JP3003374B2 - 酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および被覆用結晶化ガラス組成物 - Google Patents
酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および被覆用結晶化ガラス組成物Info
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Description
られる酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法と、サーミ
スタ、バリスタなどの酸化物セラミックの被覆に用いら
れる結晶化ガラス組成物に関するものである。
O,Sb2O3,Cr2O3,MnO2を始めとする種類の
金属酸化物を副成分とする酸化亜鉛バリスタは、大きな
サージ耐量と優れた電圧非直線性を有し、近年ギャップ
レスアレスタ用の素子として、従来のシリコンカーバイ
トバリスタにとって代わって広く利用されていることは
周知の通りである。
して、例えば特開昭62−101002号公報などが開
示されているが、前記先行例の内容は以下の通りであ
る。
2O3,Cr2O3、CoO、MnO2などの金属酸化物を
それぞれ0.01〜6.0モル%添加した原料粉を混
合、造粒し、この造粒粉を円柱状に加圧、形成し、電気
炉で1200℃、6時間焼成する。
60重量%含有するPbO系ガラスフリットを80重量
%と、長石を20重量%と、有機バインダーとからなる
ガラスペーストを、スクリーン印刷機で5〜500mg/
cm2塗布した後、焼付処理を行う。このようにして得ら
れた素子の両端面を平面研磨し、アルミニウムのメタリ
コン電極を形成し、酸化亜鉛バリスタを得るものであ
る。
来の製造方法による酸化亜鉛バリスタは、スクリーン印
刷法を用いるため、側面ガラス層の厚みが均一に形成さ
れ、放電耐量特性のバラツキが小さいという長所を持つ
ものの、PbO系ガラスフリットと長石のコンポジット
ガラスであるため、放電耐量特性が低く、またガラス焼
付処理時に電圧非直線性が低下し、課電寿命特性も悪化
するという欠点を有していた。
で、高信頼性の酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法、
さらに酸化物系セラミック一般に用いられる被覆用結晶
化ガラス組成物を提供することを目的とするものであ
る。
題を解決するため、ZnOを主成分とする焼結体の側面
に、少なくともV2O5を0.1〜5.0重量%含むPb
O主成分とする結晶化ガラスからなる側面高抵抗層を有
する構成としたものである。また、前記焼結体の側面に
少なくともV2O5を0.1〜5.0重量%含むPbOを
主成分とする結晶化ガラスと有機バインダーからなるガ
ラスペースを10.0〜100.0mg/cm2塗布し、4
50〜600℃の温度範囲にて焼付処理し、側面高抵抗
層を形成するものである。
2O5を0.1〜5.0重量%含むPbO−ZnO−B2
O3−SiO2−V2O5系の酸化物セラミック被覆用の結
晶化ガラス組成物を提供するものである。
ガラスに較べ、PbOを主成分とする結晶化ガラスは、
V2O5の添加により結晶化が促進され、SiO2の添加
により被覆膜の強度が向上し、焼結体との密着性もよい
ため放電耐量特性に優れ、されに絶縁性も高いため、焼
付処理時の電圧非直線性の低下を最小限に抑えることが
可能となり、課電寿命特性にも優れた高信頼性の酸化亜
鉛バリスタを得ることができる。
製造方法、さらに被覆用結晶化ガラス組成物について実
施例に基づき詳細に説明する。
2O3 0.5モル%,CO2O3 0.5モル%,MnO
2 0.5モル%,Sb2O3 1.0モル%,Cr2O3
0.5モル%,NiO 0.5モル%,SiO2 0.
5モル%を加え、純水、バインダー、分散剤とともに例
えばボールミルにて充分に混合、粉砕した後、スプレー
ドライヤーにて乾燥、造粒して原料粉を得た。この原料
粉を直径40mm、厚さ30mmの大きさに圧縮成形し、5
00℃以上の温度条件にて脱脂処理した。その後、11
00〜1250℃の温度範囲で焼成し、焼結体を得た。
nO,B2O3,SiO2,V2O5を所定量秤量し、例え
ばボールミルにて混合、粉砕した後、白金ルツボにて1
000〜1200℃の温度条件で溶融し、急冷してガラ
ス化させた。このガラスを粗粉砕した後、ボールミルに
て微粉砕し、ガラスフリットを得た。なお、比較検討用
試料としてPbO 70.0重量%,ZnO 25.0
重量%,B2O3 5.0重量%からなるガラスフリット
80.0重量%と長石(長石はKAlSi3O8,NaA
lSi3O8,CaAl2Si2O8の固溶体)20.0重
量%からなるコンポジットガラスを同様の工程で作製し
た。
組成およびガラス転移点(Tg)、線膨脹係数(α)お
よび結晶性を下記の(表1)に示した。
および線膨脹係数αは熱分析装置を用いて測定した。ま
た、結晶性は金属顕微鏡あるいは電子顕微鏡によりガラ
スの表面状態を観察し、結晶性の高い試料については○
印で、全く結晶の見られないものについては×印で表示
した。
線膨脹係数(α)が高くなり、ZnOの添加量が多い場
合、ガラス転移点(Tg)が低くなり結晶化しやすくな
る。また、B2O3の添加量が多い場合、ガラス転移点が
高くなり、添加量が15.0重量%を超えた場合には結
晶化しにくくなる。さらに、SiO2の添加量が多くな
るに従いガラス転移点は高くなる傾向があり、線膨脹係
数は低くなる傾向がある。そして、V2O5の添加量が増
加するに従いガラス転移点が下がりガラスの結晶化が進
行した。また、PbO,B2O3が少ない系ではポーラス
なガラスとなり易かった。
有機バインダー(エチルセルロース、ブチルカルビトー
ルアセテートの混合物)15重量%を、例えば三本ロー
ルミルにて充分に混合し、被覆用ガラスペーストを得
た。この被覆用ガラスペーストを、例えば曲面スクリー
ン印刷機にて125〜250メッシュのスクリーンを用
いて前記焼結体の側面に印刷した。
ペーストを塗布した後、150℃で30分間乾燥して焼
結体の重量差から求めた。また、塗布量は被覆用ガラス
ペーストに有機バインダー、酢酸n−ブチルを添加して
調整した。その後、350〜700℃の温度条件にて被
覆用ガラスペーストの焼付処理を行い、焼結体に側面高
抵抗層を形成した。
アルミニウムのメタリコン電極を形成し、酸化亜鉛バリ
スタを得た。
による酸化亜鉛バリスタの断面図を示す。図1におい
て、1は酸化亜鉛を主成分とする焼結体、2は焼結体1
の両端面に形成された電極、3は焼結体1の側面に結晶
化ガラスを焼付処理して得られた側面高抵抗層である。
覆用ガラスを用いて作成してた化亜鉛バリスタの外観、
ここで、被覆用ガラスペーストの塗布量は、50mg/cm
2となるようペーストの粘度をコントロールした。ま
た、焼付処理条件は550℃、1時間である。ここで、
試料数は各ロットn=5個である。
て、放電耐量特性は4/10μSの衝撃電流を5分間隔
で同一方向に2回ずつ印加し、40kAよりステップア
ップし、外観の異常の有無を目視にて、必要な場合には
金属顕微鏡を用いて調べた。
した後、サンプルに全く異常が認められなかったことを
示し、△印は1〜2個に、×印は3〜5個に異常が認め
られたことを示している。さらに、課電寿命特性は周囲
温度130℃、課電率95%(AC、ピーク値)の条件
で行い、漏れ電流が5mA(ピーク値)に至るまでの時
間を測定した。また、
上の試料数、
方法については、特別の記載がない限り、以下の各実施
例についても同様とする。
スの線膨脹係数が65×10-7/℃より小さい場合(G
1,G5ガラス)はガラスが剥離し易くなり、90×1
0-7/℃を超えた場合(G4ガラス)にはクラックが発
生し易くなることがわかる。これらクラックやガラス剥
離が発生した試料は、側面高抵抗層の絶縁性が悪いた
め、放電耐量特性が低いと考えられる。
90×10-7/℃の範囲であっても、結晶性の悪いガラ
ス(G8ガラス)についてはクラックが入りやすく、放
電耐量特性も低い。これは、結晶性ガラスの方が非結晶
性ガラスに較べ被覆膜の強度が高いためと考えられる。
の電気的諸特性、信頼性に大きな影響を及ぼさず、ガラ
スの物性中でもガラス転移点の低下に役立つ。また、先
行文献例であるPbO−ZnO−B2O3、長石のコンポ
ジットガラスを用いた場合、課電寿命特性は実用的なレ
ベルではあるが放電耐量特性が低いことがわかる。
まず、V2O5の添加量が0.1重量%以上の組成系にお
いてはいずれの組成系であっても電圧非直線性が向上
し、それにともない課電寿命特性も向上する。これは、
V2O5を0.1重量%以上添加することにより、ガラス
焼付処理時に焼結体側面にV2O5が若干拡散し、ZnO
粒子の抵抗が上昇するためであると考えられる。
多い場合、放電耐量特性が低い。これは、焼付処理時の
ガラスの流動性が悪いため、ポーラスになり易いためで
あると考えられる。従って、酸化亜鉛バリスタの側面高
抵抗層用のPbO−ZnO−B2O3−SiO2−V2O5
系結晶化ガラスにおいて、少なくともV2O5を0.1〜
5.0重量%含む組成系であることが必要条件である。
成は、PbOが55.0〜75.0重量%、ZnOが1
0.0〜30.0重量%、B2O3が5.0〜10.0重
量%、SiO2が0〜15.0重量%、V2O5が0.1
〜5.0重量%の範囲が最適であることがわかる。ま
た、酸化亜鉛バリスタの側面高抵抗層用としては、線膨
脹係数が65〜90×10-7/℃の範囲内であることが
必要である。
ラスを用いてガラスペーストの塗布量を検討した。この
結果を下記の(表3)に示した。この際、ガラスペース
トの塗布量は1.0〜300.0mg/cm2で、ペースト
の粘度および塗布回数でコントロールした。この時、塗
布量が10.0mg/cm2より少ない場合、被覆膜の強度
が低いため、また塗布量が100.0mg/cm2より多い
場合にはガラスに流れが発生したり、ピンホールが発生
し易いため、放電耐量特性が悪い。従って、ガラスペー
ストの塗布量は10.0〜100.0mg/cm2の範囲が
最適であることがわかる。
ラスを用いてガラスペーストの焼付処理条件を検討し
た。この結果を下記の(表4)に示した。この際、ガラ
スペーストの塗布量は50.0mg/cm2となるよう粘度
をコントロールした。また、ガラスペーストの焼付処理
は350〜700℃の温度範囲にて保持時間を1時間と
し空気中で行った。
行った場合、ガラスペーストが充分に溶融しないため放
電耐量特性が低く、600℃より高温で焼付処理を行っ
た場合、電圧比が著しく低下し、課電寿命特性が悪化す
る。従って、ガラスペーストの焼付処理条件は450〜
600℃の温度範囲が最適であることがわかる。
O3−V2O5、PbO−ZnO−B2O3−SiO2−V2
O5の4および5成分系の被覆用結晶化ガラスについて
述べたが、第6成分として、さらにガラスの結晶化を促
進する微量添加物、例えばAl 2O3,SnO2などを添
加しても本発明の効果に変わりはない。
て、前記実施例ではZnOを用いたが、これはその他の
物質で置き換えることもできるのはもちろんである。
の代表例として、酸化亜鉛バリスタに本発明のPbO−
ZnO−B2O3−SiO2−V2O5系の被覆用結晶化ガ
ラスを用いたが、チタン酸ストロンチウム系のバリス
タ、チタン酸バリウム系のコンデンサや正特性サーミス
タ、金属酸化物系の負特性サーミスタなど、いずれの酸
化物セラミックにも全く同様に適用できるものである。
を主成分とする焼結体の側面に少なくともV2O5を0.
1〜5.0重量%含むPbO−ZnO−B2O3−SiO
2−V2O5系の酸化物セラミック被覆用の結晶化ガラス
を450〜600℃の温度条件で焼付処理することによ
り、放電耐量特性、課電寿命特性の優れた酸化亜鉛バリ
スタを得ることができる。
化ガラスを適用した一実施例による酸化亜鉛バリスタの
断面図
Claims (6)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とし焼結体自身がバリス
タ特性を有する焼結体の側面に、少なくとも酸化バナジ
ウムをV2O5の形に換算して0.1〜5.0重量%含む
PbOを主成分とする結晶化ガラスからなる側面高抵抗
層を有する酸化亜鉛バリスタ。 - 【請求項2】側面高抵抗層がPbO−ZnO−B2O3−
V2O5系結晶化ガラスからなる請求項1記載の酸化亜鉛
バリスタ。 - 【請求項3】側面高抵抗層がPbO−ZnO−B2O3−
SiO2−V2O5系結晶化ガラスからなる請求項1記載
の酸化亜鉛バリスタ。 - 【請求項4】酸化亜鉛を主成分とし焼結体自身がバリス
タ特性を有する焼結体の側面に、少なくとも酸化バナジ
ウムをV2O5の形に換算して0.1〜5.0重量%含む
PbOを主成分とする結晶化ガラスと有機物からなるガ
ラスペーストを10.0〜100.0mg/cm2塗布し、
450〜600℃の温度範囲にて焼付処理する酸化亜鉛
バリスタの製造方法。 - 【請求項5】線膨張係数が65〜90×10-7/℃の範
囲にある結晶化ガラスを用いた請求項4記載の酸化亜鉛
バリスタの製造方法。 - 【請求項6】PbO 55.0〜75.0重量%,Zn
O 10.0〜30.0重量%,B2O3 5.0〜1
5.0重量%,SiO2 0〜15.0重量%,V2O5
0.1〜5.0重量%からなる酸化物セラミックを被
覆する被覆用結晶化ガラス組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4070748A JP3003374B2 (ja) | 1992-03-27 | 1992-03-27 | 酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および被覆用結晶化ガラス組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4070748A JP3003374B2 (ja) | 1992-03-27 | 1992-03-27 | 酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および被覆用結晶化ガラス組成物 |
Publications (2)
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JPH05275211A JPH05275211A (ja) | 1993-10-22 |
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Family
ID=13440448
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4070748A Expired - Lifetime JP3003374B2 (ja) | 1992-03-27 | 1992-03-27 | 酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および被覆用結晶化ガラス組成物 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3003374B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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JP3175500B2 (ja) * | 1994-10-28 | 2001-06-11 | 株式会社日立製作所 | 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
JPH11120818A (ja) * | 1997-10-16 | 1999-04-30 | Tdk Corp | 導電体ペーストおよびそれを用いた非可逆回路素子 |
JP7360085B2 (ja) * | 2019-06-05 | 2023-10-12 | 日本電気硝子株式会社 | 粉末材料及び粉末材料ペースト |
-
1992
- 1992-03-27 JP JP4070748A patent/JP3003374B2/ja not_active Expired - Lifetime
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