JP3006734B2 - 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体 - Google Patents

個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体

Info

Publication number
JP3006734B2
JP3006734B2 JP4059185A JP5918592A JP3006734B2 JP 3006734 B2 JP3006734 B2 JP 3006734B2 JP 4059185 A JP4059185 A JP 4059185A JP 5918592 A JP5918592 A JP 5918592A JP 3006734 B2 JP3006734 B2 JP 3006734B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
metal thin
film layer
individual information
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4059185A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05225621A (ja
Inventor
裕二 柿沼
利雄 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyodo Printing Co Ltd
Original Assignee
Kyodo Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyodo Printing Co Ltd filed Critical Kyodo Printing Co Ltd
Priority to JP4059185A priority Critical patent/JP3006734B2/ja
Publication of JPH05225621A publication Critical patent/JPH05225621A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3006734B2 publication Critical patent/JP3006734B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種のプリペイド型磁
気カードのような、所望の個別情報を記録した情報媒
体、およびこの記録媒体において、この個別情報を記録
し、読取るための個別情報の記録・読取り方法に関す
る。この明細書において、「個別情報」とは、クレジッ
トカード、プリペイドカード等のカード類や、切符、証
券等の帳票などの情報媒体に付される固有の情報を意味
し、この個別情報は、たとえば媒体の真偽判定用の情報
の他、残額表示、利用回数などの追加記録情報を含む。
【0002】
【従来の技術】従来、真偽判定が重要な意味を持つカー
ドや証券等の媒体においては、種々の形態の個別情報が
付与されている。個別情報の一般的な形態の一つは、イ
ンクを用いて印刷された暗証符号である。これは記録お
よび読取りが容易であるという利点を有するが、目視が
可能であるために偽造等の危険性も大きい。
【0003】このような観点から、目視はできないが、
特有の方法を用いれば読取りが可能となるような個別情
報の記録・読取り方法が数多く提案されている。たとえ
ば赤外線でのみ読取りができるもの等である。
【0004】また特開平3−27489号公報に開示さ
れている電波を用いて情報を読取る方法では、媒体の所
望の領域全体にわたって導電体繊維をランダムに分布さ
せ、この領域にマイクロ波などの電波を照射して得た反
射波または透過波が有する固有の信号パターンを利用し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開平3
−27489号の方法では、個別情報は媒体の製造時に
形成し固定されるので、真偽の判定用あるいは固定情報
として利用できるが、新たに情報を追加記録することは
できない。また、導電体繊維をランダムに分布させてい
るために、複数の媒体に同じ個別情報を付与することは
できない。
【0006】本発明は、上記のような従来の電波読取り
方式の記録媒体およびこの記録媒体を用いた個別情報の
記録・読取り方法の欠点を解消するためになされたもの
で、偽造等に対して安全性が高く、しかも読取りおよび
識別の操作が容易で情報の追加記録ができる電波読取り
方式の記録媒体およびこの記録媒体を用いた個別情報の
記録・読取り方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材
と、この基材に支持された金属薄膜層、およびこの金属
薄膜層の上方または下方の少なくとも一方に隣接して設
けられた熱溶融型塗膜層とを備え、前記金属薄膜層に、
その少なくとも一部を部分的に除去することにより形成
された、導電部と絶縁部よりなる個別情報記録部を有
し、この個別情報記録部は、これに電波が照射されたと
きに、記録された前記個別情報に対応する反射波を発生
するものである、個別情報を有する記録媒体が提供され
る。
【0008】さらに本発明によれば、基材の表面に、金
属薄膜層、およびこの金属薄膜層の上方または下方の少
なくとも一方に隣接する熱溶融型塗膜層を設けた媒体に
対して、前記金属薄膜層の少なくとも一部を部分的に除
去して、所望の個別情報に対応する、導電部と絶縁部よ
りなる個別情報記録部を形成する個別情報記録段階と、
前記個別情報記録部に電波を照射し、この個別情報記録
部からの電波の反射波を検出することで前記個別情報を
識別する読取り段階とを備えたことを特徴とする個別情
報の記録・読取り方法が提供される。
【0009】本発明では、基材上に設けた金属薄膜層を
部分的に除去し、導電部と絶縁部よりなる所定の個別情
報記録部を形成し、この個別情報記録部に電波を照射
し、戻ってくる反射波を検知することで個別情報の読取
りを行なう。
【0010】一般に電波は、導電性の物体に照射される
と強く反射するが、絶縁性の物体に対しては、電波はほ
とんど反射されない。したがって、本来導電体である金
属薄膜層が均一で欠損部分のない状態であれば、電波の
照射により得られる反射波形は均一なものとなる。
【0011】ところで、この金属薄膜層を記録しようと
する個別情報に応じて部分的に除去し、個別情報記録部
を形成すれば、電波を照射した時に、この個別情報記録
部の導電部と絶縁部の組合わせに対応する新たな反射波
形を得ることができる。この反射波形とあらかじめ用意
した複数の参照波形を比較分析することで、所定の個別
情報であるかを識別することができる。
【0012】このとき、一つの個別情報記録部で、複数
の絶縁部を設け、それぞれ形状や大きさを変えれば、よ
り複雑な反射波を得ることができ、記録された個別情報
の秘匿性を増すことができる。また、前もって個別情報
記録部に相当する部分を区分して複数用意しておけば、
情報の追加記録も可能となる。
【0013】金属薄膜層の除去手段は、好ましくはサー
マルヘッド、レーザービーム、ホットスタンプ等の加熱
手段であるが、その他エッチング、切削、放電などの化
学的、機械的、電気的に除去する方法を用いることがで
きる。
【0014】本発明において、個別情報の読取りに使用
される電波は、好ましくはマイクロ波であるが、金属薄
膜層に形成される個別情報記録部のパターン形状や大き
さ等の条件を適切に選択すれば、実質的に全ての電波を
使用することが可能である。
【0015】本発明において、媒体に使用される基材
は、金属薄膜層に影響を与えない絶縁材料であることが
好ましく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、エ
ポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイミド、ポリアセテート、ポリスチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチ
ル等の合成樹脂類やコート紙、アート紙、ラミネート
紙、合成紙等の紙類から選択された材料を単独であるい
は組合わせてフィルム状、シート状あるいはカード状に
したものを用いることができる。また、基材の好ましい
厚さは50μm〜1mm程度である。
【0016】基材に形成される金属薄膜層は、基材側か
ら、 熱溶融型塗膜層/金属薄膜層、 金属薄膜層/熱溶融型塗膜層、あるいは 熱溶融型塗膜層/金属薄膜層/熱溶融型塗膜層 のいずれかの構成を有する。
【0017】これらの2または3層のうち、金属薄膜層
は実際に電波が反射されるために必要な層で、その構成
材料は薄膜状態で充分な導電性を有す、電気抵抗の低い
金属の単体、合金あるいは金属化合物を用いることがで
きる。このとき、充分な反射波形を得るためには電気抵
抗が20℃で100×10-6Ωcm以下のものが好まし
い。特に、サーマルヘッド等の加熱手段により金属薄膜
層を除去する方法を用いる場合には導電性の他に、加熱
により充分に溶融破壊されるもの、たとえばSn,Z
n,In,Al,Pb,Li,Agなどの金属の単体、
合金あるいは金属化合物で好ましくは融点150℃〜7
00℃のものを用いることができる。この金属薄膜層は
基材あるいは熱溶融型塗膜層上に真空蒸着法、スパッタ
リング法、めっき法などにより形成できる。金属薄膜層
としての特性を得るために、0.01〜0.5μmで、
好ましくは0.05μm以上の厚みを有する。
【0018】金属薄膜層の上面または下面の少なくとも
いずれか一方の面に積層された熱溶融型塗膜層は、除去
手段、特に加熱手段によって金属薄膜層が部分的に除去
されたときに、金属薄膜層が存在する部分と存在しない
部分とで、電波の反射率に十分な差を生じさせる上で重
要な役割を持つ。
【0019】すなわち加熱により溶融した金属薄膜部分
は、表面張力の働きにより、それまでの薄膜状から粒子
状に変化する。このとき、金属薄膜層の上下面の少なく
とも一方の面に積層された熱溶融型塗膜層も溶融されて
おり、金属粒子はこの熱溶融型塗膜層に拡散される。周
囲の温度が下がると熱溶融型塗膜層は再び固化され、金
属が粒子の状態で熱溶融型塗膜層に保持されることで絶
縁部が形成される。
【0020】金属薄膜層に熱溶融型塗膜層がないと、金
属薄膜層は溶融されても、導電性を有する薄膜状態とし
て基材上に残るため、電波をほとんど反射しない層を形
成することはできない。
【0021】熱溶融型塗膜層は金属薄膜層の上下面のい
ずれか一方の面に積層されていれば良いが、基材と金属
薄膜層の密着性向上、金属薄膜層の保護ないし金属薄膜
層を充分に溶融破壊するためには、上下双方の面に積層
されていることが好ましい。基材と金属薄膜層との間に
熱溶融型塗膜層を積層すると、基材と金属薄膜層の密着
性を向上させることができるという利点が得られる。
【0022】また金属薄膜層の上面に熱溶融型塗膜層が
積層されている場合、熱溶融型塗膜層は金属薄膜層の保
護層の役割を兼ねることができる。すなわち、金属薄膜
層の厚みは0.01〜0.5μmと非常に薄いために、
これを最上層(最外層)とすると、化学的、物理的に金
属薄膜層が破壊されるおそれがある。とくに情報記録後
に金属薄膜層が破壊されると電波の反射波形に変化が起
き、誤った情報を読取る結果となる。これを防ぐために
は、熱溶融型塗膜層を保護層として兼用するか、新たに
保護層を積層することが望ましい。
【0023】したがって熱溶融型塗膜層には、金属薄膜
層の溶融を妨げず、また金属薄膜層との密着性が良好
で、さらに金属薄膜層の上下両面に設けた場合には溶融
時に互いに相溶性が良好であることが求められる。また
熱溶融型塗膜層を最上層(最外層)として用いる場合、
耐熱性、耐光性、対薬品性など金属薄膜層を保護できる
ものであることが好ましい。
【0024】このような材料としては、たとえばエチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース
アセテートプロピオネート、酢酸セルロースなどのセル
ロース誘導体、溶剤可溶型のポリウレタン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂等の種
々の熱可塑性樹脂や水性ポリビニルアルコールが挙げら
れる。これらの樹脂には、可塑剤としてフタル酸エステ
ル、脂肪酸エステル、正リン酸エステル等を添加するこ
とができる。
【0025】また滑性を付与するものとしてはオレイル
アマイド、ステアリルアマイド、シリコーン等を添加す
ることができる。
【0026】熱溶融型塗膜層は通常のグラビア法、ロー
ル法、ナイフエッジ法、オフセット法などの塗布方法あ
るいは印刷方法を用いて、それぞれ基材上、金属薄膜層
上に形成することができる。その厚さは0.5〜5μm
程度が好ましい。
【0027】さらに金属薄膜層の保護の目的で、最上層
(最外層)に保護層を設けることもできる。この場合、
金属薄膜層は(基板側から見て)熱溶融型塗膜層/金属
薄膜層、または金属薄膜層/熱溶融型塗膜層、熱溶融型
塗膜層/金属薄膜層/熱溶融型塗膜層のいずれの構成で
あってもよい。
【0028】保護層としては、アクリル系、エポキシ
系、ポリエステル系の樹脂を用いることができる。特に
紫外線硬化型、電子線硬化型、熱硬化型あるいは反応硬
化型のものを用いると、耐熱性、耐光性、耐薬品性だけ
でなく、耐摩耗性も向上する。
【0029】保護層は、通常のグラビア法、ロール法、
ナイフエッジ法、オフセット法、スクリーン法などの塗
布方法あるいは印刷方法を用いて、好ましくは0.5〜
3μmの厚さに形成する。
【0030】金属薄膜層の形成は、塗布方法あるいは印
刷方法で基材上に順次積層する方法で行なうことができ
るが、転写方法を用いることもできる。すなわち転写用
基材フィルム上に通常の塗布方法あるいは印刷方法を用
いて、先の例とは逆の順序に、したがって、転写基材フ
ィルム側より、(保護層)/金属薄膜層/熱溶融型塗
膜層、(保護層)/熱溶融型塗膜層/金属薄膜層ある
いは(保護層)/熱溶融型塗膜層/金属薄膜層/熱溶
融型塗膜層の順に金属薄膜層あるいは保護層を有する金
属薄膜層を設けて転写シートとし、これを基材上に転写
する。
【0031】この際、金属薄膜層あるいは保護層と転写
基材フィルム間には、転写時の転写基材フィルムと金属
薄膜層の剥離性を向上させるために剥離層を設けること
が好ましい。さらに金属薄膜層と被転写材である基材と
の接着性を向上させるために、金属薄膜層を積層した転
写シート上に接着層を設けることが好ましい。
【0032】転写方法としては、金属薄膜層を構成する
金属薄膜層や熱溶融型塗膜層が溶融しない程度の温度に
よる感熱転写法、あるいは感圧転写法が用いられる。転
写法を用いることにより、金属薄膜層を部分的に基材に
形成することが可能となる。たとえば、金属薄膜層を有
する転写シートを識別用ラベルとして用いることもでき
るため、基材の形状や大きさに選択の幅が拡がる。
【0033】転写基材フィルムとしては、たとえばポリ
エチレンテレフタレート、ポリプロピレン、セロハン、
ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素
樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチックフィル
ム、あるいはコンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類や
不織布を単体もしくは複合して用いることができる。好
ましい厚みの範囲は5〜25μmである。
【0034】剥離層は、たとえば剥離性に優れたアクリ
ル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂あるいはパラフィン
ワックス、合成ワックスなどのワックス類を用い、たと
えば0.1〜2μmの厚みで通常の塗布方法や印刷方法
で転写基材フィルム上に形成する。金属薄膜層と転写基
材シート間に保護層を設ける場合は、剥離層と、保護層
とを兼用させてもよい。
【0035】接着層は、感熱性あるいは感圧性のある樹
脂、たとえばメタクリル樹脂、スチロール樹脂、オレフ
ィン系樹脂、ポリアミド樹脂、EVA樹脂、ウレタン系
樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用い、通常
の塗装方法や印刷方法で転写シートの最上層(最外層)
として形成する。
【0036】この時、転写シートの金属薄膜層上に熱溶
融型塗膜層を形成する場合は、接着層を熱溶融型塗膜層
を形成する樹脂と同様の樹脂を選択することにより、接
着層と熱溶融型塗膜層を兼用することもできる。金属薄
膜層の基材側に熱溶融型塗膜層を設ける場合は接着剤と
兼用してもよい。剥離層と金属薄膜層間に保護層を設け
てもよく、また剥離層と保護層とを兼用してもよい。
【0037】一方、金属薄膜層を構成する金属薄膜層は
通常、銀白色や青白色を呈している。この金属薄膜を加
熱により部分的に溶融破壊し新たな個別情報記録部を形
成すると、溶融破壊された絶縁部は、視覚的には透明と
なり、基材の地色が顕現されるため、新たに記録された
個別情報記録部がパターン状に露顕する。
【0038】したがって、新たに追加記録された個別情
報記録部を視覚的に隠蔽し、目視で判断できないように
秘匿することが必要である。目視できなければ、どこに
情報が記録されているのか、なにが記録されているのか
判明せず、不正使用や偽造を防止することができる。
【0039】金属薄膜層隠蔽のために、金属薄膜層の上
に、金属薄膜層と同様な色調を有するか、あるいは金属
薄膜層の色調を隠蔽するような色調を有する着色層を設
ける場合、金属薄膜層上の任意の位置に新たに着色層を
一層設けても良いし、金属薄膜層上に熱溶融型塗膜層や
保護層を設ける場合は、これらの層を着色してもよい。
【0040】また金属薄膜層の下に金属薄膜層と同様の
色調を有する着色層を設ける場合、金属薄膜層と基材間
のいずれかの位置に新たに着色層を一層設けても良い
し、金属薄膜層と基材間に熱溶融型塗膜層を設ける場合
は、この熱溶融型塗膜層を着色してもよい。あるいは、
あらかじめ着色された基材を用いても良い。さらに、こ
れらの方法を併用してもよい。
【0041】金属薄膜層と同様な色調を有する着色層を
形成するには、たとえばAl,Sn,Pb,Zn,C
u,Ag,Cu−Zn等の金属粉やAlO2 ,TiO2
等の金属酸化物粉を隠蔽性付与のための顔料として用い
ることができる。この際、金属粉や金属酸化物粉は、使
用する金属薄膜層と同様な色調のものを選択することが
好ましい。
【0042】金属薄膜層の色調を隠蔽する非透明な着色
層を形成するには、金属薄膜層の色調、たとえば銀白色
や青白色より濃い色を有する顔料、たとえばカーボンな
どを用いることができる。熱溶融型塗膜層や保護層を着
色層として用いる場合は、それぞれの層を構成する樹脂
をバインダーとし、これに隠蔽性付与のための顔料を添
加し、必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、分散
剤などを加えた後に、溶剤あるいは希釈剤で混練、調整
したものを用いる。
【0043】新たに着色層を設ける場合は、たとえばエ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロ
ースアセテートプロピオネート、酢酸セルロースなどの
セルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルス
チレンなどのスチレン樹脂あるいはスチレン樹脂共重合
樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなど
のアクリル樹脂またはメタアクリル樹脂の単独あるいは
共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン
変性フェノール樹脂、重合ロジンなどのロジンエステル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ビニルトルエン樹脂、塩化
ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂などをバインダー
として用い、これに先の隠蔽性付与のための顔料を添加
し、必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、分散
剤、硬化剤などを加えた後に、溶剤あるいは希釈剤で混
練、調整し、着色塗料あるいはインキとして、基材上、
金属薄膜層上、あるいは熱溶融型塗膜層上に、通常のグ
ラビア法、ロール法、ナイフエッジ法、オフセット法な
どの塗布方法あるいは印刷方法により形成する。
【0044】本発明において、金属薄膜層の上に、金属
薄膜層を溶融破壊させる温度(融点)より低い温度で発
色する感熱記録層を設け、金属薄膜層に新たな電波反射
パターンを形成する際には、サーマルヘッド等の加熱手
段の温度設定を2段階に組合わせることも可能である。
【0045】すなわち、金属薄膜層を溶融破壊させ、か
つ感熱記録層も発色する温度と、金属薄膜層は溶融破壊
されないが感熱記録層は発色する温度の2段階である。
2段階にすることによって、外観上は判別できないが、
金属薄膜層上には形成されていないダミーのパターンを
表面上に記録することができ、目視による個別情報記録
部の露顕を防止することができる。
【0046】低融点発色型感熱記録層としては、ロイコ
染料、酸性顕色剤およびバインダー樹脂を含むものを用
いることができる。
【0047】ロイコ染料としては、たとえばクリスタル
バイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン等
のトリフェニルメタン系、1,2−ベンゾ−6−ジエチ
ルアミノフルオラン等のフルオラン系、N−ベンゾイル
オーラミン等のオーラミン系、その他フェノチアジン
系、スピロピラン系等を用いることができる。
【0048】酸性顕色剤としては、たとえばフェノー
ル、o−クレゾール、p−クレゾール、p−エチルフェ
ノール、サリチル酸、タンニン酸などのフェノール性水
酸基を有する化合物、すなわちフェノール性化合物を用
いることができる。
【0049】バインダー樹脂としては、たとえばアルキ
ッド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、キシレン樹
脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹
脂、テルペン樹脂等の油溶性樹脂や、ポリビニルアルコ
ール樹脂、メチルセルロース樹脂、カルボキシルセルロ
ース樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ゼラチン、アラビアゴ
ム等の水溶性樹脂を用いることができる。
【0050】低融点発色型感熱記録層中において、ロイ
コ染料と酸性顕色剤との比はたとえば1:1.5〜1:
3(当量)であり、バインダー樹脂と(ロイコ染料+酸
性顕色剤)との比はたとえば1:0.1〜1:3(重
量)である。
【0051】以上の低融点発色型感熱記録層の厚みは、
好ましくは2〜10μmである。
【0052】本発明の個別情報記録・読取り方法を、一
般的なカードに設けられた情報を読取る場合について図
面を参照して説明する。
【0053】図1および図2において、符号Cで示すカ
ードは、基材1の一方の表面に、熱溶融型塗膜層2、金
属薄膜層3、隠蔽層4、および保護層5をこの順序で形
成したものである。隠蔽層4は、金属薄膜層3の全面に
わたって設けてもよいが、後述する個別情報記録部8に
相当する領域の上方のみに設けてもよい。そして金属薄
膜層3は、所定の個別情報にしたがってサーマルヘッド
THを保護層5の上方を移動させながら加熱を繰返すこ
とで部分的に除去されて、絶縁部6、導電部7を有する
個別情報記録部8がパターン状に形成されている。
【0054】図1は外周部も絶縁部6とした個別情報記
録部8の例であり、黒線であらわした外周部及び各矩形
間の境界線が絶縁部6、その他の白地であらわした各矩
形が導電部7である。この例のように、外周部にも絶縁
層6を設け、個別情報記録部8の導電部7を個別情報記
録部8外の金属薄膜層3と電気的に隔絶すれば、電波を
照射した時に、よりはっきりした反射波形を得ることが
できる。
【0055】この絶縁部6と導電部7の組合わせで形成
する個別情報記録部8のパターンは図示のバーコードの
ような矩形パターンの繰返しに限らず、任意の文字、数
字、模様、図形などであってもよい。また、個別情報記
録部8の幅は波長と同じ長さ、もしくは波長の整数分の
1、あるいは整数倍とすると強い反射波が得られる。し
たがって、パターン幅は、使用する電波の波長に応じて
変えることが好ましい。
【0056】図3は、図1に示したものと比較してより
複雑な反射波が得られる個別情報記録部8の例を示して
いる。図3において、異なる幅の絶縁部6が用いられて
いる。
【0057】この実施例においては、個別情報記録部8
として形成された個別情報を読取るための電波としてマ
イクロ波を使用する。個別情報の読取りは、マイクロ波
の送信部と受信部で、個別情報記録部8をその長さ方向
に沿って走査することによって行なわれる。電波として
マイクロ波を用いる場合は、マイクロ波の送信部と受信
部とが一体化されたドップラーモジュールを用いるのが
有利である。
【0058】図4に、図1に示した個別情報記録部8を
走査することによって得られた反射マイクロ波の出力波
形を示す。
【0059】受信部で検知した波形と、あらかじめ記録
されている複数の参照波形との相関係数をコンピュータ
により演算し、その数値がある一定の値以上(この値は
あらかじめ実験等によって求める)になった場合、比較
したパターンは同一のものであるとすることにより、真
偽の判別を行なう。
【0060】また個別情報記録部の区域を区切り、それ
ぞれ得られた波形を、閾値の設定などの、あらかじめ決
められた任意の方法で2値化することで、個別情報記録
部の絶縁部と導電部の組合わせを新たな情報記録用のコ
ードとして利用することができる。
【0061】
【実施例】
(実施例1)基材として、厚さ188μmの白色ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(東レ製E−24)を使
用した。
【0062】この基材上に、以下の熱溶融型塗膜層、金
属薄膜層、熱溶融型塗膜層を順次積層し、金属薄膜層を
形成した。
【0063】 (1)基材上の熱溶融型塗膜層 ・塩酢ビ樹脂(ユニオンカーバイド社製 ビニルライトレジンVMCH) 20重量部 ・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(日本 触媒化学工業社製 エポスターS−12) 5重量部 ・メチルエチルケトン 20重量部 ・トルエン 20重量部 ・シクロヘキサン 40重量部 ・イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン 工業社製 コロネートL) 1.2重量部 以上の成分からなる塗料をリバースロールコーターによ
り基材上に塗布し、110℃で5分間乾燥させた。塗膜
の厚みは3μm(乾燥後測定)とした。
【0064】(2)上記(1)の熱溶融型塗膜層上に、
真空蒸着法により、1×10-4Torrの減圧下で20
m/minの速度で通過させながら厚さ1000ÅのS
n薄膜層を形成した。
【0065】(3)Sn薄膜層上に厚さ1μmの熱溶融
型塗膜層を形成した。
【0066】 ・ポリビニルブチラール樹脂(セキスイ化学 工業社製 エスレックB BM−S) 5重量部 ・塩酢ビ樹脂(ユニオンカーバイド社製 ビニルライトレジンVMCH) 5重量部 ・トルエン 45重量部 ・セルソルブアセテート 45重量部 ・イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン 工業社製 コロネートL) 0.25重量部 以上の成分からなる塗料をグラビアコーターにて塗布
し、110℃で5分間乾燥させた。塗膜の厚みは1μm
(乾燥後測定)とした。
【0067】(4)つぎに金属薄膜層上に保護層を形成
した。保護層は2層構造とした。
【0068】・1層目 UVアンカーNo.7(T&K
TOKA社製)膜厚1μm ・2層目 UVOPニスDK(T&K TOKA社製)
膜厚1μm 以上のようにして作製した媒体に、サーマルヘッドを用
いて、以下の条件で絶縁部を設けることで導電部と絶縁
部よりなる個別情報記録部を形成した。
【0069】・サーマルヘッド 印刷用シュミレータ用
サーマルヘッド(ローム社製商品名「KE 1502−
11」、抵抗値424Ω) ・印加電圧パルス 16V、0.55W/dot デューティ比 50% 132KHz ・サーマルヘッド移動速度 22mm/sec 形成された個別情報記録部に、新日本無線製のKバンド
・ドップラーモジュール(商品名「NJR4211」)
を用いてマイクロ波を照射し、金属薄膜層で反射した電
波を、モジュールに一体化したセンサで受信し、信号化
した。
【0070】センサで信号化した波形をコンュータに入
力し、あらかじめ記憶させてある数種類の参照波形とそ
れぞれ比較し、相関関係をもとめた。
【0071】相関係数0.97以上の場合、読取り波形
と参照波形が同じであると判別できた。
【0072】(実施例2)実施例1と同様の基材上に、
実施例1と同様の金属薄膜層を形成し、この金属薄膜層
上に、UV硬化タイプの墨インキを用いて厚さ1μmの
隠蔽層を形成した。
【0073】次に、隠蔽層上に実施例1と同様の保護層
を設けた。
【0074】作製した媒体に、実施例1と同じ条件で個
別情報記録部を形成した。
【0075】外観上、加熱によって金属薄膜層を溶融破
壊した絶縁部と、金属薄膜層が残存する導電部は識別で
きなかった。
【0076】ついで、個別情報記録部の検知、読取りを
実施例1と同様に行った結果、個別情報を確認すること
ができた。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明の電波読取り方式
の記録媒体およびこの記録媒体を用いた個別情報の記録
・読取り方法によれば、金属薄膜層を所定の個別情報に
したがって、パターン状に部分的に除去することによっ
て形成された絶縁層と導電層の組合わせによる個別情報
記録部はセンサヘッドのスキャンにより、電波の反射波
形として検出され、この検出信号を処理することによっ
て個別情報として読取ることが可能である。したがって
情報読取りは非接触で確実に行なうことができるととも
に、情報の追加記録ができ、さらに情報を光学的手段で
読取る場合とは異なり、不可視の層で隠蔽した場合にも
読取り可能であり、守秘および偽造防止等の面できわめ
て高い安全性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがって個別情報が記録されたカー
ドを示す平面図。
【図2】図1に示したカードの一部の断面図。
【図3】他の個別情報記録部を示す説明図。
【図4】図1の個別情報記録部から得られたマイクロ波
反射信号の波形を示すチャート。
【符号の説明】
C カード 1 基材 2 熱溶融型塗膜層 3 金属薄膜層 4 隠蔽層 5 保護層 6 絶縁部 7 導電部 8 個別情報記録部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−317293(JP,A) 特開 平3−27489(JP,A) 特開 平4−85093(JP,A) 特開 昭64−4934(JP,A) 特開 昭55−163443(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/03 B42D 15/10 G06K 19/06 G06K 19/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性の基材と、この基材により支持さ
    れた金属薄膜層と、この金属薄膜層の上方または下方の
    うちの少なくとも一方の表面に隣接して設けられた絶縁
    性熱溶融型塗膜層とを備えた記録媒体を用い、 前記記録媒体の少なくとも一部の領域において、前記金
    属薄膜層を部分的に除去することで、前記金属薄膜層の
    残留せる導電部と前記金属薄膜層の除去された絶縁部と
    からなる個別情報を記録した個別情報記録部を形成し、 前記個別情報記録部を有する前記記録媒体に電波を照射
    し、前記個別情報記録部からの前記電波の反射波を検出
    することで、前記個別情報を読取ることを特徴とする、
    記録媒体に対する個別情報の記録・読取り方法。
  2. 【請求項2】 前記電波がマイクロ波である、請求項1
    に記載の個別情報の記録・読取り方法。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかの個別情報の記
    録・読取り方法に使用される記録媒体であって、 絶縁性の基材と、この基材により支持された金属薄膜層
    と、この金属薄膜層の上方または下方のうちの少なくと
    も一方の表面に隣接して設けられた絶縁性熱溶融型塗膜
    層とを備えており、 少なくとも一部の領域において、前記金属薄膜層が部分
    的に除去されて、前記金属薄膜層の残留せる導電部と前
    記金属薄膜層の除去された絶縁部とからなる個別情報を
    記録した個別情報記録部が形成されており、 前記個別情報記録部に照射した電波の反射波を検出する
    ことで読取られる前記個別情報により識別可能であり、 前記金属薄膜層を部分的に破壊することで更に個別情報
    を書き込むことができるようにされていることを特徴と
    する記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記金属薄膜層の上に該金属薄膜層を溶
    融破壊させる温度より低い温度で発色する感熱記録層が
    設けられている、請求項3に記載の記録媒体。
JP4059185A 1992-02-14 1992-02-14 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体 Expired - Fee Related JP3006734B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4059185A JP3006734B2 (ja) 1992-02-14 1992-02-14 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4059185A JP3006734B2 (ja) 1992-02-14 1992-02-14 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05225621A JPH05225621A (ja) 1993-09-03
JP3006734B2 true JP3006734B2 (ja) 2000-02-07

Family

ID=13106099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4059185A Expired - Fee Related JP3006734B2 (ja) 1992-02-14 1992-02-14 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3006734B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05225621A (ja) 1993-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009134528A (ja) 偽造防止用icラベル
JPH10116031A (ja) 不正防止シール
JP2002098829A (ja) 積層複合体及びこれを用いて偽造防止対策が施された情報記録媒体
JPH04303692A (ja) 情報記録媒体
JP3006734B2 (ja) 個別情報の記録・読取り方法およびこの方法に使用される記録媒体
JP2001331770A (ja) 磁気情報転写箔およびそれを用いた磁気情報形成方法
JP3146503B2 (ja) 感熱情報記録媒体
JP3061156B2 (ja) 感熱印字型記録媒体
JPH0995054A (ja) 情報記録媒体
JPH08142521A (ja) 記録媒体
JP2548914B2 (ja) 記録媒体
JP2003063178A (ja) 情報記録媒体
JPH08187979A (ja) 磁気記録媒体
JP3221626B2 (ja) 識別情報を備えた磁気記録媒体
JPH0880680A (ja) カード
JP3039206B2 (ja) 偽造・改竄防止策が施された印刷物
JP2003196820A (ja) 隠蔽転写媒体
JPH0764139B2 (ja) 記録媒体
JP2616267B2 (ja) 感熱情報記録媒体及び情報記録方法
JPH09123655A (ja) 不正防止用表示シート
JP3769186B2 (ja) 感熱磁気記録媒体
JP4507579B2 (ja) カード用転写媒体
JP3106535B2 (ja) 感熱情報記録媒体
JPH10255332A (ja) 光記録媒体
JP2001209762A (ja) 磁気情報転写箔およびそれを用いた磁気情報形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees