JP2992950B2 - 椅子の肘掛け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、座者の体型や作業
内容に合わせて、座体に対して肘当ての左右方向の角度
位置を調整し得るようにした椅子の肘掛け装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】座者の体型による腕の位置の違いや、パ
ソコンのキーボードやマウスを操作する場合の腕の支え
位置の調整のために、肘当てを左右方向に回動し得るよ
うにした椅子が、例えば実開平3-109556号公報により開
示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な肘当てを左右方向に回動し得るようにした椅子におい
て、肘当てを任意の回動角度位置で係止する係止手段
と、その係止手段の係止状態を解除させる操作手段とを
設けた椅子の肘掛け装置を提供することを目的としてい
る。

【０００４】

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 座体の側部より起立する肘掛け支柱の上端に、前
後方向を向く肘当て支持部を形成し、該肘当て支持部の
後部に肘当てを垂直軸をもって枢着することにより、肘
当ての前端部が左右方向に回動しうるようにし、かつ肘
当てを前記垂直軸を中心とする任意の回動角度位置で肘
当て支持部に係止する係止手段と、該係止手段の係止状
態を解除させる操作手段とを設け、前記操作手段の操作
部である操作ボタンを、肘当ての前端部の下方に配設す
る。

【０００６】(２) 上記(１)項において、係止手段が、
肘当てに装着した操作手段の一部を、肘当て支持部の一
部に係脱させるようにしたものとする。

【０００７】(３) 上記(１)または(２)項において、操
作手段を、肘当てに水平軸をもって枢着する。

【０００８】(４) 上記(１)〜(３)項のいずれかにおい
て、係止手段が、肘当て支持部と肘当てとのいずれか一
方に設けられた左右方向に延びる第１の波形面と、他方
のものに設けられ、かつばねの付勢力により前記第１の
波形面の任意の位置に圧接させられるようにした第２の
波形面とを備えるものとする。

【０００９】

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は、本発明を実施した椅子
(Ａ)の側面図であり、その左右両脇において座体の下か
ら肘掛け支柱(１)が立設されている。この肘掛け支柱
(１)の頂部に、肘当て支持部(２)（図２参照）が形成さ
れ、この肘当て支持部(２)に、上方から肘当て(３)が被
嵌されている。

【００１１】図２ないし図７は、本発明の第１の実施例
を示すもので、上述の肘掛け支柱(１)、肘当て支持部
(２)、及び肘当て(３)付近を拡大して示す図である。

【００１２】図２に示すように、肘掛け支柱(１)の頂部
には、前後両方向にほぼ水平に延びる肘当て支持部(２)
が、この肘掛け支柱(１)と一体に形成されている。この
肘当て支持部(２)は、図３に示すように、細長い一定の
幅を有し、その後端は丸い形状とされている。

【００１３】肘当て支持部(２)には、肘当て(３)が被嵌
されている。すなわち、図２及び図４に示すように、肘
当て上半部(3a)を上方から被せ、下方からは、肘当て下
半部(3b)を被せて肘当て上半部(3a)に嵌め合わせる。

【００１４】肘当て(３)の裏面、正確には肘当て上半部
(3a)の下面には、後部が肘当て支持部(２)の丸い形状の
後端を収容し、この後端から前方に向かって扇形に広が
る嵌合溝(４)が凹設されている。したがって、肘当て支
持部(２)は、この嵌合溝(４)内に収容されている。

【００１５】肘当て(３)、詳しくは肘当て下半部(3b)の
後端は、垂直軸(５)により肘当て支持部(２)の後端に枢
着されている。したがって、肘当て(３)は、その扇形の
嵌合溝(４)の内壁(4a)(4b)にその側縁部(2a)(2b)が当接
する極限位置まで、垂直軸(５)を中心として揺動するこ
とができる。

【００１６】肘当て(３)の前部には、水平軸(６)が設け
られ、この水平軸(６)に、操作手段(７)が枢着されてい
る。操作手段(７)は、水平軸(６)の前方において、肘当
て下半部(3b)を貫いて下方に露出する操作ボタン(7a)を
備え、水平軸(６)の後方には、図３に示すように、上方
を向き、かつ左右方向に延びる波形面(第２の波形面)
(８)が形成されている。この波形面(８)は、肘当て支持
部(２)の前部の下面に形成した同様な波形面(第１の波
形面)(９)に対して、ばね(10)の力により係合してい
る。これらの波形面(８)(９)は、係止手段を構成してい
る。

【００１７】操作ボタン(7a)を下方から押し上げると、
操作手段(７)は、ばね(10)の力に抗して水平軸(６)を中
心として回動し、図５及び図６に示すように、操作手段
(７)の波形面(８)は、肘当て支持部(２)の波形面(９)か
ら離れる。

【００１８】この状態において、肘当て(３)の前部を、
垂直軸(５)を中心として左右方向に、任意の位置まで枢
動させることができる。操作ボタン(7a)から手を離せ
ば、再び波形面(８)(９)は係合し、その位置で固定され
る。図７は、このようにして肘当て支持部(２)の片方の
側縁部(2b)が、肘当て(３)の嵌合溝(４)の片方の内壁(4
b)に当接する極限位置まで、肘当て(３)を枢動させた状
態を示している。肘当て(３)は、同様にして、逆の極限
位置まで枢動させることができる。

【００１９】

【発明の効果】請求項１記載の発明によると、普段は、
係止手段の作用により、肘当てを所望の角度位置で保持
することができるとともに、操作手段を操作することに
より、係止手段の係止状態を解除して、肘当ての回動角
度位置を軽力で変えることができる。また、操作ボタン
の上方が肘当てにより覆われるので、操作ボタンに着座
者や近くにいる人の腕等が誤って当たり、肘当てが不意
に移動するといったおそれがない。また、操作ボタンを
肘当ての前端部の下面に設けると、肘当てに腕を乗せた
ままの状態で操作ボタンを操作することができ、操作性
の向上を図ることができる。

【００２０】

【００２１】

【００２２】

【００２３】請求項４記載の発明によると、両波形面が
互いに噛合することにより、肘当てが妄りに回動しない
ようにすることができるとともに、肘当ての左右方向の
回動に適度の節度感を付与することができ、また構造を
簡素化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明肘掛け装置を備える椅子の側面図であ
る。

【図２】本発明の第１の実施例である肘掛け装置の縦断
面図である。

【図３】図２のIII-III線に沿う断面図である。

【図４】図１のIV-IV線に沿う断面図である。

【図５】図２のV線で囲む部分の作動状態を異にする断
面図である。

【図６】作動状態を異にする図２のIV-IV線に沿う断面
図である。

【図７】作動状態を異にする図２のIII-III線に沿う断
面図である。

【符号の説明】

(Ａ)椅子 (１)肘掛け支柱 (２)肘当て支持部 (2a)(2b)側縁部 (３)肘当て (3a)肘当て上半部 (3b)肘当て下半部 (４)嵌合溝 (4a)(4b)内壁 (５)垂直軸 (６)水平軸 (７)操作手段 (7a)操作ボタン (８)(９)波形面（係止手段） (10)ばね

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 座体の側部より起立する肘掛け支柱の上
   端に、前後方向を向く肘当て支持部を形成し、該肘当て
   支持部の後部に肘当てを垂直軸をもって枢着することに
   より、肘当ての前端部が左右方向に回動しうるように
   し、かつ肘当てを前記垂直軸を中心とする任意の回動角
   度位置で肘当て支持部に係止する係止手段と、該係止手
   段の係止状態を解除させる操作手段とを設け、前記操作
   手段の操作部である操作ボタンを、肘当ての前端部の下
   方に配設したことを特徴とする椅子の肘掛け装置。
2. 【請求項２】 係止手段が、肘当てに装着した操作手段
   の一部を、肘当て支持部の一部に係脱させるようにした
   ものである請求項１記載の椅子の肘掛け装置。
3. 【請求項３】 操作手段を、肘当てに水平軸をもって枢
   着した請求項１または２記載の椅子の肘掛け装置。
4. 【請求項４】 係止手段が、肘当て支持部と肘当てとの
   いずれか一方に設けられた左右方向に延びる第１の波形
   面と、他方のものに設けられ、かつばねの付勢力により
   前記第１の波形面の任意の位置に圧接させられるように
   した第２の波形面とを備えている請求項１〜３のいずれ
   かに記載の椅子の肘掛け装置。