JP3794218B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
内燃機関の制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3794218B2 JP3794218B2 JP25752699A JP25752699A JP3794218B2 JP 3794218 B2 JP3794218 B2 JP 3794218B2 JP 25752699 A JP25752699 A JP 25752699A JP 25752699 A JP25752699 A JP 25752699A JP 3794218 B2 JP3794218 B2 JP 3794218B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- switching
- engine
- combustion
- control device
- torque
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼状態が切換可能な内燃機関と駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置とを有する車両において、その内燃機関を制御する制御装置に関し、特に、走行中の車両のショックを抑制し且つ上記車両の制御装置のトルク制御を安定化する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンを気筒内に直接噴射して希薄燃焼させる筒内噴射エンジン、空気と燃料との比(すなわち空燃比=空気/燃料)A/Fが大きい混合気をエンジンに供給して燃焼させるリーンバーンエンジンのように、燃焼状態が切り換えられる内燃機関が知られている。このような燃焼状態が切り換えられる内燃機関では、たとえば空燃比A/Fが15程度である理論空燃比の混合気が燃焼させられる均質燃焼(ストイキ燃焼)とその理論空燃比よりも空燃比が小さい混合気をエンジンに供給する成層燃焼(希薄燃焼)との間においてトルク変動が発生する性質がある。このため、通常、変速中トルクダウン制御装置により内燃機関のトルクダウンが要請される自動変速機の変速時において上記均質燃焼と成層燃焼との間の切換を禁止することにより、変速時のショックが大きくなることを抑制する制御装置が提案されている。たとえば、特開平8−193535号公報に記載された制御装置がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の制御装置では、自動変速機の変速中において内燃機関の燃焼状態の切換自体が禁止されるので、たとえば、成層燃焼時の変速により運転状態たとえばエンジン回転速度やエンジン負荷が変化すると、その運転状態に適合した燃焼状態とならないために内燃機関の燃焼自体が不適切なものとなるという欠点があった。このように、内燃機関の燃焼自体が不適切なものとなると、却って変速ショックが大きくなるおそれがあり、また、上記変速中トルクダウン制御装置によるトルク制御がうまく行かなくなる可能性がある。このような不都合は、変速中トルクダウン制御装置だけでなく、たとえば第1速再加速トルク制御、TRC制御、VSC制御、トルクコンバータのロックアップクラッチ制御など、車両駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置についても同様に存在する。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、燃焼状態が切換られる内燃機関を備えた車両において、内燃機関の燃焼状態を適切とする内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、燃焼状態が切換可能な内燃機関の制御装置であって、(a) エンジン回転速度を表す軸とエンジン負荷を表す軸との二次元座標において示される均質燃焼から成層燃焼への切換判断を行うための均質→成層切換線と成層燃焼から均質燃焼への切換判断を行うための成層→均質切換線との間にヒステリシスを有する切換条件に従って前記内燃機関の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段と、(b) そのヒステリシスの幅を変更するヒステリシス幅変更手段と、(c) 前記内燃機関の出力トルクを一時的に変化させることにより駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置の作動に基づいて、そのヒステリシス変更手段に前記均質→成層切換線をエンジン回転速度減少側へずらして前記ヒステリシスの幅が前記内燃機関に対する出力トルクの変化要求がない場合に比較して拡大するようにそのヒステリシス幅の変更を指令するヒステリシス幅変更指令手段とを、含むことにある。
【0006】
【発明の効果】
このようにすれば、前記内燃機関の出力トルクを一時的に変化させることにより駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置の作動に基づいて、内燃機関の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段により用いられる切換条件のヒステリシスを変更する指令が、ヒステリシス幅変更指令手段からヒステリシス幅変更手段に指令され、そのヒステリシス幅変更手段によりヒステリシス幅が変更されるので、燃焼状態が適切となる。すなわち、上記車両の制御装置から内燃機関に対する出力トルク変化要求に拘らず、内燃機関の燃焼状態が適切となり、また、車両の制御装置から要求されたトルク制御がうまく行くようになる。さらに、頻繁な燃焼状態の切り換えがなくなり、燃焼状態が適切となる。しかも、ヒステリシス幅変更指令手段は、均質→成層切換線をエンジン回転速度減少側へずらして前記ヒステリシスの幅が前記内燃機関に対する出力トルクの変化要求がない場合に比較して拡大するようにそのヒステリシス幅の変更を指令するので、筒内エンジンに対する出力トルク変化要求があるときだけ切換条件がエンジン回転方向におけるヒステリシスが拡大され、これにより常時は成層燃焼が可及的に行われて燃費が向上する利点がある。
【0007】
因みに、前述の従来の技術とは別に、単に変速中などに内燃機関の燃焼状態の切り換えを許可しているだけでは、燃焼状態の頻繁な切り換えすなわちハンチングが発生し、燃焼状態の切り換えに伴うエンジントルク変動やトルク制御が良好に行われ得ず、変速ショックが大きくなるおそれが発生する場合もあったのである。
【0008】
【第1発明の他の態様】
ここで、好適には、前記駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置は、自動変速機の変速期間内において内燃機関の出力トルクを一時的に低下させる変速中トルク低減制御装置、惰行走行中に第1速状態へ変速された後の再加速操作時においてエンジン回転速度の上昇に伴う一方向クラッチの係合時のショックを緩和するために内燃機関のトルク制御を行う第1速再加速トルク制御装置、摩擦抵抗が低い低μ路での車両発進時において車輪の駆動力すなわちトラクション(牽引力)を高めるために内燃機関の出力トルクを低下させるTRC制御(トラクションコントロール)装置、車両旋回時のオーバステア或いはアンダステアを抑制するために内燃機関の出力トルクを一時的に制御するVSC制御装置、又は、流体継ぎ手に設けられたロックアップクラッチを係合させるときに内燃機関の出力トルクを一時的に低下させるロックアップクラッチ開閉時トルク制御装置である。上記変速中トルクダウン制御装置、第1速再加速トルク制御装置、TRC制御装置、VSC制御装置、ロックアップクラッチ開閉時トルク制御装置はいずれも内燃機関の出力トルクの変化すなわち駆動系の駆動状態の変化を発生させるものであるので、それら制御装置から内燃機関に対する出力トルク変化要求に拘らず、内燃機関の燃焼状態が適切となり、また、車両の制御装置から要求されたトルク制御がうまく行くようになる。
【0009】
また、好適には、前記ヒステリシス幅変更指令手段は、前記ヒステリシスの幅を拡大するように前記ヒステリシス変更手段に変更を指令するものである。このようにすれば、前記車両の制御装置からの要求、すなわち内燃機関に対する出力トルク変化要求に基づいて、内燃機関の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段により用いられる切換条件のヒステリシス幅が拡大されるので、上記内燃機関に対する出力トルク変化要求中の内燃機関の燃焼状態の頻繁な切換(切換ハンチング)が防止され、変速ショックや第1速再加速時のショックが好適に緩和される。すなわち、頻繁な切換が抑制されて内燃機関の燃焼状態が適切となり、車両の制御装置から要求されたトルク制御が良好に行われる。
【0010】
また、好適には、前記内燃機関は、ガソリンを気筒内に直接噴射して希薄燃焼させる筒内噴射エンジンであり、前記内燃機関の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段により用いられる切換条件は、筒内噴射エンジンの回転速度を表す回転速度軸と筒内噴射エンジンの負荷を表す負荷軸との二次元座標において、その筒内噴射エンジンの成層燃焼を行う領域と均質燃焼を行う領域との間に設けられた、均質→成層切換線およびその外側に設けられた成層→均質切換線であり、その切換条件のヒステリシス幅は、その均質→成層切換線と成層→均質切換線との間の間隔に対応するものであり、前記ヒステリシス幅変更指令手段は、その均質→成層切換線を上記回転速度の減少側へ変更することを指令するものである。このようにすれば、車両の制御装置からの要求、すなわち内燃機関に対する出力トルク変化要求があるときだけ、切換条件の回転方向におけるヒステリシスが拡大させられるので、常時は成層燃焼が可及的に行われる利点がある。また、車両の制御装置からの要求すなわち筒内噴射エンジンに対する出力トルク変化要求に従うトルク変化により筒内噴射エンジンの回転変動を伴うものである場合には、燃焼状態の頻繁な切換(切換ハンチング)が好適に防止される。
【0017】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明が適用された車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、筒内噴射エンジン10は、燃焼状態が切り換えられる形式の4サイクル内燃機関であって、ガソリンを気筒内へ直接に噴射することにより空燃比が理論空燃比よりも大きい希薄燃焼すなわち成層燃焼を実現するものである。この筒内噴射エンジン10の出力は、トルクコンバータ12を介して自動変速機14に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。
【0019】
上記トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の間を直結するための直結クラッチすなわちロックアップクラッチ24と、一方向クラッチ26によって一方向の回転が阻止されているステータ28とを備えている。
【0020】
上記自動変速機14は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備えている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0021】
上記第2変速機32は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備えている。
【0022】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0023】
キャリヤK1とハウジング41との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0024】
このような自動変速機14は、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段のギヤ段のいずれかに切り換えられる。図2において○印は係合状態を示し、空欄は解放状態を示し、●はエンジンブレーキを発生させるときの係合状態を示している。たとえば、シフトレバー72(図3参照)が「D」レンジである場合において、たとえば旋回するためにブレーキ操作により車速Vが減少させられてたとえば第3速から第1速へダウン変速させられた後、旋回終了付近で再加速操作が行われることによりエンジン回転速度NE が上昇させられると、一方向クラッチF2の係合により第1速ギヤ段が達成されて動力が再び伝達されるようになる。
【0025】
前記筒内噴射エンジン10は、たとえば、図示しない吸気弁により開閉される1対の吸気穴に接続された1対の吸気ポートと、図示しない排気弁により開閉される1対の排気穴に接続された1対の排気ポートと、上記1対の吸気ポートのうちの一方の吸気ポートに設けられて気筒内に流入する気流を変更するために開閉させられる切換弁と、その切換弁を開閉駆動する弁アクチュエータとを、各気筒毎に備え、気筒内への燃料噴射量、燃料噴射タイミング、およびその切換弁の作動が変化させられることにより、たとえば図4に示すように、燃焼状態が切換られるようになっている。図4において、空燃比A/Fは、筒内噴射エンジン10に吸入される混合気の空気と燃料との比(=空気/燃料)である。15(均質燃焼時)から50(成層燃焼時)の間で変化させられる。均質燃焼時には、空燃比が理論空燃比たとえば15(空気:燃料=15:1)とされ且つ吸気工程において燃料噴射が行われる。リーン燃焼時では、その空燃比が15よりも大きい値とされる。また、成層燃焼時では、空燃比が理論空燃比たとえば50(空気:燃料=55:1)とされ且つ圧縮工程において燃料噴射が行われる。また、弱成層燃焼時では、空燃比が成層燃焼時よりも小さくされ且つ吸気工程および圧縮工程において燃料噴射が行われる。希薄燃焼とは、空燃比が上記理論空燃比よりも大きい場合であり、たとえば上記成層燃焼、弱成層燃焼がそれに相当する。なお、上記リーン燃焼或いは弱成層燃焼が設けられない場合もある。
【0026】
上記図3は車両の制御装置を説明する図である。アクセルペダル50の操作量ACC(%)がアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の要求出力に応じて大きく踏み込み操作されるもので、加速操作部材に相当する。筒内噴射エンジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によって基本的にはアクセルペダル50の操作量ACCに応じた開き角(開度)θTH(%)とされるスロットル弁56が設けられている。また、アイドル回転制御のために上記スロットル弁56をバイパスさせるバイパス通路52には、筒内噴射エンジン10のアイドル回転を制御するためにスロットル弁56全閉時の吸気量を制御するISC弁53が設けられている。エンジン10の回転速度NE (r.p.m )を検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、上記スロットル弁56の全閉状態およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、出力軸42の回転速度NOUT (r.p.m )すなわち車速Vを検出するための車速センサ66、筒内噴射エンジン10の冷却水温度TW を検出するための冷却水温センサ68、ブレーキの作動を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72の操作位置PSHを検出するための操作位置センサ74、入力軸20の回転速度NINすなわちクラッチC0の回転速度NC0(=タービン回転速度NT )を検出するための入力軸回転センサ73、油圧制御回路84の作動油温度TOIL を検出するための油温センサ75などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE 、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバー72の操作位置PSH、入力軸回転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号がエンジン用電子制御装置76或いは変速用電子制御装置78に供給されるようになっている。
【0027】
図3のエンジン用電子制御装置76は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁79を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ80を制御し、アイドルスピード制御のためにISC弁53を制御し、トラクション制御のためにスロットルアクチュエータ54によりスロットル弁56を制御する。エンジン用電子制御装置76は、スロットル弁56の制御において、図示しない関係から実際のアクセルペダル操作量ACCに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、基本的にはアクセルペダル操作量ACCが増加するに伴ってスロットル弁開度θTHを増加させる。また、上記エンジン用電子制御装置76は、変速中トルク低減制御を実行し、変速ショックを緩和するために自動変速機14の変速期間内においてエンジン10の出力を一時的に低減させる。また、上記エンジン用電子制御装置76は、第1速再加速トルク制御を実行し、第1速再加速時において一方向クラッチF2の係合ショックが緩和されるようにスロットル弁56およびエンジン出力を制御する。さらに、エンジン用電子制御装置76は、たとえば図5に示す予め記憶された関係から実際のエンジン回転速度NE および筒内噴射エンジン10の負荷に基づいて燃焼状態を決定し、気筒内噴射エンジン10がその燃焼状態となるように燃料噴射量、燃料噴射時期などを制御して燃焼状態を切り換える。上記筒内噴射エンジン10の負荷は、たとえばスロットル弁開度θTH或いはアクセルペダル操作量ACCに基づいて決定される実際の負荷量或いは負荷率である。
【0028】
上記エンジン用電子制御装置76は、変速用電子制御装置78と相互に通信可能に接続されており、一方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになっている。変速用電子制御装置78も、上記と同様のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の各ソレノイドバルブSL1、SL2、SL3、SL4或いはリニアソレノイドバルブSLU、SLT、SLNを駆動する。具体的には、例えば図6に示す予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段を成立させるように電磁弁SL1、SL2、SL3、SL4を駆動する。図6の実線はアップシフト線で、破線はダウンシフト線である。また、上記変速用電子制御装置78は、自動変速機14の変速時に発生する変速ショックを緩和するために、その変速期間内においてエンジン出力を一時的に低下させる要求を出力する。
【0029】
図7は、上記エンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装置78の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7において、変速制御手段90は、例えば図6に示す予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段を成立させるように電磁弁SL1、SL2、SL3、SL4を制御する。変速中トルク低減制御手段92は、変速ショックを抑制するために自動変速機14の変速期間内は気筒内噴射エンジン10の出力トルクを一時的に低下させる。
【0030】
燃焼状態切換手段94は、たとえば図5に示す予め記憶された切換条件から実際のエンジン回転速度NE とアクセル操作量ACCに基づいて決定される実際の負荷とに基づいて、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態を切り換える。図5に示す切換条件は、筒内噴射エンジン10の回転速度NE を表す回転速度軸96と筒内噴射エンジン10の負荷を表す負荷軸98とから成る直交二次元座標において、その筒内噴射エンジン10の成層燃焼を行う領域と均質燃焼を行う領域との間に設けられた、均質→成層切換線100(実線)およびその外側に設けられた成層→均質切換線102(破線)により表されており、それら均質→成層切換線100と成層→均質切換線102との間に切換判断用のヒステリシスが設けられている。その切換条件のヒステリシス幅は、その均質→成層切換線100と成層→均質切換線102との間の間隔に対応している。
【0031】
第1速再加速トルク制御手段106は、車両の減速或いは制動操作により車速Vが低下することにより変速制御手段90によりたとえば第3速ギヤ段から第1速ギヤ段へダウン変速された走行時であってその第1速ギア段を達成させる一方向クラッチF2が未だ滑っている未係合状態において、アクセルペダル50により再加速操作が行われたとき、上記一方向クラッチF2の係合ショックを緩和するために、たとえば図9に示すように、エンジン回転速度NE を速やかに立ち上げ且つ同期回転付近ではその上昇を緩和させ或いは出力トルクを抑制するようにスロットル弁56を駆動するスロットルアクチュエータ54を制御すると同時に、t1 時点付近すなわち同期回転数付近では点火時期の遅角を実行し、再加速時の筒内噴射エンジン10の出力トルクを調節する。図9の2点鎖線はたとえば成層燃焼時において負荷に対応する仮想スロットル弁開度を示している。上記変速中トルク低減制御手段92および第1速再加速トルク制御手段106は、前記エンジン用電子制御装置76の制御機能の一部であって、その一部の機能が発生させている状態のエンジン用電子制御装置76が、変速中トルク低減制御装置或いは第1速再加速トルク制御装置に対応している。
【0032】
ヒステリシス幅変更指令手段108は、駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置に対応する上記変速中トルク低減制御手段92或いは第1速再加速トルク制御手段106の作動に基づいて、すなわちそれら変速中トルク低減制御手段92或いは第1速再加速トルク制御手段106からの要求に基づいて、ヒステリシス変更手段110に変更を指令する。ヒステリシス変更手段110は、上記ヒステリシス幅変更指令手段108からの指令に応答して、たとえば図5に示す切換条件の均質→成層切換線100の一部を低エンジン回転速度側へずらすことによりエンジン回転速度方向のヒステリシスの幅を拡大する。図5の1点鎖線はこの状態を示している。
【0033】
図8は、前記エンジン用電子制御装置76の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、ヒステリシス変更制御ルーチンを示している。図8において、前記ヒステリシス幅変更指令手段108に対応するSA1では、変速中トルク低減制御手段92により行われる変速中のトルク低減制御の実行中、或いは第1速再加速トルク制御手段106により行われる第1速再加速トルク制御の実行中であるか否かが判断される。このSA1の判断が否定された場合は、SA4において図5の実線および破線に示す通常の燃焼状態切換条件が前記燃焼状態切換手段94の切換判断に用いられるようにされる。
【0034】
しかし、上記SA1の判断が肯定された場合は、前記ヒステリシス幅変更手段110に対応するSA2において、図5の実線に示す均質→成層切換線100の一部が1点鎖線に示すように低エンジン回転速度側へずらされることによりエンジン回転速度方向のヒステリシスの幅が拡大される。次いで、SA3では、SA1において制御中であると判断された変速中のトルク低減制御或いは第1速再加速トルク制御が終了したか否かが判断される。当初はこのSA3の判断が否定されるので、SA2以下が繰り返し実行される。
【0035】
そのSA2以下が繰り返し実行されるうち、SA3の判断が肯定されると、前記SA4において、図5の実線に示す均質→成層切換線100と破線に示す成層→均質切換線102とから成る通常の燃焼状態切換条件に戻される。
【0036】
上述のように、本実施例によれば、駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置の作動、すなわち上記変速中トルク低減制御手段92による筒内噴射エンジン10の出力トルク低減作動または第1速再加速トルク制御手段106による筒内噴射エンジン10の出力トルク制御作動に基づいて、筒内噴射エンジン10の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段94により用いられる切換条件のヒステリシスを変更する指令が、ヒステリシス幅変更指令手段108(SA1)からヒステリシス幅変更手段110(SA2)に指令され、そのヒステリシス幅変更手段110(SA2)により図5の切換条件のヒステリシス幅が変更されるので、燃焼状態が適切となる。すなわち、上記車両の制御装置から筒内噴射エンジン10に対する出力トルク変化要求に拘らず、筒内噴射エンジン10の燃焼状態が適切となり、また、車両の制御装置から要求されたトルク制御がうまく行くようになる。
【0037】
また、本実施例によれば、ヒステリシス幅変更指令手段108(SA1)は、ヒステリシスの幅を拡大するようにヒステリシス変更手段110に変更を指令するものであることから、前記車両の制御装置からの要求、すなわち筒内噴射エンジン10に対する出力トルク変化要求に基づいて、筒内噴射エンジン10の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段94により用いられる切換条件のヒステリシス幅が拡大されるので、上記筒内噴射エンジン10に対する出力トルク変化要求中の筒内噴射エンジン10の燃焼状態の頻繁な切換(切換ハンチング)が防止され、変速ショックや第1速再加速時のショックが好適に緩和される。すなわち、頻繁な切換が抑制されて筒内噴射エンジン10の燃焼状態が適切となって車両の制御装置から要求されたトルク制御が良好に行われる。
【0038】
また、本実施例によれば、前記ヒステリシス幅変更指令手段108(SA1)は、図5に示す切換条件においてその均質→成層切換線100をエンジン回転速度NE の減少側へ変更することを指令するものであることから、車両の制御装置からの要求、すなわち筒内噴射エンジン10に対する出力トルク変化要求があるときだけ、切換条件の回転方向におけるヒステリシスが拡大させられるので、常時は成層燃焼が可及的に行われ、燃費が向上する利点がある。また、車両の制御装置からの要求すなわち筒内噴射エンジン10に対する出力トルク変化要求に従うトルク変化により筒内噴射エンジン10の回転変動を伴うものである場合には、燃焼状態の頻繁な切換(切換ハンチング)が好適に防止される。
【0039】
因みに、第1速再加速トルク制御手段106による第1速再加速トルク制御の実行時において上記切換条件の回転方向におけるヒステリシスが拡大されず、成層運転領域に切換られる場合には、図4に示すように点火時期の遅角が有効に作用せず、図9の破線に示すように、第1速ギア段を成立させる一方向クラッチF2の係合により、大きなショックが発生する。
【0040】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図10は、本発明の他の実施例において、燃焼状態切換手段94により用いられる切換条件を示す図である。本実施例の切換条件は、図5と同様に、筒内噴射エンジン10の回転速度NE を表す回転速度軸96と筒内噴射エンジン10の負荷を表す負荷軸98とから成る直交二次元座標において、その筒内噴射エンジン10の成層燃焼を行う領域と均質燃焼を行う領域との間に設けられた、均質→成層切換線114(実線)およびその外側に設けられた成層→均質切換線116(破線)により表されており、それら均質→成層切換線114と成層→均質切換線116との間に切換判断用のヒステリシスが設けられている。また、そのヒステリシス幅は、その均質→成層切換線114と成層→均質切換線116との間の間隔に対応している。本実施例の均質→成層切換線114(実線)は、1点鎖線に示す手動変速機用の均質→成層切換線118に比較して、低回転速度側すなわち成層燃焼領域を減少させる側へずらされており、ヒステリシスの幅が大きく設定されている。
【0042】
一般に、手動変速機は回転方向のハンチングの可能性が比較的低いのに対して、自動変速機14は回転方向のハンチングの可能性が相対的に高い。このため、本実施例によれば、車両に備えられた動力伝達装置(自動変速機14)に応じて適切なヒステリシスが拡大されているので、筒内噴射エンジン10の燃焼状態の切り換えが頻繁とならず、適切な燃焼状態が得られるとともに燃焼状態が安定する。また、本実施例では、手動変速機用の均質→成層切換線118(1点鎖線)の一部が回転速度減少側にずらされるように均質→成層切換線114(実線)が設定されることによりヒステリシス幅が拡大されているので、可及的に成層燃焼が行われ、燃費が向上する利点がある。
【0043】
図11は、本発明の参考例におけるエンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装置78の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図11において、優先切換指令手段122がヒステリシス幅変更指令手段108およびヒステリシス幅変更手段110に代えて設けられている点において、図7の実施例と相違する。この優先切換指令手段122は、車両の駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置、たとえば変速中トルク低減制御92、第1速再加速トルク制御手段106の作動に基づいてすなわちその変速中トルク低減制御92、第1速再加速トルク制御手段106からの要求に基づいて、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態を希薄燃焼たとえば成層燃焼或いは弱成層燃焼からそれよりも混合比が高く設定された所定の燃焼たとえば均質燃焼へ優先的に切り換えるように燃焼状態切換手段94に指令する。
【0044】
図12は、前記エンジン用電子制御装置76の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、燃焼状態優先切換制御ルーチンを示している。図12において、前記優先切換指令手段122に対応するSB1では、変速中トルク低減制御手段92により行われる変速中のトルク低減制御の実行中、或いは第1速再加速トルク制御手段106により行われる第1速再加速トルク制御の実行中であるか否かが判断される。このSB1の判断が否定された場合は、SB4において、たとえば図5の実線および破線に示す通常の燃焼状態切換条件を用いた通常の燃焼状態切換制御が実行される。
【0045】
しかし、上記SB1の判断が肯定された場合は、前記燃焼状態切換手段94に対応するSB2において、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態が優先的に均質燃焼(ストイキ燃焼)とされる。次いで、SB3では、SB1において制御中であると判断された変速中のトルク低減制御或いは第1速再加速トルク制御が終了したか否かが判断される。当初はこのSB3の判断が否定されるので、SB2以下が繰り返し実行される。そのSB2以下が繰り返し実行されるうち、SB3の判断が肯定されると、前記SB4において、たとえば図5の実線に示す均質→成層切換線100と破線に示す成層→均質切換線102とから成る通常の切換条件を用いた燃焼状態切換制御に戻される。
【0046】
本参考例によれば、優先切換指令手段122(SB1)により、駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置すなわち変速中トルク低減制御手段92或いは第1速再加速トルク制御手段106の作動に基づいて、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態を希薄燃焼からそれよりも混合比が高く設定された所定の燃焼例えば均質燃焼へ優先的に切り換えるように上記燃焼状態切換手段94へ指令されると、その燃焼状態切換手段94により気筒内噴射エンジン10の燃焼状態がその均質燃焼へ優先的に切り換えられるので、図13に示すように第一速再加速トルク制御中に燃焼状態の切換がなくなって気筒内噴射エンジン10の燃焼状態が適切となり、また、上記車両の制御装置から要求されたトルク制御がうまく行くようになる。たとえば、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態毎にその出力トルクを制御する方法が異なるので、同じ方法を用いて気筒内噴射エンジン10の出力トルクを制御することができる。
【0047】
因みに、第1速再加速トルク制御手段106による第1速再加速トルク制御の実行時において上記切換条件の回転方向におけるヒステリシスが拡大されず、成層運転領域に切換られる場合には、図13に示すように点火時期の遅角が有効に作用せず、図13の破線に示すように、第1速ギア段を成立させる一方向クラッチF2の係合により、大きなショックが発生する場合があるのである。
【0048】
図14は、本発明の参考例におけるエンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装置78の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図14において、切換禁止指令手段126がヒステリシス幅変更指令手段108およびヒステリシス幅変更手段110に代えて設けられている点において、図7の実施例と相違する。この切換禁止指令手段126は、車両の駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置、たとえば変速中トルク低減制御92、第1速再加速トルク制御手段106の作動に基づいてすなわちその変速中トルク低減制御92、第1速再加速トルク制御手段106からの要求に基づいて、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態の切換、たとえば希薄燃焼と成層燃焼或いは弱成層燃焼との間の切換を禁止するように燃焼状態切換手段94に指令する。
【0049】
図15は、前記エンジン用電子制御装置76の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、燃焼状態切換禁止制御ルーチンを示している。図15において、前記切換禁止指令手段126に対応するSC1では、変速中トルク低減制御手段92により行われる変速中のトルク低減制御の実行中、或いは第1速再加速トルク制御手段106により行われる第1速再加速トルク制御の実行中であるか否かが判断される。このSC1の判断が否定された場合は、SC4において、たとえば図5の実線および破線に示す通常の燃焼状態切換条件を用いた通常の燃焼状態切換制御が実行される。
【0050】
しかし、上記SC1の判断が肯定された場合は、前記燃焼状態切換手段94に対応するSC2において、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態の切換が優先的に禁止される。次いで、SC3では、SC1において制御中であると判断された変速中のトルク低減制御或いは第1速再加速トルク制御が終了したか否かが判断される。当初はこのSC3の判断が否定されるので、SC2以下が繰り返し実行される。そのSC2以下が繰り返し実行されるうち、SC3の判断が肯定されると、前記SC4において、たとえば図5の実線に示す均質→成層切換線100と破線に示す成層→均質切換線102とから成る通常の切換条件を用いた燃焼状態切換制御に戻される。
【0051】
本参考例によれば、切換禁止指令手段126(SC1)により、駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置すなわち変速中トルク低減制御手段92或いは第1速再加速トルク制御手段106の作動に基づいて、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態の切換を禁止するように上記燃焼状態切換手段94へ指令されると、その燃焼状態切換手段94により気筒内噴射エンジン10の燃焼状態の切換が禁止されるので、頻繁な切換がなくなって気筒内噴射エンジン10の燃焼状態が適切となり、また、上記車両の制御装置から要求されたトルク制御がうまく行くようになる。たとえば、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態毎にその出力トルクを制御する方法が異なるので、同じ方法を用いて気筒内噴射エンジン10の出力トルクを制御することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0053】
たとえば、前述の実施例の車両では、気筒内噴射エンジン10が設けられていたが、気筒外噴射により希薄燃焼させるリーンバーンエンジンなどの他の形式のエンジンであってもよい。要するに、燃焼状態が切り換えられるエンジンであればよいのである。
【0054】
また、前述の実施例では、切換条件として、均質燃焼と成層燃焼とを切り換えるための図5或いは図10に示されるものが用いられていたが、均質→成層切換線100、114、成層→均質切換線102、116の形状は必要に応じて種々の直線或いは曲線とされてもよいし、切り換えられる燃焼状態は、気筒内噴射エンジン10の燃焼状態に応じて、弱成層燃焼と均質燃焼との間や、弱成層燃焼とリーン燃焼との間、成層燃焼とリーン燃焼との間などであってもよい。
【0055】
また、前述の実施例では、均質→成層切換線100、114の一部が低回転速度側へずらされることによってヒステリシスが拡大されていたが、成層→均質切換線102、116の一部が高回転速度側へずらされることによってヒステリシスが拡大されてもよいし、均質→成層切換線100、114或いは成層→均質切換線102、116の一部が低負荷側或いは高負荷側へずらされることによってヒステリシスが拡大されてもよい。
【0056】
また、前述の実施例の車両では、動力伝達装置として、ロックアップクラッチ24付のトルクコンバータ12および有段式自動変速機14が用いられていたが、クラッチペダルにより操作されるクラッチおよび手動変速機、フルードカップリングまたはトルクコンバータおよびベルト式無段変速機、トラクション型無段変速機、他の形式の無段変速機などであってもよい。また、上記自動変速機14は、自動的に変速比を変化させる自動変速モードに加えて、手動操作に応答してギヤ段を切り換える手動変速モードが設けられたものであってもよい。
【0057】
また、前述の実施例の車両には、互いに通信回線を介して接続されたエンジン制御装置76および変速機制御装置78が設けられていたが、共通の演算制御装置が用いられていてもよいし、たとえば各制御毎に設けられた3以上の演算制御装置が用いられていてもよい。
【0058】
また、前述の実施例においては、駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置として、変速中トルク低減制御手段92および第1速再加速トルク制御手段106に対応する装置が説明されていたが、ロックアップクラッチ24の解放ショック或いは係合ショックを緩和するための気筒内噴射エンジン10のトルクを制御する装置など、他の制御装置であってもよい。要するに、気筒内噴射エンジン10のトルク変化或いは回転変化などの駆動状態の変化を発生させるものであればよいのである。
【0059】
たとえば、上記のようなロックアップクラッチ24の解放ショック或いは係合ショックを緩和するための気筒内噴射エンジン10のトルクを制御する制御装置が備えられる場合には、ロックアップクラッチ24の係合時にはハンチングの可能性が低いために前記ヒステリシスが小さくされ、ロックアップクラッチ24の解放時にはそのヒステリシスが拡大される。また、上記ロックアップクラッチ24がスリップ状態で係合させられる場合(スリップ制御)には、ロックアップクラッチ24のスリップ率に応じて上記ヒステリシスの大きさが変化させられるようにしてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両において、その動力伝達経路に備えられたトルクコンバータおよび自動変速機の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機の摩擦係合装置の作動の組み合わせとそれにより得られるギヤ段との関係を説明する図表である。
【図3】図1の車両において、エンジンと変速機の協調制御装置の制御系統を説明する図である。
【図4】図1の車両に設けられた気筒内噴射エンジンの燃焼状態の種類、空燃比、噴射タイミング、トルクダウン方法をそれぞれ説明する図表である。
【図5】図3のエンジン用電子制御装置において、燃焼状態の切り換えを判断するために用いられる切換条件を示す図である。
【図6】図3の変速用電子制御装置において、自動変速機のギヤ段の切換を判断するために用いられる変速線図を示す図である。
【図7】図3のエンジン用電子制御装置および変速用電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図3のエンジン用電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図9】図8の制御が行われるときの第1速再加速制御の作動の要部を説明するタイムチャートである。
【図10】本発明の他の実施例における切換条件を示す図であって、図5に相当する図である。
【図11】本発明の他の実施例におけるエンジン用電子制御装置および変速用電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図12】図11の実施例におけるエンジン用電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図13】図12の制御が行われるときの第1速再加速制御の作動の要部を説明するタイムチャートである。
【図14】本発明の他の実施例におけるエンジン用電子制御装置および変速用電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図15】図14の実施例におけるエンジン用電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:気筒内噴射エンジン(内燃機関)
92:変速中トルク低減制御手段(車両の制御装置)
106:第1速再加速トルク制御手段(車両の制御装置)
108:ヒステリシス幅変更指令手段
110:ヒステリシス幅変更手段
122:優先切換指令手段
Claims (1)
- 燃焼状態が切換可能な内燃機関の制御装置であって、
エンジン回転速度を表す軸とエンジン負荷を表す軸との二次元座標において示される均質燃焼から成層燃焼への切換判断を行うための均質→成層切換線と成層燃焼から均質燃焼への切換判断を行うための成層→均質切換線との間にヒステリシスを有する切換条件に従って前記内燃機関の燃焼状態を切り換える燃焼状態切換手段と、
該ヒステリシスの幅を変更するヒステリシス幅変更手段と、
前記内燃機関の出力トルクを一時的に変化させることにより駆動状態の変化を発生させる車両の制御装置の作動に基づいて、該ヒステリシス変更手段に前記均質→成層切換線をエンジン回転速度減少側へずらして前記ヒステリシスの幅が前記内燃機関に対する出力トルクの変化要求がない場合に比較して拡大するように該ヒステリシス幅の変更を指令するヒステリシス幅変更指令手段と
を、含むことを特徴とする内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25752699A JP3794218B2 (ja) | 1999-09-10 | 1999-09-10 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25752699A JP3794218B2 (ja) | 1999-09-10 | 1999-09-10 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001082210A JP2001082210A (ja) | 2001-03-27 |
JP3794218B2 true JP3794218B2 (ja) | 2006-07-05 |
Family
ID=17307529
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25752699A Expired - Fee Related JP3794218B2 (ja) | 1999-09-10 | 1999-09-10 | 内燃機関の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3794218B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4497318B2 (ja) * | 2005-11-22 | 2010-07-07 | 三菱自動車工業株式会社 | 内燃機関の燃焼モード切替制御装置 |
JP4497319B2 (ja) * | 2005-11-22 | 2010-07-07 | 三菱自動車工業株式会社 | 内燃機関の燃焼モード切替制御装置 |
DE102008032304A1 (de) * | 2008-07-09 | 2010-01-14 | Volkswagen Ag | Verfahren zum Betrieb eines Drehmomentübertragungssystems und Drehmomentübertragungssystem |
JP5136686B2 (ja) * | 2009-04-13 | 2013-02-06 | トヨタ自動車株式会社 | 駆動力制御装置 |
JP6320741B2 (ja) * | 2013-12-16 | 2018-05-09 | 株式会社小松製作所 | 作業車両及び作業車両の制御方法 |
EP3696036B1 (en) * | 2017-10-12 | 2021-08-18 | Nissan Motor Co., Ltd. | Method and device for controlling hybrid vehicle |
-
1999
- 1999-09-10 JP JP25752699A patent/JP3794218B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001082210A (ja) | 2001-03-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6790158B2 (en) | Apparatus for controlling vehicle drive system including engine with turbocharger, and lock-up clutch | |
JP3685149B2 (ja) | 車両用駆動制御装置 | |
JP2004169867A (ja) | 車両用駆動制御装置 | |
JP2010125874A (ja) | 車両の制御装置 | |
JP2007138901A (ja) | 車両用自動変速機の変速制御装置 | |
JP2004108545A (ja) | 車両用駆動制御装置 | |
JP2008144738A (ja) | 車両用動力出力装置の制御装置 | |
JP3794218B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP2003232236A (ja) | 車両のエンジン制御装置 | |
JP4092928B2 (ja) | 車両用制御装置 | |
JP2008155773A (ja) | 車両の制御装置 | |
JPH1137267A (ja) | 車両用自動変速機の油圧制御装置 | |
JP3201111B2 (ja) | エンジンおよび自動変速機の総合制御装置 | |
JP2008196502A (ja) | 車両の制御装置 | |
JP2005016439A (ja) | 車両の制御装置 | |
JP4196524B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP4774624B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP3738677B2 (ja) | 車両用自動変速機の入力トルク切換制御装置 | |
JP3493960B2 (ja) | 車両用自動変速機の制御装置 | |
JP4899457B2 (ja) | 車両用動力伝達装置の制御装置 | |
JP4238464B2 (ja) | 車両用ロックアップクラッチの制御装置 | |
JP4096807B2 (ja) | 車両用自動変速機の変速制御装置 | |
JP4304967B2 (ja) | 車両用変速制御装置 | |
JP3661637B2 (ja) | 車両用エンジンおよび変速機の統合制御装置 | |
JP4182810B2 (ja) | 車両用自動変速機の変速制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050201 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050331 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051108 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060110 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060303 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060404 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |