JP3211908B2 - 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
窒化珪素質焼結体及びその製造方法Info
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Description
労抵抗性に優れる構造材料用の窒化珪素質焼結体に関す
るものである。
温強度に優れているものの、ジルコニア焼結体に比して
靱性に劣るという問題があった。従って、その靱性を高
めようとする手段は、種々提案されている。これら提案
の多くは、原料組成または添加成分に着目したものであ
るが、靱性は、焼結体としての特性であるから、原料等
の如何にかかわらず焼結体の微視的構造を制御すること
は、重要である。
メータから数百ナノメータの大きさの炭化珪素の微細粒
子を窒化珪素粒子内に分散させて窒化珪素粒子の結晶構
造に歪を与え、焼結体の弾性率を下げる技術(特開平2
−160669号公報)が知られている。
60669号公報に記載された窒化珪素質焼結体のよう
に窒化珪素粒子内にSiCを含んだものの場合、これら
窒化珪素材料ではSiC化合物によって焼結性が著しく
低下し、焼結温度が高くなったり、常圧焼結できないな
ど焼結条件において問題が多い。
窒化珪素粉末にZr化合物を添加した場合、常圧もしく
は常圧に近い雰囲気で、しかも通常の温度で焼結して
も、焼結に至るまでの温度を急速昇温させることによ
り、窒化珪素質焼結体の窒化珪素粒子内にZr、Si元
素からなる粒子あるいはZr、Si、O元素からなる粒
子を複合化させうること、並びに従来と異なる性質を発
揮することを見いだした。
されたものであり、その目的は、常圧もしくは常圧に近
い雰囲気で、しかも通常の焼結温度で、高強度・高靱性
に優れ、かつ疲労抵抗に優れる焼結体を得ることにあ
る。
もしくはSialon粒子と粒界相からなる窒化珪素質
焼結体において、窒化珪素粉末に焼結助剤とジルコニウ
ムの酸化物、水酸化物、硝酸塩及びアルコキシドのうち
少なくとも1種類の化合物とを混合し成形して成形体を
得た後、該成形体を1300℃から1600℃の間を昇
温速度15℃/min.以上で加熱し、次いで焼結させ
ることにより、Zr元素を酸化物換算で1〜30重量%
含み、粒径1μm以下の粒内分散粒子が内部に少なくと
も1個以上分散した窒化珪素粒子もしくはSialon
粒子を1体積%以上含有する焼結体であって、前記粒内
分散粒子が少なくともZr元素及びO元素を含むことを
特徴とする窒化珪素質焼結体にある。なお、粒内分散粒
子にはZr元素及びO元素のほかにSiやNが含まれて
いてもよい。
は、粒内分散粒子が結晶相となっているものである。
結助剤とジルコニウムの酸化物、水酸化物、硝酸塩及び
アルコキシドのうち少なくとも1種類の化合物とを混合
し成形して成形体を得た後、該成形体を1300℃から
1600℃の間を昇温速度15℃/min.以上で加熱
し、次いで焼結させることを特徴とする窒化珪素質焼結
体の製造方法にある。
Si、O元素からなる粒子が内部に分散して含まれる窒
化珪素粒子が存在すると、破壊靱性値及び強度が向上
し、さらには繰り返し応力による疲労特性も向上する。
これは、Zr、O元素あるいはZr、Si、O元素から
なる粒子が窒化珪素粒内に取り込まれると窒化珪素粒内
の結晶構造に歪が生じ、その結果窒化珪素粒子の周りに
応力が発現される。この残留応力によって破壊靱性値、
強度及び繰り返し応力による疲労抵抗性を格段に向上さ
せることができるものと考えられる。従来の高靱性窒化
珪素材料では粒子架橋による高靱性化が主たる機構であ
るため繰り返し応力による疲労劣化を生じるが本発明で
は残留応力が高靱化機構となっているため疲労劣化が少
ない。
i、O元素からなる粒子は結晶化した方がより好まし
い。結晶化したZr、O元素あるいはZr、Si、O元
素からなる粒子は高温まで軟化せず残留応力の維持率が
よく、より高温まで高靱化・高強度化が保たれるためで
ある。結晶相としては、例えば単斜晶、正方晶、立方晶
のZrO2やZrO2・SiO2等が上げられるがこれに
限定されない。
以下と限定する理由は、1μmを越えると窒化珪素粒子
内の残留歪が大きくなりすぎて窒化珪素粒子が破壊し、
欠陥となって作用し強度劣化を生じさせるためである。
あるいはSialon粒子を1体積%以上必要とする理
由は、これ未満では残留応力による効果が少なく、高強
度化・高靱性化が達成されないからである。
Zr元素は酸化物換算で1から30重量%の範囲である
必要がある。この限定理由は、酸化物換算で1重量%未
満ではZr元素が窒化珪素あるいはSialon粒内に
分散することができないからであり、一方30重量%を
越えると粒界相の量が多くなり過ぎて強度劣化を生じさ
せるからである。
希土類酸化物等の焼結助剤となる金属酸化物粉末とジル
コニウムの酸化物・水酸化物・硝酸塩及びアルコキシド
のうち少なくとも1種類の粉末あるいは溶液とを混合し
成形して成形体を得た後、成形体を窒素雰囲気下130
0℃〜1900℃の温度で焼成し、しかも成形体の温度
が1300℃から1600℃の間を昇温速度15℃/m
in.以上で焼結させることにより得られる。この理由
は加熱により添加物が軟化し液相に変化する温度におい
て、昇温速度を速くすることにより窒化珪素粒子の溶解
・析出機構が急速に進行しZr,O元素あるいはZr,
O,Siからなる粒子を窒化珪素粒子内に取り込むこと
ができるからであると推定される。
00から1600℃の温度範囲で2時間以上の温度保持
をすることはより好ましい。温度保持によりZr、O元
素あるいはZr、Si、O元素からなる粒子が結晶化
し、その効果がより向上されるためである。
水酸化物、硝酸塩、アルコキシドなどの焼成中に酸化物
に変化する全てのものを使用することができるが、中で
も未安定化の酸化物、水酸化物あるいはオキシ塩化ジル
コニウムであることがより好ましい。この理由は、Zr
元素が窒化珪素粒内に分散するためにはZr元素が焼結
中に粒界相と容易に固溶し、ガラス相を形成する必要が
あるためである。
酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどがある。以
上、本発明の窒化珪素質焼結体の製造方法を記載したが
本特許はこれらに限定されない。
焼結体は透過式電子顕微鏡の写真によっても確認され
る。図1は本発明に係る窒化珪素質焼結体(後述の実施
例No.4)の微細構造を示す透過式電子顕微鏡写真で
ある。図1において比較的白く見える部分が窒化珪素で
あり、この中に丸く黒く見えるものがZr、Si、O元
素からなる粒子である。一方、図2において粒界部分に
認められる黒い粒子は本焼結体中に存在するZr−O−
N−C系固溶体粒子であり、上記粒内分散したZr、S
i、O元素とは異なる粒子であることが認められる。
をBET比表面積10m2/gの窒化珪素粉末に添加し
エタノ−ルで湿式混合した。乾燥した配合粉末を1.5
ton/cm2静水圧プレス成形し、表1または表2に示す条
件で焼成を行ない窒化珪素質焼結体を得た。尚、表中、
降温時の温度保持の有無とは降温時に1600℃で2時
間温度保持の有無を示す。これら焼結体につき、各種特
性を測定した結果を表1または表2に併記する。測定方
法は、次の通りである。
曲げ試験により測定した。破壊靱性値は、JISR16
07のSEPB法によって測定した。
の試験片の中央にビッカ−ス圧痕を49Nで圧入したも
のを用いて計測した。この試験片を材料試験機により3
点曲げ法(スパン30mm)で所定の繰返し応力を負荷
し、所定数繰り返した後に亀裂進展量を測定し、亀裂進
展速度を求めた。繰返し応力は、sin波で応力比0.
1の条件で行った。表において亀裂進展速度は、繰り返
し応力場の最大値が応力拡大係数でK=6MPam0.5の時
の値を示す。この応力拡大係数の計算には圧子圧入によ
る残留応力を考慮するため以下の式を用いて計算した。 K=χ・Pind・c-1.5+Y・σapp・a-0.5 −−−(1) ここで、χは残留応力定数,Pindは圧入荷重(N),cが
表面亀裂長さ(m)、aが亀裂深さ(m)であり、a=c
×0.8で与えられる。χは次式で与えられる。 χ=ξ・(E/H)0.5 −−−(2) ここで、ξは定数で0.009である。Eはヤング率
(Pa)、Hはビッカ−ス硬度(Pa)である。Yは形状係
数であり1.25の定数とするかあるいはRaju-Newman
の式で求められる。σappは負荷応力(Pa)である。次
に粒内分散粒子の存在の確認及びその体積割合は焼結体
をラップ研磨により鏡面とした後、SEM装置を用いて
観察し、その写真より画像解析にて測定した。解析した
面積は1000μm2である。尚、粒内分散粒子がZ
r、O元素あるいはZr、Si、O元素からなる粒子で
あることは、透過型電子顕微鏡(TEM)の特性X線の
エネルギー分析(EDS)から同定した。また、同粒子
がガラス相(表中「G」で示す)か結晶相(表中「C」
で示す)であるかは、TEMの電子線回折で判別した。
いはZr、Si、O元素からなる粒子が粒子内に分散し
た窒化珪素もしくはSialon粒子の体積をA、全窒
化珪素もしくはSialon粒子の体積をBとすると
き、(A/B)×100を示す。
o.1〜7は、破壊靱性値が9MPam0.5以上で且つ強度
が900MPa以上であり、かつ繰り返し応力による亀
裂進展速度が応力拡大係数値6MPam0.5において1×1
0ー9m/cycle以下であった。特に粒内分散粒子が結晶化
していた焼結体No.1〜3,6,7は、破壊靱性値が
10MPam0.5以上であった。
は、破壊靱性値及び抗折強度については、本発明実施例
に近い値を示したが、粒内分散粒子を備えていないため
に亀裂進展速度が2×10ー9m/cycleと速く、繰返し疲
労抵抗性に劣るものであった。同じく焼結体No.11
は、亀裂進展速度が30×10ー9m/cycleと著しく速い
のみならず、破壊靱性値もかなり低かった。また、焼結
体No.9,10は、粒内分散粒子を有しているため、
亀裂進展速度は、本発明実施例に近い値を示したが、焼
結体中のZr化合物の全量が過剰であることから粒界相
の量が多くなり過ぎたらしく、抗折強度が700MPa
以下と低いものであった。
質焼結体は、実施例に示されるように他の焼結体に比べ
強度、破壊靱性値が高く、さらに亀裂進展速度が遅いの
で繰返し疲労抵抗性に優れている。従って、切削工具、
ガスタ−ビン翼等の構造用耐熱材料として信頼性や寿命
を大幅に向上させることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 Si3N4もしくはSialon粒子と
粒界相からなる窒化珪素質焼結体において、窒化珪素粉
末に焼結助剤とジルコニウムの酸化物、水酸化物、硝酸
塩及びアルコキシドのうち少なくとも1種類の化合物と
を混合し成形して成形体を得た後、該成形体を1300
℃から1600℃の間を昇温速度15℃/min.以上
で加熱し、次いで焼結させることにより、Zr元素を酸
化物換算で1〜30重量%含み、粒径1μm以下の粒内
分散粒子が内部に少なくとも1個以上分散した窒化珪素
粒子もしくはSialon粒子を1体積%以上含有する
焼結体であって、前記粒内分散粒子が少なくともZr元
素及びO元素を含むことを特徴とする窒化珪素質焼結
体。 - 【請求項2】 粒内分散粒子が結晶相となっていること
を特徴とする請求項1記載の窒化珪素質焼結体。 - 【請求項3】 窒化珪素粉末に焼結助剤とジルコニウム
の酸化物、水酸化物、硝酸塩及びアルコキシドのうち少
なくとも1種類の化合物とを混合し成形して成形体を得
た後、該成形体を1300℃から1600℃の間を昇温
速度15℃/min.以上で加熱し、次いで焼結させる
ことを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 窒化珪素粉末に焼結助剤とジルコニウム
の酸化物、水酸化物、硝酸塩及びアルコキシドのうち少
なくとも1種類の化合物とを、当該化合物が酸化物換算
で1〜30重量%となるように混合し成形して成形体を
得た後、該成形体を1300℃から1600℃の間を昇
温速度15℃/min.以上で加熱し、次いで焼結させ
ることにより、粒径1μm以下の粒内分散粒子が内部に
少なくとも1個以上分散した窒化珪素粒子もしくはSi
alon粒子を1体積%以上含有し、前記粒内分散粒子
が少なくともZr元素及びO元素を含む窒化珪素質焼結
体を得ることを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34162892A JP3211908B2 (ja) | 1992-11-26 | 1992-11-26 | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34162892A JP3211908B2 (ja) | 1992-11-26 | 1992-11-26 | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06166570A JPH06166570A (ja) | 1994-06-14 |
JP3211908B2 true JP3211908B2 (ja) | 2001-09-25 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP34162892A Expired - Lifetime JP3211908B2 (ja) | 1992-11-26 | 1992-11-26 | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3211908B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-26 JP JP34162892A patent/JP3211908B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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