JP2948210B2 - 気体の、メタン含有塩化水素を浄化する方法および該塩化水素の使用 - Google Patents

気体の、メタン含有塩化水素を浄化する方法および該塩化水素の使用

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い純度の塩化水
素を製造する方法および半導体材料を製造する際の該塩
化水素の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータチップを製造するために使
用されるようなウェーハー板は多工程により製造され、
その際まずトリクロロシランを熱分解し、これにより得
られる多結晶シリコンを帯域溶融法またはるつぼ溶融法
により棒状の単結晶に更に加工し、最後に単結晶の棒を
鋸で削ることによりウェーハーを製造する。異種原子に
よるシリコン単結晶の汚染をできるだけ阻止することが
重要である。これは、特に炭素による汚染(シリコン1
cm3当たりC原子1015未満)に該当する。
【0003】しかしながら、フェロシリコンを塩化水素
と反応することにより得られる出発生成物であるトリク
ロロシランを製造する際に、種々の供給源からの塩化水
素が使用され、該塩化水素はしばしばアルカン、アルケ
ンおよびアルキンのような炭化水素化合物で汚染されて
いる。1,2−ジクロロエタン熱分解から生じる塩化水
素は、特にエチレンおよびアセチレンで汚染されてい
る。塩化アリル合成から生じる塩化水素は高級オレフィ
ン、たとえばプロピレンを含有する。メタン塩素化およ
び塩化メチル塩素化の際に生じる塩化水素はアルカン、
特にメタンで汚染されている。
【0004】1,2−ジクロロエタン熱分解から生じる
塩化水素を浄化する方法はドイツ特許第3817938
号明細書から公知であり、この方法では塩化水素からア
セチレンおよびエチレンを除去することができる。その
際第1工程でアセチレンおよびエチレンを過剰の塩素で
塩素化し、相当する飽和または不飽和のクロロ炭化水素
を生じる。第2工程で、第1工程からの過剰の塩素を、
大気圧で気体であり、かつ大気圧で−50〜+10℃で
沸騰するオレフィンと反応させることにより除去し、引
き続き塩化水素を低温圧縮精留により分離する。
【0005】ドイツ特許第3817938号明細書に開
示された塩化水素を浄化する3工程の方法により、塩化
水素からエチレンおよびアセチレンのほかに同族のアル
ケンおよびアルキンを分離することができる。しかしな
がらアルカンはこの触媒による塩素化の際に蒸留により
分離できない高沸点物に変換される。しかしながらC 3
−アルカンおよび高級の同族物はこの方法の最後の工程
で精留により塩化水素から分離することができる、それ
というのもこれらは塩化水素より高い温度で沸騰するか
らである。メタンおよびエタンは塩化水素に対して易沸
点物であり、従って蒸留により塩化水素から分離でき
ず、塩化水素中に残留する。
【0006】きわめて純粋な珪素を製造する際の第1工
程である、フェロシリコンおよび塩化水素から前記のト
リクロロシランを合成する際に、浄化された塩化水素中
に含まれるエタンは問題を生じない、それというのもた
とえば形成されるエチルジクロロシラン(HSiCl2
25)は約35℃だけ高いその沸点により、トリクロ
ロシランおよびトリクロロシラン合成の使用可能な主要
副生成物、四塩化珪素(沸点56.7℃)から蒸留によ
り容易に分離することができるからである。しかしなが
らメタンはフェロシリコンおよび塩化水素からトリクロ
ロシランを合成する際に、すでに塩化水素中で20〜1
00容量ppmの程度で妨害作用する。すなわちメタン
は反応してメチルジクロロシラン(HSiCl2CH3
沸点40.4℃)を生じ、これを目的生成物、トリクロ
ロシラン(SiHCl3、沸点31.7℃)から蒸留によ
り分離することは、狭い沸点の差により、多くの収率を
損失してもきわめて困難である。出発生成物、トリクロ
ロシラン中のメタン含量により、最終生成物、単結晶シ
リコン中の炭素含量が許容できない値に上昇する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、電子レベルの塩素の純度要求を満たす程度に塩化水
素中のメタン成分を減少することができる、種々の供給
源からのメタン含有塩化水素を浄化するための経済的な
方法を開発することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】意想外にも、メタン含有
塩化水素を部分的に凝縮する際に、塩化水素気相中でメ
タンの濃縮が行われ、液化した成分が溶解したメタンを
著しく減少した形で含有することが判明した。
【0009】本発明の対象は、気体の、メタン含有塩化
水素を浄化する方法において、8〜13バールの過圧お
よび−22℃〜−36℃の温度で気体の塩化水素を部分
的に凝縮し、メタンが濃縮された気体成分を分離し、蒸
発後にメタンが著しく減少した液化した塩化水素を単離
することを特徴とする。
【0010】本発明の方法は、種々の供給源、たとえば
塩化ビニルを製造する1,2−ジクロロエタン熱分解か
ら、メタン塩素化からおよび塩化メチル塩素化から生じ
る気体の、メタン含有塩化水素を浄化するために適して
いる。種々の塩化水素を製造する方法に由来する塩化水
素の混合物を使用することもできる。
【0011】部分的凝縮の際の液化程度(Verfluessigu
ngsgrad)は塩化水素中のメタンの量の割合および本発
明の方法により液化した塩化水素の所望の純度に依存す
る。これと並んで液化程度は本発明の方法の経済性を決
定する。
【0012】経験により以下の関係式が確定される。
【0013】凝縮した塩化水素成分中のメタンの容量p
pm = 0.0485×気体の出発塩化水素中のメタ
ンの容量ppm有利には液化程度0.1〜0.3で作動
し、すなわち気体の、メタン含有塩化水素0.1〜0.3
重量部を部分的に凝縮する。
【0014】本発明による方法を使用して、出発生成物
中のメタン100容量ppmにおいて、メタン含量5容
量ppm未満の塩化水素を使用することができる。この
種の高い純度の塩化水素を、純粋の珪素を製造する前工
程で、たとえばトリクロロシランの合成に使用すること
ができる。凝縮されない、メタンが多くなった成分は、
たとえばオキシ塩素化、メタノールエステル化、または
塩酸の製造に使用することができる。
【0015】メタンのほかになお高い割合のアルケンま
たはアルキンを含有する気体の塩化水素を浄化する場合
は、本発明の方法により更にドイツ特許第381793
8号明細書に記載の3工程の浄化法を実施することがで
きる。
【0016】このために、部分的凝縮後に液体で存在す
る塩化水素成分を絶対圧力5〜20バールで蒸発させ、
120〜220℃の温度に加熱し、断熱的に作動する反
応器中で、遷移金属塩化物が含浸されている活性炭触媒
の存在で、反応器から放出する際に塩化水素中になお塩
素100〜2000容量ppmが含有されている量の塩
素ガスと反応させる。第2工程で、第2の断熱的に作動
する反応器中で、第1反応器と同じ触媒の存在で、80
〜180℃の温度で、反応混合物を、大気圧で気体であ
り、大気圧で−50℃〜+10℃の温度範囲で沸騰する
オレフィンまたはクロロオレフィンと反応させ、その際
このオレフィンまたはクロロオレフィンの量は、反応器
から放出される塩化水素中になおこのオレフィンまたは
クロロオレフィンが100〜1500容量ppm含有さ
れている量である。最後の工程で、これらの工程で得ら
れる反応混合物を、低温圧縮精留により分離し、純粋の
塩化水素を絶対圧力9〜14バールおよび−20℃〜−
40℃の温度で凝縮により単離する。この変法はドイツ
特許第3817938号明細書第2欄、34行から第5
欄55行に詳細に記載されている。
【0017】
【実施例】本発明を以下の実施例により詳細に説明す
る。
【0018】例1 メタン50容量ppmを有する気体の塩化水素毎時5k
モルを8.5バール過圧にして、−33℃に冷却し、そ
の際塩化水素毎時0.5kモルを液化し(液化程度0.
1)、塩化水素毎時4.5kモルを気体で残留した。液
化した塩化水素を分離し、引き続き熱交換器中で蒸発し
た。分離し、引き続き蒸発した液体の塩化水素中で、メ
タン含量2.40容量ppmを測定した。部分的凝縮の
際に残留する気体の塩化水素はメタン55.3ppmを
含有した。
【0019】例2 例1と同様に実施したが、8.5バール過圧および−3
3℃の温度で、メタン50容量ppmを有する塩化水素
毎時5kモルから塩化水素毎時1.25kモルを液化し
た(液化程度0.25)。引き続き蒸発した液体塩化水
素はメタンなお2.42容量ppmのみを含有し、残留
する気体の塩化水素はメタン65.9容量ppmを含有
した。
【0020】例3 例1と同様に実施したが、メタン含量80容量ppmを
有する塩化水素毎時5kモルを11.5バール過圧にし
て、−25℃に冷却した。毎時0.75kモルの成分を
凝縮した(液化程度0.15)。凝縮した成分を熱交換
器中で蒸発し、メタン成分3.9容量ppmを測定し
た。部分的凝縮の際に残留する気体の塩化水素成分はメ
タン93.4容量ppmを含有した。
【0021】例4 1,2−ジクロロエタン熱分解から、塩化ビニル毎時3
0tおよび塩化水素毎時482kモルの分解ガス混合物
が得られた。−33℃および8.5バール過圧で分解ガ
ス混合物から塩化水素を分離した。カラムから放出され
る気体の塩化水素はメタン60容量ppm、エタン2.
5容量ppm、エチレン362容量ppm、アセチレン
2560容量ppm、塩化ビニル1.2容量ppmおよ
び塩化エチル2.1容量ppmで汚染されていた。
【0022】前記の圧力および温度水準で、汚染された
塩化水素毎時110kモルを液化し(液化程度0.2
3)、引き続き液体のHClポンプを介して圧力を上昇
後、13バール過圧で蒸発した。蒸発した液体の塩化水
素はなおメタン3.4容量ppm、エタン0.7容量pp
m、エチレン220.9容量ppm、アセチレン386
6.6容量ppm、塩化ビニル1.1容量ppmおよび塩
化エチル6.2容量ppmを含有した。
【0023】この混合物を150℃に予熱し、相当する
圧力の塩素ガス毎時22.5m3を添加後、CuCl2
よびMnCl2それぞれ16重量%をドープした活性炭
からなる触媒0.8m3が充填されている第1の反応器に
導入した。断熱的反応の実施の際にエチレン、アセチレ
ンおよび塩化ビニルを塩素と反応させ、1,1,2,2−
テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンおよび1,
1,2−トリクロロエタンを生じた。反応混合物は約1
000容量ppmの過剰の塩素を有して第1の反応器を
離れた。エチレンおよびアセチレンの濃度は1容量pp
m未満の値であった。
【0024】相当する圧力の気体の塩化ビニル毎時5m
3を混合し、約125℃に中間冷却した後、遊離塩素を
塩化ビニルと反応させ、1,1,2−トリクロロエタンを
生じるために、反応混合物を、第1の反応器と同じ触媒
0.5m3が充填されている第2の反応器に導入した。反
応混合物は、塩素不含で、塩化ビニル約1000容量p
pmの含量を有して第2の反応器を離れた。
【0025】冷却し、形成された塩素化生成物を部分的
に凝縮した後、蒸留カラム中で、12.5バール過圧お
よび塔頂温度−23℃で、カラムへの還流として液体の
塩化水素毎時1.5tを還流して、ガス流を分留した。
一定の蒸留状態および約75℃の一定の蒸留温度を維持
するために、蒸留器に塩化ビニル毎時約20kgを液体
で供給した。カラムの底部に生じる生成物は塩化ビニル
および塩化エチルのほかに塩素化生成物、1,2−ジク
ロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンおよび1,1,
2,2−テトラクロロエタンを含有した。カラムの塔頂
に生じる塩化水素は以下の純度を有してトリクロロシラ
ンを製造するために使用した。 メタン 3.4容量ppm エタン 0.7容量ppm エチレン 0.1容量ppm アセチレン 0.4容量ppm 塩化ビニル 0.3容量ppm 塩化エチル 9.1容量ppm
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘルマン クラウス ドイツ連邦共和国 マルクトゥル アー ダルベルト−シュティフター−シュトラ ーセ 1アー (72)発明者 アルビン フランク ドイツ連邦共和国 ブルクハウゼン シ ュピタールガッセ 208 (56)参考文献 特開 昭48−36093(JP,A) 特開 昭62−113702(JP,A) 特公 平5−71523(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 7/07

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体の、メタン含有塩化水素を浄化する
    方法において、8〜13バールの過圧および−22℃〜
    −36℃の温度で気体の塩化水素を部分的に凝縮し、
    タンが濃縮された気体成分を分離し、蒸発後にメタンが
    著しく減少した液化した塩化水素を単離することを特徴
    とする、気体の、メタン含有塩化水素を浄化する方法。
  2. 【請求項2】 気体の、メタン含有塩化水素0.1〜0.
    3重量部を部分的に凝縮する、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 部分的凝縮後に液体で存在する塩化水素
    成分を、 a)絶対圧力5〜20バールで蒸発させ、120〜22
    0℃の温度に加熱し、かつ断熱的に作動する反応器中
    で、遷移金属塩化物が含浸されている活性炭触媒の存在
    で、反応器から放出する際に塩化水素中になお塩素10
    0〜2000容量ppmが含有されている量の塩素ガス
    と反応させ、 b)第2の断熱的に作動する反応器中で、第1反応器と
    同じ触媒の存在で、80〜180℃の温度で、反応混合
    物を、大気圧で気体であり、かつ大気圧で−50℃〜+
    10℃の温度範囲で沸騰するオレフィンまたはクロロオ
    レフィンと反応させ、その際このオレフィンまたはクロ
    ロオレフィンの量は、反応器から放出される塩化水素中
    にこのオレフィンまたはクロロオレフィンがなお100
    〜1500容量ppm含有されている量であり、かつ c)これらの工程で得られる反応混合物を低温圧縮精留
    により分離し、純粋の塩化水素を絶対圧力9〜14バー
    ルおよび−20℃〜−40℃の温度で凝縮により単離す
    る、請求項1または2記載の方法。
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