JP3003237B2 - 希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無段変速機の制御装置 - Google Patents

希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無段変速機の制御装置

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JP3003237B2
JP3003237B2 JP3035514A JP3551491A JP3003237B2 JP 3003237 B2 JP3003237 B2 JP 3003237B2 JP 3035514 A JP3035514 A JP 3035514A JP 3551491 A JP3551491 A JP 3551491A JP 3003237 B2 JP3003237 B2 JP 3003237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希薄燃焼内燃機関を備
えた車両用無段変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】希薄燃焼機関は、自動車の排出ガスを浄
化するためにたとえば特開昭61−268845号公報
に記載されているように、EGR弁および乱流を形成す
るためのスワールコントロール弁と混合気を理論空燃比
よりも希薄側となるようにする燃焼制御手段とを備えて
おり、複数種類の燃焼状態のいずれかが負荷に応じて選
択されるようになっている。また、無段変速機は、たと
えば特開昭58−191358号公報に記載されている
ように、最適燃費率曲線に沿って内燃機関が作動するよ
うにその無段変速機の変速比が連続的に調節され得るの
で、車両の燃費を向上させ得る技術として知られてい
る。そして、上記希薄燃焼内燃機関はポンピングロスが
小さいことなどから好適な燃費が得られるので、車両の
燃費を一層改善するためにその希薄燃焼内燃機関と上記
無段変速機とを車両に搭載することが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記希薄燃
焼内燃機関は、一般に、所定の機関負荷値を境にしてそ
れより小さい場合、すなわち軽負荷走行の場合には、混
合気の空燃比を理想空燃比よりも希薄側として内燃機関
を希薄燃焼状態とし、その所定の機関負荷値よりも大き
い場合、すなわち中負荷走行或いは高負荷走行の場合に
は、好適な燃費を維持するよりはNOx の発生を抑制す
るために空燃比がそれより濃厚側の燃焼状態、たとえば
空燃比A/Fが理論値である混合気に再循環ガスが混合
される燃焼状態(ストイキ+EGR燃焼状態)に切り換
える制御が行われている。しかしながら、このような燃
焼状態の切換制御によれば、内燃機関が希薄燃焼状態で
ある車両の走行中においては燃焼状態切換トルクと内燃
機関の実トルクとの差である余裕トルクが小さくなる
と、余裕トルクを更に得ようとしてアクセルペダルが踏
み込まれるので、上記ストイキ+EGR燃焼状態に切り
換えられてしまう。このため、たとえば米国エミッショ
ンテストモードLA#4HWY等の走行などでは希薄燃
焼状態とならないため、車両の走行中において希薄燃焼
が選択される割合が少なく、燃費が充分に得られないと
いう不都合があった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、複数種類の燃焼
状態のいずれかに切り換えられる希薄燃焼内燃機関を備
えた車両用無段変速機において、車両の走行燃費が得ら
れる制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】斯る目的を達成するため
の、本発明の要旨とするところは、予め設定された燃焼
状態切換トルクを境にして複数種類の燃焼状態のいずれ
かに切り換えられる希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無
段変速機において、その希薄燃焼内燃機関が予め定めら
れた最適曲線に沿って作動するようにその無段変速機の
変速比を調節する制御装置であって、(a) 前記希薄燃焼
内燃機関が希薄燃焼領域内にあるときの前記燃焼状態切
換トルクとその内燃機関の実トルクとの差である余裕ト
ルクを決定する余裕トルク決定手段と、(b) その余裕ト
ルク決定手段により決定された前記希薄燃焼内燃機関の
余裕トルクが所定値を下まわった状態では、前記変速比
を減速側へ変更する変速比変更手段とを、含むことにあ
る。
【0006】
【作用】このようにすれば、余裕トルク決定手段により
決定された希薄燃焼状態にある内燃機関の燃焼状態切換
トルクとその内燃機関の実トルクとの差である余裕トル
クが所定値を下まわった状態では、変速比変更手段によ
り無段変速機の変速比が減速側へ変更される。
【0007】
【発明の効果】上記のようにして無段変速機の変速比が
減速側へ変更されると、等馬力曲線上においてその変更
分だけ内燃機関の回転速度が高められる結果、燃焼状態
切換トルクと実トルクとの差である余裕トルクが大きく
される。したがって、このようにして変速比が制御され
ることにより内燃機関の希薄燃焼の選択割合が高められ
るので、車両の走行燃費が好適に改善されるのである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の一実施例が適用される
ベルト式無段変速機を含む車両用動力伝達装置を示す骨
子図である。図において、エンジン10の動力はロック
アップクラッチ付トルクコンバータ12、前後進切換装
置14、ベルト式無段変速機(以下、CVTという)1
6、減速ギヤ装置18、および差動歯車装置20を経て
車軸22に連結された駆動輪24へ伝達されるようにな
っている。
【0009】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸26と接続されているポンプ翼車28
と、上記クランク軸26と後段の前後進切換装置14の
中心軸54との間においてそれらと同心に設けられたコ
ンバータ出力軸32に固定されポンプ翼車28からのオ
イルを受けて回転させられるタービン翼車34と、一方
向クラッチ36を介して非回転部材に固定されたステー
タ翼車38と、ダンパ40を介してコンバータ出力軸3
2に固定されたロックアップクラッチ42とを備え、ロ
ックアップクラッチ42の非係合状態では、入出力回転
速度比に応じた増幅率でトルクを伝達するようになって
いる。上記ロックアップクラッチ42は、たとえば車
速、エンジン回転速度、またはタービン翼車34の回転
速度が所定値以上になると作動させられて、クランク軸
26とコンバータ出力軸32とを直結状態にするもので
ある。
【0010】前後進切換装置14は、図示しないシフト
レバーの操作位置に従って前進ギヤ段または後進ギヤ段
に択一的に切り換えられるダブルピニオン型の遊星歯車
装置であって、コンバータ出力軸32とCVT16の入
力軸44との間において同心的に設けられている。この
遊星歯車装置は、前後進切換装置14の入力軸として機
能するコンバータ出力軸32に固定されたサンギヤ46
と、このサンギヤ46と同心に設けられたリングギヤ4
8と、それらリングギヤ48およびサンギヤ46の一方
および他方と噛み合い且つ互いに噛み合う一対の遊星ギ
ヤ50および52と、サンギヤ46およびリングギヤ4
8と同心に設けられた中心軸54とこの中心軸54から
外周側へ延びるフランジ部56とこのフランジ部56か
ら上記中心軸54の軸心と平行な方向へ立設されて一対
の遊星ギヤ50および52を回転可能に支持するキャリ
ヤピン58とを有するキャリヤ60とを備えている。さ
らに、この遊星歯車装置は、コンバータ出力軸32とキ
ャリヤ60との間を連結するための前進用クラッチ62
と、リングギヤ48と位置固定のハウジング63との間
を連結するための後進用ブレーキ64とを備えている。
したがって、前進用クラッチ62が係合させられると、
コンバータ出力軸32とキャリヤ60との間が連結され
て、コンバータ出力軸32と中心軸54とが一体的に回
転するので、CVT16以下が前進方向へ回転させられ
る。反対に、上記前進用クラッチ62に替えて後進用ブ
レーキ64が係合させられると、ハウジング63とリン
グギヤ48との間が連結されてリングギヤ48が非回転
状態とされるので、コンバータ出力軸32に対して中心
軸54が反対方向に回転させられ、CVT16以下が後
進方向へ回転させられる。
【0011】CVT16は、その入力軸44および出力
軸45にそれぞれ設けられた可変プーリ66および68
と、それら可変プーリ66および68に巻き掛けられた
伝動ベルト70とを備えている。この伝動ベルト70
は、たとえば特開昭61−116146号公報、特開平
2−62445号公報に記載されているように、可変プ
ーリ66および68のV溝に壁面により挟圧されるベル
トブロックが無端環状のフープ或いはチェーンに沿って
多数連設されることにより構成されている。可変プーリ
66および68は、入力軸44および出力軸45にそれ
ぞれ固定された固定回転体72および74と、入力軸4
4および出力軸45にそれぞれ軸方向の移動可能かつ軸
回りの相対回転不能に設けられた可動回転体76および
78とから成り、可動回転体76および78が油圧アク
チュエータとして機能する油圧シリンダ80および82
によって移動させられることによりV溝幅すなわち伝動
ベルト70の掛り径(有効径)が変更されて、CVT1
6の変速比γ(=入力軸44の回転速度Nin/出力軸4
5の回転速度Nout )が変更されるようになっている。
油圧シリンダ80は専ら変速比γを変更するために作動
させられ、油圧シリンダ82は専ら伝動ベルト70のす
べりが生じない範囲で最小の挟圧力が得られるように作
動させられる。なお、油圧ポンプ84は図示しないCV
T油圧制御装置の油圧源を構成するものであって、エン
ジン10とともに回転するポンプ翼車28により常時回
転駆動されるようになっている。
【0012】CVT16の出力軸45には、出力歯車と
して機能する第1歯車86が設けられている。また、第
1歯車86の軸心と平行な軸まわりに回転可能に設けら
れた回転軸88には、第1歯車86と噛み合う第2歯車
90とそれよりも小径の第3歯車92とが固設されてお
り、第3歯車92は差動歯車装置20の大径歯車94と
噛み合わされている。上記第1歯車86、第2歯車9
0、および第3歯車92は、前記減速ギヤ装置18を構
成しているのである。差動歯車装置20は、車軸22の
回転軸心と直交する軸まわりに回転可能に支持され且つ
大径歯車94と一体的に回転する一対の差動小歯車96
と、この差動小歯車96と噛み合い且つ車軸22に連結
された一対の差動大歯車98とを備えている。したがっ
て、減速ギヤ装置18から伝達された動力は、差動歯車
装置20において左右の車軸22へ均等に配分された
後、左右の駆動輪24へ伝達される。
【0013】トランスミッション用電子制御装置110
は、CPU112、ROM114、RAM116、図示
しないインターフェースなどから成る所謂マイクロコン
ピュータであって、それには、駆動輪24の回転速度を
検出する車速センサ118、CVT16の入力軸44お
よび出力軸45の回転速度をそれぞれ検出する入力軸回
転センサ120および出力軸回転センサ122、エンジ
ン10の吸気配管に設けられたスロットル弁開度を検出
するスロットル弁開度センサ124、シフト操作レバー
126の操作位置、すなわちL、S、D、N、R、Pレ
ンジのいずれかを検出するための操作位置センサ128
から、車速SPDを表す信号、入力軸回転速度Ninを表
す信号、出力軸回転速度Nout を表す信号、スロットル
弁開度θthを表す信号、シフト操作レバー126の操作
位置Ps を表す信号がそれぞれ供給されるようになって
いる。上記電子制御装置110のCPU112は、RA
M116の一時記憶機能を利用しつつ予めROM114
に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、油
圧制御回路100内の第1電磁弁102、第2電磁弁1
04、リニヤソレノイド弁106をそれぞれ制御する。
【0014】図2は上記油圧制御回路100の要部を示
しており、前記油圧ポンプ84はこの油圧制御回路10
0の油圧源である。油圧ポンプ84は図示しないオイル
タンク内へ還流した作動油をストレーナ140を介して
吸入し、また、戻し油路142を通して戻された作動油
を吸入して第1ライン油路144へ圧送する。本実施例
では、第1ライン油路144内の作動油がオーバーフロ
ー(リリーフ)型式の第1調圧弁146によって戻し油
路142およびロックアップクラッチ圧油路148へ漏
出させられることにより、第1ライン油路144内の第
1ライン油圧Pl1 が調圧されるようになっている。ま
た、減圧弁型式の第2調圧弁150によって第1ライン
油圧Pl1 が減圧されることにより第2ライン油路15
2内の第2ライン油圧Pl2 が調圧されるようになって
いる。なお、上記第1ライン油路144には、所定圧以
上の異常昇圧を防止するためのリリーフ弁154が設け
られている。
【0015】上記第2調圧弁150は、第1ライン油路
144と第2ライン油路152との間を開閉するスプー
ル弁子160、スプリングシート162、リターンスプ
リング164、プランジャ166を備えている。また、
スプール弁子160の軸端には、順に径が大きくなる第
1ランド168、第2ランド170、第3ランド172
が順次形成されている。第2ランド170と第3ランド
172との間には第2ライン油圧Pl2 がフィードバッ
ク圧として絞り174を通して導入される油室176が
設けられており、スプール弁子160が第2ライン油圧
Pl2 により閉弁方向へ付勢されるようになっている。
また、スプール弁子160の第1ランド168端面側に
は、絞り178を介して後述の変速比圧Pr が導かれる
油室180が設けられており、スプール弁子160が変
速比圧Pr により閉弁方向へ付勢されるようになってい
る。また、第2調圧弁150内においてはリターンスプ
リング164の開弁方向の付勢力がスプリングシート1
62を介してスプール弁子160に付与されている。ま
た、スプール弁子160の第1ランド168と第2ラン
ド170との間にはリニヤソレノイド弁106から出力
される信号圧PsolLが導入される油室182が設けられ
ており、その信号圧PsolLによりスプール弁子160が
第2ライン油圧Pl2 により閉弁方向へ付勢されるよう
になっている。さらに、プランジャ166の端面側には
後述のスロットル圧Pthを作用させるための油室184
が設けられており、スプール弁子160がこのスロット
ル圧Pthにより開弁方向へ付勢されるようになってい
る。したがって、第1ランド168の受圧面積(断面
積)をA1 、第2ランド170の断面積をA2 、第3ラ
ンド172の断面積をA3 、プランジャ166の小径ラ
ンド188の受圧面積をA4 、リターンスプリング16
4の付勢力をWとすると、スプール弁子160は数式1
が成立する位置において平衡させられる。すなわち、ス
プール弁子160が数式1にしたがって移動させられる
ことにより、第1ライン油路144内の作動油が第2ラ
イン油路152へ流入させられる状態と第2ライン油路
152内の作動油がドレンポートへ流出される状態とが
繰り返されて、第2ライン油圧Pl2 が調圧させられる
のである。上記第2ライン油路152は比較的閉じられ
た系であるので、第2調圧弁150は上記のように相対
的に高い油圧である第1ライン油圧Pl1 を減圧するこ
とにより第2ライン油圧Pl2を図3に示すように発生
させるのである。なお、図3はスロットル圧Pr が一定
である場合の特性であって、折れ線は信号圧PsolLが零
であるときの調圧値(基本出力圧Pmec )を示し、曲線
は信号圧PsolLによって理想圧Popt に調圧されたとき
調圧値を示している。すなわち、上記信号圧PsolLは理
想圧Popt を得るために基本出力圧Pmec から低下させ
る値を制御するために供給されるのである。
【0016】
【数1】
【0017】第1調圧弁146は、スプール弁子20
0、スプリングシート202、リターンスプリング20
4、第1プランジャ206、およびその第1プランジャ
206の第2ランド215と同径の第2プランジャ20
8を備えている。スプール弁子200は、第1ライン油
路144と戻し油路142およびロックアップクラッチ
圧油路148との間を開閉するものであり、その第1ラ
ンド212の端面にフィードバック圧としての第1ライ
ン油圧Pl1 を絞り211を介して作用させるための油
室213が設けられており、この第1ライン油圧Pl1
によりスプール弁子200が開弁方向へ付勢されるよう
になっている。スプール弁子200と同軸に設けられた
第1プランジャ206の第1ランド214とそれよりも
小径の第2ランド215との間にはスロットル圧Pth
導くための油室216が設けられており、また、第2ラ
ンド215と第2プランジャ208との間には一次側油
圧シリンダ80内の油圧Pinを分岐油路220を介して
導くための油室217が設けられており、さらに第2プ
ランジャ208の端面には第2ライン油圧Pl2 を導く
ための油室218が設けられている。前記リターンスプ
リング204の付勢力は、スプリングシート202を介
して閉弁方向にスプール弁子200に付与されているの
で、スプール弁子200の第1ランド212の受圧面積
をA5 、第1プランジャ206の第1ランド214の断
面積をA6 、第2ランド215および第2プランジャ2
08の断面積をA7 、リターンスプリング204の付勢
力をWとすると、スプール弁子200は数式2が成立す
る位置において平衡させられ、第1ライン油圧Pl1
調圧される。
【0018】
【数2】
【0019】上記第1調圧弁146においては、一次側
油圧シリンダ80内油圧Pinが第2ライン油圧Pl
2 (定常状態ではPl2 =二次側油圧シリンダ82内油
圧Pout )よりも高い場合には、第1プランジャ206
と第2プランジャ208との間が離間して上記一次側油
圧シリンダ80内油圧Pinによる推力がスプール弁子2
00の閉弁方向に作用するが、一次側油圧シリンダ80
内油圧Pinが第2ライン油圧Pl2 よりも低い場合に
は、第1プランジャ206と第2プランジャ208とが
当接することから、上記第2プランジャ208の端面に
作用している第2ライン油圧Pl2 による推力がスプー
ル弁子200の閉弁方向に作用する。すなわち、一次側
油圧シリンダ80内油圧Pinと第2ライン油圧Pl2
を受ける第2プランジャ208がそれらの油圧のうちの
高い方の油圧に基づく作用力をスプール弁子200の閉
弁方向に作用させるのである。これにより、正トルク走
行および負トルク走行においても最適の第1ライン油圧
Pl2 が発生させられる。
【0020】前記スロットル圧Pthは、要求出力、すな
わちエンジン10における実際のスロットル弁開度θth
に対応したものであり、スロットル弁開度検知弁228
によって発生させられる。また、変速比圧Pr はCVT
16の実際の変速比を表すものであり、変速比検知弁2
32によって発生させられる。それらスロットル弁開度
検知弁228および変速比検知弁232は、たとえば特
開昭64−49749号公報に記載されたものと同様に
構成されており、スロットル弁開度検知弁228は、エ
ンジン10のスロットル弁とともに回転させられる図示
しないカムのカム面に係合するプランジャ230を備
え、そのプランジャ230の変位に対応する推力に対応
して図4に示すようなスロットル圧Pthを発生させる。
また、上記変速比検知弁232は、CVT16の入力側
可動回転体76に摺接してその軸線方向の変位量に等し
い変位量だけ軸線方向へ移動させられる検知棒234を
備え、この棒234の変位に対応して絞り236より下
流側の逃がし量を変化させることにより、図5に示すよ
うな変速比圧Pr を発生させる。
【0021】ここで、上記変速比検知弁232は、絞り
236を通して第2ライン油路152から供給される第
2ライン油圧Pl2 の作動油の逃がし量を変化させるこ
とにより変速比圧Pr を発生させるものであるから、変
速比圧Pr は第2ライン油圧Pl2 以上の値となること
が制限されている一方、前記数式1に従って作動する第
2調圧弁150では変速比圧Pr の増加に伴って第2ラ
イン油圧Pl2 を減少させる。このため、変速比圧Pr
が所定値まで増加して第2ライン油圧Pl2 と等しくな
ると、それ以降は両者ともに飽和して一定となり、前記
図3に示すように、基本出力圧Pmec の変化特性は、変
速比γが最大値から最小値へ向かって変化する過程にお
いて当初は変速比圧Pr の増大に対応して直線的に減少
するが、変速比圧Pr と一致した後は一定値となる折れ
線特性となる。
【0022】第3調圧弁240は、前後進切換装置14
において摩擦係合する後進用ブレーキ64および前進用
クラッチ62を作動させる作動油圧および第1電磁弁1
02、第2電磁弁104、リニヤソレノイド弁106の
元圧ロット油圧として機能する第3ライン油圧Pl3
発生させるものであり、たとえば特開昭64−4974
9号公報に記載されたものと同様に構成されている。第
3ライン油圧Pl3 は、前進用クラッチ62或いは後進
用ブレーキ64において滑りが発生することなく確実に
トルクを伝達できるトルク容量が得られるようにするた
めの最適な値に調圧される。
【0023】変速制御弁ユニット250は、CVT16
の変速比γを調節するために、第1ライン油圧Pl1
よび第2ライン油圧Pl2 を元圧として一次側油圧シリ
ンダ80および二次側油圧シリンダ82の一方および他
方を制御する。この変速制御弁ユニット250は変速方
向切換弁252および流量制御弁254から構成されて
いる。なお、前記第3ライン油圧Pl3は変速方向切換
弁252および流量制御弁254を駆動するためのパイ
ロット圧として用いられる。
【0024】変速方向切換弁252は第1電磁弁102
によって位置制御されるスプール弁子256を備え、流
量制御弁254は第2電磁弁104によって位置制御さ
れるスプール弁258を備えている。たとえば、第1電
磁弁102がオン状態であり且つ第2電磁弁104がオ
ン状態である場合には、スプール弁子256および25
8が共に上側に位置させられるので、第1ライン油路1
44内の作動油は、変速方向切換弁252、第1接続油
路260、流量制御弁254、および二次側油路262
を順次通して二次側油圧シリンダ82へ流入させられる
一方、一次側油圧シリンダ80内の作動油は、一次側油
路264、流量制御弁254、第2接続油路266、お
よび変速方向切換弁252を順次通してドレンへ排出さ
れ、CVT16の変速比γは減速方向へ速やかに変化さ
せられる。
【0025】この状態で、第2電磁弁104がオフ状態
とされるとスプール弁子258が下側に位置させられる
ので、一方向弁268および絞り270を並列に備えた
バイパス油路272を通して第2ライン油路152内の
作動油が二次側油圧シリンダ82へ流入させられる一
方、一次側油圧シリンダ80内の作動油はその摺動部分
の隙間を通してドレンへ排出され、CVT16の変速比
γは減速方向へ緩やかに変化させられる。
【0026】反対に、第1電磁弁102がオフであり且
つ第2電磁弁104がオン状態である場合には、第1ラ
イン油路144内の作動油は、比較的大きな絞り27
8、変速方向切換弁252、第2接続油路266、流量
制御弁254、および一次側油路264を通して一次側
油圧シリンダ80へ流入させられる一方、二次側油圧シ
リンダ82内の作動油は、二次側油路262、流量制御
弁254、第1接続油路260、および変速方向切換弁
252を順次通して第2ライン油路152へ排出され、
CVT16の変速比γは増速方向へ速やかに変化させら
れる。
【0027】また、この状態で第2電磁弁104がオフ
状態とされると、第1ライン油路144内の作動油は、
変速方向切換弁252および絞り274を備えた第3接
続油路276を通して一次側油圧シリンダ80へ流入さ
せられる一方、二次側油圧シリンダ82内の作動油は、
バイパス油路272を通して第2ライン油路152へ排
出され、CVT16の変速比γは増速方向へ緩やかに変
化させられる。これらの4つの変速モードが選択的に切
り換えられることにより変速制御が行われるのである。
なお、図2における第1電磁弁102および第2電磁弁
104にその作動状態を示すために付されたONおよび
OFFは、変速方向切換弁252および流量制御弁25
4に付されたONおよびOFFと対応している。また、
上記第1電磁弁102および第2電磁弁104は、励磁
状態においてボール状弁子がドレンポートを閉じ且つ入
力ポートを出力ポートに連通させて第3ライン油圧Pl
3 を出力し、非励磁状態においてボール状弁子が入力ポ
ートを閉じ且つ出力ポートをドレンポートと連通させる
三方切換弁である。
【0028】前記リニヤソレノイド弁106は、第3ラ
イン油圧Pl3 を減圧することにより信号圧PsolLを発
生させるものであって、スプリング300により閉弁方
向に付勢されるスプール弁子302と、フィードバック
油圧をスプール弁子302に作用させるために信号圧P
solLを受け入れる油室304と、連続的に変化する開弁
方向の推力をスプール弁子302に付与するコア306
を備えたソレノイド308とを備え、トランスミッショ
ン用電子制御装置110から供給される駆動信号の電流
値または電圧値の増加に関連して信号圧PsolLを連続的
に増加させる図6に示す特性を備えている。すなわち、
上記スプリング300の付勢力をWL1、スプール弁子3
02の受圧面積をAL1、ソレノイド306の推力をFL1
とすると、上記出力信号圧PsolLは、数式3に従って制
御される。
【0029】
【数3】
【0030】前記エンジン10は多気筒の希薄燃焼式内
燃機関であり、その要部構成が図7に示されている。図
において、1つの燃焼室400に対して一対の排気弁4
02、3つの第1吸気弁404、第2吸気弁406、第
3吸気弁408、および1つの点火栓410がシリンダ
ヘッドにそれぞれ設けられている。排気弁402により
開閉される排気ポートは共通の排気管412に接続され
るとともに、その排気管412には、リーンミクスチャ
センサ414および三元触媒416が設けられている。
このリーンミクスチャセンサ414は、従来の酸素セン
サのように理論空燃比付近の領域だけではなく、それよ
りも希薄な領域においても検出できる特性を備えてい
る。ここで、空燃比とは、混合気中に含まれる燃料と空
気の重量比(空気の重量/燃料の重量=A/F)或いは
燃焼室内の気体と燃料の重量比〔(空気の重量+循環ガ
スの重量)/燃料の重量=G/F〕)である。
【0031】吸気管418には、ヘリカル型吸気ポート
420およびストレート型吸気ポート422が略平行に
設けられており、ヘリカル型吸気ポート420は第1吸
気弁404により、また、ストレート型吸気ポート42
2は第2吸気弁406によりそれぞれ開閉されるように
なっている。上記ヘリカル型吸気ポート420およびス
トレート型吸気ポート422よりも小さな流通断面積を
備えた燃料吸気ポート424は、燃料噴射弁426から
噴射された燃料を燃焼室400の中央部に設けられた点
火栓410に向かって導くようになっており、その開口
が第3吸気弁408により開閉される。そして、吸気量
を制御するためによく知られたスロットル弁428が上
記吸気管418に設けられている。
【0032】上記ストレート型吸気ポート422には、
さらにスワールコントロール弁430が設けられてい
る。このスワールコントロール弁430は、リンク43
2を介して負圧アクチュエータ434により駆動される
ようになっている。吸気管418内の負圧が蓄えられる
ように逆止弁を備えた第1負圧タンク436と上記負圧
アクチュエータ434との間には、エンジン用電子制御
装置440により駆動制御される3方電磁切換弁438
が設けられており、スワールコントロール弁430がエ
ンジン用電子制御装置440によって開閉されるように
なっている。上記スワールコントロール弁430が開か
れた状態では、吸入空気がヘリカル型吸気ポート420
およびストレート型吸気ポート422を通して燃焼室4
00内に導入されるが、スワールコントロール弁430
が閉じられると、専らヘリカル型吸気ポート420を通
して吸入空気が燃焼室400内に導入されるので、強い
スワールが発生させられるようになっている。
【0033】前記3つの第1吸気弁404、第2吸気弁
406、第3吸気弁408は、クランク軸とともに回転
するカム軸によって所定の相対的タイミングで開閉駆動
されるものであり、第3吸気弁408は第1吸気弁40
4の開弁期間の終末近くに開かれるように相互の開閉時
期が設定されている。このため、燃焼室400内の上部
近傍には燃料の層が形成されて、混合気の空燃比が希薄
であっても着火が安定となるので、前記のスワールの効
果と相俟って一層の希薄燃焼が可能とされている。上記
スワールコントロール弁430が開かれる場合には、吸
気管418内から大量の吸気が可能となるので、エンジ
ン10の出力が大きく得られる。
【0034】吸気管418と排気管412との間には、
EGR弁442を備えたEGR通路444が設けられて
いる。EGR弁442は、よく知られた負圧作動型弁で
あって、負圧信号発生弁446から出力される負圧信号
により制御される。この負圧信号発生弁446は、吸気
管418内の負圧を蓄えるための逆止弁を備えた第2負
圧タンク448内の負圧を元圧として用い且つエンジン
用電子制御装置440からの制御信号に応じて負圧信号
を発生する。
【0035】上記エンジン用電子制御装置440には、
リーンミクスチャセンサ414からの酸素濃度を表す信
号、エンジン回転センサ450からのエンジン回転速度
e を表す信号、スロットルセンサ452からのスロッ
トル弁開度θthを表す信号、エヤーフローセンサ454
からの吸入空気量Va を表す信号、水温センサ456か
らのエンジン冷却水温度Twを表す信号がそれぞれ供給
されている。エンジン用電子制御装置440は、前述の
トランスミッション用電子制御装置110と同様に、C
PU、ROM、RAM、インターフェースなどを含むマ
イクロコンピュータであって、予め記憶されたプログラ
ムに従って、排出ガスに含まれるHC、CO、NOx
少なくし且つ低燃費が得られるように、燃料噴射弁42
6、3方電磁切換弁438、負圧信号発生弁446をそ
れぞれ制御する。
【0036】たとえば、エンジン用電子制御装置440
は、図8に示されるように負荷に応じて空燃比を理論空
燃比よりも希薄側領域から理論空燃比と略同じストイキ
領域を経て理論空燃比よりも濃厚側の領域まで変化させ
ると同時に、図9に示されるように負荷に応じてEGR
率を変化させる。なお、上記図8および図9は、エンジ
ン回転速度Ne がそれほど高くない一定値であるときの
特性を示しており、上記負荷は、よく知られているよう
に、吸入空気量Q/Ne 、吸気管負圧Pv 、或いはスロ
ットル弁開度θthやそれらとエンジン回転速度Ne 或い
は車速SPDとの組合せに対応している。本エンジン用
電子制御装置440の制御によれば、上記の図8および
図9に示すように、負荷が大きくなるに伴って、空燃比
が理論空燃比よりも希薄とされる希薄燃焼、空燃比が理
論空燃比と略同じとされる理論燃焼、空燃比が理論空燃
比よりも濃くされる濃厚燃焼が順次行われ、また、希薄
燃焼領域内のうちの負荷が大きい側においてEGR率が
最大となるようにEGR弁442が制御される。
【0037】そして、上記エンジン用電子制御装置44
0内においては、実際の空燃比を表すフラグFAF、実際
のEGR率を表すフラグFEGR、スワールコントロール
弁430の開閉状態を表すフラグFSCV が作成され、そ
れらのフラグの内容を示す信号が前記トランスミッショ
ン用電子制御装置110へそれぞれ送信されるようにな
っている。すなわち、エンジン用電子制御装置440に
おいて、上記フラグFAFは、AF信号が示す実際の空燃
比が理論空燃比よりも希薄側の値であればその内容が
「1」にセットされ、濃厚側の値であればその内容が
「0」にリセットされる。また、フラグFEGR は、EG
R信号が示す実際のEGR率が予め定められた判断基準
値以上であればその内容が「1」にセットされ、その判
断基準値より下であればその内容が「0」にリセットさ
れる。この判断基準値は、排気ガス再循環が行われてい
るか否かを判断するものであり、たとえば0%に近い小
さな値が設定される。そして、フラグFSCV は、SCR
信号が示すスワールコントロール弁430の開度が予め
定められた判断基準値以上であればその内容が「1」に
セットされ、その判断基準値より下であればその内容が
「0」にリセットされる。この判断基準値は、スワール
コントロール弁430が開かれている状態か閉じられて
いる状態かを判断するものであり、たとえば100%お
よび0%に近い値がそれぞれ設定される。
【0038】また、エンジン用電子制御装置440によ
る制御においては、たとえば図10に示す所定の負荷値
に対応した予め定められた一定の判断基準値(エンジン
単位回転数当たりの吸入空気量:Q/Ne )αを境にし
て、希薄燃焼状態(リーン+EGR+SCV閉)とスト
イキ燃焼(ストイキ+EGR+SCV閉)とが切り換え
られるように、空燃比が制御されるようになっている。
一方、エンジン10の燃料消費率SFC(重量/単位仕
事量)および窒素酸化物排出率SNOX (重量/単位仕
事量)は図11および図12に示す変化特性に従って変
化するのに加えて、上記希薄燃焼状態では実線に示すよ
うに、ストイキ燃焼状態では破線に示すように変化す
る。このため、前記の判断基準値αを境にして燃焼状態
が切り換えられることにより、軽負荷走行では、燃費率
SFCの優れている希薄燃焼状態が選択され、中、高負
荷走行では窒素酸化物排出率SNOX の優れているスト
イキ状態が選択されることにより、全体として、好適な
燃費率SFCおよび窒素酸化物排出率SNOX が得られ
るようになっている。
【0039】前記トランスミッション用電子制御装置1
10は、CVT16の変速比を車両の走行状態に対応し
た最適値に制御する変速制御、および、伝動ベルト70
の張力が伝達トルクおよび変速比に対応した最適値とな
るようにベルト張力制御圧である第2ライン油圧Pl2
を最適制御するベルト張力最適制御などを適宜実行す
る。
【0040】上記ベルト張力最適制御では、数式3に示
す予め記憶された関係から実際の変速比γ、エンジン1
0の出力トルクTe (=CVT16の入力トルク)、お
よび出力軸回転速度Nout に基づいて理想圧(最適圧)
opt が算出されるとともに、第2調圧弁150の基本
出力圧Pmec が、たとえば図3に示す予め記憶された関
係から実際の変速比γおよびスロットル弁開度θthに基
づいて算出される。そして、第2調圧弁150の基本出
力圧Pmec と理想圧Popt との差、すなわち基本出力圧
mec から低下させる油圧低下値Pdownが数式4から算
出される。この油圧低下値Pdownは、第2ライン油圧P
2 を理想圧Popt と一致させるための値であり、その
油圧低下値Pdownに対応する信号圧PsolLが図6に示す
関係から決定されるとともにリニヤソレノイド弁106
から出力させられることにより、第2ライン油圧Pl2
が理想圧Popt と一致させられるのである。なお、数式
4の右辺第2項は遠心油圧の補正項であり、右辺第3項
は余裕値である。また、数式4のk1 およびk2 は定数
である。
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】また、上記変速制御は、たとえば、図13
の要部構成図に示すように、希薄燃焼状態にあるエンジ
ン10の余裕トルクTe y が余裕トルク決定手段500
により決定され、その余裕トルクTe yが所定値δを下
まわった状態となると、変速比変更手段502によって
CVT16の変速比制御の目標値Nin o が減速側へ変更
されるようになっている。
【0044】以下、図14のフローチャートに基づいて
上記変速制御の作動を更に詳しく説明する。図14のス
テップS1では、エンジン10の燃費率および運転性が
得られるように予め求められ且つROM114に記憶さ
れたよく知られた変速線図から実際のスロットル弁開度
θthおよび車速SPDに基づいて目標入力軸回転速度N
in゜が決定される。その変速線図は、たとえば、特開昭
60−205067号公報に記載されたものと同様に、
シフトレバー126により選択された走行レンジに対応
する複数種類の変速線図から予め選択されたものが使用
され、複数のデータポイントが記憶されたデータマップ
の形態で記憶されるととももにデータポイントの中間値
はよく知られた補完計算により算出される。
【0045】図14のステップS3では、ステップS2
で受けたエンジン用電子制御装置440からの信号FAF
からエンジン10の燃焼状態が判定される。すなわち信
号FAFが示すフラグFAFの内容が「1」であるか否かが
判断される。そのフラグFAFの内容が「1」でないと判
断された場合、すなわちエンジン10が希薄燃焼状態で
ない場合には、ステップS4において変速比変更値ΔN
inの内容が「0」に設定された後、ステップS5におい
てタイマカウンタCの内容が「0」にリセットされると
ともに、ステップS6においてフラグF1 の内容も
「0」にリセットされる。
【0046】次いで、ステップS7では、ステップS1
で決定された目標入力軸回転速度Nin゜に変速比変更値
ΔNin゜が加算されることにより目標入力軸回転速度N
in゜の内容が変更される。しかし、今回の場合には、ス
テップS6において変速比変更値ΔNin゜の内容が
「0」にリセットされているので、上記ステップS7が
実行されても目標入力軸回転速度Nin゜は変更されな
い。続くステップS8では、目標入力軸回転速度Nin
と実際の入力軸回転速度Ninとの差、すなわち変速比フ
ィードバック制御の制御偏差ΔNinが算出され、ステッ
プS9において、その制御偏差ΔNinが解消されるよう
に変速比制御弁ユニット250が駆動される。すなわ
ち、図15に示す変速モードのいずれかが制御偏差ΔN
inに応じて選択され、その変速モードとなるように第1
電磁弁102および第2電磁弁104が駆動されるので
ある。
【0047】車両の軽負荷走行などにおいてエンジン1
0が希薄燃焼させられている状態では、前記エンジン用
電子制御装置440においてフラグFAFの内容が「1」
にセットされることからステップS3の判断が肯定され
るので、続くステップS10においてフラグF1 の内容
が「1」であるか否かが判断される。このフラグF1
その内容が「1」であるときには、希薄燃焼状態の余裕
トルクTe y が予め定められた値δより小さくなったこ
とを示すものである。当初はフラグF1 の内容が「0」
であることからそのステップS10の判断が否定される
ので、続くステップS11において予め記憶された前回
の制御サイクルにおけるフラグF1 -1の内容が「0」で
あるか否かが判断される。このステップS11は、エン
ジン10が希薄燃焼へ切り換えられた時に1回だけステ
ップS12を実行させるためのものである。エンジン1
0が希薄燃焼に切り換えられた当初はF1 -1の内容が
「0」であることからそのステップS11の判断が肯定
されるので、前記余裕トルク決定手段500に対応する
ステップS12において余裕トルクTe y (=Te o
e )が希薄燃焼とストイキ燃焼との切り換え時の出力
トルクTe o と図示しないステップで算出された実際の
出力トルクTe とから算出され、その余裕トルクTe y
が所定の判断基準値δ以下であるか否かが判断される。
この判断基準値δは、一定値、Q/Ne 、θth、Pv
関数、或いはそれ等の値および車速SPDまたはNe
関数に従って決定され燃料消費率SFCおよび窒素酸化
物排出率SNOX が所定の許容値より増加しない範囲で
希薄燃焼状態の割合を高めるように決定された値であ
る。なお、上記Te o は前記判断基準値αに対応して一
義的に決まる値であり、予め記憶されている。
【0048】上記ステップS12の判断が否定された場
合には余裕トルクTe y が十分に大きいので前記ステッ
プS4以下が実行される。しかし、ステップS12の判
断が肯定された場合には余裕トルクTe y が不十分な状
態であるので、ステップS13において変速比変更値Δ
in゜の内容が予め定められた増加値βに設定されると
ともに、ステップS14においてフラグF1 の内容が
「1」にセットされた後、前記ステップS7以下が実行
される。このため、ステップS7において目標入力軸回
転速度Nin゜が増加値βだけ加算されることから、その
分だけ制御偏差ΔNinが拡大するので、ステップS9に
おいて変速比γが減速側へ変更される。この結果、エン
ジン10の等馬力曲線上においてエンジン回転速度Ne
が高められて、余裕トルクTe y が大きくされる。
【0049】上記のようにしてフラグF1 の内容が
「1」に一旦セットされた後は、次の制御サイクルのス
テップS10の判断が肯定されるので、ステップS15
においてそれまでの変速比変更値ΔNin゜に予め定めら
れた一定の増加値βが加算されることにより変速比変更
値ΔNin゜の内容が変更されるとともに、ステップS1
6においてそれまでのタイマカウンタCの内容に加算値
「1」が加算されることによってタイマカウンタCの内
容が更新された後、ステップS17においてタイマカウ
ンタCの内容が予め定められた判断基準値CO に到達し
たか否かが判断される。この判断基準値CO は、余裕ト
ルクTe y を効果的に発生させるように予め実験的に設
定された減速変速時間であり、前記判断基準値δと同様
の函数であってもよい。
【0050】フラグF1 の内容が「1」にセットされた
当初は、上記タイマカウンタCの内容が予め定められた
判断基準値CO に到達しないので、ステップS17の判
断が否定されて前記ステップS7以下が実行される。し
かし、上記判断基準値CO に対応する時間が経過する
と、ステップS17の判断が肯定されるので、ステップ
S18においてタイマカウンタCおよびフラグF1 の内
容が「0」にクリアされた後、前記ステップS7以下が
実行される。すなわち、判断基準値CO に対応する時間
だけ目標入力軸回転速度Nin゜が増加されて減速変速が
行われることによりエンジン回転速度Ne が高められ、
エンジン10の出力トルクTe が等馬力曲線上でエンジ
ン回転速度Ne の増加側へ変化させられることにより、
燃焼領域切換境界線α(=Te o )と等馬力曲線との差
である余裕トルクTe y が図10の、、に示すよ
うに順次増加させられるのである。この意味において、
上記ステップS7、S13、S15は、エンジン回転速
度Ne を高めて余裕トルクを発生させるための前記変速
比変更手段502に対応している。
【0051】上述のように、本実施例によれば、エンジ
ン10の希薄燃焼状態において余裕トルク決定手段50
0により決定された余裕トルクが所定値δを下まわった
状態では、変速比変更手段502により無段変速機の変
速比制御における目標値Nin゜が変速比γを減速側(増
大側)へ変化させる方向に変更される。そして、このよ
うにしてCVT16の変速比制御中において変速比γが
減速側へ変更されると、エンジン10の等馬力曲線上に
おいてその分だけエンジン回転速度が高められる結果、
余裕トルクTe y が順次大きくされる。したがって、上
記のようにして変速比が制御されることによりエンジン
10の希薄燃焼の使用頻度が高められるので、車両の走
行燃費が好適に改善されるのである。
【0052】因に、従来は、図10のαに示すように一
定の負荷値に対応する境界値を境にして燃焼領域が切り
換えられていたのであるが、このような場合には、たと
えばαが10モード燃費が最適となるように定められて
いたとすると、LA#4HWYでは希薄燃焼状態の割合
が大幅に少なくなり、その値αよりも高い別の値α’を
設定しなければならず、燃費率SFCが十分に得られな
かったのである。
【0053】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。たとえば、前述の実施例においては、エンジン10
の希薄燃焼領域においてその余裕トルクが所定値δ以下
となると、目標入力軸回転速度Nin゜が高くなる方向
に、すなわち変速比γが減速側となる方向に所定時間C
O だけ変更されることにより、余裕トルクTe y が増加
させられているが、CVT16の変速比γをそれまでの
値から予め定められた量だけ減速側へ強制的に変更させ
るようにしてもよいのである。この変速比の変更量は、
一定値でも一応の効果が得られるが、前記判断基準値δ
と同様の函数であってもよい。
【0054】また、前述の実施例では、CVT16の変
速比制御における目標値として目標入力軸回転速度Nin
゜が用いられていたが、予め記憶された変速線図から実
際のスロットル弁開度θthおよび車速SPDに基づいて
決定された目標変速比γ゜(=Nin/Nout )が用いら
れてもよい。この場合には、実際の変速比γがその目標
変速比γ゜と一致するように変速比が制御される。
【0055】また、前述の実施例では、エンジン10が
4種類の燃焼状態に制御されていたが、2種類或いは3
種類であってもよいのである。
【0056】また、前述の実施例では、エンジン用電子
制御装置440とトランスミッション用電子制御装置1
10との2つのマイクロコンピュータが用いられていた
が、それら2つの機能を併せ備えた1個のマイクロコン
ピュータが用いられてもよいし、3以上のマイクロコン
ピュータにさらに分割されてもよいのである。
【0057】また、前述の実施例では、前後進切換装置
14がCVT16の前段に設けられていたが、CVT1
6の後段に設けられていてもよいのである。
【0058】また、前述の実施例においては、第2調圧
弁150により調圧される第2ライン油圧Pl2 は、変
速制御弁ユニット250を通してCVT16に作用させ
られていたが、CVT16の二次側油圧シリンダ82へ
直接作用させられる形式の油圧回路であってもよいので
ある。
【0059】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を含む車両用動力伝達装置の
構成を説明する図である。
【図2】図1の実施例の油圧制御回路の一部の構成を示
す図である。
【図3】図2の第2調圧弁の出力特性を示す図である。
【図4】図2のスロットル弁開度検知弁の出力特性を示
す図である。
【図5】図2の変速比検知弁の出力特性を示す図であ
る。
【図6】図2のリニヤソレノイド弁の出力特性を示す図
である。
【図7】図1のエンジンの燃焼制御装置の構成を示す図
である。
【図8】図7の燃焼制御装置によるエンジンの空燃比制
御特性を示す図である。
【図9】図7の燃焼制御装置によるエンジンのEGR率
制御特性を示す図である。
【図10】図7の燃焼制御装置の制御による希薄燃焼領
域の余裕トルクTe y を示す図である。
【図11】図1のエンジンの燃料消費率SFC特性を各
燃焼状態について示す図である。
【図12】図1のエンジンの窒素酸化物排出率SNOX
特性を各燃焼状態について示す図である。
【図13】図1のトランスミッション用電子制御装置に
おける変速比制御の要部構成を示す図である。
【図14】図1のトランスミッション用電子制御装置に
おける変速比制御の作動を示すフローチャートである。
【図15】図1の油圧制御回路における変速制御弁ユニ
ットの変速作動モードと制御偏差との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 エンジン(希薄燃焼内燃機関) 16 ベルト式無段変速機 110 トランスミッション用電子制御装置 500 余裕トルク決定手段 502 変速比変更手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/12 F16H 9/00 F16H 61/00 F16H 59/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め設定された燃焼状態切換トルクを境
    にして複数種類の燃焼状態のいずれかに切り換えられる
    希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無段変速機において、
    該希薄燃焼内燃機関が予め定められた最適曲線に沿って
    作動するように該無段変速機の変速比を調節する制御装
    置であって、 前記希薄燃焼内燃機関が希薄燃焼領域内にあるときの
    記燃焼状態切換トルクと実トルクとの差である余裕トル
    クを決定する余裕トルク決定手段と、 該余裕トルク決定手段により決定された前記希薄燃焼内
    燃機関の余裕トルクが所定値を下まわった状態では、前
    記変速比を減速側へ変更する変速比変更手段とを含むこ
    とを特徴とする希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無段変
    速機の制御装置。
JP3035514A 1991-02-04 1991-02-04 希薄燃焼内燃機関を備えた車両用無段変速機の制御装置 Expired - Fee Related JP3003237B2 (ja)

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