JP3145614B2 - セラミック配線基板 - Google Patents

セラミック配線基板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子が収容搭
載される半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基
板等に用いられるセラミック配線基板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子収納用パッケージや混
成集積回路基板等に採用されているセラミック配線基板
は、一般に酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料
から成る絶縁基体の表面にタングステン等の高融点金属
粉末から成る複数個のメタライズ配線層を被着形成して
構成されており、その表面に半導体素子を搭載するとと
もに該半導体素子の各電極と前記メタライズ配線層の各
々とをオートボンダーを使用してワイヤー接続し、しか
る後、前記半導体素子を蓋体やモールド樹脂により気密
に封止することによって半導体装置や混成集積回路装置
となる。
【0003】尚、前記セラミック配線基板は、従来周知
のセラミックグリーンシート積層法を採用することによ
って製作されており、具体的にはセラミック原料粉末に
有機バインダー、溶剤、可塑剤等を添加混合し泥漿状と
なすとともにこれをドクターブレード法やカレンダーロ
ール法等によってシート状に成形し、セラミックグリー
ンシート(セラミック生シート)を得るとともに該セラ
ミックグリーンシート表面に、タングステン等の金属粉
末に適当な有機バインダー、溶剤、可塑剤等を添加混合
して得られる金属ペーストをスクリーン印刷法により所
定パターンに印刷塗布し、しかる後、前記セラミックグ
リーンシートを複数枚積層し、生セラミック体となすと
ともに該生セラミック体を還元雰囲気中、約1600℃
の温度で焼成することによって製作されている。
【0004】また前記セラミック配線基板においては絶
縁基体上面に搭載された半導体素子の各電極とメタライ
ズ配線層をオートボンダーを使用してワイヤー接続する
際、オートボンダーにメタライズ配線層の位置を正確に
認識させさるために絶縁基体中にモリブデン等の金属粉
末、或いはこれらの酸化物等から成る着色剤を含有さ
せ、絶縁基体を黒色系に着色している。
【0005】更に前記セラミック配線基板はメタライズ
配線層の表面に該メタライズ配線層の酸化腐食を有効に
防止しつつメタライズ配線層とワイヤーとの接合を容
易、且つ強固とするためにニッケルや金等の金属が無電
解メッキ法により被着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のセラミック配線基板においては、絶縁基体表面に形
成されているメタライズ配線層に無電解メッキ法により
メッキ金属層を被着させる際、絶縁基体表面にもメッキ
金属層が被着されて外観不良を発生するとともに隣接す
るメタライズ配線層が前記絶縁基体表面に被着するメッ
キ金属層によって電気的に短絡するという欠点を有して
いた。特に近時、半導体素子は高密度化、高集積化が急
激に進んで電極数が急増しており、これに伴って半導体
素子の各電極がワイヤー接続されるセラミック配線基板
のメタライズ配線層もその数が急増するとともに隣接す
るメタライズ配線層間の距離が極めて短いものとなり、
上記欠点がより顕著なものとなってきた。
【0007】前記セラミック配線基板の絶縁基体表面に
メッキ金属層が被着される原因としては、タングステン
等の金属粉末から成る金属ペーストを所定パターンに印
刷塗布させたセラミックグリーンシートを積層焼成し、
絶縁基体に複数個のメタライズ配線層を形成してセラミ
ック配線基板を得る際、メタライズ配線層を構成するタ
ングステンの一部が絶縁基体中を拡散するとともに絶縁
基体に含有されている着色剤としてのモリブデンを核と
して析出し、これが大きく成長するとともに絶縁基体表
面に露出してしまうためと考えられる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は着色剤としての
モリブデンまたはモリブデンの化合物を0.5〜2.5
wt%含有する生セラミック体を焼成することによって
得られる絶縁基体表面に、前記絶縁基体と同時焼成によ
って形成され、表面に無電解メッキ金属層が被着されて
いる複数個のメタライズ配線層を有するセラミック配線
基板であって、前記メタライズ配線層がモリブデンで形
成されているこを特徴とするものである。
【0009】また本発明は着色剤としてのタングステン
またはタングステンの化合物を0.5〜2.5wt%
有する生セラミック体を焼成することによって得られる
絶縁基体表面に、前記絶縁基体と同時焼成によって形成
され、表面に無電解メッキ金属層が被着されている複数
個のメタライズ配線層を有するセラミック配線基板であ
って、前記メタライズ配線層がタングステンで形成され
ているこを特徴とするものである。
【0010】更に本発明は前記複数個のメタライズ配線
層が隣接間隔を50μm以下として形成されていること
を特徴とするものである。
【0011】本発明のセラミック配線基板によれば絶縁
基体を着色する着色剤として0.5〜2.5wt%の
リブデン、もしくはその化合物を使用した場合はメタラ
イズ配線層をモリブデンで形成し、着色剤に0.5〜
2.5wt%のタングステン、もしくはその化合物を使
用した場合はメタライズ配線層をタングステンで形成す
ることからセラミック配線基板を得る際、メタライズ配
線層を構成する金属の一部が絶縁基体中を拡散しても、
絶縁基体に含有されている着色剤を核として析出し、こ
れが大きく成長して絶縁基体表面に露出することはな
く、その結果、絶縁基体表面に形成されているメタライ
ズ配線層に無電解メッキ法によりメッキ金属層を被着さ
せても絶縁基体表面にメッキ金属層が被着されることは
なく、隣接するメタライズ配線層間の電気的絶縁を常に
維持することが可能となる。
【0012】特に本発明のセラミック配線基板によれ
ば、絶縁基体表面にメッキ金属層の被着がないことから
複数個のメタライズ配線層を隣接間隔が50μm以下の
高密度に形成することができ、これによってセラミック
配線基板を小型化することも可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に本発明を添付図面に基づき詳
細に説明する。図1は本発明にかかるセラミック配線基
板を半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージ
に適用した場合の一実施例を示し、1は絶縁基体、2は
メタライズ配線層である。この絶縁基体1にメタライズ
配線層2を被着形成したものがセラミック配線基板Aと
なる。
【0014】前記絶縁基体1は黒色系に着色されてお
り、その上面中央部に半導体素子3を収容するための凹
部1aを有し、且つ該凹部1a内には半導体素子3がガ
ラス、樹脂等の接着剤を介して収容固定される。
【0015】前記絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結
体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミ
ニウム質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等の電気絶
縁材料から成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から
成る場合は酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、酸化カルシウム等の原料粉末に、モリブデン、も
しくはその化合物、或いはタングステンもしくはその化
合物から成る着色剤と適当な有機バインダー、溶剤等を
添加混合して泥漿物を作るとともに該泥漿物をドクター
ブレード法やカレンダーロール法を採用することによっ
てグリーンシート(生シート)と成し、しかる後、前記
グリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこ
れを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成すること
によって製作される。
【0016】また前記絶縁基体1は半導体素子3が収容
固定される凹部1aの周辺から下面にかけて複数個のメ
タライズ配線層2が被着形成されており、該メタライズ
配線層2の凹部1a周辺部には半導体素子3の各電極が
オートボンダーを使用してワイヤー接続され、また下面
に導出した部位には外部電気回路と接続される外部リー
ド端子4が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付けされる。
【0017】前記メタライズ配線層2は絶縁基体1の着
色剤がモリブデンもしくはその化合物から成る場合はモ
リブデンで形成され、また着色剤がタングステンもしく
はその化合物から成る場合はタングステンで形成されて
おり、モリブデン、タングステン等の金属粉末に適当な
有機バインダー、溶剤を添加混合して得た金属ペースト
を絶縁基体1となるセラミックグリーンシートに予め従
来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗
布しておくことによって絶縁基体1の凹部1a周辺から
下面にかけて被着形成される。この場合、絶縁基体1の
着色剤がモリブデンもしくはその化合物から成る場合は
メタライズ配線層2をモリブデンで形成し、また着色剤
がタングステンもしくはその化合物から成る場合はメタ
ライズ配線層2をタングステンで形成したことから、金
属ペーストが印刷塗布されたセラミックグリーンシート
を焼成してメタライズ配線層2を有する絶縁基体1を得
る際、メタライズ配線層2を構成するモリブデンやタン
グステンの一部が絶縁基体1中を拡散しても、絶縁基体
1に含有されている着色剤を核として析出し、これが大
きく成長して絶縁基体1表面に露出することはない。
【0018】更に前記絶縁基体1はその内部にモリブデ
ンやタングステン等から成る着色剤が含有され、黒色系
に着色されているためオートボンダーを使用して半導体
素子3の各電極とメタライズ配線層2とをワイヤー接続
する際、オートボンダーによるメタライズ配線層2の位
置認識が絶縁基体1とメタライズ配線層2における光の
反射率が異なるために正確、且つ確実となり、これによ
って半導体素子3の各電極とメタライズ配線層2とのワ
イヤー接続が確実となる。
【0019】また更に前記メタライズ配線層2はその露
出表面に該メタライズ配線層2の酸化腐食を有効に防止
しつつメタライズ配線層2とワイヤーとの接合を容易、
且つ強固とするためにニッケルや金等の耐蝕性に優れる
金属から成るメッキ金属層5が無電解メッキ法により被
着されている。
【0020】前記メタライズ配線層2への無電解メッキ
法によるニッケルや金等から成るメッキ金属層5の被着
は例えば、メタライズ配線層2を有する絶縁基体1をB
EL801(上村工業(株)の商品名)と称するニッケ
ル化合物とジメチルアミンボラン還元剤を含む無電解メ
ッキ液中に浸漬してメタライズ配線層2表面にニッケル
ーボロン合金から成る第一メッキ金属層を約1.5μm
の厚みに被着させ、次にこれをS−780(日本カニゼ
ン(株)の商品名)と称するニッケル化合物と次亜リン
酸ナトリウムを含む無電解メッキ液中に浸漬して前記第
一メッキ金属層表面にニッケルーリン合金から成る第二
メッキ金属層を約2μmの厚みに被着させ、最後にこれ
をゴールドエイト((株)ワールドメタルの商品名)と
称する無電解金メッキ液を用いて前記第二メッキ金属層
表面に金から成る第三メッキ金属層を約1.5μmの厚
みに被着させることによって行われる。この場合、絶縁
基体1の表面にはメタライズ配線層2を構成するモリブ
デンやタングステンの一部が絶縁基体1中を拡散し、絶
縁基体1に含有されている着色剤を核として析出したも
のが露出していないため、絶縁基体1表面にメッキ金属
層5が被着されることはなく、その結果、絶縁基体1表
面に形成されているメタライズ配線層2間が絶縁基体1
表面に被着するメッキ金属層5により電気的に短絡する
ことはない。
【0021】従って、絶縁基体1表面には複数個のメタ
ライズ配線層2を隣接間隔を50μm以下として高密度
に形成することが可能となり、これによって近時の高密
度化、高集積化に伴って電極数が急増している半導体素
子3も収容が可能となる。
【0022】また前記メタライズ配線層2には絶縁基体
1の下面に導出する部位に外部リード端子4が銀ロウ等
のロウ材を介して取着されており、該外部リード端子4
は内部に収容する半導体素子3を外部電気回路に接続す
る作用を為し、外部リード端子4を外部電気回路に接続
することによって内部に収容される半導体素子3はメタ
ライズ配線層2及び外部リード端子4を介し外部電気回
路に電気的に接続されることとなる。
【0023】前記外部リード端子4は鉄ーニッケルーコ
バルト合金や鉄ーニッケル合金等から成り、例えば鉄ー
ニッケルーコバルト合金のインゴット(塊)に圧延加工
法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すこ
とによって所定の形状に形成される。
【0024】かくしてこの半導体素子収納用パッケージ
によれば絶縁基体1の凹部1a内に半導体素子3を接着
剤を介して接着固定するとともに半導体素子3の各電極
をメタライズ配線層5にオートボンダーよりワイヤー接
続し、しかる後、絶縁基体1の上面に蓋体2をガラス、
樹脂等から成る封止材より接合させ、絶縁基体1と蓋体
2とから成る容器4の内部に半導体素子3を気密に収容
することによって製品としての半導体装置となる。
【0025】尚、本発明のセラミック配線基板は上述の
半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージにの
み適用されるものではなく、その他の混成集積回路基板
等にも適用可能である。
【0026】次に本発明の効果を実験例に基づき説明す
る。
【0027】まず着色剤としてモリブデン(Mo)もし
くはタングステン(W)を表1及び表2に示す値に含有
させた酸化アルミニウムを主成分とする生セラミック体
の表面にモリブデン(Mo)またはタングステン(W)
から成る金属ペーストを使用して幅140μm、長さ5
mm、厚み15μm、隣接間隔が表1に示す値の一対の
パターンを各々、200対、形成する。
【0028】次にこれを還元雰囲気中、1600℃の温
度で焼成し、表面に200対のメタライズ配線層が形成
された絶縁基体を得るとともに該メタライズ配線層の表
面に無電解メッキ法によりニッケルを3.5μm、金を
1.5μmの厚みに順次被着させて試料を得る。
【0029】そして最後に前記各試料の各々一対のメタ
ライズ配線層間を電気テスターで測定し、一対のメタラ
イズ配線層間が電気的に短絡しているものの数を数え短
絡発生率(不良発生率)を算出した。
【0030】上記の結果を表1及び表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】上記の結果から判るように、絶縁基体の着
色剤としてモリブデン(Mo)を使用し、メタライズ配
線層をタングステン(W)で形成した場合、或いは絶縁
基体の着色剤としてタングステン(W)を使用し、メタ
ライズ配線層をモリブデン(Mo)で形成した場合、着
色剤とメタライズ配線層との間に固溶体を形成し、該固
溶体に起因して絶縁基体表面にメッキ金属層が被着され
るとともに隣接するメタライズ配線層間に電気的短絡が
発生してしまうのに対し、本発明のように着色剤として
モリブデン(Mo)を0.5〜2.5wt%の含有量で
使用し、メタライズ配線層をモリブデン(Mo)で形成
した場合、或いは着色剤としてタングステン(W)を
0.5〜2.5wt%の含有量で使用し、メタライズ配
線層をタングステン(W)で形成した場合には、いずれ
着色剤とメタライズ配線層との間に固溶体を形成する
ことがなく、これによって絶縁基体表面にメッキ金属層
が被着されるのが有効に防止されるとともにメタライズ
配線層の隣接間隔を50μm以下の狭いものにしてもメ
タライズ配線層間に電気的短絡が発生することは殆どな
い。
【0034】
【発明の効果】本発明のセラミック配線基板によれば絶
縁基体を着色する着色剤として0.5〜2.5wt%の
モリブデン、もしくはその化合物を使用した場合はメタ
ライズ配線層をモリブデンで形成し、着色剤に0.5〜
2.5wt%のタングステン、もしくはその化合物を使
用した場合はメタライズ配線層をタングステンで形成す
ることからセラミック配線基板を得る際、メタライズ配
線層を構成する金属の一部が絶縁基体中を拡散しても、
絶縁基体に含有されている着色剤を核として析出し、こ
れが大きく成長して絶縁基体表面に露出することはな
く、その結果、絶縁基体表面に形成されているメタライ
ズ配線層に無電解メッキ法によりメッキ金属層を被着さ
せても絶縁基体表面にメッキ金属層が被着されることは
なく、隣接するメタライズ配線層間の電気的絶縁を常に
維持することが可能となる。
【0035】特に本発明のセラミック配線基板によれ
ば、絶縁基体表面にメッキ金属層の被着がないことから
複数個のメタライズ配線層を隣接間隔が50μm以下の
高密度に形成することができ、これによってセラミック
配線基板を小型化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック配線基板を半導体素子を収
容する半導体素子収納用パッケージに適用した場合の一
実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・絶縁基体 1a・・・・・凹部 2・・・・・・メタライズ配線層 3・・・・・・半導体素子 4・・・・・・外部リード端子 5・・・・・・メッキ金属層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】着色剤としてのモリブデンまたはモリブデ
    ンの化合物を0.5〜2.5wt%含有する生セラミッ
    ク体を焼成することによって得られる絶縁基体表面に、
    前記絶縁基体と同時焼成によって形成され、表面に無電
    解メッキ金属層が被着されている複数個のメタライズ配
    線層を有するセラミック配線基板であって、前記メタラ
    イズ配線層がモリブデンで形成されていることを特徴と
    するセラミック配線基板。
  2. 【請求項2】着色剤としてのタングステンまたはタング
    ステンの化合物を0.5〜2.5wt%含有する生セラ
    ミック体を焼成することによって得られる絶縁基体表面
    に、前記絶縁基体と同時焼成によって形成され、表面に
    無電解メッキ金属層が被着されている複数個のメタライ
    ズ配線層を有するセラミック配線基板であって、前記メ
    タライズ配線層がタングステンで形成されていることを
    特徴とするセラミック配線基板。
  3. 【請求項3】前記複数個のメタライズ配線層が隣接間隔
    を50μm以下として形成されていることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のセラミック配線基板。
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