JP4497318B2 - 内燃機関の燃焼モード切替制御装置 - Google Patents
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Description
当該リーンバーンエンジンでは、負荷が高くなった場合には十分な出力を実現するため、上記リーン空燃比よりも過濃側の空燃比で燃焼を行う通常燃焼モードへの切り替えを行っている。
しかし、このような設定だけでは、実走行において頻繁に燃焼モードの切り替えが行われることとなる。燃焼モードの切り替えは、噴射時期や点火時期、吸入空気量、EGR量等を瞬時に切り替える動作であるため、運転状態によっては燃焼が不安定となりやすく、そのため外乱に弱く失火やエンスト等を引き起こし易い上、トルクショックも生じる。このような燃焼モードの切り替えが頻繁に行われると、燃費や排ガスの悪化、ドライバビリティの悪化等を招くという問題がある。
しかし、実走行条件では一定速度での走行はごく稀であり、希薄燃焼モードでの運転割合が非常に小さくなってしまい、燃費のメリットを十分に享受することができなかった。
つまり、第2の燃焼モードとなったら、第1の燃焼モードに切り替わり難い厳しい条件の第2の切替条件とする。
つまり、燃焼モード切替条件を、シフトチェンジすることで初期状態である第1の切替条件にリセットする。
このように運転者の加速要求度合いに応じて切替条件を可変させることで、運転者の要求に適した燃焼モードが選択・維持されるため、不必要な燃焼モードの切り替えを防止することができる。そして、燃焼モード切替による燃焼不安定や燃費、排ガス悪化、トルクショック等を抑制、またそれらを軽減するための複雑な制御等を減らすことができる。
請求項2の内燃機関の燃焼モード切替制御装置によれば、第2の燃焼モードとなったら第1の燃焼モードに切り替わり難い厳しい条件の第2の切替条件とすることで、第2の燃焼モードを継続しやすくし、燃焼モードの切り替えを適切に行うことができる。
請求項3の内燃機関の燃焼モード切替制御装置によれば、シフトチェンジ時に燃焼モード切替条件を初期の状態である第1の切替条件とするので、燃焼モードの切り替えがシフトチェンジと同時に行われ、運転者が強い加速を望んでない同一シフト内での加速中には燃焼モード切替が起こり難くなり、複雑なモード切替を抑制させることができ、一層燃費を向上させることができる。
図1を参照すると、本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の概略構成図が示されている。
エンジン1(内燃機関)は、筒内噴射型の4サイクル直列4気筒型エンジンであり、図1にはそのうちの1つの気筒についての縦断面が示されている。なお、他の気筒についても同様の構成をしているものとして図示及び説明を省略する。
また、燃焼室2には、エンジン1の略上下方向に延びる吸気ポート8と、エンジン1の略幅方向に延びる排気ポート10とが連通している。当該吸気ポート8と排気ポート10には、燃焼室2と吸気ポート8、排気ポート10との連通と遮断を行う吸気弁12、排気弁14がそれぞれ設けられている。さらに、エンジン1の気筒内には上下摺動可能なピストン16が設けられ、凹部が形成された当該ピストン16の頂面は燃焼室2の下面をなしている。
そして、点火プラグ4、燃料噴射弁6、クランク角センサ22等の各種装置や各種センサ類はECU(電子コントロールユニット)30と電気的に接続されており、当該ECU30は各種センサ類からの各情報に基づき各種装置を作動制御する。
以上のような構成のエンジン1は、空燃比を理論空燃比(ストイキ)よりも希薄側の空燃比とし圧縮行程中に燃料噴射を行い層状燃焼させる希薄燃焼モード(第1の燃焼モード)と、当該希薄燃焼モードよりも過濃(理論空燃比近傍)条件で吸気行程中に燃料噴射を行い均一混合燃焼させる通常燃焼モード(第2の燃焼モード)の2つの燃焼モードを切替可能であり、ECU30によってこれら2つの燃焼モードの切替制御が行われる。
ここで、本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の燃焼モード切替制御についての第1実施例及び第2実施例を説明する。
図2にはエンジン1の負荷及びエンジン回転数に基づき設定された燃焼モードマップが、図3には第1実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチン(燃焼モード切替条件可変手段)のフローチャートが、図4には第1実施例における燃焼モード切替制御ルーチン(燃焼モード切替手段)のフローチャートが、図5には第1実施例における燃焼モード切替制御により10・15モード試験を行った際のタイムチャートがそれぞれ示されており、以下同図に基づき説明する。
そして、図3に示す燃焼モード切替条件設定制御のフローチャートでは、まず、ステップS1において、クランク角センサ22、APS34等からエンジン1のエンジン回転数、負荷を算出し、当該エンジン回転数、負荷が図2に示されている燃焼モードマップの希薄燃焼モード領域内にあるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合、即ちエンジン回転数、負荷が希薄燃焼モードでの運転が可能な領域内にある場合はステップS2に進む。
ステップS4では、燃焼モードの切替条件を第1の切替条件に設定し、当該ルーチンを抜ける。燃焼モードの切替条件は車速の変化率ΔVs(以下、切替ΔVsという)と、エンジン回転数の変化率ΔNe(以下、切替ΔNeという)に基づいて設定され、第1の切替条件では切替ΔVsを所定のΔVs1(第1の所定車速変化率)に、切替ΔNeを所定のΔNe1(第1の所定エンジン回転数変化率)に設定される。なお、当該ΔVs1及びΔNe1は、比較的高い値、即ち希薄燃焼モードを維持する方向の値に設定されている。例えば当該ΔVs1及びΔNe1の値を無限大に設定し希薄燃焼モードを確実に維持するようにしても構わない。
ステップS5では、燃焼モードの切替条件を第2の切替条件に設定し、当該ルーチンを抜ける。当該第2の切替条件は切替ΔVsを所定のΔVs2(第2の所定車速変化率)に、切替ΔNeを所定のΔNe2(第2の所定エンジン回転数変化率)に設定する。なお、当該第2の切替条件ΔVs2、ΔNe2は上記第1の切替条件ΔVs1、ΔNe1よりも低い値、即ち希薄燃焼モードに切り替わり難くなるよう設定されている。例えば当該ΔVs2及びΔNe2の値を0に設定し希薄燃焼モードには切り替わらないようにしても構わない。
ステップS6では、シフトチェンジが行われたか否かを判別する。当該シフトチェンジの判別は、例えばクランク角センサ22から検出されるエンジン回転数が一時的に急低下(例えば100m秒間に200rpm以上低下)したことで判定したり、図示しないクラッチスイッチやトランスミッションECU等から検出することで行われる。
つまり、負荷は希薄燃焼モード領域内にあり、強い加速を望んでいないような場合に通常燃焼モードで運転しているときには、シフトチェンジが行われることで燃焼モード切替条件が第1の切替条件にリセットされる。
ステップS11では、実際の車速変化率ΔVs(以下、実ΔVsという)及び実際の回転数変化率ΔNe(以下、実ΔNeという)が、上記燃焼モード切替条件の設定制御によって設定された切替ΔVs及び切替ΔNe未満であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合、即ち実ΔVsが切替ΔVs未満且つ実ΔNeが切替ΔNe未満である場合は、ステップS12に進む。
一方、上記ステップS10、S11のいずれかが偽(No)である場合、即ち負荷が希薄燃焼モード領域外にある場合や、燃焼モード切替条件を満たしていない場合は、ステップS13に進む。
ステップS13では、燃焼モードを通常燃焼モードに設定し当該ルーチンを抜ける。
そして、図5(b)に示すように実走行、即ち加速・定常・減速走行を曖昧にして走行した場合でも、定速時と、加速初期と急加速時を除いた加速時に希薄燃焼モードで走行され、上記理想的な走行に近い割合で希薄燃焼モードの走行がなされている。従来制御でこの走行を行った場合には,希薄燃焼モードでの走行はほとんどなされかったため,本制御では実走行条件においても大幅な燃費改善を得ることができる。
このように運転者の加速要求度合いに応じて切替条件を可変させることで、運転者の要求に適した燃焼モードが選択・維持されるため、不必要な燃焼モードの切替の回数を低減させることができる。これにより、燃焼モード切替による燃焼不安定や燃費、排ガス悪化、トルクショック等を抑制、またそれらを軽減するための複雑な制御等を減らすことができる。
次に、第2実施例について説明する。
図6には第2実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチンのフローチャートが、図7には第2実施例における燃焼モード切替制御ルーチンのフローチャートがそれぞれ示されており、以下同図に基づき説明する。
つまり、図2の燃焼モードマップより負荷が希薄燃焼モード領域内にあり(ステップS20)、アクセル開度変化率が規定値未満であって(ステップS21)、希薄燃焼モードまたは車両停止中であれば(ステップS22)、第1の切替条件ΔVs1、ΔNe1に設定される(ステップS23)。一方、これらの条件(ステップS20〜S22)の条件を満たさなければ、第2の切替条件ΔVs2、ΔNe2に設定される。
ステップS31では、シフトチェンジが行われたか否かを判別する。判別結果が偽(No)である場合、即ちシフトチェンジが行われていない場合は、ステップS32に進む。
ステップS33では、燃焼モードを希薄燃焼モードに設定し当該ルーチンを抜ける。
そして、上記ステップS30またはステップS32の判別結果が偽(No)である場合、即ち負荷が希薄燃焼モード領域外にある場合、または燃焼モード切替条件を満たしていない場合は、ステップS34に進み燃焼モードを通常燃焼モードにセットして、当該ルーチンを抜ける。
ステップS35では、燃焼モード切替条件の設定を初期状態にリセット、即ち上記燃焼モード切替条件の設定制御で設定された燃焼モード切替条件を解除し、燃焼モードマップのみに基づく燃焼モード切替とする。当該燃焼モード切替条件が解除されたことで、燃焼モードは図2の燃焼モードマップのみによって決定され、当該ステップS35では上記ステップS30における希薄燃焼モード領域の判別が真(Yes)であることから、ステップS33に進み希薄燃焼モードに設定して、当該ルーチンを抜ける。
以上のように、本発明に係る第2実施例では、シフトチェンジ時に燃焼モード切替条件のリセットが行われる。
このようにシフトチェンジ時に燃焼モード切替条件を初期の状態である第1の切替条件にリセットが行われることで、燃焼モードの切り替えがシフトチェンジと同時に行われ、運転者が強い加速を望んでない同一シフト内での加速中には燃焼モード切替が起こり難くなり、複雑な燃焼モード切替を抑制させることができ燃費を向上させることができる。さらに、シフトチェンジ時は動力が遮断されているので、燃焼モード切替によるショックは低減される上、シフトチェンジによるショックと重なるため、運転者に不意なショックを与えず、第1実施例の効果に加えて一層ドライバビリティを向上させることができる。
例えば、上記実施形態では、燃焼モードの切替条件は車速の変化率ΔVsと、エンジン回転数の変化率ΔNeに基づいて行われているが、これに限られるものではなく他の運転状態に基づいて設定されても構わない。
4 点火プラグ
6 燃料噴射弁
22 クランク角センサ(運転状態検出手段)
30 ECU
32 車速センサ(運転状態検出手段)
34 アクセル開度センサ(APS)(加速要求検出手段)
Claims (3)
- 理論空燃比より希薄側の空燃比で燃焼を行う第1の燃焼モードと、該第1の燃焼モードより過濃側の空燃比で燃焼を行う第2の燃焼モードとを切替可能な内燃機関の燃焼モード切替制御装置であって、
運転者の加速要求度合いを検出する加速要求検出手段と、
該加速要求検出手段により検出される加速要求度合いに応じて燃焼モード切替条件を可変設定する燃焼モード切替条件可変手段と、
車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該運転状態検出手段により検出された運転状態が、前記可変設定される燃焼モード切替条件を満たすと前記第1の燃焼モードに切り替える燃焼モード切替手段とを備え、
前記燃焼モード切替条件可変手段は、前記加速要求検出手段により検出された加速要求度合いが規定値未満である場合には、前記燃焼モード切替条件を前記第1の燃焼モードが成立し易い第1の切替条件に設定し、前記加速要求度合いが規定値以上である場合には、前記燃焼モード切替条件を前記第1の切替条件よりも前記第1の燃焼モードが成立し難い第2の切替条件に設定し、
前記第1の切替条件では、前記運転状態検出手段で検出される実車速変化率が第1の所定車速変化率未満、且つ前記運転状態検出手段で検出される実エンジン回転数変化率が第1の所定エンジン回転数変化率未満である場合に前記第1の燃焼モードとし、
前記第2の切替条件では、前記実車速変化率が第1の所定車速変化率より小さい第2の所定車速変化率未満、且つ前記実エンジン回転数変化率が第1の所定エンジン回転数変化率より小さい第2の所定エンジン回転数変化率未満である場合に前記第1の燃焼モードとすることを特徴とする内燃機関の燃焼モード切替制御装置。 - 前記内燃機関の燃焼モードが前記第2の燃焼モードであるとき、前記燃焼モード切替条件可変手段は前記第2の切替条件に設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼モード切替制御装置。
- さらに、前記車両のシフトチェンジを検出するシフトチェンジ検出手段を備え、
前記燃焼モード切替条件可変手段は、前記シフトチェンジ検出手段により前記シフトチェンジが検出されると、前記燃焼モード切替条件を一旦初期状態である第1の切替条件に戻すことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の燃焼モード切替制御装置。
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