JP3018375B2 - 溶融亜鉛めっき設備におけるポット内ボトムドロスの除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶融亜鉛めっき設備におけるポット内ボト
ムドロスの除去装置に関する。

〔従来の技術〕

鋼板の溶融亜鉛めっき設備におけるポット内では、鋼
板から溶出した鉄分と亜鉛浴との金属間化合物生成反応
によって鉄−亜鉛合金が生成し、これが時間の経過とと
もにポット底部に堆積してボトムドロスを生成する。そ
して、このボトムドロスの堆積量が増加してくると、ド
ロスが通板により生ずる浴流れ等に巻き込まれてめっき
鋼板の表面に付着し、表面外観上の欠陥となる。

このボトムドロスの堆積を防ぐ方法として、亜鉛浴中
にアルミを添加し、 2FeZn₇＋5Al→Fe₂Al₅＋14Zn の置換反応により、鉄−アルミ金属間化合物を生成させ
てポット浴面に浮上させ、系外に除去する方法が知られ
ている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、アルミは鉄−亜鉛合金めっき鋼板の合
金化反応を抑制する作用があり、近年需要が増大してい
るこの種の合金化めっき製品を製造する場合、アルミ濃
度を高めることができないという問題がある。

一方、ボトムドロスの除去若しくは生成防止方法とし
て、ドロスを亜鉛浴と共にポンプで浴外に汲み出し、
ガラス繊維やセラミックフィルタ等のフィルタで除去す
る方法、亜鉛浴をポンプで汲み出し、温度低下による
Feの晶出によってFe分を除去する方法、等が提案されて
いる。

しかし、これらのうちの方法は、フィルタが高価で
しかも効率が悪く、またフィルタを頻繁に交換する必要
がある等の難点があり、実用的な方法ではない。また
の方法は、汲みだした亜鉛浴の温度低下があまりないた
め効率が悪く、大量生産用には全く不向きである。

以上のように、従来ボトムドロスの堆積防止或いはそ
の除去に関しては有効な手段はなく、このため、操業を
定期的に中止し、ポット内からのボトムドロスの汲取り
を行っているの現状である。

本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもの
で、生成するボトムドロスを、操業を中断することなく
ポット系外に効率的に排出除去することができる装置の
提供をその目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

このため本発明の装置は、傾斜したポット底部の最下
部に接続される抜き出し管と、該抜き出し管途中に設け
られるポンプと、前記抜き出し管で抜き出された亜鉛浴
が送給されるドロス除去槽と、一端が前記ドロス除去槽
の上部に接続され、ドロス除去槽からポットに亜鉛浴を
返送すべき返送管とからなり、前記ドロス除去槽内の亜
鉛浴入口と出口との間に、浴流れを抑制すべき複数の邪
魔板を設けたことをその特徴とする。

また、本発明装置の他の特徴は、上記の装置構成にお
いて、ポット内にシンクロールが配置され、該シンクロ
ールに対する入側鋼板と出側鋼板とによって囲まれたシ
ンクロール上方の領域に、返送管を通じてドロス除去槽
から亜鉛浴が返送されるように構成したことにある。

〔作用〕

本発明装置では、傾斜したポット底部に堆積したボト
ムドロスを含む亜鉛浴が、抜き出し管を通じポンプによ
り抜き出され、ドロス除去槽に送給される。ドロス除去
槽内では複数の邪魔板により亜鉛浴の流れが抑えられ、
且つ亜鉛浴の澱みが形成されるため、ドロスは亜鉛浴が
槽出口に達する前に槽底部に確実に沈降し、槽出口から
はドロスを含まない亜鉛浴のみが排出され、返送管を通
じポットに戻される。

また、本発明のより好ましい形態によれば、ポット内
にシンクロールが配置された装置において、槽出口から
排出されたドロスを含まない亜鉛浴は、シンクロールに
対する入側鋼板と出側鋼板とによって囲まれたシンクロ
ール上方の領域に返送される。

ポットからの亜鉛浴の抜き出しは、連続的に行って
も、あるいは時間的な間隔をおいて行ってもよい。ドロ
ス除去槽の底部に堆積したドロスは、定期的に槽外に汲
み出される。このように本発明では、フィルタ等を用い
ることなく、ボトムドロスの沈降性を利用して亜鉛浴か
らドロス分離除去するため、ドロス除去を効率的に実施
することができる。

〔実施例〕

第１図は本発明の一実施例を示すもので、１はポッ
ト、２はシンクロール、３はスナウト、８はポット内の
亜鉛浴、Ｓは被めっき鋼板である。

本発明の装置は、ポットから亜鉛浴を抜き出すための
抜き出し管４と、この抜き出し管の途中に設けられるポ
ンプ５と、抜き出された亜鉛浴からドロスを分離除去す
るためのドロス除去槽６と、該ドロス除去槽でドロスが
除去された亜鉛浴をポットに返送するための返送管７と
から構成されている。

ポット１の底部12は、その中央部に向かって谷状に傾
斜しており、前記抜き出し管４は、その一端が前記谷状
のポット底部12の最下部に接続されている。

前記ドロス除去槽６は、ポット１よりも高い位置に設
けられている。このドロス除去槽６は、その一端の上部
に亜鉛浴の入口10を、また他端の上部に亜鉛浴の出口11
をそれぞれ有しており、前記抜き出し管４の他端が前記
入口10に接続されている。

ドロス除去槽６内には、導入された亜鉛浴の流れを抑
え、ドロスを確実に沈降させるための複数の邪魔板9a、
9bが槽幅方向に沿って設けられている。本実施例では、
槽の上部から垂設される複数の邪魔板9aと、槽底部に立
設される複数の邪魔板9bとが、互いに向かいあう邪魔板
間に入り込むようにして設けられている。

前記返送管７は、その一端がドロス除去槽の前記出口
11に接続され、また、他端がポット１のシンクロール２
上方に位置している。

次に、以上のような本発明装置の使用方法を説明す
る。

操業中、ポット１内で生成するボトムドロスは谷状に
傾斜した底部12の最下部に集められ、このドロスを含む
亜鉛浴がポンプ５により抜き出し管４に抜き出され、ド
ロス除去槽６に送給される。ドロス除去槽６に導入され
た亜鉛浴は、邪魔板9a、9bの間を通って出口11方向に流
れ、この過程でドロスが槽底部に沈降する。すなわち、
亜鉛浴は邪魔板9a、9bの作用でその流れの勢いが抑制さ
れ、出口方向にゆっくりと流れ、しかも複数の邪魔板9a
間に亜鉛浴の澱みが形成されるため、亜鉛浴が出口11に
達する間に、それに含まれるほとんどのドロスが槽底部
に沈降することになる。そして、ドロスをほとんど含ま
ない亜鉛浴は、槽上部に設けられた出口11から返送管７
を通じポット１に返送される。本実施例では、ドロス除
去槽６がポット１よりも上方に設けられているため、亜
鉛浴は自然流下によりポット１に流れ込む。

また、一般に、入側鋼板と出側鋼板とによって囲まれ
たシンクロール上方の領域で生成するドロスが、最も製
品欠陥の原因となりやすいため、本実施例では、ドロス
を含まないドロス除去槽からの亜鉛浴をこの領域に積極
的に流し、この領域に生成したドロスの滞留を防止して
いる。

以上のようなドロスの抜き出しは、めっき操業中連続
的、或いは適当な時間的間隔をもって行われる。また、
ドロス除去槽６内に然るべき量のドロスが堆積した時点
で、ポンプ５による亜鉛浴の抜き出しを中止し、ボトム
ドロス除去槽６からドロスを除去する。このドロスの除
去は人手または機械によるスキミング、或いはメタルポ
ンプによる吸引等の手段で行うことができる。

なお、第１図の実施例では、ドロス除去槽６をポット
１よりも高い位置に設け、亜鉛浴をポット内に自然流下
させるようにしているが、ドロス除去槽６をより下方に
設け、返送管７の途中に設けられるポンプによりポット
１に返送するようにしてもよい。

また、ポット１の底部12は、これを一方向にだけ傾斜
させ、その最下部に抜き出し管を接続するようにしても
良い。

また、邪魔板の構成も上記実施例に限定されるもので
はなく、浴流れを抑え且つ適当な澱みを形成させるもの
であれば、その構成を問わない。

〔発明の効果〕

以上述べた本発明のドロス除去装置によれば、操業を
中断することなく、ポット内のボトムドロスを効果的に
除去することができ、めっき欠陥のない美麗めっき面を
有する溶融亜鉛めっき鋼板を生産性良く製造することが
できる。また、フィルタ等の特殊な除去手段を用いない
ため、ドロス除去を低コストに実施することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す説明図である。 図において１はポット、４は抜き出し管、５はポンプ、
６はドロス除去槽、７は返送管、８は亜鉛浴、9a、9bは
邪魔板、10は入口、11は出口、12はポット底部、Ｓは被
めっき鋼板である。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜したポット底部の最下部に接続される
   抜き出し管と、該抜き出し管途中に設けられるポンプ
   と、前記抜き出し管で抜き出された亜鉛浴が送給される
   ドロス除去槽と、一端が前記ドロス除去槽の上部に接続
   され、ドロス除去槽からポットに亜鉛浴を返送すべき返
   送管とからなり、前記ドロス除去槽内の亜鉛浴入口と出
   口との間に、浴流れを抑制すべき複数の邪魔板を設けて
   なる溶融亜鉛めっき設備におけるポット内ボトムドロス
   の除去装置。
2. 【請求項２】ポット内にシンクロールが配置され、該シ
   ンクロールに対する入側鋼板と出側鋼板とによって囲ま
   れたシンクロール上方の領域に、返送管を通じてドロス
   除去槽から亜鉛浴が返送されるように構成した請求項１
   に記載の溶融亜鉛めっき設備におけるポット内ボトムド
   ロスの除去装置。