JP2970578B2 - 分布帰還型半導体レーザ - Google Patents
分布帰還型半導体レーザInfo
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Description
発振する分布帰還型半導体レーザに関するものである。
ード(単一波長)発振するλ/4位相シフト分布帰還型
(DFB:Distributed Feedback)半導体レーザでは、
特に規格化結合係数(κ)が大きい場合に、位相シフト
回折格子に電界が集中しやすく、高出力時に単一モード
発振が不安定になる問題を有していた(以下、このよう
な分布帰還型半導体レーザをλ/4位相シフトレーザと
称す)。
界強度の分布を平坦化し、単一モードで安定して発振さ
せる手段として、例えば特開平4−100287号公
報、あるいは、Okai et al., IEEE J. Quantum Electro
nics, vol. 27, pp. 1767-1772, 1991. にその技術が公
開されている。これらの文献では、図8に示すような構
造の半導体レーザが提案され、その共振器(レーザ素
子)内には図9に示すような周期の異なる2種類の回折
格子が形成されている(以下、このような分布帰還型半
導体レーザを周期変調型レーザと称す)。
造を示す側断面図であり、図9は図8に示した回折格子
のレーザ素子内の位置に対する周期の関係を示すグラフ
である。
波長を選択するための回折格子12が形成され、回折格
子12が形成された半導体基板11上にはMOVPE
(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)成長により、
光ガイド層13、利得を持つMQW(Multi-Quantum-We
ll)活性層14、およびクラッド層15が順次形成され
ている。このMQW活性層14をバンドギャップの大き
いN型半導体の半導体基板11、およびP型半導体のク
ラッド層15で挟むことによりダブルヘテロ構造(D
H:Double Heterostructure)のレーザ素子が構成され
ている。
に、レーザ素子の両端の領域(周期均一領域18)では
等しい均一な周期で形成され、中央の領域(位相調整領
域19)では周期均一領域18よりも短い周期で形成さ
れている。
5の表面には半導体基板11からMQW活性層14に対
して電子を注入するための電極17がそれぞれ形成さ
れ、レーザ素子の両端にはARコーティング(無反射コ
ーティング)16が形成されている。
に対する位相調整領域19の回折格子による位相変化量
の総和を累積位相変化量と定義すると、図8に示した周
期変調型レーザでは、累積位相変化量が周期均一領域1
8の回折格子の1/2周期(すなわち、レーザ光の共振
器内定在波に対する1/4波長(λ/4))になるよう
に位相調整領域19の回折格子が形成されている。
ような従来の分布帰還型半導体レーザでは、レーザ素子
内に異なる2種類の周期の回折格子を有しているため
に、特に発振しきい値付近のように注入電流が少ない場
合に、主モードと副モード間のしきい値利得差が十分に
得られないという問題があった。
周期均一領域の回折格子の1/2周期になるように位相
調整領域の回折格子が形成されているため、共振器軸方
向の電界強度分布の平坦化に限界があり、必ずしも安定
な単一モード発振を得ることができなかった。
る問題点を解決するためになされたものであり、共振器
軸方向の電界強度分布を平坦化させて安定な単一モード
発振を実現し、より十分な主モードと副モード間のしき
い値利得差を有する分布帰還型レーザ発振器を提供する
ことを目的とする。
本発明の分布帰還型半導体レーザは、共振器軸方向に周
期構造である回折格子を有する分布帰還型半導体レーザ
であって、前記回折格子の周期を連続的に増加及び減少
させた少なくとも1つの周期変化領域と、前記回折格子
の周期が所定の一定値である周期均一領域と、を有し、
前記周期均一領域の回折格子の位相に対する前記周期変
化領域の回折格子による位相変化量の総和である累積位
相変化量の絶対値が、前記周期均一領域の回折格子の周
期の3/2倍から11/2倍の構成である。
前記累積位相変化量は、nを1から5の自然数としたと
き、前記周期均一領域の回折格子の周期の±(2n+
1)/2倍であることが望ましく、前記周期変化領域の
長さは、前記共振器軸の長さの1/10から1/2であ
ることが望ましい。
レーザは、周期均一領域の回折格子の位相に対する周期
変化領域の回折格子による位相変化量の総和である累積
位相変化量の絶対値を、周期均一領域の回折格子の周期
の3/2倍から11/2倍にすることで、従来の1/2
倍にしたときに比べて、周期変化領域に対する電界強度
の集中がより緩和され、電界強度分布がより平坦化され
る。
周期を連続的に変化させることで、副モードのしきい値
利得が十分に抑制され、発振しきい値付近においても十
分な主モードと副モード間のしきい値利得差を得ること
ができる。
て説明する。
構造を示す側断面図であり、図2は図1に示した回折格
子のレーザ素子内の位置に対する周期の関係を示すグラ
フである。
長を選択するための回折格子2が形成され、回折格子2
が形成された半導体基板1上にはMOVPE成長によ
り、光ガイド層3、MQW活性層4、およびクラッド層
5が順次形成されている。このMQW活性層4をバンド
ギャップの大きいN型半導体の半導体基板1、およびP
型半導体のクラッド層5で挟むことによりダブルヘテロ
構造(DH)のレーザ素子が構成されている。ここで、
回折格子2は、図2に示すように、レーザ素子の両端の
領域(周期均一領域8)で均一な等しい周期で形成さ
れ、中央の領域(周期変化領域9)で周期均一領域8よ
りも短い周期で連続的に変化するように形成されてい
る。
表面には半導体基板1からMQW活性層4に対して電子
を注入するための電極7がそれぞれ形成され、レーザ素
子の両端にはARコーティング(無反射コーティング)
6が形成されている。
型半導体レーザ(周期変調型レーザ)では、累積位相変
化量が周期均一領域の回折格子の1/2周期(すなわ
ち、レーザ光の共振器内定在波に対する1/4波長(λ
/4))になるように周期調整領域の回折格子が形成さ
れていた。
位相変化量が周期均一領域8の回折格子の1/2周期よ
りも大きくなるように周期変化領域9の回折格子を形成
する。このような構造にすることにより、累積位相変化
量を1/2周期にしたときに比べて周期変化領域9への
電界強度の集中をより緩和することができるため、電界
強度分布をさらに平坦化することができる。
の周期を連続的に変化させることで、副モードのしきい
値利得が十分に抑制され、発振しきい値付近においても
主モードと副モード間のしきい値利得差を十分に得るこ
とができる。
積位相変化量が、周期均一領域8の周期に対して±(2
m−1)/2(m=0、1、2、3…)になるように周
期変化領域9の回折格子を形成することで単一モードで
発振する。
述したように累積位相変化量が周期均一領域8の回折格
子の1/2周期よりも大きくなるように周期変化領域9
の回折格子を形成するため、周期変化領域9の回折格子
は累積位相変化量が3/2周期以上になるように形成す
る。なお、この累積位相変化量は、ブラッグ波長で発振
させるために、共振器内の定在波に対して正確に±(2
n−1)λ/4(n:自然数)にすることが望ましい。
の周期を、周期均一領域8の回折格子の周期よりも短い
周期へ連続的に変化させた場合を示しているが、周期変
化領域9の回折格子の周期は、周期均一領域8の回折格
子の周期に対して±(2n+1)/2(n:自然数)倍
であればよく、周期均一領域8の回折格子の周期に対し
て長い周期へ連続的に変化させてもよい。
入電流に対する規格化しきい値利得差の関係を示すグラ
フであり、図4は分布帰還型半導体レーザ素子内の位置
に対する規格化電界強度の関係を示すグラフである。な
お、図3及び図4では、従来のλ/4位相シフトレー
ザ、従来の周期変調型レーザ、および本発明の分布帰還
型半導体レーザの特性をそれぞれ記載している。
型半導体レーザは注入電流が少ないときでも従来のλ/
4位相シフトレーザと同等の規格化しきい値利得差を得
ることができる。また、図4に示すように、本発明の分
布帰還型半導体レーザはレーザ素子内の規格化電界強度
分布が従来のλ/4位相シフトレーザ、および周期変調
型レーザと比較して平坦な特性が得られるため、注入電
流を増加させてレーザ光出力を大きくした場合でも単一
モードで安定して発振する。
期変化領域と共振器長の比に対する規格化電界強度均一
性の関係を示すグラフであり、図6は図1に示した分布
帰還型レーザの周期変化領域と共振器長の比に対する規
格化しきい値利得差の関係を示すグラフである。なお、
規格化電界強度均一性とは、規格化電界強度の最小値と
最大値の比である。
する累積位相変化量をλ/4(4分の1波長)から3λ
/4、5λ/4、…と大きくしていくことにより、短い
周期変化領域9で電界強度分布をより平坦にすることが
可能になる。また、図6に示すように、規格化しきい値
利得差は周期変化領域9が短いほど大きな値が得られ
る。ここで、周期変化領域9の回折格子の周期を連続的
に変化させることにより、累積位相変化量が大きくなっ
た場合でも規格化しきい値利得差がほとんど劣化しな
い。
分なしきい値利得差を得る累積位相変化量としては±
(2n+1)/λ(1≦n≦5)が適当であり、特に電
界強度分布を十分に平坦化し、十分に大きなしきい値利
得差を得るためには、累積位相変化量は3λ/4から7
λ/4が適当である。また、高出力時でも安定な発振特
性が得られるように、規格化電界強度を0.8以上にす
るためには、図5から分かるように周期変化領域9の長
さを共振器長に対して1/10(比が0.1)以上にす
ることが望ましい。さらに、高速直接変調時でも副モー
ドでの発振が生じないように、規格化しきい値利得差を
0.8以上にするためには、図6から分かるように周期
変化領域9の長さを共振器の長さに対して5/10(比
が0.5)以下にすることが望ましい。
ーザ素子内の位置に対する規格化電界強度の関係を示す
グラフである。
位相変化量をλ/4から大きくしていくことにより電界
強度分布が平坦化される。しかしながら、図7に示す累
積位相変化量がλ/4、3λ/4、および5λ/4のと
きのように、周期変化領域9の電界強度分布が周期均一
領域8に比べて比較的大きい場合には、電流の注入とと
もに周期変化領域9の電界強度の変化量が周期均一領域
8と比較して大きくなる。その結果、周期変化領域9の
キャリア密度が減少し、MQW活性層4の屈折率がプラ
ズマ効果によって周期変化領域9で大きくなる。この影
響による単一モード発振の安定性の劣化を防ぐために
は、周期変化領域9の回折格子の周期を短くし、発振波
長がブラッグ波長から離れにくくなるようにする。
ように、MQW活性層4の屈折率の変化が周期均一領域
8で大きくなるような場合には、周期変化領域9の回折
格子の周期を大きくすればよい。
り、主モードと副モード間のしきい値利得差が十分大き
な値になると共に、共振器軸方向の電界強度分布を平坦
化することが可能になる。よって、発振しきい値以下で
も十分大きなしきい値利得差が得られ、高レーザ出力時
まで安定して単一モードで発振する。また、位相シフト
位置、回折格子の端面位相、端面反射率等のトレランス
に対して光出力特性の分布が抑制され、歩留まりが向上
する。
法について説明する。
ザを作成するためには、まずはじめに、レジストを塗布
したn−InPからなる半導体基板1上に電子ビーム露
光法を用いてレジストパターンを転写し、回折格子パタ
ーンを形成する。
域(周期均一領域8)で等しい均一な周期を有し、素子
中央領域(周期変化領域9)では周期均一領域8の周期
に対して連続的に増減させた周期で形成する。ここで、
周期変化領域9の回折格子の周期は周期均一領域8の回
折格子を含めて連続的に変化している。
OVPE成長により、光ガイド層3、MQW活性層4、
p−InPからなるクラッド層5を順次成長させる。
ウエハからエッチングによってストライプ状の共振器を
形成し、電流が漏れないようにするために所定の結晶を
埋め込み成長させてDC−PBH(Double-Channel-Pla
nar-Buried-heterostructure)構造とし、レーザ素子を
形成する。
めの電極17を半導体基板1の表面およびクラッド層5
の表面にそれぞれ形成し、レーザ素子の両端にARコー
ティングを形成する。なお、周期変化領域9における累
積位相変化量は5λ/4とする。また、レーザ素子長は
600μmとし、規格化結合係数κLが4となるように
作成する。
レーザを評価したところ、発振しきい値は10mA、ス
ロープ効率は0.3W/Aと良好な特性が得られ、サイ
ドモード抑圧比(SMSR)は50dBが得られた。ま
た、この分布帰還型半導体レーザはしきい値以下におい
ても、従来のλ/4位相シフトレーザと同等のしきい値
利得差が得られ、さらに高レーザ出力時まで安定して単
一モード発振し、従来のλ/4位相シフトレーザと比較
して約2倍の最大出力が得られた。
箇所としているが、レーザ素子内の電界強度分布をより
精密に制御するために、周期変化領域9を2箇所以上形
成してもよい。
いるので、以下に記載する効果を奏する。
せた少なくとも1つの周期変化領域と、回折格子の周期
が所定の一定値である周期均一領域とを有し、周期均一
領域の回折格子の位相に対する周期変化領域の回折格子
による位相変化量の総和である累積位相変化量の絶対値
を、周期均一領域の回折格子の周期の3/2倍から11
/2倍にすることで、主モードと副モード間のしきい値
利得差が十分大きな値になると共に、共振器軸方向の電
界強度分布を平坦化することが可能になる。よって、発
振しきい値以下でも十分大きなしきい値利得差が得ら
れ、高レーザ出力時まで安定して単一モードで発振す
る。また、位相シフト位置、回折格子の端面位相、端面
反射率等のトレランスに対して光出力特性の分布が抑制
され、歩留まりが向上する。
側断面図である。
対する周期の関係を示すグラフである。
する規格化しきい値利得差の関係を示すグラフである。
規格化電界強度の関係を示すグラフである。
と共振器長の比に対する規格化電界強度均一性の関係を
示すグラフである。
と共振器長の比に対する規格化しきい値利得差の関係を
示すグラフである。
の位置に対する規格化電界強度の関係を示すグラフであ
る。
断面図である。
対する周期の関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 共振器軸方向に周期構造である回折格子
を有する分布帰還型半導体レーザであって、 前記回折格子の周期を連続的に増加及び減少させた少な
くとも1つの周期変化領域と、 前記回折格子の周期が所定の一定値である周期均一領域
と、 を有し、 前記周期均一領域の回折格子の位相に対する前記周期変
化領域の回折格子による位相変化量の総和である累積位
相変化量の絶対値が、 前記周期均一領域の回折格子の周期の3/2倍から11
/2倍である分布帰還型半導体レーザ。 - 【請求項2】 前記周期変化領域の回折格子の前記累積
位相変化量は、nを 1から5の自然数としたとき、前記周期均一領域の
回折格子の周期の±(2n+1)/2倍である請求項1
記載の分布帰還型半導体レーザ。 - 【請求項3】 前記周期変化領域の長さは、 前記共振器軸の長さの1/10から1/2である請求項
1または2記載の分布帰還型半導体レーザ。
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