JPH06263539A - 窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法

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JPH06263539A
JPH06263539A JP5055792A JP5579293A JPH06263539A JP H06263539 A JPH06263539 A JP H06263539A JP 5055792 A JP5055792 A JP 5055792A JP 5579293 A JP5579293 A JP 5579293A JP H06263539 A JPH06263539 A JP H06263539A
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JP
Japan
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silicon nitride
grain
sintered body
grain boundaries
oxide
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JP5055792A
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English (en)
Inventor
Mamoru Mitomo
友 護 三
Naoto Hirosaki
崎 尚 登 広
Motohide Ando
藤 元 英 安
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Nissan Motor Co Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温から高温までの広い温度範囲で強度およ
び靭性に優れた窒化ケイ素質焼結体を提供する。 【構成】 窒化ケイ素原料粉末に、周期律表第IIIa
族元素の酸化物,酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム
から選ばれる1種または2種以上の酸化物を0.2重量
%以上10.0重量%以下の量だけ添加して成形した
後、1気圧以上500気圧以下の窒素雰囲気下で160
0℃以上2000℃以下の温度で焼成し、さらに2気圧
以上2000気圧以下の窒素雰囲気下で1900℃以上
2200℃以下の温度で二粒子粒界の直接結合が形成さ
れるまで熱処理を行うことによって、二粒子粒界の一部
ないしは全部において酸化物あるいは酸窒化物が存在し
ない窒化ケイ素同士の直接結合により形成されていると
共に、多粒子粒界は酸化物あるいは酸窒化物の粒界相か
ら形成されている窒化ケイ素質焼結体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,機械装置,化
学装置,宇宙航空機器などの広い分野において使用され
る各種構造部品の素材として利用でき、室温および高温
において高い破壊靭性値と優れた強度を有するファイン
セラミックス材料としての窒化ケイ素質焼結体およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素を主成分とする焼結体は、常
温および高温で化学的に安定であり、高い機械的強度を
有するため、軸受などの摺動部材,ターボチャージャロ
ータなどのエンジン部材として好適な材料である。
【0003】従来より、高強度の窒化ケイ素質焼結体を
得るには、窒化ケイ素原料粉末に酸化物系の焼結助剤を
添加して1600℃以上の温度で焼成し、液相焼結によ
り緻密な焼結体とするようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにして製造し
た窒化ケイ素質焼結体においては、添加した酸化物系の
焼結助剤が酸化物あるいは酸窒化物のガラスあるいは結
晶として粒界相を形成する。ここで、粒界相には、二粒
子粒界と多粒子粒界がある。このうち、二粒子粒界は、
二個の窒化ケイ素粒子に挟まれた薄い膜状の粒界で、透
過型電子顕微鏡(TEM)による観察では、二個の粒子
に挟まれた一定の厚さの層として観察される(図1参
照;図1において、Aは窒化ケイ素粒子,Bは多粒子粒
界,Cは二粒子粒界である。)。
【0005】このような窒化ケイ素間に酸化物あるいは
酸窒化物が存在する結合を、以後、第二相結合と呼ぶ。
【0006】一方、多粒子粒界は、三個あるいは四個以
上の窒化ケイ素粒子に挟まれた塊状の粒界で、透過型電
子顕微鏡(TEM)による観察では、三個の粒子に囲ま
れた三角形の形状に観察される(同じく図1参照)。
【0007】従来の窒化ケイ素質焼結体では、二粒子粒
界および多粒子粒界が焼結助剤の元素を含む酸化物ある
いは酸窒化物の粒界相で形成されているため、焼結体を
高温にすると粒界相が軟化して強度が低下するという問
題があった。
【0008】一方、高温強度を向上させる試みとして、
ガラス質の多粒子粒界を結晶化させる研究がなされてき
たが、二粒子粒界はガラス質のままであり、高温強度の
改善には限度があった。また、粒界層の量を減少させる
試みとして高温において生成する液相が焼結後に粒子内
に固溶する組成とする手法が開発され、サイアロン(S
−Al)として知られている。
【0009】しかし、このサイアロンにおいては、二粒
子粒界および多粒子粒界の量を減少させることには成功
したものの、粒界相の量が減少しすぎたため粒内破壊の
割合が増え、破壊靭性が窒化ケイ素に比べて低下すると
いう問題があった。
【0010】このように、従来の材料では、優れた破壊
靭性と高い高温強度をあわせ持つ材料は得られなかった
ことから、このような優れた破壊靭性と高い高温強度を
あわせ持つ材料を得ることが課題としてあった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題にかんが
みてなされたもので、焼結助剤の種類と量,焼成条件お
よび熱処理条件を工夫することにより、二粒子粒界の一
部ないしは全部を直接結合させることにより、室温から
高温までの広い温度範囲で強度および靭性に優れる窒化
ケイ素質焼結体を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる窒化ケイ
素質焼結体は、上記のように、窒化ケイ素粉末を原料と
し、粒界相制御に適した焼結助剤の種類と量を添加して
成形した後、焼成し、さらに二粒子粒界の結合状態を制
御しながら熱処理を施すことにより、室温から高温まで
の広い温度範囲で強度および靭性に優れる窒化ケイ素質
焼結体が得られることを新規に発明して製造されたもの
である。
【0013】本発明に係わる窒化ケイ素質焼結体の製造
方法は、窒化ケイ素原料粉末に、周期律表第IIIa族
元素の酸化物,酸化アルミニウム,酸化ジルコニウムか
ら選ばれる1種または2種以上の酸化物を0.2重量%
以上10.0重量%以下の量だけ添加して成形した後、
1気圧以上500気圧以下の窒素雰囲気下で1600℃
以上2000℃以下の温度で焼成し、さらに2気圧以上
2000気圧以下の窒素雰囲気下で1900℃以上22
00℃以下の温度で二粒子粒界の直接結合が形成される
まで熱処理を行うことを特徴とするものであり、それに
よって、室温から高温までの広い温度範囲で強度および
靭性に優れた窒化ケイ素質焼結体が得られることを新規
に発明した。
【0014】このようにして製造される本発明に係わる
窒化ケイ素質焼結体は、窒化ケイ素粒子と酸化物あるい
は酸窒化物の粒界相から形成されており、二粒子粒界の
一部ないしは全部において酸化物あるいは酸窒化物が存
在しない窒化ケイ素同士の直接結合により形成されてい
ると共に、多粒子粒界は酸化物あるいは酸窒化物の粒界
相から形成されているものとなっている。さらに、二粒
子粒界の直接結合の割合を制御することにより、目的と
する高温強度と破壊靭性値を得ることができる。
【0015】本発明に係わる窒化ケイ素質焼結体および
その製造方法において、出発原料としては、α型,β
型,アモルファスあるいはこれらの混合物の窒化ケイ素
原料粉末を用いる。この場合、粉末粒子の大きさや分
布,形状,純度等は特に規定しないが、室温および高温
の強度が高い焼結体を得るためには、平均粒径2μm以
下の粒度分布で金属不純物量100ppm以下の粉末が
好ましい。
【0016】この窒化ケイ素原料粉末に添加する焼結助
剤は、周期律表第IIIa族元素(Sc,Y,La,C
e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ac)の酸化物,
酸化アルミニウム,酸化ジルコニウムから選ばれる1種
または2種以上の酸化物を用いる。
【0017】そして、焼結助剤の添加量は、0.2重量
%以上10.0%重量%以下である。この場合、0.2
重量%未満では緻密化が難しく、10.0重量%超過で
は高温強度が低下する。焼結助剤量は、この範囲で選ば
れるが、特に高温強度を向上させるためには、緻密化が
達成される範囲で少ない方が良く、好ましくは0.2重
量%以上4.0重量%以下とするのがよい。そして、成
形法は、静水圧プレス成形,射出成形,鋳込み成形など
通常の成形法で成形する。
【0018】焼成は、1気圧以上500気圧以下の窒素
雰囲気下で1600℃以上2000℃以下の温度で行
う。この場合、窒素雰囲気は窒化ケイ素の熱分解を防ぐ
ために必要であり、高温で焼成するほど高圧の窒素雰囲
気を使用する。必要な最低圧は、1600℃ないし17
50℃の焼成で1気圧、1800℃で2気圧、1900
℃で5気圧、2000℃で10気圧である。そして、所
定圧力よりも低いと窒化ケイ素は熱分解を起こし、窒素
を放出してケイ素となるので好ましくない。また、必要
以上に圧力が高すぎると緻密化が阻害されるので好まし
くない。そして、500気圧を超えると緻密化が困難で
ある。
【0019】焼成温度は、焼結手法と使用する焼結助剤
の種類と量により異なるが、1600℃以上2000℃
以下の温度が使用される。この場合、1600℃よりも
低いと緻密化が困難であり、2000℃を超えると粒成
長が顕著となり強度が低下する。焼結手法は、製品形
状,使用される焼結助剤の種類と量を考えて、ホットプ
レス,常圧焼結,ガス圧焼結等が使用される。
【0020】この後、二粒子粒界除去のための熱処理を
行う。この場合の熱処理は、2気圧以上2000気圧以
下の窒素雰囲気下で1900℃以上2200℃以下の温
度で行う。そして、1900℃未満の温度では、二粒子
粒界除去の達成は難しく、2200℃超過の温度では、
粒成長が激しいため強度が低下する。また、窒素雰囲気
が2気圧未満では熱分解するので好ましくなく、200
0気圧超過では窒素ガスがガラス相に溶解するため高温
強度が低下するので好ましくない。
【0021】そして、熱処理の時間は、添加する焼結助
剤の種類と量により異なるが、一般的には、1時間から
6時間の熱処理で二粒子粒界の直接結合が形成される。
【0022】直接結合が形成された二粒子粒界の割合
は、以下の手順で決定される。まず、焼結体を取り出し
て薄片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で二粒子
粒界を観察する。この観察結果は図2および図3に示す
とおりであり、図2に示すように二粒子粒界と多粒子粒
界が観察され、さらに高分解能像とした図3に示すよう
に直接結合の二粒子粒界が観察される。
【0023】そこで、図3に示すように、二つの窒化ケ
イ素粒子は格子像または構造像が観察される位置関係と
なるものを探し出し、かつその間の二粒子粒界は観察面
に対して垂直となるようにする。二つの窒化ケイ素粒子
の格子像がモアレを生じている場合は、二粒子粒界が観
察面に対し垂直でないことを示しているので、本発明の
直接結合の判断には使えない。直接結合とは、このよう
にして撮影した二粒子粒界に存在する第二相の厚さが
0.5nm以下である粒界とする。二粒子粒界に酸化物
あるいは酸窒化物の粒界相が観察されたもの(第二相結
合)と直接結合が観察されたものの粒界を数えてその割
合を出す。観察する粒界の数は20個以上が望ましい。
【0024】二粒子粒界における直接結合と第二相結合
の割合は、目的とする機械的特性により異なるが、高温
強度だけを向上させるためには、直接結合ができるだけ
多い方がよい。一方、破壊靭性と高温強度を両立させる
ためには、直接結合の割合が二粒子粒界全体の20%以
上80%以下であるようにするのがよい。この場合、2
0%未満では高温強度が低下する傾向となり、80%超
過では破壊靭性が低下する傾向となる。
【0025】本発明では、二粒子粒界はその一部ないし
は全部が粒界に酸化物あるいは酸窒化物の第二相を伴わ
ない直接結合であるが、多粒子粒界は焼結助剤成分に起
因する酸化物あるいは酸窒化物の粒界相が存在する。こ
の多粒子粒界の粒界相は、アモルファスであってもよい
し、熱処理により結晶化させてもよいが、高温強度のよ
り一層の向上のためには結晶化処理を行った方がよい。
【0026】
【発明の作用】従来の窒化ケイ素質焼結体では、酸化物
の焼結助剤が焼結後に二粒子粒界および多粒子粒界に残
留するため、破壊靭性は高いものの高温強度が低下し、
耐熱性に乏しい材料であったが、本発明に係わる窒化ケ
イ素質焼結体では、二粒子粒界の一部ないしは全部にお
いて酸化物あるいは酸窒化物が存在しない窒化ケイ素同
士の直接結合により形成されていると共に、多粒子粒界
は酸化物あるいは酸窒化物の粒界相から形成されている
ものとなっており、このような窒化ケイ素質焼結体を製
造するに際しては、窒化ケイ素原料粉末に添加する焼結
助剤の種類や量および焼成条件を制御し、焼結体を得た
後、二粒子粒界除去のための熱処理を施して、二粒子粒
界における直接結合の割合を制御するようにしているの
で、室温から高温までの広い温度領域で強度および破壊
靭性値が高い窒化ケイ素質焼結体が得られることとな
る。
【0027】
【実施例】実施例1 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末に、酸化イットリウム0.8重量%と酸化ネオジ
ム1.2重量%を添加し、エタノールを添加した湿式ボ
ールミルにより94時間混合粉砕した。ついで、空気中
でスプレードライヤーを用いて乾燥し、20MPaの圧
力で金型成形した後、200MPaの圧力でラバープレ
スを施すことにより、6mm×6mm×50mmの成形
体を得た。
【0028】この成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて、1
0気圧の窒素ガス圧下で1900℃で2時間焼成した後
(すなわち、ガス圧焼結法による)、300気圧の窒素
ガス圧下で2000℃で4時間熱処理を施した。
【0029】ここで得られた焼結体を800メッシュの
ダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×
40mmの形状に加工し、JIS R 1601に準じ
た室温および高温3点曲げにより曲げ強さを測定すると
共に、JIS R 1607に準じたSEPB法(試験
片の3×40mmの面にビッカース圧痕を加え、これか
ら予亀裂を生成させ、この予亀裂から破壊する手法)に
より室温の破壊靭性値を測定した。
【0030】この焼結体の気孔率は1.2%、室温にお
ける三点曲げ強さは750MPaであり、1400℃に
おける三点曲げ強さは720MPaであった。また、破
壊靭性値は5.2MPa√mであった。
【0031】次に、焼結体から薄片を切りだし、アルゴ
ンイオンミル処理の後、透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ図2に示すように、二粒子粒界と多粒子粒界とから
なる微構造であった。さらに、二粒子粒界を高分解能電
子顕微鏡で観察したところ、図3に示すように、二粒子
粒界には酸化物あるいは酸窒化物の第二相は観察され
ず、窒化ケイ素同士の直接結合が観察された。さらに、
ランダムに選んだ20個の二粒子粒界について直接結合
か第二相結合かを調べたところ、20個全てが直接結合
であった。
【0032】このように、二粒子粒界から酸化物あるい
は酸窒化物の層を除去して窒化ケイ素同士の直接結合を
形成することにより、高温において強度低下が少ない高
温強度の高い窒化ケイ素質焼結体を得た。
【0033】比較例1 平均粒径1.3μmのα型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末に、酸化イットリウム0.8重量%と酸化ネオジ
ム1.2重量%を添加し、エタノールを添加した湿式ボ
ールミルにより94時間混合粉砕した。ついで、空気中
でスプレードライヤーを用いて乾燥し、20MPaの圧
力で金型成形した後、200MPaの圧力でラバープレ
スを施すことにより、6mm×6mm×50mmの成形
体を得た。
【0034】この成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて、1
00気圧の窒素ガス圧下で1900℃で4時間焼成し
た。
【0035】ここで得られた焼結体を800メッシュの
ダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×
40mmの形状に加工し、JIS R 1601に準じ
た室温および高温3点曲げにより曲げ強さを測定すると
共に、JIS R 1607に準じたSEPB法(試験
片の3×40mmの面にビッカース圧痕を加え、これか
ら予亀裂を生成させ、この予亀裂から破壊する手法)に
より室温の破壊靭性値を測定した。
【0036】この焼結体の気孔率は1.5%、室温にお
ける三点曲げ強さは780MPaであり、1400℃に
おける三点曲げ強さは520MPaであった。また、破
壊靭性値は6.8MPa√mであった。
【0037】次に、焼結体から薄片を切りだし、アルゴ
ンイオンミル処理の後、透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ、すべての焼結体は二粒子粒界と多粒子粒界とから
なる微構造であった。さらに、二粒子粒界を高分解能電
子顕微鏡で観察し、直接結合か第二相結合かを調べたと
ころ、図4に示すように、二粒子粒界に酸化物あるいは
酸窒化物第二相を含む粒界が観察された。また、20個
の二粒子粒界について調べたところ、全ての二粒子粒界
には第二相が観察された。
【0038】このように、二粒子粒界が酸化物あるいは
酸窒化物の第二相である焼結体では、高温において強度
の低下が大きく高温強度の低いものとなっていた。
【0039】実施例2〜10 窒化ケイ素原料粉末として、 [α]:α型含有量90重量%,平均粒径0.5μmの
窒化ケイ素粉末 [β]:β型含有量90重量%、平均粒径0.8μmの
窒化ケイ素粉末 を用いた。
【0040】また、焼結助剤として表1(実施例2〜
6)および表2(実施例7〜10)に示す酸化物を使用
した。そして、エタノールを添加した湿式ボールミルに
より窒化ケイ素粉末と酸化物系焼結助剤とを94時間混
合粉砕した。ついで、空気中でスプレードライヤーを用
いて乾燥し、20MPaの圧力で金型成形した後、20
0MPaの圧力でラバープレスを施すことにより、6m
m×6mm×50mmの成形体を得た。
【0041】この成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて、表
1(実施例2〜6)および表2(実施例7〜10)に示
す焼成条件で焼成した後、表3(実施例2〜6)および
表4(実施例7〜10)に示す熱処理条件で熱処理を施
した。
【0042】ここで得られた焼結体を800メッシュの
ダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×
40mmの形状に加工し、JIS R 1601に準じ
た室温および高温3点曲げにより曲げ強さを測定すると
共に、JIS R 1607に準じたSEPB法(試験
片の3×40mmの面にビッカース圧痕を加え、これか
ら予亀裂を生成させ、この予亀裂から破壊する手法)に
より室温の破壊靭性値を測定した。
【0043】表3(実施例2〜6)および表4(実施例
7〜10)に、上記により得られた焼結体の気孔率,室
温における三点曲げ強さ,1400℃における三点曲げ
強さ,室温の破壊靭性値を示す。
【0044】次に、焼結体から薄片を切りだし、アルゴ
ンイオンミル処理の後、透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ、二粒子粒界と多粒子粒界とからなる微構造であっ
た。さらに、それぞれの試料について20個の二粒子粒
界を高分解能電子顕微鏡で観察したところ、二粒子粒界
の一部ないしは全部に窒化ケイ素同士の直接結合が観察
された。
【0045】このように、二粒子粒界の一部ないしは全
部が直接結合である焼結体では、優れた破壊靭性を持ち
ながら高温において強度の低下が小さく高温強度の高い
ものであった。
【0046】比較例2〜4 窒化ケイ素原料粉末として、 [α]:α型含有量90重量%,平均粒径0.5μmの
窒化ケイ素粉末 [β]:β型含有量90重量%、平均粒径0.8μmの
窒化ケイ素粉末 を用いた。
【0047】また、焼結助剤として表5に示す酸化物を
使用した。そして、エタノールを添加した湿式ボールミ
ルにより窒化ケイ素粉末と酸化物系焼結助剤とを94時
間混合粉砕した。ついで、空気中でスプレードライヤー
を用いて乾燥し、20MPaの圧力で金型成形した後、
200MPaの圧力でラバープレスを施すことにより、
6mm×6mm×50mmの成形体を得た。
【0048】この成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて、表
5に示す焼成条件で焼成した後、表6に示す熱処理条件
で熱処理を施した(ただし、比較例2を除く)。
【0049】ここで得られた焼結体を800メッシュの
ダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×
40mmの形状に加工し、JIS R 1601に準じ
た室温および高温3点曲げにより曲げ強さを測定すると
共に、JIS R 1607に準じたSEPB法(試験
片の3×40mmの面にビッカース圧痕を加え、これか
ら予亀裂を生成させ、この予亀裂から破壊する手法)に
より室温の破壊靭性値を測定した。
【0050】表6に、上記により得られた焼結体の気孔
率,室温における三点曲げ強さ,1400℃における三
点曲げ強さ,室温の破壊靭性値を示す。
【0051】次に、焼結体から薄片を切りだし、アルゴ
ンイオンミル処理の後、透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ、二粒子粒界と多粒子粒界とからなる微構造であっ
た。さらに、それぞれの試料について20個の二粒子粒
界を高分解能電子顕微鏡で観察したところ、二粒子粒界
は全て第二相を伴う結合であった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】表に示すように、比較例2のごとく熱処理
を行わなかったり、比較例3のように熱処理を行うとし
ても温度が低かったり、比較例4のように熱処理を行う
としても時間が短かかったりした場合には、二粒子粒界
の直接結合が形成されず、二粒子粒界除去の達成が行わ
れないこととなって、二粒子粒界のすべてが第二相によ
る結合であって直接結合でない焼結体であり、このよう
な焼結体では破壊靭性には優れているものの高温におい
て強度の低下が大きく高温強度の低いものとなってい
た。
【0059】
【発明の効果】本発明に係わる窒化ケイ素質焼結体およ
びその製造方法は、上述した構成としているので、室温
から高温までの広い温度領域で強度および破壊靭性値が
高い窒化ケイ素質焼結体が得られるという著しく優れた
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】窒化ケイ素質焼結体の粒界相を透過型電子顕微
鏡で観察した結果を示す模写図である。
【図2】本発明法により製造した窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過型電子顕微鏡で観察した結果を示す模
写図(66,000倍)である。
【図3】本発明法により製造した窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過電子型顕微鏡で高分解能像として観察
した結果を示す模写図(3,800,000倍)であ
る。
【図4】本発明の比較例において窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過型電子顕微鏡で高分解能像として観察
した結果を示す模写図(1,250,000倍)であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】本発明法により製造した窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過型電子顕微鏡で観察した結果を示す写
真(66,000倍)である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】本発明法により製造した窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過電子型顕微鏡で高分解能像として観察
した結果を示す写真(3,800,000倍)である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】本発明の比較例において窒化ケイ素質焼結体の
二粒子粒界を透過型電子顕微鏡で高分解能像として観察
した結果を示す写真(1,250,000倍)である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安 藤 元 英 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素粒子と酸化物あるいは酸窒化
    物の粒界相から形成される窒化ケイ素質焼結体におい
    て、二粒子粒界の一部ないしは全部において酸化物ある
    いは酸窒化物が存在しない窒化ケイ素同士の直接結合に
    より形成されていると共に、多粒子粒界は酸化物あるい
    は酸窒化物の粒界相から形成されていることを特徴とす
    る窒化ケイ素質焼結体。
  2. 【請求項2】 直接結合により形成されている粒界の割
    合が二粒子粒界全体の20%以上80%以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素質焼結体。
  3. 【請求項3】 窒化ケイ素原料粉末に、周期律表第II
    Ia族元素の酸化物,酸化アルミニウム,酸化ジルコニ
    ウムから選ばれる1種または2種以上の酸化物を0.2
    重量%以上10.0重量%以下の量だけ添加して成形し
    た後、1気圧以上500気圧以下の窒素雰囲気下で16
    00℃以上2000℃以下の温度で焼成し、さらに2気
    圧以上2000気圧以下の窒素雰囲気下で1900℃以
    上2200℃以下の温度で二粒子粒界の直接結合が形成
    されるまで熱処理を行うことを特徴とする窒化ケイ素質
    焼結体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014129223A (ja) * 2012-11-30 2014-07-10 Kyocera Corp セラミック焼結体およびこれを備える耐磨耗性部材

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