JP3010977B2 - ポリオレフィン樹脂成形物の表面改質方法及びその表面塗装方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂成形物の表面改質方法及びその表面塗装方法

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JP3010977B2
JP3010977B2 JP5163619A JP16361993A JP3010977B2 JP 3010977 B2 JP3010977 B2 JP 3010977B2 JP 5163619 A JP5163619 A JP 5163619A JP 16361993 A JP16361993 A JP 16361993A JP 3010977 B2 JP3010977 B2 JP 3010977B2
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばポリプロピレン
等の表面極性の比較的小さいポリオレフィン樹脂成形物
の表面改質方法及びその表面塗装方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレンに代表される表面
極性の比較的小さいポリオレフィン樹脂成形物を例えば
塗装等の2次加工に供する場合、まずトリクロロエタン
等の溶剤により樹脂成形物表面の洗浄が行われる。次
に、その表面にプライマー塗装が施されたり、あるい
は、プラズマ処理が施される。このような処理が施され
ることにより、表面が極性化されて樹脂成形物と上塗り
塗料との間が強固に接合される。しかし、近年では、ト
リクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等の有機溶剤を
用いて洗浄するのを規制する要求が高まってきており、
上記の溶剤に代わるポリオレフィン樹脂成形物の表面を
改質するための新たなる方法が各方面において研究され
ている。
【0003】そこで、上記の要求に答える技術の1つと
して、例えば特開平3−103448号公報に開示され
たものが挙げられる。この技術では、ポリプロピレン系
の樹脂成形物がオゾン気流下で処理されることにより、
その表面が酸化され、親水性が改質される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、ポリプロピレン系の樹脂成形物をオゾン気
流下で処理するようにしていた。このため、樹脂成形物
の全ての表面を均一に改質することは困難であった。す
なわち、表面を均一に改質するためには、オゾン気流を
全ての表面に対して均一に、かつ、各表面に対して同一
時間だけに当てなければならない。従って、樹脂成形物
が複雑な凹凸形状をなすような場合には、樹脂成形物又
は気流を適当に動かしたりしなければ、樹脂成形物の全
ての表面を均一に改質することができず、結果として均
一な塗装を施すことが非常に困難となっていた。
【0005】また、上記従来技術では、表面改質の前段
階においては、従前として有機物等の汚れを洗浄処理し
なければならなかった。このため、洗浄用に別途有機溶
剤を用いる必要があるとともに、少なくとも洗浄工程の
分だけは工程増となっていた。
【0006】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的はポリオレフィン樹脂成形
物の表面を改質するに際し、有機溶剤の使用を省略し
て、樹脂成形物の表面を容易に、かつ、均一に改質する
ことが可能で、樹脂成形物の表面に塗膜層を強固に形成
することが可能なポリオレフィン樹脂成形物の表面改質
方法及びその表面塗装方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明においては、ポリオレフィン樹脂成形物
をオゾン水溶液に接触させて、前記ポリオレフィン樹脂
成形物の表面を酸化させる際に、前記オゾン水溶液の温
度をT℃とし、前記ポリオレフィン樹脂成形物のオゾン
水溶液への接触時間をC分としたとき、T×Cの値が4
50以上であるとともに、前記オゾン水溶液の温度が4
0℃以上70℃以下であり、かつ、水素イオン指数が7
以下に設定することをその要旨としている。
【0008】
【0009】
【0010】また、第2の発明においては、第1の発明
に記載の表面改質方法により表面の改質されたポリオレ
フィン樹脂成形物の表面に直接塗膜層を形成することを
特徴とするポリオレフィン樹脂成形物の表面塗装方法を
その要旨としている。
【0011】加えて、第3の発明においては、第1の発
明に記載の表面改質方法により表面の改質されたポリオ
レフィン樹脂成形物の表面に、プライマー層を形成し、
同プライマー層上に塗膜層を形成することを特徴とする
ポリオレフィン樹脂成形物の表面塗装方法をその要旨と
している。
【0012】
【作用】上記の第1の発明によれば、ポリオレフィン樹
脂成形物が温度が40℃以上70℃以下であり、かつ、
水素イオン指数が7以下に調整されたオゾン水溶液に
前記オゾン水溶液の温度をT℃とし、前記ポリオレフィ
ン樹脂成形物のオゾン水溶液への接触時間をC分とした
とき、T×Cの値が450以上となるように接触され
る。この接触により、ポリオレフィン樹脂成形物の表面
に付着していた有機物等の汚れが分解される。このた
め、別途有機溶剤等で樹脂成形物の表面を洗浄する工程
の簡略化が可能となる。さらに、上記のように調整され
たオゾン水溶液においては、オゾンが分解されにくく、
オゾン濃度をより高めることが可能となり、反応性を高
めることができる。
【0013】また、水中に残存するオゾンの酸化力によ
り、ポリオレフィン樹脂成形物の表面が酸化され、極性
化される。このとき、ポリオレフィン樹脂成形物がいか
なる形状をなしていたとしても、オゾン水溶液は、樹脂
成形物の全表面に確実に接触することが可能となる。そ
のため、樹脂成形物の各表面において、均一に酸化反応
が行われ、各箇所における反応斑が起きにくい。
【0014】
【0015】
【0016】また、第2の発明によれば、第1の発明に
記載の表面改質方法により表面の改質されたポリオレフ
ィン樹脂成形物の表面に直接塗膜層が形成される。この
ため、塗膜層は、均一に酸化、極性化された表面と強固
に接合することが可能となる。
【0017】加えて、第3の発明によれば、第1の発明
に記載の表面改質方法により表面の改質されたポリオレ
フィン樹脂成形物の表面に、プライマー層が形成され
る。また、同プライマー層上に塗膜層が形成される。こ
のため、プライマー層は、均一に酸化、極性化された表
面と強固に接合することが可能となり、特に厳選され
た、プライマー素材を用いたり、焼付処理に特別な工夫
を施す必要がない。また、塗膜層は、そのプライマー層
に対し、強固に接合される。
【0018】
【実施例】 (第1実施例)以下、本発明を具体化した第1実施例を
図1〜4に従って詳細に説明する。
【0019】(ポリオレフィン樹脂成形物の作製)ま
ず、本実施例では、ポリオレフィン樹脂としてポリプロ
ピレンのホモポリマーを用いた。そして、上記ポリマー
を「30×90×3mm」のサイズに成形し、テストピ
ースとした。
【0020】(装置)次に、表面改質に際して用いる装
置について説明する。図1に示すように、表面改質装置
1はステンレス製の容器2及びオゾン発生装置3を備え
ている。前記容器2中には、超純水が貯留されていると
ともに、この容器2には注入口4及び排出口5が設けら
れている。そして、この容器2中には「1.5リットル
/分」の流量で新たな超純水が注入口4から注入され続
け、かつ、それとほぼ同じ流量の排水が排出口5から排
出されるようになっている。
【0021】また、オゾン発生装置3には、同装置3に
て発生したオゾンを前記容器2内に導くためのホース6
の一端が接続されている。また、ホース6の他端は、容
器2の底部にまで延びている。そのため、オゾン発生装
にて発生したオゾンはホース6を介して水中にバブ
リングされ、その一部が超純水に溶けるようになってい
る。
【0022】さらに、前記容器2には図示しない恒温装
置が設けられ、同恒温装置により、オゾンが溶けた超純
水、すなわちオゾン水溶液の温度が一定に保持されるよ
うになっている。なお、水の温度に対するオゾンの溶解
度係数の関係は、図2に示すような関係となっている。
すなわち、水の温度の上昇に伴ってオゾンは溶解されに
くくなる。また、これに相反して、水の温度が高い方が
反応速度が増大することも一般的に知られている。
【0023】(改質実験A)次に、表1に示すように、
上述のようにして得られたテストピースを種々の温度
(25℃、45℃、55℃)を有するオゾン水溶液中に
所定時間(2分、5分、10分、30分、60分,30
0分)だけ浸漬させた。
【0024】
【表1】 そして、浸漬完了後、各テストピースの表面部分の酸化
度合いを検証すべく、FT−IR測定を実施した。な
お、この測定に際しては、パーキンエルマ製の1760
Xを用いて、「2000〜400cm-1」の周波数領域で
測定した。そのときの測定結果を図3,4に示す。これ
らの図において、所定の条件下で行った場合において
「1713cm-1」付近にカルボニル基の存在を示す吸収
が認められる。すなわち、オゾンによってポリプロピレ
ンの表面が酸化されてカルボニル基が発生したことがわ
かる。そして、これらの図に示すように、テストピース
を同一温度で浸漬させた場合には、長時間浸漬させた方
がカルボニル基の生成が進行しているといえる。また、
同一時間浸漬させた場合には、高温のオゾン水溶液に浸
漬させた方がカルボニル基の生成が進行しているといえ
る。
【0025】(改質実験B)次に、上記浸漬後のテスト
ピースを用いて、その表面に直接塗膜層を形成し、該塗
膜層のピーリング(引き剥がし)強度試験を行った。す
なわち、浸漬後のテストピースを室温にて48時間放置
後、上塗り塗料として関西ペイント社製のウレタン塗料
(商品名:SFX200)を約100μmの膜厚となる
よう塗布した。そして、85℃×40分間の強制乾燥を
施した後、約1週間室温で放置した。その後、形成され
た塗膜層のピーリング強度を引張試験機(テンシロン)
にて測定した(但し、引張角度は180°、引張速度は
50mm/秒)。そのときの測定結果を表2に示す。
【0026】
【表2】 なお、比較例として、従来技術と同様の塗膜(プライマ
ー+上塗り塗料)を形成した際のピーリング強度も測定
した。すなわち、テストピースをトリクロロエタンで洗
浄した後、プライマー(カシュー株式会社製 商品名:
TCマイクロン)を約15μmの膜厚となるよう塗布
し、その上から前記と同じ上塗り塗料を約100μmの
膜厚となるよう塗布した。そして、85℃×40分間の
強制乾燥を施した後、約1週間室温で放置した。その場
合(比較例)のピーリング強度は、「1.00〜1.0
5kgf /cm」であった。
【0027】上記表2と比較例とを比較しても明らかな
ように、オゾン水溶液の温度に依存する浸漬時間を制御
することにより、比較例とほぼ同等か、あるいはそれ以
上のピーリング強度を有していることが分かる。すなわ
ち、本実施例によれば、プライマー塗装を施さずとも、
同塗装を施した場合と同程度のピーリング強度が得られ
ることが分かる。一方、オゾン水溶液中に浸漬させたと
しても、オゾン水溶液の温度に依存する浸漬時間が十分
でない場合には、テストピース表面の酸化が充分に進行
しておらず、改質が不十分であることが分かる。その結
果、ピーリング強度が著しく低くなってしまっている。
【0028】また、本実施例では、別途洗浄工程を経て
いないにもかかわらず、洗浄工程を経た比較例に比べ
て、ほぼ同等かあるいはそれ以上のピーリング強度を有
していることが分かる。このため、本実施例では、オゾ
ン水溶液に浸漬させることにより、酸化反応とともに、
テストピース表面に付着した有機物の洗浄が行われてお
り、その洗浄が充分なものであるということができる。
【0029】このように、本実施例によれば、テストピ
ースをオゾン水溶液に接触させることにより、ポリプロ
ピレンよりなるテストピース表面に付着していた有機物
等の汚れが分解される。このため、表面の改質に際し
て、別途有機溶剤を用いてテストピースの表面を洗浄す
る工程を省略することができる。その結果、作業者の手
間を少なくすることができるとともに、有機溶剤を用い
た場合に比べて環境悪化防止及びコストの低減を容易に
図ることができる。
【0030】また、水中に残存するオゾンの酸化力によ
り、ポリプロピレンよりなるテストピースの表面が酸化
され、極性化される。このとき、テストピースがいかな
る形状をなしていたとしても(本実施例では6面体)、
オゾン水溶液を、テストピースの全表面に確実に接触さ
せることができる。そのため、テストピースの各表面に
おいて、均一に酸化反応が行われ、各箇所における反応
斑が起きにくい。従って、表面の改質に際して、当該表
面を容易に、かつ、均一に改質することができる。そし
て、形成された塗膜層は、均一に酸化、極性化された表
面と強固に接合することが可能となる。 (第2実施例)次に、本発明を具体化した第2実施例に
ついて説明する。
【0031】本実施例では、ポリオレフィン樹脂成形物
の表面にプライマー層を介して塗膜層を形成した点で、
前記第1実施例とは異なっている。 (ポリオレフィン樹脂成形物の作製)本実施例において
も、まず、ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレンの
ホモポリマーを用いた。そして、上記ポリマーを「11
0×150×3mm」のサイズに成形し、テストピース
とした。
【0032】(装置)次に、表面改質に際して用いる装
置について説明する。本実施例においては、図5に示す
ように、表面改質に際して用いられる装置として、前記
第1実施例で説明した表面改質装置1の外に、パワーウ
ォッシュ装置11、純水洗浄装置12及び乾燥炉13を
備えている。但し、表面改質装置1のオゾン水溶液中に
は、同溶液の水素イオン指数(以下pHという)を所定
値に保つため、硫酸等の酸が添加されている。
【0033】また、パワーウォッシュ装置11は、表面
改質装置1の前工程で用いられ、同装置11に設けられ
た噴射ノズル(図示せず)からは、温水(60℃)が
「1kg/cm2」の水圧で噴射されるようになっている。さ
らに、純水洗浄装置12は表面改質装置1の後工程で用
いられ、同装置12に設けられた噴射ノズル(図示せ
ず)からは、テストピースに付着したオゾン水を洗浄
し、乾燥時のしみの発生を防止するための純水が噴射さ
れるようになっている。併せて、乾燥炉13は、純水洗
浄装置12の後工程で用いられ、表面改質されたテスト
ピースの表面を乾燥するようになっている。
【0034】(改質実験C)次に、テストピースを上記
の各装置に供し、改質を施した。すなわち、テストピー
スの表面をパワーウォッシュ装置11にて温水で洗浄
し、テストピースを表面改質装置1に供した。その後、
純水洗浄装置12にて表面を洗浄し、乾燥炉13にて表
面を乾燥させた。ここで、前記表面改質装置1のオゾン
水溶液のオゾン濃度を「4mg/L」、温度を「50℃」、
pHを「5.5」とし、同液中に浸漬させておく処理時
間を0(未処理)、30秒、2分、5分、10分とし
た。その後、テストピースの表面にプライマー(藤倉化
成製 グレード名:EXP−4015)をスプレー塗布
し、さらに上塗り塗料(関西ペイント製 グレード名:
SFX200)をスプレー塗布した。そして、室温で1
5分乾燥させた後、80℃×30分間の乾燥焼付工程に
供した。その後、さらに室温で7日間乾燥させ、膜厚
「10μm」のプライマー層と、その上の膜厚「30μ
m」の塗膜層とを形成した。
【0035】そして、テストピース上にプライマー層及
び塗膜層を形成したものをゴバン目剥離試験に供した。
この試験においては、テストピース上の塗膜層に切込み
をゴバン目状に入れてその数を100とし、それにテー
プを接着させて引き剥がす。これを1つのサンプルにつ
き10回繰り返し、何らの剥離もしなかったものを剥離
なし(表中では「○」)とした。その試験結果を表3上
段に示す。
【0036】また、テストピース上にプライマー層及び
塗膜層を形成したものを40℃の水に240時間浸漬さ
せ、その後上記と同様のゴバン目剥離試験に供した。そ
の試験結果を表3下段に示す。
【0037】
【表3】 表3上段に示すように、未処理の場合には、5回目の引
き剥がしで100枚のうち1枚が剥離してしまった。一
方、オゾン水溶液で処理したものは、30秒という比較
的短い処理であっても、剥離することはなかった。すな
わち、塗膜層は、プライマー層を介して強固に接合して
いるといえる。また、表3下段に示すように、40℃の
水に240時間浸漬させ、その後上記と同様のゴバン目
剥離試験に供した場合、未処理の場合には、2回目の引
き剥がしで100枚のうち1枚が剥離してしまった。一
方、オゾン水溶液で処理したものは、30秒という比較
的短い処理であっても、剥離することはなかった。すな
わち、塗膜層は、耐水試験に供された場合であってもプ
ライマー層を介して強固に接合しているといえる。従っ
て、本実施例によれば、プライマーを特に厳選せずと
も、つまり、従来から汎用されているプライマーを用い
ても、塗膜層を強固に接合させることができる。また、
特に、焼付乾燥時の温度を挙げる等の工夫をしなくと
も、強固に接合させることができる。
【0038】(改質実験D)次に、オゾン水溶液の温度
に対するピーリング強度の関係を調べた。すなわち、p
Hを一定として(pH=6)、オゾン水溶液の温度を種
々変更させた際のピーリング強度を処理時間10分の場
合と処理時間20分の場合とに分けて測定した。そのと
きの結果を表4に示す。なお、オゾン水溶液の温度とと
もに、そのときのオゾン濃度も記載した。また、表中の
ピーリング強度の単位は、「 kgf/cm」である。
【0039】
【表4】 表4に示すように、オゾン水溶液の温度が「35℃」と
「45℃」との間、すなわち「40℃」を境として、そ
れ以上の場合には、ピーリング強度(特に処理時間10
分間の場合)が著しく増大していることがわかる。一
方、温度が「35℃」以下の場合のピーリング強度は、
弱いものとなってしまっている。
【0040】また、温度が「65℃」よりも大きい場合
については記していないが、これ以上の温度になると、
オゾンが水にほとんど溶解しなくなり、望ましい改質性
は得られない。また、かかる高温条件は、オゾン水溶液
の取扱も困難となり、好ましくない。
【0041】(改質実験E)続いて、オゾン水溶液のp
Hに対する塗膜層の密着性の関係を調べた。すなわち、
オゾン水溶液の温度を一定(50℃)として、オゾン水
溶液のpHを種々変更させた際の密着性を、処理時間5
分の場合、10分の場合、15分の場合及び20分の場
合に分けて測定した。そのときの試験結果を表5に示
す。なお、オゾン水溶液のpHとともに、そのときのオ
ゾン濃度(単位は、「mg/L」)も記載した。
【0042】
【表5】 上記の表5に示すように、pHが7よりも大きくなる
と、オゾン水溶液による改質の効果が著しく弱くなり、
pHが8以上の場合には、ほとんど良好な密着性は得ら
れなかった。これは、アルカリ条件下においては、水溶
液中のオゾンが分解されてしまい、オゾン濃度が著しく
低下してしまうためであると考えられる。これに対し、
pHが7以下の場合には、オゾン濃度を高めることがで
き、結果として良好な密着性を得ることができた。
【0043】このように、本実施例によれば、上述した
第1実施例と同様の作用、効果を奏する外、テストピー
スと塗膜層との間にプライマーを介在させる構成とし
た。このため、テストピース上に直接塗膜層を形成した
場合に比べて、オゾン水溶液に接触させる時間を短くす
ることができるという効果を奏する。この場合、上述し
たように、汎用のプライマーを用いることができるとと
もに、乾燥焼付時の温度を高める等の工夫をしなくとも
よい。
【0044】また、オゾン水溶液の温度を40℃以上7
0℃以下とすることにより、好ましいオゾン濃度でもっ
て優れた反応性を確保することができ、結果としてテス
トピースの表面を良好に改質することができるととも
に、塗膜層の強固な接着性を確保することができる。ま
た、処理時間を短縮することができる。
【0045】さらに、オゾン水溶液のpHを7以下
う酸性条件下におくことにより、オゾン水溶液中のオゾ
ン濃度の低下を抑制することができるとともに、良好な
反応性を確保することができる。その結果、前記温度条
件との相乗効果により、良好に表面改質することができ
るとともに、塗膜層のさらに強固な接着性を確保するこ
とができる。
【0046】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一
部を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記各実施例では、表面改質装置1において、1
つの容器2を用い、同容器2内で洗浄及び改質を行うよ
うにしたが、洗浄用の槽と改質用の槽とからなるいわゆ
る2槽式の容器を用いてもよい。
【0047】(2)前記各実施例では、容器2中に超純
水を貯留させる構成としたが、その外にも純水や市水を
用いてもよい。 (3)前記第1実施例では、オゾン水溶液中に浸漬させ
ることにより洗浄、改質を同時に行うような構成とした
が、洗浄に関しては、水流を当てるような工程を加えて
もよい。
【0048】(4)前記各実施例では、テストピースを
オゾン水溶液中に浸漬させることにより改質を行うよう
にしたが、シャワー等の噴射流を用いてオゾン水溶液を
テストピース表面に当てるようにしてもよい。
【0049】(5)前記各実施例では、ポリオレフィン
樹脂成形物としてポリプロピレン製のテストピースを採
用したが、素材がポリオレフィンよりなるものであれ
ば、ポリエチレン製の樹脂成形物等いかなるものの表面
改質に適用することもできることはいうまでもない。ま
た、その形状は6面体に限られるものではなく、いかな
る形状をなしていてもよい。
【0050】(6)上記容器2に対し、振動により超音
波を発生させる装置を設ける構成としてもよい。この場
合、物理的な接触効果により、改質(場合によっては洗
浄をも含む)がより速やかに行うことかできる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリオレ
フィン樹脂成形物の表面改質方法及びその表面塗装方法
によれば、温度及び水素イオン指数が調整されたオゾン
水溶液に、同オゾン水溶液の温度と接触時間の積の値を
制御して接触させることにより、反応性をより高めるこ
とができるので、ポリオレフィン樹脂成形物の表面を改
質するに際し、有機溶剤の使用を省略することができる
とともに、樹脂成形物の表面を容易に、かつ、均一に改
質することができ、処理時間を短縮できる。また、この
改質により、樹脂成形物の表面に塗膜層を強固に形成す
ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面改質方法を具体化した第1及び第
2実施例における表面改質装置を示す概略図である。
【図2】第1実施例における水の温度に対するオゾンの
溶解度係数の関係を示すグラフである。
【図3】第1実施例において浸漬完了後、各テストピー
スの表面部分のFT−IR測定を行った際のIRチャー
トである。
【図4】第1実施例において浸漬完了後、各テストピー
スの表面部分のFT−IR測定を行った際のIRチャー
トである。
【図5】本発明を具体化した第2実施例において、表面
改質に際して用いられる種々の装置を示す概略図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−197640(JP,A) 特開 昭60−39592(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂成形物をオゾン水溶
    液に接触させて、前記ポリオレフィン樹脂成形物の表面
    を酸化させる際に、前記オゾン水溶液の温度をT℃と
    し、前記ポリオレフィン樹脂成形物のオゾン水溶液への
    接触時間をC分としたとき、T×Cの値が450以上で
    あるとともに、前記オゾン水溶液の温度が40℃以上7
    0℃以下であり、かつ、水素イオン指数が7以下に設定
    することを特徴とするポリオレフィン樹脂成形物の表面
    改質方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表面改質方法により表
    面の改質されたポリオレフィン樹脂成形物の表面に直接
    塗膜層を形成することを特徴とするポリオレフィン樹脂
    成形物の表面塗装方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の表面改質方法により表
    面の改質されたポリオレフィン樹脂成形物の表面に、プ
    ライマー層を形成し、同プライマー層上に塗膜層を形成
    することを特徴とするポリオレフィン樹脂成形物の表面
    塗装方法。
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