JP3003979B2 - 永久磁石およびその製造方法 - Google Patents
永久磁石およびその製造方法Info
- Publication number
- JP3003979B2 JP3003979B2 JP7202929A JP20292995A JP3003979B2 JP 3003979 B2 JP3003979 B2 JP 3003979B2 JP 7202929 A JP7202929 A JP 7202929A JP 20292995 A JP20292995 A JP 20292995A JP 3003979 B2 JP3003979 B2 JP 3003979B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- permanent magnet
- phase
- magnet according
- magnet
- coercive force
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/047—Alloys characterised by their composition
- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/055—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
- H01F1/057—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は各種電気機器等に使用
される高性能磁石、特に希土類元素を含む合金系の急冷
磁石およびその製法に関し、Fe−R−B系(RはYを
含む希土類元素である、以下同じ)およびFe−Co−
R−B系の合金溶湯を急冷凝固させることによって優れ
た磁石特性を有する磁石としさらに急冷凝固後の磁石を
特定条件下で焼鈍することによって、均質で安定な磁石
性能を得るものである。 【0002】なお、本明細書において、RはYを包含す
る希土類元素のうち少なくとも1種、R’はCe,La
を除き、Yを包含する希土類元素の少なくとも1種を示
す。 【0003】 【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、粉
末冶金法によるSm−Co系磁石でエネルギー積とし
て、32MGOeのものが量産されているが、Sm,C
oは原料価格が高いという欠点を有する。希土類の中で
原子量の小さい希土類元素、たとえばセリウムやプラセ
オジム、ネオジムはサマリウムよりも豊富にあり、価格
が安い。又Feは安価である。 【0004】そこで、近年Nd−Fe−B系磁石が開発
され、特開昭59−46008号公報では、焼結磁石
が、また特開昭60−9852号公報では、高速急冷法
によるものが述べられている。 【0005】焼結法による磁石では、従来のSm−Co
系の粉末冶金プロセスを適用出来るものの、酸化しやす
いNd−Fe系合金インゴットを2〜10μm程度に微
粉末化する工程を有するため、取り扱いが難かしいこ
と、あるいは粉末冶金プロセスは工程数が多い(溶解→
鋳造→インゴット粗粉砕→微粉砕→プレス→焼結→磁
石)ため安価な原料を用いるという特徴を生かせない面
があった。 【0006】一方、高速急冷法による磁石では工程が簡
素化され(溶解→高速急冷→粗粉砕→冷間プレス(温間
プレス)→磁石)、かつ微粉末化工程を必要としないと
いう利点がある。しかしながら、高速急冷法による磁石
を工業材料となすためには一層の高保磁力化、高エネル
ギー積化、低コスト化および着磁特性の改良等が望まれ
ていた。 【0007】希土類−鉄−ホウ素永久磁石の諸特性の中
で保磁力は温度に鋭敏であり、希土類コバルト永久磁石
の保磁力(iHc)の温度係数が0.15%/℃である
のに対して、希土類−鉄−ホウ素永久磁石材料の保磁力
(iHc)の温度係数は0.6〜0.7%/℃と4倍以
上高いという問題点があった。したがって、希土類−鉄
−ホウ素永久磁石材料は温度上昇に伴って減磁する危険
が大きく、磁気回路上での限定された設計を余儀なくさ
れていた。さらには、例えば、熱帯で使用する自動車の
エンジンルーム内の部品用永久磁石としては使用不可能
であった。希土類−鉄−ホウ素永久磁石材料は保磁力の
温度係数が大きいところに実用上の問題があることは従
来より知られており、保磁力の絶対値が大きい磁石の出
現が望まれていた(日経ニューマテリアル、1986、
4−28(No. 9)第80頁)。R−B−Fe合金に液
体急冷法により高い保磁力iHeとエネルギ積を具備さ
せることを提案する特開昭60−9852号公報の組成
は、希土類元素R(Nd,Pr)=10%以上、B=
0.5〜10%、残部Feからなるものが特許請求の範
囲に記載されている。従来R−B−Fe合金の優れた磁
石特性はNd2 Fe14B相化合物によるものと説明され
ており、そのため焼結法、高速急冷法共に磁石特性を改
良するための多くの提案(特開昭59−89401,6
0−144906,61−579749,57−141
901,61−73861号公報)はこの化合物に該当
する組成の近傍、すなわち、R=12〜17%、B=5
〜8%の範囲の合金の実験に基づいている。希土類元素
は高価であるため、その含有量を低下させることが望ま
れるが、希土類元素の含有量が12%未満になると、保
磁力iHcが急激に劣化するという問題があり、特開昭
60−9852号ではR=10%となるとiHcは6k
Oe以下になる事が示されている。すなわち、R−B−
Fe系合金において希土類元素の含有量が12%未満に
なると、保磁力iHcが劣化するとの事実があったので
あるが、かかる組成範囲において保磁力iHcの劣化を
防止するように組成ならびに組織を設計する方法は従来
知られていなかった。 【0008】焼結法と高速急冷法においては、基本的に
Nd2 Fe14B化合物を用いているが、応用物理第55
巻、第2号(1986)頁121に示される如く、上記
磁石は単なる製法の違いだけではなく両磁石は合金組織
と保磁力発生機構の観点から全く異なったタイプの磁石
である。すなわち焼結磁石は結晶粒径が約10μmであ
り、従来のSm−Co系磁石で言えば、逆磁区の核発生
が保磁力を決めるSmCo5 型磁石のようなニュークリ
エーション型であり、一方高速急冷磁石は0.01〜1
μmの微細粒子をアモルファス相が取り囲んだ極めて微
細な組織により磁壁のピン止めが保磁力を決定するSm
2 Co17型磁石のようなピンニング型磁石である。それ
ゆえ、特性向上のための両磁石へのアプローチの考え方
としては保磁力発生機構が十分異なる事を考慮して検討
する必要があった。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は平衡相ととも
に、非平衡相を比較的容易に作製可能である高速急冷法
に着目し、Fe(Co)−R−B系に対して種々の元素
を添加することを検討した結果、Zrの添加により、R
含有量が12原子%未満の組成領域で、等方性であって
も高保磁力、高エネルギー積を示し、実用に適した高性
能磁石を提供しうる事を見出したものである。この発明
は高速急冷法で得られるものであり、焼結法においては
実現出来ないものである。 【0010】さらに本発明はZr、またはZrとNb,
Mo,Hf,TaおよびWの少なくとも1種を添加し、
高速急冷することにより着磁特性および耐食性が良好な
磁石合金を提供するものである。またこの発明はその磁
石の性能をさらに安定に得るための方法を提供するもの
である。 【0011】すなわち、本発明は、{R′a(Ceb L
a1-b )1-a }x (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw (但し、R′は
Ce,Laを除き、Yを包含する希土類元素の少なくと
も1種、5.5≦x<12,2≦y<15、0≦z≦
0.7、0<w≦10、85/90≦a≦1.00、0
≦b≦1、MはZr、またはZrとNb,Mo,Hf,
TaおよびWの少なくとも1種)の組成をもち、微結晶
相あるいは微結晶とアモルファス相との混相からなり、
20kOe の低磁場で95%以上着磁可能な永久磁石にあ
る。 【0012】本発明の磁石は、前記の組成のFe−R−
BおよびFe−Co−R−Bからなる系の合金溶湯をい
わゆる液体急冷法によって高速で冷却凝固させたもので
ある。この液体急冷法は、水冷等により冷却された金属
製の回転体の表面に、ノズルから溶湯を射出して高速で
急冷凝固させ、リボン状の材料を得る方法であり、ディ
スク法、単ロール法(片ロール法)、双ロール法等があ
るが、この発明の場合には片ロール法、すなわち1個の
回転ロールの周面上に溶湯を射出する方法が最も適当で
ある。片ロール法でこの発明の磁石を得る場合、水冷回
転ロールの周速度は、2m/sec 〜100m/sec の範囲内
とすることが望ましい。その理由は、ロール周速度が2
m/sec 未満の場合および100m/sec を越える場合のい
ずれにおいても保磁力iHcが低くなるからである。高
保磁力、高エネルギー積を得るためにはロール周速度を
5〜30m/sec とする事が望ましい。このようにロール
周速度2〜100m/sec にて片ロール法で前記組成の合
金溶湯を急冷凝固させることによって、保磁力iHc
が、3〜20kOe、磁化σが80〜150emu/gr程度
の磁石が得られる。このように溶湯から直接急冷凝固さ
せれば、非晶質もしくは極めて微細な結晶質の組織が得
られ、その結果上述のように磁石特性が優れた磁石が得
られるのである。 【0013】急冷後の組織は急冷条件により異なるが、
アモルファスあるいは微結晶又はその混合組織からなる
が、焼鈍により、その微結晶又はアモルファスと微結晶
からなる組織およびサイズをさらにコントロール出来、
より高い高特性が得られる。微結晶相としては、少くと
も50%以上が、0.01〜3μm未満好ましくは0.
01〜1μm未満の範囲内の大きさである時、高特性が
得られる。アモルファス相を含まない組織からなる時高
特性が得られる。 【0014】液体急冷法によって急冷凝固された磁石
を、不活性雰囲気もしくは真空中において300〜90
0℃の温度範囲にて0.001〜50時間焼鈍する。こ
のような焼鈍熱処理を施すことによって、この発明で対
象とする成分の急冷磁石では、急冷条件によって諸特性
が敏感でなくなり、安定した特性が容易に得られる。こ
こで焼鈍温度は、300℃未満では焼鈍の効果はなく、
900℃を越える場合には、保磁力iHcが急激に低下
する。また焼鈍時間が0.001時間未満では焼鈍の効
果がなく、50時間を越えてもそれ以上特性は向上せ
ず、経済的に不利となるだけである。したがって焼鈍条
件は前述のように規定した。また、上記焼鈍中に、磁場
中処理を行なうことにより磁石特性を向上させることが
できる。得られたリボン状の磁石を、好ましくは30〜
500μmの粒径に粉砕して、冷間プレス又は温間プレ
スする事により高密度のバルク体磁石となす事が出来
る。 【0015】さらに本発明に係る永久磁石は、液体急冷
法の他に粉末結合法、すなわち液体急冷法により得たリ
ボンまたは粉末を必要ならばさらに焼鈍処理および粉砕
した後に、樹脂等で結合してボンディッド磁石とする事
が出来る。 【0016】従来の高速急冷法により得られたリボン状
の磁石あるいは、それを粉砕後バルク体となした磁石お
よびポンディッド磁石は特開昭59−211549号公
報に示される如く知られている。しかし従来の磁石は
J.A.P60(10),vol15(1986)36
85頁に示される如く飽和磁化まで着磁させるためには
40kOe以上110kOeにもおよぶ着磁磁場が必要
であり、通常の電磁石である15〜20kOeで飽和着
磁可能な磁石が望まれていた。本発明におけるZr等を
含有させた磁石合金は図1に示す如く15〜20kOe
で十分着磁可能であるという利点を有し、そのため15
〜20kOeでの着磁後の特性は大巾に改良される。 【0017】なお、図中、Fe−13.5Nd−5Bは
従来の磁石の例、Fe−9.5Nd−8B−4Zrは本
発明の磁石の例、横軸は着磁磁場(kOe)、縦軸はB
r(Hex)−ある着磁磁場における残留磁化−に対す
るBr(40k)−40kOeの着磁磁場に対する残留
磁化の比率である。 【0018】次にこの発明における成分限定理由につい
て説明すると、希土類元素の量xの値が、5.5未満で
は保磁力iHcが低下する傾向があり、xの値が12以
上となれば磁化の値が小さくなる。又CeとLaの複合
添加の合計が85/90を越えて添加されると最大エネ
ルギー積が低下する。又Smメタルも、異方性化定数を
低下させるのでxの20%以下に押えた方が良い。Bの
量yの値は、2未満では保磁力iHcが小さく、15以
上ではBrが低下する。CoでFeを置換することで磁
気性能が改善しかつキューリー温度も改良されるが、置
換量zは0.7を越えると保磁力の低下をまねく。 【0019】ZrまたはZrとNb,Mo,Hf,Ta
およびWの少なくとも1種のM元素の量wが10を越え
ると磁化の急激な減少をまねく。またiHcの増加のた
めには0.1以上のwが好ましく、耐食性を上昇させる
ためには0.5以上、より好ましくは1以上が良好であ
る。M元素を2種以上複合添加すると、単独添加の場合
よりも保磁力iHc向上効果が大きい。なお複合添加の
場合の添加量上限は10%である。 【0020】Bの50%以下をSi,C,Ga,Al,
P,N,Ce,S等で置換してもB単独と同様な効果を
有する。 【0021】yは2〜15未満の範囲、zは0〜0.7
の範囲、wは0を含まず〜10の範囲とする必要があ
る。 【0022】等方性で高エネルギー積を得るための好ま
しい領域はxは12未満、より好ましくは、10未満、
yは2〜15未満、より好ましくは4〜12、さらに好
ましくは4〜10の範囲、zは0〜0.7、より好まし
くは0〜0.6、wは0を含まず〜10、より好ましく
は2〜10の範囲である。 【0023】又、等方性で着磁特性が良く高エネルギー
積を得るための好ましい領域はxは6〜12未満、より
好ましくは、6〜10未満、yは2〜15未満、より好
ましくは4〜12さらに好ましくは4〜10の範囲、z
は0〜0.7、より好ましくは0〜0.6、wは0を含
まず〜10、より好ましくは、2〜10の範囲である。 【0024】 【作用】Mの添加は、約10原子%Nd以上では特に高
保磁力化に寄与しまた低コスト化が可能な約10原子%
Nd未満では特に最大エネルギ積(BH)max の向上に
寄与する。またMは保磁力向上に対する寄与も大きい。 【0025】上述のような高保磁力化の原因としては、
R含有量xが12原子%未満、特に10原子%未満の場
合は従来のR−Fe−B磁石に見られるような安定な正
方晶R2 Fe14B化合物を使用する保磁力機構ではな
く、高速急冷法により過飽和にM元素が固溶した準安定
なR2 Fe14B相を主相とした微細組織が原因となる。
通常Mは約2原子%までは安定に高温で固溶しうるが、
2原子%以上固溶するためには高速急冷法を用いなけれ
ば不可能であり、準安定に存在する。このことは図2,
3に示されるX線回折の結果からも推察される。 【0026】図2は10m/秒で高速急冷後700℃1
0分間時効処理を施した磁石のX線回折図で、殆んどR
2 Fe14B相からなる。図3は鋳造インゴットを作成後
または1150℃4時間均質化処理後のX線回折である
が、明らかに図2と回折パターンが異なり主相がRFe
7 相で構成されている。 【0027】それゆえ、添加元素Mは低R組成でもR2
Fe14B相を安定化するが、この作用は高速急冷法にお
いてのみ得られるものであり、焼結磁石ではこのような
効果はない。 【0028】Rx Mw By (Fe,Co)1−x−y−
wで表現すれば、2≦w≦10、5.5≦x<12好ま
しくは6≦x<10、4≦y≦12好ましくは4≦y≦
10なる時上記作用影響が大である。又、添加元素Mは
ピンニングサイトのための境界相として働く副相を生成
し、強化する働きをもつと考えられる。さらに、α−F
eおよび他の相も一部副相として存在することができ
る。又α−Fe相および他の相も一部副相として存在す
ることが出来る。 【0029】R含有量が10原子%以上の場合、保磁力
発生機構は従来のR2 Fe14B型相によるが、Mが結晶
異方性定数を上昇させる効果により保磁力が向上すると
考えられる。又本発明による磁石は先に述べた如く着磁
磁場が低くてすみかつ量産安定性に優れた磁石である。 【0030】 【実施例】 実施例1 Rx (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw なる組成を
有する合金をアーク溶解により作製した。得られた合金
を溶湯急冷法を用いて薄帯化した。10〜80m/秒で
回転するロール表面に石英ノズルを介して溶湯合金をア
ルゴンガス圧で射出冷却して非晶質あるいは微結晶質か
ら成る薄帯を得た。 【0031】この薄帯にアルゴンガス雰囲気中550〜
900℃の温度範囲で時効処理を施した。得られた最高
の磁気特性を表1に示す。 【0032】表1より、Zr、またはZrとNb,M
o,Hf,TaおよびWの少なくとも1種の添加によ
り、iHcと(BH)max の高い磁石が得られることが
わかる。 【0033】また、Zr、またはZrとNb,Mo,H
f,TaおよびWの少なくとも1種を添加した場合にお
いてもR≧12のときはBrが低くなる。 【0034】 【表1】 【0035】本発明の試料のNo. 1〜10および比較例
No. 11〜14の磁石を40℃、90%の温度の雰囲気
で100時間放置したところ、No. 11〜14の試料に
は0.1〜1mmの錆が発生したが、本発明の試料には殆
んど認められなかった。これより、Zr、またはZrと
Nb,Mo,Hf,TaおよびWの少なくとも1種の添
加は耐食性も改良している事がわかる。 【0036】実施例2 表2に示すような組成を有する合金が、得られるように
原料を配合し、高周波加熱によってこれらの原料を溶解
し、アルゴン雰囲気中にて周速40m/sec で回転してい
る銅ロールに石英ノズルから溶湯を噴出し、厚さ約20
μm 、幅5mmのリボンを得た。次いでリボンを50〜2
00μm 程度の粒径の粒子に粉砕した。リボンの磁石特
性を表3に示す。 【0037】 【表2】 【0038】 【表3】 【0039】実施例3 Ndx (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw なる組成
(具体的には表4に示した)を有する合金について実施
例1と同様の処理を行なった結果を表4に示す。 【0040】 【表4】【0041】実施例4 表5に組成を示す合金を実施例1と同様にして得た。リ
ボンの磁石特性を表6に示す。 【0042】 【表5】 【0043】 【表6】 【0044】実施例5 実施例1と同様な方法で表7に示す組成の合金を作成し
た。 【0045】 【表7】 【0046】この試料を振動式磁力計を用いまず18k
Oeで着磁測定し、次に40kOeでパルス着磁後測定
したものを比較した。その値をBr18K /Br
40K (%)で表7に示す。 【0047】なお、表中の値は40kOeでパルス着磁
した試料の値である。 【0048】表7より本系合金は着磁が容易である事が
わかる。 【0049】実施例6 9.5Nd−8B−4Zr−balFeなる組成を有す
る合金をアーク溶解により作製した。得られた合金を溶
湯急冷法を用いて薄帯化した。表8に示したように、
7.5〜30m/秒で回転するロール表面に石英ノズル
を介して溶湯合金をアルゴンガス圧で射出冷却して非晶
質あるいは微結晶質から成る薄帯を得た。 【0050】この薄帯にアルゴンガス雰囲気中750℃
で10分間時効処理した。得られた磁気特性を表8に示
す。 【0051】 【表8】 【0052】又比較のため、9.5Nd−8B−4Zr
−balFeなる組成の合金をアーク溶解で作成し、そ
のまま700℃で10分間熱処理した。得られた最高の
(BH)mは7MGOeであった。さらにNo. 1〜5の
試料についてiHcおよびBrの温度係数を20℃〜1
10℃にわたって測定した所、dBr/dT=0.08
〜0.11%/℃、diHc/dT=0.34〜0.4
0%/℃と良好な値を示した。 【0053】実施例7 下記の表9に示される特性を有する薄帯を約100μm
に粉砕し熱硬化性樹脂と混合しプレス成形し、密度約6
g/ccのボンド磁石を得た。 【0054】40kOeのパルス着磁を施し測定した結
果を表9に示す。 【0055】 【表9】【0056】又、本発明の実施例のNo. 1および2の磁
石は18kOeでの着磁が40kOeでのパルス着磁と
比べ97%以上と良好であり、又、温度特性は実施例4
のリボンと同様な良好な値を示した。 【0057】又、比較例のNo. 5の試料の18kOeで
の着磁は92%であった。さらに比較例のBr,iHc
の温度特性(20〜110℃)を調べた所dBr/dT
=0.14%/℃,diHc/dT=0.41%/℃で
あった。 【0058】 【発明の効果】以上の説明、特に実施例から明らかなよ
うに、本発明により、Zr、またはZrとNb,Mo,
Hf,TaおよびWの少なくとも1種を添加することに
より、R,Fe,B含有量がほぼ同一の系のM元素無添
加磁石と比較して、添加量にもよるが、1.5倍以上の
保磁力iHcが達成される。よって、R−B−Fe合金
磁石の保磁力iHcの温度特性が優れないという欠点が
あるにせよ、かかる欠点を補って余りある高い保磁力i
Hc向上が達成され、そして実用性ある永久磁石が提供
された。 【0059】また極めて着磁特性に優れた磁石であると
いう特徴がある。 【0060】さらに、特筆すべき点として、希土類元素
Rの含有量が10%未満においても、希土類元素Rの含
有量10%以上の場合と遜色ない磁石特性が得られる。
よって、本発明により、低コストでありかつ保磁力およ
びエネルギー積の高い磁石が提供されたこととなり、当
該分野における本発明の意義は大きい。
される高性能磁石、特に希土類元素を含む合金系の急冷
磁石およびその製法に関し、Fe−R−B系(RはYを
含む希土類元素である、以下同じ)およびFe−Co−
R−B系の合金溶湯を急冷凝固させることによって優れ
た磁石特性を有する磁石としさらに急冷凝固後の磁石を
特定条件下で焼鈍することによって、均質で安定な磁石
性能を得るものである。 【0002】なお、本明細書において、RはYを包含す
る希土類元素のうち少なくとも1種、R’はCe,La
を除き、Yを包含する希土類元素の少なくとも1種を示
す。 【0003】 【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、粉
末冶金法によるSm−Co系磁石でエネルギー積とし
て、32MGOeのものが量産されているが、Sm,C
oは原料価格が高いという欠点を有する。希土類の中で
原子量の小さい希土類元素、たとえばセリウムやプラセ
オジム、ネオジムはサマリウムよりも豊富にあり、価格
が安い。又Feは安価である。 【0004】そこで、近年Nd−Fe−B系磁石が開発
され、特開昭59−46008号公報では、焼結磁石
が、また特開昭60−9852号公報では、高速急冷法
によるものが述べられている。 【0005】焼結法による磁石では、従来のSm−Co
系の粉末冶金プロセスを適用出来るものの、酸化しやす
いNd−Fe系合金インゴットを2〜10μm程度に微
粉末化する工程を有するため、取り扱いが難かしいこ
と、あるいは粉末冶金プロセスは工程数が多い(溶解→
鋳造→インゴット粗粉砕→微粉砕→プレス→焼結→磁
石)ため安価な原料を用いるという特徴を生かせない面
があった。 【0006】一方、高速急冷法による磁石では工程が簡
素化され(溶解→高速急冷→粗粉砕→冷間プレス(温間
プレス)→磁石)、かつ微粉末化工程を必要としないと
いう利点がある。しかしながら、高速急冷法による磁石
を工業材料となすためには一層の高保磁力化、高エネル
ギー積化、低コスト化および着磁特性の改良等が望まれ
ていた。 【0007】希土類−鉄−ホウ素永久磁石の諸特性の中
で保磁力は温度に鋭敏であり、希土類コバルト永久磁石
の保磁力(iHc)の温度係数が0.15%/℃である
のに対して、希土類−鉄−ホウ素永久磁石材料の保磁力
(iHc)の温度係数は0.6〜0.7%/℃と4倍以
上高いという問題点があった。したがって、希土類−鉄
−ホウ素永久磁石材料は温度上昇に伴って減磁する危険
が大きく、磁気回路上での限定された設計を余儀なくさ
れていた。さらには、例えば、熱帯で使用する自動車の
エンジンルーム内の部品用永久磁石としては使用不可能
であった。希土類−鉄−ホウ素永久磁石材料は保磁力の
温度係数が大きいところに実用上の問題があることは従
来より知られており、保磁力の絶対値が大きい磁石の出
現が望まれていた(日経ニューマテリアル、1986、
4−28(No. 9)第80頁)。R−B−Fe合金に液
体急冷法により高い保磁力iHeとエネルギ積を具備さ
せることを提案する特開昭60−9852号公報の組成
は、希土類元素R(Nd,Pr)=10%以上、B=
0.5〜10%、残部Feからなるものが特許請求の範
囲に記載されている。従来R−B−Fe合金の優れた磁
石特性はNd2 Fe14B相化合物によるものと説明され
ており、そのため焼結法、高速急冷法共に磁石特性を改
良するための多くの提案(特開昭59−89401,6
0−144906,61−579749,57−141
901,61−73861号公報)はこの化合物に該当
する組成の近傍、すなわち、R=12〜17%、B=5
〜8%の範囲の合金の実験に基づいている。希土類元素
は高価であるため、その含有量を低下させることが望ま
れるが、希土類元素の含有量が12%未満になると、保
磁力iHcが急激に劣化するという問題があり、特開昭
60−9852号ではR=10%となるとiHcは6k
Oe以下になる事が示されている。すなわち、R−B−
Fe系合金において希土類元素の含有量が12%未満に
なると、保磁力iHcが劣化するとの事実があったので
あるが、かかる組成範囲において保磁力iHcの劣化を
防止するように組成ならびに組織を設計する方法は従来
知られていなかった。 【0008】焼結法と高速急冷法においては、基本的に
Nd2 Fe14B化合物を用いているが、応用物理第55
巻、第2号(1986)頁121に示される如く、上記
磁石は単なる製法の違いだけではなく両磁石は合金組織
と保磁力発生機構の観点から全く異なったタイプの磁石
である。すなわち焼結磁石は結晶粒径が約10μmであ
り、従来のSm−Co系磁石で言えば、逆磁区の核発生
が保磁力を決めるSmCo5 型磁石のようなニュークリ
エーション型であり、一方高速急冷磁石は0.01〜1
μmの微細粒子をアモルファス相が取り囲んだ極めて微
細な組織により磁壁のピン止めが保磁力を決定するSm
2 Co17型磁石のようなピンニング型磁石である。それ
ゆえ、特性向上のための両磁石へのアプローチの考え方
としては保磁力発生機構が十分異なる事を考慮して検討
する必要があった。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は平衡相ととも
に、非平衡相を比較的容易に作製可能である高速急冷法
に着目し、Fe(Co)−R−B系に対して種々の元素
を添加することを検討した結果、Zrの添加により、R
含有量が12原子%未満の組成領域で、等方性であって
も高保磁力、高エネルギー積を示し、実用に適した高性
能磁石を提供しうる事を見出したものである。この発明
は高速急冷法で得られるものであり、焼結法においては
実現出来ないものである。 【0010】さらに本発明はZr、またはZrとNb,
Mo,Hf,TaおよびWの少なくとも1種を添加し、
高速急冷することにより着磁特性および耐食性が良好な
磁石合金を提供するものである。またこの発明はその磁
石の性能をさらに安定に得るための方法を提供するもの
である。 【0011】すなわち、本発明は、{R′a(Ceb L
a1-b )1-a }x (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw (但し、R′は
Ce,Laを除き、Yを包含する希土類元素の少なくと
も1種、5.5≦x<12,2≦y<15、0≦z≦
0.7、0<w≦10、85/90≦a≦1.00、0
≦b≦1、MはZr、またはZrとNb,Mo,Hf,
TaおよびWの少なくとも1種)の組成をもち、微結晶
相あるいは微結晶とアモルファス相との混相からなり、
20kOe の低磁場で95%以上着磁可能な永久磁石にあ
る。 【0012】本発明の磁石は、前記の組成のFe−R−
BおよびFe−Co−R−Bからなる系の合金溶湯をい
わゆる液体急冷法によって高速で冷却凝固させたもので
ある。この液体急冷法は、水冷等により冷却された金属
製の回転体の表面に、ノズルから溶湯を射出して高速で
急冷凝固させ、リボン状の材料を得る方法であり、ディ
スク法、単ロール法(片ロール法)、双ロール法等があ
るが、この発明の場合には片ロール法、すなわち1個の
回転ロールの周面上に溶湯を射出する方法が最も適当で
ある。片ロール法でこの発明の磁石を得る場合、水冷回
転ロールの周速度は、2m/sec 〜100m/sec の範囲内
とすることが望ましい。その理由は、ロール周速度が2
m/sec 未満の場合および100m/sec を越える場合のい
ずれにおいても保磁力iHcが低くなるからである。高
保磁力、高エネルギー積を得るためにはロール周速度を
5〜30m/sec とする事が望ましい。このようにロール
周速度2〜100m/sec にて片ロール法で前記組成の合
金溶湯を急冷凝固させることによって、保磁力iHc
が、3〜20kOe、磁化σが80〜150emu/gr程度
の磁石が得られる。このように溶湯から直接急冷凝固さ
せれば、非晶質もしくは極めて微細な結晶質の組織が得
られ、その結果上述のように磁石特性が優れた磁石が得
られるのである。 【0013】急冷後の組織は急冷条件により異なるが、
アモルファスあるいは微結晶又はその混合組織からなる
が、焼鈍により、その微結晶又はアモルファスと微結晶
からなる組織およびサイズをさらにコントロール出来、
より高い高特性が得られる。微結晶相としては、少くと
も50%以上が、0.01〜3μm未満好ましくは0.
01〜1μm未満の範囲内の大きさである時、高特性が
得られる。アモルファス相を含まない組織からなる時高
特性が得られる。 【0014】液体急冷法によって急冷凝固された磁石
を、不活性雰囲気もしくは真空中において300〜90
0℃の温度範囲にて0.001〜50時間焼鈍する。こ
のような焼鈍熱処理を施すことによって、この発明で対
象とする成分の急冷磁石では、急冷条件によって諸特性
が敏感でなくなり、安定した特性が容易に得られる。こ
こで焼鈍温度は、300℃未満では焼鈍の効果はなく、
900℃を越える場合には、保磁力iHcが急激に低下
する。また焼鈍時間が0.001時間未満では焼鈍の効
果がなく、50時間を越えてもそれ以上特性は向上せ
ず、経済的に不利となるだけである。したがって焼鈍条
件は前述のように規定した。また、上記焼鈍中に、磁場
中処理を行なうことにより磁石特性を向上させることが
できる。得られたリボン状の磁石を、好ましくは30〜
500μmの粒径に粉砕して、冷間プレス又は温間プレ
スする事により高密度のバルク体磁石となす事が出来
る。 【0015】さらに本発明に係る永久磁石は、液体急冷
法の他に粉末結合法、すなわち液体急冷法により得たリ
ボンまたは粉末を必要ならばさらに焼鈍処理および粉砕
した後に、樹脂等で結合してボンディッド磁石とする事
が出来る。 【0016】従来の高速急冷法により得られたリボン状
の磁石あるいは、それを粉砕後バルク体となした磁石お
よびポンディッド磁石は特開昭59−211549号公
報に示される如く知られている。しかし従来の磁石は
J.A.P60(10),vol15(1986)36
85頁に示される如く飽和磁化まで着磁させるためには
40kOe以上110kOeにもおよぶ着磁磁場が必要
であり、通常の電磁石である15〜20kOeで飽和着
磁可能な磁石が望まれていた。本発明におけるZr等を
含有させた磁石合金は図1に示す如く15〜20kOe
で十分着磁可能であるという利点を有し、そのため15
〜20kOeでの着磁後の特性は大巾に改良される。 【0017】なお、図中、Fe−13.5Nd−5Bは
従来の磁石の例、Fe−9.5Nd−8B−4Zrは本
発明の磁石の例、横軸は着磁磁場(kOe)、縦軸はB
r(Hex)−ある着磁磁場における残留磁化−に対す
るBr(40k)−40kOeの着磁磁場に対する残留
磁化の比率である。 【0018】次にこの発明における成分限定理由につい
て説明すると、希土類元素の量xの値が、5.5未満で
は保磁力iHcが低下する傾向があり、xの値が12以
上となれば磁化の値が小さくなる。又CeとLaの複合
添加の合計が85/90を越えて添加されると最大エネ
ルギー積が低下する。又Smメタルも、異方性化定数を
低下させるのでxの20%以下に押えた方が良い。Bの
量yの値は、2未満では保磁力iHcが小さく、15以
上ではBrが低下する。CoでFeを置換することで磁
気性能が改善しかつキューリー温度も改良されるが、置
換量zは0.7を越えると保磁力の低下をまねく。 【0019】ZrまたはZrとNb,Mo,Hf,Ta
およびWの少なくとも1種のM元素の量wが10を越え
ると磁化の急激な減少をまねく。またiHcの増加のた
めには0.1以上のwが好ましく、耐食性を上昇させる
ためには0.5以上、より好ましくは1以上が良好であ
る。M元素を2種以上複合添加すると、単独添加の場合
よりも保磁力iHc向上効果が大きい。なお複合添加の
場合の添加量上限は10%である。 【0020】Bの50%以下をSi,C,Ga,Al,
P,N,Ce,S等で置換してもB単独と同様な効果を
有する。 【0021】yは2〜15未満の範囲、zは0〜0.7
の範囲、wは0を含まず〜10の範囲とする必要があ
る。 【0022】等方性で高エネルギー積を得るための好ま
しい領域はxは12未満、より好ましくは、10未満、
yは2〜15未満、より好ましくは4〜12、さらに好
ましくは4〜10の範囲、zは0〜0.7、より好まし
くは0〜0.6、wは0を含まず〜10、より好ましく
は2〜10の範囲である。 【0023】又、等方性で着磁特性が良く高エネルギー
積を得るための好ましい領域はxは6〜12未満、より
好ましくは、6〜10未満、yは2〜15未満、より好
ましくは4〜12さらに好ましくは4〜10の範囲、z
は0〜0.7、より好ましくは0〜0.6、wは0を含
まず〜10、より好ましくは、2〜10の範囲である。 【0024】 【作用】Mの添加は、約10原子%Nd以上では特に高
保磁力化に寄与しまた低コスト化が可能な約10原子%
Nd未満では特に最大エネルギ積(BH)max の向上に
寄与する。またMは保磁力向上に対する寄与も大きい。 【0025】上述のような高保磁力化の原因としては、
R含有量xが12原子%未満、特に10原子%未満の場
合は従来のR−Fe−B磁石に見られるような安定な正
方晶R2 Fe14B化合物を使用する保磁力機構ではな
く、高速急冷法により過飽和にM元素が固溶した準安定
なR2 Fe14B相を主相とした微細組織が原因となる。
通常Mは約2原子%までは安定に高温で固溶しうるが、
2原子%以上固溶するためには高速急冷法を用いなけれ
ば不可能であり、準安定に存在する。このことは図2,
3に示されるX線回折の結果からも推察される。 【0026】図2は10m/秒で高速急冷後700℃1
0分間時効処理を施した磁石のX線回折図で、殆んどR
2 Fe14B相からなる。図3は鋳造インゴットを作成後
または1150℃4時間均質化処理後のX線回折である
が、明らかに図2と回折パターンが異なり主相がRFe
7 相で構成されている。 【0027】それゆえ、添加元素Mは低R組成でもR2
Fe14B相を安定化するが、この作用は高速急冷法にお
いてのみ得られるものであり、焼結磁石ではこのような
効果はない。 【0028】Rx Mw By (Fe,Co)1−x−y−
wで表現すれば、2≦w≦10、5.5≦x<12好ま
しくは6≦x<10、4≦y≦12好ましくは4≦y≦
10なる時上記作用影響が大である。又、添加元素Mは
ピンニングサイトのための境界相として働く副相を生成
し、強化する働きをもつと考えられる。さらに、α−F
eおよび他の相も一部副相として存在することができ
る。又α−Fe相および他の相も一部副相として存在す
ることが出来る。 【0029】R含有量が10原子%以上の場合、保磁力
発生機構は従来のR2 Fe14B型相によるが、Mが結晶
異方性定数を上昇させる効果により保磁力が向上すると
考えられる。又本発明による磁石は先に述べた如く着磁
磁場が低くてすみかつ量産安定性に優れた磁石である。 【0030】 【実施例】 実施例1 Rx (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw なる組成を
有する合金をアーク溶解により作製した。得られた合金
を溶湯急冷法を用いて薄帯化した。10〜80m/秒で
回転するロール表面に石英ノズルを介して溶湯合金をア
ルゴンガス圧で射出冷却して非晶質あるいは微結晶質か
ら成る薄帯を得た。 【0031】この薄帯にアルゴンガス雰囲気中550〜
900℃の温度範囲で時効処理を施した。得られた最高
の磁気特性を表1に示す。 【0032】表1より、Zr、またはZrとNb,M
o,Hf,TaおよびWの少なくとも1種の添加によ
り、iHcと(BH)max の高い磁石が得られることが
わかる。 【0033】また、Zr、またはZrとNb,Mo,H
f,TaおよびWの少なくとも1種を添加した場合にお
いてもR≧12のときはBrが低くなる。 【0034】 【表1】 【0035】本発明の試料のNo. 1〜10および比較例
No. 11〜14の磁石を40℃、90%の温度の雰囲気
で100時間放置したところ、No. 11〜14の試料に
は0.1〜1mmの錆が発生したが、本発明の試料には殆
んど認められなかった。これより、Zr、またはZrと
Nb,Mo,Hf,TaおよびWの少なくとも1種の添
加は耐食性も改良している事がわかる。 【0036】実施例2 表2に示すような組成を有する合金が、得られるように
原料を配合し、高周波加熱によってこれらの原料を溶解
し、アルゴン雰囲気中にて周速40m/sec で回転してい
る銅ロールに石英ノズルから溶湯を噴出し、厚さ約20
μm 、幅5mmのリボンを得た。次いでリボンを50〜2
00μm 程度の粒径の粒子に粉砕した。リボンの磁石特
性を表3に示す。 【0037】 【表2】 【0038】 【表3】 【0039】実施例3 Ndx (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw なる組成
(具体的には表4に示した)を有する合金について実施
例1と同様の処理を行なった結果を表4に示す。 【0040】 【表4】【0041】実施例4 表5に組成を示す合金を実施例1と同様にして得た。リ
ボンの磁石特性を表6に示す。 【0042】 【表5】 【0043】 【表6】 【0044】実施例5 実施例1と同様な方法で表7に示す組成の合金を作成し
た。 【0045】 【表7】 【0046】この試料を振動式磁力計を用いまず18k
Oeで着磁測定し、次に40kOeでパルス着磁後測定
したものを比較した。その値をBr18K /Br
40K (%)で表7に示す。 【0047】なお、表中の値は40kOeでパルス着磁
した試料の値である。 【0048】表7より本系合金は着磁が容易である事が
わかる。 【0049】実施例6 9.5Nd−8B−4Zr−balFeなる組成を有す
る合金をアーク溶解により作製した。得られた合金を溶
湯急冷法を用いて薄帯化した。表8に示したように、
7.5〜30m/秒で回転するロール表面に石英ノズル
を介して溶湯合金をアルゴンガス圧で射出冷却して非晶
質あるいは微結晶質から成る薄帯を得た。 【0050】この薄帯にアルゴンガス雰囲気中750℃
で10分間時効処理した。得られた磁気特性を表8に示
す。 【0051】 【表8】 【0052】又比較のため、9.5Nd−8B−4Zr
−balFeなる組成の合金をアーク溶解で作成し、そ
のまま700℃で10分間熱処理した。得られた最高の
(BH)mは7MGOeであった。さらにNo. 1〜5の
試料についてiHcおよびBrの温度係数を20℃〜1
10℃にわたって測定した所、dBr/dT=0.08
〜0.11%/℃、diHc/dT=0.34〜0.4
0%/℃と良好な値を示した。 【0053】実施例7 下記の表9に示される特性を有する薄帯を約100μm
に粉砕し熱硬化性樹脂と混合しプレス成形し、密度約6
g/ccのボンド磁石を得た。 【0054】40kOeのパルス着磁を施し測定した結
果を表9に示す。 【0055】 【表9】【0056】又、本発明の実施例のNo. 1および2の磁
石は18kOeでの着磁が40kOeでのパルス着磁と
比べ97%以上と良好であり、又、温度特性は実施例4
のリボンと同様な良好な値を示した。 【0057】又、比較例のNo. 5の試料の18kOeで
の着磁は92%であった。さらに比較例のBr,iHc
の温度特性(20〜110℃)を調べた所dBr/dT
=0.14%/℃,diHc/dT=0.41%/℃で
あった。 【0058】 【発明の効果】以上の説明、特に実施例から明らかなよ
うに、本発明により、Zr、またはZrとNb,Mo,
Hf,TaおよびWの少なくとも1種を添加することに
より、R,Fe,B含有量がほぼ同一の系のM元素無添
加磁石と比較して、添加量にもよるが、1.5倍以上の
保磁力iHcが達成される。よって、R−B−Fe合金
磁石の保磁力iHcの温度特性が優れないという欠点が
あるにせよ、かかる欠点を補って余りある高い保磁力i
Hc向上が達成され、そして実用性ある永久磁石が提供
された。 【0059】また極めて着磁特性に優れた磁石であると
いう特徴がある。 【0060】さらに、特筆すべき点として、希土類元素
Rの含有量が10%未満においても、希土類元素Rの含
有量10%以上の場合と遜色ない磁石特性が得られる。
よって、本発明により、低コストでありかつ保磁力およ
びエネルギー積の高い磁石が提供されたこととなり、当
該分野における本発明の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】着磁特性を示すグラフ図である。
【図2】高速急冷後700℃で、10分加熱した8Nd
−4.5Zr−7.5B−balFeのX線回折図であ
る。 【図3】1150℃で4時間加熱した同一組成の鋳造イ
ンゴットのX線回折図である。
−4.5Zr−7.5B−balFeのX線回折図であ
る。 【図3】1150℃で4時間加熱した同一組成の鋳造イ
ンゴットのX線回折図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 米山 哲人
東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ
ィーディーケイ株式会社内
(56)参考文献 特開 昭61−159709(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.{R′a(Ceb La1-b )1-a }x (Fe1-z Coz )100-x-y-w By Mw (但し、R’は
Ce,Laを除き、Yを包含する希土類元素の少なくと
も1種、5.5≦x<12、2≦y<15、0≦z≦
0.7、0<w≦10、85/90≦a≦1.00、0
≦b≦1、MはZr、またはZrとNb,Mo,Hf,
TaおよびWの少なくとも1種)の組成をもち、 微結晶あるいは微結晶とアモルファス相との混相からな
り、 20kOe の低磁場で95%以上着磁可能な永久磁石。 2.高速急冷により得られるリボン形態である請求項1
の永久磁石。 3.前記微結晶あるいは微結晶相とアモルファス相の混
相よりなる粉末を圧粉した請求項1の永久磁石。 4.高速急冷により得られたリボンを粉砕後圧粉した請
求項3の永久磁石。 5.微結晶相あるいは微結晶相とアモルファス相との混
相からなる粉末をボンド磁石とした請求項1〜4のいず
れかの永久磁石。 6.x{Rの含有量(ここで、RはYを包含する希土類
元素の少なくとも1種)}<10である請求項1〜5の
いずれかの永久磁石。 7.xが6≦x≦10である請求項6の永久磁石。 8.y(Bの含有量)が4≦y≦12であり、またW
(Mの含有量)が2≦w≦10である請求項1〜7のい
ずれかの永久磁石。 9.保磁力(iHc)が7kOe 以上である請求項1〜8
のいずれかの永久磁石。 10.ボンド磁石以外の磁石であって、最大エネルギ積
(BH)max が8MGOeを超える請求項6の永久磁石。 11.{R′a(Ceb La1-b )1-a }x (Fe1-z
Coz )100-x-y-w By Mw (但し、R’はCe,La
を除き、Yを包含する希土類元素の少なくとも1種、
5.5≦x<12、2≦y≦15、0≦z≦0.7、0
<w≦10、85/90≦a≦1.00、0≦b≦1、
MはZr、またはZrとNb,Mo,Hf,Taおよび
Wの少なくとも1種)からなる合金溶湯を高速急冷後に
300〜900℃の温度範囲にて焼鈍し、 微結晶あるいは微結晶とアモルファス相との混相からな
り、 20kOe の低磁場で95%以上着磁可能な永久磁石を得
る永久磁石の製造方法。 12.高速急冷により得られるリボン形態である請求項
11の永久磁石の製造方法。 13.前記微結晶あるいは微結晶相とアモルファス相の
混相よりなる粉末を圧粉する請求項11の永久磁石の製
造方法。 14.高速急冷により得られたリボンを粉砕後圧粉する
請求項13の永久磁石の製造方法。 15.微結晶相あるいは微結晶相とアモルファス相との
混相からなる粉末をボンド磁石とした請求項11〜14
のいずれかの永久磁石の製造方法。 16.x{Rの含有量(ここで、RはYを包含する希土
類元素の少なくとも1種)}<10である請求項11〜
15のいずれかの永久磁石の製造方法。 17.xが6≦x≦10である請求項16の永久磁石の
製造方法。 18.y(Bの含有量)が4≦y≦12であり、またW
(Mの含有量)が2≦w≦10である請求項11〜17
のいずれかの永久磁石の製造方法。 19.保磁力(iHc)が7kOe 以上である請求項11
〜18のいずれかの永久磁石の製造方法。 20.ボンド磁石以外の磁石であって、最大エネルギ積
(BH)max が8MGOeを超える請求項16の永久磁石の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7202929A JP3003979B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | 永久磁石およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7202929A JP3003979B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | 永久磁石およびその製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62052215A Division JP2727505B2 (ja) | 1986-04-15 | 1987-03-09 | 永久磁石およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0851007A JPH0851007A (ja) | 1996-02-20 |
JP3003979B2 true JP3003979B2 (ja) | 2000-01-31 |
Family
ID=16465503
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7202929A Expired - Lifetime JP3003979B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | 永久磁石およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3003979B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6500277B1 (en) | 1999-06-11 | 2002-12-31 | Seiko Epson Corporation | Magnetic powder and isotropic bonded magnet |
JP2001267111A (ja) * | 2000-01-14 | 2001-09-28 | Seiko Epson Corp | 磁石粉末および等方性ボンド磁石 |
JP3593939B2 (ja) | 2000-01-07 | 2004-11-24 | セイコーエプソン株式会社 | 磁石粉末および等方性ボンド磁石 |
US6955729B2 (en) | 2002-04-09 | 2005-10-18 | Aichi Steel Corporation | Alloy for bonded magnets, isotropic magnet powder and anisotropic magnet powder and their production method, and bonded magnet |
WO2003085147A1 (fr) * | 2002-04-09 | 2003-10-16 | Aichi Steel Corporation | Alliage utilise dans un aimant lie, poudre d'aimant isotrope et anisotrope et son procede de production, et aimant lie |
JPWO2004003245A1 (ja) * | 2002-06-28 | 2005-10-27 | 愛知製鋼株式会社 | ボンド磁石用合金、等方性磁石粉末および異方性磁石粉末とそれらの製造方法並びにボンド磁石 |
WO2022124344A1 (ja) * | 2020-12-08 | 2022-06-16 | 株式会社トーキン | 永久磁石及びその製造方法、並びにデバイス |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0624163B2 (ja) * | 1985-09-17 | 1994-03-30 | ティーディーケイ株式会社 | 永久磁石 |
-
1995
- 1995-07-17 JP JP7202929A patent/JP3003979B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0851007A (ja) | 1996-02-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0242187B1 (en) | Permanent magnet and method of producing same | |
US5049208A (en) | Permanent magnets | |
US5449417A (en) | R-Fe-B magnet alloy, isotropic bonded magnet and method of producing same | |
JP2727507B2 (ja) | 永久磁石およびその製造方法 | |
JP2727505B2 (ja) | 永久磁石およびその製造方法 | |
JPH01703A (ja) | 永久磁石およびその製造方法 | |
JP3488358B2 (ja) | 微細結晶永久磁石合金及び永久磁石粉末の製造方法 | |
JP3003979B2 (ja) | 永久磁石およびその製造方法 | |
US4854979A (en) | Method for the manufacture of an anisotropic magnet material on the basis of Fe, B and a rare-earth metal | |
JP3411663B2 (ja) | 永久磁石合金並びに永久磁石合金粉末とその製造方法 | |
JP4788300B2 (ja) | 鉄基希土類合金ナノコンポジット磁石およびその製造方法 | |
JPH01100242A (ja) | 永久磁石材料 | |
JP2753429B2 (ja) | ボンド磁石 | |
JPH062929B2 (ja) | 永久磁石材料 | |
JP3519443B2 (ja) | 永久磁石合金粉末とその製造方法 | |
JPH02201902A (ja) | 永久磁石 | |
JPH02201903A (ja) | 永久磁石粉末 | |
JP3547016B2 (ja) | 希土類ボンド磁石とその製造方法 | |
JP3432858B2 (ja) | Fe−B−R系ボンド磁石の製造方法 | |
JP2580067B2 (ja) | 希土類永久磁石の製造方法 | |
JP2753430B2 (ja) | ボンド磁石 | |
JP3710154B2 (ja) | 鉄基永久磁石とその製造方法並びにボンド磁石用鉄基永久磁石合金粉末と鉄基ボンド磁石 | |
JP2868963B2 (ja) | 永久磁石材料、ボンド磁石用原料、ボンド磁石用原料粉末及びボンド磁石の製造方法 | |
JPH0475303B2 (ja) | ||
JP2975333B2 (ja) | 焼結永久磁石用原料、焼結永久磁石用原料粉末及び焼結永久磁石の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19980414 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |