JP2976250B2 - 積層型バリスタの製造方法 - Google Patents

積層型バリスタの製造方法

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JP2976250B2
JP2976250B2 JP3224848A JP22484891A JP2976250B2 JP 2976250 B2 JP2976250 B2 JP 2976250B2 JP 3224848 A JP3224848 A JP 3224848A JP 22484891 A JP22484891 A JP 22484891A JP 2976250 B2 JP2976250 B2 JP 2976250B2
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晃慶 中山
和敬 中村
康信 米田
行雄 坂部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧非直線抵抗体とし
て機能する積層型バリスタの製造方法に関し、特に焼結
体にガラス膜をコーティングする際の酸素の離脱を防止
でき、ひいては漏れ電流を低減できるようにした製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、印加電圧に応じて抵抗値が非直
線的に変化する電圧非直線抵抗体(以下、バリスタと称
す)は、サージ吸収素子,電圧安定化素子として広く使
用されている。このようなバリスタの電気的特性は、I
/i=(V/Vi a で表される。上記Iは素子に流れ
る電流,Vは印加電圧,Vi は素子にiAの電流が流れ
たときの端子間電圧で、通常1mAの値をとりバリスタ電
圧V1mA と称されている。また、上記aは電圧非直線係
数であり、バリスタを電気回路に組み込んだ際に電圧が
いかに制御されるかを示すもので、このa値が大きいほ
ど電圧制御に優れている。また近年、通信機器等の電子
機器の分野においては、小型化,電子部品のIC化,集
積化が進んでおり、これに伴ってバリスタにおいても実
装密度の向上を図るための超小型化,あるいは低電圧化
の要求が強くなっている。このような要求に対応するも
のとして、従来、ディスク型に代わる積層型バリスタが
提案されている(例えば、特公昭58-23921号公報参照)
。この積層型バリスタによれば、半導体セラミックス
層の結晶粒子を巨大に成長させることなく内部電極間の
粒界数を小さくすることが可能であることから、動作電
圧の低電圧化が実現でき、小型化にも対応できる。とこ
ろで、上記積層型バリスタは、酸化亜鉛を主成分とする
半導体セラミックスを高温焼成してなる焼結体から構成
されていることから、半田付け時のフラックスや還元性
雰囲気等により上記焼結体の表面が還元され易く、その
結果表面電流が流れ易くなって漏れ電流が増大するとい
う問題がある。このような漏れ電流を低減するために、
従来、上記焼結体の外表面にガラス膜をコーティングす
ることが提案されている(例えば、特願平1-313904 号
参照) 。これは、焼結体とガラス粉末とを耐熱性容器内
に収容し、この容器を回転させながら上記ガラス粉末の
軟化点以上の温度に加熱処理することによって、このガ
ラス粉末を焼結体の表面部分に浸透拡散させる方法であ
る。このガラス膜により湿度等に対する耐環境特性を向
上でき、半田付け時のフラックスや還元性雰囲気等によ
る漏れ電流を抑制でき、さらにはサージ耐量を向上でき
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
製造方法による積層型バリスタでは、ガラス膜をコーテ
ィングしても漏れ電流が生じるという問題がある。
【0004】本発明は上記従来の状況に鑑みてなされた
もので、焼結体にガラスコーティング処理を施す際の、
酸素の離脱を防止して漏れ電流を低減できる積層型バリ
スタの製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本件発明者らは、上記漏
れ電流の原因として、上記耐熱容器内の酸素分圧に着目
した。即ち、従来上記耐熱性容器には収容物が溢れ出な
い程度の小さな孔が形成されているものの、この孔から
進入する空気だけでは容器内の酸素分圧が熱処理中に低
下し、これにより焼結体の結晶粒界に吸着していた酸素
が離脱し、その結果上記漏れ電流が生じるものと考えれ
る。そこでガラスコーティング処理中における容器内の
酸素分圧を測定し、この酸素分圧の変化と熱処理後の試
料の漏れ電流との関係を調べたところ、上記容器内の酸
素分圧が20%を下回った場合の試料は、漏れ電流が急激
に増大していることが判明した。一方、上記酸素分圧が
20%を越えた場合の試料はいずれも漏れ電流がほとんど
生じていないことが判明した。このことから容器内の酸
素分圧を規定することによって焼結体の酸素の離脱を防
止できることに想到し、本発明を成したものである。そ
こで本発明は、半導体セラミックス層と内部電極とを交
互に積層した後一体焼結して焼結体を形成し、該焼結体
をガラス粉末とともに容器内に収容し、該容器を回転さ
せつつ上記ガラスの軟化点以上の温度で加熱処理するこ
とにより、上記焼結体の外表面部分にガラス膜を形成す
るようにした積層型バリスタの製造方法において、上記
容器内の酸素分圧を20%以上に保持したことを特徴とし
ている。ここで、容器内の酸素分圧の設定は、焼成炉の
炉心管から供給される酸素と窒素との混合ガスの供給量
を調整することにより実現できる。
【0006】
【作用】本発明に係る積層型バリスタの製造方法によれ
ば、ガラスコーティング熱処理中における容器内の酸素
分圧を20%以上に保持したので、焼結体の結晶粒界に吸
着していた酸素の離脱を防止でき、その結果漏れ電流を
低減できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図について説明す
る。図1及び図2は本発明の一実施例による積層型バリ
スタの製造方法及び該方法による積層型バリスタを説明
するための図である。
【0008】まず、本実施例方法によって得られた積層
型バリスタ1の構造について説明する。図1において、
積層型バリスタ1は直方体状のもので、半導体セラミッ
クス層2と内部電極3とを交互に積層し、該積層体を一
体焼結して焼結体4を形成して構成されている。また、
上記各内部電極3の一端面3aは焼結体4の左, 右端面
4a,4bに交互に露出されており、他の端面はセラミ
ックス層2の内側に位置して焼結体4内に封入されてい
る。
【0009】さらに、上記焼結体4の左, 右端面4a,
4bには外部電極5が形成されており、該外部電極5は
上記各内部電極3の一端面3aに電気的に接続されてい
る。また、上記焼結体4の外表面部分には膜厚2μm以
下のガラス膜6がコーティングされており、かつ焼結体
4の結晶粒界に酸素が吸着している。
【0010】次に本実施例方法を説明する。まず、Zn
O,Bi2 3 ,Co2 3 ,MnO,Sb2 3 ,及
びCr2 3 をそれぞれ97.9mol %,0.5mol %,0.5mol
%,0.5mol %0.3 mol %, 及び0.3mol %の比率となる
よう秤量し、これにイオン交換水を加えてボールミルで
24時間混合する。次に、これをろ過, 乾燥して800 ℃で
2 時間仮焼成した後、再度粉砕して原料粉を作成する。
さらにこの原料粉に有機バインダーを混合し、ドクター
ブレード法により厚さ50μm のセラミックスグリーンシ
ートを形成し、このグリーンシートを矩形状に打ち抜い
て多数の半導体セラミックス層2,及びダミー用セラミ
ックス層7を形成する。
【0011】次に、Ptからなる金属粉末に有機ビヒク
ルを混合して電極ペーストを作成し、図2に示すよう
に、上記ペーストを上記セラミックス層2の上面に印刷
して内部電極3を形成する。この場合、この内部電極3
の一端面3aのみがセラミックス層2の端縁まで延び、
残りの端面はセラミックス層2の内側に位置するように
形成する。
【0012】次に、上記セラミックス層2と内部電極3
とが交互に重なり、かつ各内部電極3の一端面3aがセ
ラミックス層2の両外縁に交互に位置するよう積層し、
さらにこれの上面,下面にダミー用セラミックス層7を
重ねる。次いで、これの積層方向に2ton/cm2 の圧力を
加えて圧着して積層体を形成し、この積層体を所定の寸
法に切断する。そして、この積層体を空気中にて1200℃
で2時間焼成して焼結体4を得る。
【0013】次に、外径50mmφ, 内径40mmφ, 深さ40mm
のアルミナ磁器ポット内に上記焼結体4を収容するとと
もに、ホウケイ酸亜鉛ガラス粉末を添加する。この場
合、上記焼結体50g に対してガラス粉末1gを添加するの
が望ましい。次いで、上記アルミナ磁器ポットを電気焼
成炉内に配置し、該磁器ポットを20rpm で回転させなが
ら、上記ガラス粉末の軟化点以上の700 ℃に加熱し、10
分間加熱処理する。そして、この場合、上記電気焼成炉
の炉心管から酸素と窒素との混合ガスを供給し、上記磁
器ポット内の酸素分圧が20%以上となるよう保持する。
ここで、磁器ポット内の酸素分圧は、該ポット内に配設
したジルコニアセンサで検出し、この検出値が上記20%
以上となるよう混合ガスの供給量を調整する。
【0014】この加熱処理によって、上記ガラス粉末が
焼結体4の表面部分に浸透拡散して付着し、これにより
膜厚2μm程度のガラス膜6が形成されるとともに、上
記アルミナ磁器ポットに形成された数箇所の小さな孔か
ら酸素が供給されて焼結体の結晶粒界に酸素が吸着する
こととなる。
【0015】最後に、Agからなる電極ペーストを作成
し、このペーストを上記焼結体4の左, 右端面4a,4
bに塗布し、この後700 ℃で焼き付けて外部電極5を形
成する。これにより本実施例の積層型バリスタ1が製造
される。
【0016】このように本実施例の製造方法によれば、
アルミナ磁器ポット内の酸素分圧を20%以上に保持した
ので、焼結体4の結晶粒界に吸着していた酸素の離脱を
防止でき、漏れ電流を低減できる。また、本実施例で
は、焼結体4の表面部分をガラス膜6で覆ったので、湿
度等に対する耐環境性を向上でき、半田付け時のフラッ
クスや還元性雰囲気等による焼結体4の還元を防止で
き、この点からも漏れ電流を低減できるとともに、サー
ジ耐量を向上できる。
【0017】
【表1】
【0018】表1は、上記実施例の積層型バリスタの効
果を確認するために行った試験結果を示す。この試験
は、上述した製造方法により積層型バリスタを作成する
際の酸素分圧を16〜100 %の範囲で変化させた場合の、
バリスタ電圧V1mA , 制限電圧比V2A/ V1mA , サージ
耐量A,絶縁抵抗値MΩ,及び静電容量pFを測定し
た。なお、上記絶縁抵抗値はバリスタ電圧の50%の電圧
を30秒間印加したときの素子の抵抗値である。表1から
も明らかなように、アルミナ磁器ポット内の酸素分圧を
16,18 %とした場合は、V1mA , V2A/ V1mA , サージ
耐量A,静電容量pFでは満足できる値が得られている
ものの、絶縁抵抗値では2,9MΩと漏れ電流が増大し
ている。これに対して酸素分圧を20〜100 %とした場合
は、いずれも絶縁抵抗値が58〜61MΩと高くなってお
り、漏れ電流が改善されていることがわかる。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明に係る積層型バリス
タの製造方法によれば、焼結体にガラスコーティングす
る際の容器内の酸素分圧を20%以上に保持したので、焼
結体の結晶粒界に吸着していた酸素の離脱を防止でき、
漏れ電流を低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例方法による積層型バリスタを
説明するための断面図である。
【図2】上記実施例方法を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 積層型バリスタ 2 半導体セラミックス層 3 内部電極 4 焼結体 6 ガラス膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂部 行雄 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特許2682259(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体セラミックス層と内部電極とを交
    互に積層した後一体焼結して焼結体を形成し、該焼結体
    をガラス粉末とともに容器内に収容し、該容器を回転さ
    せつつ上記ガラスの軟化点以上の温度で加熱処理するこ
    とにより、上記焼結体の外表面部分にガラス膜を形成す
    るようにした積層型バリスタの製造方法において、上記
    容器内の酸素分圧を20%以上に保持したことを特徴とす
    る積層型バリスタの製造方法。
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KR100255906B1 (ko) * 1994-10-19 2000-05-01 모리시타 요이찌 전자부품과 그 제조방법
KR100246729B1 (ko) * 1997-03-20 2000-03-15 오세종 낮은 정전용량의 칩 바리스터
JP4683052B2 (ja) * 2008-01-28 2011-05-11 Tdk株式会社 セラミック素子
JP5212660B2 (ja) * 2010-08-04 2013-06-19 Tdk株式会社 積層型セラミックptc素子の製造方法

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