JP3014549B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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JP3014549B2 JP4232318A JP23231892A JP3014549B2 JP 3014549 B2 JP3014549 B2 JP 3014549B2 JP 4232318 A JP4232318 A JP 4232318A JP 23231892 A JP23231892 A JP 23231892A JP 3014549 B2 JP3014549 B2 JP 3014549B2
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誠章 内藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al2 3 を多量に含
有する焼結鉱を使用し、且つ、羽口から微粉炭を多量に
吹き込んで高炉を操業するに際し、低湿分送風を行うこ
とによって、低コークス比で安定した操業をするための
高炉操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の高炉においては、コークス比を低
減するために、前記羽口から粒径0.1mm以下の微粉
炭を多量に吹き込む操業が行われ、例えばR.Nico
lleら:CAMP−ISIJ,(1991),p96
によれば、フランスのDunkerqueの高炉におい
て、微粉炭比(溶銑1t製造するのに使用した微粉炭量
である)を180kg/t−pigの多量吹込みとし、
この際、羽口先温度の低下を防止するために、送風湿分
を10g/Nm3 ( 羽口から吹き込む送風量1m 3 当た
りに含まれる水分量)前後にして操業した実績が報告さ
れている。また、日本国内においても、微粉炭比を10
0kg/t−pigの多量吹込み操業下で、送風湿分を
15g/Nm3 以下で操業を行っている高炉もある。し
かし、この何れの高炉においてもAl2 3 含有率が低
い(前者の場合が1.2%以下、後者の場合が1.3〜
1.6%程度)良好な焼結鉱を使用していることから、
安定した炉況が得られていた。
【0003】しかし、最近の原料事情により、特にAl
2 3 含有率の高い鉄鉱石が多くなり、これに伴って、
焼結鉱のAl2 3 含有率が高くなり、1.8%以上に
達するものが製造されている。このような高Al2 3
焼結鉱を使用すると、図2に示すように冷間強度が低下
し、焼結鉱の還元粉化率は上昇することから、通気性が
悪化して、炉内の反応効率が急激に低下すると共に融着
帯が肥大化(融着帯の層厚が厚くなる)し、これに伴っ
て送風圧力上昇が生じ易くなることから、安定した高炉
操業の継続が困難となる。この対策として、送風湿分を
増加することによって、下記の作用により送風圧力の
上昇を抑制している。 湿分は炉下部に堆積している細粒コークスと優先的に
反応(C+H2 O=H2+CO−31.2kcal/g
−mol)して該細粒コークスが消滅して通気性が良好
になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように羽口から吹
き込む送風湿分を増加すると、送風圧力の上昇は抑制で
き安定した高炉操業を行うことが可能になるが、その湿
分が上記に示すように分解反応することから、その吸
熱反応に相当する熱源及び消費された細粒コークス分の
コークスを補充することが必要となってコークス比が高
くなる。更に、前記送風湿分の分解吸熱反応が羽口先部
分で主に行われるため羽口先温度が低くなり、その分羽
口より微粉炭を吹き込むことが出来ない等の問題を有す
るものであった。本発明はAl2 3 含有率1.8%以
上を有する高Al2 3 焼結鉱を使用し、且つ、微粉炭
比が100kg/t−pig以上の高炉において、送風
中の湿分を15g/Nm3 以下の低送風湿分にして、低
コークス比で安定した高炉操業を行うことを課題とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、高炉羽口から微粉炭を100kg/
t−pig以上を吹き込み、更に、Al2 3 を1.8
%以上有する焼結鉱を主体とし、且つ、小塊コークスを
混合した鉄鉱石と通常コークスを交互に装入して、送風
湿分15g/Nm3 以下で高炉操業を行うに際して、前
記鉄鉱石層への小塊コークス使用量、鉄鉱石層厚の変
更、焼結鉱の被還元性の一つ、または複数を調整して、
炉下部の通気抵抗指数(以下単に下部K値と称す)を所
定値以下に維持する高炉操業方法である。
【0006】
【作用】本発明者等は高炉々内に装入する焼結鉱中のA
2 3 含有率が炉況に与える影響に付いて種々実験、
検討した結果、下記の事が判明した。まず、焼結鉱中の
Al2 3 含有率と焼結鉱品質(冷間強度及び還元粉化
指数)との関係を調査した結果を図2に示す。この図か
ら分かるように、焼結鉱中のAl2 3 含有率の増加に
伴い、焼結鉱の冷間強度は低下し、焼結鉱の還元粉化率
は上昇する傾向にある。
【0007】次に、焼結鉱中のAl2 3 含有率と炉頂
COガス利用率ηCOの関係を調査した結果を図1に示
す。この図1から分かるように、焼結鉱中のAl2 3
含有率が増加するに伴い炉頂ガス利用率ηCOは低下す
る。そして、Al2 3 が1.8%以上になると前記炉
頂ガス利用率ηCOの低下が顕著になる。このため、Al
2 3 を1.8%以上含有する高Al2 3 焼結鉱を使
用することによって、炉内において装入した焼結鉱が粉
化し易くなり、ガス通気性を悪化させて高炉々内に形成
する融着帯を急速に肥大化させ、下部通気抵抗又は下部
通気抵抗指数(以下単に下部K値と称す)が上昇する原
因である事が判明した。
【0008】又、送風湿分と前記下部K値について調査
した結果を図3に示す。この図3から判るように送風湿
分が15g/Nm3 以下になると急激に下部K値が上昇
する事が判明した。このように焼結鉱のAl2 3
1.8%以上で、送風湿分を15g/Nm3以下に低減
すると、この両者の影響により急激に炉内の下部K値が
上昇して融着帯の肥大化が生じ、炉況が不安定になる。
このため、本発明者は下部K値の上昇原因となる融着帯
の肥大化を抑制しつつ1.8%以上のAl2 3 を含有
する高Al2 3 焼結鉱を使用すると共に15g/Nm
3 以下の送風湿分で安定した高炉操業を行う方法につい
て種々検討した。この融着帯の肥大化は(1)主に焼結
鉱自体の還元性に左右され、この焼結鉱の還元性が良好
な場合は高炉Al2 3 焼結鉱であっても融着帯部分に
於ける還元溶融がスムーズとなり、融着帯の肥大化を抑
制できる。
【0009】また、(2)融着帯部分での焼結鉱を含む
鉄鉱石層の通気性を良好にすると、上記(1)と同様に
高Al2 3 焼結鉱であっても融着帯部分での還元溶融
がスムーズとなり融着帯の肥大化を抑制出来ることを見
出した。上記(1)のように、1.8%以上のAl2
3 を含有する焼結鉱自体の被還元性を良好にする方法と
しては公知の方法を用いれば良く、その方法として、例
えば、焼結鉱原料のSiO2 を低減し、塩基度を高く
して、低FeOの焼結鉱とする方法、ローブリバーな
どの多孔質粉鉱石の配合率を増やして、全気孔率の高い
焼結鉱とする方法がある。
【0010】又、上記(2)の融着帯部分での鉄鉱石層
の通気性を良好にする方法として、 特公昭52−43169号公報に提案されているよう
に、炉内に装入する鉄鉱石層中に粒径10〜25mm程
度の小塊コークスを混合して使用する方法や炉内に装
入する鉄鉱石の1チャージ当たりの量を増減して、炉内
に堆積する1層当たりの鉄鉱石層厚を変化する方法があ
る。上記(1)(2)を立証するため、融着層の通気性
を評価する下部K値と上記各要因(焼結鉱自体の還元性
の指標としてのFeO含有割合、鉄鉱石中への小塊コー
クス混合量、炉内堆積鉄鉱石の層厚)との関係について
調査し、この結果を図4(a)〜(c)に示す。尚、こ
の際に於ける焼結鉱のAl2 3 含有量は1.8〜2.
0%の例である。
【0011】この図4(a)〜(c)から判るように、
前記小塊コークスの混合量増大、鉄鉱石層厚の低薄化,
焼結鉱の低FeO化(被還元性の向上)に伴い、下部K
値は低下した。従って、高Al2 3 焼結鉱を使用し、
且つ、低送風湿分での操業時でも、低FeO焼結鉱の使
用、小塊コークスの混合増大、鉄鉱石層厚の低薄化によ
って、鉄鉱石層の溶融還元をスムーズにして融着帯の肥
大化を抑制し、下部K値の上昇を抑制することが可能で
ある。
【0012】又、前記のように15g/Nm3 以下の低
送風湿分とすることが出来るので、羽口先温度が上昇す
るため、100kg/t−pig以上の微粉炭の吹き込
みが可能となるものである。尚、上記下部K値は高炉の
内容積、炉内装入物条件、炉内圧力測定位置により多少
異なることから、その高炉に於いて安定操業可能な管理
上限値を求めておき、この管理上限値以下に維持するも
のである。更に、この下部K値は高炉シャフト下部に設
けた圧力計で求めた炉内ガス圧力PS、送風圧力を測定
する圧力計で求めた送風圧力PB、計算から求めたボッ
シュガス量BVを用いて下式により求めた値である。 K={(PS+A)2 −(PB+A)2 }/BV1.7 但し、Aは定数であり高炉の内容積、形状で異なる値。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。対
象高炉は内容積4000m3 級の大型高炉であり、焼結
鉱を主体とし、粒度が10〜25mmの通常冶金用小塊
コークスを混合した鉄鉱石と通常冶金用コークスを炉頂
より交互(1バッチを「コークスC−コークスC−鉄鉱
石O−鉄鉱石O」の各チャージで構成)に装入し、高炉
羽口から微粉炭を熱風と共に吹込み、出銑量9000t
/日で操業している。
【0014】
【表1】
【0015】実施例1は調整前において、炉内の鉄鉱石
層厚765(mm)と厚く、しかも、鉄鉱石層に混合す
る小塊コークスが1.5(t/ch)と少なく炉況が不
安定であった。これを調整後に示すように、高炉々頂か
ら装入する鉄鉱石量を7(t/ch)減少して118t
/chとして、炉内に形成する鉄鉱石層厚を43(m
m)薄くして、722(mm)とし、更に、前記小塊コ
ークスを1(t/ch)増加して2.5(t/ch)に
調整したものである。これにより、炉下部K値が低下し
当該高炉の管理上限値1.85より低い1.835とな
り安定した炉況が継続出来、コークス比は21kg/t
−pig減少して375kg/t−pigとなった。
【0016】実施例2は調整前において、焼結鉱中のF
eOが高く炉況が不安定であった。これを調整後に示す
ように、焼結鉱中のFeOが1.0(%)低い5.5
(%)の焼結鉱に切替えたものである。これにより、炉
下部K値は低下して1.855から1.820に低下し
管理上限値(1.850)以下となり安定した炉況が継
続出来、コークス比は5kg/t−pig低下した。
【0017】以下同様に実施例3は高炉々頂から装入す
る鉄鉱石Oの1チャージの量を20t減少して107t
/chとして、炉内における鉄鉱石層厚を123(m
m)薄くして655(mm)に調整したものである。
又、実施例4は鉄鉱石Oの1チャージに混合する前記小
塊コークスを1.5t増加して3.035(t/ch)
に調整したものである。実施例5は焼結鉱中のFeOの
少ない焼結鉱に切替えると共に高炉々頂から装入する鉄
鉱石Oの1チャージの量を減少して、炉内における鉄鉱
石層厚を薄くし、更に、鉄鉱石Oに混合する小塊コーク
ス量を低減する調整を行ったものである。従来例はAl
2 3 が1.8%以上の高Al2 3 焼結鉱を使用し
て、安定操業を継続するために送風湿分を25g/Nm
3 と高湿分にして操業した例である。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によると
1.8%以上のAl2 3 を含有した焼結鉱を使用する
高炉において、羽口から吹込む送風中の湿分を15g/
Nm3に低下しても、炉況を良好に維持することが出来
るので、コークス比を大幅に低減することが出来、この
分野における効果は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼結鉱中のAl2 3 含有率と炉頂COガス利
用率ηCOの関係を示す図。
【図2】焼結鉱Al2 3 含有率と焼結鉱品質との関係
を示した図。
【図3】送風湿分量と炉下部K値との関係を示す図。
【図4】炉下部K値と小塊コークス量、鉄鉱石量、焼結
鉱中のFeO含有量の各々の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21B 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉羽口から微粉炭を100kg/t−
    pig以上を吹き込み、更に、Al2 3 を1.8%以
    上有する焼結鉱を主体とし、且つ、小塊コークスを混合
    した鉄鉱石と通常コークスを交互に装入して、送風湿分
    15g/Nm 3 以下で高炉操業を行うに際して、前記鉄
    鉱石層への小塊コークス使用量、鉄鉱石層厚の変更、焼
    結鉱の被還元性の一つ、または複数を調整して、炉下部
    の通気抵抗を所定値以下に維持することを特徴とする高
    炉操業方法。
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