JP2938771B2 - 孔版印刷方法及び孔版印刷装置 - Google Patents

孔版印刷方法及び孔版印刷装置

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JP2938771B2
JP2938771B2 JP28994894A JP28994894A JP2938771B2 JP 2938771 B2 JP2938771 B2 JP 2938771B2 JP 28994894 A JP28994894 A JP 28994894A JP 28994894 A JP28994894 A JP 28994894A JP 2938771 B2 JP2938771 B2 JP 2938771B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッド等で穿
孔した孔版用のマスタを印刷ドラムに巻装して印刷を行
う孔版印刷装置、及び孔版印刷方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷方法とは、穿孔画像を形成され
た孔版用のマスタの一方の面にインキを供給し、このイ
ンキをマスタの開孔部を通過させ、反対側にある印刷用
紙に転移させて画像を形成する方法である。孔版印刷方
法が使用される代表的なものとして、謄写版、簡易孔版
印刷装置、謄写印刷装置、デジタル製版印刷装置などが
ある。デジタル製版印刷装置に一般的に使用されている
印刷ドラムの構成は、その内側から円筒状の多孔性薄
板、一層あるいは複数層からなるスクリーン層の順とな
っている。
【0003】多孔性薄板は、ステンレス鋼やニッケル電
鋳などにより円筒状に形成され、インキが通過する多数
の小さな孔が穿たれている。スクリーン層は、多孔性薄
板から出てきたインキを均一に拡散し印刷画像にムラが
生じないように設けられている。よって、多孔性薄板の
孔の径やピッチをできるだけ小さくするのが望ましい
が、多孔性薄板の強度や加工コストの関係から、多孔性
薄板の孔の径やピッチは、ある程度の大きさとピッチに
決定されている。
【0004】マスタは、和紙や化学繊維の不織布、また
はそれらを混抄した多孔性支持体の表面にポリエステル
などの熱可塑性樹脂フィルムを張り合わせた積層構造で
できている。最近、マスタとして、多孔性支持体を用い
ずに、薄い延伸ポリエステルフィルムなどに必要に応じ
て帯電防止剤層や、サーマルヘッドの発熱体とのスティ
ックを防止するスティック防止剤層などを形成した実質
的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタが考えら
れている。このマスタの場合、多孔性支持体がないた
め、従来の印刷ドラムの最外層のスクリーン層の選択が
重要となる。
【0005】そこで、特願平5−120935号に、印
刷ドラムの多孔性薄板を小固形物の焼結体で構成し、そ
の多孔質部分を、従来の多孔性薄板、スクリーン層、マ
スタの多孔性支持体の機能に置き換える試みが提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の多孔性薄板の孔
の径とピッチでは、多孔性薄板の外側に直接マスタを巻
装して印刷すると、印刷画像のベタ部に多孔性薄板の孔
から出たインキがそのまま点状に印刷されるという不具
合が生じる。そこで、特開平3−67682号公報に多
孔性薄板の外周面に凹凸を設け孔から出たインキをマス
タの手前で拡散させる技術が提案されているが、多孔性
薄板は金属であるため、その凹凸のエッジによりマスタ
が破損するという問題がある他、凹凸のピッチが荒い場
合に、プレスローラにより印圧がかかるとマスタが凹部
に落ち込み、印刷用紙と十分に接触しないため印刷画像
にムラが発生するという問題がある。
【0007】従来画像品質向上の目的のために、スクリ
ーン層を何枚重ねるか、そのメッシュ値の大きさをどの
程度に設定するか、その材質を何にするか等の選択は、
数多くの実験と経験とに頼らざるを得なかった。
【0008】印刷ドラムのスクリーン層のメッシュ値を
200メッシュ程度に細かくした孔版印刷装置が特開昭
57−51485号公報に提案されているが、インキの
改良などにより、このスクリーン層ではインキの通過性
が悪くメッシュ値を下げなければならないという問題が
ある。またスクリーン層の材質によっては、インキの通
過性が良過ぎて印刷画像ににじみが現れて、メッシュ値
を上げなければならないという問題もある。
【0009】上述の実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみ
からなるマスタを使用する場合には、マスタに多孔性支
持体がなく、インキの転移量をスクリーン層で制御しな
ければならないので、更にメッシュ値の高いものを選択
しなければならず、数多くの実験により決定しなければ
ならない。
【0010】一概にスクリーン層のメッシュ値だけでは
適正な印刷ドラムを構成することはできず、多孔性薄板
の孔の径、孔のピッチ、スクリーン層の厚さ、スクリー
ン層のメッシュ値、スクリーン層の材質、スクリーン層
の織り方、スクリーン層のオープニングエリア、スクリ
ーン層の濡れ性、メッシュ値の異なるスクリーン層の重
ね合わせ方、インキの粘度、印刷するときのプレスロー
ラによる印圧力や印圧時間などの、インキが多孔性薄板
の内周面に供給されてから多孔性薄板の開口部、スクリ
ーン層、マスタに多孔性支持体のある場合には多孔性支
持体、マスタの熱可塑性樹脂フィルムの穿孔された孔を
通過して印刷用紙に転移するまでのインキの径路を構成
する部分の特性をすべて考慮しなければならず、それら
は経験に頼る部分が多かったので、多くの時間と労力と
を要していた。
【0011】従来の印刷ドラムでは、使用されるインキ
の粘度が温度により変化するため、印刷ドラムの内部に
ヒータを内蔵する試みがなされている。しかし、孔版印
刷装置で通常使われるインキはW/O型のエマルジョン
インキであり、一般には、不乾性油、不揮発油に顔料を
均一に分散させた油相約10〜50%中に、水相約50
〜90%を乳化させたものであるため、長時間のヒータ
の使用では、インキ中の水分が蒸発するという不具合が
生じていた。また、印刷ドラムが交換可能な孔版印刷装
置の場合には、インキの色毎に印刷ドラムを用意し、簡
単に色替えができるようになっているが、インキによっ
て粘度が多少異なる場合があるため、印刷ドラムの構成
が同じ場合には、色替えを行うと画像濃度が異なって印
刷されるという不具合が生じていた。
【0012】本発明の目的は、上述の問題点を解決し、
印刷時に最大のインキの吐出量が得られるインキの通過
経路の構成を簡単に導き出せる印刷方法及び印刷装置を
提供し、経験に頼らず、画像品質の良い印刷物を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
穿孔された孔版用のマスタフィルムの上に多孔質弾性体
層を設け、その上にインキの不通過層を設け、上記マス
タフィルムの下に印刷用紙を配置し、上記多孔質弾性体
層にインキが供給された状態で、上記印刷用紙と上記不
通過層との間で加圧し、上記多孔質弾性体層を押圧し変
形させることにより、上記マスタフィルムの穿孔された
開孔部を通してインキを押し出して上記印刷用紙に転移
させて印刷する孔版印刷方法において、上記多孔質弾性
体層の厚さをh、透過率をκ、弾性定数をEとしたと
き、次の式で決まる特性時間tc をもって加圧すること
を特徴とする。tc =h2/(κE)
【0014】請求項2記載の発明は、外周面に孔版用の
マスタフィルムが巻装され、内周面よりインキを供給さ
れつつ、その中心軸の回りに回転する印刷ドラムと、上
記マスタフィルムに印刷用紙を押圧する押圧部材とを有
する孔版印刷装置において、上記マスタフィルムと接触
する上記印刷ドラムのインキ導通部分は、多孔質弾性体
層より構成され、上記多孔質弾性体層は、その厚さを
h、その透過率をκ、その弾性定数をEとして、次の式
で決まる特性時間tc が、孔版印刷装置の常用する印刷
速度で印刷用紙が印刷されたとき、上記常用する印刷速
度と、上記印刷ドラムの直径と、上記押圧部材と上記印
刷ドラムとの接触部分の周方向長さとから決まる加圧時
間の範囲内にあるように構成されたことを特徴とする。
c =h2/(κE)
【0015】請求項3記載の発明は、外周面に孔版用の
マスタフィルムが巻装され、内周面よりインキを供給さ
れつつ、その中心軸の回りに回転する印刷ドラムと、上
記マスタフィルムに印刷用紙を押圧する押圧部材とを有
する孔版印刷装置において、上記印刷ドラムは、多孔性
の実質的剛体からなる多孔性薄板と、上記多孔性薄板の
外側に形成された多孔質弾性体層とから構成され、上記
多孔質弾性体層は、その厚さをh、その透過率をκ、そ
の弾性定数をEとして、次の式で決まる特性時間tc
が、孔版印刷装置の常用する印刷速度で印刷用紙が印刷
されたとき、上記常用する印刷速度と、上記印刷ドラム
の直径と、上記押圧部材と上記印刷ドラムとの接触部分
の周方向長さとから決まる加圧時間の範囲内にあるよう
に構成されたことを特徴とする。tc =h2/(κE)
【0016】請求項4記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の孔版印刷装置において、上記多孔質弾性体
層は複数の多孔質弾性体層からなることを特徴とする。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項4記載の孔
版印刷装置において、上記複数の多孔質弾性体層の内側
から、上記マスタフィルムと接触する上記多孔質弾性体
層の最外層に向けて上記透過率が徐々に小さくなるよう
に構成され、かつ、上記複数の層のうちで弾性定数の小
さい層が、弾性定数の大きい層の内側になるような組合
せが少なくとも1つあるように構成されたことを特徴と
する。
【0018】請求項6記載の発明は、請求項2ないし請
求項5のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、上記印刷ドラムに巻装される孔版用のマスタが、上
記マスタフィルムと、該マスタフィルムを支持する多孔
性支持体とを張り合わされて形成され、上記印刷ドラム
に巻装されたときに、上記多孔性支持体が上記多孔質弾
性体層の一部を構成することを特徴とする。
【0019】請求項7記載の発明は、請求項2ないし請
求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、上記多孔質弾性体層の透過率を代用的に検出する手
段と、上記多孔質弾性体層の厚さをh、透過率をκ、弾
性定数をEとしたとき、次の式で決まる特性時間tc
もって加圧されるように上記印刷ドラムの回転数を制御
する制御装置とを有することを特徴とする。tc =h2
/(κE)
【0020】
【0021】
【実施例】以下、本発明の孔版印刷方法の一例を図面を
参照して説明する。図1において、符号31は、孔版用
のマスタフィルムを示し、このマスタフィルム31は実
質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる。マスタフィ
ルム31は、穿孔され開孔部35が形成され、穿孔画像
が書き込まれている。マスタフィルム31の上には、イ
ンキが供給された多孔質弾性体層32が配置され、その
上にはインキ不通過層34が設けられ、マスタフィルム
31の下には印刷用紙13が配置されている。この状態
で、印刷用紙13と、インキ不通過層34との間で適宜
の手段で加圧することにより、多孔質弾性体層32が押
圧され変形することにより、変形した分のインキがマス
タフィルム31の開孔部35を通して押し出され印刷用
紙13に転移され、穿孔画像に対応した印刷画像が形成
される。適宜の手段による加圧とは、多孔質弾性体層3
2の厚さをh、透過率をκ、弾性定数をEとしたとき、
式tc =h2 /(κE)で決まる特性時間tc をもって
加圧することである。具体的に多孔質弾性体層32は、
上述のスクリーン層、多孔性支持体などである。なお、
本発明の印刷方法は、特開平1−204781号公報に
示されているように、インキ通過部が、線材を織製又は
編製してなる網材のみにて実質的に構成され、裏押しロ
ーラと中押しローラで挟んで印刷する孔版印刷装置や謄
写版に採用しても良い。
【0022】図2に本発明の一実施例を示す。同図にお
いて、符号100は印刷ドラムを示す。印刷ドラム10
0は、内周面を形成する多孔性で円筒状の多孔性薄板1
と、多孔質弾性体層としての外周面を形成するスクリー
ン層2とから構成されている。多孔性薄板1は後述する
インキパイプを兼ねる回転中心軸5の回りに回転可能に
支持されていて、図示しないモータにより回動される。
【0023】多孔性薄板1は、ステンレスなどの金属に
より円筒状に形成され、その外周面に孔版用のマスタ4
をクランプするクランプ手段19を有する。多孔性薄板
1の、クランプ手段19とその周辺部とを除く他の部分
Lには、図3に示すように、インキを通過させるための
多数の開孔1aが穿孔されている。
【0024】スクリーン層2には、多孔性薄板1と同様
にインキを通過させるため、テトロンやナイロンなどの
合成樹脂繊維又はステンレスの繊維などの繊維状の素材
を網目状に交差させた多数のオープニングエリアが形成
されている。図2には、スクリーン層2が1層のみ示さ
れているが、本実施例において、スクリーン層2は、2
層設けられている。
【0025】図2において、印刷ドラム100の右側上
部には、図示しない製版手段により穿孔製版されたマス
タ4を搬送する給版ローラ対14と、給版ローラ対14
とクランプ手段19との間に配置されマスタ4をクラン
プ手段19へ案内するガイド板15とが配置されてい
る。
【0026】マスタ4は、図3に示すように、非常に薄
いポリエステルなどの熱可塑性樹脂の孔版用のマスタフ
ィルム4bと、このマスタフィルム4bを支持する多孔
性支持体4aとを貼り合わせたラミネート構造となって
いる。なお、マスタフィルム4bは、上述のマスタフィ
ルム31と同一の材質のものにより形成されている。多
孔性支持体4aは、楮、三椏、マニラ麻、亜麻などの天
然繊維の多孔性薄葉紙や、レーヨン、ビニロン、ポリエ
ステルなどの化学繊維の不織布、又は天然繊維と化学繊
維とを混抄した不織布などが用いられ、それらの繊維間
の空隙によりインキの保持、拡散が行われる。
【0027】クランプ手段19は、多孔性薄板1の外周
面の母線に沿って設けられたステージ部3と、このステ
ージ部3に対向する部位に配置され、クランパ軸27a
により揺動可能に支持されたクランパ27とにより構成
されている。
【0028】印刷ドラム100の内部には、多孔性薄板
1の内周面にインキを供給するインキローラ6と、イン
キローラ6と僅かな間隙Aを置いて平行に配置され、イ
ンキローラ6との間にインキ溜り8を形成するドクター
ローラ7と、インキ溜り8へインキを供給するインキパ
イプ5とが配置されている。ここに、インキローラ6、
ドクターローラ7及びインキパイプ5がインキ供給装置
200を構成する。
【0029】インキローラ6に対向する印刷ドラム10
0の外周面の下方近傍には、印刷用紙13を印刷ドラム
100へ押し付ける押圧部材としてのプレスローラ9
と、プレスローラ9へ所定のタイミングで印刷用紙13
を送り出すレジストローラ対12とが配置されている。
【0030】図2において、印刷ドラム100の外周面
の左側近傍には、排版部300が配設されている。排版
部300は、印刷ドラム100の外周面から剥離された
使用済のマスタ(図示しない)を収容する排版ボックス
18と、この使用済のマスタを印刷ドラム100の外周
面から剥離し、排版ボックス18内へ移送する一対の排
版ローラ対16,17とを有する。
【0031】図2において、印刷ドラム100の外周面
の右側の下方近傍には排紙部400が配設されている。
排紙部400は、印刷ドラム100で印刷された図示し
ない印刷済の印刷用紙を順次積載する排紙トレイ11
と、印刷ドラム100の近傍に配置された、印刷済の印
刷用紙を印刷ドラム100から剥離する剥し爪10とを
有する。
【0032】次に、この孔版印刷装置の動作について説
明する。図2において、印刷ドラム100は、クランプ
手段19のクランパ27とステージ部3との間に、製版
手段により穿孔製版されたマスタ4の先端部を挾持して
いる。マスタ4は、スクリーン層2の外周面に巻装され
ている。先ず、図示しない給紙装置により1枚の印刷用
紙13がレジストローラ対12に給送され、レジストロ
ーラ対12により印刷ドラム100の回転と同期した所
定のタイミングで、スクリーン層2の外周面に巻装され
ているマスタ4とプレスローラ9との間に印刷用紙13
が挿入される。この時、インキローラ6も印刷ドラム1
00の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜り8の
インキは、インキローラ6の回転によりインキローラ6
の表面に付着され、インキローラ6とドクターローラ7
との間隙Aを通過する際にその量を規制されて多孔性薄
板1の内周面に供給される。多孔性薄板1の内周面に供
給されたインキは、インキローラ6の更なる回転により
多孔性薄板1の開孔1a、スクリーン層2のオープニン
グエリアを通過し、マスタ4のスクリーン層2と接触す
る面に供給される。そして、印刷ドラム100の外周面
から離間していたプレスローラ9が上方に移動し、回転
する印刷ドラム100のスクリーン層2の外周面に巻装
されたマスタ4に印刷用紙13が押圧されることによ
り、マスタ4の穿孔部分からインキが印刷用紙13の表
面に転移されて印刷される。そして、印刷された印刷用
紙13は、剥し爪10によって印刷ドラム100の外周
面から剥離されて排紙トレイ11上に排出され、最初の
1枚目の印刷が終了する。次に上記動作と同様の動作に
より、所定枚数の印刷が順次連続的に行われる。
【0033】印刷を終了し次の原稿の画像を印刷すると
きには、新たにマスタ4を印刷ドラム100の外周面に
巻装する前に、先に使用した使用済のマスタを印刷ドラ
ム100の外周面から剥離する。この際、印刷ドラム1
00は時計回り方向に回転され、マスタの後端部が排版
ローラ16の位置で停止する。排版ローラ16、17が
それぞれ矢印方向へ回転を開始し、排版ローラ16が図
中の実線の位置より2点鎖線の位置へ移動し、印刷ドラ
ム100の外周面の使用済のマスタの後端部に圧接した
後、印刷ドラム100が協動回転して剥離を開始する。
マスタの後端部を排版ローラ16、17が挟んだ後は、
排版ローラ16は図中の実線の位置へ戻る。印刷ドラム
100が時計回り方向に回転をしながら順次剥離される
が、クランパ27が排版ローラ17の直前にきたところ
で印刷ドラム100は一度停止し、クランパ27を開放
する。これによってマスタ4の先端部は開放される。そ
の後、再びクランパ27は閉じられ、印刷ドラム100
は、時計回り方向の回転を続ける。印刷ドラム100の
外周面から剥離された使用済のマスタは、排版ボックス
18内へ廃棄される。その後、印刷ドラム100は定位
置で停止し、クランパ27を開いて給版待機状態とな
り、次に製版されたマスタを受け入れる。
【0034】以下、本発明に至ったモデルと数値計算に
ついて説明する。図3において、多孔性薄板1は、スク
リーン層2、マスタ4に比べ、剛性が大きく実質的に剛
体と見なせるので、変形を無視することができる。上述
したように、円筒状に形成された多孔性薄板1の直径
は、スクリーン層2、マスタ4の厚さに比べ十分に大き
いので、スクリーン層2、マスタ4の応答解析では、そ
れらを平面層と見なすことができる。換言すると、各層
は曲率を持たないということである。インキで飽和した
スクリーン層2、マスタ4の多孔性支持体4aは、その
構成材料の体積弾性係数およびインキの体積弾性係数に
比べて、厚さ方向の圧縮に体するコンプライアンスが非
常に大きいので、インキ即ち流体を含む多孔質弾性体の
非圧縮モデルが成り立つと考えられる。即ちインキと、
スクリーン層2、マスタ4は、体積変化がないと考え
る。
【0035】多孔性薄板1とプレスローラ9との回転に
ともない、スクリーン層2とマスタ4の多孔性支持体4
aとからなる多孔質弾性体層20は、等速度で移動する
ヘルツの接触圧を受ける。従って、多孔質弾性体層20
がヘルツの接触圧分布に従って、時間的に変動する圧力
を受けると見なすことができるので、この問題は、時間
には依存するが空間的には決まっている一次元の問題に
置き換えられる。よって非回転変位場の場合の基礎式を
適用することができる。インキ即ち流体を含む多孔質弾
性体の力学の基礎式において、ここでは非圧縮モデルを
考えるので、非排水の状態でのポアソン比は、νu =1
/2、スケンプトン定数は、B=1である。従って、流
体を含む非圧縮多孔質弾性体の構成式は、次の通りにな
る。
【0036】
【数1】
【0037】ここで、応力σ=σ(z,t)、歪ε=ε
(z,t)、空隙流体圧p=p(z,t)、質量フラッ
クスq(z,t)で、E’は平面変形での弾性定数(も
し多孔質弾性体が等方性ならば、E’はヤング率E0
次の関係にある。:E’=E0 (1−ν)/(1+ν)
/(1−2ν)、ただし、νはポアソン比)、ρ0 は流
体すなわちインキの密度、κは多孔質弾性体の透過率
(permeability)である。物体力のない場
合、平衡方程式は次の通りである。
【0038】
【数2】
【0039】空隙流体の拡散方程式は次の通りである。
【0040】
【数3】
【0041】ただし、g(t)は時間だけの関数で、次
の式で与えられる。
【0042】
【数4】
【0043】また、ひずみと変位u=u(z,t)の関
係は次の通りである。
【0044】
【数5】
【0045】以上が非回転変位場の非圧縮モデルの基礎
式である。
【0046】ヘルツの接触圧分布のように変動する荷重
に対する応答をデュアメルの積分によって求めるため、
まずステップ荷重に対する応答(インディシャル・アド
ミッタンス)を求める。実施例では、スクリーン層2を
2層設けているが、それぞれの弾性定数と透過率とは、
近い値であるので2層を1層のものとし、厚さh1 のス
クリーン層2と、厚さh2 のマスタ4の多孔性支持体4
aとの透過率と弾性定数とをそれぞれκi、Ei’(i
=1,2)とする。以下、スクリーン層2に関する諸量
には添字1を、マスタ4には添字2を付す。またzは多
孔質弾性体層の上面(多孔性薄板1とスクリーン層2と
の境界)から層内に下向きに取るものとする(図3参
照)。多孔性薄板1には、インキの供給のための多数の
開孔1aが設けられている。ここでは、簡単にするた
め、開孔1aのある部分とない部分とを別々に解析す
る。開孔1aの部分の占める面積は、約10%〜20%
程度なので、多孔性薄板1の開孔1aからのインキの供
給を差し当たり無視して解析してもインキの押出し効果
についてのおおよその評価はできるものと思われる。開
孔1aのない部分の境界条件は、
【0047】
【数6】
【0048】
【数7】
【0049】
【数8】
【0050】である。ここで、H(t)はヘヴィサイド
の単位ステップ関数である。式(6)の第一式は、巻き
付けの張力によりスクリーン層2が多孔性薄板1に密着
していることを示し、第二式は、インキの流れないこと
を示す。式(7)は、それぞれ応力とインキ・フラック
スの連続条件である。式(8)は、荷重条件で、プレス
ローラ9で圧着された印刷用紙13とマスタ4の境界で
インキが自由に流出できるものと仮定している。即ち、
通常、印刷用紙13の表面は凹凸であり、それに比べて
マスタ4の開孔部から吐出するインキは微量であるの
で、印刷用紙13がインキの吐出を阻害することはない
と仮定している。
【0051】ラプラス変換した基礎式(1)〜(5)を
境界条件式(6)〜(8)の下に解き、式(1)の第二
式によりマスタ4の下面(z=h)からのインキの(ラ
プラス像空間での)アウトフラックスを求める。それを
留数定理により逆変換すると、インキのアウトフラック
スq0 (τ)は、
【0052】
【数9】
【0053】となる。ここで、τは多孔質弾性体層20
の特性時間tc (=h2 /κE’)による時間tの無次
元量で次式で定義される。
【0054】
【数10】
【0055】また、Anは、
【0056】
【数11】
【0057】となる。ここで、
【0058】
【数12】
【0059】さらに、Xn (n=0,1,2,‥‥)
は、小さいものから順に並べられたXに関する次の方程
式の正根である。
【0060】
【数13】
【0061】また、κ、E’はそれぞれ等価透過係数及
び等価弾性係数で、次式で定義される。
【0062】
【数14】
【0063】
【数15】
【0064】プレスローラ9によるスクリーン層2と多
孔性支持体4aの圧縮は多孔性薄板1、プレスローラ9
の回転に伴い移動するので、その履歴をヘルツの接触圧
の分布と同じと考えることができる。従って、ヘルツの
最大接触圧をPmとすると、加圧履歴P(τ)は、
【0065】
【数16】
【0066】となる。ただし、τ1 は多孔質弾性体層2
0の特性時間tc (=h2 /κE’)により無次元化さ
れた加圧時間である。この加圧履歴によるインキの質量
フラックスQ(τ)は、
【0067】
【数17】
【0068】となる。ただし、P’(β)はβに関する
P(β)の微分を表す。また、プレスローラ9が印刷用
紙13を多孔性薄板1に押しつけている間だけインキが
印刷用紙13に吐出するものとすれば、インキの吐出量
Mは、
【0069】
【数18】
【0070】で与えられる。式(9)(16)を式(1
7)に代入して積分を実行し、さらにその結果を式(1
8)に代入して積分を実行すると、それぞれインキの質
量フラックスQ(τ)、インキの吐出量Mが閉じた形で
得られる。即ち、
【0071】
【数19】
【0072】
【数20】
【0073】
【数21】
【0074】となる。ここで加圧時間とは、多孔質弾性
体層20がプレスローラ9によってヘルツの接触圧を受
けて図4に示すように加圧されたときのt1 (se
c)、すなわち印刷ドラム100の回転数n(rpm)
と印刷ドラム100の直径D(mm)と、印刷時のプレ
スローラ9と印刷ドラム100との接触部分の周方向長
さl(mm)とから決まる時間のことであり、この場合
次の式から求められる。
【0075】t1 =l×60/(D×π×n) 常用する印刷速度すなわち印刷ドラム100の回転数に
は通常、幅があるので加圧時間範囲がある。
【0076】図5に質量フラックスの時間的変化の計算
結果を示し、図6にインキの吐出量の加圧時間依存性の
計算結果を示す。図5の縦軸は無次元化されたインキの
質量フラックスであり、横軸は加圧時間での無次元化時
間である。図5の結果から、加圧時間が短いほどインキ
質量フラックスの変動が大きく、また加圧時間帯の後半
にマイナスの質量フラックス、すなわちインキの多孔質
弾性体層20への吸い戻しが発生することがわかる。こ
のインキの吸い戻しは、多孔質弾性体層20の弾性変形
回復によって生じている。
【0077】図6の縦軸は無次元化されたインキ吐出量
であり、横軸は特性時間tc での無次元化加圧時間であ
る。インキの吐出量にはピークがあり、加圧時間がほぼ
多孔質弾性体層20の特性時間tc に等しい時に、最大
値をとることがわかる。上記の計算結果をもとに実験を
行ったところ、上述の実施例の積層したスクリーン層2
には、インキの吐出と吸引との作用が働くことがわかっ
た。
【0078】また孔版印刷装置(プリポートVT350
0 (株)リコー製)を使用して次のような実験を行っ
た。常用する印刷速度はおよそ40〜120枚/分程度
である。これは通常、印刷ドラムの回転数nを表す。
【0079】例えば印刷速度80枚/分を選び、この回
転数80(rpm)と印刷ドラム100の直径Dと、印
刷時のプレスローラ9と印刷ドラム100との接触部分
の周方向長さl(ニップ長さ)とから決まる加圧時間
は、およそ8E−3(sec)即ち0.008(se
c)である。
【0080】多孔質弾性体層20としてポリエステル、
ナイロン、ステンレスなどの繊維からなる種々のスクリ
ーンメッシュを組合せ、特性時間tc の異なる11種の
印刷ドラムを構成し、印刷を行った結果を次の表1に示
す。
【0081】
【表1】
【0082】実験の結果より、特性時間tc が加圧時間
に近いところで最大の画像濃度が得られ、裏移りも非常
に少ないということが確認された。なお、画像濃度ID
の測定は、マクベス反射濃度計を用いて測定した。
【0083】上述の効果を、本発明の一実施例を示す図
2に示した孔版印刷装置の印刷部の主要断面図である図
11と図12を用いて詳しく説明する。従来の通常印刷
状態を示す図11において、印刷ドラム100は、図の
上方よりインキローラ6、開孔1aを有した多孔性薄板
1、インキ保持層103、マスタフィルム4bから構成
されている。インキ保持層103は、2層のスクリーン
層2と孔版用マスタ4の多孔性支持体4aとの3層から
構成されている。インキローラ6の下部、多孔性薄板1
の開孔1a、インキ保持層103にはインキ101が充
満されている。マスタフィルム4bの下には、印刷用紙
13が、押圧部材としてのプレスローラ9の加圧力によ
って接触している。印刷用紙13の表面には凹凸がある
ので、図11ではマスタフィルム4bと印刷用紙13と
の間に隙間を設けて図示している。
【0084】プレスローラ9による加圧の範囲、即ち、
接触部分の周方向長さlは、印刷ドラム100が一定速
度で回転しているため、加圧時間と考えることができ
る。プレスローラ9による加圧が始まると、インキ10
1がマスタフィルム4bから吐出して印刷用紙13と接
触し、印刷用紙13の繊維に付着する。加圧の後半にな
ってもインキ101は停滞し続けるので、マスタフィル
ム4bの穿孔された開孔部35が独立しているにも関わ
らず、吐出したインキ101同士がマスタフィルム4b
の表面と印刷用紙13の表面との間で融合した状態とな
る。インキ101が印刷用紙13の表面と接触した瞬間
から、印刷用紙13の内部へのインキ101の浸透も進
行している。
【0085】さらに、加圧が終了し、印刷用紙13がマ
スタフィルム4bから剥離するところでは、印刷用紙1
3に付着したインキ101とマスタフィルム4b側のイ
ンキ101が切れることになるが、インキ101は粘性
を有しているため、図のように糸引き状態となって切れ
ることになる。印刷用紙13に付着したインキ101
は、前述のように融合して印刷用紙13の表面上での接
触面積が広くなっていることと、印刷用紙13の内部へ
の浸透も進んでいることによって、印刷用紙13側のイ
ンキ101の引きが強くなり、マスタフィルム4b側か
ら多くのインキ101を引き出して切れることとなる。
図中の矢印A1 は、インキ101の流れの方向と大きさ
を表している。
【0086】マスタフィルム4b側から多くのインキ1
01が引き出されると、印刷用紙13の表面には、画像
濃度にはあまり寄与せず浸透しきれない余分なインキ1
01が盛られることになり、印刷用紙13が排紙トレイ
11に積載され、次の印刷用紙がその上に積載されたと
きに、積載された印刷用紙の裏面に前の印刷用紙13の
表面に盛られたインキ101が付着、転移し、所謂、裏
移りが生じることとなる。また、上述のように、独立穿
孔された開孔部35から吐出したインキ101が印刷用
紙13の表面上で融合しているため、印刷用紙13上に
形成された印刷画像102は、解像度が悪くにじみの多
い画像となっている。
【0087】一方、本発明の印刷方法を適用した印刷状
態を示す図12において、多孔質弾性体層20は、その
厚さh、透過率κ及び弾性定数Eで決まる特性時間tc
が、印刷速度と印刷ドラム100の直径Dと接触部分の
周方向長さlとから決まる加圧時間と同じになるよう
に、その厚さhと透過率κと弾性定数Eとが決められて
いる。プレスローラ9による加圧は、上述のようにヘル
ツの接触圧分布であり、時間による変化を場所による変
化に置き換えると図12中に示したグラフのようにな
る。インキ101の質量フラックスQ(τ)も、インキ
101がマスタフィルム4bから吐出する方向を下向き
に取ると図12中のグラフのようになる。多孔質弾性体
層20が持つ、固有の特性時間tc と加圧時間とが同じ
になっているので、最大のインキ吐出量が得られる状態
を示している。
【0088】マスタフィルム4bの上部に示している矢
印A2 は、インキ101の吐出方向とその大きさを表し
ている。加圧の前半では、インキ101がマスタフィル
ム4bから吐出する方向に流れ、加圧時間の1/4程度
のところで質量フラックスQ(τ)は最大となる。吐出
したインキ101は印刷用紙13と接触し、印刷用紙1
3の繊維に付着する。ここからインキ101の質量フラ
ックスQ(τ)は徐々に減少し、加圧時間の3/4程度
のところから向きが逆になる。即ち、多孔質弾性体層2
0がインキ101を吸い戻すことになる。
【0089】以上の作用により、加圧時間の前半で画像
を形成するのに十分なインキ101の吐出をし、加圧時
間の後半で余分なインキ101を吸い戻すので、マスタ
フィルム4bに独立穿孔された開孔部35から吐出され
たインキ101が融合しにくく、解像度が良くにじみの
少ない印刷画像102’が得られる。また、従来の印刷
ドラムと異なり、印刷用紙13がマスタフィルム4bか
ら剥離する際の余分なインキ101がマスタフィルム4
b側から引き出される前に、インキ101の吸い戻し作
用によりインキ101が切れ、余分なインキ101が印
刷用紙13上に盛られないので、裏移りが発生しにく
く、インキの乾燥も速い。
【0090】常に画像濃度の高い印刷物を得る場合に
は、上述のように特性時間tc が加圧時間の範囲内に入
るように多孔質弾性体層20を構成することが望ましい
が、例えば、画像濃度を低くしたい場合などは、図7に
示すように、加圧時間の範囲よりも速いところに特性時
間tc がくるように多孔質弾性体層20を構成したり、
図8に示すように、加圧時間の範囲よりも遅いところに
特性時間tc がくるように多孔質弾性体層20を構成す
ると良いことがわかる。また、逆に加圧時間が上述同様
に特性時間tc から外れるように、印刷速度を調整して
も同じように画像濃度を低くすることができることがわ
かる。特性時間tc が小さくなる(速くなる)方向に多
孔質弾性体層20を構成することにより、画像濃度を維
持しながら従来の常用する印刷速度を高速化することが
できることもわかる。
【0091】図9の(a)に別の実施例を示す。同図に
は、多孔性薄板1の外周面に多孔質弾性体層としてスク
リーン層50と、その外周面に巻装された多孔性支持体
のないマスタフィルム40とが示されている。このよう
な構成にした場合には、スクリーン層50の特性時間が
常用する印刷速度での加圧時間の範囲内に入るようにス
クリーン層50の厚さ、その透過率、その弾性定数を選
定する。スクリーン層50としては、ポリエステル繊維
のメッシュ、ナイロン繊維のメッシュ、ステンレス繊維
のメッシュ、ポリエステル繊維の表面に金属をメッキし
たメッシュまたは、それらの繊維の不織布等を使用でき
る。また多孔質弾性体層としては、スクリーン層50に
代えて、多孔性支持体4aを用いるようにしても良い。
インキ不通過層としては、多孔性薄板1の非開孔部が対
応してその働きをなしている。
【0092】図9の(b)に更に別の実施例を示す。同
図には、多孔質弾性体層として小固形物の焼結体51が
示されている。焼結体51としては、特願平5−120
935号に示されているものが用いられる。小固形物を
金属で形成すると弾性定数が大きいので、透過率と厚さ
とで特性時間を調整するのが困難であるから、小固形物
は、熱軟化性のプラスチックを使用した方が良い。ま
た、小固形物を発泡ゴム等で形成しても良い。焼結体5
1の外側には、マスタ4が巻装されている。この場合、
マスタ4の多孔性支持体4aは、多孔質弾性体層の一部
を構成している。このように、多孔質弾性体層が複数あ
る場合には、上述の式(14)、(15)で示したよう
に、特性時間を等価透過係数、等価弾性係数で計算する
ことができる。インキ不通過層としては、焼結体51の
上部にインキローラ6が配置されている。
【0093】なお、ここで焼結体51について詳述する
と、焼結体51は、特願平5−120935号に記載さ
れているように、少なくとも焼結時点においては熱軟化
性プラスチックス、金属、又はセラミックスの小固形物
の焼結体からなる。ここで、小固形物とは、粉体、球状
粒子、針状体、短繊維などあらゆるものを含む。大きさ
にも特に制約は無く、目的とする導通部を有する焼結体
を得るため、焼結時の温度、圧力、時間などと共に数度
の実験により決められる。焼結体は上記小固形物をその
溶融温度以下に加熱し、小固形物の比較的表面付近で相
互に結合を作り、小固形物間には空間を残したまま冷却
される。この空間部がインキの通過する導通部となる。
なお、形状の複雑な小固形物から得られる焼結体が不均
質な形状の開口部及び不均質な開口分布を有することは
もちろんであるが、例え、比較的形状のそろった小固形
物を用いた場合でも、型などと接する面で軟化し、不均
質な形状、開口分布を有するものとなる。
【0094】前記小固形物の材料としては、上述のよう
に熱軟化性プラスチックス、金属及びセラミックスなど
から任意に選択されるが、プラスチックスの場合につい
て述べると、熱軟化性プラスチックスならほとんど全て
のものが使用可能である。焼結の熱により、焼結後熱非
軟化性となってもよい。熱軟化性プラスチックスとして
は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、
ポリエステル、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、
ニトリル樹脂、酢ビ系樹脂などが代表的なものである
が、これらに限定されるものではない。
【0095】これらの小固形物の焼結体は、該小固形物
を乾燥後版胴の型に入れ、場合によっては圧力を加えて
数分〜数十分間にわたってプラスチックスの溶融温度以
下に加熱し、冷却後取り出すことによって得られる。加
熱には通常の熱源又は高周波加熱などが用いられる。他
の製造方法としては、型を使用せず、平面上に小固形物
を所定の厚さに散布し、加熱焼結、冷却後、平面から剥
がして必要に応じて加熱しながら版胴状に加工するとい
う方法もある。何れの場合にも、版胴の外側となる面は
焼結時に平滑な面に接している必要があり、必要なら更
に平滑にするための加工を行うことができる。特にこの
ことは、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマ
スタを使用した場合、マスタの印刷耐久性向上を達成す
るために大切である。
【0096】図9の(c)に更に別の実施例を示す。同
図に示す多孔質弾性体層は、外多孔質弾性体層53と、
内多孔質弾性体層52とから構成され、外多孔質弾性体
層53の外側には、多孔性支持体のないマスタフィルム
40が巻装されている。内多孔質弾性体層52の弾性定
数は、外多孔質弾性体層53のそれより大きく、内多孔
質弾性体層52の透過率は、外多孔質弾性体層53のそ
れより大きく設定されている。この実施例においては、
多孔質弾性体層を2層重ね合わせているが、多孔質弾性
体層を1層で構成し、段階的に、弾性定数及び透過率を
変化させても良い。さらに、内側から外側へ向かって弾
性定数だけを徐々に小さくしても良いし、透過率のみを
徐々に小さくしても良い。特性時間については、上述の
図9の(b)に示した実施例のそれと同様に計算でき
る。
【0097】図9の(d)に更に別の実施例を示す。同
図に示す多孔質弾性体層は、外多孔質弾性体層55と、
内多孔質弾性体層54と、マスタ4の多孔性支持体4a
との3層から構成されている。多孔質弾性体層の一部と
して働く多孔性支持体4aは、マスタ4に求められる製
版性、搬送性等の特性により自由にその厚さ、その透過
率、その弾性定数を変化させられないので、外多孔質弾
性体層55と内多孔質弾性体層54との2層で段階的に
透過率と弾性定数とを変化させて多孔質弾性体層を構成
している。即ち、本実施例においては、内多孔質弾性体
層54の弾性定数を、外多孔質弾性体層55のそれより
小さく、内多孔質弾性体層54の透過率を、外多孔質弾
性体層55のそれより大きくなるように構成している。
多孔性薄板1から多孔性支持体4aまでをみると、透過
率は、内側から外側へ向かって徐々に小さくなるように
構成され、弾性定数の小さい層が、弾性定数の大きい層
の内側にくる組み合せが、1つある様に構成されたこと
になる。この時、弾性定数の小さい層である内多孔質弾
性体層54は厚くすると良い。また、その一組の層の他
に、内側又は外側に多孔質弾性体層を重ねた場合、その
部分は、図9の(c)の実施例で述べたように、内側か
ら外側に向けて弾性定数と透過率が徐々に小さくなるよ
うに構成されていると良い。外多孔質弾性体層55と内
多孔質弾性体層54とは、上述のようにスクリーンメッ
シュ等を用いて、その素材やメッシュ値を調整すること
により等価透過係数と等価弾性係数から計算される特性
時間が、加圧時間の範囲内に入るように構成されてい
る。
【0098】図10に更に別の実施例を示す。この実施
例の多孔質弾性体層は、或る1つのインキの粘度に合わ
せて、特性時間が加圧時間の範囲内に入るように構成さ
れている。印刷ドラム100または孔版印刷装置本体の
適宜の位置には、多孔質弾性体層の透過率を代用的に検
出する手段としてのインキ識別検知装置21と印刷部温
度検知装置22と、インキ識別検知装置21と印刷部温
度検知装置22との情報に基づいて演算を行う制御装置
23とが設けられている。インキ識別検知装置21は、
使用されるインキの種類をインキの静電容量値や電気抵
抗値などから識別し、印刷部温度検知装置22は、印刷
時のインキ温度を温度センサによって検出する。制御装
置23には、複数種のインキの温度変化による透過率の
データ及び透過率の変化による特性時間の変化のデータ
を入力したデータメモリ24と、印刷ドラム100の回
転数を制御する印刷速度制御装置25とが接続されてい
る。印刷速度制御装置25には、印刷ドラム駆動装置2
6が接続されている。なお、印刷部温度検知装置22
は、インキ温度に代えて環境(雰囲気)温度を検出する
ようにしてもよい。
【0099】インキが変更されたり、温度が変化した場
合に、制御装置23は、インキ識別検知装置21と印刷
部温度検知装置22との情報に基づいて演算を行い、デ
ータメモリ24のデータと比較し、特性時間と加圧時間
がほぼ等しい状態で加圧されるように、印刷速度制御装
置25に信号を送出し、印刷ドラム駆動装置26により
印刷速度を変化させる。
【0100】また、加圧時間は、印刷速度のみならずプ
レスローラ9のニップの長さによっても可変できる。プ
レスローラ9は、通常ゴムまたは発泡ゴムで構成されて
いるので、加圧力を変化させることでニップの長さを調
整できる。すなわちインキ識別検知装置21と印刷部温
度検知装置22とのデータから透過率の変化に相当する
加圧時間を演算し、その加圧時間を達成させるニップの
長さを得るために加圧力を変化させるように制御しても
良い。ニップの長さを可変する手段としては、特開平5
−162430号公報に示されているベルトローラ印圧
方式を採用しても良い。なお、上記実施例では、押圧部
材としてプレスローラ9を用いたが、押圧部材はこれに
限られるものでなく、例えばプレッシャーシリンダや裏
押しローラなどのものから構成されて良いことは勿論で
ある。
【0101】図9(a)〜(d)の各実施例では、多孔
質弾性体層としてスクリーンメッシュ、多孔性支持体や
小固形物の焼結体の例を示したが、もちろんこれら以外
に周知である、連続気泡を有するスポンジゴム、フェル
ト、化学繊維の不織布、金属繊維の不織布、ポリビニル
アセタール系又はポリビニルアルコール系の連続気泡を
有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気
泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレンなどの合成樹脂
や金属又は無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポ
リウレタンなどの液状焼結による多孔質弾性体などをそ
れぞれの実施例中の多孔質弾性体層として使用すること
ができる。
【0102】また、本発明の各実施例で示してきた孔版
印刷装置は、前述のように、通常はW/O型のエマルジ
ョンインキを使用しているが、もちろんO/W型エマル
ジョンインキや水性インキ、あるいは油性インキを使用
する孔版印刷装置に本発明を適用しても良い。
【0103】
【発明の作用効果】以上説明したように、請求項1記載
の発明によれば、多孔質弾性体層を加圧することで、加
圧の前半でインキの吐出が得られ、加圧の後半でインキ
の吸い戻しが得られるが、多孔質弾性体層が持つ固有の
特性時間で加圧することにより、最大のインキ吐出量が
得られる。なお、「最大のインキ吐出量が得られる」と
いうことは、加圧力を増大させると、これに比例してイ
ンキ吐出量も増大するが、最大加圧力が一定の場合に加
圧時間を多孔質弾性体層の特性時間に合わせることで、
その加圧力においては最大のインキ吐出量が得られると
いう意味である。
【0104】請求項2記載の発明によれば、インキ導通
部分を多孔質弾性体層とすることで、多孔質弾性体層が
押圧・変形されインキをマスタフィルムの開孔部から滲
出させることができる。また、孔版印刷装置の常用する
印刷速度において、押圧部材が多孔質弾性体層を加圧す
る加圧時間の範囲内に多孔質弾性体層の特性時間が入る
ように、多孔質弾性体層の厚さ、その透過率、その弾性
定数を選ぶことにより、常用する全ての印刷速度におい
て最良のインキの吐出が得られ、高画像濃度の印刷が可
能となる。また、加圧時間の後半では、インキの吸い戻
しが有効に行われることで余分なインキが印刷用紙に転
移せず、裏移りの少ない印刷物が得られる。また、加圧
時間の範囲内から特性時間を外した場合には、印刷画像
濃度を抑えることができる。さらに、特性時間が短くな
るように印刷ドラムを構成すれば、画像濃度を維持しな
がら印刷速度を高速化できる。
【0105】請求項3記載の発明によれば、印刷ドラム
を実質的に剛体からなる多孔性薄板と、この多孔性薄板
の外側に形成された多孔質弾性体層とから構成したの
で、多孔性薄板の開孔部以外の非開孔部分がインキ不通
過層として有効に働き、インキの吐出及び吸い戻しが有
効に働く。加えて、押圧部分で加圧されたとき多孔質弾
性体層が直接印刷ドラム内のインキ供給装置と接触しな
いので、多孔質弾性体層の摩耗を防止できる。また、孔
版印刷装置の常用する印刷速度において、押圧部材が多
孔質弾性体層を加圧する加圧時間範囲に多孔質弾性体層
の特性時間が入るように、多孔質弾性体層の厚さ、その
透過率、その弾性定数を選ぶことにより、常用する全て
の印刷速度において最良のインキの吐出が得られ、高画
像濃度の印刷が可能となる。また、加圧時間の後半では
インキの吸い戻しが有効に行われることで余分なインキ
が印刷用紙に転移せず、裏移りの少ない印刷物が得られ
る。
【0106】請求項4記載の発明によれば、多孔質弾性
体層を複数の多孔質弾性体層で構成したので、加圧時間
の範囲内に多孔質弾性体層の特性時間が入るように、多
孔質弾性体層の厚さ、透過率及び弾性定数を選定する際
に、1層だけではその条件に合わせにくく、製作する場
合も条件の限定が多いためにコストが高い場合が多い
が、複数の多孔質弾性体層を用いて等価透過係数及び等
価弾性係数を使用することで、コストの低い多孔質弾性
体層の組み合わせによって多孔質弾性体層を構成するこ
とが可能となる。また、複数の多孔質弾性体層を積層し
た場合、層と層との境界においてインキの流動が生じ易
いため、吐出によって不足が生じた部分へのインキの補
給が速やかに行われる。
【0107】請求項5記載の発明によれば、複数の多孔
質弾性体層の内側から、マスタフィルムと接触する多孔
質弾性体層の最外層に向けて透過率が徐々に小さくなる
ように構成し、かつ、複数の層のうちで弾性定数の小さ
い層が、弾性定数の大きい層の内側になるような組合せ
が少なくとも1つあるようにしたので、弾性定数の小さ
い層が有効にインキの吐出と吸引とを確実に行う。ま
た、マスタフィルムに付着した多孔質弾性体層との間の
インキを弾性定数の小さい層が有効に吸引するので、排
版時にマスタフィルムと一緒に捨てられるインキ量を低
減することができる。これによって、インキの節減と次
のマスタフィルムを巻装した直後の画像濃度の安定性が
良くなる。弾性定数の小さい層の厚さを特性時間の許す
範囲で厚くすることは、更に有効である。
【0108】請求項6記載の発明によれば、孔版用のマ
スタを、マスタフィルムと、このマスタフィルムを支持
する多孔性支持体とを張り合わせて形成し、印刷ドラム
に巻装されたときに、多孔性支持体が多孔質弾性体層の
一部を構成する、即ち、印刷ドラム側の多孔質弾性体層
と巻装されたマスタの多孔性支持体とが共同して一つの
多孔質弾性体層として働くように構成したので、孔版印
刷装置の常用する印刷速度において、押圧部材が多孔質
弾性体層を加圧する加圧時間範囲に多孔質弾性体層の特
性時間が入るように、多孔質弾性体層の厚さ、その透過
率、その弾性定数を選ぶことにより、常用する全ての印
刷速度において最良のインキの吐出が得られ、高濃度、
高解像度の印刷が可能となる。また、加圧時間の後半で
は、インキの吸い戻しが有効に行われることで余分なイ
ンキが印刷用紙に転移せず、裏移りの少ない印刷物が得
られる。
【0109】印刷ドラム側の多孔質弾性体層の構成が固
定である場合であって、使用するインキを変更したり、
使用する環境温度が異なる場合には、供給するマスタの
多孔性支持体が異なるものを使用して、インキ導通部全
体の多孔質弾性体層の厚さ、透過率及び弾性定数から決
まる特性時間が上述のような適正な印刷画像が得られる
条件になるように、マスタの多孔性支持体を予め調整し
たものを供給して使用することもできる。ところで、現
在一般に使用されているデジタル製版印刷装置では、メ
ーカー純正のマスタに代わる、いわゆる海賊版のマスタ
を使用されるケースがある。これに対処する手段とし
て、使用するインキ及びマスタを印刷装置本体とセット
とし、得られる特性時間と印刷装置本体の加圧時間とを
一致させて、適正な印刷画像が得られるようにしておく
と、海賊版のマスタを使用した場合には適正な画像を得
ることができず、海賊版使用防止の効果を得ることもで
きる。
【0110】請求項7記載の発明によれば、多孔質弾性
体層の透過率を代用的に検出する手段と、この手段から
の情報に基づいて印刷ドラムの回転数を制御する制御装
置とを設けたので、印刷ドラムの構成が既に決まってい
ても、即ち、多孔質弾性体層の厚さ、弾性定数が決まっ
ていても最大のインキ吐出量が得られる。また、高解像
度の画像と裏移りの少ない条件に印刷ドラムの回転数を
合わせることが可能となる。さらに、その印刷ドラムに
異なるインキが投入される場合や、環境温度の変化によ
ってインキの粘度が変化した場合でも、その印刷ドラム
の多孔質弾性体層についての透過率を代用的に検出する
手段によって、印刷ドラムの回転数、即ち、加圧時間を
制御することにより、高濃度、高解像度で裏移りの少な
い印刷物が得られることになる。また、画像濃度を常に
安定させることができるので、印刷ドラム内部を温める
ヒータや押圧部材の加圧力を変化させる手段などが不要
となり、安価な孔版印刷装置を提供することができる。
また、透過率を代用的に検出する手段と供給するマスタ
及びインキによって最適な組み合わせを限定することに
より、海賊版使用防止の効果を得ることもできる。
【0111】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔版印刷方法に使用される多孔質弾性
体層とマスタフィルムとインキの不通過層と印刷用紙と
を示す要部の断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す孔版印刷装置の要部の
断面図である。
【図3】図2に示す印刷ドラムの一部の拡大断面図であ
る。
【図4】図2に示すプレスローラによる圧力と時間との
関係を示すグラフである。
【図5】質量フラックスの時間的変化を示すグラフであ
る。
【図6】インキ吐出量の加圧時間依存性を示すグラフで
ある。
【図7】インキ吐出量と加圧時間との関係を示すグラフ
である。
【図8】インキ吐出量と加圧時間との関係を示すグラフ
である。
【図9】(a)は、本発明の別の実施例を示す孔版印刷
装置における多孔性薄板と多孔質弾性体層とマスタフィ
ルムとを示す一部の拡大断面図、(b)は、本発明のさ
らに別の実施例を示す孔版印刷装置における多孔質弾性
体層とマスタフィルムとを示す一部の拡大断面図、
(c)は、本発明のさらに別の実施例を示す孔版印刷装
置における多孔質弾性体層とマスタフィルムとを示す一
部の拡大断面図、(d)は、本発明のさらに別の実施例
を示す孔版印刷装置における多孔性薄板と多孔質弾性体
層とマスタとを示す一部の拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施例を示すブロック図
である。
【図11】図2に示した孔版印刷装置の印刷部の主要断
面図である。
【図12】図2に示した孔版印刷装置の印刷部の主要断
面図である。
【符号の説明】
1 多孔性薄板 1a 開孔 2 スクリーン層 4 孔版用のマスタ 5 回転中心軸 6 インキローラ 7 ドクタローラ 8 インキ溜り 9 押圧部材としてのプレスローラ 13 印刷用紙 20,32 多孔質弾性体層 23 制御装置 31,40,4b 孔版用のマスタフィルム 34 インキ不通過層 35 開孔部 100 印刷ドラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 富也 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂 3番地の1・東北リコー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−81904(JP,A) 特開 昭62−18284(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 1/12 B41L 13/04 B41N 1/24

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穿孔された孔版用のマスタフィルムの上に
    多孔質弾性体層を設け、その上にインキの不通過層を設
    け、上記マスタフィルムの下に印刷用紙を配置し、上記
    多孔質弾性体層にインキが供給された状態で、上記印刷
    用紙と上記不通過層との間で加圧し、上記多孔質弾性体
    層を押圧し変形させることにより、上記マスタフィルム
    の穿孔された開孔部を通してインキを押し出して上記印
    刷用紙に転移させて印刷する孔版印刷方法において、 上記多孔質弾性体層の厚さをh、透過率をκ、弾性定数
    をEとしたとき、次の式で決まる特性時間tc をもって
    加圧する孔版印刷方法。 tc =h2/(κE)
  2. 【請求項2】外周面に孔版用のマスタフィルムが巻装さ
    れ、内周面よりインキを供給されつつ、その中心軸の回
    りに回転する印刷ドラムと、上記マスタフィルムに印刷
    用紙を押圧する押圧部材とを有する孔版印刷装置におい
    て、 上記マスタフィルムと接触する上記印刷ドラムのインキ
    導通部分は、多孔質弾性体層より構成され、 上記多孔質弾性体層は、その厚さをh、その透過率を
    κ、その弾性定数をEとして、次の式で決まる特性時間
    c が、孔版印刷装置の常用する印刷速度で印刷用紙が
    印刷されたとき、上記常用する印刷速度と、上記印刷ド
    ラムの直径と、上記押圧部材と上記印刷ドラムとの接触
    部分の周方向長さとから決まる加圧時間の範囲内にある
    ように構成された孔版印刷装置。 tc =h2/(κE)
  3. 【請求項3】外周面に孔版用のマスタフィルムが巻装さ
    れ、内周面よりインキを供給されつつ、その中心軸の回
    りに回転する印刷ドラムと、上記マスタフィルムに印刷
    用紙を押圧する押圧部材とを有する孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムは、多孔性の実質的剛体からなる多孔性
    薄板と、上記多孔性薄板の外側に形成された多孔質弾性
    体層とから構成され、 上記多孔質弾性体層は、その厚さをh、その透過率を
    κ、その弾性定数をEとして、次の式で決まる特性時間
    c が、孔版印刷装置の常用する印刷速度で印刷用紙が
    印刷されたとき、上記常用する印刷速度と、上記印刷ド
    ラムの直径と、上記押圧部材と上記印刷ドラムとの接触
    部分の周方向長さとから決まる加圧時間の範囲内にある
    ように構成された孔版印刷装置。 tc =h2/(κE)
  4. 【請求項4】請求項2または請求項3記載の孔版印刷装
    置において、 上記多孔質弾性体層は複数の多孔質弾性体層からなる孔
    版印刷装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載の孔版印刷装置において、 上記複数の多孔質弾性体層の内側から、上記マスタフィ
    ルムと接触する上記多孔質弾性体層の最外層に向けて上
    記透過率が徐々に小さくなるように構成され、かつ、上
    記複数の層のうちで弾性定数の小さい層が、弾性定数の
    大きい層の内側になるような組合せが少なくとも1つあ
    るように構成された孔版印刷装置。
  6. 【請求項6】請求項2ないし請求項5のうちの何れか1
    つに記載の孔版印刷装置において、 上記印刷ドラムに巻装される孔版用のマスタが、上記マ
    スタフィルムと、該マスタフィルムを支持する多孔性支
    持体とを張り合わされて形成され、上記印刷ドラムに巻
    装されたときに、上記多孔性支持体が上記多孔質弾性体
    層の一部を構成する孔版印刷装置。
  7. 【請求項7】請求項2ないし請求項6のうちの何れか1
    つに記載の孔版印刷装置において、 上記多孔質弾性体層の透過率を代用的に検出する手段
    と、 上記多孔質弾性体層の厚さをh、透過率をκ、弾性定数
    をEとしたとき、次の式で決まる特性時間tc をもって
    加圧されるように上記印刷ドラムの回転数を制御する制
    御装置と、 を有する孔版印刷装置。 tc =h2/(κE)
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