JP2987011B2 - ハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真の分野において有
用であるハロゲン化銀粒子及びそれを含むハロゲン化銀
乳剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、カブリが低
く、粒状性に優れ、尚且つ高感度なハロゲン化銀粒子及
びそれを含むハロゲン化銀乳剤の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【発明の背景】近年、高感度にして優れた粒状性を有す
るハロゲン化銀乳剤、及びその乳剤を用いたハロゲン化
銀写真感光材料に対する市場ニーズはますます高まって
きており、それに呼応して感光材料中に使われるハロゲ
ン化銀結晶の制御も、より精密かつ複雑化してきてい
る。
【0003】一般的にハロゲン化銀粒子は、反応容器中
のコロイド水溶液において、銀塩水溶液とハロゲン塩水
溶液とを反応させることにより製造される。反応容器中
にゼラチンのような保護コロイド及びハロゲン塩水溶液
を入れ、攪拌しながらこれに銀塩水溶液をある時間添加
するシングルジェット法や、反応容器中にゼラチン水溶
液を入れハロゲン塩水溶液をある時間添加するダブルジ
ェット法が知られている。両者を比較すると、ダブルジ
ェット法の法が粒子径分布の狭いハロゲン化銀粒子が得
られ、更に粒子の成長にともなって、そのハライド組成
を自由に変えるとができる。
【0004】又、ハロゲン化銀粒子の成長速度は、反応
溶液中の銀イオン(ハロゲンイオン)濃度、ハロゲン化
銀溶剤の濃度、粒子間距離、粒子サイズなどにより大き
く変化することが知られている。特に反応容器に添加さ
れる銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液によって作り出され
る銀イオンあるいはハロゲンイオン濃度の不均一は、各
々の濃度により成長が異なり、結果としてできあがるハ
ロゲン化銀乳剤を不均一に生じせしめる。このためには
反応容器中の銀イオンあるいはハロゲンイオン濃度を均
一にすべく、コロイド水溶液中に供給する銀塩水溶液と
ハロゲン塩水溶液とを迅速に均一混合して反応させるこ
とが必要である。
【0005】従来のハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを
反応容器中のコロイド水溶液の表面に添加する方法で
は、各々の反応液の添加位置近傍において、ハロゲンイ
オン及び銀イオンの濃度の高い部分が生じ、均一なハロ
ゲン化銀粒子を製造することは困難であった。この局部
的な濃度の偏りを改良する方法として、米国特許第3,
415,650号、英国特許第1,323,464号、
米国特許第3,692,283号に開示された技術など
がある。
【0006】これらの方法は、コロイド水溶液により満
たされた反応容器に中太状円筒の壁にスリットを有する
中空の回転する混合器(内部はコロイド水溶液で満たさ
れており、より好ましくは混合器がディスクによって上
下2室に分割されている。)を、その回転軸が鉛直とな
るように設け、その上下開放端からハロゲン塩水溶液と
銀塩水溶液とを供給管を通じて高速回転している混合器
内に供給し急速に混合して反応せしめ(上下の分離ディ
スクがある場合は、上下2室に供給されたハロゲン塩水
溶液と銀塩水溶液は各々各室に満たされたコロイド水溶
液によって稀釈され、混合器の出口スリット付近で急速
に混合して反応せしめ)、混合器の回転により生ずる遠
心力で生成したハロゲン化銀粒子を反応容器中のコロイ
ド水溶液に排出せしめる方法である。
【0007】一方、特公昭55−10545号公報に、
局部的な濃度の偏りを改良して不均一成長を防ごうとす
る技術が開示されている。この方法は、コロイド水溶液
が満たされている反応容器中にその内部にコロイド水溶
液が満たされた混合器のその開放された下端部から、ハ
ロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて、別々
に供給し、該反応液を混合器に設けられた攪拌翼(ター
ビン羽根)によって両反応液を急激に攪拌混合せしめ、
ハロゲン化銀を成長させ、直ちに前期攪拌翼の上方に設
けられた上部攪拌翼により成長したハロゲン化銀粒子
を、上方の混合器の開口部から反応容器中のコロイド水
溶液に排出せしめる技術である。
【0008】特開昭57−92523号公報には、同様
にこの濃度の不均一を改良しようとする製造方法が開示
されている。この方法では、コロイド水溶液が満たされ
ている反応容器内にその内部にコロイド水溶液が満たさ
れた混合器に、その開放された下端部からハロゲン塩水
溶液と銀塩水溶液とを別々に供給し、該両反応を前記コ
ロイド水溶液により稀釈し、該反応液を、混合器に設け
られた攪拌翼によって両反応液を急激に攪拌混合せし
め、直ちに該混合器上方の開放部から成長したハロゲン
化銀粒子を反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめる
製造方法ないし装置において前記コロイド水溶液で稀釈
された両反応液を前記攪拌翼の各翼間の間隙を通すこと
なく前記混合器の内側壁と前記攪拌翼の翼片先端側外方
に形成された間隙部に通し、該間隙部において該両反応
液を急激に剪断混合して反応、ハロゲン化銀粒子を生成
せしめる製造方法及び装置が開示されている。
【0009】しかしながら、これまで述べてきた製造方
法及び装置では、確かに反応容器中の銀イオン及びハロ
ゲンイオンの局部的な濃度の不均一は完全に解消するこ
とができるが、混合器内においては依然として濃度の不
均一は存在し、特に銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を
供給するノズルの近傍及び攪拌翼の下部及び攪拌部分に
おいてかなり大きな濃度分布が存在する。
【0010】更に保護コロイドとともに混合器に供給さ
れたハロゲン化銀粒子はこの様な不均一な濃度分布を持
った場所を通過し、特に大切なことは、ハロゲン化銀粒
子は、これらの部分において急速に成長する。つまりこ
れらの製造方法及び装置においては、濃度分布は混合器
内に存在し、粒子成長はその混合器内で急速に起こるた
め、濃度分布のない状態でハロゲン化銀を均一に成長せ
しめるという目的は達し得ていない。
【0011】更により完全な混合によるこれらの銀イオ
ン、ハロゲンイオンの濃度の不均一分布を解消すべく、
反応容器と混合器をそれぞれ独立せしめ、混合器に銀塩
水溶液とハロゲン塩水溶液を供給し急速混合してハロゲ
ン化銀を成長せしめる試みがなされてきた。例えば特開
昭53−37414号及び特公昭48−21045号の
各公報には、反応容器の底からポンプにより反応容器内
の保護コロイド水溶液(ハロゲン化銀粒子を含む)を循
環し、この循環系の途中に混合器を設け、この混合器に
銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を供給し、該混合器で
急速に該両水溶液を混合しハロゲン化銀水溶液を成長せ
しめる製造方法及び装置が開示されている。
【0012】又米国特許第3,897,935号には、
反応容器の底からポンプにより反応容器内の保護コロイ
ド水溶液(ハロゲン化銀粒子を含む)を循環し、この循
環系の途中にハロゲン塩水溶液及び銀塩水溶液をポンプ
により注入する方法が開示されている。特開昭53−4
7397号公報には、反応容器からポンプにより保護コ
ロイド水溶液(ハロゲン化銀乳剤を含む)を循環させ、
その循環系にまずハロゲン化アルカリ金属塩水溶液を注
入し、それが均一になるまで拡散させ、しかる後にこの
系に銀塩水溶液を注入し混合して、ハロゲン化銀粒子を
形成することを特徴とする製造方法及び装置が開示され
ている。
【0013】これらの方法では確かに、循環系に流す反
応容器内の水溶液の流量と混合器の攪拌効率を独自に変
化させることができ、より濃度分布が均一な条件で粒子
成長を行うことができるであろうが、結局、保護コロイ
ド水溶液と共に反応容器から送られてきたハロゲン化銀
結晶は銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液の注入口で急速成
長を起こす。従って前に述べたと同様に混合部あるいは
注入口付近の濃度分布をなくすことは原理的に不可能で
あり、つまり濃度分布のない状態でハロゲン化銀を均一
に成長せしめる目的は達し得ていない。
【0014】上記したような、従来のハロゲン化銀粒子
の問題点を根本的に克服する方法として既に知られてい
るものに、WO89/06830号あるいは特開平2−
166442号公報などに記載されているような、ハロ
ゲン化銀微粒子を添加し、熟成させることにより粒子形
成を行う方法がある。この方法は銀イオンとハロゲンイ
オンの供給源にハロゲン化銀微粒子を用いることが特徴
で、反応容器内に添加され攪拌によって分散された微粒
子は、その溶解に伴う連続的なイオン放出とその数が非
常に多いことによる反応容器内のイオン濃度の均一性に
より、先述したような問題点を原理的に生じ得ない粒子
形成法といえる。
【0015】上記微粒子添加による粒子形成法におい
て、微粒子自身の形成方法及びその後の微粒子の添加方
法には、現在大きく分けて以下の2通りの方法が知られ
ている。 (a)粒子形成を行う反応容器とは別の混合器内で、銀
塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を反応させて所望のハロ
ゲン組成を有する微粒子ハロゲン化銀を形成し、これを
直ちに反応容器内に添加する方法。
【0016】(b)粒子成長プロセスとは独立して、所
望のハライド組成を有するハロゲン化銀微粒子を予め調
整し、これを粒子形成時に添加する方法。
【0017】上記(a),(b)での所望のハライド組
成とは、形成するハロゲン化銀粒子内の目的とする層の
ハライド組成と同一の物を意味しており、それが好まし
いとされている。しかしこれらの方法を追試し得られた
ハロゲン化銀乳剤と従来の方法(ダブルジェット法等の
銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を用いる方法)で得ら
れた物との写真性能を比較評価したところ、原理的には
先述したような問題点を生じない粒子形成法とされてい
るにも関わらず、特にカブリ(還元銀)の低減と粒状性
の向上という点ではほとんど効果が認められなかった。
【0018】酸化剤の存在下でハロゲン化銀粒子形成を
行う方法に関しては、例えば、特開昭61−3136
号、同62−54249号、同62−73251号、あ
るいは特開平3−172836号、同3−189641
号、同3−196138号等の各公報に開示される技術
が知られている。これらの技術は、主として粒子形成時
に生成される還元銀を酸化し、カブリを制御することを
目的としている。しかしこれらの技術を用いた場合にお
いても、カブリの低減とそれにともなう粒状性の向上は
満足できる効果として得られてはいなかった。
【0019】
【発明の目的】従って本発明の目的は、従来の製造方法
および装置では達し得なかった、カブリが低く、粒状性
に優れ、尚且つ高感度なハロゲン化銀粒子及びそれを含
むハロゲン化銀乳剤の製造方法を提供することにある。
【0020】
【発明の構成】本発明の目的は下記によって解決され
た。すなわち、 (1)分散媒と感光性ハロゲン化銀粒子から成るハロゲ
ン化銀乳剤の製造方法において、ハロゲン化銀微粒子を
成長粒子形成中の一部あるいは全部に供給することによ
り所望のハロゲン化銀粒子の成長を行ってハロゲン化銀
粒子を製造する場合、前記ハロゲン化銀微粒子を酸化剤
の存在下で形成することを特徴とするハロゲン化銀乳剤
の製造方法。
【0021】(2)前記請求項1記載の酸化剤の存在下
で形成されたハロゲン化銀微粒子を粒子成長中の一部あ
るいは全部に供給して、成長を行うことを特徴とするハ
ロゲン化銀粒子の製造方法。
【0022】上記製造方法により本発明の目的とする、
感度・粒状性に優れ、且つカブリの低いハロゲン化銀乳
剤が得られるが、その理由については今のところ定かで
はない。しかし鋭意検討の結果から以下のことが明らか
になった。
【0023】すなわち、先述のハロゲン化銀微粒子を用
いて形成し、それを添加して粒子形成を行う方法により
調整されるハロゲン化銀乳剤の写真性能、とりわけカブ
リと粒状性は、添加するハロゲン化銀乳剤の調整条件に
大きく影響される。例えば、カブリを生じ易い環境下で
形成したハロゲン化銀微粒子を用いて形成したハロゲン
化銀粒子のカブリは劣化(増加)する。このことは、添
加した微粒子が有する還元銀が微粒子の溶解後にも微小
な銀クラスターとして存在し、それが粒子成長時に取り
込まれてカブリ核となるものと考えられる。従って先述
の方法は単にカブリ(還元銀)が生成されうる工程を粒
子成長工程から微粒子形成工程に移したに過ぎず、根本
的な問題解決には至っていなかった。
【0024】本発明においては、ハロゲン化銀微粒子を
酸化剤の存在下で形成することによってハロゲン化銀微
粒子形成時に発生する還元銀核を抑えるため、粒子成長
工程において成長粒子に取り込まれる微小な銀クラスタ
ーを根本的に減少させ、結果的にカブリ核の発生を抑え
ることができる。またこの様にして形成されたハロゲン
化銀微粒子を成長工程に用いることによって、本発明の
製造方法と従来の方法では還元銀の存在状態が決定的に
異なること、それに起因した以下の理由により、本発明
の目的を達成することができたと考えている。
【0025】(1)従来の方法では、酸化剤が作用すべ
き還元銀は成長過程の粒子表面に生成されたものである
のに対して、本発明においては微粒子の溶解に伴い放出
されたいわば反応容器内に浮遊した銀クラスターであ
る。 (2)微小な銀クラスターは不安定なものであるが、結
晶表面に存在する場合と単独で存在する場合では、後者
の方がより不安定であり酸化され易い。
【0026】(3)成長過程で粒子表面に形成された還
元銀は粒子成長にともない埋没してしまうため、酸化剤
と反応可能な時間が非常に短いのに対して、微粒子の溶
解にともない放出される銀クラスターは成長粒子に取り
込まれるまで酸化剤と反応できるため酸化剤が作用する
可能性が非常に高くなる。
【0027】以下に本発明を詳述する。本発明でいう酸
化剤とは、ハロゲン化銀微粒子形成過程で生ずる銀クラ
スターを酸化し、イオン化する作用を有するものをい
う。このとき生成した銀イオンは、ハロゲン化銀などの
難溶性の銀塩を形成してもよく、又水に対する溶解度が
大きい銀塩を形成しても良い。本発明において用いられ
る酸化剤は、無機質、有機物のいずれも用いることがで
きる、例えば、無機質酸化剤としては、オゾン、過酸化
水素及びその付加物、ベルオキシ酸塩などの酸素酸塩、
沃素や臭素等のハロゲン元素及びチオスルフォン酸塩な
どがある。又有機物酸化剤としては、P−キノン類や有
機過酸化物がある。このうち本発明において好ましく用
いられる酸化剤はハロゲン元素であり、特に沃素が好ま
しい。
【0028】本発明において酸化剤の添加量は、成長工
程終了の段階でハロゲン化銀粒子1モル当り10-8モル
以上、10-1モル以下であることが好ましく、10-7
ル以上、10-2モル以下がより好ましい。特に好ましく
は10-5モル以上、10-2モル以下である。
【0029】本発明において、微粒子形成過程で酸化剤
を存在せしめる方法としては、一般的に添加剤を存在せ
しめる方法を適用することができる。例えば、ハロゲン
化銀微粒子形成を行う母液中(通常分散媒を含む)に予
め存在せしめても良いし、また成長工程と平行して微粒
子を製造する場合には図1に示すように保護コロイド溶
液やハロゲン塩水溶液の添加容器内に存在せしめること
ができる。
【0030】また図2のように酸化剤を入れる容器を設
置し、微粒子形成過程で添加しても良い。粒子形成過程
で添加する場合には、一度に添加しても良いし、2回以
上に分割して添加しても良い。また成長工程と平行して
微粒子を製造する場合には流量制御を行いながら、ある
一定時間に渡って添加しても良い。ハロゲン化銀粒子成
長過程でも、酸化剤を存在せしめる場合も上記同様の方
法を用いることができる。
【0031】使用する酸化剤はその効果を失わない範囲
内で任意に調整して用いることができる。すなわち、水
に難溶性あるいは不溶性の化合物は、適切な有機溶媒、
例えばアルコール類、ケトン類、グリコール類などに予
め溶解して、また水溶性化合物は水溶液として添加する
ことができる。酸化剤としてハロゲン元素、特に沃素を
用いる場合には、アルコールに予め溶解した後用いるこ
とが好ましい。
【0032】本発明のハロゲン化銀乳剤を調整する際に
使用されるハロゲン化銀微粒子は、該ハロゲン化銀乳剤
の調整に先立ち予め調整しても良いし、平行して調整し
ても良い。後者の平行して調整する場合には、特開平1
−183417号、同2−44335号等に示されるよ
うにハロゲン化銀微粒子を反応容器外に別に設けられた
混合器を用いることにより微粒子を形成する方法が開示
されているが、実際の系では、
【0033】1.混合器への銀塩水溶液及びハロゲン塩
水溶液の供給速度が反応容器内のハロゲン化銀粒子の成
長速度の影響を受ける、 2.ハロゲン化銀微粒子の形成環境(pAg、pH、温
度等)が反応容器内の成ハロゲン化銀粒子内部成長環境
が独立でない。
【0034】すなわち反応容器内のpAg、pH、温度
という点から、特願平2−314891号明細書に記載
されているように微粒子形成後に調整容器を設け、ここ
で該ハロゲン化銀微粒子乳剤を反応容器内の成長環境に
合わせて調整しながら該反応容器に供給することが望ま
しい。
【0035】該ハロゲン化銀粒子の形成方法としては、
硝酸等を用いて酸性乃至弱酸性環境(pH<5.6)で
粒子を形成する方法や、弱酸性乃至中性環境(5.5≦
pH≦7)で粒子を形成する方法、アンモニア等のハロ
ゲン化銀溶剤を用いて粒子形成する方法等を用いること
ができるが、好ましくは弱酸性乃至中性環境、より好ま
しくは酸性乃至弱酸性環境で粒子を形成することが好ま
しい。
【0036】またpAgは銀イオン濃度の高い状態で
は、微粒子自身の還元銀核が発生し易い環境であるた
め、好ましくは3.0以上、より好ましくは5.0以
上、さらに好ましくは8.0以上である。
【0037】また該ハロゲン化銀微粒子を形成する際の
温度としては、50℃以下が良いが、好ましくは40℃
以下、より好ましくは35℃以下が好ましい。また本方
法を用いてハロゲン化銀粒子を形成する際の保護コロイ
ドには、通常の高分子のゼラチンを用いることができ、
具体的にはリサーチ・ディスクロージャー誌第176
巻、No.17643(1978年12月)のIX項に
記載されている。
【0038】更に低温で乳剤を形成することも可能であ
り、これにより微粒子の形成後のオストワルド熟成の進
行を更に抑えることができるが、低温にすることによっ
て、ゼラチンが凝固しやすくなるため、この場合には特
願平2−166442号明細書に記載されているような
低分子量ゼラチン、ハロゲン化銀粒子に対して保護コロ
イド作用を有する合成高分子化合物、あるいはゼラチン
以外の天然高分子化合物等を用いても良い。保護コロイ
ドの濃度は1重量%以上、好ましくは2重量%以上、さ
らに好ましくは3重量%以上が良い。
【0039】該ハロゲン化銀微粒子の形成後、核粒子の
存在する反応容器内部にこれを添加し、オストワルド熟
成効果により、ハロゲン化銀粒子の成長を行う。本発明
により形成されたハロゲン化銀微粒子はその粒子サイズ
が微細であるために容易に溶解し、再び銀イオンとハロ
イドイオンとなり均一な成長を起こせしめる。この微粒
子のハロゲン組成は単一ハロゲン組成でも2種類以上の
ハロゲン組成でもよく、目的とするハロゲン化銀粒子の
組成と同じ組成のものを形成する。あるいは単一組成の
ものを形成後、それぞれ流量制御して添加し、目的とす
るハロゲン組成の層を形成してもよい。
【0040】本発明による微粒子のサイズ0.05μm
以下、好ましくは0.03μm以下、より好ましくは
0.01μm以下であり、図3に示す装置を用いる場合
には、混合器7での微粒子形成後、調整容器9に供給し
た後、反応容器(成長槽)1に供給されるまでの時間は
好ましくは7時間以内、より好ましくは2時間以内、さ
らに好ましくは20分以内である。さきに述べたように
調整容器9内は乳剤を一定の温度に保つことのできる温
度制御装置を有することが望ましく、また乳剤の調整温
度は形成時と同じように50℃以下が良いが、好ましく
は40℃以下、より好ましくは35℃以下が好ましい。
【0041】本発明の方法によるハロゲン化銀微粒子の
形成装置の例を図3に示す。容器A、B、Cにはそれぞ
れ酸化剤を存在せしめた保護コロイド水溶液、硝酸銀水
溶液、ハロゲン塩水溶液が含有されている。これらの溶
液を各々添加系4、5、6にて混合器7に流量制御しな
がら供給する。混合器7内でこれらの水溶液を急速かつ
強力に混合して排出し、系8より次の調整容器9に供給
される。
【0042】図4に混合器の詳細を示すが、この混合器
7はその中に反応室10が設けられ、その反応室10の
中に回転翼12が取付けられており、これにより急速か
つ強力に混合される。該回転翼の回転数としては5,0
00rpm以上、好ましくは7,000rpm以上、さ
らに好ましくは10,000rpm以上がよい。調整容
器9にはpAg,pHの監視装置11、また調整液とそ
の添加系13等により常に一定の条件に保たれるように
なっている。微粒子乳剤は添加系14、及び例えばポン
プ15などの装置により結晶成長を行う反応容器(成長
槽)1内に供給される。
【0043】本発明のハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン
化銀として臭化銀、沃臭化銀、沃塩化銀、塩臭化銀およ
び塩化銀などの通常のハロゲン化銀乳剤に使用される任
意のものを用いることができるが、特に、臭化銀、沃臭
化銀、塩沃臭化銀であることが好ましい。本発明のハロ
ゲン化銀写真乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は、潜像
が主として表面に形成されるような粒子であってもよ
く、また主として粒子内に形成されるような粒子でも良
い。
【0044】本発明のハロゲン化銀写真乳剤に含まれる
ハロゲン化銀粒子は、立方体、8面体、14面体のよう
な規則的な結晶形をもつものでも良いし、球状や板状の
ような変則的な結晶形を持つものでも良い。これらの粒
子において、{100}面と{111}面の比率は任意
の物が使用できる。
【0045】又、これらの結晶形の複合形をもつもので
もよく、さまざまな結晶形の粒子が混合されていても良
いが、好ましくは二つの対行する平行な双晶面を有する
双晶ハロゲン化銀粒子が用いられる。双晶とは、一つの
粒子内に一つ以上の双晶面を有するハロゲン化銀結晶で
あるが、双晶の形態の分類はクラインとモイザーによる
報文「Photographishe Korresp
ondenz」99巻99頁。同100巻57頁に詳し
く述べられている。
【0046】本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロ
ゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制限はないが、平均
粒径が0.1から3μmのものが望ましい。さらに好ま
しくは0.2から2μmである。本発明に係るハロゲン
化銀写真乳剤は、粒子サイズ分布の広い多分散乳剤、粒
子サイズ分布の狭い単分散乳剤などの任意のものが用い
られるが、単分散であることが好ましい。
【0047】ここで単分散のハロゲン化銀乳剤として
は、平均粒径riを中心に20%の粒径範囲内に含まれ
るハロゲン化銀粒子の重量が前ハロゲン化銀粒子重量の
60%以上であるものが好ましく、より好ましくは70
%以上、更に好ましくは80%以上である。ここに平均
粒径は粒径riを有する粒子の頻度niとri3 との積
ni×ri3 が最大になるときの粒径riと定義する。
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合
は、その直径、又球状以外の粒子の場合は、その投影像
を同面積の円像に換算したときの直径である。粒径は、
例えば該粒子を電子顕微鏡で1万から7万倍に拡大して
撮影し、そのプリント状の粒子直径または投影時の面積
を実測することによって得ることができる(測定粒子個
数は無差別に1000個以上あるものとする)。
【0048】本発明の特に好ましい高度の単分散乳剤
は、 (標準偏差/平均粒径)×100=分布の広さ(%) によって分布の広さを定義したとき20%以下のもので
あり、さらに好ましくは15%以下のものである。ここ
に平均粒径及び標準偏差は上記に定義した粒径riから
求めるものとする。
【0049】本発明の方法によって、沃臭化銀を調整す
る場合、その沃化銀の含有率は、ハロゲン化銀粒子全体
での平均沃化銀含有率として4モル%以上15モル%以
下であることが好ましく、6.0〜10モル%であるこ
とが更に好ましい。本発明によるハロゲン化銀乳剤に含
まれるハロゲン化銀粒子は、沃化銀が内部に集中してい
る、いわゆるコア/シェル型粒子であることが好まし
い。
【0050】該コア/シェル型粒子は、核となるコア
と、該コアを被覆するシェルとから構成される粒子であ
り、シェルは1層あるいはそれ以上の層によって形成さ
れる。コアとシェルの沃化銀含有率は、それぞれ異なる
ことが好ましく、特にコア部の沃化銀含有率を最高にし
て形成されるのが望ましい。上記コアの沃化銀含有率は
10モル%以上であることが好ましいが、20モル%以
上のものがより好ましく、更に好ましくは25モル%以
上である。又上記シェルの中で最も外側にあるシェル、
つま通常最表面層を形成するシェルの沃化銀含有率は、
5モル%以下が望ましいが、より好ましくは0〜2モル
%である。コアの占める割合は粒子全体の体積の2〜6
0%とするのが望ましく、5〜50%が更に好ましい。
【0051】また本発明により調整される乳剤は粒子間
の沃化銀含有率がより均一になっていることが好まし
い。XMA法によって個々のハロゲン化銀粒子の平均沃
化銀含有率を測定したとき、測定値の相対標準偏差が2
0%以下であることが好ましい。さらに好ましくは15
%以下、特に好ましくは12%以下のものである。個々
の相対標準偏差とは、例えば少なくとも100個の乳剤
の沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差
をそのときの平均沃化銀含有率で除した値×100であ
る。
【0052】本発明のハロゲン化銀粒子は、反応容器に
予め保護コロイドを含む水溶液および種粒子を存在さ
せ、必要に応じて銀イオン、ハロゲンイオンあるいはハ
ロゲン化銀微粒子を供給して種粒子を結晶成長させて得
るものである。ここで、種粒子は当該分野でよく知られ
ているシングルジェット法、コントロールド・ダブルジ
ェット法などにより調整することができる。種粒子のハ
ロゲン組成は任意であり、臭化銀、沃化銀、塩化銀、沃
臭化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀のいずれであ
っても良いが、臭化銀、沃臭化銀が好ましい。
【0053】本発明に用いられる種粒子は、立方体、8
面体、14面体のような規則的な結晶形を持つものでも
良いし、球状や板状のような変則的な結晶形を持つもの
でも良い。これらの粒子において、{100}面と{1
11}面の比率は任意の物が使用できる。又、これらの
結晶形の複合形を持つものでもよく、様々な結晶形の粒
子が混合されていても良いが、特願平2−408178
号明細書記載の単分散球形粒子を用いることが好まし
い。
【0054】本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の形成
手段としては、当該分野でよく知られている種々の方法
を用いることができる。すなわち、シングルジェット
法、ダブルジェット法、トリプルジェット法などを任意
に組み合わせて使用することができる。又、ハロゲン化
銀の生成される液相中のpAg,pHをハロゲン化銀の
成長速度に合わせてコントロールする方法も併せて使用
することができる。
【0055】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、酸性
法、中性法、アンモニア法のいずれの方法でも製造する
ことができるが、特願平2−23713号明細書記載の
pHが10.5以下であるアンモニア性硝酸銀水溶液を
用い、かつ特願平2−23336号明細書記載のpH
7.5以下でのハロゲン化銀形成を行うことが好まし
い。
【0056】本発明のハロゲン化銀写真乳剤に含まれる
ハロゲン化銀粒子は、粒子を形成する過程及び/又は成
長させる過程で、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウ
ム塩、イリジウム塩(錯塩を含む)、ロジウム塩(錯塩
を含む)および鉄塩(錯塩を含む)等を用いて金属イオ
ンを添加し、粒子内部に及び/又は粒子表面にこれらの
金属元素を含有させることができ、又適当な還元的雰囲
気下に置くことにより粒子内部及び/又は粒子表面に還
元増感核を付与できる。
【0057】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、ハロゲ
ン化銀粒子の成長の終了後に不要な可溶塩類を除去して
も良いし、あるいは含有させたままでも良い。該塩類を
除去する場合には、「Research Disclo
sure」(以下RDと略す)17643号II項に記
載の方法に基づいて行うことができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例で更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの例によって限定されるものではな
い。
【0059】実施例1 〔球形種乳剤EM−T1の調製〕以下に示す方法によっ
て、単分散性の球形種乳剤EM−T1を調製した。
【0060】 A オセインゼラチン 80.0g 臭化カリウム 47.4g 蒸留水で8000ミリリットルにする
【0061】 B 硝酸銀 1200g 蒸留水で1600ミリリットルにする
【0062】 C オセインゼラチン 32.2g 臭化カリウム 823.9g 沃化カリウム 23.5g 蒸留水で1600ミリリットルにする
【0063】 D アンモニア水 470ミリリットル
【0064】40℃で激しく攪拌したA液に、B液とC
液をダブルジェット法により11分間で添加し、核の生
成を行った。この間、pBrは1.60に保った。その
後12分間かけて、温度を30℃に下げ、さらに18分
間熟成を行った。更にD液を1分間で添加し、引き続き
5分間の熟成を行った。熟成時のKBr濃度は0.07
モル/リットル、アンモニア濃度は0.63モル/リッ
トルであった。
【0065】熟成終了後にpHを6.0に調整し、常法
に従って脱塩を行った。かくして得られた種乳剤粒子を
電子顕微鏡観察したところ、互いに平行な2枚の双晶面
を有する、平均粒径0.30μmの球形乳剤であった。
【0066】〔微粒子乳剤MC−1の調製・・・比較〕
第5図に示すように0.06モルの臭化カリウムと硝酸
銀を含む6.0重量%のゼラチン水溶液23を入れ、3
5℃に保った反応容器31に、25℃に保った7.06
モルの硝酸銀21と、7.06モルの臭化カリウムと沃
化カリウムを含む(KBr:KI=98:2)水溶液2
2各々2000ミリリットルを、ダブルジェット法によ
り約10分間かけて添加して微粒子乳剤MC−1を調製
した。混合の間は常に流量制御により、pAgは9.0
以上に、またpHは2.0に保つようにした。粒子形成
後に炭酸ナトリウムを添加しpHを6.0に調製した。
得られた粒子は電子顕微鏡観察の結果、平均粒径0.0
45μmから0.050μmの微粒子であった。
【0067】〔微粒子乳剤MC−2の調製・・・比較〕
0.06モルの臭化カリウムと硝酸を含む6.0重量%
のゼラチン水溶液および7.06モルの硝酸銀と、7.
06の臭化カリウムと沃化カリウムを含む(KBr:K
I=98:2)水溶液各々2000ミリリットルを図6
に示した32、33、34の容器に入れ、硝酸銀水溶液
21を35℃、ハロゲン塩水溶液22、保護コロイド水
溶液23を25℃に保った後、35に示した反応容器の
側に設けられた混合器を用いてそれぞれの溶液を約10
分間かけてトリプルジェット法で添加した。混合の間は
常に流量制御により、pAgは9.0以上に、またpH
は2.0に保つようにした。
【0068】混合器35の温度は35℃に保たれ、また
混合器35の攪拌回転翼の回転数は4000rpmとし
た。混合器35内で発生した微粒子は、ただちに調整容
器36に導入されここで調整液に入った容器37に保存
した炭酸ナトリウムをMC−1と同様に添加しpHを
6.0に調整した。得られた粒子は電子顕微鏡観察の結
果、平均粒径0.035μm〜0.040μmの微粒子
であった。
【0069】〔微粒子乳剤MC−3の調製・・・本発明
による方法〕0.06モルの臭化カリウムと硝酸を含む
6.0重量%のゼラチン水溶液5000ミリリットルに
酸化剤として2.5×10-4モルの沃素を含むメタノー
ル溶液を添加し、その他の条件は微粒子乳剤MC−2の
調製時と同じ条件で微粒子乳剤MC−3を調製した。
【0070】〔微粒子乳剤MC−4〜MC−8の調製・
・・本発明による方法〕MC−2で添加した沃素の他に
表1に示した酸化剤を用い、これを7.06モルの臭化
カリウムと沃化カリウムを含む(KBr:KI=98:
2)水溶液に添加し、これ以外の条件はMC−1と同様
な方法により微粒子乳剤MC−3〜MC−6を調製し
た。
【0071】
【表1】 乳剤名 酸化剤 添加量 MC−4 沃素 2.0×10-4モル MC−5 沃素 5.0×10-2モル MC−6 過酸化水素 5.0×10-5モル MC−7 化合物I 5.0×10-5モル MC−8 化合物II 5.0×10-5モル (注) 酸化剤の添加量は微粒子1モル当りの値で示し
た。
【0072】化合物I C25 SO2 SNa
【0073】
【化1】
【0074】以上の方法で作製したEM−T1および微
粒子MC−1〜MC−8と以下に示す5種類の水溶液を
用いて乳剤EM−1〜EM−8を調製した。
【0075】 (溶液A1 ) オセインゼラチン 268.2g 蒸留水 4.0リットル 種乳剤EM−T1 0.286モル 10%硝酸水溶液 pH調製量 蒸留水で5930.0ミリリットルにする
【0076】 (溶液B1 ) 3.5N硝酸銀水溶液 10.31モル (溶液C1 )2.0重量%のゼラチンを含む、臭化カリ
ウムと沃化カリウムの3.5N(沃化カリウムを2.0
モル%含有)水溶液。 (溶液F1 )10%硝酸水溶液 (溶液G1 )臭化カリウム1.75N水溶液
【0077】反応容器内で液温65℃、pH4.0、p
Ag8.06に保った溶液A1 に、溶液B1 及び溶液C
1 をダブルジェット法により加速添加した。ここで、溶
液B1 及びC1 の添加速度は成長している種結晶以外の
小粒子の発生、及びオストワルド熟成により多分散化し
ないように適切な添加速度で添加した。成長中のpHは
溶液F1 を用いて4.00に制御し、またpAgは溶液
1 を用いて8.2から9.0まで連続的に変化させ
た。
【0078】溶液B1 が5.31モル添加された段階で
溶液B1 、C1 の添加を止め、5.0モル相当のMC−
1を用いて残りの粒子形成を行い、乳剤EM−1を調製
した。MC−1の代わりにMC−2〜MC−8を用いて
同様な方法で作製した乳剤をEM−2〜EM−8とす
る。
【0079】粒子形成後に、特願平3−41314号明
細書に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラチ
ンを加え再分散し、40℃にてpHを5.80、pAg
を8.06に調製した。得られた各ハロゲン化銀粒子は
走査型電子顕微鏡による観察から何れも球換算平均粒径
1.0μm、分布の広さが10.5%、アスペクト比
2.3であり、平行な2枚の双晶面をもつ低アスペクト
比双晶単分散乳剤であった。
【0080】<ハロゲン化銀写真感光材料の作製>EM
−1〜EM−8の各乳剤に、金・硫黄増感及び下記2種
の分光増感色素(1)及び(2)のメタノール溶液を用
いての分光増感を各々最適に施した後、下記カプラー
(1)の分散液を加えてトリアセチルセルロースフィル
ム支持体上に塗設して試料101〜108を作製した。
【0081】増感色素(1):アンヒドロ−5,5′−
ジクロロ−3,3′−ジ−(3−スルホプロピル)−9
−エチルチアカルボシアニンヒドロキシド・ピリジニウ
ム塩 増感色素(2):アンヒドロ−9−エチル3,3′−ジ
−(3′−スルホプロピル)−4,5,4′,5−ジベ
ンゾチアカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミ
ン塩
【0082】
【化2】
【0083】このようにして作製した各試料に対して、
色温度5400k°の光源を用い、東芝ガラスフィルタ
ー(Y−48)を通してウェッジ露光を与え、下記現象
処理を行った。
【0084】 1.カラー現像 1分45秒 38.0±0.1℃ 2.漂 白 6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 4.定 着 6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水 洗 3分15秒 24.0〜41℃ 6.安 定 化 3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾 燥 50℃以下
【0085】各処理工程において使用した処理液組成は
下記の通りである。 〔発色現像液〕 4−アミノ−3−メチル−N−エチル− N−(β−ヒドロキシエチル)−アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0 g
【0086】 無水炭酸カリウム 37.5 g 臭化ナトリウム 1.3 g ニトリロ三酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.5 g 水酸化カリウム 1.0 g 水を加えて1リットルとし、pH10.0に調整する。
【0087】 〔漂白液〕 エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0 g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0 g 臭化アンモニウム 150.0 g 氷酢酸 10.0 g 水を加えて1リットルとし、アンモニウム水を用いてpH6.0に調整する。
【0088】 〔定着液〕 チオ硫酸アンモニウム 175.0 g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5 g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3 g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH6.0に調整する。
【0089】 〔安定液〕 ホルマリン(37%水溶液) 1.5ミリリットル コニダックス(コニカ株式会社製) 7.5ミリリットル 水を加えて1リットルとする。
【0090】得られた各試料に対して赤色光(R)を用
いて、相対カブリ、相対感度、相対RMS値の測定を試
料作製直後に行った。相対カブリは、最小濃度(Dmi
n)の相対値であり、試料101のDmin値を100
とする値で表した。相対感度は、Dmin+0.15の
濃度を与える露光量の逆数の相対値であり、試料101
の感度を100とする値で示した。相対RMS値の測定
位置は、相対感度の測定位置と同じくDmin+0.1
5となる濃度点である。
【0091】相対RMS値は試料の被測定部の濃度を、
イーストマンコダック社製ラッテンフィルターW−26
を装着した開口走査面積1800μm2 (スリット幅1
0μm、スリット長180μm)マイクロデンシトメー
ターで走査し、濃度測定サンプリング数1000以上の
濃度値の変動の標準差を求め、試料101のRMS値を
100とする値で示した。相対RMS値が小さい程粒状
性が良いことを意味する。測定結果を表2に示す。
【0092】
【表2】 試料No. 乳 剤 相対カブリ 相対RMS値 相対感度 種別 101 EM−1 100 100 100 比較 102 EM−2 96 99 103 比較 103 EM−3 68 74 136 本発明 104 EM−4 60 65 150 本発明 105 EM−5 75 81 130 本発明 106 EM−6 80 84 121 本発明 107 EM−7 71 77 140 本発明 108 EM−8 71 81 132 本発明
【0093】表2に示されるように本発明による方法で
調製されたハロゲン化銀粒子は明らかに従来法で調製さ
れた粒子に対し、カブリが低く粒状性に優れ、感度も良
いことが分かる。
【0094】
【発明の効果】本発明の方法により、微粒子自体に還元
銀核のない微粒子を供給することができ、これにより従
来にない、カブリが低く粒状性に優れ、尚且つ高感度な
ハロゲン化銀粒子を形成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる微粒子ハロゲン化銀粒子の製造
におけるフローシートである。
【図2】本発明に用いる微粒子ハロゲン化銀粒子の製造
における他の例のフローシートである。
【図3】本発明に用いられるハロゲン化銀微粒子の形成
装置を示す図式図である。
【図4】本発明に用いられる混合器を示す断面図であ
る。
【図5】実施例に用いる微粒子ハロゲン化銀粒子の製造
におけるフローシートである。
【図6】実施例に用いる微粒子ハロゲン化銀粒子の製造
における他のフローシートである。
【符号の説明】
1、31 反応容器 7、26、35
混合器 10 反応室 9、36 調整容
器 11 pHの監視装置 20 添加容器 12 回転翼 21、B 硝酸銀
水溶液 4、5、6、14 添加系 22、C ハロゲ
ン塩水溶液 13、37 調整液 23、A 保護コ
ロイド水溶液 15 ポンプ 24 酸化剤水溶
液 25 流量制御装置
フロントページの続き (72)発明者 市川 和義 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 平2−213836(JP,A) 特開 平3−172836(JP,A) 特開 平2−187749(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/015

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒と感光性ハロゲン化銀粒子を含む
    ハロゲン化銀乳剤の製造方法において、ハロゲン化銀微
    粒子を成長粒子形成中の一部あるいは全部に供給するこ
    とにより所望のハロゲン化銀粒子の成長を行ってハロゲ
    ン化銀粒子を製造する場合、前記ハロゲン化銀微粒子を
    酸化剤の存在下で形成することを特徴とするハロゲン化
    銀乳剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸化剤の存在下で形成さ
    れたハロゲン化銀微粒子を粒子成長中の一部あるいは全
    部に供給して、成長を行うことを特徴とするハロゲン化
    銀粒子の製造方法。
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