JP2819714B2 - 酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および酸化物セラミック被覆用結晶化ガラス組成物 - Google Patents
酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法および酸化物セラミック被覆用結晶化ガラス組成物Info
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Description
リスタおよびその製造方法と、サーミスタ,バリスタ等
の酸化物セラミック被覆用結晶化ガラス組成物に関する
ものである。
めとする数種の金属酸化物を副成分とする酸化亜鉛バリ
スタは、大きなサージ耐量と優れた電圧非直線性を有
し、近年ギャプレスアレスタ用の素子として従来のシリ
コンカーバイトバリスタにとって代わって広く利用され
ていることは周知の通りである。
ば特開昭62−101002号公報などが開示されているが、前
記先行例の内容は以下の通りである。まず、主成分のZn
Oに、Bi2O3,Sb2O3,Cr2O3,CoO,MnO2などの金属酸化物を
それぞ0.01〜6.0モル%添加した原料粉を混合,造粒
し、この造粒粉を円柱状に加圧,成形し、電気炉で1200
℃,6時間焼成する。次に、得られた焼結体の側面に、Pb
Oを60重量%含有するPbO系ガラスフリットを80重量%
と、長石を20重量%と、有機バインダーとからなるガラ
スペーストを、スクリーン印刷機で5〜500mg/cm2塗布
したのち焼付処理を行う。このようにして得られた素子
の両端面を平面研磨し、アルミニウムのメタリコン電極
を形成し酸化亜鉛バリスタを得るものである。
リスタはスクリーン印刷法を用いるため、側面ガラス層
の厚みが均一に形成され、放電耐量特性のバラツキが小
さいという長所を持つものの、PbO系ガラスフリットと
長石のコンポジットガラスであるため、放電耐量特性が
低く、またガラス焼付処理時に電圧非直線性が低下し、
課電寿命特性も悪化するという欠点を有していた。
その製造方法、さらに酸化物系セラミック一般に用いる
ことのできる酸化物セラミック被覆用結晶化ガラス組成
物を提供することを目的とするものである。
成分とする焼結体の側面に、少なくともMoO3を0.1〜10.
0重量%含むPbOを主成分とする結晶化ガラスからなる側
面高抵抗層を有する構成としたものである。また、前記
焼結体の側面に少なくともMoO3を0.1〜10.0重量%含むP
bOを主成分とする結晶化ガラスと有機バインダーとから
なるガラスペーストを10.0〜150.0mg/cm2塗布し、450℃
〜650℃の温度範囲にて焼付処理し、側面高抵抗層を形
成するものである。
0.0重量%含むPbO−ZnO−B2O3−SiO2−MoO3系の酸化物
セラミックス被覆用の結晶化ガラス組成物を提供するも
のである。
に較べ、PbOを主成分とする結晶化ガラスは、MoO3の添
加により結晶化が促進され、SiO2の添加により被覆膜の
強度が向上し、焼結体との密着性もよいため放電耐量特
性に優れ、さらに絶緑性も高いため焼付処理時の電圧非
直線性の低下を最小限に抑えることが可能となり、課電
寿命特性にも優れた高信頼性の酸化亜鉛バリスタを得る
ことができる。
法、さらには被覆用結晶化ガラス組成物について実施例
に基づき詳細に説明する。
Co2O3 0.5モル%,MnO2 0.5モル%,Sb2O3 1.0モル%,
Cr2O3 0.5モル%,NiO 0.5モル%,SiO2 0.5モル%を
加え、純水,バインダー,分散剤とともに例えばボール
ミルにて充分に混合,粉砕したのち、スプレードライヤ
ーにて乾燥,造粒して原料粉を得た。この原料粉を直径
40mm,厚さ30mmの大きさに圧縮成形し、500℃以上の温度
条件にて脱脂処理した。そののち、1100℃〜1250℃の温
度範囲で焼成し、焼結体を得た。
O3を所定量秤量し、例えばボールミルにて混合,粉砕し
たのち、白金ルツボにて1000℃〜1200℃の温度条件で溶
融し、急冷してガラス化させた。このガラスを粗粉砕し
たのち、ボールミルにて微粉砕しガラスフリットを得
た。なお、比較検討用試料としてPbO 70.0重量%,ZnO
25.0重量%,B2O3 5.0重量%からなるガラスフリット
80.0重量%と長石(長石はKAlSi3O8,NaAlSi3O8,CaAl2Si
2O8の固溶体)20.0重量%からなるコンポボジットガラ
スを同様の工程で作成した。以上のように作成したガラ
スフリットの、組成およびガラス転移点(Tg)、線膨張
係数(α)を下記の第1表に示した。
(α)が高くなり、ZnOの添加量が多い場合、ガラス転
移点(Tg)が低くなり結晶化しやすくなる。また、B2O3
の添加量が少ない場合、ガラス転移点が高くなり、添加
量が15.0重量%を超えた場合には結晶化しにくくなる。
さらに、SiO2の添加量が多くなるに従いガラス転移点は
高くなる傾向があり、線膨張係数は低くなる傾向があ
る。そしてMoO3の添加量が増加するに従いガラスの結晶
化が進行した。また、PbO,B2O3が少ない系ではポーラス
なガラスとなりやすかった。
ー(エチルセルロース、ブチルカルビトールアセトート
の混合物)15重量%を、例えば三本ロールミルにて充分
に混合し被覆用ガラスペーストを得た。この被覆用ガラ
スペーストを、例えば曲面スクリーン印刷機にて125〜2
50メッシュのスクリーンを用いて前記焼結体の側面に印
刷した。ここで、被覆用ガラスペーストの塗布量は、ぺ
ーストを塗布したのち、150℃で30分間乾燥して焼結体
の重量差から求めた。また、塗布量は被覆用ガラスペー
ストに有機バインダー,酢酸n−ブチルを添加して調整
した。そののち、350℃〜700℃の温度条件にて被覆用ガ
ラスペーストの焼付処理を行い、焼結体に側面高抵抗層
を形成した。次いで、この焼結体の両端面を平面研磨
し、アルミニウムのメタリコン電極を形成し酸化亜鉛バ
リスタを得た。
化亜鉛バリスタの断面図を示す。第1図において、1は
酸化亜鉛を主成分とする焼結体、2は焼結体1の両端面
に形成された電極、3は焼結体1の側面に結晶化ガラス
を焼付処理して得られた側面高抵抗層である。
て作製した酸化亜鉛バリスタの外観、V1mA/V10μA,放
電耐量特性および課電寿命特性を示す。この時、被覆用
ガラスペーストの塗布量は、50mg/cm2となるようペース
トの粘度をコントロールした。また、焼付処理条件は55
0℃,1時間である。ここで、試料数は各ロットn=5個
である。また、V1mA,V10μAは直流定電電源を用いて測
定した。そして、放電耐量特性は4/10μSの衝撃電流を
5分間隔で同一方向に2回ずつ印加し、40kAよりステッ
プアップした。さらに、課電寿命特性は周囲温度130
℃,課電率95%(AC,ピーク値)の条件で行い、漏れ電
流が5mA(ピーク値)に至るまでの時間を測定した。
℃より小さい場合(G1,G5,G18ガラス)はガラスが剥離
しやすくなり、90×10-7/℃を超えた場合(G4ガラス)
にはクラックが発生しやすくなることがわかる。これら
クラックやガラス剥離が発生した試料は、側面高抵抗層
の絶緑性が悪いため、放電耐量特性が低いと考えられ
る。また、被覆用ガラスの線膨張係数が65×10-7から90
×10-7℃の範囲であっても、結晶性の悪いガラス(G8ガ
ラス)についてはクラックが入りやすく、放電耐量特性
も低い。これは、結晶性ガラスの方が非結晶性ガラスに
較べ被覆膜の強度が高いためと考えられる。また、ZnO
の添加は、酸化亜鉛バリスタの電気的諸特性,信頼性に
大きな影響を及ぼさず、ガラスの物性中でもガラス転移
点の低下に役立つ。また、先行文献例であるPbO−ZnO−
B2O3、長石のコンポジットガラスを用いた場合、課電寿
命特性は実用的なレベルではあるが放電耐量特性が低い
ことがわかる。
添加量が0.1重量%以上の組成系においてはいずれの組
成系であっても電圧非直線性が向上し、それにともない
課電寿命特性も向上する。これは、MoO3を0.1重量%以
上添加することにより、被覆膜の絶緑抵抗が高くなるた
めであると考えられる。一方、MoO3の添加量が10.0重量
%より高い場合、放電耐量特性が低い。これは、焼付処
理時のガラスの流動性が悪いため、ポーラスになりやす
いためであると考えられる。従って、酸化亜鉛バリスタ
の側面高抵抗層用のPbO−ZnO−B2O3−SiO2−MoO3系結晶
化ガラスにおいて、少なくともMoO3を0.1〜10.0重量%
含む組成系であることが必要条件である。
が50.0〜75.0重量%、ZnOが10.0〜30.0重量%、B2O3が
5.0〜10.0重量%、SiO2が0〜15.0重量%、MoO3が0.1〜
10.0重量%の範囲が最適であることがわかる。また、酸
化亜鉛バリスタの側面高抵抗層用としては、線膨張係数
が65〜90×10-7/℃の範囲内であることが必要である。
スペーストの塗布量を検討した。この結果を下記の第3
表に示した。ここで、ガラスペーストの塗布量は、1.0
〜300.0mg/cm2でペーストの粘度および塗布回数でコン
トロールした。第3表より、塗布量が10.0mg/cm2より少
ない場合、被覆膜の強度が低いため、また塗布量が150.
0mg/cm2より多い場合には、ガラスが流れたり、ガラス
にピンホールが発生しやすいため放電耐量特性が悪い。
従って、ガラスペーストの塗布量は10.0〜150.0mg/cm2
の範囲が最適であることがわかる。
スペーストの焼付処理条件を検討した。この結果を下記
の第4表に示した。ここで、ガラスペーストの塗布量は
50.0mg/cm2となるよう粘度をコントロールした。また、
ガラスペーストの焼付処理は350〜700℃の温度範囲にて
保持時間を1時間とし空気中で行った。この結果、450
℃より低温で焼付処理を行った場合、ガラスペーストが
充分に溶融しないため放電耐量特性が低く、650℃より
高温で焼付処理を行った場合、電圧比が著しく低下し課
電寿命特性が悪化する。従って、ガラスペーストの焼付
処理条件は450〜650℃の温度範囲が最適であることがわ
かる。
−ZnO−B2O3−SiO2−MoO3の4および5成分系の被覆用
結晶化ガラスについて述べたが、第6成分として、さら
にガラスの結晶化を促進する微量添加物、例えばAl2O3,
SnO2などを添加しても本発明の効果に変わりはない。ま
た、ガラス転移点を低下させる物質として前記実施例で
はZnOを用いたが、これはその他の物質で置き換えるこ
ともできるのはもちろんである。さらに、本実施例で
は、酸化物セラミックの代表例として酸化亜鉛バリスタ
に本発明のPbO−ZnO−B2O3−SiO2−MoO3系の被覆用結晶
化ガラスを用いたが、チタン酸ストロンチウム系のバリ
スタ,チタン酸バリウム系のコンデンサや正特性サーミ
スタ,金属酸化物系の負特性サーミスタなど、いずれの
酸化物セラミックにも全く同様に適用できるものであ
る。
る焼結体の側面に少なくともMoO3を0.1〜10.0重量%含
むPbO−ZnO−B2O3−SiO2−MoO3系の酸化物セラミック被
覆用の結晶化ガラスを450〜650℃の温度条件で焼付処理
することにより、放電耐量特性,課電寿命特性の優れた
酸化亜鉛バリスタを得ることができる。
化ガラスを適用した一実施例による酸化亜鉛バリスタの
断面図である。 1……焼結体、2……電極、3……側面高抵抗層。
Claims (6)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とし、焼結体自身がバリ
スタ特性を有する焼結体の側面に少なくとも酸化モリブ
デンをMoO3の形に換算して0.1〜10.0重量%含むPbOを主
成分とする結晶化ガラスからなる側面高抵抗層を有する
酸化亜鉛バリスタ。 - 【請求項2】側面高抵抗層がPbO−ZnO−B2O3−MoO3系結
晶化ガラスからなる請求項1記載の酸化亜鉛バリスタ。 - 【請求項3】側面高抵抗層がPbO−ZnO−B2O3−SiO2−Mo
O3系結晶化ガラスからなる請求項1記載の酸化亜鉛バリ
スタ。 - 【請求項4】酸化亜鉛を主成分とし、焼結体自身がバリ
スタ特性を有する焼結体の側面に、少なくともMoO3を0.
1〜10.0重量%含むPbOを主成分とする結晶化ガラスと有
機物からなるガラスペーストを10.0〜150.0mg/cm2塗布
し、450℃〜650℃の温度範囲にて焼付処理する酸化亜鉛
バリスタの製造方法。 - 【請求項5】結晶化ガラスの線膨張係数が65〜90×10-7
/℃である請求項4記載の酸化亜鉛バリスタの製造方
法。 - 【請求項6】PbO 50.0〜75.0重量%,ZnO 10.0〜30.0
重量%,B2O3 5.0〜15.0重量%,SiO2 0〜15.0重量%,
MoO3 0.1〜10.0重量%からなる酸化物セラミック被覆
用結晶化ガラス組成物。
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