JP4457517B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents
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- Induction Heating Cooking Devices (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭及びレストラン、あるいは工場などで使用される誘導加熱装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の誘導加熱装置の加熱構造を誘導加熱調理器を例に取り上げ、図８〜１２を用いて説明する。図８は従来の誘導加熱調理器の断面図で、１は加熱コイル２から発生する高周波磁界によって誘導加熱される被加熱物、２は被加熱物１を誘導加熱する加熱コイル、３は加熱コイル２に高周波電流を供給するインバータ回路で図には特に記載していないが、加熱コイル２と接続されている。４は被加熱物１がその上面に載置されるプレートでその材質はセラミックである。５は筐体、６は加熱コイル２を載置するコイル台、７はコイル台６に埋設されている磁性体で、材質はフェライトである。磁性体７は加熱コイル２から発生する高周波磁界を効率よく被加熱物１に供給させる目的で用いられている。８は冷却装置で、加熱コイル２の冷却のために加熱コイル２側面から軸流ファンなどを用いて強制空冷にて冷却している。
【０００３】
コイル台６を上から見た図を図９に示す。図９に示すように加熱コイル２のコイル線は渦巻き状に巻回されており、そのコイル線は、直径０．３ｍｍ〜０．５ｍｍ程度の素線を３０本程度撚り合わせたもので構成されている。素線の材質は銅で、その表面は樹脂材料の電気絶縁物で自己融着可能な材質によって覆われており、それぞれの素線が電気的に接続されないようになっている。コイル線間は密着しており、自己融着効果によって接着されて、その形状を保持している。一般に加熱コイル２の温度はその発熱により１５０〜１８０℃となるため、電気絶縁物の耐熱も１５０〜１８０℃必要である。それぞれの素線は加熱コイル２の始端及び終端にて電気的に接続している。加熱コイル２のコイル線をこのような細い素線を用いている理由は、加熱コイル２に流れる周波数２０〜３０ｋＨｚ程度の高周波電流が、表皮効果によりコイル線表面に電流が集中するため、コイル線の表面積を大とする必要があるからである。
【０００４】
また撚り合わせている理由は、加熱コイル２が発生する高周波磁界により加熱コイル２のコイル線間に作用する近接効果によって、コイル線に流れる電流分布が不均一となることを防ぐためである。
【０００５】
また図には特に記していないが通常加熱コイル２は直列あるいは並列に共振コンデンサが別部品として接続されている。
【０００６】
図１０は、加熱コイルの高周波抵抗の概略特性を示す図で、数十ＭＨｚにおいて、高周波抵抗のピークが存在することがわかる。この理由は加熱コイルの巻回中にコイル線間に発生する浮遊容量とコイルのインダクタンス分の共振によるものであり、その値は、浮遊容量をＣ、インダクタンスをＬとすると、ｆ＝１／（２π√（ＬＣ））で与えられるものである。本従来例の場合、インダクタンス分は数十μＨであり、浮遊容量は数十ｐＦとなる。電気的な等価回路を図１２に示す。
【０００７】
図１１は、本従来例で使用される周波数帯における高周波抵抗の増加を縦軸を拡大して見た図である。この図に示すように、共振周波数によるピークの裾野が低い周波数での高周波抵抗の上昇に寄与している。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な従来の誘導加熱装置では、以下に示す課題があった。すなわち、上記したように加熱コイルは、その作製工数や部品コストが大きく、結果商品のコスト上昇をまねくという第１の課題と、加熱コイルに流れる高周波電流の周波数が高くなればなるほど、加熱コイルの損失が極めて大きくなるという第２の課題と、共振コンデンサが別部品として必要で、そのコストや発熱が問題になるという第３の課題である。
【０００９】
第１の課題を解決するために、近年加熱コイルの製造工程及び製造コストを低減し、安価な装置を提供する目的で、特開昭６０−２４３９９６あるいは特開平４−３３７６０６のように、導電板を渦巻き状に打ち抜く等の工法で、撚り線を用いない簡素なコイル線の加熱コイルが提案されている。
【００１０】
しかして、この様な撚り線を用いない単層の誘導加熱装置用加熱コイルにおいては、表皮効果による影響を回避することが困難で、加熱コイルの損失は従来よりも大きくなり、加熱効率の低下や冷却装置の大型化が問題となる。
【００１１】
また、表皮効果による影響を回避するために、流れる高周波電流と電気導体材質に応じた表皮深さに対して十分薄い層とし、複数の層を重ねる方法も別途開示されているが、このような方法においても、上記周波数アップ時の損失増加の課題は解決できない。
【００１２】
本発明は上記従来の課題を解決し、簡素な構成で加熱コイル損失及び必要冷却を低減し、安価かつ高加熱効率の誘導加熱装置を提供することを目的とするものである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に誘電体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給する誘導加熱装置としたものである。
【００１４】
これにより、電気導体の線間に生じる浮遊容量を誘電体の挿入により大きくして、より共振周波数の低い分野で利用可能なり、さらに応用範囲の大なる誘導加熱装置を実現できるものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
請求項１に記載の発明は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に誘電体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給することにより、電気導体の線間に生じる浮遊容量を誘電体の挿入により大きくして、より共振周波数の低い分野で利用可能なり、さらに応用範囲の大なる誘導加熱装置を実現できるものである。
【００１６】
請求項２に記載の発明は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に電気絶縁体を介して他の電気導体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給することにより、生じる浮遊容量を大とすることが可能となり、より安価に共振コンデンサとしての容量を増加させることが可能となるものである。
【００１７】
請求項３記載の発明は、特に、請求項１〜２のいずれか１項に記載の電気導体の線間距離よりも、前記電気導体の高さ方向の寸法を大としたことにより、線間浮遊容量を大とすることができ、共振コンデンサとしての容量を低コストで大とすることを可能とするものである。
【００１８】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【００１９】
（実施例１）
図１は本発明の第１の実施例における誘導加熱装置の加熱コイル１０と被加熱物１２の位置関係を示した図で、被加熱物１２の下側に加熱コイル１０は設けられている。図２は加熱コイル１０の詳細を示す図で、１１は、高周波電流が流れることにより、高周波磁界を発生する渦巻き状に巻回された電気導体で本実施例の場合は銅線を用いている。この渦巻きのターン数は、図２においては簡易的に図示するため７ターン程度であるが実際には被加熱物１２の形状、材質などにより様々であり、通常の鉄鍋などを加熱する誘導加熱調理器においては、例えば２０〜３０ターン程度である。１３は電気導体１１の線間に発生する浮遊容量である。以上の構成を等価回路に置き換えた図が、図３である。図３に示すように本構成では、加熱コイル線間に発生する浮遊容量を共振コンデンサとして利用している。本構成により従来必要であった共振コンデンサを浮遊容量で兼ねることが可能となり、結果低コストの誘導加熱装置用加熱コイルを実現できるものである。
【００２０】
（実施例２）
図４は本発明の第２の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示した図で、共振コンデンサ２０と浮遊容量１３を合わせた形で共振回路を形成するものである。
本構成により共振コンデンサ２０の容量を低減することが可能となり結果低コストの誘導加熱装置用加熱コイルを実現できるものである。
【００２１】
（実施例３）
図５は本発明の第３の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の線間には誘電体２５を設けている。本構成によって、浮遊容量は誘電体２５の誘電率が大であればあるほど大きくなる。従って、この構成により任意の共振周波数での共振回路を直接共振コンデンサを追加せずとも可能になる。
【００２２】
（実施例４）
図６は本発明の第４の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の線間には電気導体２６が両側面とも絶縁された構成で挿入されている。本構成により浮遊容量を構成するコンデンサは、その電極間の距離が小となるのと同じ効果となり、結果容量が大となり、例えば上記第３の実施形態のような特別の材料を挿入せずとも任意の共振周波数で動作可能となる。
【００２３】
（実施例５）
図７は本発明の第５の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の高さは第１の実施形態の高さよりも大としている。本構成により浮遊容量を構成するコンデンサは、その電極間の面積が大となるのと同じ効果となり、結果容量が大となり、例えば上記第３や第４の実施形態のような別材料加熱コイル１１の線間に挿入せずとも任意の共振周波数で動作可能となる。
【００２４】
（実施例６）
本発明の第６の実施例は第２の実施例で示した図４に示すように、外付けの共振コンデンサ２０による共振周波数は寄生の浮遊容量１３とによる共振周波数よりも低く設定することにより、同じ加熱コイル１０で、複数の共振周波数を有することが可能となるものである。
【００２５】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１〜３に記載の発明によれば、別部品の共振コンデンサが不要あるいは別部品の共振コンデンサの容量を低減することができ、簡単な構成でかつ高周波域でも損失上昇のない低コストかつ低損失の加熱コイルを備えた安価な誘導加熱装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施１における誘導加熱装置の加熱コイルと被加熱物の位置関係を示す図
【図２】 同誘導加熱装置の加熱コイル構成を示す図
【図３】 同誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示す図
【図４】 本発明の実施例２、６における誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示す図
【図５】 本発明の実施例３における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図６】 本発明の実施例４における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図７】 本発明の実施例５における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図８】 従来の誘導加熱装置の断面図
【図９】 同、加熱コイルの平面図
【図１０】 同、加熱コイルの高周波抵抗の特性を示す図
【図１１】 同、加熱コイルの高周波抵抗の特性の拡大図
【図１２】 同、加熱コイルの等価回路を示す図
【符号の説明】
１０ 加熱コイル
１１ 電気導体
１３ 浮遊容量
２０ 共振コンデンサ
２５ 誘電体
２６ 電気導体
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭及びレストラン、あるいは工場などで使用される誘導加熱装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の誘導加熱装置の加熱構造を誘導加熱調理器を例に取り上げ、図８〜１２を用いて説明する。図８は従来の誘導加熱調理器の断面図で、１は加熱コイル２から発生する高周波磁界によって誘導加熱される被加熱物、２は被加熱物１を誘導加熱する加熱コイル、３は加熱コイル２に高周波電流を供給するインバータ回路で図には特に記載していないが、加熱コイル２と接続されている。４は被加熱物１がその上面に載置されるプレートでその材質はセラミックである。５は筐体、６は加熱コイル２を載置するコイル台、７はコイル台６に埋設されている磁性体で、材質はフェライトである。磁性体７は加熱コイル２から発生する高周波磁界を効率よく被加熱物１に供給させる目的で用いられている。８は冷却装置で、加熱コイル２の冷却のために加熱コイル２側面から軸流ファンなどを用いて強制空冷にて冷却している。
【０００３】
コイル台６を上から見た図を図９に示す。図９に示すように加熱コイル２のコイル線は渦巻き状に巻回されており、そのコイル線は、直径０．３ｍｍ〜０．５ｍｍ程度の素線を３０本程度撚り合わせたもので構成されている。素線の材質は銅で、その表面は樹脂材料の電気絶縁物で自己融着可能な材質によって覆われており、それぞれの素線が電気的に接続されないようになっている。コイル線間は密着しており、自己融着効果によって接着されて、その形状を保持している。一般に加熱コイル２の温度はその発熱により１５０〜１８０℃となるため、電気絶縁物の耐熱も１５０〜１８０℃必要である。それぞれの素線は加熱コイル２の始端及び終端にて電気的に接続している。加熱コイル２のコイル線をこのような細い素線を用いている理由は、加熱コイル２に流れる周波数２０〜３０ｋＨｚ程度の高周波電流が、表皮効果によりコイル線表面に電流が集中するため、コイル線の表面積を大とする必要があるからである。
【０００４】
また撚り合わせている理由は、加熱コイル２が発生する高周波磁界により加熱コイル２のコイル線間に作用する近接効果によって、コイル線に流れる電流分布が不均一となることを防ぐためである。
【０００５】
また図には特に記していないが通常加熱コイル２は直列あるいは並列に共振コンデンサが別部品として接続されている。
【０００６】
図１０は、加熱コイルの高周波抵抗の概略特性を示す図で、数十ＭＨｚにおいて、高周波抵抗のピークが存在することがわかる。この理由は加熱コイルの巻回中にコイル線間に発生する浮遊容量とコイルのインダクタンス分の共振によるものであり、その値は、浮遊容量をＣ、インダクタンスをＬとすると、ｆ＝１／（２π√（ＬＣ））で与えられるものである。本従来例の場合、インダクタンス分は数十μＨであり、浮遊容量は数十ｐＦとなる。電気的な等価回路を図１２に示す。
【０００７】
図１１は、本従来例で使用される周波数帯における高周波抵抗の増加を縦軸を拡大して見た図である。この図に示すように、共振周波数によるピークの裾野が低い周波数での高周波抵抗の上昇に寄与している。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な従来の誘導加熱装置では、以下に示す課題があった。すなわち、上記したように加熱コイルは、その作製工数や部品コストが大きく、結果商品のコスト上昇をまねくという第１の課題と、加熱コイルに流れる高周波電流の周波数が高くなればなるほど、加熱コイルの損失が極めて大きくなるという第２の課題と、共振コンデンサが別部品として必要で、そのコストや発熱が問題になるという第３の課題である。
【０００９】
第１の課題を解決するために、近年加熱コイルの製造工程及び製造コストを低減し、安価な装置を提供する目的で、特開昭６０−２４３９９６あるいは特開平４−３３７６０６のように、導電板を渦巻き状に打ち抜く等の工法で、撚り線を用いない簡素なコイル線の加熱コイルが提案されている。
【００１０】
しかして、この様な撚り線を用いない単層の誘導加熱装置用加熱コイルにおいては、表皮効果による影響を回避することが困難で、加熱コイルの損失は従来よりも大きくなり、加熱効率の低下や冷却装置の大型化が問題となる。
【００１１】
また、表皮効果による影響を回避するために、流れる高周波電流と電気導体材質に応じた表皮深さに対して十分薄い層とし、複数の層を重ねる方法も別途開示されているが、このような方法においても、上記周波数アップ時の損失増加の課題は解決できない。
【００１２】
本発明は上記従来の課題を解決し、簡素な構成で加熱コイル損失及び必要冷却を低減し、安価かつ高加熱効率の誘導加熱装置を提供することを目的とするものである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に誘電体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給する誘導加熱装置としたものである。
【００１４】
これにより、電気導体の線間に生じる浮遊容量を誘電体の挿入により大きくして、より共振周波数の低い分野で利用可能なり、さらに応用範囲の大なる誘導加熱装置を実現できるものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
請求項１に記載の発明は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に誘電体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給することにより、電気導体の線間に生じる浮遊容量を誘電体の挿入により大きくして、より共振周波数の低い分野で利用可能なり、さらに応用範囲の大なる誘導加熱装置を実現できるものである。
【００１６】
請求項２に記載の発明は、電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に電気絶縁体を介して他の電気導体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給することにより、生じる浮遊容量を大とすることが可能となり、より安価に共振コンデンサとしての容量を増加させることが可能となるものである。
【００１７】
請求項３記載の発明は、特に、請求項１〜２のいずれか１項に記載の電気導体の線間距離よりも、前記電気導体の高さ方向の寸法を大としたことにより、線間浮遊容量を大とすることができ、共振コンデンサとしての容量を低コストで大とすることを可能とするものである。
【００１８】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【００１９】
（実施例１）
図１は本発明の第１の実施例における誘導加熱装置の加熱コイル１０と被加熱物１２の位置関係を示した図で、被加熱物１２の下側に加熱コイル１０は設けられている。図２は加熱コイル１０の詳細を示す図で、１１は、高周波電流が流れることにより、高周波磁界を発生する渦巻き状に巻回された電気導体で本実施例の場合は銅線を用いている。この渦巻きのターン数は、図２においては簡易的に図示するため７ターン程度であるが実際には被加熱物１２の形状、材質などにより様々であり、通常の鉄鍋などを加熱する誘導加熱調理器においては、例えば２０〜３０ターン程度である。１３は電気導体１１の線間に発生する浮遊容量である。以上の構成を等価回路に置き換えた図が、図３である。図３に示すように本構成では、加熱コイル線間に発生する浮遊容量を共振コンデンサとして利用している。本構成により従来必要であった共振コンデンサを浮遊容量で兼ねることが可能となり、結果低コストの誘導加熱装置用加熱コイルを実現できるものである。
【００２０】
（実施例２）
図４は本発明の第２の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示した図で、共振コンデンサ２０と浮遊容量１３を合わせた形で共振回路を形成するものである。
本構成により共振コンデンサ２０の容量を低減することが可能となり結果低コストの誘導加熱装置用加熱コイルを実現できるものである。
【００２１】
（実施例３）
図５は本発明の第３の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の線間には誘電体２５を設けている。本構成によって、浮遊容量は誘電体２５の誘電率が大であればあるほど大きくなる。従って、この構成により任意の共振周波数での共振回路を直接共振コンデンサを追加せずとも可能になる。
【００２２】
（実施例４）
図６は本発明の第４の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の線間には電気導体２６が両側面とも絶縁された構成で挿入されている。本構成により浮遊容量を構成するコンデンサは、その電極間の距離が小となるのと同じ効果となり、結果容量が大となり、例えば上記第３の実施形態のような特別の材料を挿入せずとも任意の共振周波数で動作可能となる。
【００２３】
（実施例５）
図７は本発明の第５の実施例における誘導加熱装置の加熱コイルの詳細を示す図で、図に示すように電気導体１１の高さは第１の実施形態の高さよりも大としている。本構成により浮遊容量を構成するコンデンサは、その電極間の面積が大となるのと同じ効果となり、結果容量が大となり、例えば上記第３や第４の実施形態のような別材料加熱コイル１１の線間に挿入せずとも任意の共振周波数で動作可能となる。
【００２４】
（実施例６）
本発明の第６の実施例は第２の実施例で示した図４に示すように、外付けの共振コンデンサ２０による共振周波数は寄生の浮遊容量１３とによる共振周波数よりも低く設定することにより、同じ加熱コイル１０で、複数の共振周波数を有することが可能となるものである。
【００２５】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１〜３に記載の発明によれば、別部品の共振コンデンサが不要あるいは別部品の共振コンデンサの容量を低減することができ、簡単な構成でかつ高周波域でも損失上昇のない低コストかつ低損失の加熱コイルを備えた安価な誘導加熱装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施１における誘導加熱装置の加熱コイルと被加熱物の位置関係を示す図
【図２】 同誘導加熱装置の加熱コイル構成を示す図
【図３】 同誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示す図
【図４】 本発明の実施例２、６における誘導加熱装置の加熱コイルの等価回路を示す図
【図５】 本発明の実施例３における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図６】 本発明の実施例４における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図７】 本発明の実施例５における誘導加熱装置の加熱コイルの構成を示す図
【図８】 従来の誘導加熱装置の断面図
【図９】 同、加熱コイルの平面図
【図１０】 同、加熱コイルの高周波抵抗の特性を示す図
【図１１】 同、加熱コイルの高周波抵抗の特性の拡大図
【図１２】 同、加熱コイルの等価回路を示す図
【符号の説明】
１０ 加熱コイル
１１ 電気導体
１３ 浮遊容量
２０ 共振コンデンサ
２５ 誘電体
２６ 電気導体
Claims (3)
- 電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に誘電体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給する誘導加熱装置。
- 電気導体を渦巻き状に巻回し加熱コイルを形成するとともに前記電気導体の線間に電気絶縁体を介して他の電気導体を挿入することにより共振コンデンサを形成し、前記加熱コイルと前記共振コンデンサの共振を利用して前記加熱コイルに高周波電流を供給する誘導加熱装置。
- 電気導体の線間距離よりも、前記電気導体の高さ方向の寸法を大とした請求項１〜２のいずれか１項に記載の誘導加熱装置。
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| JPWO2011030539A1 (ja) * | 2009-09-11 | 2013-02-04 | パナソニック株式会社 | 電磁誘導コイルユニットおよび電磁誘導装置 |
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2001
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