JP2979254B2 - スプリンクラ消火設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、スプリンクラ消火設
備に関する。

【０００２】

【従来の技術】スプリンクラ消火設備は、従来から開放
型、閉鎖型の湿式や乾式等の種々の系統が利用されてい
る。従来、閉鎖型スプリンクラ消火設備では、各警戒地
区に設けた閉鎖型スプリンクラヘッドの端末まで加圧さ
れた消火液を常時充填しておくものであり、火災検出と
同時に散水動作をとることができ、最も一般的な、ビル
等に用いられる設備である。閉鎖型スプリンクラ消火設
備では、スプリンクラヘッドの破損等により大量の消火
液が放出されてしまうので、スプリンクラヘッドのほか
に火災感知器を設置し、火災による火災感知器の動作に
よりスプリンクラヘッドまで消火液を充填し、更にスプ
リンクラヘッドが動作するときに散水を行う予作動式
(プレアクション式)スプリンクラ消火設備がある。この
予作動式ではスプリンクラヘッドへの配管内では空気が
僅かに加圧されていて、スプリンクラヘッドの破損や誤
動作では消火液が放出されることはない。従って、デパ
−ト等の水損を極度に嫌う場所に設置される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】閉鎖型スプリンクラ消
火設備は、配管の端末まで加圧された消火液が常時充填
されているので、スプリンクラヘッドの火災検出による
動作と同時に消火液の放出が可能であるという特徴を有
している。しかし、物が当たる等による事故でスプリン
クラヘッドが開放してしまったときは、加圧された消火
液が放出されると共に、加圧装置が起動して、火災でな
いことを確認してポンプを停止するまでの間、散水が続
けられ、大きな水損事故となる問題がある。

【０００４】一方、予作動式スプリンクラ消火設備は、
火災感知器が火災を検出し、かつ、閉鎖型スプリンクラ
ヘッドが動作したとき、即ち、火災感知器とスプリンク
ラヘッドとのＡＮＤ条件によってのみ消火液が放出され
るものであり、常時は配管内には加圧空気が充填されて
いるだけなので、閉鎖型スプリンクラヘッドへの衝撃等
による開放が発生しても水損事故にはならないという特
徴を有している。しかし、閉鎖型スプリンクラヘッドが
接続される二次側配管を加圧するためのコンプレッサ等
を必要とし、設備全体が複雑で高価になり、実際に火災
時には、スプリンクラヘッドが動作しても当初は加圧さ
れた空気が出るので、正常に消火液が放出を開始するま
でに遅れがでるという問題がある。

【０００５】上記従来のシステムの各短所を補うよう
に、警戒地区に火災感知器と閉鎖型のスプリンクラヘッ
ドとを設け、開放弁の一次側配管を消火液供給手段に、
二次側配管を閉鎖型のスプリンクラヘッドに、それぞれ
接続し、開放弁の開放状態の時、一次側配管の消火液を
調圧装置によって調圧調整して二次側配管へ供給し、こ
れにより、二次側配管やスプリンクラヘッド等二次側配
管系の機器部材の耐圧グレ−ドを低くし得て設備コスト
の抑制を図るようにしたスプリンクラ消火設備が、出願
人によって提案されている。しかし、このスプリンクラ
消火設備は、常時、開放弁の一次側と二次側の液圧に大
きな差があり、このため、開放弁の開放時には大きい一
次圧が瞬間的に二次側配管系に導入される結果、大きな
ウォ−タ−ハンマ現象(異常昇圧)が発生してしまい、上
記、二次側配管系の機器部材の耐圧グレ−ドを低下する
のに不安が残っている。

【０００６】又、上記提案における開放弁には、二次側
配管が接続される第一の二次室と、開放弁の開放等を検
知する圧力スイッチへの圧力液取り込みのための第二の
二次室とが設けてあり、弁体は、これらの二次室を同時
に閉止するように形成され、第一の二次室の液圧に基づ
き、調圧装置は開放弁の弁体を開閉動作させて一次側配
管の液圧を所定圧に減圧調整している。ところが、開放
弁の開放当初は第二の二次室に消火液が多く流ると第一
の二次室への流入量は少なく、調圧装置内の昇圧が遅
れ、二次側配管内の昇圧状態に比べて開放弁の弁体の閉
じ時期が遅れてしまって開放時のウォ−タ−ハンマ現象
が二次側配管内に発生することがある。

【０００７】この発明は、前記簡易タイプのスプリンク
ラ消火設備におけるこのような問題を解決するために提
案されたものであって、開放弁の開放時のウォ−タ−ハ
ンマ現象を確実に防止できて二次側配管系の機器部材の
耐圧グレ−ドを安心して低下させ得ることを可能とし、
設備構成も簡単で安価なスプリンクラ消火設備を提供す
るものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
この発明は、一次側配管１６が消火液供給手段１３に、
二次側配管５が閉鎖型のスプリンクラヘッド４に、それ
ぞれ接続された開放弁６、５６が設けられ、開放弁６、
５６は常態では閉鎖状態であり、火災現象を検出する火
災検出手段１に基づく信号により開放状態となり、一次
側配管１６の消火液を所定圧に減圧調整して二次側配管
５へ供給する調圧装置Ｒを備えるスプリンクラ消火設備
において、開放弁６、５６は、二次側配管５が接続され
る第一の二次室７と、容量が制限されている第二の二次
室２２、７２と、これらの二次室７、２２を同時に閉止
する弁体１５、６５とを備えており、調圧装置Ｒは、開
放弁６、５６の二次側の液圧に応じて開度を増減する調
圧弁体２８、７８を有し、開放弁６、５６の開放当初は
第二の二次室２２、７２の液圧に応じてこの調圧装置Ｒ
を動作させる液圧切替装置Ｅを有している。

【０００９】液圧切替装置Ｅは、上記二次側配管５内の
液圧が所定圧に到る前の初期圧になると、第二の二次室
２２、７２から調圧装置Ｒへの消火液の流入を阻止する
ように構成している。

【００１０】開放弁６、５６には、消火液が第一の二次
室７よりも第二の二次室２２、７２へ先に高い圧力が流
入するような周壁３３、８３が設けられている。

【００１１】

【作用】火災検出手段１の検出信号に基づき開放弁６、
５６は開かれ、一次側配管１６の消火液は、第一の二次
室７よりも第二の二次室２２、７２を、より早く加圧す
る。開放弁５、５６の開放当初では、液圧切替装置Ｅに
よって調圧装置Ｒは第二の二次室 ２２、７２の液圧に
応じて弁体１５、６５を動作させられ、二次側配管５内
の所定圧昇圧を待たずに開放弁の弁体１５、６５は閉じ
動作するので、二次側配管５内に異常昇圧が現れること
は無く、徐々に消火液が導入される。

【００１２】液圧切替装置Ｅは、上記二次側配管５内の
液圧が初期圧になると、第二の二次室２２、７２から調
圧装置Ｒへの消火液の流入を阻止するように構成してい
るので、開放弁６、５６の開放当初の異常昇圧の恐れが
無くなった以降では、調圧装置Ｒは第一の二次室７の液
圧に基づいて所定圧に正しく減圧調整動作を行う。これ
らによって、二次側配管系の機器部材の耐圧グレ−ドは
十分低いもので足り、従来の如き高圧圧力液に基づく機
器部材の破損も発生せず、設備コストの抑制もできるス
プリンクラ消火設備となる。

【００１３】開放弁６、５６に、消火液が第一の二次室
７よりも第二の二次室２２、７２へ先に高い圧力が流入
するような周壁３３、８３を設けるようにすれば、第二
の二次室２２、７２は迅速に昇圧し、上記同様二次側配
管５内に異常昇圧を発生させることなく、常時正しい減
圧調整動作が行われる。

【００１４】

【実施例】以下、この発明の各実施例を図に基づき説明
する。図１は、スプリンクラ消火設備の第１実施例のブ
ロック図である。警戒地区の火災現象を検出する火災検
出手段としての差動式や定温式等の火災感知器１は、電
路２を介して受信盤３に接続される。火災感知器１と同
様に警戒地区の天井に設けられた閉鎖型のスプリンクラ
ヘッド４は、二次側配管５に接続される。開放弁６の一
次室８は一次側配管１６を介して消火液供給手段として
の加圧送液装置１３に接続されており、同図で図示され
ている仕切弁９と、ポンプ１０と、電路１１により受信
盤３に接続されたモ−タ−１２等のほか、図示されてい
ない通常の逆止弁や圧力空気槽等をこの加圧送液装置１
３は備えている。

【００１５】開放弁６は、弁座１４ａによって上記一次
室８と第一の二次室７とに区分され、この弁座１４ａを
開閉する弁体１５は、弁箱に嵌合されるピストンを兼ね
ていてその背部と弁箱とでシリンダ室２０に形成し、二
次室７内で弁座１４ａの外周側方に設けた弁座１４ｂに
よって第二の二次室となる入水検知室２２を形成し、弁
体１５は、ばね１８によって弁座１４ａ、１４ｂを閉じ
るよう付勢される、所謂減圧開のタイプであり、弁体１
５には一次室８の液圧の一部を導入するための小孔１９
が明けられている。外側の弁座１４ｂの外周側方には、
一次室８の消火液が二次室７よりも先に入水検知室２２
に高い圧力が流入できるための輪状の周壁３３を設けて
いる。この周壁３３には開口度調整可能にするための切
欠きを設けることが好ましい。また、この弁体１５は、
調圧装置Ｒとしての調圧パイロット弁２１によって一次
側配管１６の液圧を、上記所定圧に減圧調整して二次室
７に供給するように、その開閉動作が制御される。即
ち、調圧パイロット弁２１は、シリンダ室２０に配管２
３にて連通する操作室１７と、起動弁２４を介して操作
室１７をドレン管２５に通じる調圧弁座２６と、フラム
２９を有してばね２７によって調圧弁座２６を開く方向
に付勢された調圧弁体２８と、二次側配管５にオリフィ
ス４５と配管３１を介して連通する調圧室３０とを有し
ている。

【００１６】入水検知室２２には、オリフィス３６のあ
るドレン管３７を接続し、このドレン管３７には開放弁
６の開放による昇圧を検知して受信盤３にこれを報知す
る圧力スイッチ３９を設けている。起動弁２４は、火災
感知器１の火災現象検出により動作する電動部４１によ
って開かれるように受信盤３によって制御される。電動
部４１は、モ−タや電磁ソレノイドによって構成され
る。二次側配管５の端末はオリフィス４３(二次側配管
５やスプリンクラヘッド４等よりも高い位置に配置され
ている)とドレン管４４を介して大気に開放している。

【００１７】開放弁６の開放当初は、調圧室３０には二
次側配管５の消火液でなく入水検知室２２の消火液を導
入するように経路を切替える液圧切替装置Ｅとして切替
弁３２を、設けている。例示した切替弁３２は、入水検
知室２２に配管５３にて連通する切替室４６と、逆止弁
４７を介して切替室４６を調圧室３０に通じる切替弁座
４８と、フラム４９を有してばね５０によって切替弁座
４８を開く方向に付勢された切替弁体５１と、配管３１
に連通する切替操作室５２とを有している。そして、開
放弁６の開放中、切替操作室５２に入った消火液の液圧
が所定圧に到る前の初期圧になると、フラム４９が押動
されて切替弁体５１は切替弁座４８に着座するように、
ばね５０等を設定している。

【００１８】次に上記実施例における動作を説明する。
起動弁２４は当初、閉じている。まず、スプリンクラヘ
ッド４、二次側配管５等の二次側配管系統に無圧の消火
液を充液しておく。この充液操作は、仕切弁９を開いて
加圧送液装置１３により開放弁６の一次室８を加圧して
いる状態とし、次に仕切弁９を閉じ、起動弁２４を開い
てシリンダ室２０内が減圧されることで開放弁６を開放
可能な状態とする。そして、仕切弁９を徐々に開放し、
消火液をゆっくり開放弁６の二次側配管系統に流入させ
る。消火液は、開放弁６の二次室７から二次側配管５、
スプリンクラヘッド４へ流れ、オリフィス４３を越えて
ドレン管４４に流れ落ちる。消火液がオリフィス４３を
越えている時点で起動弁２４を閉じ、開放弁６を閉止状
態にする。

【００１９】これにより、二次側配管系に作用していた
消火液は、オリフィス４３を介してドレン管４４へ排出
されて二次側配管系は無圧に充液された状態になる。こ
のようにして二次側配管５、スプリンクラヘッド４等の
二次側配管系統は充液され、オリフィス４３を用いて大
気連通の割合を微小にしておくことで、消火液の大気へ
の拡散を抑え、無圧充液状態を長期に保つことができ
る。火災感知器１が動作していない常態では各警戒地区
の開放弁６の一次室８の消火液は小孔１９からシリンダ
室２０に入り、シリンダ室２０の液圧とばね１８によっ
て弁体１５は弁座１４ａ、１４ｂを閉じ、この弁体１５
は監視状態となっている。二次側配管５内は無加圧なの
で、切替弁３２の切替弁座４８は開放されている。 二
次側配管５等の消火液は無加圧で充液されているので、
監視時では消火液の排出損失は無い。

【００２０】この状態において火災が発生して火災感知
器１が動作すると、火災信号が受信盤３に伝達される。
受信盤３ではこの火災信号により電動部４１を動作させ
起動弁２４を開けるので、開放弁６のシリンダ室２０の
液圧は操作室１７を介しドレン管２５から排出されてそ
の液圧は減圧し、一次室８の液圧により開放弁６は開か
れ、図示しない圧力空気槽等の加圧手段により一次室８
からの消火液は、周壁３３によって入水検知室２２を主
に高い圧力で流れ込み、そして、二次室７から二次側配
管５と配管３１にも流入する。入水検知室２２の液圧は
高まり、圧力スイッチ３９が動作して受信盤３に開放弁
６の開放を報知し、同時に消火液は、配管５３を経て切
替弁３２の切替室４６、切替弁座４８、逆止弁４７を経
て配管５４から調圧室３０に導入され、一方、配管３１
に向かう流れは、オリフィス４５のために阻止される。
二次側配管５内の液圧が昇圧して所定圧に到る前の初期
圧になると、切替操作室５２の液圧によって切替弁体５
１は切替弁座４８に着座し、入水検知室２２から配管５
３、切替室４６等を通る操作室３０への経路は閉じ、以
降は配管３１からオリフィス４５を経て流入する二次室
７の消火液が調圧室３０に導入されて調圧パイロット弁
２１の減圧調整動作が行われる。

【００２１】上記開放弁６の開放当初では、周壁３３に
よって入水検知室２２へ優先的に入った一次室８の高圧
の消火液が、消火液は配管５３から切替弁３２を経て調
圧パイロット弁２１の調圧室３０へ十分に導入されるの
で、調圧室３０の昇圧は、二次室７を介しての二次側配
管５への昇圧に対し遅れることはない。従って、調圧室
３０の速やかな昇圧により、実際の二次側配管５の昇圧
に対する調圧弁体２８の着座は遅れなく行われ、これに
より開口部６への弁体１５は二次側配管５内が異常昇圧
する前に閉じられ、流れ込む消火液はゆっくりになり、
開放時のウォ−タ−ハンマ現象は発生しない。

【００２２】二次側配管５の液圧が上昇して所定圧を越
えると配管３１から調圧室３０にかかる液圧によりフラ
ム２９と調圧弁体２８は下方へ押されて調圧弁座２６は
絞られ、ドレン管２５からの排液は少なくなってシリン
ダ室２０内の液圧は回復し、弁体１５が弁座１４ａ、１
４ｂに着座方向へ移動して二次側配管５の液圧の上昇は
止む。二次側配管５の液圧が所定圧を下回るとばね２７
によって調圧弁体２８は戻されて調圧弁座２６は開き、
シリンダ室２０の圧力液は操作室１７を介し排液されて
一次室８の液圧によって弁体１５が戻って弁座１４ａ、
１４ｂは開き、一次室８の消火液が二次室７に導入さ
れ、二次室７の液圧は回復し、このようにして二次側配
管５の液圧は一次室８の消火液の液圧に比べ、消火活動
に必要な所定圧に減圧調整される。

【００２３】このように、開放弁６が開放された当初
は、二次側配管５からの液圧を用いずに昇圧の速やかな
一次圧に等しい入水検知室２２の液圧を調圧パイロット
弁２１の調圧室３０に導入しているので、二次側配管５
内の異常昇圧発生前に開放弁６は閉動作して消火液の流
入はゆるやかになり、ウォ−タ−ハンマ現象は発生しな
くなり、従来の如き高圧圧力液に基づく機器部材の破損
も発生せず、設備コストの抑制もできるスプリンクラ消
火設備となった。開放弁６に、消火液が二次室７よりも
入水検知室２２へ先に高い圧力で流入するような周壁３
３を設けているので、入水検知室２２は迅速に昇圧し、
しかも切替弁３２の作用によって調圧パイロット弁２１
は、二次側配管５内に異常昇圧を発生させることなく、
常時正しい減圧調整動作が行われる。

【００２４】火災地点の温度がさらに上昇すると、スプ
リンクラヘッド４が開放して二次側配管５内の消火液が
放出され、二次室７の大きい液圧低下が図示しない圧力
空気槽の圧力スイッチにより検知されると加圧送液装置
１３のポンプ１０は起動され、火災が消火されるまでこ
の放出は続けられる。スプリンクラヘッド４等二次側配
管５には消火液が既に所定圧で充液されているので、ス
プリンクラヘッド４の開放動作と同時に消火液は放出さ
れ、消火動作に遅れは無い。ここで加圧送液装置１３の
ポンプ１０の起動は、上記加圧手段の連続加圧時間を検
知することによって行ってもよい。

【００２５】以上の他、二次側配管５を予作動式のよう
に常時空気で加圧しておくためのコンプレッサはこの実
施例では不要となり、設備コストは安価となった。火災
監視時では、スプリンクラヘッド４が衝撃等で開放した
場合に放出される無圧の消火液は僅かであり、従来の閉
鎖型スプリンクラ消火設備のような大きな水損事故は防
止できる。

【００２６】図２は、この発明の第２実施例を示すブロ
ック図である。この第２実施例は、一次側配管１６と二
次側配管５との間に配置される開放弁５６として、シリ
ンダ室７０を加圧することによって開放されるようにし
た所謂加圧開のタイプを用いたものである。即ち、一次
室８と二次室７とを区分する弁座６４ａ、６４ｂは、ば
ね６８で付勢される弁体６５で閉じられ、弁体６５に一
体のピストン６９と弁箱とでシリンダ室７０を形成し、
このシリンダ室７０は、オリフィス８６と起動弁２４と
を介して配管７２にて一次室８に接続している。

【００２７】調圧装置Ｒとしての調圧パイロット弁７１
は、シリンダ室７０に配管１０１にて連通する操作室６
７と、ドレン管７５に通じる調圧弁座７６と、フラム７
９を有してばね７７によって調圧弁座７６を閉じる方向
に付勢された調圧弁体７８と、二次室７へはオリフィス
４５と配管１０３とを介して連通すると共に、配管５
３、切替室４６、切替弁座４８、逆止弁４７、及び配管
５４を介して入水検知室７２に連通する調圧室８０とを
有していて、調圧弁体７８は、二次側配管５が所定圧に
達しないときではばね７７によって調圧弁座７６に着座
する構造としている。

【００２８】切替弁３２の構造と開放弁５６及び調圧パ
イロット弁７１との接続構成は、前記第１実施例と同等
であり、開放弁５６の弁座６４ａ、６４ｂによって前記
第１実施例のものと同様に形成された入水検知室７２
は、上記のように配管５３、切替弁３２等を経て調圧パ
イロット弁７１の調圧室８０に接続すると共に、オリフ
ィス３６を介してドレン管３７にも接続している。そし
て、内側の弁座６４ａの内周側方には、開放当初、一次
室８の消火液が二次室７よりも先に入水検知室７２に高
い圧力が流入できるための前記第１実施例と同様の輪状
の周壁８３を設けている。その他、前記図１の第１実施
例と同一の構成部材については共に同一符号を付してそ
の構造の説明は省略した。

【００２９】次にこの第２実施例の動作を説明する。ス
プリンクラヘッド４、二次側配管５等の二次側配管系統
に無圧の消火液を充液しておくことは、前記第１実施例
と同様であって充液操作は、仕切弁９を開き、加圧送液
装置１３により開放弁５６の一次室８を加圧し、次に仕
切弁９を閉じ、起動弁２４を開いてシリンダ室７０内を
加圧することで開放弁５６を開放可能な状態とし、次に
仕切弁９を徐々に開放し、オリフィス８６を介して消火
液をゆっくり開放弁５６の二次側配管系統に流入させ、
そして起動弁２４を閉じて開放弁５６を閉止することで
終わる。

【００３０】火災が発生して火災感知器１が動作する
と、電動部４１が動作して起動弁２４を開けるので、開
放弁５６の一次室８の圧力液はオリフィス８６によって
絞られてシリンダ室７０に入り、ピストン７０を左方に
押動して弁体６５は弁座６４ａ、６４ｂから離れ、一次
室８の消火液は周壁８３によって入水検知室７２を主に
高い圧力で流れ込み、二次室７から二次側配管５と配管
１０３にも流入するので、消火液は、配管５３を通って
切替弁３２の切替室４６、切替弁座４８と逆止弁４７を
経て配管５４から調圧室８０に導入される。二次側配管
５内の液圧が昇圧して所定圧に到る前の初期圧になる
と、切替操作室５２の液圧によって切替弁体５１は切替
弁座４８に着座し、入水検知室７２から配管５３、切替
弁３２等を経て操作室８０への経路は閉じ、以降は配管
１０３からオリフィス４５を経て流入する二次室７の消
火液が調圧室８０に導入されて調圧パイロット弁７１の
減圧調整動作が行われる。二次側配管５の液圧が上昇し
て所定圧を越えると調圧パイロット弁７１の調圧室８０
にかかる液圧によりフラム７９と調圧弁体７８は上方へ
押されて調圧弁座７６は開き、シリンダ室７０の消火液
は配管１０１と操作室６７を経てドレン管７５から排液
され、シリンダ室７０が減圧してばね６８と一次室８の
液圧により弁体６５は着座方向へ移動して二次側配管５
の液圧上昇は止む。そして、二次室７の液圧が調圧パイ
ロット弁７１の設定圧を下回るとばね７７によって調圧
弁体７８は押されて調圧弁座７６の開口面積は絞られ、
ドレン管７５からの排液は減少してシリンダ室７０の液
圧は回復し、弁体６５は離座して開放弁５６は開き、一
次室８の消火液が二次室７に導入されて二次室７の液圧
は回復し、このようにして二次室７の液圧は一次室８の
消火液の液圧に比べ、消火活動に必要な所定圧に減圧調
整される。

【００３１】この第２実施例も、開放弁５６が開放され
た当初は、二次側配管５からの液圧を用いずに一次圧に
等しい入水検知室７２の液圧を調圧パイロット弁７１の
調圧室８０に導入しているので、二次側配管５内の異常
昇圧発生前に開放弁５６は閉動作さられて消火液の流入
はゆるやかになり、ウォ−タ−ハンマ現象は発生しなく
なり、従来の如き高圧圧力液に基づく機器部材の破損も
発生せず、設備コストの抑制もできるスプリンクラ消火
設備となり、更に、開放弁５６に、消火液が二次室７よ
りも入水検知室７２へ先に高い圧力で流入するような周
壁８３を設けているので、入水検知室７２は迅速に昇圧
し、しかも切替弁３２の作用によって調圧パイロット弁
７１は、二次側配管５内に異常昇圧を発生させることな
く、常時正しい減圧調整動作が行われるという、前記第
１実施例と同等の効果を得ている。前記各実施例におい
て、火災監視のため、二次側配管５等に無加圧の消火液
を充液しているが、二次側配管５の端末を通常の排液弁
として、二次側を微圧に加圧していてもよく、その場合
には二次側配管５の漏れやスプリンクラヘッド４の開放
を検出することができる。また、火災検出手段は、各実
施例において火災感知器１を用いているが、スプリンク
ラヘッド４の動作を検出する流水や水の接触による電気
的な接点等を用いてもよい。

【００３２】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、開放弁
６、５６の開放当初では、液圧切替装置Ｅによって調圧
装置Ｒは第二の二次室２２、７２の液圧に応じて弁体１
５、６５を動作させられ、二次側配管５内の所定圧昇圧
を待たずに開放弁の弁体１５、６５は閉じ動作するの
で、二次側配管５内に異常昇圧が現れることは無く、徐
々に消火液が導入され、従来の如き高圧圧力液に基づく
機器部材破損発生の恐れはなくなった。

【００３３】液圧切替装置Ｅは、上記二次側配管５内の
液圧が初期圧になると、第二の二次室２２、７２から調
圧装置Ｒへの消火液の流入を阻止するように構成してい
るので、開放弁６、５６の開放当初の異常昇圧の恐れが
無くなった以降では、調圧装置Ｒは第一の二次室７の液
圧に基づいて所定圧に正しく減圧調整動作が行われる。
これらによって、この発明では、二次側配管系の機器部
材の耐圧グレ−ドは十分低いもので足り、設備コストの
抑制もできるスプリンクラ消火設備とすることができ
た。

【００３４】開放弁６、５６に、消火液が第一の二次室
７よりも第二の二次室２２、７２へ先に高い圧力で流入
するような周壁３３、８３を設けるようにすれば、開放
弁６の開放当初の開放動作をゆっくり行うことができ、
しかも液圧切替装置Ｅによって調圧装置Ｒは、二次側配
管５内に異常昇圧を発生させることなく、常時正しい減
圧調整動作が行われる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例を示すブロック図であ
る。

【図２】この発明の第２実施例を示すブロック図であ
る。

【符号の説明】

１ 火災感知器(火災検出手段) ４ スプリンクラヘッド ５ 二次側配管 ６、５６ 開放弁 ７ 二次室(第一の二次室) １３ 加圧送液装置(消火液供給手段) １５、６５ 弁体 １６ 一次側配管 ２２、７２ 二次室(第二の二次室) ２８、７８ 調圧弁体 ３３、８３ 周壁 Ｅ 液圧切替装置 Ｒ 調圧装置

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一次側配管が消火液供給手段に、二次
   側配管が閉鎖型のスプリンクラヘッドに、それぞれ接続
   された開放弁が設けられ、開放弁は常態では閉鎖状態で
   あり、火災現象を検出する火災検出手段に基づく信号に
   より開放状態となり、一次側配管の消火液を所定圧に減
   圧調整して二次側配管へ供給する調圧装置を備えるスプ
   リンクラ消火設備において、開放弁は、二次側配管が接
   続される第一の二次室と、容量が制限されている第二の
   二次室と、これらの二次室を同時に閉止する弁体とを備
   えており、調圧装置は、開放弁の二次側の液圧に応じて
   開度を増減する調圧弁体を有し、開放弁の開放当初は第
   二の二次室の液圧に応じてこの調圧装置を動作させる液
   圧切替装置を有していることを特徴とするスプリンクラ
   消火設備。
2. 【請求項２】 液圧切替装置は、上記二次側配管内の
   液圧が所定圧に到る前の初期圧になると、第二の二次室
   から調圧装置への消火液の流入を阻止する構成であるこ
   とを特徴とする請求項１のスプリンクラ消火設備。
3. 【請求項３】 開放弁には、消火液が第一の二次室よ
   りも第二の二次室へ先に高い圧力で流入するような周壁
   が設けられている請求項１又は２のスプリンクラ消火設
   備。