JP3000694U - 油圧緩衝器用オイルシール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧緩衝器のフルバンプ時に油圧緩衝器の底
突きによる破壊を防止するオイルシール装置を得るこ
と。 【構成】 油圧緩衝器のピストンロッドが摺動自在とさ
れるロッドガイドの上部側に、前記のピストンロッドに
摺接するオイルシールを配設し、該オイルシールの円板
状の補強環を略中央部より上方に外周方向に水平部を有
する階段状部を形成し、該階段の高さをオイルシールの
ダストリップの上端部と面一又はそれより高く設定し、
前記の水平部外周縁に油圧シリンダの外筒シリンダの上
端部をかしめてオイルシールを保持し、その上部にバン
プキャップを配設するので、バンプキャップとダストリ
ップとの間に空間を形成して、フルバンプ時でも前記の
空間が保持される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、油圧緩衝器のオイルシール装置に関し、更に詳細には、油圧緩衝器 の極端な沈み込み時においても、簡単な構成でダストリップを保護するようにし た油圧緩衝器のオイルシール装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の油圧緩衝器用オイルシールは、例えば実開平４−７１８３５号公報の第 １図に示されるように、オイルシール５０のダストリップ５１の位置は、オイル シール５０の円板状補強環５２が油圧緩衝器の外筒シリンダ５３によってかしめ られたとき、前記の補強環５２の上面の高さ位置よりも上部に高くなっている。 そして、このような状態にあるとき、通俗では、ダストリップがオーバーリップ となっていると称されている。

【０００３】 そして、このような所謂オーバーリップとなっていると、オイルシール５０を 油圧緩衝器に組み込んだとき、ダストリップ５１がバンプキャップ５６，５７と 衝接してしまうので、実際の組立てにおいては、図５に示すように、円板状補強 環５２の外周側にスペーサ５４を圧入し、該スペーサ５４の上面の高さを前記し たダストリップ５１よりも上部側に高く位置させ、前記のスペーサ５４の外周よ り油圧緩衝器の外筒シリンダ５３をかしめて固定し、オイルシール５０を保持し 、更に、その外周上部にバンプキャップ５６が上面に固設されたバンプキャップ 支持環５７を嵌合しバンプキャップ５６とダストリップ５１との間の空間ａを確 保している。上記のように構成される従来装置は、バンプキャップの構造は簡単 ではあるが、オイルシールにスペーサ５４を圧入しているため、部品点数が増加 し、更に圧入工程が増え生産性やコスト等に問題がある。

【０００４】 また、実開昭６１−１４８９３３号公報に示されるショックアブソーバのオイ ルシールにおいて、図６に示すように、オイルシール６０は、ロッド６１の周面 に密接するゴム状弾性材質の主リップ６２と、ロッドガイド６３の外端面に接離 するチェックリップ６４を備え、これらのリップを固着した支持環６５を前記の ロッドガイド６３の外端面に突設した支持用円筒部６６とガスチューブ６７の屈 曲部６８間にかしめ固定されている。そして、このようなオイルシール６０にお いてもガスチューブ６７の屈曲端部６８でかしめられ固定される支持環６５の上 面よりダストリップは上部側の上方位置にあり、前述した所謂ダストリップがオ ーバーリップになっている。

【０００５】 そして、このようにダストリップがオーバーリップとなっている場合、実際の 組付けに当っては、ダストリップとバンプキャップとの衝接を避けるため、図６ に示すように、前記のガスチューブ６７にかしめられる階段状のバンプキャップ ７０と一体とされたバンプキャップ支持環６９を用いて、バンプキャップ７０が ダストリップに衝接しないようにしている。しかしながら、上記の構成ではバン プキャップ７０及びこれを支持するバンプキャップ支持環の構造が複雑とならざ るを得ないという問題があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記した問題点を解決し、簡単な構造で油圧緩衝器のフルバンプ時 に油圧緩衝器の底突きによる破壊を防止する油圧緩衝器のオイルシールの提供を 目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る油圧緩衝装置のオイルシール装置は、前記の目的を達成するため に、油圧緩衝器のピストンロッドが摺動自在とされるロッドガイドの上部側に、 前記のピストンロッドに摺接するオイルシールを配設し、該オイルシールの補強 環の外周縁部の油圧緩衝器の外筒シリンダの上端部にてかしめられる部位が、オ イルシールのダストリップの上端部と面一又はそれより上部に位置する如く構成 したことを特徴とし、前記したオイルシールの補強環の外周縁部の外筒シリンダ の上端部にてかしめられる部位が、オイルシールのダストリップの上端部より面 一又は上部に位置する手段として、補強環の略中央部より絞り加工等によって形 成した外周方向に水平部を有する階段状の前記の水平部をオイルシールのダスト リップの上端部と面一又はそれより高く位置させること、または、円板状の補強 環の外周縁側にオイルシールのダストリップの上端部よりその上面と同一もしく はそれより高く位置させた厚み部を形成すること、あるいは、円板状の補強環の 折曲された外周縁上端部が、オイルシールのダストリップ上端部と面一又はそれ よりも上方に位置するようにし、該折曲部の内側に、バンプキャップを圧入可能 としたことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

本考案にかゝる油圧緩衝器のオイルシール装置は、油圧緩衝器のピストンロッ ドが摺動自在とされるロッドガイドの上部側に、前記のピストンロッドに摺接す るオイルシールを配設し、該オイルシールの補強環の外周縁部の油圧緩衝器の外 筒シリンダの上端部でかしめられる補強環の上面の位置を、オイルシールのダス トリップと面一又はそれより上部となるように構成したので、前記の外筒シリン ダの上部にバンプキャップを圧入したとき、バンプキャップとダストリップとの 間には常に空間ができるので、油圧緩衝器のフルバンプ時であっても、バンプキ ャップがダストリップと衝接することがなく、ダストリップの保護が図れるもの である。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例を図に基づいて説明する。図１は本考案の第１実施例、図２は 第２実施例、図３は第３実施例、図４は第４実施例を示す。そして、これらの実 施例においては同一又は均等の部材には同一の符号を用いて説明することとする 。

【００１０】 図１において、１は油圧緩衝器の外筒シリンダで、該外筒シリンダ１の開口端 側にロッドガイド２が取り付けられ、このロッドガイド２の上部側にオイルシー ル４が配設されている。前記したオイルシール４は、後記する補強環５を中心と して、その内周部にシールリップ６及びその外側にダストリップ７が一体的に設 けられており、前記のシールリップ６は油圧緩衝器のピストンロッド３に摺動自 在で、かつ気密に当接し、また、前記のダストリップ７は、外部よりのダスト等 の侵入を防止している。８は、前記した補強環５の下側面の周縁部に設けられた 油圧緩衝器の外筒シリンダ１に気密に当接する外周シールであり、該外周シール ８はロッドガイド２のシール用溝９に挿入されている。

【００１１】 前記した円板状補強環５は、その中央部より絞り加工等により上方に屈曲せし めて外周部に水平部５ａを有する階段状に形成され、該階段状とされた補強環５ の上部側の水平部５ａの表面位置を、前記したオイルシール４のダストリップ７ の上端部位置と面一又はそれよりも上部となるように、前記の階段の高さを設定 してある。

【００１２】 １０は前記した補強環５の下側面に斜め外周下方に突設されたチェックリップ であり、該チェックリップ１０は、前記したロッドガイド２の上部１１に当接し 、該チェックリップ１０によってガイドブシュ１２とピストンロッド３間を通過 してロッドガイド２の環状凹部１３に流入した緩衝油を、前記のチェックリップ １０、連通路１４を介して外筒シリンダ１と円筒シリンダ１５で形成されるリザ ーバ室１６へ還流させ、前記のリザーバ室１６の気体が環状凹部１３内に逆流し ないようにしているものである。

【００１３】 前記した油圧緩衝器の外筒シリンダ１の上端部を内周側に屈曲して形成した絞 り部１ａによってオイルシール４の補強環５の階段状の水平部５ａ周縁を保持し 、オイルシール４を外筒シリンダ１にて保持するようにしている。更に、前記の 外筒シリンダ１の上部外周部よりバンプキャップ１８と一体とされる逆Ｌ字状の バンプキャップ支持環１９を嵌合してバンプキャップ１８をオイルシール４の上 部側に固設してある。

【００１４】 本考案の第１実施例は上記のように構成されているので、オイルシール４は、 円板状の略中央部より絞り加工等により上方に屈曲せしめて外周方向に水平部５ ａを有する階段状とした補強環５ａを中心として、その内周側に設けたシールリ ップ６及びダストリップ７、前記の補強環５の下側面の周縁部に設けた外周シー ル８と、補強環５の下側面に斜め外周方向に下方に突設したチェックリップ１０ とからなるものであり、前記した補強環５は、外周方向に水平部５ａを有する階 段状に形成されるとともに、前記の階段の高さを、前記の水平部５ａの上面の位 置が、オイルシールのダストリップ７の上端部の位置と面一又はそれよりも上方 に位置するように設定してある。

【００１５】 したがって、前記の水平部５ａの外周縁に油圧緩衝器の外筒シリンダ１の上端 部を絞り込み、オイルシール４を前記の外筒シリンダ１にて保持するようにし、 更に、バンプキャップ１８を前記の外筒シリンダ１の上部に配設・固定したとき 、バンプキャップ１８の下面とオイルシールのダストリップ７の上端部との間に は間隙を有していることとなるので、油圧緩衝器のフルバンプ時においても、バ ンプキャップ１８とダストリップ７は衝接することがない。また、前記したよう に、ダストリップ７のオーバリップを防止しているので、バンプキャップ１８の 構成を簡単にすることができるものである。。

【００１６】 図２は、本考案の第２実施例を示し、この第２実施例のオイルシール４は、該 オイルシール４のゴム部が補強環５の上部側にまわされた例であり、外周シール ８は補強環５の上部側より外周端部をまわされたゴムにより連続して形成される こと、及び前記の外周シール８に連続して設けられるチェックリップ２０は、前 記の補強環５の下側面に内周方向に斜め下方に突設されていること以外は第１実 施例と同様である。

【００１７】 前記したように、チェックリップ２０がオイルシール４の補強環５の下側面に 内周方向に斜め下方に突設されているので、該チェックリップ２０はロッドガイ ド２の第２環状凹部２１に形成される外周側の傾斜壁２２に当接され、該チェッ クリップ２０によりガイドブシュ１２とピストンロッド３間を通過して、ロッド ガイド２の環状凹部１３に流入した潤滑油をロッドガイド２の上部に設けた連通 路２３を介して前記の第２環状凹部２１に流入させ、更に、第２環状凹部２１よ り連通路２４を介して外筒シリンダ１と内筒シリンダ１５で形成されるリザーバ 室１６へ還流させ、前記のリザーバ室１６の気体が環状凹部１３内に逆流するこ とを防止している。

【００１８】 そして、前記のチェックリップ２０は内周方向の下方向きの傾斜状の突片であ り、該チェックリップ２０は、ロッドガイド２の第２環状凹部２１の外周方向の 傾斜壁２２に当接されるので、前記のチェックリップ２０は巾広い接触面積で当 接されるので、比較的低圧であっても容易に開放方向に作動するので、チェック バルブとしての機能を充分に発揮できるものである。

【００１９】 図３は、本考案の第３実施例であり、この第３実施例の補強環２５は、外周部 の上方側に厚み部２５ａを形成し、かつ該厚み部２５ａの上面の位置を、オイル シール４のダストリップ７の上端部の位置よりも高く位置するように厚み部２５ ａを設定しており、この補強環２５の構成の他は、第１実施例と同様である。

【００２０】 そして、前記した外周部に厚み部２５ａを設けた補強環２５は、鍛造あるいは 鋳造もしくは樹脂成形により製作されてもよく、その材料として焼結金属、フェ ノール等の樹脂等が適用でき、また、所要の厚みのある方形状の環状体と円板状 の環状体とを別体で製作し、両者を接着あるいは溶着等により固設して一体とし てもよい。

【００２１】 図４は、本考案の第４実施例で、この第４実施例の補強環３５は、円板状の補 強環３５の外周部を直角に上方に折曲し、該折曲部３５ａの上端の位置がオイル シール４のダストリップ７の上端部と面一又はそれより高く位置せしめるように 、前記の折曲部３５ａを設定してある。そして、前記の折曲部３５ａの内周側に 、水平部にバンプキャップ１８が固設された逆Ｌ字状のバンプキャップ支持環１ ９を嵌入してある。また、前記のバンプキャップ支持環１９の水平部は、補強環 ３５の折曲部３５ａの上端部よりも上方に位置するようにしてある。その他の構 成は第１実施例と同様である。

【００２２】 本考案の第３，第４実施例は上記のように構成されるもので、これらの実施例 においては、オイルシール４の補強環２５，３５の外周縁部の油圧緩衝器の外筒 シリンダ１の上端部を内周側に屈曲してかしめられる部位を、オイルシール４の ダストリップ７の上端部と面一又はそれより高く位置するように、階段部あるい は折曲部を設定してあるので、前記補強環２５，３５の外周あるいは内周側に圧 入固設されるバンプキャップ１８の下面と、ダストリップ７の上端部との間には 空間部が形成されるので、油圧緩衝器が極端に沈み込んでも、油圧緩衝器の底突 きによる破壊を防止するバンプキャップ１８とダストリップ７とが衝接する恐れ は全くなく、しかも、従来は、オーバーリップのため複雑な構成を余儀なくされ ていたバンプキャップ１８の構成を簡単にすることができる。

【００２３】

【考案の効果】

本考案に係る油圧緩衝器のオイルシール装置は、油圧緩衝器のピストンロッド が摺動自在とされるロッドガイドの上部側に、前記のピストンロッドに摺接する オイルシールを配設し、該オイルシールの補強環の外周縁部の油圧緩衝器の外筒 シリンダの上端部にてかしめられる部位が、オイルシールのダストリップの上端 部と面一又はそれより上部に位置するように設定したので、油圧緩衝器のフルバ ンプ時に油圧緩衝器の底突きによる破壊を防止するバンプキャップとダストリッ プとの空間を確保でき、しかも、前記したように、オイルシールの構成として、 補強環の外筒シリンダにかしめられる部位を、ダストシールの上端部と面一又は それより高く位置させてあるので、この上部に配設されるバンプキャップの構造 を簡単化でき、廉価に製造できるという実用的効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の要部を示す側断面図

【図２】本考案の第２実施例の要部を示す側断面図

【図３】本考案の第３実施例の要部を示す側断面図

【図４】本考案の第４実施例の要部を示す側断面図

【図５】従来装置の要部を示す側断面図

【図６】他の従来装置の要部を示す側断面図

【符号の説明】

１ 外筒シリンダ ２ ロッドガイド ３ ピストンロッド ４ オイルシール ５ 補強環 ６ シールリップ ７ ダストリップ １８ バンプキャップ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 油圧緩衝器のピストンロッドが摺動自在
   とされるロッドガイドの上部側に、前記のピストンロッ
   ドに摺接するオイルシールを配設し、該オイルシールの
   補強環の外周縁部の油圧緩衝器の外筒シリンダの上端部
   にてかしめられる部位が、オイルシールのダストリップ
   の上端部と面一又はそれより上部に位置する如く構成し
   たことを特徴とする油圧緩衝器用オイルシール装置。
2. 【請求項２】 オイルシールの補強環外周縁部の油圧緩
   衝器の外筒シリンダの上端部にてかしめられる部位を、
   オイルシールのダストリップの上端部と面一又はそれよ
   り上部に位置せしめる手段として、前記の補強環を略中
   央部より絞り加工等により上方に屈曲せしめて外周方向
   に水平部を有する階段状に形成したことを特徴とする請
   求項１記載の油圧緩衝器のオイルシール装置。
3. 【請求項３】 オイルシールの補強環外周縁部の油圧緩
   衝器の外筒シリンダの上端部にてかしめられる部位を、
   オイルシールのダストリップの上端部と面一又はそれよ
   り上部に位置せしめる手段として、前記の補強環の外周
   部上面側に、前記のダストリップの上端部より高い上面
   とした肉厚部を形成したことを特徴とする請求項１記載
   の油圧緩衝器のオイルシール装置。
4. 【請求項４】 オイルシールの補強環外周縁部の油圧緩
   衝器の外筒シリンダの上端部にてかしめられる部位を、
   オイルシールのダストリップの上端部と面一又はそれよ
   り上部に位置せしめる手段として、前記の補強環の外周
   部を、バンプキャップの圧入を可能ならしめるように、
   上方に直角に折曲し、該折曲部上端を、ダストリップの
   上端部より高く位置せしめるように設定したことを特徴
   とする請求項１記載の油圧緩衝器のオイルシール装置。