JP2945699B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液（以下電解
液という）に関するものである。

従来の技術 従来、電解液としてはエチレングリコールを主体とし
た溶媒にアジピン酸塩を溶解した電解液が多用されてい
る。あるいはγ−ブチロラクトン（以下GBLという）を
主溶媒とした電解液が多用されている。

発明が解決しようとする課題 近年、アルミニウム電解コンデンサの低インピーダン
ス化、小型化、高信頼化に伴い、電解液としては比抵抗
が低く、広温度で安定な電解液が要求されている。エチ
レングリコールを主体とした溶媒にアジピン酸塩を溶解
した電解液においては、比抵抗を低くするために、従来
電解液中の水分の配合比を増大したり、あるいは溶質量
を増大したものがあるが、水の配合比を増大すると高温
度雰囲気下における信頼性が著しく低下する。溶質量を
増大させると静電容量や損失の低温特性が悪化するなど
の問題があった。さらにエチレングリコールの低温にお
ける粘度の増大により種々検討しても、使用温度範囲と
しては−40℃が下限であった。

それらの特性を確保するため、GBLを主溶媒として、
カルボン酸のアルキルアンモニウム塩を溶解した電解液
が近年多用されている。しかし、GBLは沸点が200℃であ
るため、封口部からの揮散が激しく、105℃で5000時間
が限界であった。この揮散を抑制するため、二重構造の
封口あるいは厚い封口なども試みられているが、コス
ト、小形の阻害などの問題を有していた。

課題を解決するための手段 本発明は、上述の課題を解決するため、下記構造式で
示される、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−２
−（Ｈ）−ピリミジノンとγ−ブチロラクトンの混合溶
媒を主たる溶媒として、カルボン酸の４級アンモニウム
塩を溶解したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用
電解液である。

作用 本発明に係る電解液は溶媒の沸点が247℃ときわめて
高く、溶媒成分の封口部からの揮散が著しく抑制される
ため、高温度雰囲気における信頼性が著しく向上する。

実施例 以下、本発明の実施例について説明する。

第１表に本発明による代表的な電解液組成を（試料記
号Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ）および従来の電解液組成
（試料記号Ｇ）を示す。

第２表は第１表に示す電解液で定格10WV、100μＦの
アルミ電解コンデンサを試作し、125℃で定格電圧印加
の高温負荷試験を行った結果を示す。漏れ電流は定格電
圧印加１分後の値を示す。各々の特性値は試料数20個の
平均値である。

第２表から判るように電解液（試料記号Ａ、Ｂ、Ｃ、
Ｄ、Ｅ、Ｆ）を用いた本発明のアルミ電解コンデンサは
高温負荷においても、容量変化率や損失変化が小さく、
すぐれた耐久性を与える。

また、実施例に示した電解液組成の他、各種溶質、さ
らに他の溶媒の添加など等についても種々検討、評価し
たが本発明の効果は確認されている。

発明の効果 以上の結果から明らかなようにDMPUとGBLの混合溶媒
を主たる溶媒として、カルボン酸の４級アンモニウム塩
を溶解したことを特徴とする電解コンデンサの電解液
は、広温度範囲で優れた特性を示し、工業的ならびに実
用的価値の大なるものである。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01G 9/035

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記構造式で示される、1,3−ジメチル−
   3,4,5,6−テトラヒドロ−２−（Ｈ）−ピリミジノンと
   γ−ブチロラクトンの混合溶媒を主たる溶媒として、カ
   ルボン酸の４級アンモニウム塩を溶解したことを特徴と
   する電解コンデンサの駆動用電解液。