JP2975101B2 - バナジン酸ビスマス顔料を塩酸の攻撃に対して安定化する方法 - Google Patents

バナジン酸ビスマス顔料を塩酸の攻撃に対して安定化する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特定の金属リン酸塩で処理することによって
バナジン酸ビスマス顔料を塩酸の攻撃に対して安定化す
る方法に関する。
米国特許第4752460号には、アルカリ土類金属及び/
又は亜鉛またはモリブデン酸塩またはタングステン酸塩
を含有するバナジン酸ビスマス顔料の、たとえば化学薬
品の攻撃に対する安定性が該顔料にアルミニウム、チタ
ニウム、アンチモン、セレン、ジルコニウムまたはシリ
コーン化合物またはリン酸亜鉛の無機保護コーティング
を施すことによって向上されることが教示されている。
さらにまた、米国特許第4455174号には、モリブデン酸
塩またはタングステン酸塩を含有するバナジン酸ビスマ
ス顔料の安定性が、難溶性無機化合物たとえばケイ酸ジ
ルコニウム、アルミナ、リン酸アルミニウムまたは酸化
アンチモン(III)で該顔料をコーティングすることに
よって向上されることが教示されている。しかしなが
ら、これらの文献のいずれにもリン酸塩カプセルを特に
開示する記載はない。
米国特許第3946134号には、無機顔料のような特定の
固体粒子基質の、たとえば、薬品に対する安定性が、該
基質の各粒子を、場合によってはフッ化物を含有する、
その場で形成された、リン酸アルミニウム錯体の連続層
でカプセル包被する(カプセル化という)ことによって
改善されることが開示されている。しかしながら、アル
ミニウムの硫酸塩、塩化物、硝酸塩はそのリン酸アルミ
ニウム錯体を形成するためには適当でないと記載されて
いる。
これら従来技術の教示に対して、今回本発明によって
バナジン酸ビスマス顔料の水性懸濁物を容易に接近可能
な塩化物、硝酸塩または特に硫酸塩からその場で得られ
た金属正リン酸塩で処理することによって誠に驚くべき
ほどに向上されることが見いだされた。
したがって、本発明は金属リン酸塩で処理してバナジ
ン酸ビスマス顔料を塩酸の攻撃に対して安定化する方法
に関し、本発明の方法は、バナジン酸ビスマス顔料の水
性懸濁物を攪拌しながら20乃至100℃の温度範囲かつ2
乃至8のpH価範囲において、正リン酸カルシウム、正リ
ン酸マグネシウム、正リン酸アルミニウム、正リン酸ジ
ルコニウム、正リン酸チタンからなる群から選択された
正リン酸塩、上記正リン酸塩相互の混合物または該正リ
ン酸塩と正リン酸亜鉛との混合物を該顔料を基準にして
2乃至20重量%の量で使用して処理し、この際該正リン
酸塩は強鉱酸の適当な金属塩と正リン酸またはそのアル
カリ金属塩とからその場で沈殿されるものであり、そし
て、上記処理により生じた生成物を常用方法で単離する
ことを特徴とする。所望の場合には、米国特許第394613
4号記載の方法と同様に、正リン酸塩と一緒にフッ化物
を0.1乃至2のF:Pのモル比で使用することもできる。か
くして得られた生成物は続いて任意に100乃至500℃の温
度の熱処理にかけることもできる。
本発明の方法によって安定化されるバナジン酸ビスマ
ス顔料は当技術分野で一般に公知である。
本発明の方法は特に下記式のバナジン酸ビスマス顔料
の安定化のために好適である。
BiVO4 (I)および (Bi,A)(V,D)O4 (II) (式中、 Aはアルカリ土類金属、Zn又はそれらの混合物、 DはMo、W又はそれらの混合物を意味し、A対Biのモ
ル比は0.1乃至0.4であり、D対Vのモル比は0乃至0.4
である)。
式Iのバナジン酸ビスマス顔料は米国特許第4115141
号明細書に開示されている。
式IIのバナジン酸ビスマス顔料は米国特許第4752460
号明細書に開示されている。これらは正方灰重石様結晶
構造を有する。色相はA:BiおよびD:Vのモル比によって
変わりうる。
式IIの(Bi,A)部分はビスマスがビスマス(III)イ
オンの形で存在しそして一部が二価金属イオンAによっ
て置換されていることを表わしていると理解される。
しかし、五価バナジウムイオンとしてのバナジウムは
バナジン酸塩イオンの形でありそしてモリブデン酸塩ま
たはタングステン酸塩または両者の混合物としての六価
金属イオンDによって部分的に置換されうる。
アルカリ土類金属AはBe、Mg、Ca、SrまたはBaであり
うる。好ましくはCaまたはSrである。Dは好ましくはMo
である。式IIの化合物に関して、混合物という言葉は少
なくとも1つのアルカリ土類金属とZnとの混合物または
異なるアルカリ土類金属同士の混合物あるいはMoとWと
の混合物を意味し、相互のモル比は任意である。
A対Biの好ましいモル比は0.2乃至0.35であり、D対
Vの好ましいモル比は0.001乃至0.2である。
AがCaまたはSrそしてDがMoまたはWである式IIの化
合物が好ましい。
AがCaそしてDがMoであって、Ca:Biのモル比が0.2乃
至0.35そしてMo:Vのモル比が0.01乃至0.2である式IIの
化合物が特に好ましい。
本発明の方法によって後処理された顔料の塩酸に対す
る安定性はもちろん正リン酸塩の量を増加するにつれて
増大するが、あまり多量の正リン酸塩を使用すると他の
顔料特性たとえば色濃度などが悪影響を受ける。したが
って、本発明の方法においては顔料を基準にして正リン
酸塩を5乃至15重量%の量で使用するのが好ましい。
強酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、ジルコニウム
塩、チタン塩または好ましくはアルミニウム塩および任
意に亜鉛塩、すなわち、たとえば塩化物、硝酸塩または
特に硫酸塩は常に撹拌しながら溶液の形で水性顔料懸濁
物に添加するのが好都合である。この後、正リン酸また
はそのアルカリ金属塩が常に撹拌しながらかつ媒質のpH
価を2乃至8に保持しながら添加する。しかし、最初に
顔料懸濁物に正リン酸塩を添加しそして後から金属塩を
添加することも可能である。温度は20乃至100℃の範囲
で選択することができる。この場合、正リン酸金属塩は
通常20分以内に沈殿する。このあと、好ましくは1/4乃
至3時間その懸濁物を撹拌した後、生成物を任意工程と
して中和し、濾過単離し、水で洗いそして乾燥する。
リン酸塩イオンは正リン酸塩またはそのナトリウム塩
の形で添加するのが好ましい。
好ましい正リン酸塩は正リン酸アルミニウム、好まし
くはその正リン酸亜鉛との組み合わせであり、これは硫
酸アルミニウムまたはアルミニウムと硫酸亜鉛と正リン
酸またはそのナトリウム塩とから都合よく製造される。
ただし、正リン酸アルミニウムをアルミン酸ナトリウム
と硫酸からその場で製造された硫酸アルミニウムと正リ
ン酸とから製造することができる。
必要によりフッ化物イオンが好ましくは溶解可能な形
で懸濁物に添加される。この目的のためにはフッ化水素
酸、フッ化ナトリウムまたは好ましくは二フッ化アンモ
ニウムが特に適当であることが判明している。フッ化物
は金属塩またはリン酸塩イオンの添加と一緒にまたはそ
の後で添加することができる。
特定の顔料特性を改良するために、本発明の方法によ
って得られた生成物をさらに付加的に組織改良剤で処理
することができる。組織改良剤の例は長鎖脂肪族アルコ
ール、エステル、酸またはその塩、アミン、アミドまた
は樹脂様物質たとえばセバシン酸またはその水素化生成
物、エステルまたは塩、ならびに非イオン、陰イオンま
たは陽イオン界面活性剤などである。
所望の場合には、本発明の方法によって得られた顔料
を、たとえば、米国特許第4762523号に記載のごとく、
無塵顔料調合物に変換することもできる。
本発明の方法によって得られる生成物は優れた顔料特
性を有しており、下記のごとき高分子有機材料の着色の
ために好適である:セルロースエーテルおよびエステル
たとえばエチルセルロース、アセチルセルロース、ニト
ロセルロース;ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエ
ステル;天然樹脂または合成樹脂、特に、尿素/ホルム
アルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹
脂、アルキド樹脂;フェノリックプラスチック、ポリカ
ーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリオレフィ
ンたとえばポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリス
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ
アクリレート、フッ素重合体たとえばポリフルオロエチ
レン、ポリトリフルオロクロロエチレンまたはテトラク
ロロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体;さ
らには熱可塑性または硬化性アクリル樹脂、ゴム、カゼ
イン、シリコーンおよびシリコーン樹脂。これらは単体
または混合物(たとえばABS)でありうる。これら高分
子有機材料はプラスチックス、溶融物の形状あるいはま
た紡糸液、塗料、印刷インクなどの形状でありうる。
本発明の方法によって得られる顔料の特に好ましい用
途はペイントおよびラッカー、特に自動車塗装ラッカー
の着色である。
ラッカー、ペイントおよび印刷インクを着色するため
には、当該高分子有機材料と本発明の方法によって得ら
れた顔料とを、場合によってはその他任意添加物、たと
えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤または可塑剤(柔軟化
剤)と共に、共通の有機溶剤または溶剤混合物に微細に
分散または溶解させる。この場合、個々の成分を別々に
またはいくつかまとめて溶剤に分散または溶解しそして
後でそれら全成分を混合することができる。
高分子有機材料は本発明の方法によって得られた顔料
を、その材料を基準にして、0.01乃至40重量%、好まし
くは0.1乃至20重量%含有することができる。
プラスチック材料、繊維材料、塗料または印刷インク
などの着色に使用された場合、本発明の方法によって製
造された顔料は良好な全般的顔料特性を示す。たとえ
ば、良好な分散性、高い色濃度、純度、不透明度を示
し、上掛け、マイグレーション、熱、光、気候などに対
する堅牢性も優れている。さらに、酸、塩基、有機溶剤
などの化学薬品に対し優秀な安定性を有している。しか
し、特に強調されるべきはその酸塩および工業雰囲気に
対する極めて優れた安定性である。さらに、本顔料はそ
れによって着色された印刷インク、塗料などにすぐれた
レオロジカル特性を与えそして乾燥した仕上がり塗層に
は良好な艶を与える。
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
実施例1 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで80
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。定常的に撹拌しな
がら80℃の温度で最初に水120ml中14.30gのAl2(SO4
・18H2Oの溶液を15分間で添加し(添加後のpH価は3.
2)、そして次ぎに水120ml中5.6gの75%正リン酸を同じ
く15分間で添加する。この時、pH価は2.2となる。この
後、80℃の温度で撹拌を続けながら10%水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH6.5に調整する。pH調整後さらに30分間撹
拌しそして濾過する。濾過ケーキを500mlの水で3回洗
い、90℃の温度で乾燥する。
実施例2 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造され式
(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料10gを高
性能撹拌器( Ultra−Turrax、ドイツ国、シュタフェ
ン所在、Janke und Kunkel KG社製品)を使用して水100
ml中アルミン酸ナトリウム(Al2O3、53%)0.80gの溶液
に分散させる(6000rpmの速度で10分間)。正リン酸(8
4%)0.96gと1規定硫酸27mlを水で容積100mlまで稀釈
しそしてこれを上記の顔料懸濁物に撹拌しながら滴下に
より添加する。pH価を稀水酸化ナトリウム水溶液で2.4
に調整し、この懸濁物を60℃まで加熱しそしてこの温度
でpH価を2.4乃至2.5に保持しながら2時間撹拌する。こ
のあと懸濁物を90℃まで加熱し、さらに1時間撹拌す
る。生成物を濾過単離し、水で洗い、乾燥する。
実施例3 実施例2をくり返し実施する。ただし、今回は正リン
酸0.96gおよび1規定硫酸27mlと共にさらに二フッ化ア
ンモニウム0.47gを添加する。
実施例4 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中15.20gのAl2(SO4・18H
2Oおよび12.5gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する
(添加後のpH価は3.4)。次ぎに、水120ml中9.70gの75
%正リン酸を添加する。この時、pH価は2.3となる。こ
のpH価を10%水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整す
る。pH調整後さらに30分間撹拌しそして濾過する。濾過
ケーキを500mlの水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥
する。
実施例5 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中2.8gのAl2(SO4・18H2O
および2.3gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する(添
加後のpH価は4.6)。次ぎに、水120ml中1.9gの75%正リ
ン酸を添加する。この時、pH価は2.9となる。このpH価
を10%水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調
整後さらに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを
500mlの水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例6 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水300ml中34.1gのAl2(SO4・18H2
Oおよび27.9gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する
(添加後のpH価は2.9)。次ぎに、水120ml中21.9gの75
%リン酸を添加する。この時、pH価は1.7である。このp
H価を10%水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH
チ調整後さらに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケー
キを500mlの水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥す
る。
実施例7 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中7.6gのMgSO4と12.5gのZnSO4
・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後のpH価は3.
4)。次ぎに、水120ml中21.9gの75%リン酸を添加す
る。この時、pH価は2.5である。このpH価を10%水酸化
ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さらに30
分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500mlの水で
3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例8 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中7.3gのZr(SO4と12.5g
のZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後のpH価
は5.1)。続いて、水120ml中9.7gの75%正リン酸を添加
する。この時、pH価は2.5となる。このpH価を10%水酸
化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さらに3
0分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500mlの水で
3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例9 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中5.1gのTiOSO4と12.5gのZnSO
4・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後のpH価は2.
8)。次いで、水120ml中75%正リン酸9.7gの溶液を添加
する。この時、pH価は2.2となる。このpH価を10%水酸
化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さらに3
0分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500mlの水で
3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例10 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中12.8gのCa(NO3・4H2O
と12.5gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後
のpH価は2.9)。次ぎに、水120ml中9.7gの75%正リン酸
を添加する。この時pH価は2.3となる。このpH価を10%
水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さ
らに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500ml
の水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例11 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中16.4gのMg(NO3・6H2O
と12.5gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後
のpH価は5.3)。次ぎに、水120ml中9.7gの75%正リン酸
を添加する。この時pH価は2.4となる。このpH価を10%
水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さ
らに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500ml
の水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例12 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中17.2gのAl(NO3・9H2O
と12.5gのZnSO4・7H2Oを10分間かけて添加する(添加後
のpH価は3.7)。次ぎに、水120ml中9.7gの75%正リン酸
を添加する。この時pH価は2.1となる。このpH価を10%
水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さ
らに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500ml
の水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例13 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中13.0gのMgCl2・6H2Oと12.5g
のZnSO4・7H2Oを10分間で添加する(添加後のpH価は5.
3)。次ぎに、水120ml中9.7gの75%正リン酸を添加す
る。この時pH価は2.4となる。このpH価を10%水酸化ナ
トリウム水溶液で6.5に調整する。pH調整後さらに30分
間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキを500mlの水で3
回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例14 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Ca)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料100g
を水2に懸濁する。この懸濁物を蒸気を吹き込んで90
℃まで加熱しそして15分間撹拌する。撹拌しながら定量
ポンプを使用して水120ml中15.2gのAl2(SO4・18H2
Oと12.9gのZn(NO3・6H2Oを10分間かけて添加する
(添加後のpH価は3.5)。次ぎに、水120ml中9.7gの75%
正リン酸を添加する。この時pH価は2.2となる。このpH
価を10%水酸化ナトリウム水溶液で6.5に調整する。pH
調整後さらに30分間撹拌しそして濾過する。濾過ケーキ
を500mlの水で3回洗いそして90℃の温度で乾燥する。
実施例15 式BiVO4のバナジン酸ビスマス顔料10gを高性能撹拌器
を使用して100mlの水に分散する(6000rpmで10分間)。
pH価を稀塩酸で4に調整する。このあと、この分散物を
90℃まで加熱しそして水50ml中CaCl20.83gの溶液と水50
ml中84%正リン酸0.86gの溶液とを2時間かけて同時的
に添加する。この懸濁物を1時間撹拌後、濾過し、その
濾過ケーキを洗って塩を除去しそして乾燥する。
実施例16 米国特許第4752460号の実施例2に従って製造された
式(Bi,Zn)(V,Mo)O4のバナジン酸ビスマス顔料10gを
高性能撹拌器を使用して84%正リン酸1.8gを含有する水
100mlに分散する(6000rpmで10分間)。次ぎにTiCl4の1
1.5ミリモルを含有しているTiOCl2の水溶液14.7gを添加
する。この懸濁物を30分間撹拌し、pH価を中性に調整す
る。生成物を濾過単離し、洗って乾燥する。
実施例17(使用例) 下記組成のアルキドメラミンラッカー9gを実施例2で
製造した顔料1gおよびガラス玉(直径3mm)40gと一緒に
30ml試薬びんに装填して振動器にかけて16時間分散し
た。
ラッカーの組成: アルキド樹脂 Beckoso1321 (60%キシレン溶液) 54g メラミン樹脂 Super Beckamin NP100 (50%キシレン溶液) 32.4g 1−メトキシ−2−プロパノール 1.8g キシレン 11.35g シリコーン油A(1%キシレン溶液) 0.45g このラッカーをペイントパネルに塗布して膜を形成し
(湿潤塗膜厚さ100μm)、10分間空気乾燥しそして115
℃の温度で30分間焼付けた。
酸安定性の試験を以下の通り実施した。
約3cm2の上記ラッカー塗膜に8%塩酸を塗布しそして
この酸塗布した膜の上に時計ガラスを置き、23±1℃の
温度に4時間放置した。4時間後、この膜を水で良く洗
った。24時間で、やや茶色がかかった変色が緑色に代っ
た。しかしながら、本実施例で製造されたラッカーの変
色は本発明による処理を受けていない同種の顔料を含有
する同様ラッカーに観察された変色に比較してはるかに
軽微であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09C 1/00 C09C 3/06

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属リン酸塩で処理してバナジン酸ビスマ
    ス顔料を塩酸の攻撃に対して安定化する方法において、 バナジン酸ビスマス顔料の水性懸濁物に、撹拌しながら
    20乃至100℃の温度範囲かつ2乃至8のpH価範囲におい
    て、正リン酸カルシウム、正リン酸マグネシウム、正リ
    ン酸アルミニウム、正リン酸ジルコニウム、正リン酸チ
    タンからなる群から選択された正リン酸塩、上記正リン
    酸塩相互の混合物又は該正リン酸塩と正リン酸亜鉛との
    混合物を該顔料を基準にして2乃至20重量%の量で添加
    し、この際該正リン酸塩は強鉱酸の適当な金属塩と正リ
    ン酸又はそのアルカリ金属塩とからその場で沈殿される
    ものであり、そして、 上記処理により生じた生成物を常用方法で単離すること
    を特徴とする方法。
  2. 【請求項2】バナジン酸ビスマス顔料が式 BiVO4 (I)又は (Bi,A)(V,D)O4 (II) (式中、 Aはアルカリ土類金属、Zn又はそれらの混合物、 DはMo、W又はそれらの混合物を意味し、A対Biのモル
    比は0.1乃至0.4であり、D対Vのモル比は0乃至0.4で
    ある)の化合物からなる顔料である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】AがCa又はSrそしてDがMo又はWであり、
    A対Biのモル比が0.2乃至0.35そしてD対Vのモル比が
    0.01乃至0.2である式IIのバナジン酸ビスマス顔料を安
    定化する請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】AがCaそしてDがMoであり、Ca対Biのモル
    比が0.2乃至0.35そしてD対Vのモル比が0.01乃至0.2で
    ある式IIのバナジン酸ビスマス顔料を安定化する請求項
    2記載の方法。
  5. 【請求項5】顔料を基準にして5乃至15重量%の正リン
    酸塩を添加する請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】強酸の塩が塩化物、硝酸塩又は硫酸塩であ
    る請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】正リン酸塩が正リン酸アルミニウムである
    請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】正リン酸アルミニウムが硫酸アルミニウム
    と正リン酸又はそのナトリウム塩から製造される請求項
    7記載の方法。
  9. 【請求項9】正リン酸アルミニウムがアルミン酸ナトリ
    ウムと硫酸とからその場で製造された硫酸アルミニウム
    と正リン酸から製造される請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】正リン酸アルミニウムと正リン酸亜鉛の
    混合物が使用される請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】正リン酸アルミニウムと正リン酸亜鉛が
    硫酸アルミニウムと硫酸亜鉛と正リン酸又はそのナトリ
    ウム塩とから製造される請求項10記載の方法。
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