JP2985206B2 - 直火式冷延鋼板連続焼鈍炉 - Google Patents

直火式冷延鋼板連続焼鈍炉

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はメツキ用普通鋼板やステンレス鋼板などの
冷間圧延された薄鋼板を、直火バーナにより加熱して焼
鈍処理をおこなう連続焼鈍炉に関する。
〔従来の技術〕
従来、冷延鋼板の輻射率は0.15〜0.25程度と考えられ
ており、この低い輻射率のため炉壁からの輻射伝熱の強
化は加熱効率向上に効果がないと考えられ、輻射伝熱を
強化した連続焼鈍炉は提案されていない。また実際の連
続焼鈍炉の加熱過程においては、冷延鋼板は数10秒の在
炉時間中に燃焼ガスにより酸化されるが、その際の冷延
鋼板の輻射率の詳しい変化状況についても特に解析され
てはいない。
そしてこの種の連続焼鈍炉としては、一般の熱処理炉
と同様に、炉壁にセラミツクフアイバの内貼層を設けて
断熱強化をはかつた炉構造のものが最近用いられている
が、炉温が1200〜1300℃に達する場合はセラミツクフア
イバの品質劣化が著しい。そのため表面保護用に従来は
アルミナ・シリカ系のコーテイング材が使用されている
が、このコーテイング材も前記高温では劣化が早く、フ
アイバ保護機能が短時間で失われるという問題があつ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで発明者は、先ず普通メツキ鋼板の直火式連続焼
鈍炉の運転実績から、炉内の鋼板の輻射率を逆算したと
ころ、輻射率が板温300℃以上で急激に増大しているこ
とを知り、短時間の酸化によつても輻射率の上昇が見ら
れることを知見した。これをさらに定量的に把握するた
めステンレス冷延鋼板の焼鈍前と焼鈍後における分光輻
射率特性を測定したところ、第5図にSUS304材の一例を
示すように、焼鈍時の加熱による酸化のために、波長3.
5μm以下における輻射率の向上が著しいことを知見し
た。なお本図の焼鈍条件は、在炉時間42秒、板温1080℃
である。
また発明者は、セラミツクフアイバの内貼層について
も分光輻射特性を測定したところ、第6図にアルミナ65
%、シリカ35%のセラミツクフアイバの例(測定温度:5
00℃)を示すように、波長5μm以下での輻射率が著る
しく低く、前記冷延鋼板の輻射特性と逆傾向にあること
が判明し、従つてセラミツクフアイバの内貼層を有する
炉を冷延鋼板の焼鈍用に用いることは、炉内輻射伝熱量
が低く、不適当であることを知見するに至った。
この発明は上記従来の問題点をかんがみ、発明者の上
記知見にもとづく研究の結果得られたものであつて、輻
射伝熱が促進されるとともに炉壁内貼層の劣化損耗の防
止をはかることができる直火式冷延鋼板連続焼鈍炉を提
供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の直火式冷延鋼板連続焼鈍炉は、冷延鋼板を
被処理材とする直火式連続焼鈍炉において、前記冷延鋼
板の板温が300℃以下である領域を除いた炉壁に設け
た、アルミナまたはアルミナとシリカを主成分とするセ
ラミツクフアイバの内貼層の炉内側表面に、主成分とし
てCr2O3を40〜50重量%、FeOを20〜30重量%含有する高
輻射率塗料層を被着したことを特徴とする。
この発明において、主成分としてCr2O3を40〜50重量
%、FeOを20〜30重量%含有する高輻射率塗料として
は、たとえばクロム鉄鉱を基材とし、これに結合材等を
加えた粉状体を用いることができ、第1表にその好まし
い成分範囲(重量%)を示す。この高輻射率塗料をセラ
ミツクフアイバの内貼層の炉内側表面に被着させるに
は、作業能率上スプレーガン等により塗布するのが好ま
しい。
〔作用〕 高輻射率塗料層を形成する主成分である40〜50重量%
のCr2O3および20〜30重量%のFeOは安定な酸化物である
ため高温時においても性能劣化がほとんどなく、その分
光輻射特性の測定例によれば、波長5μm以下でも0.85
以上の高輻射率が得られ、長期間高温にさらされても輻
射率の低下はほとんど見られない。一方直火式焼鈍炉中
の通過により冷延鋼板の表面に生じる酸化スケールの主
成分も、FeOおよびCr2O3(ステンレス鋼板の場合)であ
るので、炉最内壁面と冷延鋼板表面の輻射特性が同傾向
となり、輻射伝熱が強化され、燃料消費量が節約され
る。
またセラミツクフアイバの内貼層は、前記のように高
温時における劣化が少ない高輻射率塗料層により被覆さ
れているので、劣化損耗が少なく、内貼層の寿命の延長
をはかることができる。
〔実施例〕
以下第1図および第2図によりこの発明の一実施例を
説明する。
図中、1は横型の直火式連続焼鈍炉で、2は予熱帯、
3は加熱帯、4は均熱帯、5は煙道、6は直火式バーナ
である。加熱帯3および均熱帯4は、第1図示の断面構
造を有する。第1図において7は鉄皮、8は厚さ50mmの
耐火キヤスタブル層、9は厚さ250mmのセラミツクフア
イバ(組成:Al2O3=64%、SiO2=36%)の内貼層であ
る。10はこの内貼層9の炉内側表面に被着された高輻射
率塗料層で、その組成はCr2O3=43%、FeO=23%、MgO
=9%、Al2O3=15%、SiO2=7%、その他=3%)で
あり、スプレーガンにより1〜2mmの厚さに吹付塗装し
てある。この高輻射率塗料層10を被着した内貼層9の分
光輻射特性の測定結果(測定温度:500℃)は第7図に示
す通りで、低波長範囲においてもセラミツクフアイバ単
体に比べて遥かに高い輻射率が得られている。また11は
炉床を形成する耐火レンガ、12は耐熱レンガであるが、
耐火レンガ11の表面にも前記高輻射率塗料層10を被着し
てもよい。また予熱帯2は高輻射率塗料層10を有しない
他は、第1図と同じ断面構造を有するものとしてあり、
これは板温300℃以下では鋼板の輻射率が低く効率のよ
い輻射伝熱が期待できないためである。
上記構成の連続式焼鈍炉1(炉長50m)において、板
厚1.0mm、巾1030mmのステンレス薄帯板から成る冷延鋼
板13を速度1.1m/secで炉内走行させて、焼鈍処理をおこ
なつたところ、高輻射率塗料層10のない従来炉の場合に
比べて、燃料消費量は約3%少なくて済み、またセラミ
ツクフアイバの内貼層9は、操業8000時間後の点検にて
全く劣化のないことが認められた。
この発明は上記実施例に限定されるものではなく、た
とえば上記実施例ではセラミツクフアイバの内貼層9が
炉壁の壁厚の大部分を占める厚手のものであつたが、第
3図に示すように厚い耐火断熱レンガ層15の内側にセラ
ミツクフアイバのベニアリングによる薄い内貼層9を形
成した構成の炉にも、この発明は適用でき、さらに第4
図に示すように縦型の直火式連続焼鈍炉20にもこの発明
は適用できる。これらの図中、第1図と同一または相当
部分には、第1図と同一符号を付してある。なお第4図
に示す縦型炉の場合、冷延鋼板13の両縁に対向する炉側
壁面21,21には、高輻射率塗料層10の付設を省略しても
よい。
〔発明の効果〕 以上説明したようにこの発明によれば、セラミツクフ
アイバの内貼層の炉内側面を、高輻射率を有し高温時の
安定性にすぐれたCr2O3とFeOを主成分とする高輻射率塗
料層で被覆したので、冷延鋼板への輻射伝熱が促進され
るとともに、内貼層を形成するセラミツクフアイバの劣
化損耗を防止し内貼層の寿命の延長をはかることができ
る。
また上記高輻射率塗料層は、鋼板の輻射率が低い板温
300℃以下である領域を除いた炉壁部の、セラミツクフ
アイバの内貼層に被着すればよいので、効率よく経済的
に輻射伝熱の促進をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す横型の直火式連続焼
鈍炉の断面(第2図のA−A線断面)図、第2図は同じ
く第1図のB−B線断面図、第3図はこの発明の他の実
施態様を示す第1図相当図、第4図は同じくさらに他の
実施態様を示す縦型の直火式連続焼鈍炉の水平断面図、
第5図は冷延鋼板の分光輻射特性の一例を示す線図、第
6図はセラミツクフアイバの分光輻射特性の一例を示す
線図、第7図は高輻射率塗料層の分光輻射特性の一例を
示す線図である。 1……直火式連続焼鈍炉、6……直火式バーナ、9……
内貼層、10……高輻射率塗料層、13……冷延鋼板、20…
…直火式連続焼鈍炉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 9/52,9/56 F27D 1/00 C04B 41/87

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷延鋼板を被処理材とする直火式連続焼鈍
    炉において、前記冷延鋼板の板温が300℃以下である領
    域を除いた炉壁に設けた、アルミナまたはアルミナとシ
    リカを主成分とするセラミツクフアイバの内貼層の炉内
    側表面に、主成分としてCr2O3を40〜50重量%、FeOを20
    〜30重量%含有する高輻射率塗料層を被着したことを特
    徴とする直火式冷延鋼板連続焼鈍炉。
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