JP2972154B2 - 階段金網による法面植生工法 - Google Patents

階段金網による法面植生工法

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JP2972154B2 JP8275554A JP27555496A JP2972154B2 JP 2972154 B2 JP2972154 B2 JP 2972154B2 JP 8275554 A JP8275554 A JP 8275554A JP 27555496 A JP27555496 A JP 27555496A JP 2972154 B2 JP2972154 B2 JP 2972154B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、階段金網を利用し
た法面植生工法に関し、更に詳しくは、降雨時に法面を
流下する水により客土が流失することを防止するための
排水設備を備えた法面植生工法に関する。
【0002】
【従来の技術】法面を緑化する工法として、階段金網植
生工法が知られている。この工法では、金属製の細い棒
を縦横格子状に組合せると同時に階段状に折り曲げて形
成した階段金網を用意し、この階段金網をアンカーなど
で法面に固定すると共に、表面にコンクリートを吹き付
けると共に、内側に配置した土留めネット中に客土を行
い、草本ないし木本の植栽或いは播種を行うものであ
る。
【0003】上記した階段金網植生工法は、法面が急峻
である場合に採用される工法であるが、降雨時に法面を
急激に流下する水により客土が流失してしまう事態があ
る。このため特開平4−315612号公報は、階段金
網を離間して配置し、植生を行なう階段金網と階段金網
の間に縦方向に排水溝をもうけること、階段金網の表面
にコンクリートの吹き付けを行なうに際して、下部に排
水パイプを配備することを教えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、階段
金網植生工法は、主として法面が急峻である場合に採用
される工法である。従って、降雨時に法面を伝って流下
する水が激しい流れとなるために階段金網に行なわれた
客土・植生基盤が流されてしまう事態が生じる。前記し
た公報では、階段金網同士を離間して配置し、中間部に
縦方向の排水溝を設けることを教えているが、排水溝は
法面の傾斜に等しいために、法面の全体が階段状であ
る、即ち、排水溝を設けない態様よりも流下する水の流
れが早くなってしまうことから、流下水が客土・植生基
盤部分に横溢し、客土・植生基盤を流失させてしまうこ
とがあり、必ずしも適切な排水設備と云うことはできな
い。また、階段金網が略水平状態に配置されているため
に、水が客土・植生基盤の上に溜り易く、更に、溜った
水が排水溝の側に流れるとは限らず、階段の前面から下
方の階段植生部分に流れ、客土・植生基盤を流失させて
しまう事態を防止できない難点もある。
【0005】本発明は、上記に鑑み、客土・植生基盤の
上に水が溜るのを防止すると共に、排水部に導かれた水
が急激に流下するのを防止するために、流下水の流れを
減速する手段を設けた階段金網による法面植生工法を明
らかにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る法面植生工
法は、階段金網ユニットを法面に配置すると共に、該
階段金網の外壁・側壁及び法面にコンクリートを吹き付
け、このコンクリート吹き付けの前又は後に行われる各
階段内の客土・植生基盤によって法面を緑化する法面植
生工法において、前記階段金網ユニットを隣接する別の
階段ユニットに対して間隙を残して且つ該間隙側に互い
に下るように横方向に勾配を設けて法面に配置し、前記
コンクリートの吹き付けにより該間隙部分を流下水の排
水路となる排水部とすること、コンクリート吹き付け
で形成された排水部が、流下水を減速する手段となる複
数段の凸部を有していること、前記間隙に水路用階段
ユニットを配置した後、前記コンクリートを吹き付けて
階段状の排水部を形成すること、階段金網ユニットを
法面に配置すると共に、該階段金網の外壁・側壁及び法
面にコンクリートを吹き付け、このコンクリート吹き付
けの前又は後に行われる各階段内の客土・植生基盤によ
って法面を緑化する法面植生工法において、前記階段金
網ユニットを横方向に勾配を設けて法面に配置し、前記
階段金網ユニットの下り勾配側の端部付近の客土・植生
基盤の上面位置を押し下げて流下水の排水路となる部分
を形成し、該押し下げた部分にコンクリートを吹き付け
て排水部としたこと、階段金網ユニットを法面に配置
すると共に、該階段金網の外壁・側壁及び法面にコンク
リートを吹き付け、このコンクリート吹き付けの前又は
後に行われる各階段内の客土・植生基盤によって法面を
緑化する法面植生工法において、前記階段金網ユニット
を横方向に勾配を設けて法面に配置し、該階段金網ユニ
ットの下り勾配側の端部上面に水路用階段ユニットを載
置し、該水路用階段ユニットの上にコンクリートを吹き
付けて排水部としたこと、水路用階段ユニットに補強
用の鉄筋(縦筋)が配置されていること、前記階段金
網ユニットの上面で且つ前記水路用階段ユニットに連続
するように横枠を取り付け、該横枠の表面にコンクリー
トを吹き付けることにより、階段金網ユニット上を流下
する水を前記水路用階段ユニットで構成される排水部に
誘導する構成としたこと、水路用階段ユニットに補強
用の鉄筋(縦筋)が配置され、横枠に補強用の鉄筋(横
筋)が配置されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る階段金網によ
る法面植生工法を詳細に説明する。図1に示すように、
本発明に係る法面植生工法を行なうには、通常の実施態
様では法面10の表面に鉄筋ないしは金網などを敷設し
た上でコンクリートの吹き付けが行なわれており、例え
ば、8分勾配の法面に約10cm厚のコンクリートが吹
き付けられる。然しながら、法面10の表面へ鉄筋ない
し金網を敷設しただけの段階で、以下に説明する階段金
網ユニット20などの配設を行ない、その後に両者に対
してコンクリートの吹き付けを行なう態様も本発明に包
含される。
【0008】階段金網ユニット20は、例えば、横方向
に1/10勾配を設けて、排水部30側に傾斜するよう
に配置する。尚、この実施例では排水部30の幅を約2
0cm程度とした。
【0009】階段金網ユニット20のコンクリート法面
への固定は、アンカーなどを利用して行なわれるが、法
面へのコンクリートの吹き付けが、階段金網20の配置
後に行なわれる態様では、法面に敷設された鉄筋ないし
は金網などに熔接したり或いは金属線で結束したりして
固定するようにしてもよい。
【0010】階段金網ユニット20のサイズは、一段当
たり、例えば、縦40cm×奥32cm×幅90cmと
するが、このサイズに限定されるものではない。また、
階段金網ユニット20は、一段毎に形成する態様、二段
或いは三段を纏めて組みあげた態様であってもよい。
【0011】図2に示すように、階段金網ユニット20
の配置・固定が完了すると、階段金網ユニット20の内
側側壁に防水ネットや断熱材などが配置され、客土・植
生基盤材などが充填され、次いで外壁・側壁及び排水部
30へのコンクリートの吹き付けが行なわれる。尚、コ
ンクリートの吹き付けの後で、客土・植生基盤材の充填
を行なう態様であってもよい。
【0012】排水部30へのコンクリートの吹き付けで
は、コンクリート法面10の表面に、複数段の凸部31
を設けることによって、流下する水を減速する。凸部3
1としては、例えば、海鼠壁のような断面円弧状に形成
すること、階段状に形成することが挙げられる。凸部3
1の具体的形状は、限定的ではなく、流下する水の勢い
をそぐ機能があれば、様々な断面形状のものが実施可能
である。このような凸部31の形成は、コンクリートの
吹き付け作業だけで行なうこともできるし、鏝作業で形
成することも可能である。
【0013】図3に示す態様では、図1に示した態様の
階段金網ユニット20を、例えば、横方向に1/10勾
配で、排水部のための間隙を残すことなく接合状態で配
置し、客土・植生基盤材を充填し、更に、下り勾配の接
合部の客土・植生基盤材を、約60cmの幅で、約5c
m程度下げた上にコンクリートを吹き付け、排水部30
とする構成である。
【0014】図4に示す態様では、図1に示した態様と
同様に階段金網ユニット20を勾配を設けて配置すると
共に、排水部30の幅を約40cmとして水路用階段ユ
ニット32を配置し、その上からコンクリートの吹き付
けを行なう。
【0015】図5に示す態様では、階段金網ユニット2
0を勾配を設けて配置すると共に、水路用階段ユニット
32を、階段金網ユニット20の下り勾配の接合部の上
部に配置し、その上にコンクリートを吹き付け排水部3
0とする構成である。水路用階段ユニット32を配設す
る際に、図6に示すような補強用の鉄筋(縦筋)33を
配設するのも好ましい態様である。
【0016】図6に示す態様は、図5に示した構成に加
えて、水路用階段ユニット32から横方向に補強用の鉄
筋(横筋)34を配設すると共に、所定の間隔で横枠3
5を形成し、その上にコンクリートの吹き付けを行なう
構成である。この横枠35及びコンクリートの吹き付け
により、流下する水が排水部30に誘導されると同時
に、この部分が法枠として機能する。
【0017】
【発明の効果】本発明に係る工法によれば、階段金網ユ
ニットを勾配を付けて配置し、その下り勾配側に排水部
を形成することで流下する水を集めて落とすことができ
るので、客土・植生基盤を流出させることがない。ま
た、水路用階段ユニットを利用することで、コンクリー
ト法面が軟弱である場合にも、法面を補強しながら排水
部を確保することができる。これら効果により頭記した
本発明の課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工法の1工程を示す斜視図
【図2】本発明の工法による植生法面を示す斜視図
【図3】本発明の工法による植生法面の他の例を示す斜
視図
【図4】本発明の工法の他の態様の1工程を示す斜視図
【図5】本発明の工法の他の態様の1工程を示す斜視図
【図6】本発明の工法の他の態様の1工程を示す斜視図
【符号の説明】
10−法面 20−階段金網ユニット 30−排水部 31−凸部 32−水路用階段ユニット 33−補強用鉄筋(縦筋) 34−補強用鉄筋(横筋) 35−横枠

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】階段金網ユニットを法面に配置すると共
    に、該階段金網の外壁・側壁及び法面にコンクリートを
    吹き付け、このコンクリート吹き付けの前又は後に行わ
    れる各階段内の客土・植生基盤によって法面を緑化する
    法面植生工法において、前記階段金網ユニットを隣接す
    る別の階段ユニットに対して間隙を残して且つ該間隙側
    に互いに下るように横方向に勾配を設けて法面に配置
    し、前記コンクリートの吹き付けにより該間隙部分を流
    下水の排水路となる排水部とすることを特徴とする法面
    植生工法。
  2. 【請求項2】コンクリート吹き付けで形成された排水部
    が、流下水を減速する手段となる複数段の凸部を有して
    いることを特徴とする請求項1に記載の法面植生工法。
  3. 【請求項3】前記間隙に水路用階段ユニットを配置した
    後、前記コンクリートを吹き付けて階段状の排水部を形
    成することを特徴とする請求項1に記載の法面植生工
    法。
  4. 【請求項4】階段金網ユニットを法面に配置すると共
    に、該階段金網の外壁・側壁及び法面にコンクリートを
    吹き付け、このコンクリート吹き付けの前又は後に行わ
    れる各階段内の客土・植生基盤によって法面を緑化する
    法面植生工法において、前記階段金網ユニットを横方向
    に勾配を設けて法面に配置し、前記階段金網ユニットの
    下り勾配側の端部付近の客土・植生基盤の上面位置を押
    し下げて流下水の排水路となる部分を形成し、該押し下
    げた部分にコンクリートを吹き付けて排水部としたこと
    を特徴とする法面植生工法。
  5. 【請求項5】階段金網ユニットを法面に配置すると共
    に、該階段金網の外壁・側壁及び法面にコンクリートを
    吹き付け、このコンクリート吹き付けの前又は後に行わ
    れる各階段内の客土・植生基盤によって法面を緑化する
    法面植生工法において、前記階段金網ユニットを横方向
    に勾配を設けて法面に配置し、該階段金網ユニットの下
    り勾配側の端部上面に水路用階段ユニットを載置し、該
    水路用階段ユニットの上にコンクリートを吹き付けて排
    水部としたことを特徴とする法面植生工法。
  6. 【請求項6】水路用階段ユニットに補強用の鉄筋(縦
    筋)が配置されていることを特徴とする請求項5に記載
    の法面植生工法。
  7. 【請求項7】前記階段金網ユニットの上面で且つ前記水
    路用階段ユニットに連続するように横枠を取り付け、該
    横枠の表面にコンクリートを吹き付けることにより、階
    段金網ユニット上を流下する水を前記水路用階段ユニッ
    トで構成される排水部に誘導する構成としたことを特徴
    とする請求項5に記載の法面植生工法。
  8. 【請求項8】水路用階段ユニットに補強用の鉄筋(縦
    筋)が配置され、横枠に補強用の鉄筋(横筋)が配置さ
    れていることを特徴とする請求項7に記載の法面植生工
    法。
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