JP2972085B2 - コンバイン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、扱室可動枠体の上下揺
動に連動して排藁搬送フレームを上下動するように構成
したコンバインに係り、特に、脱穀処理部を包覆するカ
バー体を各機構毎にそれぞれ独立したカバー体で形成
し、点検、保守作業時の作業性を向上させたコンバイン
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、立毛穀稈を刈取って脱穀処理する
コンバインにおいては、円筒形の脱穀シリンダの外周に
多数の脱穀処理歯を周設した構成の扱胴を、扱室内で回
転駆動させて脱穀処理するように構成されている。とこ
ろが、上記構成の扱室では、長時間に亘る脱穀作業で扱
胴に排藁屑が絡みついたり、扱室下方に張設した受網に
目詰まりが生じ易く、脱穀処理の効率を低下させてしま
い、扱室内の点検、保守を行う場合にも扱胴あるいは受
網の取外し、再組込み等の煩わしい作業を伴うものであ
った。そこで、上記不具合を解消するため、扱室を上下
揺動する扱室可動枠体と扱室固定枠体とに上下に分割
し、扱室可動枠体側に回転自在に扱胴を支持させて、点
検、保守作業時に扱室可動枠体を上動開放して作業性を
向上させるようにした構成のものが提案されている。そ
して上記構成に加えて、点検、保守作業における作業性
を向上させるために扱室可動枠体の上下揺動に連動して
排藁搬送装置を上下動するように構成すると、搬送排藁
等の目詰まりが生じた際にも容易にその除去作業を行う
ことができ、脱穀から排藁搬送に至る一連の点検、保守
作業の作業性を向上させることができるようになるが、
排藁搬送装置は扱室可動枠体の出口側板から斜め後方の
既刈地側に向けて配設されているため、扱室可動枠体の
上下方向の姿勢変化とこれに追従する排藁搬送装置の姿
勢変化が各々異なり、また上下動する扱室可動枠体およ
び排藁搬送装置と他の本体側構造との取り合いが複雑化
することとなって、脱穀部から排藁搬送装置に至る上面
を一面状のカバー体で覆うことができない、という欠点
を有するものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
実状に鑑みコンバインの点検、保守における作業性の向
上を追究するその研究開発過程において創案されたもの
であって、その目的とするところは、扱胴を軸支する扱
室可動枠体の上下動に追従して排藁搬送装置を上下動さ
せて点検、保守の作業性を向上させることができるもの
でありながら、扱室可動枠体、排藁搬送装置および排藁
搬送時の穂先側の各部位を包覆するカバー体をそれぞれ
独立して設けることにより、カバー体の取付け構造を簡
素化することができ、その着脱作業における作業者の負
担を軽減し得て、もって点検、保守の作業効率の向上と
円滑な脱穀処理作業とを両立させることができるコンバ
インを提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明が採用した技術的手段は、扱室可動枠体側の
前後部に所定間隔を存して並設した入口側板と出口側板
との間に扱胴を回転自在に支持し、上記扱室可動枠体を
固定支点軸を回動支点として扱室固定枠体に上下揺動開
閉自在に支持する一方、平面視で上記出口側板から固定
支点軸の延長線上を通過して斜め後方に排藁搬送フレー
ムを延出し、上記扱室可動枠体の上下揺動に連動して排
藁搬送フレームを上下動するように構成したコンバイン
であって、上記扱室可動枠体を包覆するカバー体と、排
藁搬送フレームを包覆するカバー体と、搬送排藁の穂先
側を包覆するカバー体とを各別に独立して設けたことを
特徴とするものである。

【０００５】

【作用】したがって本発明によれば、カバー体の着脱を
容易に行うことができ、作業者の負担を軽減しつつ、扱
胴、受網等における目詰まりや排藁搬送装置における搬
送排藁の目詰まり等を容易に除去することができる。

【０００６】

【実施例】本発明の構成を、図面に示した一実施例につ
いて詳細に説明する。図１および図２において、１は図
示しない機体上に設けられた脱穀部、２は揺動選別部で
あって、該脱穀部１は機体前方に設けた図示しない刈取
搬送部の後方に配設され、また揺動選別部２は脱穀部１
の下方に設けられており、刈取搬送部から後送される刈
取穀稈を脱穀部１に形成した穀稈供給口１ａに供給し、
扱室３内の扱胴４で脱穀処理した後、受網５を介して漏
下した穀粒および夾雑物は、揺動棚６の揺動流板７に落
下して穀粒はクリンプ網８を介して下方に更に漏下する
一方、夾雑物は唐箕９およびターボファン１０の圧風で
後方のストローラック１１に送られ、該ストローラック
１１上の夾雑物は吸引ファン１２の吸引作用を受けて排
塵口１３から機外後方へ放出されるようになっていると
共に、上記揺動選別部２の上方でかつ脱穀部１の後方に
は、機体の一側前方から他側後方に臨ませて排藁搬送チ
ェン１４´を巻回した排藁搬送装置１４が後傾状に横架
されており、機体前方から刈取搬送部を介して搬送され
る刈取穀稈の穂先側を脱穀部１に介入させたまま、その
株元側をフィードチェン１５と挟持レール１６で後送
し、上記排藁搬送装置１４に継送される排藁を図示しな
い排藁カッター装置への落し込みと機外への連続放出と
に切替継送するように構成されている。

【０００７】上記扱室３は、図３ないし図５に示す如
く、カバー体１７の両側面に入口側板１８ａ、出口側板
１８ｂを所定間隔を存して並設してなる扱室可動枠体１
９と、内面部を扱胴４の外周に沿って曲成してなる扱室
固定枠体２０とから形成されており、上記扱室可動枠体
１９内には両側板１８ａ、１８ｂを貫通する回転軸２１
を介して扱胴４が回転自在に軸支されていると共に、上
記扱室固定枠体２０の上部一側には、扱室可動枠体１９
の回動基端側を軸支する固定支点軸２２が軸架されてお
り、図３、図４の点線および二点鎖線で示すように、上
記固定支点軸２２を回動中心として扱室可動枠体１９を
扱胴４および排藁搬送装置１４とともに上下揺動開閉自
在に支持する構成となっている。

【０００８】前記固定支点軸２２は、出口側板１８ｂの
背面から後方の排藁搬送装置１４に至る間で延設されて
おり、かつその余長部は排藁搬送装置１４の中間部から
搬送終端側１４ａに至る間で、上記排藁搬送装置１４を
構成する排藁搬送フレーム１４ｂに沿って曲成されてい
ると共に、上記延設された固定支点軸２２には摺動レー
ル２２´が湾曲状に突設されており、上記搬送終端側１
４ａに軸支した滑車２３を摺動レール２２´上に移動自
在に支承させて、図６に示すように上記滑車２３を介し
て排藁搬送装置１４の搬送終端側１４ａを支持するよう
になっている。

【０００９】一方、上記出口側板１８ｂの後面と排藁搬
送装置１４との中間部には、中空パイプからなる補強フ
レーム２４が排藁搬送装置１４と平行して回動自在に設
けられており、前出の図５に示すように、上記補強フレ
ーム２４の基端側は固定支点軸２２の延設部位に固定ブ
ラケット２２ａを介して軸装されていると共に、その先
端は取付ブラケット２５を介して上記出口側板１８ｂに
固着されており、上記固定支点軸２２を回動中心として
扱室可動枠体１９が上下揺動する際に、補強フレーム２
４により出口側板１８ｂを側面から支持するように構成
されている。

【００１０】上記取付ブラケット２５の下面には、排藁
搬送フレーム１４ｂの搬送始端側１４ｃに軸支した駆動
スプロケット２６を回転駆動する排藁ギヤケース２７が
付設されており、上記出口側板１８ｂの回転軸２１に軸
支した駆動プーリ２８と、排藁ギヤケース２７の入力側
で出口側板１８ｂに軸支した伝動プーリ２９との間に巻
回した伝動ベルト３０により、入口側板１８ａ側から伝
動される扱胴４の回転駆動力を上記排藁ギヤケース２７
に伝達し、排藁搬送装置１４を駆動すると共に、上記排
藁搬送フレーム１４ｂの搬送始端側１４ｃを貫通する回
動支点軸２７ａが排藁ギヤケース２７の側部に固着され
ており、上記回動支点軸２７ａを回動支点として、排藁
搬送装置１４の搬送始端側１４ｃを前記扱室可動枠体１
９の上下揺動に伴って上下動させるようになっている。

【００１１】また前記排藁搬送装置１４の上面および搬
送排藁の穂先側に位置する部位には、カバー体３１とカ
バー体３２がそれぞれ装着されており、当該カバー体３
１は排藁搬送フレーム１４ｂの延出方向に沿って上面視
で略三角形状に形成されていると共に、カバー体３２は
扱室３を包覆する前記カバー体１７の後方で、かつ上記
排藁搬送装置１４の搬送終端側１４ａ側に位置して配設
されている。なお、３３は上記伝動ベルト３０のテンシ
ョン機構、３４は排藁搬送フレーム１４ｂの搬送終端側
１４ａに軸支された従動スプロケット、３５は排藁搬送
チェン１４´の下面との間で排藁を挟持する挟扼レール
である。

【００１２】叙上の如き構成において、脱穀部１の穀稈
供給口１ａから扱室３内に供給された刈取穀稈の穂先側
は、その株元側をフィードチェン１５により搬送挟持さ
れたまま扱胴４で脱穀処理され、漏下した穀粒および夾
雑物は受網５を介して揺動選別部２で所要の選別処理を
施されると共に、脱穀処理後の排藁はフィードチェン１
５から排藁搬送装置１４に継送され、図示しない排藁カ
ッター装置へ落し込まれたり、あるいは上記排藁搬送装
置１４の搬送終端側１４ａから機外へ連続放出されるこ
とになる。

【００１３】このような刈取搬送から脱穀処理を経て排
藁搬送に至る一連の作業中において、扱胴４に排藁屑が
絡み付いたり、扱室３下方に張設した受網５に目詰まり
が生じた場合には、図７に示すようにカバー体３１を取
外して排藁搬送装置１４を外部に露出させた後に、図８
に示すように扱室可動枠体１９を上動操作してフィード
チェン１５側から扱室３を開放することにより容易に扱
室３内の点検、保守を行うことができる。この時、排藁
搬送装置１４の搬送始端側１４ｃも同時に上動し、扱室
３および排藁搬送装置１４の双方を容易かつ効率良くメ
ンテナンスすることができる。

【００１４】また、扱胴４や受網５の点検、保守が不要
で扱室可動枠体１９を開放しない場合に、上記排藁搬送
装置１４の点検、保守を行うには、図９に示すように搬
送始端側１４ｃの回動支点軸２７ａを回動支点として、
排藁搬送装置１４の搬送終端側１４ａを作業者が押上げ
回動操作するのみで排藁搬送装置１４を開放することが
できる。この時、カバー体３１はカバー体１７および３
２から独立して排藁搬送装置１４を包覆しているので、
何ら支障を伴うことなく排藁搬送装置１４とともに押上
げられ、排藁搬送チェン１４´の目詰まりや挟扼レール
３３に絡みつく搬送排藁の除去作業を簡単に行うことが
でき、作業者の負担を軽減することができる。

【００１５】更に前記カバー体３１の取外しと同様に、
点検、保守の対象となる部位のカバー体１７やカバー体
３２の取外しもそれぞれ該当するカバー体を取り外すの
みで簡単に行うことができ、点検、保守作業時において
各カバー体の取外しに要する作業者の負担を大幅に軽減
することができ、作業効率を向上させることができる。

【００１６】

【発明の効果】これを要するに本発明は、扱室可動枠体
側の前後部に所定間隔を存して並設した入口側板と出口
側板との間に扱胴を回転自在に支持し、上記扱室可動枠
体を固定支点軸を回動支点として扱室固定枠体に上下揺
動開閉自在に支持する一方、平面視で上記出口側板から
固定支点軸の延長線上を通過して斜め後方に排藁搬送フ
レームを延出し、上記扱室可動枠体の上下揺動に連動し
て排藁搬送フレームを上下動するように構成したコンバ
インであって、上記扱室可動枠体を包覆するカバー体
と、排藁搬送フレームを包覆するカバー体と、搬送排藁
の穂先側を包覆するカバー体とを各別に独立して設けた
から、扱胴を軸支する扱室可動枠体の上下動に追従して
排藁搬送装置を上下動させて点検、保守の作業性を向上
させることができるものでありながら、扱室可動枠体の
上下方向の姿勢変化とこれに追従する排藁搬送装置の姿
勢変化が各々異なる場合にも、上下動する扱室可動枠体
および排藁搬送装置と他の本体側構造との取り合いに複
雑な構造を要することなく、カバー体の取付け構造を簡
素化することができ、当該カバー体の着脱作業における
作業者の負担を軽減し得て、点検、保守の作業効率を向
上させることができ、もって円滑な脱穀処理作業を長期
に亘って保持することができる、という極めて有用な新
規的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの要部斜視図である。

【図２】コンバインの各部の動作を示す作用説明図であ
る。

【図３】脱穀部の一部省略正面図である。

【図４】同上脱穀部の一部省略背面図である。

【図５】同上要部平面図である。

【図６】（ａ）は作業時における排藁搬送装置の搬送終
端側の支持状態を示す作用説明図である。（ｂ）は搬送
始端側を上動操作した際の搬送終端側の支持状態を示す
作用説明図である。

【図７】排藁搬送装置のカバー体を取外した状態を示す
要部斜視図である。

【図８】扱室可動枠体を開放したコンバインの要部斜視
図である。

【図９】搬送始端側を回動中心として搬送終端側を上動
操作した状態を示す作用説明図である。

【符号の説明】

４ 扱胴 １４ 排藁搬送装置 １４´ 排藁搬送チェン １４ａ 搬送終端側 １４ｂ 排藁搬送フレーム １４ｃ 搬送始端側 １７ カバー体 １８ａ 入口側板 １８ｂ 出口側板 １９ 扱室可動枠体 ２０ 扱室固定枠体 ２２ 固定支点軸 ２４ 滑車 ２４´ ストッパ ２２´ 摺動レール ３１ カバー体 ３２ カバー体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室可動枠体側の前後部に所定間隔を存
   して並設した入口側板と出口側板との間に扱胴を回転自
   在に支持し、上記扱室可動枠体を固定支点軸を回動支点
   として扱室固定枠体に上下揺動開閉自在に支持する一
   方、平面視で上記出口側板から固定支点軸の延長線上を
   通過して斜め後方に排藁搬送フレームを延出し、上記扱
   室可動枠体の上下揺動に連動して排藁搬送フレームを上
   下動するように構成したコンバインであって、上記扱室
   可動枠体を包覆するカバー体と、排藁搬送フレームを包
   覆するカバー体と、搬送排藁の穂先側を包覆するカバー
   体とを各別に独立して設けたことを特徴とするコンバイ
   ン。