JP2966644B2 - 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
窒化珪素質焼結体及びその製造方法Info
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- JP2966644B2 JP2966644B2 JP4138634A JP13863492A JP2966644B2 JP 2966644 B2 JP2966644 B2 JP 2966644B2 JP 4138634 A JP4138634 A JP 4138634A JP 13863492 A JP13863492 A JP 13863492A JP 2966644 B2 JP2966644 B2 JP 2966644B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性や耐磨耗性に優
れた窒化珪素質焼結体及びその製造方法に関する。
れた窒化珪素質焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素焼結体は、耐熱性を要求される
高温構造材料や耐磨耗材料として期待されるが、難焼結
性物質であるため、焼結助剤としてAl2 03 、Y2 O
3 、MgOなどを添加して焼結する方法が採用されてい
る。しかし、この方法で作製した焼結体は、粒界ガラス
相の固相温度(加熱により液相が現れ始める温度)が約
1300℃と低いため、高温に加熱されると1300℃
前後の温度領域で粒界に液相が現れ始め、焼結体の強度
が徐々に低下するという問題があった。
高温構造材料や耐磨耗材料として期待されるが、難焼結
性物質であるため、焼結助剤としてAl2 03 、Y2 O
3 、MgOなどを添加して焼結する方法が採用されてい
る。しかし、この方法で作製した焼結体は、粒界ガラス
相の固相温度(加熱により液相が現れ始める温度)が約
1300℃と低いため、高温に加熱されると1300℃
前後の温度領域で粒界に液相が現れ始め、焼結体の強度
が徐々に低下するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
上記の問題点を解消し、粒界相に液相が現れる温度即ち
固相温度の高い粒界相を有する窒化珪素質焼結体、及
び、その製造方法を提供しようとするものである。
上記の問題点を解消し、粒界相に液相が現れる温度即ち
固相温度の高い粒界相を有する窒化珪素質焼結体、及
び、その製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に記載の
窒化珪素質焼結体及びその製造方法である。(1)窒化珪素粒子の間隙に、Al−Yb−Si−O−
N系酸窒化物ガラス及びYb 2 Si 2 O 7 微結晶を含有
することを特徴とする窒化珪素質焼結体。 (2)平均粒径が10μm以下の窒化珪素粒子に対し
て、いずれも平均粒径が10μm以下の酸化物である、
第1添加物のアルミナ及び第2添加物の酸化イッテルビ
ウム、又は、第1添加物のアルミナ、第2添加物の酸化
イッテルビウム及び第3添加物のシリカを、全添加量が
3〜30重量%となるように添加調整し、有機溶媒中で
分散剤とともに均一に混合した後、乾燥・成形し、脱脂
してから窒素加圧ガス雰囲気中で1600〜1950℃
の温度で焼結することを特徴とする窒化珪素質焼結体の
製造方法。 (3)上記(2)記載の製造方法で得た窒化珪素質焼結
体を窒素ガス雰囲気中で850〜1050℃の温度で熱
処理して粒界ガラス中に結晶核を形成し、次いで、窒素
加圧ガス雰囲気中で1100〜1500℃の温度で熱処
理して結晶を成長させ、粒界ガラス相にYb 2 Si 2 O
7 微結晶を生成することを特徴とする窒化珪素質焼結体
の製造方法。 (4)上記(2)又は(3)記載の窒化珪素質焼結体の
製造方法において、第2添加物の酸化イッテルビウムと
第1添加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に保
つか、又は、第2添加物の酸化イッテルビウムと第1添
加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に保ち、か
つ第3添加物のシリカを27重量%以下添加することを
特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
窒化珪素質焼結体及びその製造方法である。(1)窒化珪素粒子の間隙に、Al−Yb−Si−O−
N系酸窒化物ガラス及びYb 2 Si 2 O 7 微結晶を含有
することを特徴とする窒化珪素質焼結体。 (2)平均粒径が10μm以下の窒化珪素粒子に対し
て、いずれも平均粒径が10μm以下の酸化物である、
第1添加物のアルミナ及び第2添加物の酸化イッテルビ
ウム、又は、第1添加物のアルミナ、第2添加物の酸化
イッテルビウム及び第3添加物のシリカを、全添加量が
3〜30重量%となるように添加調整し、有機溶媒中で
分散剤とともに均一に混合した後、乾燥・成形し、脱脂
してから窒素加圧ガス雰囲気中で1600〜1950℃
の温度で焼結することを特徴とする窒化珪素質焼結体の
製造方法。 (3)上記(2)記載の製造方法で得た窒化珪素質焼結
体を窒素ガス雰囲気中で850〜1050℃の温度で熱
処理して粒界ガラス中に結晶核を形成し、次いで、窒素
加圧ガス雰囲気中で1100〜1500℃の温度で熱処
理して結晶を成長させ、粒界ガラス相にYb 2 Si 2 O
7 微結晶を生成することを特徴とする窒化珪素質焼結体
の製造方法。 (4)上記(2)又は(3)記載の窒化珪素質焼結体の
製造方法において、第2添加物の酸化イッテルビウムと
第1添加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に保
つか、又は、第2添加物の酸化イッテルビウムと第1添
加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に保ち、か
つ第3添加物のシリカを27重量%以下添加することを
特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
【0005】
【作用】本発明は、窒化珪素(Si3 N4 )粉末に、2
〜3種の酸化物粉末(Al2 O3 −Yb2 O3 、Al2
O3 −Yb2 O3 −SiO 2 )を3〜30重量%加え、
有機溶媒中で分散剤を添加して均一に混合、乾燥、成
形、脱脂、焼成することにより、窒化珪素粒子の間隙に
Al−Yb−Si−O−N系酸窒化物ガラス及びYb 2
Si 2 O 7 微結晶を含有させ、窒化珪素質焼結体を提供
しようとするものである。ところで、窒化珪素(Si3
N4 )の焼結は、液相焼結であるため、添加助剤や窒化
珪素の原料粉末中の不純物として含有されるシリカ、及
び助剤として添加されるシリカにより液相を発生させる
必要がある。
〜3種の酸化物粉末(Al2 O3 −Yb2 O3 、Al2
O3 −Yb2 O3 −SiO 2 )を3〜30重量%加え、
有機溶媒中で分散剤を添加して均一に混合、乾燥、成
形、脱脂、焼成することにより、窒化珪素粒子の間隙に
Al−Yb−Si−O−N系酸窒化物ガラス及びYb 2
Si 2 O 7 微結晶を含有させ、窒化珪素質焼結体を提供
しようとするものである。ところで、窒化珪素(Si3
N4 )の焼結は、液相焼結であるため、添加助剤や窒化
珪素の原料粉末中の不純物として含有されるシリカ、及
び助剤として添加されるシリカにより液相を発生させる
必要がある。
【0006】本発明者等は、Al2 O3 −Yb2 O3 −
SiO2 系のガラス化範囲を調べたところ、およそ図1
に実線で囲まれた範囲であることが分かった。即ち、粒
界をガラス相とするためには、Yb2 O 3 とAl2 O3
との重量比を0.5〜7の範囲に調整し、全酸化物中の
SiO2 濃度を18〜50重量%の範囲に調整すること
が望ましい。粒界相中のSiO2 濃度をこの範囲に納め
るためには、粒界相中の、SiO2成分が全てSi3 N
4 原料中の不純物に由来する場合、助剤の添加量を3〜
15重量%とする必要がある。
SiO2 系のガラス化範囲を調べたところ、およそ図1
に実線で囲まれた範囲であることが分かった。即ち、粒
界をガラス相とするためには、Yb2 O 3 とAl2 O3
との重量比を0.5〜7の範囲に調整し、全酸化物中の
SiO2 濃度を18〜50重量%の範囲に調整すること
が望ましい。粒界相中のSiO2 濃度をこの範囲に納め
るためには、粒界相中の、SiO2成分が全てSi3 N
4 原料中の不純物に由来する場合、助剤の添加量を3〜
15重量%とする必要がある。
【0007】図2は、Yb2 O3 /Al2 O3 のモル比
を3/5とし(Al1.25Yb0.75O 3 は5Al2 O3 ・
3Yb2 O3 に相当する)、Si3 N4 濃度とSiO2
濃度との濃度比を変化させて1600℃で20時間熱処
理して得た焼結体の結晶構造を示した図であり、助剤濃
度が30%以下でSi3 N4 (図中、SNで表記)以外
にYb2 Si2 O7 (図中、Dで表記)などの結晶が析
出した領域(SN+D+L領域)では、酸化物粒子の析
出効果により高温における強度劣化の少ない材料が得ら
れる。しかし、助剤添加量が30重量%を越えると、S
i3 N4 の量が少なくなり、焼結体の密度が上昇しにく
い等の問題が生じ、Si3 N4 焼結体の優れた性質が損
なわれる。なお、図2では、Si3 N4 量が70%以上
でSN+L領域並びにSN+D+L領域が主として好ま
しい窒化珪素質焼結体を生成する領域である。
を3/5とし(Al1.25Yb0.75O 3 は5Al2 O3 ・
3Yb2 O3 に相当する)、Si3 N4 濃度とSiO2
濃度との濃度比を変化させて1600℃で20時間熱処
理して得た焼結体の結晶構造を示した図であり、助剤濃
度が30%以下でSi3 N4 (図中、SNで表記)以外
にYb2 Si2 O7 (図中、Dで表記)などの結晶が析
出した領域(SN+D+L領域)では、酸化物粒子の析
出効果により高温における強度劣化の少ない材料が得ら
れる。しかし、助剤添加量が30重量%を越えると、S
i3 N4 の量が少なくなり、焼結体の密度が上昇しにく
い等の問題が生じ、Si3 N4 焼結体の優れた性質が損
なわれる。なお、図2では、Si3 N4 量が70%以上
でSN+L領域並びにSN+D+L領域が主として好ま
しい窒化珪素質焼結体を生成する領域である。
【0008】また、Al2 O3 −Yb2 O3 −SiO2
系焼結体の固相温度は約1500℃であり、従来のAl
2 O3 −Y2 O3 −SiO2 系焼結体の固相温度約13
50℃より約150℃高い固相温度を有する。それ故、
本発明の焼結体は、液相が現れ始める温度が、上記の従
来の焼結体より約150℃も高くなり、耐熱性を向上さ
せることができた。
系焼結体の固相温度は約1500℃であり、従来のAl
2 O3 −Y2 O3 −SiO2 系焼結体の固相温度約13
50℃より約150℃高い固相温度を有する。それ故、
本発明の焼結体は、液相が現れ始める温度が、上記の従
来の焼結体より約150℃も高くなり、耐熱性を向上さ
せることができた。
【0009】本発明において、Si3 N4 や助剤などの
原料粉末を分散させる分散剤としては、ポリエチレンア
ミン、ポリビニールアルコール等を使用することがで
き、その使用量は、セラミックス原料100重量部に対
して1〜10重量部の範囲が好ましくい。分散剤の使用
量が1重量部を下回ると、原料粉末の分散効果がなく、
10重量部を越えると、脱脂に要する時間が長くなるの
で適当でない。また、有機溶媒としては、エタノール、
ブタノール等を挙げることができ、その使用量は、セラ
ミックス原料100重量部に対して50〜150重量部
の範囲が好ましくい。
原料粉末を分散させる分散剤としては、ポリエチレンア
ミン、ポリビニールアルコール等を使用することがで
き、その使用量は、セラミックス原料100重量部に対
して1〜10重量部の範囲が好ましくい。分散剤の使用
量が1重量部を下回ると、原料粉末の分散効果がなく、
10重量部を越えると、脱脂に要する時間が長くなるの
で適当でない。また、有機溶媒としては、エタノール、
ブタノール等を挙げることができ、その使用量は、セラ
ミックス原料100重量部に対して50〜150重量部
の範囲が好ましくい。
【0010】得られた均一混合分散粉末は1〜5t/c
m2 の静水圧で加圧して成形する。成形体は、焼結に先
立って真空中で300〜700℃に加熱することによ
り、分散剤を脱脂することができる。脱脂された成形体
は、窒素ガス加圧下で1600〜1950℃の温度で熱
処理することにより、緻密な焼結体を得ることができ
る。本発明の焼結助剤を添加するため、粒界相が液相に
なる温度が高くなり、焼結温度が1600℃より低いと
きには、焼結にともなう堆積収縮がなく、焼結が進まな
い。1950℃を越えると、分解などのために密度は上
昇せず、良質の焼結体を得ることができないという問題
が生ずる。加圧条件は窒素ガスで約3気圧以上が好まし
い。
m2 の静水圧で加圧して成形する。成形体は、焼結に先
立って真空中で300〜700℃に加熱することによ
り、分散剤を脱脂することができる。脱脂された成形体
は、窒素ガス加圧下で1600〜1950℃の温度で熱
処理することにより、緻密な焼結体を得ることができ
る。本発明の焼結助剤を添加するため、粒界相が液相に
なる温度が高くなり、焼結温度が1600℃より低いと
きには、焼結にともなう堆積収縮がなく、焼結が進まな
い。1950℃を越えると、分解などのために密度は上
昇せず、良質の焼結体を得ることができないという問題
が生ずる。加圧条件は窒素ガスで約3気圧以上が好まし
い。
【0011】原料微粉末の平均粒径は、均一な組成のセ
ラミックスを製造するために、10μm以下の微粉末を
用いる必要があり、特に、1μm前後の粒径の微粉末を
用いることにより、均一で良質の焼結体を比較的短時間
で製造することが可能である。
ラミックスを製造するために、10μm以下の微粉末を
用いる必要があり、特に、1μm前後の粒径の微粉末を
用いることにより、均一で良質の焼結体を比較的短時間
で製造することが可能である。
【0012】粒界のガラス相を結晶化するためには、ガ
ラス相中に結晶核を発生させる必要がある。結晶核の形
成速度を種々検討したところ、850〜1050℃の温
度範囲が最も速く、温度がこれよりも高くてもまた低く
ても遅くなる。即ち、結晶核形成のためには、850〜
1050℃の温度領域で0.5〜3時間熱処理すれば十
分である。続いて、結晶を成長させるには、1100〜
1500℃の温度領域で0.5〜48時間熱処理する必
要があり、1100℃を下回ると、結晶成長速度が遅
く、また、1500℃を越えると、粒界に液相が出現し
始めるので、一度成長した結晶を溶かす。そこで、11
00〜1500℃の温度領域で0.5〜48時間熱処理
すれば十分である。
ラス相中に結晶核を発生させる必要がある。結晶核の形
成速度を種々検討したところ、850〜1050℃の温
度範囲が最も速く、温度がこれよりも高くてもまた低く
ても遅くなる。即ち、結晶核形成のためには、850〜
1050℃の温度領域で0.5〜3時間熱処理すれば十
分である。続いて、結晶を成長させるには、1100〜
1500℃の温度領域で0.5〜48時間熱処理する必
要があり、1100℃を下回ると、結晶成長速度が遅
く、また、1500℃を越えると、粒界に液相が出現し
始めるので、一度成長した結晶を溶かす。そこで、11
00〜1500℃の温度領域で0.5〜48時間熱処理
すれば十分である。
【0013】
【実施例】(実施例1) 平均粒径が0.3μmのSi3 N4 、及び、助剤として
平均粒径0.8〜1μmのAl2 O3 、Yb2 O3 、S
iO2 を表1の配合比で配合し、原料粉末100重量部
に対して分散剤ポリエチレンアミンを3重量部、溶媒エ
タノールを120重量部添加してアルミナボールミルで
均一に混合した後、乾燥し、プレスで直径60mm、厚
さ約6mmの円板状に成形し、4t/cm2 の静水圧プ
レスで成形体を得た。この成形体を真空中で500℃ま
で加熱し、1時間保持して脱脂した後、窒素ガス10気
圧で加圧して表2の熱処理条件でそれぞれ熱処理して窒
化珪素質焼結体を得た。
平均粒径0.8〜1μmのAl2 O3 、Yb2 O3 、S
iO2 を表1の配合比で配合し、原料粉末100重量部
に対して分散剤ポリエチレンアミンを3重量部、溶媒エ
タノールを120重量部添加してアルミナボールミルで
均一に混合した後、乾燥し、プレスで直径60mm、厚
さ約6mmの円板状に成形し、4t/cm2 の静水圧プ
レスで成形体を得た。この成形体を真空中で500℃ま
で加熱し、1時間保持して脱脂した後、窒素ガス10気
圧で加圧して表2の熱処理条件でそれぞれ熱処理して窒
化珪素質焼結体を得た。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】得られた焼結体の熱処理条件と相対密度及
び曲げ強度の関係を表2に示した。表2から明らかなよ
うに、本発明の焼結体は、室温曲げ強度と1300℃に
おけま曲げ強度との比が約0.7であり、従来の焼結体
の約0.5に比較して大きな値を示している。これは、
高温における強度の低下割合が少ないことを示してお
り、本発明の焼結体では、粒界に液相が現れ始める温度
が従来の焼結体と比較して100℃以上も高くなったこ
とにより、この特性が得られたと考えられる。
び曲げ強度の関係を表2に示した。表2から明らかなよ
うに、本発明の焼結体は、室温曲げ強度と1300℃に
おけま曲げ強度との比が約0.7であり、従来の焼結体
の約0.5に比較して大きな値を示している。これは、
高温における強度の低下割合が少ないことを示してお
り、本発明の焼結体では、粒界に液相が現れ始める温度
が従来の焼結体と比較して100℃以上も高くなったこ
とにより、この特性が得られたと考えられる。
【0017】また、上記の配合組成について、別に16
00℃で20時間熱処理して得た焼結体の結晶構造と助
剤配合組成(重量%)との関係を調べると、概略図2に
示す通りであった。助剤添加物の中でAl1.25 Yb 0.75
O3 (5Al2 O3 ・3Yb2 O3 の略、G相)の量が
多くなると、Si3 N4 (SN相)以外にYb2 Si2
O7 結晶(D相)の析出が見られ、SiO2 量が多くな
ると、Si2 N2 O結晶(Ox相)の析出が見られ、S
i3 N4 と他の結晶相とが複合した複合焼結体が得られ
る。なお、C相はSiO2 結晶(クリストバライト)を
意味する。また、このような窒化珪素質焼結体であって
も実用材料として利用することができる。
00℃で20時間熱処理して得た焼結体の結晶構造と助
剤配合組成(重量%)との関係を調べると、概略図2に
示す通りであった。助剤添加物の中でAl1.25 Yb 0.75
O3 (5Al2 O3 ・3Yb2 O3 の略、G相)の量が
多くなると、Si3 N4 (SN相)以外にYb2 Si2
O7 結晶(D相)の析出が見られ、SiO2 量が多くな
ると、Si2 N2 O結晶(Ox相)の析出が見られ、S
i3 N4 と他の結晶相とが複合した複合焼結体が得られ
る。なお、C相はSiO2 結晶(クリストバライト)を
意味する。また、このような窒化珪素質焼結体であって
も実用材料として利用することができる。
【0018】(実施例2) 表1の試料番号Y1,Y3,Y7の配合組成について1
800℃で4時間熱処理して得た焼結体を、950℃で
1時間熱処理して結晶核を形成した後、1350℃で2
0時間熱処理して粒界相を結晶化させた。この結晶体の
1300℃における曲げ強度を測定したところ、表3の
通りであった。また、ガラス相を結晶化させて生成した
結晶構造をX線回折により調べたところ、Yb2 Si2
O7 結晶(D相)、Al1.25 Yb 0.75O3 (G相)及び
Al6 Si2 O13(M相)であると推定された。この結
果から、粒界ガラス相の結晶化により強度が向上するこ
とが確認された。
800℃で4時間熱処理して得た焼結体を、950℃で
1時間熱処理して結晶核を形成した後、1350℃で2
0時間熱処理して粒界相を結晶化させた。この結晶体の
1300℃における曲げ強度を測定したところ、表3の
通りであった。また、ガラス相を結晶化させて生成した
結晶構造をX線回折により調べたところ、Yb2 Si2
O7 結晶(D相)、Al1.25 Yb 0.75O3 (G相)及び
Al6 Si2 O13(M相)であると推定された。この結
果から、粒界ガラス相の結晶化により強度が向上するこ
とが確認された。
【0019】
【表3】
【0020】(実施例3)93Si3 N4 −2Al2 O
3 −5Yb2 O3 組成(実施例3)並びに93Si3 N
4 −2Al2 O3 −5Y2 O3 組成(従来例)の原料に
ついて、1800℃で4時間窒素加圧雰囲気下で熱処理
して得られた焼結体を、1350℃で20時間大気中で
酸化し、酸化重量増を熱天秤で測定し、結果を表4に示
した。従来例では、約1300℃前後で粒界相に液相が
現れるため、粒界中のYイオン及びAlイオンの拡散が
速く、高温における酸化速度も速い。他方、実施例3で
は、液相が現れる温度は従来例より約150℃も高いた
め、上記の酸化温度である1350℃では粒界相はまだ
固相のままである。このため、金属イオンの拡散速度は
液相の場合に比べて非常に遅い。それ故、実施例3の焼
結体の酸化速度は従来例と比較して遅く、耐酸化性にも
優れていることが分かる。
3 −5Yb2 O3 組成(実施例3)並びに93Si3 N
4 −2Al2 O3 −5Y2 O3 組成(従来例)の原料に
ついて、1800℃で4時間窒素加圧雰囲気下で熱処理
して得られた焼結体を、1350℃で20時間大気中で
酸化し、酸化重量増を熱天秤で測定し、結果を表4に示
した。従来例では、約1300℃前後で粒界相に液相が
現れるため、粒界中のYイオン及びAlイオンの拡散が
速く、高温における酸化速度も速い。他方、実施例3で
は、液相が現れる温度は従来例より約150℃も高いた
め、上記の酸化温度である1350℃では粒界相はまだ
固相のままである。このため、金属イオンの拡散速度は
液相の場合に比べて非常に遅い。それ故、実施例3の焼
結体の酸化速度は従来例と比較して遅く、耐酸化性にも
優れていることが分かる。
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、高温における強度の低下する割合が低く、緻密で
耐熱性、高強度の窒化珪素質焼結体を提供することが可
能となった。
より、高温における強度の低下する割合が低く、緻密で
耐熱性、高強度の窒化珪素質焼結体を提供することが可
能となった。
【図1】本発明の実施例に係る焼結体の粒界相を形成す
るAl2 O3 −Yb2 O3 −SiO2 系酸化物のガラス
化範囲を示す図である。
るAl2 O3 −Yb2 O3 −SiO2 系酸化物のガラス
化範囲を示す図である。
【図2】1600℃で20時間熱処理して得た焼結体の
結晶構造と添加した酸化物の配合組成(5Al2 O3 ・
3Yb2 O3 )との関係を示す図である。
結晶構造と添加した酸化物の配合組成(5Al2 O3 ・
3Yb2 O3 )との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 武彦 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (72)発明者 秋山 勝徳 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平2−157161(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/58
Claims (4)
- 【請求項1】 窒化珪素粒子の間隙に、Al−Yb−S
i−O−N系酸窒化物ガラス及びYb 2 Si 2 O 7 微結
晶を含有することを特徴とする窒化珪素質焼結体。 - 【請求項2】 平均粒径が10μm以下の窒化珪素粒子
に対して、いずれも平均粒径が10μm以下の酸化物で
ある、第1添加物のアルミナ及び第2添加物の酸化イッ
テルビウム、又は第1添加物のアルミナ、第2添加物の
酸化イッテルビウム及び第3添加物のシリカを、全添加
量が3〜30重量%となるように添加調整し、有機溶媒
中で分散剤とともに均一に混合した後、乾燥・成形し、
脱脂してから窒素加圧ガス雰囲気中で1600〜195
0℃の温度で焼結することを特徴とする窒化珪素質焼結
体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の製造方法で得た窒化珪素
質焼結体を窒素ガス雰囲気中で850〜1050℃の温
度で熱処理して粒界ガラス中に結晶核を形成し、次い
で、窒素加圧ガス雰囲気中で1100〜1500℃の温
度で熱処理して結晶を成長させ、粒界ガラス相にYb 2
Si 2 O 7 微結晶を生成することを特徴とする窒化珪素
質焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 請求項2又は3記載の窒化珪素質焼結体
の製造方法において、第2添加物の酸化イッテルビウム
と第1添加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に
保つか、又は、第2添加物の酸化イッテルビウムと第1
添加物のアルミナの重量比を0.5〜7の範囲に保ち、
かつ第3添加物のシリカを27重量%以下添加すること
を特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
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JP4138634A JP2966644B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
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