JP2943393B2 - 電子写真用感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体およびその製造方法

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JP2943393B2
JP2943393B2 JP12412291A JP12412291A JP2943393B2 JP 2943393 B2 JP2943393 B2 JP 2943393B2 JP 12412291 A JP12412291 A JP 12412291A JP 12412291 A JP12412291 A JP 12412291A JP 2943393 B2 JP2943393 B2 JP 2943393B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、導電性基体上に電荷
発生層,電荷輸送層を含む感光層を備えてなる電子写真
用感光体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体(以下、単に感光体と
も称す)は、一般に、導電性基体上に光導電性物質を含
む感光層を備えてなる。カールソンの発明による電子写
真方式の画像形成においては、この感光体の表面を帯電
させた後、像露光して静電潜像を形成し、その静電潜像
をトナーにより現像して可視像とし、その可視像を紙な
どの支持体上に転写,定着させる。一方、感光体表面は
付着残存するトナーの除去,除電などの清浄化がなさ
れ、長期間にわたり反復使用される。従って、感光体と
しては、帯電特性,電荷保持特性,光感度特性などの電
子写真特性が良好であることは勿論、長期にわたる繰り
返し反復使用における電子写真特性の安定性,耐磨耗
性,耐オゾン性,紫外線などに対する耐光性などの耐久
性が良好であることが要求され、さらに、使用時の環境
(低温/低湿,高温/高湿)に対する特性変動の少ない
ことが要求される。
【0003】従来、感光体としては、セレン,酸化亜
鉛,硫化カドミウムなどの無機光導電性物質を主成分と
して含む無機感光体が広く用いられてきた。しかし、こ
れらの無機感光体にも光感度,熱的安定性,耐久性,耐
環境性,毒性など種々の欠点があり、必ずしも充分満足
できるものではなかった。
【0004】これらの無機感光体に対して、有機光導電
性物質を用いた感光体が近年盛んに研究開発されてい
る。
【0005】これらの有機感光体は無機感光体に比べ、
一般に毒性が低く、軽量,可とう性,生産性に優れてい
ることから注目され、実用化されている。例えば、特公
昭50−10496号公報にはポリ−N−ビニルカルバ
ゾールと2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンを
含有した感光体が提案され、特公昭48−25658号
公報にはポリ−N−ビニルカルバゾールをピリリウム色
素で増感した感光体が提案されている。しかし、これら
の感光体も光感度,耐久性の点で必ずしも充分満足でき
るものではなかった。その後、感光層を電界の存在下で
露光した時に、電荷を発生する層と、発生した電荷を移
動させる層に機能分離させた,いわゆる機能分離型感光
体が提案され、有機感光体の性能は飛躍的に向上した。
例えば、特公昭55−42380号公報にはクロロジア
ンブルーとヒドラゾン化合物を用いた機能分離型感光体
が提案されている。
【0006】この様に、感光層を電荷発生層と電荷輸送
層に分離し機能を分担させることにより、種々の特性を
有する感光体を容易に作製することができ、光感度が高
く,耐久性に優れた感光体が得られるものと期待されて
いる。
【0007】この様な感光体の電荷発生層は、一般に、
電荷発生物質としての有機顔料とその結着剤としてのバ
インダー樹脂とから構成されている。これは有機顔料の
みで電荷発生層としたのでは、それ自体膜形成能がない
ため基体との接着性,電荷輸送層との接着性が劣るため
に、感光体の機械的強度が不十分であるなどの不具合が
生じやすく、また、塗液の分散性,分散安定性が不十分
なため、工業的に連続して塗布できないという不具合が
生じるためである。
【0008】電荷発生層に用いられるバインダー樹脂に
対する要求性能としては、 (1)電荷発生物質としての有機顔料の分散性が良く、
分散安定性が良好なこと。 (2)導電性基体あるいは下引層,および電荷輸送層と
の接着性が良いこと。 (3)電荷輸送層塗液あるいは中間層塗液に侵されない
こと。 (4)温度,湿度の変化に対して安定で、耐光性が良い
こと。 (5)露光により発生する電荷の輸送効率が高いこと。 など種々要求され、バインダー樹脂は電荷発生層の性
能,ひいては感光体の性能を左右する大きな要因となっ
ている。
【0009】しかしながら,バインダー樹脂の選択に関
しては支配的な法則はなく、電荷発生物質としての有機
顔料の種類とその膜質に応じて経験的に選択しているの
が実状であり、現在まだ充分満足できるものは得られて
いない。この様な結着剤として使用されるバインダー樹
脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂(特開昭5
8−105154号公報に開示)、酸価10ないし4
0,ガラス転移温度70℃以下のアクリル樹脂(特開昭
58−192040号公報に開示)、ポリビニルピロリ
ドン樹脂(特開昭56−12646号公報に開示)、ポ
リビニルピリジン樹脂(特開昭56−60443号公報
に開示)、フェノール樹脂(特開昭58−17448号
公報に開示)など種々のものが提案されている。
【0010】近年、複写機やノンインパクトプリンタな
どの電子写真応用装置がより高速化され、また、良質の
画像が長期にわたって安定して得られることがより強く
要求されるようになってきた。このため、感光体はより
優れた電子写真特性,耐久性,耐環境性が要求されるよ
うになり、電荷発生層に用いられるバインダー樹脂も検
討が進められており、特開平2−135453号公報に
は、下記式(1)で示されるブロム化フェノキシ樹脂を
用いることにより、密着性に優れるとともに帯電性,暗
減衰,感度などの電子写真特性に優れ、かつ、繰り返し
特性,耐湿特性にも優れた感光体が得られることが開示
されている。
【0011】
【化2】
【0012】[式(1)中、nは正の整数を表す。]
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブロム
化フェノキシ樹脂単独をバインダー樹脂とした場合、電
荷発生物質としての有機顔料の分散性が悪く、電荷発生
層用塗液の調製が難しいという問題があった。すなわ
ち、ブロム化フェノキシ樹脂のみをバインダー樹脂と
し、これに含有される有機顔料をサブミクロン以下の微
粒子に分散させるためには、通常の分散方法,例えばボ
ールミルやサンドミルなどの分散機器を使用すると数日
ないし数十日にわたる長期の分散時間を要し、また、得
られた分散液はこれを放置すると数時間のうちに凝集が
始まり、塗液の中にツブ状の塊が生じて来る。
【0014】この発明は、上述の問題点を解消して、電
荷発生層の結着剤として電荷発生物質の分散性,分散安
定性が良好でかつ塗工性,接着性が優れており、しかも
電荷輸送能の良好なバインダー樹脂を見いだし、このバ
インダー樹脂を用いて電荷発生層用塗液を作製して電荷
発生層を塗布形成することにより、高感度で、耐久性に
優れ、長期の反復使用に対して特性が安定で、かつ、温
度,湿度の変化による特性変動の少ない感光体を提供す
ることを解決しようとする課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題は、この発明に
よれば、導電性基体上に電荷発生層,電荷輸送層を含む
感光層を備えてなる電子写真用感光体において、電荷発
生層が電荷発生物質としての有機顔料と結着剤としての
バインダー樹脂とを含んでなり、そのバインダー樹脂が
下記式(1)で示されるブロム化フェノキシ樹脂を5重
量%以上90重量%以下含んでいる感光体とすることに
よって解決される。
【0016】
【化3】
【0017】[式(1)中、nは正の整数を表す。]
【0018】上記式(1)で示されるバインダー樹脂は
既に公知の化合物であり、例えば商品名フェノトートY
PB−43C(東都化成(株)製)として知られてい
る。ここで使用される式(1)の樹脂は重量平均分子量
として10,000〜300,000のものが好まし
く、特に重量平均分子量50,000〜100,000
のものが塗膜の機械的強度,塗膜作製時の作業性の点か
ら望ましい。
【0019】バインダー樹脂にブロム化フェノキシ樹脂
と共に使用できる樹脂としては、スチレン,酢酸ビニ
ル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,ビニ
ルアルコール,エチルビニルエーテル,マレイン酸エス
テル,エチレン,プロピレル,ブタジエンなどの二重結
合を有する化合物の重合体あるいは共重合体、フェノキ
シ樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリスルフォン樹脂,
ポリケトン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリビニルアセタ
ール樹脂,ポリアミド樹脂,ポリウレタン樹脂,エポキ
シ樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,尿素樹脂,シ
リコーン樹脂,セルロース樹脂などの各種樹脂が用いら
れるが、この発明において特に有効なバインダー樹脂は
ポリビニルアセタール樹脂である。
【0020】ポリビニルアセタール樹脂は、例えばポリ
ビニルブチラール樹脂,ポリビニルアセトアセタール樹
脂,ポリビニルホルマール樹脂として知られており、そ
れぞれエスレックスB(積水化学工業(株)製),エス
レックスKS(積水化学工業(株)製),デンカホルマ
ール(電気化学工業(株)製)の商品名で市販されてい
る。
【0021】この発明のバインダー樹脂は、ブロム化フ
ェノキシ樹脂に上記の各種樹脂を単独または混合して加
えたものであるが、ブロム化フェノキシ樹脂のバインダ
ー樹脂全体に占める割合が90重量%を超えると塗液の
分散性,分散安定性が急激に悪くなり、5重量%未満で
は感度,電荷保持性が悪くなり、また、耐湿性が低下し
てくるので好ましくない。
【0022】電荷発生層に用いる有機顔料としては、ア
ゾ系顔料,アントラキノン系顔料,多環キノン系顔料,
インジゴ系顔料,ジフエニルメタン系顔料,アジン系顔
料,シアニン系顔料,キノリン系顔料,ベンゾキノン,
ナフトキノン系顔料,ナフタルクシド系顔料,ペリレン
系顔料,フルオレノン系顔料,スクアリリウム系顔料,
アズレニウム系顔料,ペリノン系顔料,キナクリドン系
顔料,フタロシアニン系顔料,ナフタロシアニン系顔
料,ポリフイリン系顔料などが用いられる。この発明に
おいては、これらのうち、特に多環キノン系顔料,例え
ば3,9−ジブロモアントアントロン、α,β,χ,ζ
型の無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン,バナジ
ルフタロシアニン,チタニルフタロシアニン,チトキシ
フタロシアニンなどの金属フタロシアニン、および、次
の一般式で示されるアゾ顔料が有効である。
【0023】
【化4】
【0024】〔式中、R1 はハロゲン原子,アルキル
基,アルコキシ基のうちのいずれかを表し、R2 は置換
基を有しても良いアルキル基を表し、R3 は水素原子,
シアノ基,カルバモイル基,カルボキシル基,エステル
基,アシル基のうちのいずれかを表し、R4 は水素原
子,ハロゲン原子,ニトロ基,アルキル基,アルコキシ
基のうちのいずれかを表す。〕
【0025】これらのアゾ顔料の具体例を挙げると次の
通りである。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】これらの顔料は単独で、あるいは任意の種
類の顔料を任意の割合で混合して用いることができる。
【0029】また、有機溶媒としては、シクロヘキサノ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジメチルフォル
ムアミド,メチルエチルケトン,酢酸エチル,セロソル
ブ,トルエン,キシレン,塩化メチレンなどが用いられ
る。
【0030】電荷発生層の塗液は、上述のブロム化フェ
ノキシ樹脂を含むバインダー樹脂,有機顔料,有機溶媒
をボールミル,サンドミル,アトライターなどの分散装
置により溶解・分散させて調製する。塗液には、必要に
応じて流展剤,界面活性剤などを添加してもよい。ま
た、塗液中のバインダー樹脂と有機顔料との混合割合は
有機顔料100重量部に対してバインダー樹脂5重量部
〜200重量部が望ましく、より望ましくは10重量部
〜100重量部である。5重量部以下では電荷発生層の
接着性が悪く、200重量部以上では光感度が低下する
傾向がある。
【0031】電荷発生層の塗液の調製に際しては、ま
ず、ブロム化フェノキシ樹脂と有機顔料とをブロム化フ
ェノキシ樹脂を良く溶かすヘキサノン,ジオキサンなど
の有機溶媒と共に所定の顔料粒径になるまで混合して溶
解・分散させ、次いで、この分散液にポリビニルアセタ
ールなどの残余のバインダー樹脂の溶液を加えてさらに
混合分散させると、有機顔料が良好に分散しかつ分散安
定性の良い塗液が得られ、この発明の効果がより顕著と
なるので好ましい。
【0032】電荷発生層は、この様な塗液を導電性基体
上に公知の方法で塗布,乾燥し、さらに必要に応じて加
熱硬化させて形成する。電荷発生層の膜厚は0.05μ
m〜5μmが望ましい。0.05μm以下では成膜性が
悪くて画像に欠陥が生じ易く、5μm以上になると帯電
特性の低下など感光体特性の低下をもたらす。
【0033】導電性基体は電極としての作用と共に各層
の支持を目的とするものであり、円筒状,板状,フィル
ム状のいずれの形状でも良く、材質としてはアルミニウ
ム,アルミニウム合金,ステンレス鋼,導電性プラスチ
ックなどが用いられる。導電性基体上には、必要に応じ
て表面の平滑性を高めるために導電性塗装を施すことも
できる。
【0034】この電荷発生層上に、電荷輸送物質として
の有機化合物と結着剤としてのバインダー樹脂とを有機
溶媒に分散・溶解した塗液を公知の方法で塗布,乾燥し
て電荷輸送層を形成して感光体とする。
【0035】電荷輸送物質として好適な材料としては、
ポリ(N−ビニルカルバゾール),ポリ(ビニルアント
ラセン),ポリ(9,10−アントラセニレンドデカン
ジカルボキシレート),ポリシラン,ポリゲルマン,ポ
リ(p−フェニレンサルフアイド)などの高分子化合
物、ヒドラゾン系化合物,ピラゾリン系化合物,エナミ
ン系化合物,スチリル系化合物,アリールメタン系化合
物,アリールアミン系化合物,ブタジエン系化合物,ア
ジン系化合物などの低分子化合物があり、これらは単独
または混合して用いられる。
【0036】低分子化合物を電荷輸送物質として使用す
る場合に用いられるバインダー樹脂としては、ポリカー
ボネート,ポリエステル,ポリウレタン,エポキシ樹
脂,シリコーン樹脂,スチレン系樹脂などがあり、これ
らは単独または混合して用いられる。このとき、低分子
化合物100重量部に対してバインダー樹脂50重量部
〜200重量部の割合で混合したものを、低分子化合
物,バインダー樹脂を共に溶解する溶媒に溶解すると好
適である。
【0037】電荷輸送層の塗液には、さらに必要に応じ
て、酸化防止剤,紫外線吸収剤,プロトン吸収剤などの
安定剤を添加することができ、また、塗布時の膜表面の
欠陥を防止するための流展剤,タレ止め剤などを添加す
ることもできる。
【0038】電荷輸送層の膜厚は感光体に必要とされる
帯電特性,光感度,耐刷性などにより任意に決められる
が、通常、5μm〜50μm,好ましくは10μm〜3
0μmとされる。
【0039】
【作用】機能分離型感光体の電荷発生層のバインダー樹
脂として式(1)で示されるブロム化フェノキシ樹脂を
単独で用いた場合には、感度は向上するが、電荷発生層
用塗液の分散性,分散安定性が悪化する。この問題点を
解消するために鋭意研究を進めた結果、バインダー樹脂
として式(1)で示されるブロム化フェノキシ樹脂と他
のバインダー樹脂とを適当量混合して用いることによ
り、塗液の分散性,分散安定性の悪化を防止できること
が判った。
【0040】図1は機能分離型感光体の電荷発生層の結
着剤としてのバインダー樹脂に式(1)で示されるブロ
ム化フェノキシ樹脂を含ませたときの、バインダー樹脂
中のブロム化フェノキシ樹脂の含有量と電荷発生層用塗
液の分散安定性および感光体の感度との関係を示す線図
である。分散安定性は電荷発生層用塗液調製後分散状態
が良好に保たれている日数で評価した。図1に見られる
とおり、ブロム化フェノキシ樹脂の含有量が90重量%
を超えると分散安定性は急激に悪化し、また、感度はブ
ロム化フェノキシ樹脂の含有量が減少するにつれて低下
してくる。ブロム化フェノキシ樹脂の含有量を5重量%
以上90重量%以下の範囲内とすることにより分散安定
性が良好で、かつ、塗工性,接着性も良好で、しかも高
感度の感光層が形成できる電荷発生層用塗液が得られる
ことが判る。
【0041】ブロム化フェノキシ樹脂と共に用いられる
残余のバインダー樹脂としては、特にポリビニルアセタ
ール樹脂を含むものが好ましい。
【0042】上述のような組成のバインダー樹脂を用い
た電荷発生層用塗液により電荷発生層を形成することに
より、高感度で、耐久性に優れ、長期の反復使用に対し
て特性が安定で、かつ、温度,湿度の変化による特性変
動の少ない感光体を得ることが可能となる。
【0043】さらに、電荷発生層を形成する導電性基体
表面に特別な下引層を設けたり、また、導電性基体とし
てアルミニウムあるいはアルミニウム合金を用いた場合
その表面にアルマイト処理を施したりしなくても、種々
の環境下において良質の画像が得られる感光体が作製で
きることが判った。
【0044】
【実施例】以下、この発明の実施例について詳細に説明
するが、この発明がこれに限定されるものではない。
【0045】(1)電荷発生層用塗液 表1に示すように各種電荷発生物質の70重量部と各種
組成のバインダー樹脂の30重量部とをそれぞれ組み合
わせて有機溶媒に溶解・分散させて電荷発生層用塗液N
o.1〜No.16を調製する。調製方法は、まず、電
荷発生物質70重量部と前記式(1)で示したブロム化
フェノキシ樹脂の所定量とを有機溶媒としてのシクロヘ
キサノン100重量部と混合し、サンドミルで36時間
粉砕して溶解・分散させて分散液を作製し、この分散液
に所定量の残余の樹脂とテトラヒドロフラン3900重
量部とを加えてペイントシェーカーで10時間溶解・分
散させて塗液とした。
【0046】
【表1】
【0047】これらの塗液について塗液調製後室温に放
置したときの電荷発生物質である有機顔料の凝集による
粒径の変化を調べた。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2に見られるとおり、バインダー樹脂に
ポリビニルアセタール樹脂を含ませることにより、電荷
発生物質としての有機顔料の分散性、分散安定性が向上
する。ポリビニルアセタール樹脂を5重量%以上含ませ
ると好ましいことが判る。この効果は、ポリビニルアセ
タール樹脂の種類が変わってもほとんど変わらない。ま
た、有機顔料の種類が変わってもほぼ同様の効果が得ら
れることも判る。
【0050】(2)電荷輸送層用塗液 電荷輸送物質としては下記化合物No.II−1,No.
II−2,No.II−3,No.II−4を用いた。
【0051】
【化7】
【0052】電荷輸送物質として化合物No.II−1,
No.II−2およびNo.II−3を用いる場合には、電
荷輸送物質100重量部とバインダー樹脂としてのポリ
カーボネート樹脂(パンライトL−1225;帝人化成
(株)製)100重量部とをジクロルメタン600重量
部に溶解させて塗液とした。また、高分子状の化合物N
o.II−4を用いる場合には、バインダー樹脂を用いる
ことなく、化合物をトルエンに濃度15重量%になるよ
うに溶解して塗液とした。
【0053】所要の機械加工、表面処理を施したアルミ
ニウム合金円筒(外形60mmおよび80mm)からな
る導電性基体上に、または、この導電性基体上に可溶性
ナイロンCM−4001(東レ(株)製)をメタノール
に濃度1.5重量%となるように溶かした溶液を浸漬塗
布して形成した膜厚1μmの下引層上に、前記各種電荷
発生層用塗液をそれぞれ浸漬塗布し乾燥して、膜厚0.
1μmの電荷発生層を形成した。これらの電荷発生層上
に前述の各種電荷輸送層用塗液を浸漬塗布して膜厚20
μmの電荷輸送層を形成し、表3に示すような電荷発生
層と電荷輸送層との組合せからなる感光体No.1〜N
o.19を作製した。
【0054】
【表3】
【0055】これらの感光体について、静電気特性試験
機(自社製)を用いて、初期表面電位Vo(ボルト),
5秒後の電荷保持率(暗中放置5秒後の表面電位をVo
で除した値に100を掛けたもの)Vk5(%)を測定し
た。続いて、電荷発生物質としてフタロシアニン系顔料
を用いており長波長光領域に感度を有する感光体No.
1〜No.9については、波長780nm、光量1.0
μW/cm2 の単色光を照射して表面電位が1/2にま
で減衰する時間を測定して半減露光エネルギーE
1/2 (μJ/cm2 )を求め、また、5μJ/cm2
光後の残留電位Vr(ボルト)を測定した。また電荷発
生物質として9,10−ジブロムアントアントロンを用
いている感光体No.10〜No.12、9,10−ジ
ブロムアントアントロンとアゾ化合物である化合物N
o.I−1とを9:1の比率で混合したものを用いてい
る感光体No.13、アゾ化合物である化合物No.I
−1を用いている感光体No.14〜No.19につい
ては、2.1ルックスの白色光を照射して表面電位が1
/2にまで減衰する時間を測定して半減露光エネルギー
1/ 2 (ルックス・秒)を求め、また、10ルックス・
秒露光後の残留電位Vr(ボルト)を測定した。
【0056】感光体の初期性能について以上の測定を、
低温低湿環境下(温度10℃、相対湿度40%),常温
環境下(温度22℃,相対湿度60%),高温高湿環境
下(温度35℃,相対湿度85%)で行った。その結果
を、感光体No.1〜No.9については表4,表5,
表6に、感光体No.10〜No.19については表
7,表8,表9に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】以上の表5〜表9より、感光体No.7,
No.8,No.18は感度が悪く残留位が大きく、し
かもこれらの特性の環境依存性が大きいことが判る。こ
れらの感光体はいずれもその電荷発生層のバインダー樹
脂に前記式(1)のブロム化フェノキシ樹脂が含まれて
いないもの、またはその含有量が少ないものであり、電
荷発生層のバインダー樹脂に5重量%以上のブロム化フ
ェノキシ樹脂を含ませる効果は明らかである。また、電
荷発生層のバインダー樹脂に多量のブロム化フェノキシ
樹脂を含む感光体No.9,No.19は特性は良好で
あるが表2に見られるとおり電荷発生層用塗液の分散
性,分散安定性に問題があり、電荷発生層を均一に塗工
性良く量産的に形成することが難しくなる。ブロム化フ
ェノキシ樹脂の含有量は90重量%以下とすることが望
ましい。
【0064】また、感光体No.1〜No.9について
帯電−波長780nmの光による光除電を、感光体N
o.10〜No.19について帯電−白色光による光除
電を常温常湿環境下でそれぞれ1万回繰り返した後に常
温常湿環境下で前記性能の評価を行った。その結果を表
10,表11にそれぞれ示す。
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】表10および表11の値と表5および表8
の値とを比較すると、感光体No.7およびNo.18
は帯電−光除電を1万回繰り返したことにより、感度お
よび残留電位が若干悪化してきていることが判る。この
ことより電荷発生層のバインダー樹脂にブロム化フェノ
キシ樹脂を含ませることにより耐久性が向上する効果が
あると考えられる。
【0068】次に、感光体No.1〜No.9を半導体
レーザビームプリンタ(レーザージェット:ヒューレッ
トパッカード社製)に装着し、また、感光体No.10
〜No.19を複写機(EP−490Z:ミノルタ社
製)に装着し、画質評価を行った。まず低温低湿,常温
常湿および高温高湿の各環境下で画像出しを行って初期
の画質を評価し、続いて常温常湿環境下で一万回画像出
しを行った後の画質を評価した。その結果をそれぞれ表
12,表13に示す。
【0069】
【表12】
【0070】
【表13】
【0071】表12および表13より、感光体No.
7,No.8,No.18,No.19は常温常湿環境
下では良好な画像が得られるが、低温低湿環境下あるい
は高温高湿環境下では画質に問題が生じ環境特性に問題
があることが判る。また、1万回画像出し後では常温常
湿環境下でも画質が悪化しており、耐久性にも問題があ
ることが判る。電荷発生層のバインダー樹脂にブロム化
フェノキシ樹脂を5重量%以上90重量%以下の範囲内
で含ませる効果は画像上でも明らかである。
【0072】以上の各評価において、感光体No.1と
感光体No.2とは同等の性能を有している。このこと
より、電荷発生層のバインダー樹脂にブロム化フェノキ
シ樹脂を含ませることにより、導電性基体上に下引層を
設ける必要性がなくなることが判る。
【0073】
【発明の効果】この発明によれば、電荷発生層に用いる
バインダー樹脂に前記式(1)で示されるブロム化フェ
ノキシ樹脂を5重量%以上90重量%以下の範囲内で含
ませることにより、電荷発生物質としての有機顔料の分
散性,分散安定性が良好で、塗工性に優れており、接着
性が良好で電荷輸送能の優れた電荷発生層を量産的に形
成できる電荷発生層用塗液が得られ、この塗液を用いる
ことにより、高感度で、耐久性に優れ、長期に反復使用
しても特性が安定で、かつ、温度,湿度の変化による特
性の変動の少ない電子写真用感光体を得ることが可能と
なる。
【0074】電荷発生層のバインダー樹脂としてブロム
化フェノキシ樹脂と共にポリビニルアセタール樹脂を含
ませると、電荷発生層用塗液の分散性,分散安定性が向
上するので特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電荷発生層のバインダー樹脂中のブロム化フェ
ノキシ樹脂含有量と電荷発生層用塗液の分散安定性およ
び感光体の感度との関係を示す線図
フロントページの続き (72)発明者 高橋 章 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−213665(JP,A) 特開 平2−22660(JP,A) 特開 平2−135453(JP,A) 特開 平4−188143(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を
    含む感光層を備えてなる電子写真用感光体において、電
    荷発生層が電荷発生物質としての有機顔料と結着剤とし
    てのバインダー樹脂とを含んでなり、そのバインダー樹
    脂が下記式(1)で示されるブロム化フェノキシ樹脂を
    5重量%以上90重量%以下の範囲内で含んでいること
    を特徴とする電子写真用感光体。 【化1】
  2. 【請求項2】前記バインダー樹脂がさらにポリビニルア
    セタール樹脂を含んでいることを特徴とする請求項1記
    載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】電荷発生物質としての有機顔料をバインダ
    ー樹脂としてのブロム化フェノキシ樹脂のみを溶解した
    第一のバインダー樹脂溶液に分散させ、続いてこの分散
    液をブロム化フェノキシ樹脂以外の残部のバインダー樹
    脂を溶解した第二のバインダー樹脂溶液に混合分散させ
    た後、この混合分散液を導電性基体上に塗布して電荷発
    生層を形成する工程を含むことを特徴とする電子写真用
    感光体の製造方法。
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