JP2948988B2 - 電解メッキ方法 - Google Patents

電解メッキ方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解メッキ方法に関し、
より詳細にはセラミック体の凹部内表面に被着させたメ
タライズ金属層の外表面にメッキ金属層を電解メッキに
より層着させる方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子、特に半導体集積回路
素子を収容するための半導体素子収納用パッケージは図
3に示すようにアルミナセラミックス等の電気絶縁材料
から成り、その上面略中央部に半導体素子を収容するた
めのキャビティA及び該キャビティA周辺より側面を介
し底面にかけて導出されたタングステン、モリブデン、
マンガン等の高融点金属粉末から成る複数個のメタライ
ズ金属層12を有するセラミック製絶縁基体11と蓋体13と
から構成されており、絶縁基体11のキャビティA底面に
半導体素子14をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介し
て固定するとともに該半導体素子14の各電極をメタライ
ズ金属層12にボンディングワイヤ15を介して電気的に接
続し、しかる後、絶縁基体11の上面に蓋体13をガラス、
樹脂、ロウ材等の封止材を介して接合させ、絶縁基体11
と蓋体13とから成る容器内部に半導体素子14を気密に収
容することによって製品としての半導体装置となる。
【0003】尚、前記半導体素子収納用パッケージはメ
タライズ金属層12を外部電気回路基板にロウ付けする
際、そのロウ付け強度を上げるために、またメタライズ
金属層12が酸化腐食するのを有効に防止するために、通
常、前記メタライズ金属層12の露出表面にはニッケル及
び金から成るメッキ金属層16、17が電解メッキ方法によ
り順次層着されている。
【0004】かかる従来の半導体素子収納用パッケージ
はその絶縁基体11が一般に、以下に述べる方法によって
製作される。
【0005】即ち、図4 に示すように、まず3 枚の広面
積の未焼成セラミックシート( セラミックグリーンシー
ト)21 、22、23を準備し、シート22、23の表面及びシー
ト22、23に設けた貫通孔24の内表面全面に金属ペースト
25を印刷塗布する。
【0006】次にこれらシート21、22、23を積層し、生
セラミック体26を得るとともに高温で焼成し、焼成セラ
ミック体26' 及びメタライズ金属層12を形成する。
【0007】そして次に、前記焼成セラミック体26' を
メッキ液中に浸漬するとともにメタライズ金属層12に電
界を印加し、メタライズ金属層12の露出表面に電解メッ
キによりニッケル及び金のメッキ金属層を順次層着さ
せ、最後に貫通孔24の配列による区分線Bに沿って焼成
セラミック体26' を切断分離し、これによって多数個の
絶縁基体11が一度に製作される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の方法によれば焼成セラミック体26' に設けたメタラ
イズ金属層12の外表面に電解メッキ方法によりニッケル
メッキ金属層16及び金メッキ金属層17を層着させる場
合、貫通孔24の内表面にあるメタライズ金属層12には該
貫通孔24の一方が塞がれ凹部状となっており、貫通孔24
内におけるメッキ液の循環が極めて悪いことから、メッ
キ金属層16、17を完全に層着させることができず、メタ
ライズ金属層16、17の各々が露出した状態となってしま
う。そのためこの露出部に大気中に含まれる水分が付着
すると該水分がニッケルメッキ金属層16及び金メッキ金
属層17に接触して電解質として働き、ニッケルメッキ金
属層16と金メッキ金属層17との間に両金属のエネルギー
準位の相違から電流が流れる電池作用を生じてエネルギ
ー準位が低いニッケルメッキ金属層16を徐々に溶出さ
せ、隣接するメタライズ金属層12間を短絡させてしまう
という欠点を有していた。
【0009】また同時に、ニッケルメッキ金属層16の一
部に水分が付着するとニッケルメッキ金属層16に酸素濃
度の相違によるすきま腐食作用を発生し、ニッケルメッ
キ金属層16に酸化物( 錆) を形成して変色させることが
ある。またこの酸化物は導電性で、且つ拡散し易いとい
う性質を有していることから、該酸化物の拡散により隣
接するメタライズ金属層12間が短絡し、その結果、半導
体装置としての機能に支障を来すという重大な欠点を誘
発する。
【0010】
【発明の目的】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的はセラミック体の凹部内表面に被着させた
メタライズ金属層に、該メタライズ金属層の表面を完全
に覆う如くメッキ金属層を層着させ、メッキ金属層に電
池作用やすきま腐食作用が発生するのを皆無としてメッ
キ金属層に変色や溶出が生じるのを有効に防止すること
ができる電解メッキ方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電解メッキ方法
は外側に向かって開口径が大きくなり、内表面にメタラ
イズ金属層が被着された凹部を有するセラミック体を準
備し、次に前記セラミック体をメッキ液中に浸漬させ、
しかる後、前記メタライズ金属層に電界を印加し、メタ
ライズ金属層の外表面にメッキ金属層を層着させること
を特徴とするものである。
【0012】
【実施例】次に本発明の電解メッキ方法を図1 及び図2
に示す半導体素子収納用パッケージの製造法に適用した
場合を例に採って説明する。
【0013】まず図1(a)(b) に示す如く、第1 、第2 及
び第3 の3 枚の未焼成セラミックシート( セラミックグ
リーンシート)1a 、1b、1cから構成される生セラミック
体1を準備する。
【0014】前記各未焼成セラミックシート1a、1b、1c
はアルミナ(Al 2 O 3 ) 、シリカ(SiO2 ) 、マグネシア
(MgO) 、カルシア(CaO) 等のセラミック原料粉末に適当
な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、これを
従来周知のドクターブレード法等によりシート状と成す
ことによって形成される。
【0015】また前記未焼成セラミックシート1b、1cに
は該各シート1b、1cを複数の区画に区分する如く多数の
貫通孔2b、2cが配列形成されており、該貫通孔2b、2cは
広面積の未焼成セラミックシート1b、1cを所望するセラ
ミック絶縁基体に対応した形状の複数の区画に区分する
とともに後述するメタライズリード用の金属層を引き回
す通路として使用される。
【0016】尚、前記貫通孔2b、2cは従来周知の打ち抜
き加工法によって未焼成セラミックシート1b、1cに形成
され、未焼成セラミックシート1cに形成される貫通孔2c
は未焼成セラミックシート1bに形成される貫通孔2bより
も開口径が若干大きなものとなっている。
【0017】また前記第1 及び第2 の未焼成セラミック
シート1a、1bには貫通孔2b、2cの配列による区分線Cに
よって囲まれた各領域の略中央部に半導体素子を収容す
るためのキャビティを形成する空所を有しており、該空
所も従来周知の打ち抜き加工法によって形成される。
【0018】前記第2の未焼成セラミックシート1bには
その上面から貫通孔2bの内表面にかけてメタライズリー
ド用金属層4aが印刷塗布されており、また第3 の未焼成
セラミックシート1cにはその上面の略中央部に半導体素
子を取着するためのダイアタッチ用金属層5 が、貫通孔
2cの内表面から下面にかけてメタライズリード用金属層
4bがそれぞれ印刷塗布されている。
【0019】前記メタライズリード用金属層4a、4b及び
ダイアタッチ用金属層5 はタングステン(W) 、モリブデ
ン(Mo)、マンガン(Mn)等の高融点金属粉末に適当な有機
溶剤、溶媒を添加混合し、ペースト状となした金属ペー
ストを従来周知のスクリーン印刷法を採用することによ
って未焼成セラミックシート1b、1cのそれぞれに印刷塗
布される。
【0020】前記3 枚の未焼成セラミックシート1a、1
b、1cは各貫通孔2b、2cの中心位置を正確に合わせて順
次積層され、約150 ℃に加熱したホットプレス機によっ
て熱圧着させて生セラミック体1 が作成される。
【0021】次に前記生セラミック体1 を還元雰囲気中
(H2 -N2 ガス中) 、約1400〜1600℃の温度で焼成し、生
セラミック体1 とメタライズリード用金属層4a、4b及び
ダイアタッチ用金属層5 とを焼結一体化させ、図1(c)に
示す如く、一方が塞がれている貫通孔( 凹部)2' の内表
面を介して外部に導出されるメタライズ金属層4'とダイ
アタッチ金属層5'とを有する焼成セラミック体1'を得
る。
【0022】尚、前記焼成セラミック体1'は未焼成セラ
ミックシート1cに設けた貫通孔2cの開口径が未焼成セラ
ミックシート1bに設けた貫通孔2bの開口径より若干大き
なものとなっているため凹部2'の開口径は外側( 下面)
に向かって大きなものとなっている。
【0023】そして次に、図1(c)に示す如く、メタライ
ズ金属層4'及びダイアタッチ金属層5'の外表面にニッケ
ル(Ni)及び金(Au)から成るメッキ金属層6 、7 を順次層
着させる。このメッキ金属層6 、7 はメタライズ金属層
4'及びダイアタッチ金属層5'が酸化腐食するのを防止す
る作用を為すとともにメタライズ金属層4'と外部電気回
路基板とをロウ付けする際、あるいはダイアタッチ金属
層5'と半導体素子をロウ付けする際、メタライズ金属層
4'及びダイアタッチ金属層5'とロウ材との濡れ性を改善
して接合強度を上げる作用を為す。
【0024】前記焼成セラミック体1'に設けたメタライ
ズ金属層4'及びダイアタッチ金属層5'へのメッキ金属層
6 、7 の層着は図2 に示すようにメッキ液( ニッケルメ
ッキ液あるいは金メッキ液)8中に焼成セラミック体1'を
浸漬するとともにメタライズ金属層4'及びダイアタッチ
金属層5'に電界を印加することによって行われる。尚、
この場合、焼成セラミック体1'に形成された凹部2'の開
口径は外側( 下面) に向かって大きくなっていることか
ら凹部2'におけるメッキ液8 の循環が良くなり、その結
果、セラミック体1'の凹部2'内表面に被着されているメ
タライズ金属層4'の表面にメッキ金属層6 、7 を均一厚
みで、且つメタライズ金属層4'を完全に覆う如く層着す
ることが可能となる。
【0025】また前記メッキ液8 は、例えばニッケルメ
ッキ液の場合、液8 の組成が硫酸ニッケル180 〜300 グ
ラム/ リットル、塩化ニッケル30〜60グラム/ リット
ル、ホウ素20〜60グラム/ リットルから成り、液中に焼
成セラミック体1'を浸漬し、メタライズ金属層4'及びダ
イアタッチ金属層5'に電流密度が2 〜4A/dm 2 となるよ
うな電界を約3 分間印加することによってメタライズ金
属層4'及びダイアタッチ金属層5'の表面にニッケルメッ
キ層6 が層着される。
【0026】そして最後に、前記焼成セラミック体1'を
図1(c)に示す貫通孔の配列による区分線Cに沿って切断
し、個々のセラミック絶縁基体に分離することによって
製品としての半導体素子収納用パッケージが完成する。
【0027】尚、本発明は上述の実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種
々の変更は可能である。
【0028】
【発明の効果】本発明の電解メッキ方法によればセラミ
ック体に設けた凹部の開口径を外側に向かって大きくし
たことから凹部内表面に被着させたメタライズ金属層に
電解メッキ方法によりメッキ金属層を層着させる際、凹
部内へのメッキ液の循環が良好となってメタライズ金属
層の表面にメッキ金属層を該メタライズ金属層を完全に
覆う如く層着させることが可能となり、その結果、メッ
キ金属層に電池作用や隙間腐食作用に起因する変色や溶
出の発生を皆無となすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)(c)は本発明の電解メッキ方法
を用いて半導体素子収納用パッケージを製造する方法の
一実施例を示し、(a)は半導体素子収納用パッケージ
の焼成前の状態を示す部分分解斜視図、(b)は(a)
の積層した状態を示す部分断面図、(c)は(b)を焼
成した後の状態を示す部分断面図である。
【図2】図1(c)に示すセラミック体に設けたメタラ
イズ金属層及びダイアタッチ金属層の表面にメッキ金属
層を層着させるためのメッキ装置の概略図である。
【図3】従来の半導体素子収納用パッケージの断面図で
ある。
【図4】図3に示す半導体素子収納用パッケージの製造
方法を説明するための部分断面図である。
【符号の説明】
1’・・・セラミック体 2’・・・凹部 4’・・・メタライズ金属層 5’・・・ダイアタッチ金属層 6・・・・ニッケルメッキ金属層 7・・・・金メッキ金属層 8・・・・メッキ液

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外側に向かって開口径が大きくなり、内表
    面にメタライズ金属層が被着された凹部を有するセラミ
    ック体を準備し、 次に前記セラミック体をメッキ液中に浸漬させ、 しかる後、前記メタライズ金属層に電界を印加し、メタ
    ライズ金属層の外表面にメッキ金属層を層着させること
    を特徴とする電解メッキ方法。
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JP2556966B2 (ja) * 1986-04-30 1996-11-27 東芝セラミツクス株式会社 単結晶の育成装置
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