JP2970191B2 - 酸化亜鉛バリスタ用電極材料 - Google Patents

酸化亜鉛バリスタ用電極材料

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JP2970191B2 JP4070759A JP7075992A JP2970191B2 JP 2970191 B2 JP2970191 B2 JP 2970191B2 JP 4070759 A JP4070759 A JP 4070759A JP 7075992 A JP7075992 A JP 7075992A JP 2970191 B2 JP2970191 B2 JP 2970191B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種電子機器を異常高電
圧から保護する目的で使用される酸化亜鉛バリスタの電
極材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、民生機器や産業機器の制御回路の
高度集積化が急速に進展しており、これらの制御回路に
用いられている半導体電子部品は異常高電圧(サージ)
に極めて弱く、この対策は不可欠となっている。この対
策として一般にバリスタが用いられており、中でも酸化
亜鉛バリスタはその優れた電圧非直線性、サージ吸収能
力を持つことから、各種電子機器を異常高電圧(サー
ジ)から保護する目的で広く利用されている。
【0003】従来より、上記酸化亜鉛バリスタに使用さ
れる電極材料として、例えば特開昭62−290104
号公報などが開示されているが、この内容は以下の通り
である。PbOが50.0〜85.0重量%、B23
10.0〜30.0重量%、SiO2が5.0〜25.
0重量%からなる硼珪酸亜鉛ガラス粉末を重量比で5.
0%秤量し、ブチルカルビトールにエチルセルロースを
溶かしたビヒクル(重量比で30.0%)中にAg粉末
(重量比で65.0%)とともに混練して銀ペーストを
作成し、酸化亜鉛バリスタ用電極材料とするものであっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の硼珪酸鉛ガラスからなる酸化亜鉛バリスタ用電極材
料を酸化亜鉛バリスタに用いると、異常高電圧(サー
ジ)によるバリスタ電圧の特性劣化が大きく、かつ電圧
非直線性、制限電圧比特性ともに満足できるものではな
いという課題を有していた。本発明は、上記従来の課題
を解決するもので、酸化亜鉛バリスタに使用して優れた
信頼性を示す酸化亜鉛バリスタ用電極材料を提供するこ
とを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明による酸化亜鉛バリスタ用電極材料は、酸化ア
ルミニウム、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化ゲル
マニウムの中から選択された少なくとも一つの元素を、
Al23、In23、Ga23、GeO2の形に換算し
て1.0×10-4〜1.0重量%含む硼珪酸鉛系ガラス
を銀ペースト中に含有した構成としたものである。
【0006】あるいは、上記硼珪酸鉛系ガラスの組成に
加えて、酸化コバルト(Co23、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化イットリウム(Y23)、酸化アンチ
モン(Sb23)、酸化マンガン(MnO2)の中から
いずれか一つを0.1〜30.0重量%含有した構成と
したものである。
【0007】
【作用】この構成による酸化亜鉛バリスタ用電極材料を
酸化亜鉛バリスタの電極として用いることにより、特に
制限電圧比特性および電圧非直線性などの特性改善を図
ることができ、かつサージ電流によるバリスタ特性の劣
化の改善も図ることができる。
【0008】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について詳細
に説明する。
【0009】まず、酸化亜鉛バリスタ用電極材料に添加
するガラス粉末の調整について述べる。下記の(表1)
の組成表に従い、PbO、B23、SiO2、Al23
を所定量秤量しボールミルにて混合、粉砕した後、白金
ルツボにて1000〜1500℃の温度条件で溶融し、
急冷してガラス化させた。このガラスを粗粉砕した後、
ボールミルにて微粉砕して硼珪酸鉛系ガラス粉末を得
た。また、従来例の硼珪酸鉛ガラスとしてPbOが7
0.0%重量、B23が15.0重量%、SiO2が1
5.0重量%からなるガラス粉末を同様の手法にて作製
した。以上のように作製したガラスのガラス転移点(T
g)を下記の(表1)に示した。ここで、ガラス転移点
(Tg)は熱分析装置を用いて測定した。
【0010】次に、この硼珪酸鉛系ガラス粉末を所定量
(重量比で5.0%)秤量し、ブチルカルビトールにエ
チルセルロースを溶かしたビヒクル(重量比で30.0
%)中にAg粉末(重量比で65.0%)とともに混練
し、酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製した。
【0011】以上のように作製した酸化亜鉛バリスタ用
電極材料を評価するため、酸化ビスマス(Bi23)、
酸化コバルト(Co23)、酸化マンガン(Mn
2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化チタン(Ti
2)をそれぞれ0.5モル%、酸化アンチモン(Sb2
3)、酸化クロム(Cr23)をそれぞれ0.1モル
%、酸化アルミニウム(Al23)を0.005モル
%、残りが酸化亜鉛(ZnO)からなる酸化亜鉛バリス
タ焼結体(直径13mm、厚さ1.5mm)の両面に直径1
0mmとなるよう塗布し、800℃で10分間焼付け、リ
ード線を半田付けした後、樹脂モールドして試料を得
た。
【0012】このようにして得られた試料の
【0013】
【外1】
【0014】およびサージ電流耐量特性を下記の(表
2)に示す。ここで、
【0015】
【外2】
【0016】は直流定電流電源を用いて測定した。ま
た、サージ電流耐量特性は標準波形8/20μS、波高
値2500Aの衝撃電流を同一方向に2回印加しバリス
タ電圧(V1mA)の変化率を測定した。なお、試料数は各ロ
ット10個である。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】まず、(表1)および(表2)から、酸化
亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラスに含まれ
るAl23含有量の電圧非直線性、制限電圧比特性およ
びサージ電流耐量特性への影響を考察する。(表2)の
試料No.2に示すように、Al23の含有量が1.0×
10-4重量%以上の組成系においては制限電圧比特性が
向上するが、(表2)の試料No.8に示すように、Al2
3の含有量が1.0重量%を越える組成系では、電圧
非直線性およびサージ電流耐量特性は悪化する。同様
に、(表2)の試料No.9,11,12に示すように、
In23、Ga2 3、GeO2の含有量が0.1重量%
の組成系においては制限電圧比特性が向上することがわ
かる。
【0020】また、In23、Ga23、GeO2の含
有量が1.0×10-4〜1.0重量%の組成系では、A
23を含む組成系のガラスを用いた場合と同様に制限
電圧比特性が向上することを確認した。一方、試料No.
10に示すようにAl23、In23をそれぞれ0.0
5重量%含む組成系のガラスを用いても、制限電圧比特
性が向上することがわかる。また、Al23、In
23、Ga23、GeO2の中から選択された複数の金
属酸化物を総量で1.0×10-4〜1.0重量%用いて
も同様の効果が得られることを確認した。
【0021】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいてAl23、In23、Ga2
3、GeO2の中から選択された少なくとも一つの元素
を1.0×10-4〜1.0重量%含む組成系であること
が必要条件である。一方、サージ電流耐量特性および電
圧非直線性はAl23、In23、Ga23、GeO 2
等の含有量のほかにPbO、B23、SiO2含有量の
影響を受けるため、これらの組成について考慮する必要
がある。
【0022】そこで、(表1)および(表2)に基づき
酸化亜鉛バリスタ用電極材料に含まれる硼珪酸鉛系ガラ
スの構成成分のサージ電流耐量特性および電圧非直線性
への影響を考察する。PbO含有量が40.0重量%を
越える組成系のガラスはガラス転移点が高く、ガラスの
流動性が小さすぎて半田濡れ性が悪く、PbO含有量が
80.0重量%を越える組成系のガラスはガラス転移点
が低く、ガラスの流動性が大きすぎるため電極剥離強度
が低下し信頼性にかける。B23の含有量が5.0重量
%未満の組成系においては電圧非直線性が悪い。また、
23の含有量が30.0重量%を越える組成系におい
ては、サージ電流耐量特性が悪い。また、SiO2の含
有量が30.0%を越える組成系においてもサージ電流
耐量特性が悪化する。
【0023】以上の結果より、酸化亜鉛バリスタ用電極
材料のガラス成分の組成は、PbOが40.0〜80.
0重量%、B23が5.0〜30.0重量%、SiO2
が5.0〜30.0重量%で、かつAl23、In
23、Ga23、GeO2の中から選択された少なくと
も一つの元素を1.0×10-4〜1.0重量%含む範囲
の組成が最適であることがわかる。
【0024】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について詳細に説明する。
【0025】下記の(表3)の組成表に従いPbO、B
23、SiO2、Co23、Al2 3を所定量秤量し、
上記実施例1と同様の方法でガラスを作製した。このガ
ラスの特性を(表3)に示す。
【0026】次に、このガラスを用いて上記実施例1と
同様に酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製し、上記実施
例1で用いた酸化亜鉛バリスタに塗布して同様の方法で
評価した。この結果を(表4)に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】まず、(表3)および(表4)から、酸化
亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラス中のCo
23、Al23含有量の電圧非直線性、制限電圧比特性
およびサージ電流耐量特性への影響を考察する。Co2
3の含有量が0.1重量%以上の組成系においては、
電圧非直線性およびサージ電流耐量特性が向上するが、
Co23が30.0重量%を越える組成系では、電圧非
直線性およびサージ電流耐量特性ともに悪化する。ま
た、Al23含有量が1.0×10-4重量%以上の組成
系においては制限電圧比特性が向上するが、Al23
含有量が1.0重量%を越える組成系では、電圧非直線
性およびサージ電流耐量特性は悪化する。
【0030】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいて、Co23を0.1〜30.
0重量%、Al23を1.0×10-4〜1.0重量%含
む組成系であることが必要条件である。
【0031】一方、サージ電流耐量特性および電圧非直
線性はCo23、Al23の含有量のほかにPbO、B
23、SiO2含有量の影響を受けるが、上記実施例1
と同様の理由により酸化亜鉛バリスタ用電極材料のガラ
ス成分の組成は、PbOが40.0〜80.0重量%、
23が5.0〜30.0重量%、SiO2が5.0〜
30.0重量%、Co23が0.1〜30.0重量%
で、かつAl23、In 23、Ga23、GeO2の中
から選択された少なくとも一つの元素を1.0×10-4
〜1.0重量%含む範囲の組成が最適であることがわか
る。
【0032】なお、本実施例では酸化アルミニウム(A
23)を用いたが、酸化アルミニウムの代わりに酸化
インジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)お
よび酸化ゲルマニウム(GeO2)を用いても同様の結
果が得られることを確認した。また、これらの酸化物を
複合して用いても同様の効果が得られることを確認し
た。
【0033】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について詳細に説明する。
【0034】下記の(表5)の組成表に従い、PbO、
23、SiO2、MgO、Al2 3を所定量秤量し、
上記実施例1と同様の方法でガラスを作製した。このガ
ラスの特性を(表5)に示す。
【0035】次に、このガラスを用いて上記実施例1と
同様に酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製し、上記実施
例1で用いた酸化亜鉛バリスタに塗布して同様の方法で
評価した。この結果を(表6)に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】まず、(表5)および(表6)から、酸化
亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラス中のMg
OおよびAl23含有量の電圧非直線性、制限電圧比特
性およびサージ電流耐量特性への影響を考察する。Mg
Oの含有量が0.1重量%以上の組成系においては、電
圧非直線性およびサージ電流耐量特性が向上するが、M
gOが30.0重量%を越える組成系では、電圧非直線
性およびサージ電流耐量特性ともに悪化する。また、A
23の含有量が1.0×10-4重量%以上の組成系に
おいては制限電圧比特性が向上するが、Al23の含有
量が1.0重量%を越える組成系では、電圧非直線性お
よびサージ電流耐量特性は悪化する。
【0039】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいて、MgOを0.1〜30.0
重量%、Al23を1.0×10-4〜1.0重量%含む
組成系であることが必要条件である。
【0040】一方、サージ電流耐量特性および電圧非直
線性はMgO、Al23の含有量のほかにPbO、B2
3、SiO2含有量の影響を受けるが、上記実施例1と
同様の理由により、酸化亜鉛バリスタ用電極材料のガラ
ス成分の組成は、PbOが40.0〜80.0重量%、
23が5.0〜30.0重量%、SiO2が5.0〜
30.0重量%、MgOが0.1〜30.0重量%で、
かつAl23、In23、Ga23、GeO2の中から
選択された少なくとも一つの元素を1.0×10-4
1.0重量%含む範囲の組成が最適であることがわか
る。
【0041】なお、本実施例では酸化アルミニウム(A
23)を用いたが、酸化アルミニウムの代わりに酸化
インジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)お
よび酸化ゲルマニウム(GeO2)を用いても同様の結
果が得られることを確認した。また、これらの酸化物を
複合して用いても同様の効果が得られることを確認し
た。
【0042】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について詳細に説明する。
【0043】下記の(表7)の組成表に従い、PbO、
23、SiO2、Y23、Al2 3を所定量秤量し、
上記実施例1と同様の方法でガラスを作製した。このガ
ラスの特性を(表7)に示す。
【0044】次に、このガラスを用いて上記実施例1と
同様に酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製し、上記実施
例1で用いた酸化亜鉛バリスタに塗布して同様の方法で
評価した。この結果を(表8)に示す。
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】まず、(表7)および(表8)から、酸化
亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラス中のY2
3およびAl23含有量の電圧非直線性、制限電圧比特
性およびサージ電流耐量特性への影響を考察する。Y2
3の含有量が0.1重量%以上の組成系においては、
電圧非直線性およびサージ電流耐量特性が向上するが、
23が30.0重量%を越える組成系では、電圧非直
線性およびサージ電流耐量特性ともに悪化する。また、
Al23の含有量が1.0×10-4重量%以上の組成系
においては制限電圧比特性が向上するが、Al23の含
有量が1.0重量%を越える組成系では、電圧非直線性
およびサージ電流耐量特性は悪化する。
【0048】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいて、Y23を0.1〜30.0
重量%、Al23を1.0×10-4〜1.0重量%含む
組成系であることが必要条件である。
【0049】一方、サージ電流耐量特性および電圧非直
線性は、Y23、Al23の含有量のほかにPbO、B
23、SiO2含有量の影響を受けるが上記実施例1と
同様の理由により、酸化亜鉛バリスタ用電極材料のガラ
ス成分の組成は、PbOが40.0〜80.0重量%、
23が5.0〜30.0重量%、SiO2が5.0〜
30.0重量%、Y23が0.1〜30.0重量%で、
かつAl23、In23、Ga23、GeO2の中から
選択された少なくとも一つの元素を1.0×10-4
1.0重量%含む範囲の組成が最適であることがわか
る。
【0050】なお、本実施例では酸化アルミニウム(A
23)を用いたが、酸化アルミニウムの代わりに酸化
インジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)お
よび酸化ゲルマニウム(GeO2)を用いても同様の結
果が得られることを確認した。また、これらの酸化物を
複合して用いても同様の効果が得られることを確認し
た。
【0051】(実施例5)以下、本発明の第5の実施例
について詳細に説明する。
【0052】下記の(表9)の組成表に従い、PbO、
23、SiO2、Sb23、Al23を所定量秤量
し、上記実施例1と同様の方法でガラスを作製した。こ
のガラスの特性を(表9)に示す。
【0053】次に、このガラスを用いて上記実施例1と
同様に酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製し、上記実施
例1で用いた酸化亜鉛バリスタに塗布して同様の方法で
評価した。この結果を(表10)に示す。
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】まず、(表9)および(表10)から、酸
化亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラス中のS
23、Al23含有量の電圧非直線性、制限電圧比特
性およびサージ電流耐量特性への影響を考察する。Sb
23の含有量が0.1重量%以上の組成系においては、
電圧非直線性およびサージ電流耐量特性が向上するが、
Sb23が30.0重量%を越える組成系では、電圧非
直線性およびサージ電流耐量特性ともに悪化する。ま
た、Al23の含有量が1.0×10-4重量%以上の組
成系においては制限電圧比特性が向上するが、Al23
の含有量が1.0重量%を越える組成系では、電圧非直
線性およびサージ電流耐量特性は悪化する。
【0057】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいて、Sb23を0.1〜30.
0重量%、Al23を1.0×10-4〜1.0重量%含
む組成系であることが必要条件である。
【0058】一方、サージ電流耐量特性および電圧非直
線性はSb23、Al23の含有量のほかにPbO、B
23、SiO2含有量の影響を受けるが、上記実施例1
と同様の理由により、酸化亜鉛バリスタ用電極材料のガ
ラス成分の組成は、PbOが40.0〜80.0重量
%、B23が5.0〜30.0重量%、SiO2が5.
0〜30.0重量%、Sb23が0.1〜30.0重量
%で、かつAl23、In23、Ga23、GeO2
中から選択された少なくとも一つの元素を1.0×10
-4〜1.0重量%含む範囲の組成が最適であることがわ
かる。なお、本実施例では酸化アルミニウム(Al
23)を用いたが、酸化アルミニウムの代わりに酸化イ
ンジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)およ
び酸化ゲルマニウム(GeO2)を用いても同様の結果
が得られることを確認した。また、これらの酸化物を複
合して用いても同様の効果が得られることを確認した。
【0059】(実施例6)以下、本発明の第6の実施例
について詳細に説明する。
【0060】下記の(表11)の組成表に従い、Pb
O、B23、SiO2、MnO2、Al 23を所定量秤量
し、上記実施例1と同様の方法でガラスを作製した。こ
のガラスの特性を(表11)に示す。
【0061】次に、このガラスを用いて上記実施例1と
同様に酸化亜鉛バリスタ用電極材料を作製し、上記実施
例1で用いた酸化亜鉛バリスタに塗布して同様の方法で
評価した。この結果を(表12)に示す。
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】まず、(表11)および(表12)から、
酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラス中の
MnO2およびAl23含有量の電圧非直線性、制限電圧
比特性およびサージ電流耐量特性への影響を考察する。
MnO2の含有量が0.1重量%以上の組成系において
は、電圧非直線性およびサージ電流耐量特性が向上する
が、MnO2が30.0重量%を越える組成系では、電
圧非直線性およびサージ電流耐量特性ともに悪化する。
また、Al23の含有量が1.0×10-4重量%以上の
組成系においては制限電圧比特性が向上するが、Al2
3の含有量が1.0重量%を越える組成系では、電圧
非直線性およびサージ電流耐量特性は悪化する。
【0065】従って、酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の
硼珪酸鉛系ガラスにおいて、MnO 2を0.1〜30.
0重量%、Al23を1.0×10-4〜1.0重量%含
む組成系であることが必要条件である。
【0066】一方、サージ電流耐量特性および電圧非直
線性はMnO2、Al23の含有量のほかにPbO、B2
3、SiO2含有量の影響を受けるが、上記実施例1と
同様の理由により、酸化亜鉛バリスタ用電極材料のガラ
ス成分の組成は、PbOが40.0〜80.0重量%、
23が5.0〜30.0重量%、SiO2が5.0〜
30.0重量%、MnO2が0.1〜30.0重量%
で、かつAl23、In23、Ga23、GeO2の中
から選択された少なくとも一つの元素を1.0×10-4
〜1.0重量%含む範囲の組成が最適であることがわか
る。
【0067】なお、本実施例では酸化アルミニウム(A
23)を用いたが、酸化アルミニウムの代わりに酸化
インジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)お
よび酸化ゲルマニウム(GeO2)を用いても同様の結
果が得られることを確認した。
【0068】更に、上記本実施例1〜6では硼珪酸鉛系
ガラスの原料として酸化鉛をPbO、酸化硼素をB
23、酸化珪素をSiO2、酸化マンガンをMnO2、酸
化アルミニウムをAl23、酸化インジウムをIn23
の形で用いたが、他の酸化物の形で用いても同等の物性
が得られることを確認した。また、本実施例1〜6では
酸化亜鉛バリスタ用電極材料中の硼珪酸鉛系ガラスの含
有量が5.0重量%の場合についてのみ述べたが、1.
0〜30.0重量%であれば本発明の効果に変わりはな
い。さらに、評価用の焼結体としてZnO、Bi23
Co23、MnO2、NiO、TiO2、Sb23、Cr
23、Al23からなる系の酸化亜鉛バリスタを用いた
が、Pr611、CaO、BaO、MgO、K2O、Si
2等を含む酸化亜鉛バリスタに本発明による酸化亜鉛
バリスタ用電極材料を適用しても効果に変わりはない。
また、これらの酸化物を複合して用いても同様の効果が
得られることを確認した。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明による酸化亜鉛バ
リスタ用電極材料を酸化亜鉛バリスタに印刷、焼付けす
ることにより、電圧非直線性、制限電圧比特性、サージ
電流耐量特性に優れた酸化亜鉛バリスタを得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−5503(JP,A) 特開 昭56−147406(JP,A) 特開 平3−44003(JP,A) 特開 平3−165011(JP,A) 特公 昭45−38579(JP,B1) 特公 昭45−38580(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とし、焼結体自身がバリ
    スタ特性を有する焼結体に用いる電極材料のガラス成分
    として、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ガリ
    ウム、酸化ゲルマニウムの中から選択された少なくとも
    一つの元素を、Al23、In23、Ga23、GeO
    2の形に換算して1.0×10-4〜1.0重量%含む硼
    珪酸鉛系ガラスを銀ペースト中に含有してなる酸化亜鉛
    バリスタ用電極材料。
  2. 【請求項2】PbOが40.0〜80.0重量%、Si
    2が5.0〜30.0重量%、B23が5.0〜3
    0.0重量%からなる硼珪酸鉛系ガラスを銀ペースト中
    に含有してなる請求項1記載の酸化亜鉛バリスタ用電極
    材料。
  3. 【請求項3】酸化コバルトをCO23の形に換算して
    0.1〜30.0重量%含有してなる請求項1または請
    求項2記載の酸化亜鉛バリスタ用電極材料。
  4. 【請求項4】酸化マグネシウムをMgOの形に換算して
    0.1〜30.0重量%含有してなる請求項1または請
    求項2記載の酸化亜鉛バリスタ用電極材料。
  5. 【請求項5】酸化イットリウムをY23の形に換算して
    0.1〜30.0重量%含有してなる請求項1または請
    求項2記載の酸化亜鉛バリスタ用電極材料。
  6. 【請求項6】酸化アンチモンをSb23の形に換算して
    0.1〜30.0重量%含有してなる請求項1または請
    求項2記載の酸化亜鉛バリスタ用電極材料。
  7. 【請求項7】酸化マンガンをMnO2の形に換算して
    0.1〜30.0重量%含有してなる請求項1記載また
    は請求項2記載の酸化亜鉛バリスタ用電極材料。
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