JP3003659U - インピーダンス測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内部起電力を有する測定対象物のインピーダ
ンス測定に際して測定対象物から内部起電力による放電
電流が流れるのを防止することができ、測定対象物に悪
影響を与えたり、あるいはインピーダンスの測定値が安
定しない等の問題を回避する。 【構成】 交流電圧発生回路１からトランス２を介して
内部起電力Ｅi を有する測定対象物４へ交流電圧を加え
ることにより測定対象物４へ交流電流を流して測定対象
物４のインピーダンスを測定するものにおいて、測定対
象物４の両端間に生じる直流電圧Ｅs を検出しこの検出
直流電圧Ｅs とちょうど逆極性の補正直流電圧Ｅs をト
ランス２の２次電圧に加算して測定対象物４へ加える電
圧補正回路８を設けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、電池、バッテリー、充電されたコンデンサ等の内部起電力を有す る測定対象物の内部抵抗等のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図３に内部起電力を有するバッテリー等の内部抵抗を測定する従来のインピー ダンス測定装置の回路図を示している。図３において、１は交流電圧発生器、２ はトランスで、これらは内部抵抗の測定のための交流電源を構成している。３は 抵抗、４は内部起電力Ｅi を有するバッテリー等の測定対象物であり、内部抵抗 Ｚを有している。５はインピーダンス測定回路であり、測定対象物４の両端に生 じる電圧ｅを検出する差動増幅器５ａと、測定対象物４に流れる電流ｉを検出す る演算増幅器５ｂおよび帰還抵抗ｒ_i とからなる。

【０００３】 このようなインピーダンス測定装置は、交流電圧発生器１からトランス２を介 して交流電圧を加えることにより、測定対象物４へ抵抗３を通して交流電流を流 し、このときに測定対象物４の内部抵抗Ｚをインピーダンス測定回路５を用いて 測定するようになっている。 インピーダンス測定回路５は、以下のような原理で測定対象物４の内部抵抗Ｚ を測定している。つまり、測定対象物４の内部抵抗Ｚは、測定対象物４の両端に 生じる電圧ｅを測定対象物４に流れる電流ｉで割ったものであり、Ｚ＝ｅ／ｉで ある。ここで、差動増幅器５ａの出力電圧ｅ₀ は、測定対象物４の両端に生じる 電圧ｅに比例し（ｅ₀ ∝ｅ）、演算増幅器５ｂの出力電圧ｅ_i は、電流ｉに帰還 抵抗ｒ_i を乗じたものとなり（ｅ_i ＝ｉ×ｒ_i ）、測定対象物４に流れる電流ｉ に比例している（ｅ_i ∝ｉ）。したがって、電圧ｅ₀ を電圧ｅ_i で割算すれば、 インピーダンスＺを求めることができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来のインピーダンス測定装置においては、測定対象物４の内部抵 抗Ｒx の測定の際に、図４の等価回路に示すように、測定対象物４の内部起電力 Ｅi によって放電電流Ｉが流れる。この放電電流Ｉが測定対象物４に悪影響を与 えたり、または放電電流Ｉが流れている期間、インピーダンスの測定値が安定し ないといった問題が発生する。

【０００５】 このような放電電流Ｉによる問題を解消するには、測定時に放電電流を流さな いようにすることが必要である。 したがって、この考案の目的は、内部起電力を有する測定対象物のインピーダ ンス測定に際して測定対象物から内部起電力による放電電流が流れるのを防止す ることができ、測定対象物に悪影響を与えたり、あるいはインピーダンスの測定 値が安定しない等の問題を回避することができるインピーダンス測定装置を提供 することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案のインピーダンス測定装置は、交流電源から内部起電力を有する測定 対象物へ交流電圧を加えることにより測定対象物へ交流電流を流して測定対象物 のインピーダンスを測定するものにおいて、測定対象物の両端間に生じる直流電 圧を検出しこの検出直流電圧とちょうど逆極性の補正直流電圧を交流電源の電圧 に加算して測定対象物へ加える電圧補正手段を設けている。

【０００７】

【作用】

この考案の構成によれば、電圧補正手段が測定対象物の両端間に生じる直流電 圧とちょうど逆極性の補正直流電圧を交流電源の電圧に加算して測定対象物へ加 えるので、測定対象物の両端間に生じる直流電圧と電圧補正手段の補正直流電圧 とがちょうど打ち消し合うことになり、測定対象物の内部起電力による放電電流 は流れなくなる。

【０００８】

【実施例】

図１に内部起電力を有するバッテリー等の内部抵抗を測定するこの考案の一実 施例のインピーダンス測定装置の回路図を示している。図１において、６は抵抗 、７はコンデンサで、これらは交流成分を遮断するローパスフィルタを構成して いる。８は増幅度１倍の差動増幅器（例えばＡＤ６２０：アナログデバイセズ株 式会社製）からなる電圧補正回路（特許請求の範囲における電圧補正手段を構成 する）であり、測定対象物４の両端間に生じる直流電圧Ｅk を検出しこの検出直 流電圧Ｅk とちょうど逆極性の補正直流電圧Ｅs をトランス２の２次電圧（交流 電源の電圧）に加算して測定対象物４へ加える機能を有している。上記のローパ スフィルタ（抵抗６およびコンデンサ７からなる）は、測定対象物４の両端間の 電圧のうちの交流成分が電圧補正回路８に加えられないようにしている。

【０００９】 このような構成により、図２の等価回路に示すように、電圧補正回路８が測定 対象物４の両端間に生じる直流電圧Ｅk とちょうど逆極性の補正直流電圧Ｅs を トランス２の２次電圧に加算して測定対象物４へ加えるので、測定対象物４の両 端間に生じる直流電圧Ｅk と電圧補正回路８の補正直流電圧Ｅs とがちょうど打 ち消し合うことになり、測定対象物４の内部起電力Ｅi による放電電流は流れな くなる。この結果、測定対象物４に悪影響を与えたり、あるいはインピーダンス の測定値が安定しない等の問題を回避することができる。

【００１０】 上記以外の点、つまりインピーダンス測定の点に関しては、図３に示した従来 例と同様であるので、説明を省略する。 なお、上記実施例は、バッテリーの内部抵抗等のインピーダンスを測定するも のについて説明したが、これに限らず、電池の内部抵抗あるいは充電されたコン デンサのインピーダンスを測定するものにも、この考案を適用できる。

【００１１】

【考案の効果】

この考案のインピーダンス測定装置によれば、電圧補正手段により測定対象物 の両端間に生じる直流電圧とちょうど逆極性の補正直流電圧を交流電源の電圧に 加算して測定対象物へ加えるので、測定対象物の両端間に生じる直流電圧と電圧 補正手段の補正直流電圧とをちょうど打ち消し合わせることができ、測定対象物 の内部起電力による放電電流を流さないようにすることができ、測定対象物に悪 影響を与えたり、あるいはインピーダンスの測定値が安定しない等の問題を回避 することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例のインピーダンス測定装置
の構成を示す回路図である。

【図２】図１のインピーダンス測定装置の等価回路図で
ある。

【図３】従来のインピーダンス測定装置の一例の構成を
示す回路図である。

【図４】図３のインピーダンス測定装置の等価回路図で
ある。

【符号の説明】

１ 交流電圧発生器（交流電源） ２ トランス（交流電源） ３ 抵抗 ４ 測定対象物 ５ インピーダンス測定回路 ６ 抵抗（ローパスフィルタ） ７ コンデンサ（ローパスフィルタ） ８ 電圧補正回路（電圧補正手段）

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 交流電源から内部起電力を有する測定対
   象物へ交流電圧を加えることにより前記測定対象物へ交
   流電流を流して前記測定対象物のインピーダンスを測定
   するインピーダンス測定装置において、 前記測定対象物の両端間に生じる直流電圧を検出しこの
   検出直流電圧とちょうど逆極性の補正直流電圧を前記交
   流電源の電圧に加算して前記測定対象物へ加える電圧補
   正手段を設けたことを特徴とするインピーダンス測定装
   置。
2. 【請求項２】 測定対象物が電池である請求項１記載の
   インピーダンス測定装置。
3. 【請求項３】 測定対象物がバッテリーである請求項１
   記載のインピーダンス測定装置。
4. 【請求項４】 測定対象物が充電されたコンデンサであ
   る請求項１記載のインピーダンス測定装置。