4と同様の構成で、兼用ローラ30が常時停止していることが第2の実施の形態の湿式現像装置と異なる。
兼用ローラ30のアニロックスローラ20の表面の液体トナー量を規制する作用を説明する。
兼用ローラ30の連泡体のスポンジ又は単泡体のスポンジはアニロックスローラ20の表面との接触部で常に一定の状態で圧縮され、その接触部上流部のニップ始め部、接触部下流側のニップ離れ部におけるスポンジの気孔による液体トナーの吐き出し及び吸い込みはそれぞれない。
アニロックスローラ20の表面の粗調整された液体トナー層は停止している兼用ローラ30との接触部上流部のニップ始め部で掻き落とされ、アニロックスローラ20の表面のセルに液体トナーが好適に満たされる。アニロックスローラ20の表面のセルに満たされている液体トナーは現像ローラ10の表面とアニロックスローラ20の接触部に移動させられる。
このように、兼用ローラ30で、アニロックスローラ20による現像ローラ10とアニロックスローラ20の表面との接触部上流側への液体トナー供給量を規制することができる。
Claims (15)
- 感光体ドラム表面に接触し且つ所定の方向に回転する現像ローラと、前記現像ローラ表面に接触し且つ前記所定の方向と反対方向に回転し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラを備え、前記アニロックスローラから現像ローラ表面に供給された液体トナーにて前記感光体ドラム表面の静電潜像を現像するようにした湿式現像装置において、
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と隙間を置いて対向し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、前記所定の方向と同方向に回転駆動される兼用ローラと、前記アニロックスローラ表面における前記兼用ローラ対向部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量を粗調整する液体トナー供給制御部材と、を有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行い、前記液体トナー供給制御部材は、前記アニロックスローラの表面の液体トナー層の厚さを前記隙間より大きくすることを特徴とする湿式現像装置。 - 感光体ドラム表面に接触し且つ所定の方向に回転する現像ローラと、前記現像ローラ表面に接触し且つ前記所定の方向と反対方向に回転し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラを備え、前記アニロックスローラから現像ローラ表面に供給された液体トナーにて前記感光体ドラム表面の静電潜像を現像するようにした湿式現像装置において、
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と接触し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、前記所定の方向と同方向に回転駆動される兼用ローラを有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行うことを特徴とする湿式現像装置。 - 感光体ドラム表面に接触し且つ所定の方向に回転する現像ローラと、前記現像ローラ表面に接触し且つ前記所定の方向と反対方向に回転し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラを備え、前記アニロックスローラから現像ローラ表面に供給された液体トナーにて前記感光体ドラム表面の静電潜像を現像するようにした湿式現像装置において、
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と隙間を置いて対向し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、静止している兼用ローラと、前記アニロックスローラ表面における前記兼用ローラ対向部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量を粗調整する液体トナー供給制御部材と、を有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行い、前記液体トナー供給制御部材は、前記アニロックスローラの表面の液体トナー層の厚さを前記隙間より大きくすることを特徴とする湿式現像装置。 - 感光体ドラム表面に接触し且つ所定の方向に回転する現像ローラと、前記現像ローラ表面に接触し且つ前記所定の方向と反対方向に回転し且つ表面の一部が液体トナーに浸漬されたアニロックスローラを備え、前記アニロックスローラから現像ローラ表面に供給された液体トナーにて前記感光体ドラム表面の静電潜像を現像するようにした湿式現像装置において、
前記アニロックスローラ表面における前記現像ローラ表面との接触部のアニロックスローラ回転方向上流側と接触し且つ前記現像ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の現像ローラ回転方向上流側と接触していて、静止している兼用ローラを有し、
前記兼用ローラは、表面部分が柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材から成り、且つ前記アニロックスローラによる前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量の規制及び前記現像ローラ表面の静電潜像の履歴の消去を行うことを特徴とする湿式現像装置。 - 前記隙間を調整する隙間調整機構を有する、請求項1又は3記載の湿式現像装置。
- 前記アニロックスローラ表面と前記兼用ローラ表面とのニップ幅を調整するニップ幅調整機構を有する、請求項2又は4記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラの表面部分である柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材は、連泡体のスポンジである、請求項1−4いずれか一項記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラの表面部分である柔軟性及び弾力性を有する多孔性部材は、単泡体のスポンジである、請求項1−4いずれか一項記載の湿式現像装置。
- 前記アニロックスローラの周速と前記現像ローラの周速に差をつけた、請求項1−8いずれか一項記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部において前記兼用ローラ表面と前記現像ローラ表面は反対方向に摺擦移動する、請求項1又は2記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラの周速は前記アニロックスローラの周速よりも遅い、請求項1又は2記載の湿式現像装置。
- 前記アニロックスローラ表面における前記兼用ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側への液体トナー供給量を粗調整する液体トナー供給制御部材を有している、請求項2又は4記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との対向部の兼用ローラ回転方向上流側と前記現像ローラ表面との前記接触部の兼用ローラ回転方向下流側との間に押し付けられた、液体トナー回収部材を設けた、請求項1記載の湿式現像装置。
- 前記兼用ローラ表面における前記アニロックスローラ表面との接触部の兼用ローラ回転方向上流側と前記現像ローラ表面との前記接触部の兼用ローラ回転方向下流側との間に押し付けられた、液体トナー回収部材を設けた、請求項2記載の湿式現像装置。
- 前記アニロックスローラ表面と前記現像ローラ表面との前記接触部のアニロックスローラ回転方向上流側のニップ始め部の余剰液体トナーを液体トナー槽に排出する液体トナー排出部材を有している、請求項1−14いずれか一項記載の湿式現像装置。
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