JP3317023B2 - 酸化亜鉛バリスタ - Google Patents

酸化亜鉛バリスタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種電子機器を異常高電
圧から保護するために用いられる酸化亜鉛バリスタに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、民生機器、産業機器の制御回路の
高度集積化が急速に進展している。
【0003】これらの制御回路に用いられている半導体
電子部品は異常高電圧(サージ)が印加されると破壊さ
れてしまうので、その対策が不可欠なものとなってい
る。この対策として一般にバリスタが用いられており、
中でも酸化亜鉛バリスタはその優れた電圧非直線性、サ
ージ吸収能力を持つことから、各種電子機器を異常高電
圧から保護するために広く利用されている。
【0004】従来より、酸化亜鉛を主成分とするバリス
タ素子の添加物としてガラスフリットを用いた酸化亜鉛
バリスタは広く知られている。また、前記ガラスフリッ
トとしては、例えば、特公昭56−22122号公報な
どに開示されており、その内容は以下の通りである。
【0005】すなわち酸化亜鉛を主成分とし、副成分と
してBi23が0.1〜6モル%、CoOが0.05〜
10モル%、MnOが0.25〜10モル%、Sb23
が0.1〜6モル%としたバリスタ素子の配合原料に対
して、PbO,Al23,CeO2,BaO,TiO2
SnO2,Ta25,P25,CaO,As23,Zr
2の中から少なくとも一成分以上(ただし、PbOを
一成分のみの場合を除く)を含有する硼珪酸亜鉛系ガラ
スを0.1〜10重量%添加、混合した後、焼成して、
バリスタ素子を得、電極を付与して酸化亜鉛バリスタを
得るものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の、酸化亜鉛
バリスタは、電圧非直線性の優れたものではあるが、近
年の各種電子機器における省エネルギー化、効率化への
要望により、電圧非直線性の改善がさらに求められてき
た。
【0007】そこで、本発明は上述の要求に応え、電圧
非直線性のさらに改善された酸化亜鉛バリスタを提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のバリスタ素子は、酸化亜鉛を主成分とし、副
成分として少なくとも酸化ビスマス(Bi23)を含む
酸化亜鉛バリスタの配合原料に対して、Bi23が35
〜65重量%、SiO2が5〜35重量%、P25が1
〜10重量%、B23が10〜40重量%である硼珪酸
ビスマス系ガラスフリットを0.1〜2.0重量%含有
させたものよりなる。
【0009】
【作用】この構成によるとバリスタ素子を構成する酸化
亜鉛粒子間の粒界に、硼珪酸ビスマス系ガラスフリット
が酸素を供給することとなる。そのため、酸化亜鉛粒子
間における粒界の抵抗値は高くなり、その分バリスタ電
圧に達するまでに電極間に流れる漏れ電流は少なくな
る。その結果電圧非直線性の改善された酸化亜鉛バリス
タが得られるのである。
【0010】
【実施例】
(実施例1)さて本実施例においては、バリスタ素子配
合原料に含有させるガラスフリットに特徴をもたせてお
り、以下にこれらについて詳述する。
【0011】まずガラスフリットの調整について述べ
る。下記の(表1)の組成表に従いBi23,Si
2,B23、リン酸二水素アンモニウム(NH42
4)をP25に換算して所定量秤量し、それをボール
ミルにて混合と同時に粉砕し、その後、白金ルツボにて
1000℃〜1500℃の温度条件で溶融し、急冷して
ガラス化させた。
【0012】
【表1】
【0013】このガラスを粉砕した後、ボールミルにて
微粉砕して硼珪酸ビスマス系ガラスフリットを得た。ま
た、従来例の硼珪酸亜鉛系ガラスフリットとしてPbO
が5重量%、SiO2が10重量%、B23が30重量
%、ZnOが50重量%、P25が5重量%からなるガ
ラスフリットを同様の手法にて作製した。次に、この硼
珪酸ビスマス系ガラスフリットを、酸化ビスマス(Bi
23)、酸化コバルト(Co23)、酸化マンガン(M
nO2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化アンチモン
(Sb23)、酸化クロム(Cr23)をそれぞれ0.
5モル%、Al23を0.005モル%、残りが酸化亜
鉛(ZnO)からなるバリスタ素子配合原料にそれぞれ
所定量添加した後、純水を加えてボールミルにて20時
間混合した。混合した原料を乾燥した後、バインダーを
加えて造粒し、直径15mm、厚さ1.5mmのディスク状
に加圧成形した。この成形体を1100℃〜1300℃
で2時間焼成して図3に示すバリスタ素子1を得た。こ
のバリスタ素子1の両面に銀ペーストを直径10mmとな
るようスクリーン印刷し、800℃で10分間焼付けて
図3に示す電極2を形成し、次に図2に示すリード線3
をはんだ付けした後、図1に示すように外周を絶縁樹脂
4で被覆して試料を得た。
【0014】このようにして得られた試料の
【0015】
【外1】
【0016】、サージ電流耐量特性を下記の(表2)に
示す。
【0017】
【表2】
【0018】なお電圧比(電圧非直線性)は直流定電流
電源を用いて測定することにより得た。また、サージ電
流耐量特性は標準波形8/20μS、波高値2500A
の衝撃電流を同一方向に2回印加しバリスタ電圧(V
1mA)の変化率を測定することにより得たものであり、
その値が従来例の試料No.1より小さいものが好まし
い。さらに、高温負荷寿命特性は、周囲温度を125℃
とし、リード端子3間に試料のバリスタ電圧の90%の
直流電圧を印加して行い、500時間後のバリスタ電圧
(V1mA)の変化率を測定したものである。なお、試料
数は各ロット10個である。また上記
【0019】
【外2】
【0020】は電圧非直線性を示すもので、この電圧比
が従来例の試料No.1より小さい方がバリスタ電圧に達
するまでの漏れ電流が従来よりも少ないものとなるので
ある。すなわち、V1mAとは1mAの電流が電極2間に
流れるときの電圧(バリスタ電圧)を示し、
【0021】
【外3】
【0022】も同じく10μAが電極2間に流れるとき
の電圧を示し、
【0023】
【外4】
【0024】の値が小さいものは低い電圧から濡れ電流
が多く流れるもので、好ましくないものとなる。
【0025】まず、(表1)および(表2)から、バリ
スタ素子配合原料に添加する硼珪酸ビスマス系ガラスフ
リットの電圧比、サージ電流耐量特性への影響を考察す
る。
【0026】(表1)および(表2)に示すように、硼
珪酸ビスマス系ガラスフリットの有効な添加量の範囲
は、バリスタ素子配合原料に対して0.1〜2.0重量
%である。この範囲より添加量が少ないと特性への影響
が見られず、この範囲より添加量が多いとサージ電流耐
量特性が悪化する。
【0027】さらに硼珪酸ビスマス系ガラスフリット組
成の電圧比、サージ電流耐量特性への影響について詳細
に説明する。
【0028】硼珪酸ビスマス系ガラス中のP25量が1
重量%未満のときは電圧比が悪化し、10重量%を越え
る組成系においては電圧比、サージ電流耐量特性ともに
悪化する。また、B23量が10重量%未満のときも電
圧比が悪化し、40重量%を越えるとサージ電流耐量特
性が悪化する。さらにP25とB23の重量比(P25
/B23)が0.1未満のときは電圧比が向上せず、
1.0を越えると電圧比、サージ電流耐量ともに悪化し
てしまう。
【0029】これは硼珪酸ビスマス系ガラス分子中の非
架橋酸素が、酸化亜鉛粒子間の粒界に供給されて粒界の
抵抗値が高くなり、結果として前述のような効果が現れ
るものである。この非架橋酸素量はP25とB23の重
量比により影響を受け、その比が0.1〜1.0の範囲
で非架橋酸素量が最適となるのである。
【0030】さらに、硼珪酸ビスマス系ガラス中のSi
2量が5重量%未満ではガラス化が困難となり、ガラ
スフリットの組成が不均一となり、35重量%を越える
とサージ電流耐量特性が悪化する。Bi23量が35重
量%未満ではガラスの流動点が高くなり、バリスタ素子
配合原料の成分との反応性が悪化し、65重量%を越え
ると電圧比が大きくなり好ましくない。
【0031】以上の結果より、バリスタ素子配合原料に
添加する硼珪酸ビスマス系ガラスフリットは、Bi23
が35〜65重量%、SiO2が5〜35重量%、P2
5が1〜10重量%、B23が10〜40重量%であ
り、かつP25とB23の重量比(P25/B23)が
0.1〜1.0の範囲の組成であって、その添加量が、
バリスタ素子配合原料に対して0.1〜2.0重量%の
範囲が最適であることがわかる。
【0032】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について詳細に説明する。
【0033】下記の(表3)の組成表に従い、Bi
23,SiO2,CeO2,P25,B23を所定量秤量
し、上記実施例1と同様の方法でガラスフリットを作製
した。
【0034】
【表3】
【0035】次に、このガラスフリットを用いて上記実
施例1と同様に酸化亜鉛バリスタを作製し、同様の方法
で評価した。この結果を(表4)に示す。
【0036】
【表4】
【0037】まず、(表3)および(表4)に示すよう
に、硼珪酸ビスマス系ガラスフリットの有効な添加量の
範囲は、実施例1と同様のバリスタ素子配合原料に対し
て0.1〜2.0重量%である。この範囲より添加量が
少ないと特性への影響が見られず、この範囲より添加量
が多いとサージ電流耐量特性が悪化する。
【0038】次に、硼珪酸ビスマス系ガラス組成の電圧
比、サージ電流耐量特性への影響を考察する。CeO2
量が1重量%以上の組成系では電圧比は小さくなるが、
10重量%を越えるとサージ電流耐量特性が悪化する。
従って、バリスタ素子配合原料に添加する硼珪酸ビスマ
ス系ガラスフリットは、CeO2を1〜10重量%含む
ことが必要条件である。
【0039】さらに、電圧比、サージ電流耐量特性はC
eO2含有量のほかにBi23,SiO2,P25,B2
3の影響を受けるが、上記実施例1と同様の理由によ
り、バリスタ素子配合原料に添加する硼珪酸ビスマス系
ガラスフリットは、Bi23が25〜65重量%、Si
2が5〜35重量%、CeO2が1〜10重量%、P 2
5が1〜10重量%、B23が10〜40重量%であ
り、かつP25とB23の重量比(P25/B23)が
0.1〜1.0の範囲の組成であって、その添加量がバ
リスタ素子配合原料に対して0.1〜2.0重量%の範
囲が最適であることがわかる。
【0040】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について詳細に説明する。
【0041】下記の(表5)の組成表に従い、Bi
23,SiO2,La23,P25,B23を所定量秤
量し、上記実施例1と同様の方法でガラスフリットを作
製した。
【0042】
【表5】
【0043】次に、このガラスフリットを用いて上記実
施例1と同様に酸化亜鉛バリスタを作製し、同様の方法
で評価した。この結果を(表6)に示す。
【0044】
【表6】
【0045】まず、(表5)および(表6)に示すよう
に、硼珪酸ビスマス系ガラスフリットの有効な添加量の
範囲は、実施例1と同様のバリスタ素子配合原料に対し
て0.1〜2.0重量%である。ガラスフリットの添加
量が0.1重量%以上では高温負荷寿命特性が向上し、
2.0重量%を越えるとサージ電流耐量特性が悪化す
る。
【0046】よって、バリスタ素子配合原料に添加する
硼珪酸ビスマス系ガラスフリットの添加量は、0.1〜
2.0重量%の範囲が最適であることがわかる。
【0047】次に、硼珪酸ビスマス系ガラス組成の電圧
比、サージ電流耐量特性への影響を考察する。La23
量が0.1重量%以上の組成系では電圧比は小さくなる
が、5.0重量%を越えるとサージ電流耐量特性が悪化
する。従って、バリスタ素子配合原料に添加する硼珪酸
ビスマス系ガラスフリットは、La23を0.1〜5.
0重量%含むことが必要条件である。
【0048】さらに、電圧比、サージ電流耐量特性はL
23含有量のほかにBi23,SiO2,P25,B2
3の影響を受けるが、上記実施例1と同様の理由によ
り、バリスタ素子配合原料に添加する硼珪酸ビスマス系
ガラスフリットは、Bi23が25〜65重量%、Si
2が5〜30重量%、La23が0.1〜5.0重量
%、P25が1〜10重量%、B23が10〜40重量
%であり、かつP25とB23の重量比(P25/B2
3)が0.1〜1.0の範囲の組成であって、その添
加量がバリスタ素子配合原料に対して0.1〜2.0重
量%の範囲が最適であることがわかる。
【0049】なお、本発明においては、硼珪酸ビスマス
系ガラスの原料として酸化ビスマス、酸化珪素、酸化硼
素、酸化セリウム、酸化ランタン、リン酸二水素アンモ
ニウムをBi23,SiO2,B23,CeO2,La2
3,NH42PO4の形で用いたが、他の酸化物、炭酸
塩、アンモニウム塩などの形で用いても同様の効果が得
られた。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明による硼珪酸ビス
マス系ガラスフリットをバリスタ素子配合原料に添加し
て、バリスタ素子を作製することにより、電圧比、サー
ジ電流耐量特性および高温負荷寿命特性に優れた酸化亜
鉛バリスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における酸化亜鉛バリスタの
正面図
【図2】本発明の一実施例における酸化亜鉛バリスタの
断面図
【図3】本発明の一実施例における酸化亜鉛バリスタ素
子の断面図
【符号の説明】
1 バリスタ素子 2 電極 3 リード線 4 絶縁樹脂

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリスタ素子と、前記バリスタ素子の表
    面に設けた電極とを備え、前記バリスタ素子は、酸化亜
    鉛を主成分とし、副成分として少なくとも酸化ビスマス
    (Bi23)を含む配合原料に対して、さらに、Bi2
    3は35〜65重量%、SiO2は5〜35重量%、P
    25は1〜10重量%、B23は10〜40重量%であ
    る硼珪酸ビスマス系ガラスフリットを0.1〜2.0重
    量%含有させたものよりなる酸化亜鉛バリスタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硼珪酸ビスマス系ガラス
    フリットに代えて、Bi23は25〜65重量%、Si
    2は5〜35重量%、CeO2は1〜10重量%、P2
    5は1〜10重量%、B23は10〜40重量%であ
    る硼珪酸ビスマス系ガラスフリットを配合原料に対し、
    0.1〜2.0重量%含有させた請求項1記載の酸化亜
    鉛バリスタ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の硼珪酸ビスマス系ガラス
    フリットに代えて、Bi23は25〜65重量%、Si
    2は5〜35重量%、La23は0.1〜5.0重量
    %、P25は1〜10重量%、B23は10〜40重量
    %である硼珪酸ビスマス系ガラスフリットを配合原料に
    対し、0.1〜2.0重量%含有させた請求項1記載の
    酸化亜鉛バリスタ。
  4. 【請求項4】 硼珪酸ビスマス系ガラスフリット中のP
    25とB23との重量比(P25/B23)が、0.1
    〜1.0である請求項1、請求項2、あるいは請求項3
    記載の酸化亜鉛バリスタ。
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