以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るバリスタの模式断面図である。バリスタ1において、バリスタ素体10の一方の主面10aに接するように下地ガラス層12が積層されている。そして、この下地ガラス層12のバリスタ素体10側とは逆側の主面に接するように、一対の外部電極30a,30bが設けられている。また、当該主面に接するように抵抗体60が設けられている。すなわち、一対の外部電極30a,30bと抵抗体60とは下地ガラス層12の同一主面上に設けられている。この抵抗体60は、該一対の外部電極30a,30bを連結するように設けられている。そして、抵抗体60の少なくとも一部は、該一対の外部電極30a,30bの間に挟まれるように設けられている。また、抵抗体60は、一対の外部電極30a,30bの下地ガラス層12側とは反対側の面の一部(抵抗体60側)を覆うように形成されている。バリスタ1は、最外層に保護層(オーバーグレーズ)14を有する。保護層14は、バリスタ素体10、外部電極30a,30b、抵抗体60を覆うように設けられている。
外部電極30a,30bのそれぞれの厚みは、図1のように、抵抗体60で覆われる部分の厚みが、他の部分の厚みよりも大きくなっていることが好ましい。これによって、外部電極30a、30bと抵抗体60との接合強度を向上させることができる。
バリスタ素体10は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として含むと共に、副成分としてプラセオジム単体及びプラセオジム酸化物の少なくとも一方、カルシウム酸化物、ケイ素酸化物を含有する。バリスタ素体10全体に対するZnOの含有量は、優れたバリスタ特性を得る観点から、80〜99原子%であることが好ましく、85〜99原子%であることがより好ましい。酸化亜鉛の含有量が80原子%未満の場合、高温高湿度環境下においてバリスタ素体10の劣化が進行する傾向がある。一方、酸化亜鉛の含有量が99原子%を超えると他の成分の十分な添加量を確保できず、優れたバリスタ特性が損なわれる傾向がある。
バリスタ素体10に副成分として含まれるプラセオジム酸化物としては、例えばPr6O11が挙げられる。バリスタ素体10全体に対するプラセオジム及びプラセオジム酸化物の含有量は、プラセオジムに換算して0.05〜5.0原子%であることが好ましい。当該含有量が0.05原子%未満の場合、優れた電圧非直線抵抗特性が損なわれる傾向があり、5.0原子%を超える場合、優れたサージ耐量が損なわれる傾向がある。
バリスタ素体10におけるカルシウム酸化物の含有量は、酸化亜鉛に対し、カルシウム原子に換算して0.01原子%以上且つ2原子%未満である。またバリスタ素体10におけるケイ素酸化物の含有量は、酸化亜鉛に対し、ケイ素原子に換算して0.01原子%以上且つ1原子%未満である。また、ケイ素酸化物に対するカルシウム酸化物のモル比率は、それぞれケイ素原子及びカルシウム原子に換算して(すなわち、Ca/Si)、3〜20である。当該モル比率が3〜20の範囲であれば、高温、高湿度中での安定性を向上し、I−V特性の非対称性の劣化を防止することができる。
カルシウム酸化物としては、CaOや、カルシウムとケイ素と酸素とを含むCaSiO3,Ca2SiO4等の複合酸化物等が挙げられる。バリスタ素体10において、酸化亜鉛に対するカルシウム酸化物の含有量が、カルシウム原子に換算して0.01原子%未満の場合、優れたバリスタ特性(電圧非直線抵抗特性)を得ることができない。一方、バリスタ素体10において、酸化亜鉛に対するカルシウム酸化物の含有量が、カルシウム原子に換算して2原子%以上の場合、エネルギー耐量が低下する。すなわち、酸化亜鉛に対するカルシウム酸化物のカルシウム換算の比率が0.01原子%以上で且つ2原子%未満であるバリスタ素体は、優れたバリスタ特性とエネルギー耐量を両立することができる。
ケイ素酸化物としては、SiO2や、カルシウムとケイ素と酸素とを含むCaSiO3,Ca2SiO4等の複合酸化物等が挙げられる。酸化亜鉛に対するケイ素酸化物の含有量が、ケイ素原子に換算して0.01原子%未満の場合、十分なリーク電流特性が得られない。一方、酸化亜鉛に対するケイ素酸化物の含有量が、ケイ素原子に換算して1原子%以上の場合、バリスタ素体の焼結の進行を阻害してしまう。
バリスタ素体10は、上述の成分の他に、希土類元素、Co、IIIb族元素(B、Al、Ga、In)、Cr、Mo、アルカリ金属元素(K、Rb、Cs)及びアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)等の金属単体やこれらの酸化物を含有することができる。なお、バリスタ素体10も、酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有することが好ましい。
外部電極30a,30bは、導体であり、酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有する。酸化物としては、例えばSiO2,NiO,MnO,Al2O3などを含有することができる。外部電極30a,30bは、上述の酸化物の他に、金属単体を含有することが好ましい。金属単体としては、Ag、Pd、Ptなどを好適に含有することができる。
外部電極30a,30bにおける酸化物の総含有量は、外部電極全体に対して0.01〜20質量%であることが好ましい。酸化物の総含有量が0.01質量%未満の場合、基材に対する接着強度が低い傾向があり、20質量%を超える場合、電気導電性が損なわれる傾向がある。外部電極30a,30bの厚みは、例えば1〜30μmとすることができる。
抵抗体60は、RuO2、SnO2、LaB6などの導電性を有する化合物、Al2O3、B2O3、SiO2などのガラス成分とPd,Ag,Ptなどの金属単体を含有することができる。
抵抗体60における酸化ビスマスの含有量は、抵抗体60全体に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。また、抵抗体60が酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有することがさらに好ましい。抵抗体60における酸化ビスマスの含有量を低減することによって、抵抗体60とバリスタ素体10との反応、及び抵抗体60と外部電極30a,30bとの反応を十分に抑制することができる。したがって、バリスタ素体10、外部電極30a,30b、抵抗体60中における反応生成物の生成を十分に抑制することができる。抵抗体60における酸化物の含有量は50〜99質量%であることが好ましい。これによって、抵抗値のバラつきを一層抑制することができる。なお、抵抗体60の厚みは、例えば1〜30μmとすることができる。
下地ガラス層12は、CaO、Al2O3、SiO2、ZnO、BaO,B2O3などのガラスに一般的に含まれる酸化物を含有することができる。下地ガラス層12における酸化ビスマスの含有量は、下地ガラス層12全体に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。また、下地ガラス層12が酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有することがさらに好ましい。下地ガラス層12における酸化ビスマスの含有量を低減することによって、バリスタ素体10、外部電極30a,30b、及び抵抗体60相互間の反応を一層十分に抑制することができる。これによって、バリスタ素体10、外部電極30a,30b、抵抗体60中における反応生成物の生成を一層十分に抑制することができる。なお、下地ガラス層12の厚みは、例えば1〜30μmとすることができる。
保護層60は、バリスタ素体10、外部電極30a,30b、及び抵抗体60を保護するために設けられる。この保護層60は、主成分としてガラスやセラミックを含有する。保護層の厚みは、例えば1〜30μmとすることができる。
本実施形態のバリスタ1の外部電極30a,30bは、上述の通り、酸化ビスマス以外の酸化物を含有している。このため、バリスタ1と外部電極30a,30b、及び外部電極30a,30bと抵抗体60との反応を抑制することができる。外部電極が酸化ビスマスを含有する場合、この酸化ビスマスはバリスタ素体10の成分と反応して反応生成物を形成する。ここで、ビスマスは3価の陽イオンとなりうるため、反応生成物として半導体を形成することが考えられる。これによって、バリスタ特性が低下するものと思われる。
図2は、第1実施形態に係るバリスタ1の断面のX線マイクロアナライザ(EPMA)分析による元素分布を示す図である。図2(a)は上方から外部電極、下地ガラス層、バリスタ素体の順に積層された積層構造におけるビスマス(Bi)の分布を示し、図2(b)は上から外部電極、下地ガラス層、バリスタ素体の順に積層された積層構造におけるケイ素(Si)の分布を示す。
図2(a)によれば、本実施形態のバリスタ1は、外部電極に酸化ビスマスを含有していないために、バリスタ素体中にビスマスが検出されない(図2(a)下部)。また、図2(b)によれば、外部電極は、SiO2を含有しているためにケイ素が検出されているが、バリスタ素体中にはケイ素は検出されていない。すなわち、このバリスタ素体には、ビスマス成分やケイ素成分が拡散しておらず、ビスマス化合物やケイ素化合物などの反応生成物が殆ど存在しない。したがって、このようなバリスタ素体を備える本実施形態のバリスタ1は、優れたバリスタ特性を有する。また、抵抗体や外部電極も反応生成物を含有しないため、抵抗値のバラつきを十分に低減することができる。
図3は、従来のバリスタの断面のX線マイクロアナライザ(EPMA)分析による元素分布を示す図である。図3(a)は上から外部電極、下地ガラス層、バリスタ素体の順に積層された積層構造におけるビスマス(Bi)の分布を示し、図3(b)は上から外部電極、下地ガラス層、バリスタ素体の順に積層された積層構造におけるケイ素(Si)の分布を示す。
酸化ビスマスを含有している外部電極を用いている図3(a)のバリスタでは、外部電極中にビスマスが検出されている(図3(a)中段部)。また、このバリスタに備えられるバリスタ素体は、図2のバリスタ素体と同一の原料を用いて形成されたものであり、ビスマス成分を含有しないはずである。しかしながら、バリスタの製造時における、外部電極とバリスタ素体との反応による反応生成物(ビスマス含有化合物)を含有している。(図3(a)下部)。
また、図3(b)によれば、原料としてケイ素成分を使用していないバリスタ素体中にもケイ素が検出されている。すなわち、このバリスタ素体には、バリスタの製造過程において、バリスタ素体中にビスマスやケイ素を含有する反応生成物が形成されていると考えられる。このようなバリスタ素体を備えるバリスタは、バリスタ特性が十分ではない。また、抵抗体や外部電極も反応生成物を含有するため、抵抗値のバラつきも大きい。
(第2実施形態)
次に、図4〜図8を参照して、本発明の第2実施形態に係るバリスタについて以下に説明する。本実施形態のバリスタは、積層型チップバリスタである。
図4は、第2実施形態に係る積層型チップバリスタを示す概略上面図である。図5は、第2実施形態に係る積層型チップバリスタを示す概略下面図である。図6は、図5におけるVI−VI線に沿った断面構成を説明するための図である。図7は、図5におけるVII−VII線に沿った断面構成を説明するための図である。図8は、図5におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。
積層型チップバリスタ21は、図4〜図8に示されるように、略矩形板状とされたバリスタ素体23と、該バリスタ素体23の一方の主面(下面)23aにそれぞれ形成される複数(本実施形態においては、25個)の外部電極25〜29と、該バリスタ素体23の他方の主面(上面)23bにそれぞれ形成される複数(本実施形態においては、20個)の外部電極30a〜30dと、を備えている。バリスタ素体23は、例えば、縦が3mm程度に設定され、横が3mm程度に設定され、厚みが0.5mm程度とすることができる。外部電極25,26,28,29は、積層型チップバリスタ21の入出力端子電極として機能し、外部電極27は、積層型チップバリスタ21のグランド端子電極として機能する。外部電極30a〜30dは、後述する抵抗体61,63に電気的に接続される外部電極(パッド電極)として機能する。
バリスタ素体23は、複数のバリスタ層と、それぞれ複数の第1〜第3の内部電極層31(図6),41(図7),51(図8)とが積層された積層体として構成されている。各一層の第1〜第3の内部電極層31,41,51を一つの内部電極群として、該内部電極群がバリスタ素体23内においてバリスタ層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)に沿って複数(本実施形態においては、5つ)配置されている。各内部電極群において、第1〜第3の内部電極層31,41,51は、互いの間に少なくとも一層のバリスタ層が介在するように第1の内部電極層31、第2の内部電極層41、第3の内部電極層51の順に配置されている。各内部電極群も、互いの間に少なくとも一層のバリスタ層が介在するように配置されている。実際の積層型チップバリスタ21では、複数のバリスタ層は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。各バリスタ層は、上述の第1実施形態のバリスタ素体と同様の成分を含有している。
各第1の内部電極層31は、図6に示されるように、第1の内部電極33と、第2の内部電極35とをそれぞれ含んでいる。各第1及び第2の内部電極33,35は、略矩形状を呈している。第1及び第2の内部電極33,35は、バリスタ素体23における積層方向に平行な側面から所定の間隔を有した位置に、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有してそれぞれ形成される。
各第1の内部電極33は、引き出し導体37aを介して外部電極25に電気的に接続されると共に、引き出し導体37bを介して外部電極30aに電気的に接続されている。引き出し導体37a,37bは、第1の内部電極33と一体に形成されている。各第2の内部電極35は、引き出し導体39aを介して外部電極29に電気的に接続されると共に、引き出し導体39bを介して外部電極30bに電気的に接続されている。引き出し導体39a,39bは、第2の内部電極35と一体に形成されている。
各第2の内部電極層41は、図7にも示されるように、第3の内部電極43をそれぞれ含んでいる。各第3の内部電極43は、略矩形状を呈している。第3の内部電極43は、バリスタ素体23における積層方向に平行な側面から所定の間隔を有した位置に、積層方向から見て第1及び第2の内部電極33,35と重なるように形成される。各第3の内部電極43は、引き出し導体47を介して外部電極27に電気的に接続されている。引き出し導体47は、第3の内部電極43と一体に形成されている。
各第3の内部電極層51は、図8にも示されるように、第4の内部電極53と、第5の内部電極55とをそれぞれ含んでいる。各第4及び第5の内部電極53,55は、略矩形状を呈している。第4及び第5の内部電極53,55は、バリスタ素体23における積層方向に平行な側面から所定の間隔を有した位置に、積層方向から見て第3の内部電極43と重なり且つ互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有してそれぞれ形成される。
各第4の内部電極53は、引き出し導体57aを介して外部電極26に電気的に接続されると共に、引き出し導体57bを介して外部電極30cに電気的に接続されている。引き出し導体57a,57bは、第4の内部電極53と一体に形成されている。各第5の内部電極55は、引き出し導体59aを介して外部電極28に電気的に接続されると共に、引き出し導体59bを介して外部電極30dに電気的に接続されている。引き出し導体59a,59bは、第5の内部電極55と一体に形成されている。
第1〜第5の内部電極33,35,43,53,55は、上述の第1実施形態の外部電極と同様の成分を含有する。なお、内部電極は、上記第1実施形態の外部電極と同様の成分を含有する。また、引き出し導体37a,37b,39a,39b,47,57a,57b,59a,59bも、上述の第1実施形態の外部電極と同様の成分を含有する。なお、内部電極も引き出し導体も酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有することが好ましい。
外部電極30aと外部電極30bとは、バリスタ素体の主面23b上において、バリスタ層の積層方向に垂直且つ主面23bに平行な方向に所定の間隔を有して配されている(図4)。外部電極30cと外部電極30dとは、主面23b上において、バリスタ層の積層方向に垂直且つ主面23bに平行な方向に所定の間隔を有して配されている。外部電極30aと外部電極30bとの上記所定の間隔、及び、外部電極30cと外部電極30dとの上記所定の間隔は、同じに設定されている。外部電極30a〜30dは、矩形状(本実施形態では、長方形状)を呈している。外部電極30a,30bは、例えば、長辺の長さが1000μm程度に設定され、短辺の長さが150μm程度に設定され、厚みが2μm程度に設定されている。外部電極30c,30dは、例えば、長辺の長さが500μm程度に設定され、短辺の長さが150μm程度に設定され、厚みが2μm程度に設定されている。
外部電極30a〜30dは、上述の第1実施形態の外部電極と同様の成分を含有する。すなわち、酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有する。外部電極30a〜30dは、上述の成分を含有する導電性ペーストを焼き付けて形成することができる。この導電性ペーストには、上述の金属や酸化物粉末に、一般に市販されているガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合したものが用いられる。有機バインダは特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤としてはテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。なお、導電性ペーストの配合比に特に制限はなく、例えば金属及び酸化物粉末の総量100質量部に対して、上記有機バインダを1〜20質量部、上記有機溶剤を1〜40質量部配合することができる。これらの配合比は、導電性ペーストの流動性を調整するために適宜変更することができる。
バリスタ素体の主面23b上には、外部電極30aと外部電極30bとの間に掛け渡されるように抵抗体61が形成され、外部電極30cと外部電極30dとの間に掛け渡されるように抵抗体63が形成されている。抵抗体61,63は、上述の第1実施形態の抵抗体60と同様の成分を含有する。また、抵抗体61,63は、酸化ビスマスとは異なる酸化物を含有することが好ましい。抵抗体61,63は、上述の金属及び金属酸化物に、Al2O3−B2O3−SiO2等のガラスを混合した抵抗ペーストを焼き付けて形成することができる。
抵抗体61の一端は、外部電極30a及び引き出し導体37bを通して第1の内部電極33に電気的に接続されている。抵抗体61の他端は、外部電極30b及び引き出し導体39bを通して第2の内部電極35に電気的に接続されている。抵抗体63の一端は、外部電極30c及び引き出し導体57bを通して第4の内部電極53に電気的に接続されている。抵抗体63の他端は、外部電極30d及び引き出し導体59bを通して第5の内部電極55に電気的に接続されている。
外部電極25〜29(図5)は、一方の主面23a上に、M行N列(パラメータM及びNそれぞれを2以上の整数とする)に2次元配列されている。本実施形態では、外部電極25〜29は5行5列に2次元配列されている。外部電極25〜29は、矩形状(本実施形態では、正方形状)を呈している。外部電極25〜29は、例えば、各一辺の長さが300μm程度に設定され、厚みが2μm程度に設定されている。
外部電極25〜29は、バリスタ素体23の外表面に形成されており、第1実施形態の外部電極と同様の組成を有する。外部電極25〜29は、上述の外部電極30a〜30dと同様に、導電性ペーストが焼き付けられることにより形成することができる。
第3の内部電極43は、上述したように、積層方向から見て第1及び第2の内部電極33,35と重なるように形成されている。したがって、バリスタ層における第1の内部電極33と第3の内部電極43とに重なる領域がバリスタ特性を発現する領域として機能し、バリスタ層における第2の内部電極35と第3の内部電極43とに重なる領域がバリスタ特性を発現する領域として機能する。
更に、第3の内部電極43は、上述したように、積層方向から見て第4及び第5の内部電極53,55と重なるように形成されている。したがって、また、バリスタ層における第4の内部電極53と第3の内部電極43とに重なる領域がバリスタ特性を発現する領域として機能し、バリスタ層における第5の内部電極55と第3の内部電極43とに重なる領域がバリスタ特性を発現する領域として機能する。
上述した構成を有する積層型チップバリスタ21においては、図9に示されるように、抵抗RとバリスタB1とバリスタB2とが、π型に接続されることとなる。抵抗Rは、抵抗体61または抵抗体63により構成される。バリスタB1は、第1の内部電極33と第3の内部電極43とバリスタ層における第1及び第3の内部電極33,43に重なる領域とにより、または、第4の内部電極53と第3の内部電極43とバリスタ層における第4及び第3の内部電極53,43に重なる領域とにより構成される。バリスタB2は、第2の内部電極35と第3の内部電極43とバリスタ層における第2及び第3の内部電極35,43に重なる領域とにより、または、第5の内部電極55と第3の内部電極43とバリスタ層における第5及び第3の内部電極55,43に重なる領域とにより構成される。
続いて、図10を参照して、上述した本発明の第2実施形態に係る積層型チップバリスタ21の製造過程について説明する。図10は、第2実施形態に係る積層型チップバリスタの製造過程を説明するための図である。
まず、バリスタ層の成分として酸化亜鉛と、Pr及び/又はその酸化物と、カルシウム酸化物と、ケイ素酸化物と、その他の成分とを各々秤量した後、各成分を混合してバリスタ原料を調製する。バリスタ層形成用の塗料は、このバリスタ原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水溶系の塗料であってもよい。なお、有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、バリスタ層を形成する方法に応じてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等から適宜選択すればよい。塗料中の有機ビヒクルやバリスタ原料の含有量は、特に限定されない。例えば、塗料全体に対して、バインダが1〜5質量%程度、有機溶剤が10〜50質量%程度となるように有機ビヒクルを配合することができる。また、塗料中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含まれていてもよい。なお、水溶系の塗料としては、水に水溶性バインダ、分散剤等を溶解させたものが挙げられる。水溶系バインダは、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択すればよい。
上述のバリスタ層形成用の塗料(スラリー)は、上述のバリスタ原料と、バインダ、溶媒(有機溶剤や水)、各種添加物等の材料を、ボールミル等を用いて20時間程度混合・粉砕を行って得ることができる。スラリーを作製する際の原材料の配合比は、スラリーの流動性を調整するために適宜変更することができる。
このスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成する。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得る。
次に、グリーンシートに、第1及び第2の内部電極33,35に対応する電極部分を複数(後述する分割チップ数に対応する数)形成する。同様にして、異なるグリーンシートに、第3の内部電極43に対応する電極部分を複数(後述する分割チップ数に対応する数)形成する。更に、異なるグリーンシートに、第4及び第5の内部電極53,55に対応する電極部分を複数(後述する分割チップ数に対応する数)形成する。
第1〜第5の内部電極33,35,43,53,55に対応する電極部分は、酸化ビスマスとは異なる酸化物、Ag粒子、Pd粒子等の金属粉末、ガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合した導電性ペーストをスクリーン印刷等の印刷法にて印刷し、乾燥させることにより形成することができる。有機バインダとしては特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤としてはテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。なお、導電性ペーストの配合比に特に制限はなく、例えば金属及び酸化物粉末の総量100質量部に対して、上記有機バインダを1〜20質量部、上記有機溶剤を1〜40質量部配合することができる。これらの配合比は、導電性ペーストの流動性を調整するために適宜変更することができる。
次に、電極部分が形成された各グリーンシートと、電極部分が形成されていないグリーンシートとを所定の順序で重ねてシート積層体を形成する。こうして得られたシート積層体を、例えば、チップ単位に切断して、分割された複数のグリーン体LS2(図10参照)を得る。得られたグリーン体LS2では、第1及び第2の内部電極33,35及び引き出し導体37a,37b,39a,39bに対応する電極部分EL2が形成されたグリーンシートGS11と、第3の内部電極43及び引き出し導体47に対応する電極部分EL3が形成されたグリーンシートGS12と、第4及び第5の内部電極53,55及び引き出し導体57a,57b,59a,59bに対応する電極部分EL4が形成されたグリーンシートGS13と、電極部分EL2〜EL4が形成されていないグリーンシートGS14とが順次積層されている。なお、電極部分EL2〜EL4が形成されていないグリーンシートGS14は、必要に応じて、それぞれの箇所において複数枚ずつ積層してもよい。
次に、グリーン体LS2に、180〜400℃、0.5〜24時間程度の加熱処理を実施して脱バインダを行った後、さらに、850〜1400℃、0.5〜8時間程度の焼成を行い、バリスタ素体23を得る。この焼成によって、グリーン体LS2におけるグリーンシートGS11〜GS14はバリスタ層となる。電極部分EL2は、第1及び第2の内部電極33,35及び引き出し導体37a,37b,39a,39bとなる。電極部分EL3は、第3の内部電極43及び引き出し導体47となる。電極部分EL4は、第4及び第5の内部電極53,55及び引き出し導体57a,57b,59a,59bとなる。
次に、バリスタ素体23の外表面に、外部電極25〜29及び外部電極30a〜30dを形成する。ここでは、バリスタ素体23の一方の主面23a上に、対応する電極部分EL2〜EL4に接するように導電性ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させることによって、外部電極25〜29に対応する電極部分を形成する。また、バリスタ素体23の他方の主面23b上に、対応する電極部分EL2,EL4に接するように導電性ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させることによって、外部電極30a〜30dに対応する電極部分を形成する。そして、上記電極部分を500〜850℃で焼き付けて、外部電極25〜29及び外部電極30a〜30dが形成されたバリスタ素体23を得る。外部電極25〜29及び外部電極30a〜30d用の導電性ペーストには、上述のとおり、酸化ビスマスとは異なる酸化物、Ag粒子、Pd粒子などの金属粉末、ガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合したものを用いることができる。
次に、抵抗体61,63を以下のようにして形成する。まず、バリスタ素体23の主面23b上に、各一対の外部電極30aと外部電極30bとに、及び、各一対の外部電極30cと外部電極30dとにそれぞれ掛け渡すように、抵抗体61,63に対応する抵抗領域を形成する。抵抗体61,63に対応する各抵抗領域は、抵抗ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷し、乾燥させることにより形成する。そして、抵抗ペーストを例えば800〜900℃にて焼き付け、抵抗体61,63を得る。これによって、積層型チップバリスタ21が得られる。なお、外部電極25〜29及び外部電極30a〜30dと抵抗体61,63とを同時に形成してもよい。
抵抗ペーストとしては、RuO2にAl2O3−B2O3−SiO2等のガラスを混合したものを用いることができる。Sn系の抵抗ペーストとしては、SnO2にAl2O3−B2O3−SiO2等のガラスを混合したものを用いることができる。La系の抵抗ペーストとしては、LaB6にAl2O3−B2O3−SiO2等のガラスを混合したものを用いることができる。抵抗ペーストは、上述のガラス粉末に、一般に市販されている有機バインダ及び有機溶剤を混合したものが用いられる。なお、抵抗ペーストは酸化ビスマス含まないことが好ましい。抵抗ペーストの作製に用いられる有機バインダは特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤としてはテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。なお、導電性ペーストの配合比に特に制限はなく、例えば金属及び酸化物粉末の総量100質量部に対して、上記有機バインダを1〜20質量部、上記有機溶剤を1〜40質量部配合することができる。これらの配合比は、抵抗ペーストの流動性を調整するために適宜変更することができる。
なお、焼成後に、バリスタ素体23の表面からアルカリ金属(例えば、Li、Na等)を拡散させてもよい。また、積層型チップバリスタ21の外表面に、外部電極25〜29が形成された領域を除いて、保護層(オーバーグレーズ層)を形成してもよい。保護層は、グレーズガラス(例えば、SiO2、ZnO、B、Al2O3等からなるガラス等)を印刷し、500〜600℃にて焼き付けることにより形成することができる。
以上のように、本第2実施形態のバリスタは、酸化亜鉛と、Pr及びその酸化物の少なくとも一方と、カルシウム酸化物と、ケイ素酸化物とを含むバリスタ素体23の主面23b上に、酸化ビスマスと異なる酸化物を含む一対の外部電極(30a及び30b又は30c及び30d)と該一対の外部電極に挟まれるように抵抗体61又は63とを備える。これによって、外部電極と抵抗体との反応、及び外部電極とバリスタ素体との反応が十分に抑制されている。したがって、このような積層型チップバリスタは、バリスタ特性に優れ、抵抗値のバラつきを十分に低減することができる。
なお、第1実施形態と同様に、バリスタ素体23の主面23bと外部電極30a〜30d及び抵抗体61,63との間に下地ガラス層を設けてもよい。この下地ガラス層は、酸化ビスマス以外のガラスに一般的に含まれる酸化物、例えばSiO2−ZnO−BaO−ZrO2−Al2O3等を含有するペーストを、バリスタ素体23の主面23b上にスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させ、例えば800〜900℃にて焼き付けて形成することができる。その後、上述の通り、外部電極30a〜30d及び抵抗体61,63を下地ガラス層上に形成することができる。
下地ガラス層の形成に用いられる下地ガラス層用ペーストは、上記酸化物に、一般に市販されている有機バインダや有機溶剤を配合することによって調製される。有機バインダは特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤としては、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。なお、導電性ペーストの配合比に特に制限はなく、例えば金属及び酸化物粉末の総量100質量部に対して、上記有機バインダを1〜20質量部、上記有機溶剤を1〜40質量部配合することができる。これらの配合比は、下地ガラス層用ペーストの流動性を調整するために適宜変更することができる。
ところで、本第2実施形態の積層型チップバリスタ21では、入出力端子電極として機能する外部電極25,26,28,29とグランド端子電極として機能する外部電極27とが共に、バリスタ素体23の一方の主面23aに配されている。すなわち、積層型チップバリスタ21は、BGA(Ball Grid Array)パッケージとされた積層型チップバリスタである。この積層型チップバリスタ21は、はんだボールを用いて各外部電極25〜29と該各外部電極25〜29に対応する外部基板のランドとを電気的及び機械的に接続することにより、外部基板に実装される。積層型チップバリスタ21が外部基板に実装された状態では、各内部電極33,35,43,53,55は外部基板に直交する方向に延びることとなる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしもこれらの実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<バリスタ素体用スラリーの調製>
まず、酸化亜鉛を主成分とし、副成分として表1に示す成分を含有する粉末原料を準備した。表1の含有量は酸化亜鉛に対する比率を示す。この粉末原料と、有機バインダと、有機溶剤と、添加剤とを、ボールミルを用いて20時間混合・粉砕を行いバリスタ素体用のスラリーを得た。
<外部電極形成用の導電性ペーストの作製>
表2記載の電極Aに示す成分を含有する導電性ペーストを作製した。具体的には、表2の電極Aの各成分を、表2に示す割合で混合して混合原料を調製した。
この混合原料、有機バインダ、及び有機溶剤をボールミルを用いて20時間混合し、外部電極形成用の導電性ペーストを得た。
<抵抗ペーストの作製>
表2記載の抵抗体aに示す成分を含有するペーストを作製した。具体的には、表2の抵抗体aの各成分を、表2に示す割合で混合して混合原料を調製した。
調製した混合原料、有機バインダ、及び有機溶剤をボールミルを用いて20時間混合し、抵抗体形成用の抵抗ペーストを得た。
<下地ガラス用ペーストの作製>
表2記載の下地ガラス1に示す成分を含有するペーストを作製した。具体的には、表2記載の下地ガラス1の各成分を、表2に示す割合で混合して混合原料を調製した。
調製した混合原料、有機バインダ、及び有機溶剤をボールミルを用いて20時間混合し、下地ガラス形成用のペーストを得た。
<積層型チップバリスタの作製>
上述の通り調製したスラリー及び各ペーストを用いて、上述の第2実施形態に相当する積層型チップバリスタを作製した。以下、図4〜8及び図10を参照しつつ積層型チップバリスタの製造手順について説明する。
まず、上記の通り調製したバリスタ素体用のスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μmの膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。
次に、グリーンシートに、第1及び第2の内部電極33,35(図5)に対応する電極部分を形成した。同様にして、異なるグリーンシートに、第3の内部電極43(図5)に対応する電極部分を形成した。更に、異なるグリーンシートに、第4及び第5の内部電極53,55(図5)に対応する電極部分を形成した。
第1〜第5の内部電極33,35,43,53,55に対応する電極部分は、通常の導電性ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷し、乾燥させることにより形成した。
次に、電極部分が形成された各グリーンシートと、電極部分が形成されていないグリーンシートとを所定の順序で重ねてシート積層体を形成した。こうして得られたシート積層体を、チップ単位に切断して、分割された複数のグリーン体LS2(図10参照)を得た。
次に、グリーン体LS2に、加熱処理を実施して脱バインダを行った後、さらに、焼成を行い、バリスタ素体23を得た。
次に、バリスタ素体23の一方の主面23a上に、市販のAg−Pt系ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させ、900〜1100℃で焼き付けて外部電極25〜29に対応する電極部分(Ag−Pt導体)を形成した。
次に、バリスタ素体23の主面23b上に、上述の通り調製した下地ガラス形成用のペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させ、850℃で焼き付けて、下地ガラス層を形成した。
形成した下地ガラス層の上に、上述の通り調製した外部電極形成用の導電性ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した後、乾燥させることによって、外部電極30a〜30dに対応する電極部分を形成した。そして、この電極部分を850℃で焼き付けて、下地ガラス層(図示しない)上に外部電極30a〜30dが形成されたバリスタ素体を得た。
次に、各一対の外部電極30aと外部電極30bとに、及び、各一対の外部電極30cと外部電極30dとにそれぞれ掛け渡すように、上述の通り調製した抵抗ペーストをスクリーン印刷工法にて印刷した。この抵抗ペーストを乾燥させ、850℃にて焼き付けて、抵抗体61,63を形成した。これによって、外部電極30aと外部電極30bとを抵抗体61によって連結し、外部電極30cと外部電極30dとを抵抗体63によって連結した。以上の工程によって、図4及び図5に示すような積層型チップバリスタ21を得た。
<反応性の評価>
作製した積層型チップバリスタの断面のX線マイクロアナライザ(EPMA)分析を行い、バリスタ素体中における反応生成物の有無について調べた。EPMA分析により、バリスタ特性に影響を与える反応生成物が認められない場合(原材料に含まれていない元素が検出されなかった場合)を反応性A、反応生成物が認められる場合(原材料に含まれていない元素が検出された場合)を反応性Bと判定した。結果を表2に示す。
<抵抗値の評価>
作製した積層型チップバリスタの抵抗値を測定した。具体的には、図9に示す等価回路において、外部端子電極25(26)と外部端子電極29(28)の間の抵抗値を測定した。測定は、異なる外部端子電極間の10箇所で行い、平均値と標準偏差(σ)とを導出した。これらの値から3σ/平均値の値を算出し、抵抗値のバラつきを評価した。結果を表2に示す。
(実施例2)
外部電極形成用の導電性ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す電極Aの成分を電極Bの成分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、下地ガラスと抵抗体の形成に用いたペーストの組成は実施例1と同一である。
(実施例3)
外部電極形成用の導電性ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す電極Aの成分を電極Cの成分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、下地ガラスと抵抗体の形成に用いたペーストの組成は実施例1と同一である。
(比較例1)
外部電極形成用の導電性ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す電極Aの成分を電極Dの成分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、下地ガラスと抵抗体の形成に用いたペーストの組成は実施例1と同一である。
(比較例2)
外部電極形成用の導電性ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す電極Aの成分を電極Eの成分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、下地ガラスと抵抗体の形成に用いたペーストの組成は実施例1と同一である。
(実施例4)
抵抗体形成用の抵抗ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す抵抗体aの成分を抵抗体bの成分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、下地ガラスと電極の形成に用いたペーストの組成は実施例1と同一である。
(実施例5)
外部電極形成用の導電性ペーストに含まれる材料のうち、表2に示す電極Aの成分を表3に示す電極Cの成分に変えたこと以外は、実施例4と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、下地ガラスと抵抗体の形成に用いたペーストの組成は実施例4と同一である。
(実施例6)
抵抗体形成用の抵抗ペーストに含まれる材料のうち、表3に示す抵抗体bの成分を抵抗体cの成分に変えたこと以外は、実施例5と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、下地ガラスと電極の形成に用いたペーストの組成は実施例5と同一である。
(実施例7)
抵抗体形成用の抵抗ペーストに含まれる材料のうち、表3に示す抵抗体bの成分を抵抗体dの成分に変えたこと以外は、実施例5と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、下地ガラスと電極の形成に用いたペーストの組成は実施例5と同一である。
(実施例8)
積層型チップバリスタに下地ガラス層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表3に示す。
(実施例9)
抵抗体形成用の抵抗ペーストに含まれる材料のうち、表3に示す抵抗体aの成分を抵抗体bの成分に変えたこと以外は、実施例8と同様にして積層型チップバリスタを作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、電極の形成に用いた導電性ペーストの組成は実施例8と同一である。
酸化ビスマスと異なる酸化物を含有する電極A〜Cを備える実施例1〜9の積層型チップバリスタのバリスタ素体には、反応生成物が検出されず、抵抗値のバラつきも小さかった。電極、下地ガラス層、抵抗体のいずれにも酸化ビスマスを含有しない実施例6及び7は、抵抗値のバラつきが最も小さかった。
1…バリスタ、10,23…バリスタ素体、10a…主面、14…保護層、12…下地ガラス層、21…積層型チップバリスタ、25〜29…外部電極、30a〜30d…外部電極、31…第1の内部電極層、41…第2の内部電極層、51…第3の内部電極層、60,61,63…抵抗体、LS2…グリーン体。