JP2997018B2 - 燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン - Google Patents

燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、癌転移抑制剤として有用な燐脂質又は脂質
結合グリコサミノグリカン又はその塩に関する。
[従来の技術] 癌転移は、血管内やリンパ管内に流出した癌細胞が、
血管内皮細胞やその下の基底膜と呼ばれる血管内皮細胞
の細胞外マトリックスと接着し、接着した癌細胞が細胞
外マトリックス内に浸潤、透過して新しい組織内に転移
巣をつくることが知られている。例えば、S.Korachらは
(Cancer Research 46,3624〜3629,(1986))癌細胞の
クローニングで高転移性細胞と低転移性細胞の群に分
け、培養内皮細胞に対するin vitroでの接触試験で、高
転移性の癌細胞は高い接着率を示し、低転移性のものは
低い接着率を示すことから、血管内皮細胞やその細胞外
マトリックスに対する接着性が癌の転移と深くかかわっ
ていることを報告している。
また、細胞外マトリックス成分であるフィブロネクチ
ンの細胞接着部位にあるペプチド・GRGDSは、拮抗的に
細胞の細胞外マトリックスとの結合を阻害する。山田ら
は(Science 233,467〜470,(1986))このペプチド・G
RGDSがB16F10細胞のマウスにおける肺転移を抑制するこ
とを示している。このことから、非常に微量で細胞接着
阻害活性を持つ物質は癌転移抑制剤として利用し得るこ
とを示唆している。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
が、上記の癌細胞の血管内皮細胞や細胞外マトリックス
への接着を阻害することにより、癌の転移を抑制する知
見を得て本発明をなした。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下記燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリ
カン又はその塩である。
グリコサミノグリカンは表1に示すように、D−グリ
コサミン又はD−ガラクトサミンと、D−グルクロン
酸、L−イズロン酸及び/又はD−ガラクトースの2糖
又は4糖の繰り返し単位より構成されている長い鎖状の
多糖であり、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロ
イチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン
硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸
K、コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリ
ン、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸、ケラタンポリ硫酸
が知られている。
本発明の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
は、その塩であることができ、好ましくはナトリウム、
カリウムのようなアルカリ金属塩;カルシウム、マグネ
シウムのようなアルカリ土類金属塩;トリアルキルアミ
ン、ピリジンのようなアミン塩であることができる。
本発明の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカンは
グリコサミノグリカンの還元末端に直接又はスペーサー
を介して燐脂質又は脂質が結合したもの、あるいは構成
ウロン酸のカルボキシル基に燐脂質又は脂質が結合した
ものである。前者はグリコサミノグリカンの還元末端に
燐脂質又は脂質が化学的に結合しているものである限り
その結合方法は限定されず、燐脂質又は脂質が直接結合
していても、あるいはスペーサーを介して結合していて
もよい。また後者はグリコサミノグリカンの糖鎖骨格の
構成糖の官能基に、燐脂質又は脂質が直接又はスペーサ
ーを介して結合しているものであってもよい。
本発明のグリコサミノグリカンの還元末端に燐脂質又
は脂質が結合した燐脂質又は脂質グリコサミノグリカン
は以下の(1)〜(4)が例示され、糖鎖骨格の内部糖
残基に燐脂質又は脂質が結合した燐脂質又は脂質結合グ
リコサミノグリカンは以下の(5)に例示される。
(1)一般式 を有する燐脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。
上記式中、P1は1級アミノ基を有する燐脂質残基を示
し;GAGは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイ
チン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫
酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K、
コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、
ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸及びケラタンポリ硫酸から
なる群から選択されるグリコサミノグリカンから還元性
末端のウロン酸部分、ガラクトース部分又はヘキソサミ
ン部分を除いたグリコサミノグリカン残基を示し;R1はO
H、OSO3H、NHCOCH3又はNHSO3Hを示し;R2はCOOH、CH2OH
又はCH2OSO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示す。
(2)一般式 を有する燐脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。
上記式中、P2は燐脂質残基又は脂質残基を示し;mは1
〜8を示し;nは1〜10を示し;GAGは、ヒアルロン酸、コ
ンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン
硫酸C、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸
K、コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリ
ン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸及びケラタンポリ硫酸
からなる群から選択されるグリコサミノグリカンから還
元性末端のウロン酸部分又はガラクトース部分を除いた
グリコサミノグリカン残基を示し;R2はCOOH、CH2OH又は
CH2OSO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示す。
(3)一般式 を有する燐脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。
上記式中、P2は燐脂質残基又は脂質残基を示し;mは1
〜8を示し;nは1〜10を示し;GAGは、ヒアルロン酸、コ
ンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン
硫酸K、コンドロイチンポリ硫酸及びデルマタン硫酸か
らなる群から選択されるグリコサミノグリカンから還元
性末端のヘキソサミン部分を除いたグリコサミノグリカ
ン残基、又はケラタン硫酸あるいはケラタンポリ硫酸か
ら還元性末端のガラクトース部分を除いたグリコサミノ
グリカン残基を示し;R1はOH又はNHCOCH3を示し;R3はOH
又はOSO3Hを示す。
(4)一般式 を有する燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン又は
その塩。
上記式中、GAG、R1、R2及びR3は上記(1)に記載と
同じであり、m、n及びP2は上記(2)に記載と同じで
ある。
(5)グリコサミノグリカン中に、下記構造式で示す構
造のウロン酸残基を1又は2以上有する燐脂質又は脂質
結合グリコサミノグリカン又はその塩。
上記構造式中のP1は1級アミノ基を有する燐脂質残基
を示し;R1はOH又はOSO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示
す。
なお、便宜的に上記式(V)の構造は本明細書中にお
いて下記の構造式(V′)で表記することもある。
式中GAGは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンド
ロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチ
ン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸
K、コンドロイチンポリ硫酸、ヘパリン及びヘパラン硫
酸からなる群から選択されるグリコサミノグリカンを示
す。
本明細書中における化学構造式に記載の波線は、当該
波線に結合した基の化学構造式中での炭素原子への結合
の上下の向き、すなわち立体配置が限定されないことを
示し;片括弧によりまとめられた構造に結合する基は、
当該構造が存在する開裂された糖残基の、糖残基開裂前
に3位及び4位であった炭素原子にそれぞれ結合するの
であればその位置は特に限定はされないことを示す。
グリコサミノグリカンの分子量は好ましくは表1に記
載のものが用いられる。
上記式(I)及び(V)のP1で示される1級アミノ基
を有する燐脂質としては、 式 (式中、R4及びR5はそれぞれ水素、−CH=OHR6又は−CO
R7(R6及びR7はC6〜24のアルキル基)であり、Yは−
CH2CH2NH−又は である) で示されるものが用いられる。特にR4及びR5がともにヘ
キサデカノイル又はオクタデカノイルのような−COR7
あるか、R4が−CH=CHR6でR5が−COR7 であるのが好ましい。
また、上記式(II)、(III)及び(IV)のP2で示さ
れる燐脂質又は脂質としては、 式 (式中、R8、R9及びR10はそれぞれ水素、アルキル基、
−CH=CHR6又は−COR7(R6及びR7は前記と同じ)であ
り、Wは−CH2CH2N+(CH3又はイノシトール残基で
ある) で示されるものが用いられる。特にR9及びR10がともに
ヘキサデカノイル又はオクタデカノイルのような−COR7
であるか、R8が水素で、R9が−COR7である式(VII)又
は(VIII)の脂質、例えばモノアシルグリセロール、ジ
アシルグリセロール、エーテル脂質、グリセロールモノ
ステアレート及びグリセロールジステアレートなど、或
いはR10が−COR7である式(IX)又は(X)の燐脂質、
例えばL−(α−ホスファチジル)エタノールアミン、
DL−ホスファチジル−L−セリン、エタノールアミンプ
ラスマロゲン及びセリンプラスマロゲンなどが好まし
い。
以下に、本発明の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグ
リカンの製造法について詳しく説明する。
還元末端ラクトン化法 この方法は、グリコサミノグリカンの還元逝末端ウロ
ン酸部分もしくはガラクトース部分又はヘキソサミン部
分を酸化することにより該末端糖部分を開裂させ、更に
ラクトンを形成させて、このラクトンと燐脂質の1級ア
ミノ基との反応により燐脂質結合グリコサミノグリカン
を製造する方法である。この方法を反応式で示せば次の
とおりである。
(式中、R1、R2及びR3は前述と同じ、P1は1級アミノ切
を有する燐脂質を示す) 本方法において、先ず、式(12)で示されるグリコサ
ミノグリカンを酸化して還元性末端部分を開裂させ、式
(13)のカルボキシ化合物とする。
式(12)のヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロ
イチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン
硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸
K、コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリ
ン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸又はケラタンポリ硫酸
を原料として使用することができる。
この酸化に使用しうる酸化剤としては、ヨウ素、臭素
等を用いることができる。
酸化剤の使用量は、式(12)の化合物1モルに対して
2〜20当量、好ましくは5〜15当量の範囲である。
酸化反応における溶媒は、水又は0.05Mリン酸緩衝液
(pH7.0)等を用いることができる。
酸化反応温度は、0〜40℃、好ましくは15〜20℃で行
うことができる。
生成する式(13)の化合物は、次いで酸で処理するこ
とにより式(14)のラクトン化合物にすることができ
る。
ここで用いることのできる酸としては、強酸性陽イオ
ン交換樹脂、例えばダウエックス50、アンバーライトIR
120等を挙げることができる。
得られる式(14)のラクトン化合物は、次いで燐脂質
と反応させることにより、前記一般式(I)の燐脂質結
合グリコサミノグリカンを製造することができる。
上記反応に用いることのできる燐脂質としては、L−
(α−ホスファチジル)エタノールアミン、DL−ホスフ
ァチジル−L−セリン、エタノールアミンプラスマロゲ
ン、セリンプラスマロゲン等を用いることができる。
式(14)のラクトン化合物と燐脂質との反応は、水、
0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)又はジメチルホルムアミド
等に溶解した式(14)のラクトン化合物と、クロロホル
ム等に溶解した燐脂質とを混合して均一な溶液にし、5
〜80℃、好ましくは30〜60℃の温度で反応させることに
より一般式(I)の化合物を製造することができる。
上記還元末端ラクトン化法で製造される化合物を表A
に具体的に示す。
還元末端アミン法 この方法は、次の還元末端限定酸化法で製造される式
(3)、(6)、(9)及び(10)のアルデヒド化合物
並びに式(14)のラクトン化合物にアルキレンジアミン
を反応させ、末端に1級アミノ基をもつグリコサミノグ
リカン誘導体とし、次にこの1級アミノ基をもつグリコ
サミノグリカン誘導体とカルボキシ基をもつ燐脂質又は
脂質誘導体とを反応させ、アミノ基とカルボキシ基との
結合により、燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
を製造する方法である。
アルデヒド化合物は次のようにして製造される。
還元末端限定酸化法 グリコサミノグリカンの還元性末端のウロン酸部分も
しくはガラクトース部分又はヘキソサミン部分を還元及
び部分酸化することにより開裂させてアルデヒドを形成
させる方法である。この方法を反応式で示せば次のとお
りである。
(A)還元性末端糖のグルクロン酸又はイズロン酸に反
応する場合 (R3は前述と同じ) 還元性末端がC−2にOHを有するD−グルクロン酸又
はL−イズロン酸である式(1)のヒアルロン酸、コン
ドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫
酸C、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K、
コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン又
はヘパラン硫酸を原料として使用したとき、上記反応式
に従い、式(3)のアルデヒド化合物が製造できる。
(B)還元性末端糖のグルコサミン又はガラクトサミン
に反応する場合 (式中、R3は前述と同じ) 還元性末端のC−5にCH2OHを有するグルコサミン又
はガラクトサミンである式(4)のヒアルロン酸、コン
ドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫
酸K、コンドロイチンポリ硫酸又はデルマタン硫酸を原
料として使用したとき、上記反応式に従い、式(6)の
アルデヒド化合物が製造できる。
(C)還元性末端糖のガラクトースに反応する場合 上記反応式に従い、式(9)及び(10)のアルデヒド
化合物が製造できる。
上記(A)、(B)及び(C)の方法においては、先
ず、上記式(1)、(4)及び(7)で示されるグリコ
サミノグリカンを還元して還元性末端糖部分を開裂させ
て式(2)、(5)及び(8)の化合物とする。
この還元に使用しうる還元剤としては、水素化ホウ素
ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素
化ホウ素アルカリ塩等を用いることができる。
また、上記還元反応における溶媒、水又は0.05Mホウ
酸塩緩衝液(pH8.3)等を用いることができる。
また還元反応温度は、通常10〜30℃、好ましくは15〜
25℃で行うことができる。
還元剤の使用量は、その種類等によっても異なるが、
一般には式(1)、(4)又は(7)の化合物1モルに
対して5〜50当量、好ましくは25〜30当量の範囲であ
る。
得られる式(2)、(5)及び(8)の化合物を次い
で部分的に酸化すると、式(3)、(6)、(9)及び
(10)のアルデヒド化合物が生成する。
この酸化反応に使用しうる酸化剤としては、過ヨウ素
酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウムなどの過ヨウ素酸ア
ルカリ塩等を用いることができる。
酸化剤の使用量は、式(2)、(5)又は(8)の化
合物1モルに対して1〜10当量、好ましくは3〜6当量
の範囲である。
酸化反応温度は、0〜10℃、好ましくは0〜4℃の範
囲で行うことができる。
更に還元末端アミン法を反応式で示せば次のとおりで
ある。
(式中、R1、R2及びR3は前述と同じ、P2は燐脂質又は脂
質を示す) 還元末端に1級アミノ基をもつグリコサミノグリカン
誘導体式(15)、(16)及び(17)は、前記還元末端限
定酸化法又は還元末端ラクトン化法によって製造される
式(3)、(9)、(6)、(10)及び(14)の化合物
とアルキレンジアミンとを還元剤の存在下で反応させる
ことによって得られる。
この反応に使用できるアルキレンジアミンとしては一
般式 NH2−(CH2−NH2 (式中、mは1〜8の整数) で示される化合物を用いるができる。
還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等を
用いることができる。
還元剤の使用量は、上記反応に使用するグリコサミノ
グリカンのモル数の10〜100倍モル量である。
反応溶媒は、水又は0.05Mリン酸緩衝液等を用いるこ
とができる。
反応温度は、0〜60℃、好ましくは4〜25℃で行う。
また、カルボキシ基をもつ燐脂質又は脂質誘導体は、
グリセロール骨格に水水酸基をもつ燐脂質又は脂質とジ
カルボン酸又はジカルボン酸の無水物とを反応させて得
られる。
この反応に使用できる燐脂質又は脂質としては、モノ
アシルグリセロール、ジアシルグリセロール、リゾホス
ファチジルコリン又はリゾホスファチジルイノシトー
ル、エーテル脂質又はエーテル燐脂質等を用いることが
できる。
ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸等を用いることができる。
無水ジカルボン酸としては、無水マレイン酸、無水コ
ハク酸、無水フマル酸等を用いることができる。
縮合剤としては、1−エチル−3−(ジメチルアミノ
プロピル)−カルボジミイド、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド等を用いることができる。
反応溶媒としては、クロロホルム、アセトアニリド、
ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
反応温度は、縮合剤の存在下でジカルボン酸を使用す
るときは0〜60℃を、また無水ジカルボン酸を使用する
ときは20〜80℃で行うことができる。
還元末端に1級アミノ基をもつグリコサミノグリカン
誘導体とカルボキシ基をもつ燐脂質又は脂質誘導体とを
反応させる方法は、先ず該燐脂質又は脂質誘導体をペプ
チド化学の分野でよく知られている方法に従って該燐脂
質又は脂質誘導体のカルボキシ基を活性化し、次いで該
グリコサミノグリカン誘導体と反応させる方法で行うこ
とができる。
上記燐脂質又は脂質誘導体のカルボキシ基を活性化す
る方法としては、上記燐脂質又は脂質誘導体とN−ヒド
ロキシスクシンイミド、p−ニトロフェノール、N−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシピペリジ
ン、N−ヒドロキシスクシンアミド、2,4,5−トリクロ
ロフェノール等とを縮合剤の存在下で反応させ、該カル
ボキシ基を活性エステルに変える方法で行うことができ
る。
反応溶媒としては、クロロホルム、アセトニトリル、
ジメチルホルムアミド又は該溶媒の混合液を用いること
ができる。
縮合剤としては、1−エチル−3−(ジメチルアミノ
プロピル)−カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド等を用いることができる。
反応温度は、0〜60℃で行う。
上記方法によって得られたカルボキシ基が活性化され
た上記燐脂質又は脂質誘導体と、1級アミノ基をもつグ
リコサミノグリカン誘導体(15)(16)又は(17)とを
反応させれば、燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカ
ン(II)、(III)及び(IV)を得ることができる。
上記反応溶媒としては、クロロホルム、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド又は該溶媒の混合液を用いる
ことができる。
また反応温度は、0〜60℃で行う。
上記還元末端アミン法で製造される化合物を表Bに具
体的に示す。
縮合剤使用法 ケラタン硫酸及びケラタンポリ硫酸以外のグリコサミ
ノグリカンはD−グルクロン酸又はL−イズロン酸を含
有し、これらのウロン酸はC−5にカルボキシ基を有す
る。
この方法は、ウロン酸のカルボキシ基と燐脂質の1級
アミノ基とを縮合剤の存在下で反応させ、燐脂質結合グ
リコサミノグリカンを製造する方法である。
この方法を反応式で示せば次のとおりである。
(式中、R1、R3及びP1は前述と同じ) 本方法で原料として用いることのできるグリコサミノ
グリカン(18)は、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コ
ンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロ
イチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン
硫酸K、コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘ
パリン又はヘパラン硫酸である。
燐脂質としては、前記還元末端ラクトン化法において
例示したものを用いることができる。
縮合剤としては、ジエチルカルボジイミド、ジイソプ
ロピルカルボジイミド、メチルプロピルカルボジイミ
ト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン
カルボジイミド、ヘプタメチレンカルボジイミド、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエ
チル)カルボジイミドメソ−p−トルエンスルホネー
ト、1−t−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、4,
4′−ジニトロジフェニルカルボジイミド、ジ−p−ト
リルカルボジイミド又はビス(トリメチルシリル)カル
ボジイミド等を挙げることができる。
縮合剤の使用量は、燐脂質又は脂質の使用モル量の10
〜100倍モル量を用いることができる。
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、クロロホルム
又は該溶媒の混合液等を用いることができる。
反応温度は、4〜60℃、好ましくは15〜25℃で行う。
上記縮合剤使用法で製造される化合物を表Cに具体的
に示す。
グリコサミノグリカン活性化法 この方法は、上記縮合剤使用法と同様に、ウロン酸の
カルボキシ基を活性化し、燐脂質の1級アミノ基と結合
させることにより、燐脂質結合グリコサミノグリカン
(V)を製造する方法である。
本方法で使用することのできるグリコサミノグリカン
及び燐脂質としては、上記縮合剤使用法と同様のものを
用いることができる。
カルボキシ基を活性化する方法としては、ペプチド化
学の分野でよく知られている方法に従って、グリコサミ
ノグリカンのウロン酸部分のカルボキシ基を活性化する
ことができる。
活性化する方法としては、例えばグリコサミノグリカ
ンにN−ヒドロキシスクシンイミド、p−ニトロフェノ
ール、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロ
キシピペリジン、N−ヒドロキシスクシンアミド、2,4,
5−トリクロロフェノール等を縮合剤の存在下で反応さ
せて、該カルボキシ基を活性エステルに変えることがで
きる。
ウロン酸部分のカルボキシ基はそのアミン塩として反
応させることもできる。
アミン塩のアミンの種類としては、トリ(n−ブチ
ル)アミン、トリエチルアミン、ピリジン等を挙げるこ
とができる。
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ピリジ
ン、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。
縮合剤としては、1−エチル−3−(ジメチルアミノ
プロピル)−カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド等を用いることができる。
反応温度は、0〜60℃、好ましくは4〜20℃で行う。
上記方法によって得られた、カルボキシ基が活性化さ
れたグリコサミノグリカンを燐脂質と反応させれば、一
般式(V)の燐脂質結合グリコサミノグリカンを得るこ
とができる。
上記反応は、ジメチルホルムアミド、クロロホルム又
は該溶媒の混合液の溶液において、上記活性化グリコサ
ミノグリカンと燐脂質とを0〜90℃、好ましくは25〜60
℃で反応させる。
また、本発明の一般式(I)〜(V)で示される燐脂
質又は脂質結合グリコサミノグリカンの燐脂質又は脂質
の含有量は、0.005〜50%、好ましくは2〜10%の範囲
である。
以上に述べた各種の方法で製造される燐脂質又は脂質
結合グリコサミノグリカンの分離、精製方法としては、
反応液に酢酸ナトリウム飽和エタノールを加えて生じた
沈澱物を取することで未反応の燐脂質又は脂質を除
き、さらに該沈澱物を疎水クロマトに負荷し、酢酸アン
モニウム、塩化アンモニウム又は塩化ナトリウム等の塩
の水溶液で洗浄することで未反応のグリコサミノグリカ
ンを除去する。この後、該疎水クロマトに吸着した燐脂
質又は脂質結合グリコサミノグリカンを10〜50%メタノ
ール水溶液で溶出する方法で行うことができる。
本発明の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン又
はその薬学的に許容される塩を、固体又は液体の医薬用
担体又は希釈剤、即ち、賦形剤、安定剤等の添加剤とと
もに含む製剤とすることが好ましい。
燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカンの塩は水溶
性であるため、注射剤として用いる場合に最適である。
該医薬製剤において、前記有効成分の担体成分に対する
割合は、1〜90重量%の間で変動させうる。
剤形及び投与形態としては、顆粒剤、細粒剤、散剤、
錠剤、カプセル剤、丸剤もしくは液剤等の剤形にして、
又は原末のまま経口投与してもよいし、注射剤として静
脈内投与、筋肉内投与又は皮下投与してもよい。また、
坐剤、軟膏剤、パップ剤、貼付剤、リニメント剤、ロー
ション剤等の剤形にして、外用剤として用いることもで
きる。また、注射用の粉末にして、用時調製して使用し
てもよい。
経口、経腸、非経口もしくは局所投与に適した医薬用
の有機又は無機の、固体又は液体の担体もしくは希釈剤
を、本発明の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
又はその塩を含む医薬製剤を調製するために用いること
ができる。水、ゼラチン、乳糖、デンプン、ステアリン
酸マグネシウム、タルク、動植物油脂、ベンジルアルコ
ール、ガム、ポリアルキレングリコール、石油樹脂、や
し油、ラノリン又は医薬に用いられる他のキャリアー
(担体)は全て、本発明品の担体として用いることがで
きる。また、安定剤、湿潤剤、乳化剤や、浸透圧を変え
たり、製剤の適切なpHを維持するための塩類を補助薬剤
として適宜用いることもできる。
顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤又はカプセル剤の場合に
は、該医薬製剤は本発明品を5〜80重量%含有している
ことが好ましく、液剤の場合には、1〜30重量%含有し
ていることが好ましい。また、注射剤の場合は1〜10重
量%、坐剤の場合は1〜50重量%が好ましい。局所投与
用である軟膏剤又はパップ剤等として用いる場合は、0.
1〜10重量%含有していることが好ましい。
臨床投与量は、経口投与の場合、成人に対し有効成分
として、1日量100〜2000mgを内服することが好ましい
が、年令、症状により適宜増減することも可能である。
前記1日量を1回、又は適当な間隔をおいて2もしくは
3回に分けて投与することが好ましい。
また、注射剤として用いる場合には、成人に対し有効
成分として、1回量10〜1000mgを投与することが好まし
く、軟膏剤又はパップ剤等として用いる場合は、前記含
有割当のものを適当量患部に塗布することが好ましい。
[発明の効果] 本発明品の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
又はその塩は、細胞接着阻害作用を有し、かつ毒性もな
いので癌転移抑制剤として有用である。
[実施例] 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明は、実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、燐脂質又は脂質結合グリコサ
ミノグリカンのリン含量、燐脂質又は脂質含量、及びグ
リコサミノグリカン(GAG)含量は、以下の方法で測定
した。
測定法 1.GAGの定量 (1)ウロン酸を含有するGAG:カルバゾール硫酸法(Bi
tter−Muir法)ANALYTICALBIOCHEMISTRY 4,330−334(1
962) (2)ガラクトースを含有するケラタン硫酸又はケラタ
ンポリ硫酸:アンスロン法 Biochem.J.50,298−303(1
952) 2.燐脂質又は脂質の定量 (1)リンの定量:モリブデンブルー法、無機応用比色
分析、4、共立出版株式会社、編集代表 平野四蔵 13
0〜135頁 (2)脂肪酸の定量:10〜50mgのGAG−脂質を10mの1N
−水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、100℃で1時間加
水分解する。反応液を1N−塩酸水溶液で酸性にした後、
クロロホルムで抽出し、クロロホルム相を水で洗浄す
る。脱水ボウ硝で乾燥後、減圧下で溶媒を除去。残渣に
3%塩酸(ガス)含有メタノールを加え、封管中、100
℃で3時間加熱後、石油エーテルで3回抽出する。石油
エーテルを3回水洗し、混入した塩酸を除き、脱水ボウ
硝で乾燥後、減圧濃縮し、次の(GLC)用試料とする。
気相液相クラマトグラフィー(GLC) GC−15A(島津製作所) 充填剤:PEG−HT 5% Uniport HP 60/80ガスクロ工
業(株) 運転条件:試料気化室温度 350℃ カラム温度:190〜200℃ カラム:3φ×2m 流速N245m/min. 製造例1 (1)還元末端限定酸化グリコサミノグリカンの製造 1)還元末端残基開環ヒアルロン酸の製造 ヒアルロン酸(鶏冠由来、MW1万:HA1)2000mgを200m
の0.05Mホウ酸塩緩衝液(pH8.3)に溶解し、182mgの
水素化ホウ酸ナトリウムを加えて室温で5時間反応させ
た。酢酸でpH4.5にしてエタノールを加えて生成物を沈
澱させ、次いで生成物をエタノールで洗浄した。これに
よりロット番号100の還元末端残基開環ヒアルロン酸
(R−HA1)を1800mg得た。
2)還元末端限定酸化ヒアルロン酸の製造 1700mgのR−HA1(ロット番号100)を250mの40mMイ
ミダゾール(pH65)に溶解し、0℃で139.96mgの過ヨウ
素酸ナトリウムを加え、1時間反応させた。反応液にエ
タノールを加えて生成物を沈澱させ、次いでエタノール
で洗浄した。これによりロット番号200の還元末端限定
酸化ヒアルロン酸(O−HA)1600mgを得た。
3)他のグリコサミノグリカンの還元末端限定酸化物
(O−GAG)の製造 ヒアルロン酸(鶏冠由来、MW5万:HA5,MW15万:HA1
5)、 コンドロイチン(コンドロイチン硫酸Aから酸性メタ
ノール溶液で脱硫酸したもの、MW1.5万、:CH)、 コンドロイチン硫酸C(鮫軟骨由来、MW1万:CS(S
1)、MW3万:CS(S3)、MW6万:CS(S6))、 コンドロイチン硫酸A(鮫軟骨由来、MW3万:CS
(W))、 デルマタン硫酸(豚皮由来、MW1.5万:DS)、 ヘパリン(豚小腸由来、MW1.5万:Hep)、 ヘパラン硫酸(牛腎由来、MW1.5万:HS)、 ケラタン硫酸(牛角膜由来、MW1.5万KS) を原料として上記の1)に準じて表2の条件で還元末端
残基開環グリコサミノグリカン(R−GAG)を製造し
た。ひきつづき、上記の2)の方法に準じて表3の条件
で還元末端限定酸化グリコサミノグリカン(O−GAG)
を製造した。
実施例1 還元末端ラクトン化法による燐脂質結合グリコサミノグ
リカンの製造 (1)還元末端酸化グリコサミノグリカンの製造 1)還元末端酸化ヒアルロン酸の製造 500mgのヒアルロン酸(鶏冠由来、MW1万:HA1)を水10
mに溶解し、0.1Mヨウ素のメタノール溶液5mを加え
て室温で6時間反応させた。その後、反応液に0.1N水酸
化ナトリウムを約5m加えて遊離のヨウ素の色を消失さ
せた。この溶液に酢酸カリウム飽和エタノールを加えて
生じた沈澱を取し、充分にエタノールで洗浄し、減圧
乾燥した。
これによりロット番号400の還元末端酸化ヒアルロン
酸423mgを得た。
ソモジーネルソン法による還元糖の有無:無 2)還元末端ラクトンヒアルロン酸の製造 400mgのロット番号400の還元末端酸化ヒアルロン酸を
水10mに溶解し、強酸性イオン交換樹脂(Dowex50
(H+))50mに1時間を要して通過させ、還元末端ラ
クトンヒアルロン酸390mgを含む水溶液を得た。
ソモジーネルソン法による還元糖の有無:無 上記の水溶液をトリ−n−ブチルアミンで中和し、凍
結乾燥して還元末端ラクトンヒアルロン酸のトリ−n−
ブチルアミン塩(ロット番号500)400mgを得た。
3)他の還元末端ラクトングリコサミノグリカンの製造
方法 コンドロイチン(MW1.5万:CH)、 コンドロイチン硫酸C(MW1万:CS(S1)、MW3万:CS
(S3)及びMW6万:CS(S6))、 デルマタン硫酸(MW1.5万:DS)、 ヘパリン(MW1.5万:Hep)、及び ヘパラン硫酸(MW1.5万HS) を原料として、上記1)に準じて表4の条件で還元末端
酸化グリコサミノグリカンを製造した。ひきつづき、上
記2)に準じて表5の条件で還元末端ラクトングリコサ
ミノグリカンを製造した。
(2)L−(α−ホスファチジル)エタノールアミン・
ジパルミトイル結合グリコサミノグリカン(GAG−PPEAD
P)の製造 1)L−(α−ホスファチジル)エタノールアミン・ジ
パルミトイル結合とヒアルロン酸の製造 400mgのロット番号500の還元末端ラクトンヒアルロン
酸を200mのジメチルホルムアミドに溶解し、27.6mgの
PPEADPのクロロホルム溶液を加えて、70℃で2時間反応
させ、クロロホルムを溜去し、過剰の酢酸ナトリウム水
溶液を加えてナトリウム塩にしてから、酢酸ナトリウム
飽和エタノールを加えた。生じた沈澱を取し、0.3M酢
酸アンモニウム溶液に溶解し、疎水クロマトカラム(TS
Kgelフェニルトヨパール650M 400m)に吸着し、充分
に0.3M塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、30%メタノー
ル水溶液で溶出した。素通り及び洗浄画分に未反応のHA
1が溶出され、30%メタノール水溶液の画分に目的とす
る本品が溶出した。30%メタノール水溶液溶出画分を減
圧下濃縮し、透析で脱塩後、凍結乾燥して精製し、ロッ
ト番号600の目的物36mgを得た。
リン含量:030% PPEADP含量:6.44% ヒアルロン酸含量:82.37% 疎水クロマトグラフ:図−1に示す。
疎水クロマトグラフィの条件 カラム:TSKgelフェニル5PW(7.5φ×7.5cm) 溶媒:0〜5分 0.3M塩化アンモニウム水溶液 5〜50分 30%メタノール水溶液 溶出速度:0.5m/分 圧:7kg/0.5cm2 分画容量;1m/管 検出:0D220nm 検体:100μ(1mg/m0.3M塩化アンモニウム水溶
液) 2)その他のL−(α−ホスファチジル)エタノールア
ミン・ジパルミトイル結合グリコサミノグリカンの製造 表5に示した還元末端ラクトングリコサミノグリカン
とPPEADPとを表6に示した条件で、上記(2)−1)の
方法に準じて製造した。得られた生成物の分析値を表7
に示した。
(3)ホスファチジルセリンステアロイルバルミトイル
結合コンドロイチン硫酸Cの製造 400mgのロット番号500−2の還元末端ラクトンコンド
ロイチン硫酸Cを200mのジメチルホルムアミドに溶解
し、9mgのホスファチジルセリンステアレートパルミテ
ートのクロロホルム溶液を加えて、70℃で2時間反応さ
せた。クロロホルムを溜去し、過剰の酢酸ナトリウム水
溶液を加えてナトリウム塩にしてから、酢酸ナトリウム
飽和エタノールを加えて生じた沈澱を取した。沈澱を
0.3M塩化アンモニウム水溶液で溶解し、実施例1−
(2)−1)に準じて処理した。これによりロット番号
700−2のホスファチジルセリンステアロイルパルミト
イル結合コンドロイチン硫酸Cを20.8mg得た。
リン含量:0.10% コンドロイチン硫酸C含量:86.15% 疎水クロマトグラフ:図−2に示す。
測定条件は前記と同じ。
実施例2 還元末端アミン法による燐脂質又は脂質結合グリコサミ
ノグリカンの製造 (1)還元末端アミノ−グリコサミノグリカンの製造 1)還元末端アミノ−コンドロイチン硫酸C(CS(S
3))の製造 100mgのロット番号202−2の還元末端限定酸化コンド
ロイチン硫酸Cを50mの0.05Mリン酸塩緩衝液(pH7.
0)に溶解し、24mgのエチレンジアミン塩酸塩を加えて5
0℃で30分反応させた。その後、20mgのシアノ水素化ホ
ウ素ナトリウムを加えて50℃で2時間反応させた。反応
液に酢酸ナトリウム飽和エタノールを加えて生じた沈澱
を取した。沈澱を水に溶解し、透析により脱塩し、50
mのDEAE−イオン交換樹脂に吸着させ、0.1M食塩水溶
液から1M食塩水溶液のグラジエントで溶出した。0.4M食
塩濃度で還元末端アミノ−コンドロイチン硫酸Cが溶出
され、遊離のコンドロイチン硫酸Cは0.75M食塩濃度で
溶出した。0.4M食塩溶液画分を透析により脱塩し、凍結
乾燥し、ロット番号802−2の還元末端アミノ−コンド
ロイチン硫酸C80mgを得た。
2)還元末端アミノ−ヘパリン(Hep)の製造 上記の方法に準じて、100mgのロット番号205還元末端
限定酸化ヘパリンを使用し、ロット番号805の還元末端
アミノ−ヘパリン77mgを得た。
(2)脂質のコハク酸誘導体の製造 1)グリセロールモノステアレートのコハク酸エステル
の製造 10.74gのグリセロールモノステアレートを3mのピリ
ジンを含む200mのベンゼンに溶解し、6gの無水コハク
酸を加えて6時間還流した。反応液を減圧濃縮し、生じ
た沈澱をアセトンで再結晶し、グリセロールモノステア
レートのコハク酸エステル8.2gを得た。
2)グリセロールモノステアレートのコハク酸エステル
をN−ヒドロキシコハク酸イミドによる活性エステルの
製造 上記1)のエステル8gをベンゼンに溶解して、2gのN
−ヒドロキシコハク酸イミドを加え、10gのジシクロヘ
キシルカルボジイミドを加えて室温で20時間反応させ
た。反応液を減圧濃縮して、沈澱をベンゼン/n−ヘキサ
ンで再結晶し、ロット番号GMS−1の標記活性エステル
7.4gを得た。
(3)グリセロールモノステアレート結合コンドロイチ
ン硫酸Cの製造 80mgのロット番号802−2の還元末端アミノ−コンド
ロイチン硫酸Cを5mの水に溶解し、6.95mgのロット番
号GMS−1の活性エステルのジメチルホルムアミド溶液
を加えて室温で20時間反応させた。反応液に酢酸ナトリ
ウム飽和エタノールを加え、生じた沈澱を取した。沈
澱を0.3M塩化アンモニウム水溶液に溶解し、実施例1−
(2)−1)に準じて精製し、ロット番号902−2の標
記目的物38mgを得た。
ステアリン酸含量:0.86% コンドロイチン硫酸C含量:98.2% (4)燐脂質のコハク酸誘導体の製造 1)リゾレシチンのコハク酸エステルの製造 次式のリゾレシチン 495mgをクロロホルム200mに溶解し、無水コハク酸100
mgと79mgのピリジンを加えて室温で20時間反応させた。
反応液を減圧濃縮し、生じた沈澱をアセトンで再結晶
し、リゾレシチンのコハク酸エステルを得た。
2)リゾレシチンのコハク酸エステルのN−ヒドロキシ
コハク酸イミドによる活性エステルの製造 上記エステル288.5mgをジメチルホルムアミドに溶解
し、57.5mgのN−ヒドロキシコハク酸イミドと103mgの
ジシクロヘキシルカルボジイミドを加えて室温で20時間
反応させた。沈澱を除去し、上記活性エステルのジメチ
ルホルムアミド溶液を得た。
(5)リゾレシチン結合グリコサミノグリカンの製造 1)リゾレシチン結合コンドロイチン硫酸Cの製造 上記(4)−2)で得られた上記活性エステルのジメ
チルホルムアミド溶液にロット番号802−2の還元末端
アミノ−コンドロイチン硫酸C1gの水溶液を加えて室温
で20時間反応させた。精製は実施例1に準じて、疎水ク
ロマトグラフィーで精製した。
収量:0.52g リン含量:0.105% リゾレシチン含量:1.96% コンドロイチン硫酸含量:98.04% イオウ含量5.78% (6)グルセロールジステアレート結合コンドロイチン
硫酸Cの製造 上記(1)−1)で得られたロット番号802−2の還
元末端アミノ−コンドロイチン硫酸Cと上記(2)−
2)と同様な方法で得られたグリセロールジステアレー
トのコハク酸エステルの活性エステル(ロット番号GDS
−2)とを、上記(3)に準じて反応させ、精製して、
ロット番号904の標記化合物27mgを得た。
実施例3 縮合剤使用法による燐脂質結合グリコサミノグリカンの
製造 (1)L−(α−ホフファチジル)エタノールアミン・
ジパルミトイル結合コンドロイチン硫酸Cの製造 400mgのコンドロイチン硫酸C(CS(S3))のトリ−
n−ブチルアミン塩を100mのジメチルホルムアミドに
溶解し、6.92mgのPPEADPのクロロホルム溶液を加えた。
更に、38.4mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩を加えて室温で20時間
反応させた。反応液を減圧下で濃縮し、過剰の酢酸ナト
リウム水溶液を加えてナトリウム塩にした。この水溶液
にエタノールを加えて生じた沈澱を取した。沈澱を0.
3M塩化アンモニウム水溶液に溶解し、実施例1−(2)
−1)に準じて精製し、ロット番号1002−2の標記目的
物を63mg得た。
リン含量:0.099% PPEADP含量:2.25% コンドロイチン硫酸C含量:96.61% 疎水クロマトグラフィ:図−3に示す 測定条件は前記と同じ (2)他のL−(α−ホスファチジル)エタノールアミ
ン・ジパルミトイル結合グリコサミノグリカン(GAG−P
PEADP)の製造 各種のグリコサミノグリカンとPPEADPとを表8に示し
た条件で上記(1)の方法に準じて燐脂質結合グリコサ
ミノグリカンを製造した。得られた生成物の分析値を表
9に示した。
実施例4 グリコサミノグリカン活性化法による燐脂質結合グリコ
サミノグリカンの製造 (1)L−(α−ホスファチジル)エタノールアミン・
ジパルミトイル結合コンドロイチン硫酸Cの製造 400mgのコンドロイチン硫酸C(CS(S3))のトリ−
n−ブチルアミン塩を300mのDMFに溶解し、9.9mgのN
−ヒドロキシスクシンイミドと20.6mgのジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを加えて室温で20時間反応させた。反
応液に過剰の酢酸ナトリウム水溶液を加えてナトリウム
塩にしてからにエタノールを加えて生じた沈澱を取し
た。即座に30mの水で溶解し、6.92mgのPPEADPのクロ
ロホルム溶液を加えて、更にジメチルホルムアミドを加
えて均一な溶液とした。室温で6時間反応させ、反応液
を減圧濃縮して、酢酸飽和のエタノールを加えた。生じ
た沈澱を0.3M酢酸アンモニウム水溶液に溶解し、実施例
1−(2)−1)に準じて精製し、ロット番号1102−2
の標記の目的物を29.7mg得た。
リン含量:0.100% PPEADP含量:2.16% コンドロイチン硫酸C含量:95.98% 疎水クロマトグラフィ:図−4に示す 測定条件は前記と同じ (2)L−(α−ホスファチジル)エタノールアミン・
ジパルミトイル結合コンドロイチンポリ硫酸の製造 1gのコンドロイチンポリ硫酸(CSP(II))のトリ−
n−ブチルアミン塩(イオウ含量13.0%、分子量1000
0)を50mのジメチルホルムアミドに溶解し、1770mgの
N−ヒドロキシスクシンイミドと318mgのジシクロヘキ
シルカルボジイミドを加えて4℃で一晩反応させた。反
応液に10mの水を加えて室温で15分間反応させ、生じ
た沈澱を除去した後、この溶液に69.2mgのホスファチジ
ルエタノールアミン・ジパルミトイル(PPEADP)のクロ
ロホルム溶液を加えて室温で6時間反応させた。反応液
を減圧濃縮し、酢酸ナトリウム飽和のエタノールを加え
て生じた沈澱を集めた。沈澱を0.3Mの酢酸アンモニウム
水溶液に溶解し、実施例1−(2)−1)に準じて精製
し、ロット番号1108の標記の目的物67mgを得た。
リン含量:0.291% PPEADP含量:6.5% コンドロイチンポリ硫酸含量:92.8% イオウ含量:12.05% 疎水クロマトグラフィ:図−5に示す 測定条件は前記と同じ 参考例1 フィブロネクチンを予め塗布した培養皿に塗布した燐脂
質又は脂質結合グリコサミノグリカンのBHK21細胞の接
着に対する効果 96穴培養皿を5μg/mウシ血漿フィブロネクチン100
μで塗布した後、洗浄し、実施例1〜4で得た各種燐
脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン100μ/穴を
表10に示す各濃度で塗布した。
別に、100mm径の培養皿に培養したBHK21細胞(新生ハ
ムスター腎細胞)を0.1mg/mの濃度のトリプシン溶液5
mを加え、37℃で5分間処理した。次いで、1mg/mの
大豆トリプシンインヒビター溶液5mを加え、トリプシ
ンを不活性化した後、遊離した細胞を遠心により集め
た。細胞は2回洗浄後、1mあたり1×105個細胞とな
るように単一細胞懸濁液とした。
得られた単一細胞懸濁液100μ(1×104個細胞)
を、上記フィブロネクチンと燐脂質又は脂質結合グリコ
サミノグリカンを塗布した培養皿に加え、37℃で1時間
処理した。接着しなかった細胞を洗浄した後、接着した
細胞を2%ホルムアルデヒドで固定し、直接位相差顕微
鏡で観察して、その細胞数をカウントした。
結果を表10に示す。表10は、各濃度における細胞接着
の変動を示す。値は3回ないし4回の測定の平均を示
し、誤差(標準偏差)もあわせて表した。
なおそれぞれの遊離グリコサミノグリカンおよび未結
合の脂質のみでは高濃度にしても全く細胞接着阻害効果
を示さなかった。
参考例2 各種培養細胞の細胞接着物質に対する燐脂質又は脂質結
合グリコサミノグリカンの接着阻害効果 実施例1〜4で得た燐脂質又は脂質結合グリコサミノ
グリカンについて、BHK21細胞(新生ハムスター腎細
胞)、CEF(ニワトリ胚線維芽細胞)、B16F10(高転移
性マウスメラノーマ細胞)、CHO(チャイニーズハムス
ター卵巣細胞)、及びbaEC(ウシ大動脈内皮細胞)の各
種細胞群に対しての、フィブロネクチン(FN)、ラミニ
ン(LN)、I型コラーゲン(Coll)及びビトロネクチン
(VN)による接着に対する阻害効果を検討した。
各5μg/mのウシ血漿フィブロネクチン、マウスEHS
腫瘍細胞由来ラミノン、ラット腿由来I型コラーゲン、
及びウシ血清ヒドロネクチンをそれぞれ96穴培養皿に塗
布し、参考例1と同様にして、実施例1〜4で得た燐脂
質又は脂質結合グリコサミノグリカンを塗布した後、そ
れぞれBHK21細胞、CEF細胞、B16F10細胞、CHO細胞、及
びbaEC細胞の単一細胞懸濁液100μ(1×104個細胞)
を加え細胞接着の変動を見た。対照として燐脂質又は脂
質結合グリコサミノグリカンを添加せず、接着物質のみ
の細胞接着を100%とした。結果を表11に示す。
なお、表11中で相対接着細胞数として、全くあるいは
殆ど細胞接着しなかった場合(0〜10%未満)を−、10
〜30%未満を+、30〜50%未満を++、50〜70%未満を
+++、70〜90%未満を++++、そして90〜100%の
細胞が接着した場合を+++++と半定量的に表した。
参考例3 血管内皮培養細胞の細胞外マトリックスにおける高転移
性癌細胞の接着に対する燐脂質結合コンドロイチン硫酸
Cの抑制効果 マウス由来血管皮細胞を24穴のI型コラーゲンでコー
トした培養皿で集密状態になるまで培養し、細胞単層に
0.5%トリトンX−100で室温30分間処理し、破壊された
細胞片をダルベッコの緩衝液(Dulbecco's PBS(+))
で洗浄した内皮細胞の細胞外マトリックスを得た。
一方、100mm径の培養皿に培養したマウス由来高転移
性癌細胞B16F10に5mトリプシン溶液(0.1mg/m PBS
(−))を加え、37℃で5分間処理した。次いで、大豆
トリプシン阻害剤5m(1mg/m)を加え、トリプシン
を不活性化した後、遊離した細胞を遠心により集めた。
さらに細胞をリン酸塩緩衝液(PBS(−))で2回洗浄
後、1mあたり2×105個の細胞数になるように単一細
胞懸濁液(Hanks'BSS−20mM HEPES、pH7.4)を調製し
た。
ロット番号602−2(CS(S3)−PPEADP)の燐脂質結
合コンドロイチン硫酸Cと、B16F10の単一細胞懸濁液50
0μ(1×105個細胞を、前述した細胞外マトリックス
を調製した24穴培養皿に加え、37℃で1時間、5%炭酸
ガス培養器内で静置した。
上清を静かに集め、さらにハンクス緩衝液で1回穏や
かに洗った。その上清と洗液を合わせて、細胞外マトリ
ックスに接着しなかった細胞としてその細胞数をコール
ターカウンター(コールター・エレクトロニクス社製)
で計数した。対照としてロット番号602−2(CS(S3)
−PPEADP)を含まない緩衝液のみのもの(無添加)と、
遊離のコンドロイチン硫酸Cを添加したものを比較し
た。
細胞の接着率は、最初に添加した全細胞数から計数し
た非接着細胞数を引き、その値を全細胞数で割った値を
百分率で表した。その結果を表12に示す。
この結果から、本発明の燐脂質結合グリコサミノグリ
カンは血管内皮細胞の細胞外マトリックスに対する高転
移性癌細胞の接着を抑制することがわかる。遊離のコン
ドロイチン硫酸Cではそのような作用は全く認められな
かった。
【図面の簡単な説明】 図1〜5は、燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン
の疎水クロマトグラフィーを示し、図1は実施例1−
(2)−1)の目的物、図2は実施例1−(3)の目的
物、図3は実施例3−(1)の目的物、図4は実施例4
−(1)の目的物、図5は実施例4−(2)の目的物で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08B 37/10 (72)発明者 鈴木 旺 愛知県愛知郡長久手町岩作字雁又21番地 愛知医科大学分子医科学研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 37/08,37/10,37/00 A61K 31/73,31/725

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリコサミノグリカンの還元末端に化学的
    修飾により形成された基又はグリコサミノグリカンのウ
    ロン酸残基の官能基と、燐脂質もしくは脂質の官能基又
    はこれらに導入されたジカルボン酸の官能基との反応生
    成物である燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン。
  2. 【請求項2】グリコサミノグリカンの還元末端に化学的
    修飾により形成された基がカルボニル基又はアミノ基で
    ある、請求項1記載の燐脂質又は脂質結合グリコサミノ
    グリカン。
  3. 【請求項3】カルボニル基が、グリコサミノグリカンの
    還元末端糖を還元して開裂し、部分酸化して得られたア
    ルデヒド基のカルボニル基であるか、グリコサミノグリ
    カンの還元末端糖を酸化して開裂し、次いで形成された
    ラクトンのカルボニル基である、請求項2記載の燐脂質
    又は脂質結合グリコサミノグリカン。
  4. 【請求項4】アミノ基が、グリコサミノグリカンの還元
    末端に化学的修飾により形成されたカルボニル基とアル
    キレンジアミンとの反応により導入されたアミノ基であ
    る、請求項2記載の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグ
    リカン。
  5. 【請求項5】一般式 を有する燐脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。 上記式中、P1は1級アミノ基を有する燐脂質残基を示
    し;GAGは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイ
    チン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫
    酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K、
    コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、
    ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸及びケラタンポリ硫酸から
    なる群から選択されるグリコサミノグリカンから還元性
    末端のウロン酸部分、ガラクトース部分又はヘキソサミ
    ン部分を除いたグリコサミノグリカン残基を示し;R1はO
    H、OSO3H、NHCOCH3又はNHSO3Hを示し;R2はCOOH、CH2OH
    又はCH2OSO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示す。
  6. 【請求項6】一般式 を有する燐脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。 上記式中、P2は燐脂質残基又は脂質残基を示し;mは1〜
    8を示し;nは1〜10を示し;GAGは、ヒアルロン酸、コン
    ドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫
    酸C、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K、
    コンドロイチンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、
    ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸及びケラタンポリ硫酸から
    なる群から選択されるグリコサミノグリカンから還元性
    末端のウロン酸部分又はガラクトース部分を除いたグリ
    コサミノグリカン残基を示し;R2はCOOH、CH2OH又はCH2O
    SO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示す。
  7. 【請求項7】一般式 を有する燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン又は
    その塩。 上記式中、P2は燐脂質残基又は脂質残基を示し;mは1〜
    8を示し;nは1〜10を示し;GAGは、ヒアルロン酸、コン
    ドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫
    酸K、コンドロイチンポリ硫酸及びデルマタン硫酸から
    なる群から選択されるグリコサミノグリカンから還元性
    末端のヘキソサミン部分を除いたグリコサミノグリカン
    残基、又はケラタン硫酸もしくはケラタンポリ硫酸から
    還元性末端のガラクトース部分を除いたグリコサミノグ
    リカン残基を示し;R1はOH又はNHCOCH3を示し;R3はOH又
    はOSO3Hを示す。
  8. 【請求項8】一般式 を有する燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン又は
    その塩。 上記式中、GAG、R1、R2及びR3はそれぞれ請求項5に記
    載と同じであり、m、n及びP2は請求項7に記載と同じ
    である。
  9. 【請求項9】下記構造式に示すウロン酸残基を有する燐
    脂質又は脂質結合グリコサミノグリカン又はその塩。 上記構造式中のP1は1級アミノ基を有する燐脂質を示
    し;R1はOH又はOSO3Hを示し;R3はOH又はOSO3Hを示す。
  10. 【請求項10】グリコサミノグリカンの還元性末端のウ
    ロン酸部分、ガラクトース部分又はヘキソサミン部分を
    開裂させた後、当該開裂部に、燐脂質又は脂質を化学結
    合させることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一
    項記載の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグリカンの製
    造方法。
  11. 【請求項11】グリコサミノグリカンの還元性末端のウ
    ロン酸部分、ガラクトース部分又はヘキソサミン部分を
    酸化することにより該末端糖部分を開裂させた後、酸処
    理することにより該開裂部にラクトン構造を形成させ、
    当該ラクトン構造に1級アミノ基を有する燐脂質P1を直
    接結合させるか、あるいはNH2−(CH2−NH2を結合
    させた後、HOOC−(CH2−COOHに結合したP2で示さ
    れる燐脂質又は脂質を結合させることを特徴とする、請
    求項5又は8記載の燐脂質又は脂質結合グリコサミノグ
    リカンの製造方法。
  12. 【請求項12】グリコサミノグリカンの還元性末端のウ
    ロン酸部分、ガラクトース部分又はヘキソサミン部分を
    還元することにより開裂し、さらに部分酸化により当該
    開裂部にアルデヒドを形成させ、当該アルデヒドにNH2
    −(CH2−NH2を結合させた後、HOOC−(CH2−C
    OOHに結合したP2で示される燐脂質又は脂質を結合させ
    ることを特徴とする、請求項6又は7記載の燐脂質又は
    脂質結合グリコサミノグリカンの製造方法。
  13. 【請求項13】グリコサミノグリカンのウロン酸残基中
    に存在するカルボキシル基と、燐脂質の1級アミノ基と
    を化学的に結合させることを特徴とする、請求項9記載
    の燐脂質結合グリコサミノグリカンの製造方法。
  14. 【請求項14】化学的に結合させる反応を、縮合剤の存
    在下に行うか、あるいはウロン酸残基のカルボキシル基
    を活性化して行うことを特徴とする、請求項13記載の燐
    脂質結合グリコサミノグリカンの製造方法。
  15. 【請求項15】グリコサミノグリカンが、ヒアルロン
    酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロ
    イチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン
    硫酸E、コンドロイチン硫酸K、コンドロイチンポリ硫
    酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタ
    ン硫酸及びケラタンポリ硫酸からなる群から選択される
    少なくとも1種のグリコサミノグリカンであることを特
    徴とする、請求項10〜14いずれか一項記載の燐脂質又は
    脂質結合グリコサミノグリカンの製造方法。
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