JP2994573B2 - ラインフィルタ用巻線装置及び巻線方法 - Google Patents

ラインフィルタ用巻線装置及び巻線方法

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JP2994573B2 JP7140880A JP14088095A JP2994573B2 JP 2994573 B2 JP2994573 B2 JP 2994573B2 JP 7140880 A JP7140880 A JP 7140880A JP 14088095 A JP14088095 A JP 14088095A JP 2994573 B2 JP2994573 B2 JP 2994573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線材が巻回されるボビ
ンを、コア及びケースとともに一体的に組み立ててなる
ラインフィルタの巻線装置及びこの装置を用いた巻線方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラインフィルタは、線材が巻回されるボ
ビンをその軸回りに回転自在に支持するコア(鉄芯)の
周囲をケースで覆ったものである。ボビンへの線材の巻
回に際しては、従来より、既存の巻線装置を用いて巻線
後、線材の巻始め及び巻終わり部分を、ケースに設けら
れた端子に手作業にてそれぞれ絡げ、係止する方法が採
られていた。しかしながら、線材の端子への係止を手作
業で行うことは生産性の点から不利であるため、巻線か
ら端子への線材の係止までの操作を自動的に行うため、
例えば特開平6−96978号公報に開示の装置が考案
されている。
【0003】この装置は、線材の巻始め部分をボビンに
形成された専用の溝に予め収容した後巻線を行い、巻線
終了後は溝から線材を引き出してガイドを経てノズルに
挿入し、更にこのノズルを端子の周囲にて回転させるこ
とにより、ノズルに挿入された線材を端子に絡げ、係止
するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記装
置の場合、溝から引き出された線材が的確にガイドから
ノズルに案内されないことがあり、その結果、線材の巻
始め部分が膨らんでしまうとともに、線材の端子への巻
回が不可能となる場合があった。本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、ラインフィルタの巻線に際し、線
材を端子に自動的かつ確実に巻回可能とすることをその
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラインフィル
タ用巻線装置に係わる第1の手段として、複数の端子が
設けられたケースと、該ケース内に収容されたコアと、
該コアに回転自在に支持されるとともに線材の巻き始め
部分を収容する溝がコアと同軸をなすように形成された
ボビンとからなるラインフィルタについて、線材をボビ
ンに巻回する巻線装置において、水平な軸周りに回転自
在とされ、ラインフィルタを着脱自在に先端部に支持す
る治具と、該治具と独立かつ治具と平行な軸周りにボビ
ンを回転させるボビン回転歯車と、治具の上方に移動自
在に配設され、ボビンに線材を供給するノズルと、溝に
収容された線材の巻き始め部分を引き起こすガイド部
と、このガイド部により引き起こされた線材の巻き始め
部分を挟んで溝より引き出すチャックと、治具の上方に
配設され、チャックにより引き出された巻き始め部分を
ケースに設けられた所定端子に絡げるとともに、他の端
子が上方を向くように治具を回転させた状態で線材の巻
き終わり部分を他の端子に絡げる係止手段とを具備する
手段を採用する。 また、ラインフィルタ用巻線装置に係
わる第2の手段として、上記第1の手段において、治具
の下方に上下動自在にチャックを配設するという手段を
採用する。 ラインフィルタ用巻線装置に係わる第3の手
段として、上記第2の手段において、ボビンに向け楔状
をなすガイド部を、線材の巻回回転方向前方から溝の外
周面に当接自在となるようにチャックの上端縁に一体的
に形成するという手段を採用する。
【0006】一方、本発明では、ケース内に収容された
コアと、このコアに回転自在に支持されたボビンとを具
備するラインフィルタのボビンへの巻線方法として、線
材をボビンに巻回させるとともに線材の巻き始め部分を
前記ボビンに形成された溝に巻回させ、線材の前記ボビ
ンへの巻回が終了してから、ボビンに向け楔状をなすガ
イド部の先端縁を線材の巻回回転方向前方から溝の外周
面に当接させるとともにボビンを線材の巻回回転方向前
方と逆方向に回転させることによりガイド部上に引き出
された巻き始め部分をチャックにより挟んで溝から引き
出して端子に絡げ、更に、端子への線材の巻き終わり部
分の係止に際して、当該端子が上方を向くように治具を
回転させるとともに、治具の上方に配設された係止手段
により線材の巻き終わり部分を端子に絡げるという手段
を採用する。
【0007】
【作用】このような本発明によれば、ボビンの溝に巻回
された線材の巻き始め部分をチャックにより挟んで溝か
ら引き出してケースに設けられた端子に絡げているの
で、溝から引き出された線材は常にチャックにより挟ま
れて確実に係止手段へと案内される。したがって、線材
を端子に自動的かつ確実に巻回させることが可能とな
る。また、端子への線材の巻き終わり部分の係止に際し
て、当該端子が上方を向くように治具を回転させて、治
具の上方に配設された係止手段により線材の巻き終わり
部分を端子に絡げるので、水平方向に突出する端子を備
えたラインフィルタであっても、係止手段を端子の側方
に横向きに設ける必要がなく、よって複数の治具を並列
に配設した場合に、隣接する治具間のピッチを狭くする
ことができる。
【0008】
【実施例】以下、図面に基づき、本発明の実施例につい
て更に詳しく説明する。本発明に係るラインフィルタ及
びラインフィルタ用巻線装置の構造を図1に示す。図中
符号1はラインフィルタで、このラインフィルタ1は、
「日」の字状をなすコア(鉄芯、図示せず)に、半径方
向に沿って2分割可能とされたボビン2をその軸回りに
回転自在にはめ合わせ、更にコアの周囲をケース3で覆
ったもので、ケース3からは、線材係止用の端子4が突
出している。また、ボビン2には、線材の巻き始め部分
を収容する溝5がボビン2と同軸をなすよう形成される
とともに、線材係止用の切欠き6が形成されている。
【0009】符号11は基台で、その直立する前面に
は、ロック解除板12が立設されている。更に、ロック
解除板12の前面には、円筒状をなす治具本体13が、
ロック機構14を介して、ロック解除板12の前面と直
交する水平な軸回りに回転自在かつ着脱自在に支持さ
れ、前方に突出している。また、治具本体13の周囲に
は、その周方向に沿って凹部15が形成され、この凹部
15には、治具本体13回転用のベルト16が巻回(係
合)されている。
【0010】符号17は固定治具で、この固定治具17
は、治具本体13の先端に着脱自在に支持され、その下
方に設けられた着脱機構18のばね力によりラインフィ
ルタ1を上下から挟み、ラインフィルタ1を、治具本体
13とボビン2とが同軸をなすよう着脱自在に支持する
ものである。そして、これら治具本体13と固定治具1
7とから、治具19が構成されている。
【0011】符号20はボビン回転歯車で、このボビン
回転歯車20は、治具19と平行な軸21を中心に、治
具19と独立して回転自在となるよう治具19内に支持
されている。また、ボビン回転歯車20は、固定治具1
7にラインフィルタ1を支持した際に、ボビン2に設け
られたボビン2回転用の歯車(図示せず。)と係合する
よう、固定治具17の先端側から前方に突出している。
【0012】符号22は、基台11内から前方に向け、
治具19と同軸をなすよう延設されたスピンドルであ
る。このスピンドル22は、図示しない駆動源により治
具19と独立して回転自在とされ、かつその先端にて、
ボビン回転歯車20の軸21と連動可能とされている。
【0013】符号31は線材32を下方に供給するノズ
ルで、このノズル31は、治具19の上方に、水平方向
に移動自在に配設されている。また、符号33は、固定
治具17の下方に上下動自在に配設されたチャックで、
このチャック33は、その上端に形成された上部チャッ
ク片34と、上部チャック片34の下方に上下動自在に
配設された下部チャック片35とを具備している。
【0014】ここで、上部チャック片34の上端縁36
は、線材32の巻回回転方向前方から溝5の外周面に当
接自在とされ、かつこの上端縁36には、ボビン2に向
け、断面視して楔状をなすガイド面(ガイド部)37が
形成されている。そして、上記基台11からガイド面3
7に至る各構成により、ラインフィルタ用巻線装置41
が形成されている。
【0015】次に、上記構成を有するラインフィルタ用
巻線装置41によるボビン2への巻線方法について以下
に説明する。
【0016】まず、図1に示すように、端子4を水平と
した状態で、ラインフィルタ1を固定治具17により上
下から挟み、ラインフィルタ1を線材を固定治具17内
に支持させる。また、それに伴い、ボビン2に設けられ
た歯車とボビン回転歯車20とが係合する。一方、ノズ
ル31から下方に供給された線材32の先端は、ライン
フィルタ用巻線装置41の側方に設けられたピン(図示
せず。)に絡げられている。
【0017】次いで、ノズル31をボビン2の溝5側に
移動させ、線材32をボビン2の切欠き6に引っ掛けた
後、線材32のうち巻き始め部分を、切欠き6と前記ピ
ンとの間の所定位置(線材32の巻き始め部分を端子4
に絡げるために適切な余長が確保できる位置)で切断す
る。
【0018】更に、ノズル31をボビン2の胴部側に移
動させ、この状態でスピンドル22を回転させると、こ
の回転がボビン回転歯車20を経てボビン2に伝達され
てボビン2が軸回りに回転し、その結果、ノズル31か
ら供給された線材32が、ボビン2に巻回される。一
方、ボビン2の回転に伴い、線材32の巻き始め部分
は、溝5に巻回、収容される。
【0019】ボビン2への線材32の巻回が終了した
ら、図2に示すように、上部チャック片34の上端縁3
6を、ボビン2への線材32の巻回回転方向(図中矢印
R方向)前方側から溝5の外周面に当接させ、ボビン2
を線材32の巻回回転方向と逆回りに若干回転させる。
すると、線材32の巻き始め部分(図中符号32a)が
ガイド面37により引き起こされ、ガイド面37上を通
り、上部チャック片34と下部チャック片35との間に
形成された隙間(図中符号S)に案内される。
【0020】ここで、下部チャック片35を上方に移動
させると、チャック33が閉じ、巻き始め部分32aが
チャック33に挟まれる。更に、ボビン2を線材32の
巻回回転方向と逆回りに回転させるとともに、チャック
33を下降させると、巻き始め部分32aが溝5から引
き出され、下方に延伸する。
【0021】巻き始め部分32aが溝5から引き出され
たら、ロック機構14にて治具19とスピンドル22と
をロックし、更に、治具本体13に巻回されたベルト1
6を回転させて、端子4が上向きに直立するまで、治具
19を90°回転させる。そして、この状態で、ノズル
31から延びる線材32を、上方に配設されたノズル
(係止手段、図示せず。)により端子4のうち巻き終わ
り端子に絡げる。この線材32は更に上述のピンに絡げ
られた後、端子4の根本部分で切断される。
【0022】線材32の巻き終わり部分を端子4に絡げ
たら、ベルト16を再度回転させて、端子4の向きを水
平に戻す。そして、引き出された巻き始め部分32a
を、係止手段(図示せず。)により端子4のうち巻き始
め端子に絡げる。その結果、線材32がボビン2に巻回
され、かつ線材32の巻き始め部分32a及び巻き終わ
り部分がそれぞれ端子4に係止されたラインフィルタ1
が完成する。そして、ラインフィルタ1を空のボビン2
を有するものへと交換し、上記操作を繰り返すことによ
り、ラインフィルタ1への線材32の巻回が順次自動的
に実施される。
【0023】特に、本発明に係るラインフィルタ用巻線
装置41の場合、ガイド面37を通って供給された巻き
始め部分32aを、チャック33により挟んで溝5から
引き出している。従って、ガイド面37により溝5から
引き起こされた巻き始め部分32aは常にチャック33
により挟まれ、このチャック33を介して確実に係止手
段へと案内される。その結果、線材32を端子4に自動
的かつ確実に巻回させることが可能となる。
【0024】また、治具19が、治具本体13の外周面
に巻回(係合)されたベルト16により回転可能とされ
ているため、図3に示すように、複数の治具19を、1
枚のロック解除板12上に複数個並列に配設し、これら
の治具19を、これら治具19間に掛け渡された1本の
ベルト16により駆動することも可能である。ここで、
符号42はベルト16を駆動する駆動プーリ、符号43
はベルト16の張力を調整するテンションプーリであ
る。
【0025】しかも、図1に示すような水平方向に突出
する端子4を有するラインフィルタ1の端子4に線材3
2を係止する場合、上述のように、ラインフィルタ1を
90°回転し、端子4を上向きに直立させてから線材3
2の係止を行うため、係止手段を端子4の側方に横向き
に設けずとも済む。従って、図3に示すように治具19
を複数個並列に配設した際に、隣接する治具19間のピ
ッチを狭くすることが可能となり、装置が小型化され
る。
【0026】この場合、線材32の巻き終わり部分を端
子4に絡げた後、端子4の向きを水平に戻す際には、端
子4を元に戻して作業を行ってもよく、あるいは治具1
9を180°回転させ、反対側の位置で作業を行っても
よい。
【0027】なお、上記係止手段としては、例えばラッ
ピングツール等が使用される。また、固定治具17への
ラインフィルタ1の着脱、チャック33から係止手段、
切欠き6やピン等への線材32の誘導、あるいは線材3
2の切断は、適当な自動化部材により適宜自動的に行わ
れる。巻き始め部分32aを、チャック33により端子
4に直接絡げてもよい。
【0028】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ラ
インフィルタの巻線に際し、線材を端子に自動的かつ確
実に巻回させることが可能となる。
【0029】また、治具を、その外周面に係合されたベ
ルトにより回転可能とすることにより、複数の治具を、
その軸を互いに平行として並列に配設し、これらの治具
を、これら治具間に掛け渡された1本のベルトにより駆
動することも可能である。
【0030】更に、少なくとも端子への線材の巻き終わ
り部分の係止に際して、ラインフィルタの端子が上方を
向くよう治具を回転させるとともに、治具の上方に配設
された係止手段により、線材の巻き終わり部分を端子に
絡げることにより、水平方向に突出する端子を有するラ
インフィルタであっても、係止手段を端子の側方に横向
きに設けずとも済む。従って、複数の治具を並列に配設
した際に、隣接する治具間のピッチを狭くすることが可
能となり、装置が小型化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラインフィルタ用巻線装置の構造
の例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るラインフィルタ用巻線装置によ
る、線材の巻き始め部分の溝部からの引き出し状況の例
を示す図である。
【図3】本発明に係るラインフィルタ用巻線装置の構造
の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ラインフィルタ 2 ボビン 3 ケ−ス 4 端子 5 溝 16 ベルト 19 治具 20 ボビン回転歯車 31 ノズル 32 線材 32a 線材の巻き始め部分 33 チャック 37 ガイド面(ガイド部) 41 ラインフィルタ用巻線装置 R 線材の巻回回転方向

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の端子が設けられたケースと、該ケ
    ース内に収容されたコアと、該コアに回転自在に支持さ
    れるとともに線材の巻き始め部分を収容する溝がコアと
    同軸をなすように形成されたボビンとからなるラインフ
    ィルタについて、線材を前記ボビンに巻回する巻線装置
    であって、 水平な軸周りに回転自在とされ、前記ラインフィルタを
    着脱自在に先端部に支持する治具と、 前記治具と独立かつ治具と平行な軸周りに前記ボビンを
    回転させるボビン回転歯車と、 前記治具の上方に移動自在に配設され、前記ボビンに線
    材を供給するノズルと、 前記溝に収容された線材の巻き始め部分を引き起こすガ
    イド部と、 このガイド部により引き起こされた線材の巻き始め部分
    を挟んで前記溝より引き出すチャックと、 前記治具の上方に配設され、チャックにより引き出され
    た前記巻き始め部分を前記ケースに設けられた所定端子
    に絡げるとともに、他の端子が上方を向くように前記治
    具を回転させた状態で線材の巻き終わり部分を他の端子
    に絡げる係止手段と、 を具備することを特徴とするラインフィルタ用巻線装
    置。
  2. 【請求項2】 前記チャックが、前記治具の下方に上下
    動自在に配設されていることを特徴とする請求項1記載
    のラインフィルタ用巻線装置。
  3. 【請求項3】 前記チャックの上端縁に、前記ボビンに
    向け楔状をなす前記ガイド部が、前記線材の巻回回転方
    向前方から前記溝の外周面に当接自在となるよう、前記
    チャックと一体的に形成されていることを特徴とする請
    求項2記載のラインフィルタ用巻線装置。
  4. 【請求項4】 ケース内に収容されたコアと、このコア
    に回転自在に支持されたボビンとを具備するラインフィ
    ルタのボビンへの巻線方法であって、 線材を前記ボビンに巻回させるとともに前記線材の巻き
    始め部分を前記ボビンに形成された溝に巻回させ、 前記線材の前記ボビンへの巻回が終了してから、前記ボ
    ビンに向け楔状をなすガイド部の先端縁を前記線材の巻
    回回転方向前方から前記溝の外周面に当接させるととも
    に前記ボビンを前記線材の巻回回転方向前方と逆方向に
    回転させることにより前記ガイド部上に引き出された前
    記巻き始め部分をチャックにより挟んで前記溝から引き
    出して端子に絡げ、 更に、前記端子への前記線材の巻き終わり部分の係止に
    際して、前記端子が上方を向くように前記治具を回転さ
    せるとともに、前記治具の上方に配設された係止手段に
    より前記線材の巻き終わり部分を前記端子に絡げること
    を特徴とする巻線方法。
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