JP3000811U - ボルトキャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 波形スレート板を固定するボルトやナット等
建物の外部側露出部分を、ボルトキャップを取り付ける
ことにより錆や腐食の発生を防止することを目的とす
る。 【構成】 上端を封鎖したボルト被覆部の下部にナット
被覆部と座金被覆部が円筒形状で順次連接し、このボル
ト被覆部にシーリング材が充填され、ナット被覆部およ
び座金被覆部に防錆剤が注入されたスポンジが詰めら
れ、スポンジ下面とボルトキャップ底面部にはシーリン
グ材が塗布されたもの。 【効果】 スポンジ下面と蓋底面部にシーリング材を塗
布したことにより、雨水等の浸入が防止でき、また取り
付け方も上部より手で押さえ付けるだけで簡単に嵌ま
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、波形スレート板を固定するボルト等の建物の外部側露出部分が、 雨水等によって腐食するのを防止するために取り付けるキャップに関するもので あり、その利用分野は建築分野である。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ボルト等のキャップに関する出願は種々ある。例えば、実開昭５６−５ ４３１８号公報では、キャップ内の一部に防錆処理を行ったものや、実開昭５９ −７７６１１号公報や実開昭６０−１９６０１７号公報では、キャップ内のボル ト部分を覆う一部にネジ溝を設けた構成の技術があった。

【０００３】 しかし、これら従来の技術は、キャップの施工性について述べると簡単に取り 付けができ、また逆に外れにくくした工夫がされて良いが、ボルト，ナットの防 錆の問題については部分的にしか考慮されず、キャップ下部の隙間から雨水等が 浸入し、ボルト等が腐食してしまうことがあった。

【０００４】

【考案の目的】

この考案は、波形スレート板を固定するボルト等の外部側露出部分における、 従来問題のあった防錆の問題を、キャップ内で処理して、錆や腐食を防ぐことを 目的とする。

【０００５】

【目的を達成するための手段】

以下、この考案の目的を達成すべき手段を図面と伴に説明する。 図１はボルトキャップ２０の一部切欠斜視図である。符号１の蓋の構成として 、上端を封鎖した円筒形状でボルトの雄ネジ部分を覆う：ボルト被覆部１ａと、 これに連続するナット部分を円筒形状で覆う：ナット被覆部１ｂおよびこれに連 続する座金とパッキングを円筒形状で覆う：座金被覆部１ｃからなっている。こ のボルト被覆部１ａの内部にはシーリング材２が充填され、符号４の発泡ゴムあ るいは発泡プラスチック（以下、スポンジと称す。）は、チャンネルボルトある いはフックボルトおよびナットが通る穴を持つドーナツ形状で、ナット被覆部１ ｂおよび座金被覆部１ｃの部分に詰められている。このスポンジ下面および蓋底 面部にはシーリング材９が塗布され、蓋の底面部全体を覆う剥離材５により密封 されている。また、蓋の底面部の形状は、波形スレート板の形状に合わせて波形 にカットされたもの。

【０００６】 図２はボルトキャップ２０の使用状態を示す断面図である。図中符号３はチャ ンネルボルトであり、符号６のナットはスポンジに包まれ、また、符号７の座金 と符号８のパッキングはシーリング材で覆われている形状となる。

【０００７】 図３は、ボルトキャップ２０取り付け部の分解斜視図である。符号１１は、波 形スレート板１０を支持している鉄骨（以下、支持鉄骨と称す。）である。ボル トキャップの使用は、チャンネルボルトを支持鉄骨に引っ掛けたのち波形スレー ト板の山頂の穴に通し、上部からパッキング，座金を通し、ナットで締め付けて 固定した後、ボルトキャップを覆い被せる。

【０００８】 蓋の材料は、塩化ビニル樹脂塩ビ−酢ビ共重合，ＡＢＳ樹脂，ポリエチレン， ポリプロピレン，ポリアミド樹脂，ふっ素樹脂，ポリアセタール，ポリカーボネ ート，エチレン−酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製品でなり、これらは、 ボルトキャップの形状を考えて、成形がしやすく、生産能率が良い射出成形法で つくられる熱可塑性樹脂の材料を利用する。

【０００９】 ボルトキャップ内のナット被覆部および座金被覆部に詰めるドーナツ形状のス ポンジの材料は、天然ゴム，ポリエチレン，ポリウレタン，軟質ポリウレタン等 を発泡させたものや、発泡ラバー，発泡塩化ビニル樹脂等からなり、比重が小さ く、弾力性に優れているものを使用する。このスポンジの中に、防錆剤やグリー スを含浸させるとより高い防錆効果を得る。

【００１０】 また、ボルトキャップ内のボルト被覆部およびスポンジ下面と蓋底面部に充填 あるいは塗布するシーリング材は、シリコーン系，変成シリコーン系，ポリサル ファイド系，ポリウレタン系の湿気硬化形のものが使用できる。これは乾燥硬化 形であるアクリル系，ＳＢＲ系，ブチルゴム系は使用前後で通常２０〜３０％の 体積収縮があるため、乾燥硬化形のものを使用するとシーリング材と波形スレー ト板との接着部分に隙間ができ、そこから雨水等が浸入する恐れがあるという理 由による。尚、ボルト被覆部に充填するシーリング材２は、ボルトキャップ使用 時にスポンジがチャンネルボルト等によりボルト被覆部まで押し上げられて、屋 根材である波形スレート板への密着不良を防ぐものであり、スポンジ下面と蓋底 面部に塗布するシーリング材９は、蓋底面部の隙間から雨水等の浸入を防止する ためのものである。

【００１１】 更に、シーリング材９が湿気や乾燥で硬化してしまうことを防止するために、 セロファン，クラフト紙，上質紙，ポリエチレン，ポリプロピレン，塩化ビニル ，ポリエステル等をラミネート加工したものを剥離材として蓋の底面部全体を覆 い密封させておく。

【００１２】 スポンジとシーリング材９を使用することは、例えばボルトキャップ内にシー リング材を一杯に詰めてボルトやナット等を覆い被せた後、食み出したシーリン グ材を取り除く方法よりも、防錆剤等を含浸させたスポンジを詰め、スポンジ下 面と蓋底面部にシーリング材を塗布した方が、防錆効果は長期化し、外観の見栄 えも良い。

【００１３】

【実施例】

波形スレート板の塗り替え（改修）時に、防錆剤含有の下地調整材である菊水 化学工業（株）製，ネオモルＧ（商品名）をボルト等の外部側露出部を含めた屋 根一面にキクスイリシンガン（商品名）で吹き付け後、その表面にプライマーと 仕上げのカラー塗装を施工する。

【００１４】 ボルトキャップは、蓋の材料がポリエチレンからなり、外形寸法としては、ボ ルト被覆部分は高さが３ｃｍ，円筒の外径は０．８ｃｍ、ナット被覆部分は高さ が０．５ｃｍ，円筒の外径は１．５ｃｍ、座金被覆部分は、波形スレート板の山 頂部分と同一形状の波形にカットするので高さは１〜２ｃｍ，円筒の外径は３． ５ｃｍの大きさ、肉厚が約２ｍｍでできている。また、蓋の中に装填させる材料 は、スポンジはポリウレタンを発泡させたもの、シーリング材は変成シリコーン 、剥離材はクラフト紙をラミネート加工したものをそれぞれ使用した。これらの 材料は、まずボルト被覆部にシーリング材を充填、ナット被覆部と座金被覆部に は防錆剤を含浸させたスポンジを詰め、スポンジ下面と蓋底面部にシーリング材 を塗布後、蓋底面部全体を剥離材で覆い密封させておく。このボルトキャップを 外部露出部であるボルト等に覆い被せる直前に剥離材を剥がし取り付けた。 ３カ月放置した結果、波形スレート板とシーリング材の密着性は良く、スポン ジに防錆剤が残存していて錆の発生もなかった。

【００１５】

【考案の効果】

この考案は、ボルトキャップ内に防錆剤を含浸させたスポンジを詰め、雨水等 の浸入を防ぐためにスポンジ下面と蓋底面部にシーリング材を塗布したことで、 長期間にわたり防錆・防食性能が持続する。また、ボルトキャップを取り付ける 時には、手や金槌で簡単に嵌まる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ボルトキャップの一部切欠斜視図。

【図２】ボルトキャップの使用状態を示す断面図。

【図３】ボルトキャップ取り付け部の分解斜視図。

【符号の説明】

１ 蓋 １ａ ボルト被覆部 １ｂ ナット被覆部 １ｃ 座金被覆部 ２ シーリング材 ３ チャンネルボルト ４ スポンジ ５ 剥離材 ６ ナット ７ 座金 ８ パッキング ９ シーリング材 10 波形スレート板 11 支持鉄骨 20 ボルトキャップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 波形スレート板を固定するチャンネルボ
   ルトあるいはフックボルトおよびナット等の建物の外部
   側露出部分を覆う部材にあって、ボルトの雄ネジ部分を
   覆う上端を封鎖した円筒形状のボルト被覆部、これに連
   続するナット部分を覆う円筒形状のナット被覆部および
   これに連続する座金とパッキングを覆う座金被覆部（以
   上、被覆部全体を蓋と言う。）をプラスチックにより構
   成し、雄ネジが嵌入される部分にはシーリング材が充填
   され、ナット被覆部および座金被覆部の部分にはドーナ
   ツ形状の発泡ゴムあるいは発泡プラスチックにグリース
   等の防水成分を含浸させたものが詰められ、スポンジ下
   面と蓋底面部には、シーリング材の塗布層と剥離材が順
   に装填されてなることを構成とするボルトキャップ。