JP2999581B2 - スピンドルモータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスクの如き記
録部材を回転駆動するためのスピンドルモータに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、磁気ディスク等を回転駆動する
ためのスピンドルモータは、シャフトと、シャフトに対
して相対的に回転自在であるロータハブと、ロータハブ
をシャフトに対し回転自在に支持する一対の軸受部材
と、ロータハブにヨーク部材を介して装着されたロータ
マグネットと、ロータマグネットに対向して配設された
ステータと、を具備している。片方の軸受部材はヨーク
部材（又は直接に）を介してロータハブの一端部を回転
自在に支持し、他方の軸受部材はブッシュ部材及びヨー
ク部材を介してロータハブの他端部を回転自在に支持し
ている。また、記録部材は、ロータハブに装着され、ロ
ータマグネットとステータの磁気的作用によりロータハ
ブと一体に記録部材が所定方向に回転駆動される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種のスピンドルモ
ータでは、ロータハブがアルミニウム又はアルミ合金か
ら形成され、またヨーク部材が鉄等の磁性材料から形成
されている。そして、ロータハブとヨーク部材とを軸線
方向の比較的長い領域にて焼ばめ等の手段により固着し
た場合には、ロータハブとヨーク部材との熱膨張率の差
（アルミニウム又はアルミ合金の方が鉄よりも熱膨張係
数が大きい）に起因して両者間に熱応力が発生し、両部
材の熱による伸縮が制限される。このとき、ブッシュ部
材をヨーク部材と同一の鉄等の磁性部材から形成してそ
の実質上全長に渡ってヨーク部材に圧入していると、上
記ヨーク部材とブッシュ部材との間にも熱応力が発生
し、かかる熱応力に起因してこれらブッシュ部材とヨー
ク部材との間に嵌合すきまが生じ、このすきまが原因と
なってロータハブの回転中心が偏心するおそれがあっ
た。

【０００４】本発明は上記事実に鑑みてなされたもので
あり、その課題は、ヨーク部材とハブ部材との嵌合を改
善し、温度変化に伴う回転中心の偏心を抑えることがで
きるスピンドルモータを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するため手段】本発明のスピンドルモータ
は、ヨーク部材と軸受部材との間に介在されるブッシュ
部材が、その軸線方向中間部のみにて該ヨーク部材に圧
入固着されて、該ブッシュ部材と該ヨーク部材とは、ブ
ッシュ部材の軸線方向の両端部にて間隙が形成され、各
間隙は該中間部との反対側が全て開口している。

【０００６】

【作用】かかるスピンドルモータは、ブッシュ部材はそ
の軸線方向中間部のみにてヨーク部材に圧入され、従っ
てその両端部においては、ヨーク部材との間に若干の間
隙が存在する。なお、両端部の間隙は何ら固着すること
なく全て開口している。それ故に、周囲温度が変化して
ヨーク部材とブッシュ部材の間に熱膨張による歪が生じ
ても、かかる歪の大部分は上記間隙により吸収され、ロ
ータハブの回転中心の偏心が効果的に防止される。

【０００７】また、周囲温度が変化してロータハブとヨ
ーク部材の熱膨張差に起因してヨーク部材が若干変形し
ても、ブッシュ部材の軸線方向の中間部のみ固着され両
端部に間隙が存在する故に、ブッシュ部材に与える影響
が極めて少なくなり、このことによっても上記回転中心
の偏心が効果的に防止される。

【０００８】

【実施例】以下、図１を参照して、本発明に従うスピン
ドルモータの一実施例について説明する。

【０００９】図１は、本発明の一実施例としてのハード
ディスク駆動用ブラシレスモータの模式的半断面図であ
る。

【００１０】１０はシャフト、１２はシャフト１０に外
嵌固定された珪素鋼板製のステータコア、１４は、その
ステータコア１２に捲回されたステータコイルである。

【００１１】１６は、アルミニウム製の略円筒状のロー
タハブ（周壁部）である。ロータハブ１６は、外周部に
ハードディスクが固定される大外径部１６ａと、図１に
おけるその大外径部１６ａの上端部を構成する肩部１６
ｂと、その肩部１６ｂの内上方に位置する小外径部１６
ｃと、大外径部１６ａの下端部において外方に張出した
外方張出し部１６ｄからなる。大外径部１６ａの内径
は、肩部１６ｂにおいて小外径部１６ｃの内径との中間
径に縮径されている。

【００１２】ロータハブ１６の内周面には、環状のヨー
ク部材２２が配設されている。ヨーク部材２２は円筒状
の大径部２２ａと、大径部２２ａの一端に設けられた上
部縮径部２２ｂを有し、上部縮径部２２ｂが若干の間隙
を置いてロータハブ１６の肩部１６ｂの内側に位置して
いる。このヨーク部材２２の中間部内周面には、環状の
ロータマグネット２９が取付けられている。このロータ
マグネット２９は上記ステータ（ステータコア１２とス
テータコイル１４からなる）に対向して配設される。

【００１３】ロータハブ１６は、一対の軸受部材３２及
び３４を介して回転自在に支持されている。実施例にお
いては、ロータハブ１６の上端部に片方の軸受部材３４
が配置され、かかる軸受部材３４の内輪はシャフト１０
に固定され、その外輪はヨーク部材２２の上部縮径部２
２ｂを支持している。また、他方の軸受部材３２はロー
タハブ１６の下端部に配置され、その内輪がシャフト１
０に固定され、その外輪は後述するブッシュ部材３０を
介してヨーク部材２２の大径部２２ａの自由端部を支持
している。

【００１４】ロータハブ１６の外方張出し部１６ｄの下
面には、周波数発電機用マグネット２４がヨーク２６を
介して固定されている。また、ロータハブ１６の肩部１
６ｂには、ハードディスク固定用のクランプ（図示せ
ず）を固着するためのねじ穴２８が設けられている。更
に、一対の軸受部材３２及び３４の外側には、夫々、磁
性流体シール手段３６及び３８が配設されている。片方
の磁性流体シール手段３６は軸受部材３４の外側に配設
され、ロータハブ１６の小外径部１６ｃの内周面に装着
されている。また、他方の磁性流体シール手段３８は軸
受部材３２の外側に配設され、環状ブッシュ部材３０の
下面（外面）に装着されたホルダ４０の内周面に取付け
られている。更にまた、ロータハブ１６の小外径部１６
ｃ（磁性流体シール手段３６の外側部位）には、磁性流
体シール手段３６を保護するためのキャップ部材４２が
設けられている。

【００１５】次いで、ロータハブ１６、ヨーク部材２２
及びブッシュ部材３０の結合様式について説明する。

【００１６】ロータハブ１６はアルミニウムから形成さ
れており、またヨーク部材２２は鉄等の鉄系材料から形
成されている。両者の結合は、図１に示す通り、ロータ
ハブ１６の大外径部１６ａとヨーク部材２２の大径部２
２ａが軸線方向（図１において上下方向）実質上全長に
渡って焼ばめにより固着されている。

【００１７】ブッシュ部材３０はヨーク部材２２と同一
の鉄系材料から形成され、その軸線方向の長さは軸受部
材３２の外輪の軸線方向の長さと実質上同一である。こ
のブッシュ部材３０の内周面は、その実質上全長に渡っ
て軸受部材３２の外輪に圧入により固着されている。

【００１８】ブッシュ部材３０の外周面とヨーク部材２
２の内周面は、次の通り固定されている。即ち、ヨーク
部材２２の大径部２２ａの自由端部（図１にいおいて下
端部）には、他の部分よりも内径が幾分大きい大内径部
２２ｃが設けられている。また、ブッシュ部材３０の外
周面における、軸線方向（図１において上下方向）略中
央部には段部が設けられており、かかる段部より図１に
て上側の上部３０ｂの外径は、上記段部より図１にて下
側の下部０ｃの外径よりも幾分小さく設定されている。
かく構成することにより、ブッシュ部材３０とヨーク部
材２２を所要の通り結合すると、図１に示す通り、ブッ
シュ部材３０の軸線方向中間部とヨーク部材２２の内周
面とが接触して固着され、両者の固着領域は、軸線方向
にて比較的短い距離となり（この固着領域の長さは２乃
至５ｍｍ程度でよい）、ブッシュ部材３０の両端部に
て、両者間に若干の間隙が生じる。両端部の間隙は何ら
固着することなく全て開口している。

【００１９】ブッシュ部材３０の両端部にかく間隙を設
けることにより、次の通りの利点が生じる。即ち、周囲
温度が変化してヨーク部材２２とブッシュ部材３０との
間に熱膨張差が生じても、かかる熱膨張差の大部分は上
記間隙により吸収され、ロータハブ１６の回転中心の偏
心が効果的に防止される。また、周囲温度が変化してヨ
ーク部材２２が若干変形しても（例えばロータハブ１６
との熱膨張差に起因する）、両端部が何ら固着すること
なく全て開口した間隙が存在する故に、ヨーク部材２２
がブッシュ部材３０の両端部にてこれに作用することな
く、ヨーク部材２２の歪に起因する悪影響も防止され
る。

【００２０】ヨーク部材２２とブッシュ部材３０を一層
確実に固着するためには、両者間に存在する間隙に接着
剤の層を介在させるのが好ましい。かく接着剤層を介在
せしめたときには、この接着剤の弾性変形により両者の
熱膨張差が吸収される。

【００２１】実施例においては、接着剤はブッシュ部材
３０の外周面及びヨーク部材２２の大径部２２ａの自由
端部内周面に塗布され、かく塗布した状態にてブッシュ
部材３０がヨーク部材２２に圧入される。かく圧入する
と、図１から容易に理解される如く、ブッシュ部材３０
の挿入方向先端部の外径が幾分小さくなっていると共
に、ヨーク部材２２の大内径部２２ｃの内径が幾分大き
くなっている故に、挿入時接着剤がそれらの周表面から
実質上除去されることはなく、ヨーク部材２２とブッシ
ュ部材３０の間隙に充分な接着剤が保持され、両者の固
着が確実となる。

【００２２】以上、本発明に従うスピンドルモータの一
実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限
定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することな
く種々の変形乃至修正が可能である。

【００２３】例えば、図示の実施例では、軸受部材３４
はヨーク部材２２を介してロータハブ１６を支持してい
るが、このロータハブ１６を直接支持するように構成す
ることもできる。

【００２４】また、例えば、図示の実施例では、一対の
軸受部材３２及び３４の一方のみがブッシュ部材３０を
介してロータハブ１６を支持しているが、それらの他方
もブッシュ部材を介してロータハブ１６を支持するよう
に構成することもできる。かかる場合には、このブッシ
ュ部材に関連して本発明を適用することもできる。

【００２５】更に、例えば、図示の実施例では、ブッシ
ュ部材３０の外周面及びヨーク部材２２の内周面に夫々
段部を設けてブッシュ部材３０の中間部がヨーク部材に
圧入されるが、これに限定されることなく、ブッシュ部
材３０の外周面又はヨーク部材の内周面２２にそれぞれ
環状突起を設け、かかる環状突起のみにより圧入固着し
て両部材の嵌合面の軸線方向の両端部が何ら固着するこ
となく全て開口するようにしてもよい。

【００２６】

【発明の効果】本発明のスピンドルモータでは、ブッシ
ュ部材の軸線方向の中間部のみがヨーク部材に圧入固着
され、ブッシュ部材の両端部にて両者間に間隙が存在す
る。従って、周囲温度が変化してヨーク部材とブッシュ
部材間に熱膨張差が生じてもかかる熱膨張差が上記間隙
により吸収され、またヨーク部材が幾分変形しても変形
による悪影響がブッシュ部材に及ぶことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従うスピンドルモータの一実施例を示
す模式的半断面図。

【符号の説明】

１０ シャフト １６ ロータハブ ２２ ヨーク部材 ２９ ロータマグネット ３０ ブッシュ部材 ３２，３４ 軸受部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02K 21/22 H02K 5/173 H02K 29/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シャフトと、該シャフトに対して相対的
   に回転自在である略円筒状のロータハブと、該ロータハ
   ブを該シャフトに対し回転自在に支持する一対の軸受部
   材と、該ロータハブに環状のヨーク部材を介して装着さ
   れたロータマグネットと、該ロータマグネットに対向し
   て配設されたステータと、を具備し、該一対の軸受部材
   の少なくとも片方が環状のブッシュ部材を介して該ヨー
   ク部材を支持するスピンドルモータにおいて、 該ブッシュ部材は、その軸線方向中間部のみにて該ヨー
   ク部材に圧入固着されて、該ブッシュ部材と該ヨーク部
   材とは、ブッシュ部材の軸線方向の両端部にて間隙が形
   成され、各間隙は該中間部との反対側が全て開口してい
   ることを特徴とするスピンドルモータ。