JP3021489B2 - 誘導加熱式アイロン - Google Patents

誘導加熱式アイロン

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JP3021489B2
JP3021489B2 JP1295840A JP29584089A JP3021489B2 JP 3021489 B2 JP3021489 B2 JP 3021489B2 JP 1295840 A JP1295840 A JP 1295840A JP 29584089 A JP29584089 A JP 29584089A JP 3021489 B2 JP3021489 B2 JP 3021489B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は一般家庭において使用される誘導加熱式アイ
ロンに関するものである。
従来の技術 第12図は従来の技術における誘導加熱式アイロンの断
面図である。図において、1はアイロン本体、2はアイ
ロン台である。アイロン台2は、鉄製のアイロンベース
3と、把手4によって構成されている。アイロン台2
は、アイロン作業面5と載置部6を有しており、アイロ
ン作業面5の下方には、アイロン作業中にアイロンベー
ス3を誘導加熱するための加熱コイル7と加熱コイル7
に高周波電流を供給するインバータ8を有している。ア
イロン作業面5は、フェルト9とフェルト9を支えるた
めのラスアミ10で構成されており、ラスアミ10はアイロ
ン本体1から発せられるスチームを通過させるための穴
を多数個有しているものである。またラスアミ10の下方
には、加熱コイル7にスチームやそれが結露することに
よって発生する水滴が当たらないようにするために防水
板11が設けられている。
なお加熱コイル7は、細いエナメル線を何本かよりあ
わせたリッツ線を平板上に巻くことによって構成してい
る。
以上の構成において、従来の技術の誘導加熱式アイロ
ンの動作を説明する。使用者は、アイロンがけをしたい
衣類等をアイロン作業面5の上に置き、その上からアイ
ロン本体1を押しつけてアイロン作業を行う。
アイロン本体1のアイロンベース3が加熱コイル7の
真上に来ると、インバータ8の作用により、加熱コイル
7に高周波電流が供給され、アイロンベース3に高周波
の渦電流が流れて発熱し、使用者は、アイロンがけを行
うことができる。
アイロン本体1から発せられるスチームはフェルト9
とラスアミ10を通過するが、防水板11によって加熱コイ
ル7までスチームやスチームが結露することによって発
生する水滴が行かないため、スチームを安全に処理する
ことができる。アイロン作業の合間に、衣類をさばいた
りする場合には、アイロン本体1を載置部6に置く。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、以上のような従来の技術の誘導加熱式
アイロンにおいては、加熱コイル7の上に防水板11があ
り、その上にフェルト9とラスアミ10が設けられてお
り、かつスチームを逃がすためにラスアミ10と防水板11
の間にも空隙を設ける必要があり、そのためにフェルト
9の上面から加熱コイル7の上面までの距離、すなわち
アイロン本体1を置いた状態におけるアイロンベース3
と加熱コイル7の上面までの距離が最低でも15ミリ程度
になる。
そのため所定の加熱パワーをアイロンベース3に入れ
るためには加熱コイル7に流す電流と巻数の積がかなり
大きくなるので、加熱コイル7の損失が大となり効率が
小となると同時に発熱量も大となる。また加熱コイル7
の損失を小とするために加熱コイル7に使用する銅の量
を大とした場合には、装置の質量が大となるという課題
があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたもので
あり、加熱コイルの上面とアイロン作業面までの距離を
小さくすることによって所定の加熱パワーをアイロンベ
ースに入れる場合の加熱コイル電流と巻き数の積を小と
することにより、加熱コイルの損失を小として効率を大
とし、同時に発熱を小とするものである。さらに、加熱
コイルの構成に工夫をし、アイロン本体から発せられる
スチームをさらに安全かつ良好に処理することが出来る
ものである。
課題を解決するための手段 このような課題を解決するために、本発明の技術的手
段は、アイロン本体とアイロン台からなり、前記アイロ
ン台は、アイロン作業面と、前記アイロン作業面の下方
に設けたフェルト層及びフェルト層を支持する樹脂製の
多孔体と、前記アイロン本体を誘導加熱する少なくとも
1個の平板状のドーナッツ型の加熱コイルを有し、前記
加熱コイルは樹脂によるモールドによって防水され、か
つ最外周と最内周との間に少なくとも1個のスチーム抜
きスリットを設け、前記樹脂製の多孔体は、同心円状に
巻き回した加熱コイルを収容する同心円状の溝を有する
ものである。
作用 上記構成によって、樹脂によるモールドによってアイ
ロン本体から発せられるスチームをリッツ線に当たらな
いようにすることができる。又加熱コイル上面とアイロ
ン台作業面からの距離を小さくすることができるため、
加熱コイルとアイロン本体との磁気的結合をよくするこ
とができる。さらに、スチーム抜きスリットにアイロン
本体から発せられたスチームが通過することによりスチ
ーム抜けを良好とすることができる。
実施例 以下添付図面にもとづき本発明の実施例について説明
する。第1図において、21はアイロン本体、22はアイロ
ン台である。アイロン本体21は鉄製のアイロンベース23
とプラスチック製の把手24によって構成されている。
アイロン台22は、アイロン作業面25と載置部26を有し
ていて、アイロン作業面24の下方には、アイロン作業中
にアイロンベース21を誘導加熱するための平板状の加熱
コイル27と加熱コイル27に約35キロヘルツの高周波電流
を供給するためのインバータ28を有している。なお加熱
コイル27は、第2図・第3図に示しているように、中央
部を中空状としたドーナッツ型としており、樹脂による
モールド35を設けて防水している。
アイロン作業面25は厚さが3ミリメートルの耐熱ナイ
ロンによって構成したフェルト29を設けていて、フェル
ト29は樹脂によるモールド35を有する加熱コイル27と金
属製のラスアミ等の多孔体105によって支えられてい
る。また載置部26の下部にも、アイロン本体21を載置部
26に置いている状態で誘導加熱するための加熱コイル50
が設けられている。51はスチームをアイロン台22の下か
ら排出するためのファンモータである。
第2図は第1図に示した加熱コイルの部分の断面図、
第3図は第1図に示した加熱コイルの部分の上面図であ
る。加熱コイル27は、樹脂製のモールド35の外径が70ミ
リメートルで、厚さが5ミリメートルのものであり、高
周波による表皮抵抗によって損失が大となるのを防ぐた
めに、直径0.3ミリメートルのエナメル線を8本より合
わせたリッツ線32を35ターン巻いたものである。
なお加熱コイル27の下には、放射状に4本のフェライ
トコア31が設けてあって、アイロンベース23と加熱コイ
ルの磁気的結合度を高くする効果をもたせている。
加熱コイル27のリッツ線32の引出し部分は、アイロン
本体21から発せられるスチームによって絶縁が悪くなら
ないようにするためのシリコン熱収縮チューブ70、71を
備えている。
以上の構成において動作を説明する。まず説明者は、
アイロン本体21を載置部26の上に置いて、アイロンベー
ス23の加熱を行う。この時加熱コイル50にはインバータ
28からの高周波電流が供給され、アイロンベース23の温
度は、セ氏約200度まで加熱される。次に使用者はアイ
ロンがけをしようとする衣類等をアイロン作業面28の上
に置いて、その上からアイロン本体21によってアイロン
がけを行う。このときアイロンベースの熱が衣類等の被
アイロン物に逃げて行ったり、スチームの発生によって
奪われて行ったりするため、アイロンベース23の温度が
下がって行くが、その場合には、インバータ28から高周
波電流が加熱コイル27に供給され、アイロンベース23の
加熱が行われるため、アイロンベース23の温度の低下が
防げる。従ってコードレスで良好なアイロンがけが行わ
れる。
ここで、加熱コイル27とアイロンベースの間の距離
は、フェルト29の厚さの分だけであるため、従来の技術
に比べ非常に小さなものとすることができる。そのため
アイロンベース23と加熱コイル27の磁気結合が非常に良
くなり、所定の加熱パワーを入れるための加熱コイル27
の電流巻数積を小さくすることが出来るため、加熱コイ
ルの損失が小さくなって効率が良くなるか、または加熱
コイル27が軽量になるといった効果があり、かつインバ
ータの容量、すなわち出力電圧と出力電流の積が小さく
て済むという効果もある。
またリッツ線32が樹脂製のモールド35によって防水さ
れた構成となっているため、アイロン本体21から発せら
れるスチームが直線エナメル線にかかることがなく、従
って感電事故等が発生することがなく安全である。
なおエナメル線は、スチームや水滴がかかる恐れが無
く、リッツ線同士の接触もないため、例えばエナメル層
種別が2種、3種といったようなエナメル層の薄いもの
でも使用することができる。そのようなものを使用する
ことによって、銅の占積率を大きくし加熱コイル27の損
失を小とすることができる。
第4図は本発明の第2の手段を示したものである。こ
の図においては、加熱コイル66のみが第1の手段と相違
し、他は同じである。
第5図は第2の手段の誘導加熱式アイロンの加熱コイ
ル部分の断面図、第6図はその上面図である。第2の手
段においては特に加熱コイルに工夫を加えたものであっ
て、その他の部分は第1図に示した第1の手段と同様な
ものである。すなわち加熱コイル66は、第5図・第6図
に示しているように、スチーム抜きスリット80a・80bを
有しているものである。スチーム抜きスリット80a・80b
は、ドーナッツ型とした加熱コイル66の密巻き部分の間
に設けたスリットで、このスリットを通ってスチームが
流通するようになっている。前記スチーム抜きスリット
80a・80bは、加熱コイルの最外周と最内周との間に少な
くとも1個以上設けているものである。
以上の構成において動作を説明する。前記第1の手段
と異なる点は、アイロン本体21から発せられるスチーム
の抜け方である。アイロン本体21から発せられたスチー
ムは、加熱コイル27に設けられたスチーム抜きスリット
80a、80bを通過してスチーム抜きファンモータ51によっ
てアイロン台22の外へ排出されるものである。このため
加熱コイル27の上面に水滴が着くことが防がれるもので
ある。またアイロンがけをする衣類をアイロン作業面に
吸引する力も大となるので、楽なアイロン作業が可能で
ある。
また、アイロン本体21から発せられるスチームが直接
エナメル線にかかることがなく、従って感電事故等が発
生することがなく安全である。
なお加熱コイル66に使用されるエナメル線は、スチー
ムや水滴がかかる恐れがないため、例えばエナメル層種
別が2種、3種といったようなエナメル層の薄いもので
も使用することができる。そのようなものを使用するこ
とによって、銅の占積率を大きくし、断面積を有効に利
用することができる。
なお本実施例では、加熱コイル66に設けたスチーム抜
きスリットの数を2個としたが、例えばインバータ28を
さらに高周波のものにすることにより、加熱コイル66に
必要なターン数を減らすことができる場合には、スチー
ム抜きスリットの数をさらに増やすことによってさらに
スチームの抜きを良くすることができる。
第7図から第9図は、第4図に示した加熱コイル66の
製法の一例を示したものである。第7図において、101
はポリカーボネート製の容器で、その中にエナメル線を
巻くことによって加熱コイル66を構成する。第8図は容
器101にリッツ線99を巻いて加熱コイル66を設けた状態
である。容器101はスチーム抜きスリット80a、80bのた
めに3箇所にわけて径0.3ミリのエナメル線を8本よっ
たリッツ線99を巻くようになっている。中心に近い方か
ら順に11ターン、11ターン、13ターンを巻くことによ
り、合計35ターンとなる。また加熱コイル66の両端の取
り出しの部分にはシリコン熱収縮チューブ110、111を設
けている。
第9図はリッツ線を巻いた後シリコン硬化樹脂102を
流し込んで固めたものである。第9図にみられるよう
に、シリコン熱収縮チューブ110、111にもかぶさってい
るためリッツ線99をスチームから完全に保護することが
できる。
なお本実施例においては、樹脂製のモールド100を作
るためにポリカーボネート製の容器101とシリコン硬化
樹脂102を用いているが、他の製法によって単一材質の
モールドとしてもよく、もちろん他の樹脂材料を使用し
てもよい。また第1の手段の誘導加熱式アイロンの加熱
コイルも同様の方法で製造することが出来る。
なお本実施例では、アイロン作業中にアイロン本体を
加熱するための加熱コイルを1個としたが、複数のもの
であっても良い。
第10図は、第3の手段の誘導加熱式アイロンの断面図
である。第10図において、21はアイロン本体、22はアイ
ロン台である。アイロン本体21は鉄製のアイロンベース
23とプラスチック製の把手24によって構成されている。
アイロン台22は、アイロン作業面25と載置部26を有し
ていて、アイロン作業面24の下方には、通気性のある耐
熱ナイロン製のフェルト層200とフェルト層200を支持す
る多孔体201と、多孔体201の一部に巻かれアイロン作業
中にアイロンベース23を誘導加熱する加熱コイル202
と、加熱コイル202に約35キロヘルツの高周波電流を供
給するためのインバータ28を有している。
第11図は、前記多孔体201と前記加熱コイル202の構成
を示す組立図である。多孔体201は、例えばポリカーボ
ネート等の樹脂によって構成しており、図示しているよ
うな多数の通気孔を備えている。また、第10図に示した
加熱コイル202の配置位置に同心円状とした溝203・206
・207と溝204・205有している。加熱コイル202は、前記
溝203・206・207中に加熱コイルを構成するリッツ線を
納め、巻き始め部と巻き終わり部とを溝204・205に納め
ることによって形成しているものである。溝204・205に
納めた巻き始め部と巻き終わり部とは、インバータ28に
接続しているものである。つまり本実施例では、加熱コ
イル202は多孔体201の一部に巻かれているものである。
第11図に示したものを第2の手段の加熱コイルの組立
と同様、第7図から第9図のようにして製造することに
より、多孔体201の一部に加熱コイル202を構成すること
が出来るため、部品点数が少なくて済むという効果があ
り、特に加熱コイル数を多くする場合にはその効果が大
きい。
また本実施例においては、加熱コイル202の両端のリ
ッツ線210を納めるための溝204、205を設けているた
め、円形の部分と同様にリッツ線210を溝204、205に入
れて、その上からシリコン硬化樹脂等で固めることによ
り、インバータ28に至る配線を簡単に行うこともできる
ものである。
なおアイロン作業を行う際に、衣類やハンカチ等の被
アイロン物をアイロン作業面上にマチバリ等で固定する
使用者も存在するが、第1〜第3の手段の誘導加熱式ア
イロンではマチバリがリッツ線に触れることがないた
め、このような使用者においても感電事故等を起こすこ
とも心配もなく安全なアイロン作業を行うことができ
る。
発明の効果 以上より、本発明は、アイロン本体とアイロン台から
なり、前記アイロン台は、アイロン作業面と、前記アイ
ロン作業面の下方に設けたフェルト層及びフェルト層を
支持する樹脂製の多孔体と、前記アイロン本体を誘導加
熱する少なくとも1個の平板状のドーナッツ型の加熱コ
イルを有し、前記加熱コイルは樹脂によるモールドによ
って防水され、かつ最外周と最内周との間に少なくとも
1個のスチーム抜きスリットを設け、前記樹脂製の多孔
体は、同心円状に巻き回した加熱コイルを収容する同心
円状の溝を有するものである。
この構成によって、樹脂によるモールドによってアイ
ロン本体から発せられるスチームをリッツ線に当たらな
いようにすることができる。又加熱コイル上面とアイロ
ン台作業面からの距離を小さくすることができるため、
加熱コイルとアイロン本体との磁気的結合をよくするこ
とができる。さらに、スチーム抜きスリットにアイロン
本体から発せられたスチームが通過することによりスチ
ーム抜けを良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の手段を示す誘導加熱式アイロン
の断面図、第2図はその加熱コイルの断面図、第3図は
同じく加熱コイルの上面図、第4図は第2の手段を示す
誘導加熱式アイロンの断面図、第5図はその加熱コイル
の断面図、第6図は同じく加熱コイルの上面図、第7図
から第9図は第4図に示した誘導加熱式アイロンの加熱
コイルと樹脂製のモールドの一製法を示した図、第10図
は第3の手段を示す誘導加熱式アイロンの断面図、第11
図は第10図の誘導加熱式アイロンの樹脂製の多孔体と加
熱コイルの組立図、第12図は従来の技術における誘導加
熱式アイロンの断面図である。 21……アイロン本体、22……アイロン台、25……アイロ
ン作業面、27……加熱コイル、35、100……樹脂製のモ
ールド、80a、80b……スチーム抜きスリット、200……
フェルト、201……多孔体、202……加熱コイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06F 75/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アイロン本体とアイロン台からなり、前記
    アイロン台は、アイロン作業面と、前記アイロン作業面
    の下方に設けたフェルト層及びフェルト層を支持する樹
    脂製の多孔体と、前記アイロン本体を誘導加熱する少な
    くとも1個の平板状のドーナッツ型の加熱コイルを有
    し、前記加熱コイルは樹脂によるモールドによって防水
    され、かつ最外周と最内周との間に少なくとも1個のス
    チーム抜きスリットを設け、前記樹脂製の多孔体は、同
    心円状に巻き回した加熱コイルを収容する同心円状の溝
    を有する誘導加熱式アイロン。
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