JP2963400B2 - 回転軸用環状給油装置 - Google Patents

回転軸用環状給油装置

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JP2963400B2 JP26815396A JP26815396A JP2963400B2 JP 2963400 B2 JP2963400 B2 JP 2963400B2 JP 26815396 A JP26815396 A JP 26815396A JP 26815396 A JP26815396 A JP 26815396A JP 2963400 B2 JP2963400 B2 JP 2963400B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転軸の軸方向
の途中から同回転軸内または同回転軸の中心軸油路に給
油するための回転軸用環状給油装置に関し、詳しくは、
たとえば二重反転プロペラの、相互に逆方向に回転する
外側プロペラ軸と内側プロペラ軸間の軸受に潤滑油を供
給するのに使用する回転軸用環状給油装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の回転軸用環状給油装置の先行技
術として、実公平5−38320号公報に記載の装置が
ある。この装置は、回転軸の周囲を二分割にした環状の
ハウジングによりフローティング状態で取り囲み、ハウ
ジングの長手方向の中間位置に設けた給油口から環状油
室に高圧油を導入し、回転軸の中心軸油路に放射状の複
数の給油孔から高圧油を供給する構造を有する。この装
置の場合、環状油室を挟んで両側に回転軸の外周面に摺
接する環状の軸受メタルを備えており、環状油室内に導
入された高圧油が軸受メタルと回転軸外周面との間から
漏れ出しにくくしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た公報に記載の環状給油装置には、次のような不都合が
ある。すなわち、 導入される高圧油の圧力が通常は約100kgf/cm2
と非常に高いため、軸受メタルと回転軸外周面との隙間
が大きく開いて、漏れ油の量が過大になるおそれがあ
る。つまり、回転軸とハウジング内周面側の軸受メタル
との隙間寸法(δ)とこの寸法からの漏油量(Q)の関
係は、Q=K×D×P×δ3 /Lで表されるから、漏油
量は隙間の3乗に比例することになる。ただし、K:定
数、D:回転軸の軸径、P:高圧油の圧力、L:軸受メ
タルの長さである。
【0004】油の漏れが大きくなれば、装置(システ
ム)全体で考えると、エネルギーのロスが大きいことに
なり、必要以上の油圧源を要する。油の漏れを少なくす
るために、高圧油の圧力を低減する方法があるが、内側
プロペラ軸を支えている軸受の長さを大幅に延ばす必要
があるため、装置全体が大型化する。
【0005】 二分割にしたハウジングを用いている
ために剛性が低く、変形しやすいので、前記隙間の寸法
が増加するうえに、分割されたハウジングの接合面に隙
間が生じてそこからも漏れ出すおそれがある。また同様
の理由で、ハウジングと回転軸間に形成される環状空間
(の半径方向寸法)が不均一になり易い。
【0006】 ハウジングが二分割構造で、フランジ
を設けてボルト等で連結するため、一体式のハウジング
に比べて機械加工の工数が多く組み立てにも手間がかか
る。
【0007】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、上記種類の環状給油装置において回転軸の軸方向の
途中から高圧油を給油する際に漏油量を減少し、効率よ
く給油できるようにすることを課題にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために本発明にかかる回転軸用環状給油装置は、a)回転
軸の軸方向の途中から同回転軸内または同回転軸の中心
軸油路に給油するための回転軸用環状給油装置におい
て、b)前記回転軸の周囲に、環状のハウジングを半径方
向、軸方向および円周方向の動きを許容して設け、c)前
記ハウジング内周側の前記回転軸との環状空間内に、
径方向の厚みに比べて軸方向の長さを長くしたシールリ
ングを全方向の動きを許容して介設するとともに、前記
ハウジング内周面との間隙内においてそのシールリング
の外周面の両端部にOリングを取り付け、d)前記ハウジ
ングおよび前記シールリングを一連に貫通する給油孔を
設け、e)前記ハウジングの外部から前記回転軸内または
回転軸の中心軸油路に給油高圧油を供給する際に、その
給油高圧油を前記ハウジング内周面と前記シールリング
外周面との隙間に導き、前記シールリングを内周面側に
押圧変形させることにより、シールリング内周面と前記
回転軸外周面との隙間を減少させている。
【0009】上記の構成を有する本発明にかかる回転軸
用環状給油装置によれば、前記ハウジングの外部から給
油高圧油がハウジングの給油孔およびシールリングの環
状給油溝を通って回転軸の内側または回転軸の中心軸油
路内へ供給される。そして通常はそこからさらに回転軸
の軸受へ供給され、軸受を潤滑することになる。また給
油高圧油の一部はシールリングの内周面と回転軸の外周
面との間に浸入し、潤滑するが、浸入する高圧油の圧力
が一般的に100kgf/cm2 前後と非常に高いために、上
記した従来の構造では、その隙間が徐々に増大し、多量
の油が漏れ出すおそれがある。しかし、本発明の給油装
置では、シールリングが環状空間内に全方向の動きを許
容して、いわゆるフローティング状態で介設されてお
り、ハウジングの内周面とシールリングの外周面との間
に適当な隙間があるため、シールリングの給油孔の入口
部付近から高圧油がハウジングの内周面とシールリング
の外周面との間に浸入し、シールリングを半径方向内方
に押圧するから、シールリングが内方に撓み、シールリ
ングの内周面と回転軸の外周面との隙間を狭め、この結
果、その隙間からの漏油が従来の装置に比べて大幅に減
少する。
【0010】請求項2記載のように、f)前記シールリン
グの内周面側に軸受メタルを固設することが好ましい。
この構成により、シールリングが回転軸の外周面に対し
軸受メタルを介して相対回動自在に配装されるととも
に、シールリングの内周面と回転軸の外周面との間に浸
入する高圧油によって軸受メタルが潤滑され、隙間が狭
まるにもかかわらず、焼付き等が防止される。
【0011】請求項3記載のように、g)前記ハウジング
の両端に環状の軸受部材を配設して前記ハウジングを軸
受部材間に支持し、各軸受部材の内周面の外端部と前記
回転軸内周面との間にシール部材を取り付け、h)前記シ
ールリングの内周面両端から前記ハウジングに接続され
る漏油配管に連通する漏油通路を、前記ハウジングある
いは同ハウジングおよび前記軸受部材に設けることがで
きる。
【0012】請求項3記載の装置によれば、回転軸の外
周面とシールリングの内周面とを潤滑した油は、軸受部
材の内周面と回転軸の外周面間に浸入して潤滑するが、
軸受部材のシール部材によって漏れ出しが防止される。
回転軸とシールリングとの間から漏れ出した油は、ハウ
ジングあるいはハウジングと軸受部材に設けた漏油通路
を経由し、ハウジングに接続された漏油配管から排出さ
れる。
【0013】請求項4記載のように、i)前記回転軸を内
軸とこの内軸の周囲に同心円状に設けた外軸とから構成
し、内軸と外軸との間の環状空間に圧油導入筒を配設し
てこの圧油導入筒の外側に給油通路を、前記圧油導入筒
の内側に排油通路をそれぞれ形成し、j)前記ハウジング
および前記シールリングを一連に貫通しハウジング外部
と前記給油通路に連通する給油孔を設けるとともに、前
記ハウジング、前記シールリングおよび前記圧油導入筒
を一連に貫通して前記ハウジング外部と前記排油通路を
連通する排油孔を並設することができる。
【0014】請求項4記載の装置によれば、ハウジング
の外部から給油高圧油がハウジングの給油孔およびシー
ルリング給油孔ならびに外軸の給油孔を経て外軸内の圧
油導入筒の外側の給油通路内に供給される。そして、給
油高圧油は外側給油通路内を通って内軸用の軸受等へ供
給され、軸受等を潤滑する。それから、圧油導入筒の内
側の排油通路内を通って元の位置まで戻り、圧油導入筒
の排油孔、外軸の排油孔、シールリングの排油孔および
ハウジングの排油孔を順に通ってハウジングの外部へ排
出される。また、ハウジングの給油孔からシールリング
の給油孔に流れ込む給油高圧油の一部は、ハウジングの
内周面とシールリングの外周面との間に浸入し、シール
リングを半径方向内方に押圧し、シールリングを半径方
向内方に撓ませることにより、シールリングの内周面と
外軸の外周面との隙間が狭められる。この結果、シール
リングの内周面側の隙間からの漏油が従来の装置に比べ
て大幅に減少する。ここで、給油側の部分のシールリン
グは隙間が狭まるものの、高圧油で回転軸外周面とシー
ルリングの内周面が潤滑され、焼付き等が防止される。
一方、排油側の部分はその隙間を潤滑する排油圧力は小
さいが、ハウジングの内周面とシールリングの外周面の
間には、給油高圧油が作用していないので、隙間が狭ま
ることがないから、焼付き等が防止される。
【0015】請求項5記載のように、k)前記回転軸を二
重反転プロペラの外側プロペラ軸とこの外側プロペラ軸
の内側に同心円状に設けた内側プロペラ軸とから構成
し、外側プロペラ軸の内周に設けた内側プロペラ軸を支
持する軸受に潤滑油を供給したのち、その排油を外側プ
ロペラ軸の内周と内側プロペラ軸との間の環状空間を通
して反転減速機より回収するように構成することができ
る。
【0016】請求項5記載の装置によれば、排油は回転
する外側プロペラ軸および内側プロペラ軸の遠心力によ
り外周側へ吹き飛ばされるために、効率的に排油孔等か
ら排出され、反転減速機内に回収することができる。さ
らに、その排油は反転減速機内を経由させたのちに船内
のタンク等に回収することができるので、内部の歯車や
軸受を効果的に潤滑および冷却することができる。この
ため、潤滑油ポンプを別途設ける必要がなく、少スペー
ス化、低コスト化、エネルギー低減化が可能になる。ま
た、船体A(図4参照)と反転減速機の間のスペースに
新たに排油装置を設ける必要がないから、船内における
少スペース化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる回転軸用
環状給油装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1は二重反転プロペラ装置に適用した内
軸給油方式の実施例を示す要部縦断面図、図2は図1の
II−II線断面図、図3は図1の一部を拡大した縦断面
図、図4は本発明の実施例にかかる回転軸用環状給油装
置を備えた二重反転プロペラ装置の全体概要図である。
【0019】図4に示すように、後部プロペラ3を後端
部に備えた内側プロペラ軸(内軸、内側回転軸ともい
う)2の前端側が、給油軸(回転軸ともいう)5を介し
て主機関4の駆動軸4aの後端に連結されている。内側
プロペラ軸2の前部から後部にかけてその周囲に、円筒
状の外側プロペラ軸(外軸、外側回転軸ともいう)6が
同心円状に回動自在に配装されている。外側プロペラ軸
6の後端部には、前部プロペラ7が一体回転可能に設け
られ、船体(詳しくは、プロペラ軸の突出口部)Aに対
して軸受12を介して回動自在に支承されている。外側
プロペラ軸6の内周面側において内側プロペラ軸2の外
周面との環状空間D内の軸方向の前部と後部とに、軸受
8・9がそれぞれ介設されている。また、外側プロペラ
軸6の前端部と内側プロペラ軸2との間に反転減速機1
0が介設され、外側プロペラ軸6が内側プロペラ軸2の
回転方向と逆向きに減速されて回転する。内側プロペラ
軸2の前端に一体回転可能に連結された給油軸5の前部
は、船体A内に支持された中間軸受11によって回動自
在に支承されている。このようにして、二重反転プロペ
ラ装置1が構成される。環状空間Dは反転減速機10の
内部に連通されており、環状空間Dから反転減速機10
内に流れ込んだ排油を排出するため、反転減速機10に
排油配管19の一端が接続されている。つまり、外側プ
ロペラ軸6の前端部に反転減速機10の歯車100が配
設され、外側プロペラ軸6の歯車100近傍に排油孔1
01が半径方向に穿設されている。排油は環状空間Dか
ら反転減速機10内に流れ込むが、外側プロペラ軸6お
よび内側プロペラ軸2の遠心力により、外周側に押し出
され、排油孔101から排出される。この排油孔101
の周囲は環状ケース102で覆われており、排油は歯車
100の外周とケース102との空間部に溜められ、排
油配管19により船内のタンク(図示せず)に回収され
る。
【0020】本例の環状給油装置20により、内側プロ
ペラ軸2と外側プロペラ軸6間の軸受8・9に潤滑油が
供給されるが、装置20の構造とともに軸受8・9への
給油機構を説明する。給油軸5の長手方向の中間位置か
ら内側プロペラ軸2の後部にかけて、その中心軸に沿っ
て一連に連通する中心油路(中心軸油路ともいう)13
・14が穿設されている。中心油路14の軸受8・9に
対応する位置に、複数の給油孔15・16がそれぞれ放
射状に穿設されている。そして、各給油孔15・16の
先端は、軸受8・9に面して開口されている。また中心
油路13の前端から半径方向に給油孔17が穿設され、
給油軸5の外周面に給油孔17の先端17aが開口して
いる。
【0021】図1・図2に示すように、環状給油装置2
0は、給油軸5の外周面において給油孔17の先端開口
17aを取り囲むように回動自在に配装されている。装
置20は円環状のハウジング21を備え、このハウジン
グ21には、図2のように外周面の一部に、外方に向け
開口する枠体21aが一体に形成されている。船体A内
から支持杆22が延設され、この支持杆22の先端膨出
部22aが枠体21a内に挿入され、ハウジング21の
半径方向および円周方向の動きを許容するように連結さ
れている。また、ハウジング21の内径は給油軸5の外
径よりやや大きく、ハウジング21の内周面と給油軸5
の外周面の間に環状空間Bが形成される。ハウジング2
1の両端には、内周面の内端部に軸受メタル23aを一
体に備えた円環状の軸受部材23がそれぞれ配置され、
軸受部材23の内端段部23b上にハウジング21の内
周面外端部21bが嵌合されている。軸受部材23の内
端段部23bとハウジング21の外端部21bの間に
は、Oリング27が介設されている。
【0022】さらに、各軸受部材23の外側に円環状の
押え部材24がそれぞれ配置され、軸受部材23および
押え部材24を一連に貫通するボルト25により、ハウ
ジング21に固定されている。軸受部材23の内周面の
外端部に環状溝23cが形成され、この環状溝23c内
に環状のオイルシール26が配装され、オイルシール2
6は押え部材24により保持されている。押え部材24
の内周面中央部には環状室24aが形成され、この環状
室24aに連通するドレン孔24bが穿設され、ドレン
孔24bの先端開口にドレン配管29がそれぞれ接続さ
れている。
【0023】環状空間B内には、厚み(半径方向)に比
べて長さ(軸方向)を長くしたシールリング30が全方
向(円周方向、半径方向および軸方向)にわずかな範囲
内で動きを許容するように、フローティング状態で介設
されている。つまり、シールリング30の厚みは、環状
空間Bの半径方向寸法よりわずかに薄く、図2のように
シールリング30の外周面に凹所30aを形成し、ハウ
ジング21の外周面から内周面に向け貫通して設けたネ
ジ孔21cにボルト31を螺合し、ボルト31の先端部
を凹所30a内に遊嵌している。シールリング30の内
周面には、軸受メタル(ホワイトメタル)32が固設さ
れている。またシールリング30の外周面の両端部に
は、環状溝30bが形成され、各環状溝30b内にOリ
ング33が装着され、ハウジング21の内周面との間隙
から潤滑油が漏れ出すのを阻止している。なお、限定す
るものではないが、シールリング30は本例ではスチー
ル(鋼材)で形成している。
【0024】ハウジング21の軸方向の中間位置に、半
径方向に貫通する給油孔34が穿設され、給油孔34の
外端開口34aにゴムホースなどの可撓性給油配管35
の一端が接続されている。一方、給油孔34の内端開口
34bに対応するシールリング30の位置および円周方
向に90°ずつ回転した位置に、半径方向に貫通する給
油孔36が穿設され、これらの給油孔36の内外両側の
開口位置に、環状給油溝37、38がそれぞれ形成され
ている。なお、環状給油溝37に対応してハウジング2
1の給油孔34の内端開口34bが、拡大されている。
【0025】図1・図2に示すように、ハウジング21
には給油孔34とほぼ反対側に漏油孔41が穿設されて
いる。そして、漏油孔41の外端開口41aにゴムホー
スなどの可撓性漏油配管42の一端が接続されている。
また、ハウジング21の軸方向に貫通する漏油通路43
が穿設され、この漏油通路43は漏油孔41を横切って
設けられている。また漏油通路43の両端部付近に、シ
ールリング30の両側の環状空間Bに連通する漏油孔4
4がそれぞれ穿設されている。さらに、各軸受部材23
にも、オイルシール26と軸受メタル23aの間の環状
空間Cからハウジング21の漏油通路43の両端開口4
3aに至る漏油通路45がそれぞれ穿設されている。
【0026】次に、上記のようにして構成された本例に
かかる環状給油装置20について、給油態様を図面に基
づいて説明する。
【0027】図4において、給油配管35から100kg
f/cm2 前後の高圧油がハウジング21の給油孔34−シ
ールリング30の環状給油溝37−給油孔36−環状給
油溝38−給油軸5の給油孔17−中心油路13−内側
プロペラ軸2の中心油路14−給油孔15・16を経由
して軸受8・9へ供給される。そして、軸受8・9を潤
滑した油は、環状空間D内をとおって反転減速機10内
に流れ込んだのち、反転減速機10内から排油配管19
によって排出される。
【0028】一方、ハウジング21の給油孔34からシ
ールリング30の環状給油溝37に流れ込んだ高圧油の
大部分は、給油孔36および給油軸5の給油孔17へ流
れるが、その一部が図3に示すようにシールリング30
の軸受メタル32と給油軸5の外周面との間(初期間隙
C2;図3)に浸入し、潤滑する。ところで、浸入する
油の圧力が100kgf/cm2 前後と非常に高いために、上
記した従来の構造では、軸受メタル32と給油軸5の外
周面との初期間隙C2(図3)および軸受メタル23a
と給油軸5の外周面との間隙C2(図3)が徐々に増大
し、多量の油が漏れ出すおそれがあるが、本例の給油装
置20では、以下のようにして必要以上に油が漏れ出す
のが防止される。すなわち、シールリング30は環状空
間B内にフローティング状態で配置されているため、給
油孔36の入口側の環状給油溝37から高圧油がハウジ
ング21の内周面とシールリング30の外周面との間に
浸入し、シールリング30を半径方向内方に押圧するか
ら、シールリング30が内方に撓み、軸受メタル32と
給油軸5の外周面との初期間隙C2を間隙C3まで狭め
る。この結果、間隙C3からの漏油が従来の装置に比べ
て大幅に減少する。
【0029】なお、ハウジング21の内周面とシールリ
ング30の外周面との間に浸入した高圧油は、Oリング
33により漏れ出しが阻止される。一方、給油軸5と軸
受メタル32との間から漏れ出した油は、軸受部材23
の軸受メタル23aと給油軸5の外周面間に浸入して潤
滑する。またこれらの漏油は、漏油孔44−漏油通路4
3あるいは漏油通路45−漏油通路43を経由し、漏油
孔41−漏油配管42の順に排出される。さらに、軸受
部材23の外端のオイルシール26で阻止されずに漏れ
出した油は、押え部材24の環状室24a内に浸入し、
この環状室24aに連通するドレン孔24bおよびドレ
ン配管29を通って排出される。
【0030】図5は二重反転プロペラ装置に適用した外
軸給油方式の実施例を示す要部縦断面図である。
【0031】本例の環状給油装置50は、図4の外側プ
ロペラ軸6の外側から内側プロペラ軸2との間の環状空
間C内に高圧油を供給し、軸受(図示せず)を潤滑させ
たのち、再び環状空間C内を通して排出するようにした
装置である。この装置50は、図5に示すように、環状
空間C内を半径方向の外側環状室52と内側環状室53
とに仕切るために、圧油導入筒51が外側プロペラ軸6
と一体回転可能に配装されている。圧油導入筒51の外
周面の軸方向の中間位置に、リング体54が一体に突設
され、リング体54の外周面両端部にOリング55が装
着されている。ハウジング21は上記実施例に比べて軸
方向長さを長く形成し、またハウジング21の長さに対
応してシールリング30も軸方向の長さを長く形成して
いる。
【0032】ハウジング21において、給油孔34と間
隔をあけて排油孔56が半径方向に貫通して穿設され、
排油孔56の外端開口56aにゴムホースなどの可撓性
排油配管57の一端が接続されている。シールリング3
0には、給油孔36のほかに排油孔56に連通する排油
孔58が半径方向に貫通して穿設されている。また、排
油孔58に連通する排油孔59が外側プロペラ軸6に、
排油孔59に連通する排油孔60がリング体54にそれ
ぞれ半径方向に貫通して穿設されている。リング体54
の排油孔60と異なる位置には、軸方向に貫通する複数
の給油通路61が円周方向に間隔をあけて穿設されてい
る。シールリング30の排油孔58の入口部分と出口部
分には、環状排油溝62・63が形成されている。さら
に、外側プロペラ軸6には、シールリング30の給油孔
36に連通する給油孔64が半径方向に貫通して穿設さ
れ、給油孔64の内端開口64aが環状空間Cに臨んで
いる。そのほかの構成は、上記実施例の装置20と共通
するので、共通する構成部材は同一の符号を用いて図5
に示し、説明を省略する。
【0033】本例の給油装置50における給油および排
油の態様について説明すると、図5において、給油配管
35から100kgf/cm 前後の高圧油がハウジ
ング21の給油孔34−シールリング30の環状給油溝
37−給油孔36−環状給油溝38−外側プロペラ軸6
の給油孔64を経て外側環状室52内に供給される。そ
して、高圧油は外側環状室52内を通って船首側の内側
プロペラ軸2用軸受(図示せず)へ、リング体54の給
油通路61を通って船尾側の内側プロペラ軸2用軸受
(図示せず)へそれぞれ供給され、潤滑する。それか
ら、内側環状室53内を通って戻り、リング体54の排
油孔60−外側プロペラ軸6の排油孔59−シールリン
グ30の排油孔58−ハウジング21の排油孔56を経
て排油配管57から排出される。また、ハウジング21
の給油孔34からシールリング30の環状給油溝37に
流れ込んだ高圧油は、ハウジング21の内周面とシール
リング30の外周面との間に浸入し、シールリング30
を半径方向内方に押圧し、シールリング30が内方に撓
むことにより、軸受メタル32と外側プロペラ軸6の外
周面との隙間を狭める。この結果、軸受メタル32の隙
間からの漏油が従来の装置に比べて大幅に減少する。こ
こで、給油側の部分のシールリング30は隙間が狭まる
ものの、高圧油で外側プロペラ軸6の外周面とシールリ
ング30の内周面が潤滑され、焼付き等が防止される。
一方、排油側の部分はその隙間を潤滑する排油圧力は小
さいが、ハウジング21の内周面とシールリング30の
外周面の間には、給油高圧油が作用していないので、隙
間が狭まることがないから、焼付き等が防止される。
【0034】本例の給油装置50は、別の見方をすれ
ば、上記実施例の装置20におけるハウジング21とシ
ールリング30とをそれぞれ2つずつ一体に並設した構
造からなる。このように組み合わせることにより、内軸
給油方式だけでなく、外軸給油方式にも適用できる。
【0035】上記に本発明の環状給油装置の2つの実施
例を示したが、下記のように実施することもできる。
【0036】(a) 例えば、図3においてシールリング3
0の外周面に軸受メタル32を設け、内周面側にOリン
グ33を装着し、シールリング30と給油軸5との間に
高圧油を導入してシールリング30を半径方向外方に撓
ませ、ハウジング21内周面と軸受メタル32との隙間
を狭めて漏油を減少させる。
【0037】(b) 二重反転プロペラ装置におけるプロペ
ラ軸の軸受への給油に限らず、例えば回転する軸の内部
あるいはその中心油路内へ軸の途中から高圧油を供給す
る装置に適用できる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
この発明にかかる回転軸用環状給油装置には、次のよう
な優れた効果がある。
【0039】(1) 回転軸の軸方向の途中から高圧油を給
油する際に、シールリングが環状空間内に全方向の動き
を許容してフローティング状態で介設されているため、
シールリングの給油孔の入口部付近から高圧油がハウジ
ングの内周面とシールリングの外周面との間に浸入し、
シールリングを半径方向内方に押圧するから、シールリ
ングが内方に撓み、シールリングの内周面と回転軸の外
周面との隙間を狭め、その隙間からの漏油が従来の装置
に比べて大幅に減少するので、効率よく給油できる。
【0040】(2) 請求項2に記載の装置では、シールリ
ングが回転軸の外周面に対し軸受メタルを介して相対回
動自在に配装されるとともに、シールリングの内周面と
回転軸の外周面との間に浸入する高圧油によって軸受メ
タルが潤滑されるから、シールリングと回転軸との回転
抵抗がほとんどなく、シールリングの回転面における焼
付き等が防止される。
【0041】(3) 請求項3に記載の装置では、シールリ
ングの内周面と回転軸の外周面より漏油する高圧油が回
転軸の外周面とシールリングの内周面との間を潤滑する
とともに、軸受部材の内周面と回転軸の外周面間にも浸
入して潤滑するので、シールリングおよび軸受部材と回
転軸間の回転抵抗が極めて少なく、摩耗しにくく、また
その漏油は、漏油通路を経由してハウジングに接続され
た漏油配管から排出される。
【0042】(4) 請求項4に記載の装置は、請求項のハ
ウジングとシールリングとをそれぞれ2つずつ一体に並
設した構造からなり、内軸給油方式だけでなく、外軸給
油方式にも適用でき、請求項1と同様に、シールリング
の内周面側の隙間からの漏油を従来の装置に比べて大幅
に減少させ、軸受等への給油を効率よく行い得る。
【0043】(5) 請求項5に記載の装置では、排油は回
転する外側プロペラ軸および内側プロペラ軸の遠心力に
より外周側へ吹き飛ばされるために、効率的に排油孔等
から排出され、反転減速機内に回収でき、さらにその排
油を反転減速機内を経由させたのちに船内のタンク等に
回収することができるので、内部の歯車や軸受を効果的
に潤滑および冷却することができる。したがって、潤滑
油ポンプを別途設ける必要がなく、少スペース化、低コ
スト化、エネルギー低減化が可能になるとともに、船内
における少スペース化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる回転軸用環状給油装置を二重反
転プロペラ装置に適用した内軸給油方式の実施例を示す
要部縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の一部を拡大した縦断面図である。
【図4】本発明の実施例にかかる回転軸用環状給油装置
を備えた二重反転プロペラ装置の全体概要図である。
【図5】本発明にかかる回転軸用環状給油装置を二重反
転プロペラ装置に適用した外軸給油方式の実施例を示す
要部縦断面図である。
【符号の説明】
2 内側プロペラ軸(内軸、回転軸) 5 給油軸(回転軸) 6 外側プロペラ軸(外軸、回転軸) 8・9 軸受 13・14 中心油路(中心軸油路) 15・16・17・34・36 給油孔 20 環状給油装置 21 ハウジング 23 軸受部材 23a・32 軸受メタル 30 シールリング 33 Oリング 37・38 環状給油溝
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16N 21/00 F16N 9/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸の軸方向の途中から同回転軸内ま
    たは同回転軸の中心軸油路に給油するための回転軸用環
    状給油装置において、 前記回転軸の周囲に、環状のハウジングを半径方向、軸
    方向および円周方向の動きを許容して設け、 前記ハウジング内周側の前記回転軸との環状空間内に、
    半径方向の厚みに比べて軸方向の長さを長くしたシール
    リングを全方向の動きを許容して介設するとともに、
    記ハウジング内周面との間隙内においてそのシールリン
    グの外周面の両端部にOリングを取り付け、 前記ハウジングおよび前記シールリングを一連に貫通す
    る給油孔を設け、 前記ハウジングの外部から前記回転軸内または回転軸の
    中心軸油路に給油高圧油を供給する際に、その給油高圧
    油を前記ハウジング内周面と前記シールリング外周面と
    の隙間に導き、前記シールリングを内周面側に押圧変形
    させることにより、シールリング内周面と前記回転軸外
    周面との隙間を減少させることを特徴とする回転軸用環
    状給油装置。
  2. 【請求項2】 前記シールリングの内周面側に軸受メタ
    ルを固設した請求項1記載の回転軸用環状給油装置。
  3. 【請求項3】 前記ハウジングの両端に環状の軸受部材
    を配設して前記ハウジングを軸受部材間に支持し、各軸
    受部材の内周面の外端部と前記回転軸内周面との間にシ
    ール部材を取り付け、 前記シールリングの内周面両端から前記ハウジングに接
    続される漏油配管に連通する漏油通路を、前記ハウジン
    グあるいは同ハウジングおよび前記軸受部材に設けた請
    求項1または2記載の回転軸用環状給油装置。
  4. 【請求項4】 前記回転軸を内軸とこの内軸の周囲に同
    心円状に設けた外軸とから構成し、内軸と外軸との間の
    環状空間に圧油導入筒を配設してこの圧油導入筒の外側
    に給油通路を、前記圧油導入筒の内側に排油通路をそれ
    ぞれ形成し、 前記ハウジングおよび前記シールリングを一連に貫通し
    ハウジング外部と前記給油通路に連通する給油孔を設け
    るとともに、前記ハウジング、前記シールリングおよび
    前記圧油導入筒を一連に貫通して前記ハウジング外部と
    前記排油通路を連通する排油孔を並設した請求項1〜3
    のいずれかに記載の回転軸用環状給油装置。
  5. 【請求項5】 前記回転軸を二重反転プロペラの外側プ
    ロペラ軸とこの外側プロペラ軸の内側に同心円状に設け
    た内側プロペラ軸とから構成し、外側プロペラ軸の内周
    に設けた内側プロペラ軸を支持する軸受に潤滑油を供給
    したのち、その排油を外側プロペラ軸の内周と内側プロ
    ペラ軸との間の環状空間を通して反転減速機より回収す
    るように構成した請求項1〜3のいずれかに記載の回転
    軸用環状給油装置。
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