JP2932621B2 - インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法 - Google Patents

インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法

Info

Publication number
JP2932621B2
JP2932621B2 JP2173303A JP17330390A JP2932621B2 JP 2932621 B2 JP2932621 B2 JP 2932621B2 JP 2173303 A JP2173303 A JP 2173303A JP 17330390 A JP17330390 A JP 17330390A JP 2932621 B2 JP2932621 B2 JP 2932621B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
fabric
surfactant
fluorine
jet dyeing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2173303A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0459282A (ja
Inventor
博美 碓井
信義 半田
豊 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TORE KK
Original Assignee
TORE KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TORE KK filed Critical TORE KK
Priority to JP2173303A priority Critical patent/JP2932621B2/ja
Publication of JPH0459282A publication Critical patent/JPH0459282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2932621B2 publication Critical patent/JP2932621B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、布帛に良好な品位の画像を付与し、かつ裏
通りの良好なインクジェット染色用布帛ならびにその布
帛を用いてなるインクジェット染色方法に関するもので
ある。
[従来の技術] 従来、布帛に図柄を形成する方法として、手捺染、ロ
ーラ捺染、スクリーン捺染、転写捺染などの方法が利用
されているが、これらは、いずれもあらかじめ図柄を形
成したスクリーン、彫刻ローラ、転写紙を用意して行う
方法である。
これに対し、近年紙の印写分野でインクジェットによ
る印写方式が発達し、既に実用化されているが、かかる
インクジェット方式による図柄形成法は、図柄読取機や
コンピュータと組合わせることにより、時間と費用をか
けることなく作製可能であるため、繊維分野において
も、注目を集め、そのまま布帛類に適用する試みがなさ
れている。
このインクジェット技術を布帛類に適用する場合、次
の条件を満足させることが重要である。
(イ)布帛に繊細な画像を得るために滲み防止処理を行
う。
(ロ)滲み防止処理が均一であること。
(ハ)少量のインク付与で高発色性が得られること。
(ニ)少量のインク付与で均染性が得られること。
(ホ)表裏の発色差が小さいこと。
(ヘ)インク吐出が安定であること。
本発明者らも、インクジェットの滲み防止に関し、す
でに下記の方法を提案している。
(A)布帛に特殊な前処理を用いる方法。
(B)特殊なインクを用いる方法。
(C)特殊な前処理と特殊なインクの両者を用いる方
法。
(A)については、インクの移動を防ぐための撥水処
理(特開昭60−99081)や布帛の保水性向上を目的とし
た水溶性高分子の処理(特公昭63−31592)を、(B)
については、特定粘性挙動インクによる滲み防止(特開
昭62−101669)、(C)については、布帛とインクの両
者から、インクの移動を少なくしたもので、たとえば、
ゲル化法(特開昭60−81379、特開昭61−231287)等が
ある。
特に、(C)の方法は滲み防止能は大きいが、反面生
地の裏通りが悪く、裏通りの仕方にムラがあり、裏面の
外観品位がよくないという欠点があり、たとえばハンカ
チやスカーフなどの特に裏通りが要求される分野には実
用しにくい問題があった。
また、紙などの記録材分野において、無機物に関して
の数多くの提案がなされている。たとえば、特開昭56−
148585号公報、特公昭63−56871〜56876号公報、特公昭
63−65033〜65040号公報等がある。
これらの提案は、いずれもインク受容層を設けてイン
クの吸収性向上、滲み防止、発色性向上をはかるもので
ある。
これらの提案の中でインクに何らかの添加剤を必要と
する技術の場合は、滲み防止の効果が大きくても、イン
クの吐出性能を悪化させる場合が多い。すなわち添加剤
は、インク粘度の増大、粘着性アップおよび不溶成分の
増大などを惹起させるものであり、したがって、インク
の吐出性に悪影響を与え、ひいては図柄形成能の信頼性
の低下を招く。
一方、布帛に前処理を行なう技術の場合は、該技術の
みでは十分な滲み防止効果と高発色性の両者が満足され
ないものであり、本発明者らの検討によれば、濃色を得
ようとすればインク付与量を増大するか、または、イン
ク濃度を増大するかのどちらかである。すなわち、イン
ク付与量を増大すると滲みが大きくなり、またインク濃
度を増大すると吐出性能が低下するという欠点が出てく
る。
したがって、インクジェット染色の滲み防止、高染色
性、均染性、裏通りおよびインクの吐出性能において、
各要素単独では満足できるが、全ての要因を満足するに
至ってないのが現状である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、インクジェ
ット染色において要求される、滲み防止、高発色性、均
染性および裏通りの全てを満足する布帛を提供せんとす
るものである。
特に、従来、滲み防止性と裏通り性は、基本的には相
反する性質であり、これらの両者を満足するのは難しい
とされていたが、種々鋭意検討した結果、親水性繊維
で、しかも、特定な界面活性剤が含有された布帛をイン
クジェット染色すると、意外にも、前記問題がなく、全
ての要因を満足させる事実を究明し、本発明に到った。
本発明は、滲み防止された、しかも、特に薄地布帛の
裏通りがよく、裏面の品位に優れ、表裏の発色差が少な
い高品位の画像を得るためのインクジェット染色用布帛
ならびに該布帛を用いてなるインクジェット染色方法を
提供せんとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前記の目的を達成するため、次の構成有す
る。
すなわち、本発明のインクジェット染色用布帛は、親
水性繊維素材からなる布帛であって、かつ、該布帛が、
フッ素系の、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活
性剤、および両性界面活性剤から選ばれた1種以上のフ
ッ素系の界面活性剤を0.1〜3重量%の範囲で含有する
ことを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェット染色方法は、フッ素系
の、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ま
たは両性界面活性剤から選ばれた1種以上のフッ素系の
界面活性剤を0.1〜3重量%の範囲で付与されてなる親
水性繊維素材で構成された布帛を、アニオン染料からな
るインクで染色することを特徴とするものである。
本発明者らは、裏通りの向上について種々検討した結
果、特定の界面活性剤と親水性繊維素材との組み合わせ
が、裏通りを向上し、驚くべきことに滲み防止性も同時
に向上する事実を究明した。
すなわち、親水性繊維素材に界面活性剤が付与される
と、インクは繊維内部拡散により吸収されるため、イン
クの移動距離は短く、しかも均一な広がりを示す。その
結果、均染性に優れ、かつ裏通りが向上することを見出
した。さらに、該界面活性剤と水溶性高分子を溶解した
水溶液で処理すると、布帛は濡れ易く浸透性が向上し、
かかる布帛にインクが滴下されると、布帛の内外部に直
ちに吸収され、同時に増粘作用が速く進み、その結果、
均染性と裏通りが同時に向上し、かつ、滲み防止が達成
されることを見出した。
このような親水性繊維素材の効果に対して、疎水性繊
維素材の場合は、界面活性剤を付与しても繊維内部には
吸収されず、繊維表面に保持され、したがって、インク
は繊維の表面で拡散して移動し、裏通りは改善されるも
のの滲み防止性は向上しないと推定している。
本発明者らの検討によれば、界面活性剤単独系におい
ては、均染性、浸透性の改善が主体であり、比較的滲み
の小さい布帛、たとえば、天然植物繊維や動物繊維の立
毛品(ベルベット、パイル、タフテット)に好ましく用
いられるが、一般の親水性繊維素材からなる布帛におい
ては、界面活性剤と水溶性高分子の併用処理が好ましく
用いられ、均染性、裏通りおよび滲み防止が最も特徴的
に向上することが究明された。
本発明でいう親水性繊維素材とは、植物繊維、再生繊
維、動物繊維、半合成繊維ならびにポリアミド系繊維を
いう。
植物繊維としては、木綿、麻など、再生繊維として
は、レーヨン、ポリノジック、キュプラなど、動物繊維
としては、絹、羊毛など、半合成繊維は蛋白質系のプロ
ミックスなど、ポリアミド系繊維としては、4ナイロ
ン、6ナイロン、6.6ナイロンなどが使用でき、これら
の親水性繊維の中でも、植物繊維、再生繊維、動物繊
維、半合成繊維が好ましく用いられ、特に木綿および絹
が最も好ましく用いられる。本発明の親水性繊維素材と
しては、本発明の目的を阻害しない範囲内で疎水性繊維
を含有する混用品も含まれる。
本発明で用いる界面活性剤としては、アニオン染料と
非反応性のものであり、フッ素系のアニオン系界面活性
剤、フッ素系の非イオン系界面活性剤、フッ素系の両性
界面活性剤から選ばれる。カチオン性活性剤はアニオン
染料とイオン結合するので好ましくない。
本発明において用いられる界面活性剤の中でも、好ま
しくは表面張力が低いものがよく、好ましくは表面張力
が25dyn/cm以下である。
ここでいう表面張力の値は、界面活性剤0.1%濃度の
水溶液で25℃で測定したものをいう。
特に、含フッ素化合物系の界面活性剤は表面張力が低
く、少量で効果があるので、本発明に好ましく用いられ
る。
かかる含フッ素化合物系の界面活性剤としては、アニ
オン系、非イオン系および両性のものが使用でき、アニ
オン系のものとして、たとえば含フッ素アルキルスルホ
ン酸塩、含フッ素アルキルカルボン酸塩、含フッ素アル
キル硫酸エステル塩、含フッ素アルキル燐酸塩などを使
用することができる。非イオン系のものとしては、含フ
ッ素アルキルEO付加物、両性のものとしては、含フッ素
アルキルベタインなどを使用することができる。
界面活性剤は、1種あるいは2種以上の配合でもよ
く、布帛に対し0.1〜3重量%必要である。0.1%以下で
は濡れや浸透性の効果が少なく、逆に3%以上では濡れ
や浸透性が飽和に達している。特に表面張力が低い界面
活性剤が親水性繊維素材からなる布帛に含有されている
と、下記の性能が発現し、インクジェットに好都合な特
性が付与れるので好ましい。
(a)濡れやすい。
すなわち、インクのドット径が円形に基づき、異方性
が少なくなり均染性が向上する。
(b)浸透性が良く、しかもインクは自重で布帛の裏面
に向かって進み、横方向に進み難い。
すなわち、裏面の発色性向上および滲み防止を向上す
る。
(c)さらに、水溶性高分子と併用すると、濡れ易いた
め、増粘作用が速く進み、滲み防止が向上する。
上記のような特性が付与される結果、滲み防止、均染
性および裏面の発色性向上が全て満足され、インクジェ
ットにおいて従来にない、品位のよい理想的な図柄が付
与できる。
本発明でいう水溶性高分子とは、均一な水溶液を作る
物質であり、水溶性高分子としては、天然糊料に分類で
きる。
天然糊料としては、澱粉系、メチルセルロース、ヒド
ロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のセルロース系、ローカストビーン、グアー、タマリ
ンド等のガム系、その他、アルギン酸ソーダなどを使用
することができる。
合成糊料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルメチールエーテル等のビニル系、ポリ(メタ)アクリ
ル酸、ポリ(メタアクリル酸塩、ポリアクリルアマイド
等のアクリル系、マレイン酸供重合体として、たとえ
ば、スチロール、酢酸ビニルとの共重合物、その他ポリ
ビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を使用す
ることができる。これらの水溶性高分子は、単独もしく
は2種以上配合して用いてもよい。
使用される水溶性高分子は、一般的には発色性や脱糊
性の面から、使用染料によりほぼ決定される。たとえば
反応性染料を使用する場合は、カルボキシメチルセルロ
ース、アルギン酸ソーダ、ポリ(メタ)アクリル酸塩が
好ましく用いられる。
かかる水溶性高分子の付与量は、布帛に対して0.1〜
5重量%であり、0.1重量%以下では滲み防止性が小さ
く、5重量%以上では処理液の粘度が高すぎ、付与方法
が限定されたり、脱糊性や発色性が不良となる。従って
0.5〜3重量%の範囲が好ましく用いられる。
界面活性剤またはこれと水溶性高分子を布帛に付与す
る方法としては、パッド法、スプレー法、プリント法お
よびコーテイング法などいずれの方法を採用してもよい
が、均一に付与させるにはパッド法が好ましく用いられ
る。
本発明でいうアニオン染料としては、水溶性染料であ
り、たとえば酸性染料、錯塩酸性染料、反応性染料、直
接染料、蛍光増白染料を使用することができる。
本発明においては、繊維素材により適応染料も限定さ
れる。たとえば、ポリアミド系繊維を用いれば、反応性
染料、酸性染料、錯塩酸性染料が使用される。また、天
然植物繊維として木綿を用いる場合は、反応性染料およ
び直接染料が使用される。つまり、素材と染料の関係は
一般に使用されるものでよい。
親水性繊維の場合は、界面活性剤が繊維の内部に吸収
され、インクの吸収速度が高まり、繊維内部拡散でイン
クが移動するため、インクの移動距離が短く、その結
果、均染性、裏通りおよび滲み防止性が向上する。しか
し、染水性繊維として例えばポリエステルを用いた場
合、繊維の内部に吸収されず、繊維表面に吸収されるた
め、吸収速度は高まり均染や裏通りは向上するが、イン
クは繊維表面をつたって移動するため、滲み防止効果は
ほとんどない。
また、本発明の界面活性剤および水溶性高分子以外
に、必要に応じ、布帛に、発色性向上を目的に酸、アル
カリ、塩類、水溶性溶剤、還元防止剤等の染色助剤、滲
み防止を目的とした無機微粒子等の充填剤および発泡剤
等の添加剤を用いてもさしつかえない。
本発明でいうインクジェット染色とは、インク等の液
体をノズルから吐出させ、吐出した液を液滴化して、強
制し利用するものであり、その方法としては(I)連続
吐出方式(偏向型、発散型)(II)オンデマンド型(圧
力パルス式、バルブジェット式、静電吐出式)に分類さ
れ、いずれの方法も用いることができる。
かかる方法による最適インク付与量は、布帛構造にも
よるが、通常布帛の目付が60〜200/m2の場合、15〜60g/
m2付与するのがよい。インク付与量が少ない場合、白場
が残り発色性が低下し、インク付与量が多い場合、滲み
が大きくなるため、布帛により最適の付与量を設定する
のが好ましい。
上記のインクジェット染色された布帛は、次いで、ス
チーミング等の固着処理を行い、最後に界面活性剤や溶
解された水溶性高分子、水溶性溶剤、発泡剤などを除去
するためのソーピング処理および仕上げ処理を行い製品
化される。
上記のスチーミング処理、ソーピング処理および仕上
げ処理は通常の設備、方法でよい。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1、比較例1〜3 下記(A)の布帛に(B)の前処理を施し、(C)の
インクジェット処理でインクジェット染色し、(D)の
条件で固着−ソーピングして製品化した。この製品は
(E)の評価をし、その結果を第1表に示した。
(A)使用布帛 実施例1:精練、漂白した立毛品としてレーヨンから成る
ベルベット織物(目付:330g/m2)を下記に示すフッ素系
の界面活性剤で前処理した。
比較例1:ベルベット織物の未処理である。
比較例2:ポリエステルから成るカーシート織物(目付:3
33g/m2)を実施例1と同じフッ素系の界面活性剤で前処
理した。
比較例3:上述カーシート織物の未処理である。
(B)前処理 サーフロン S−131(パーフルロロアルキルベタイ
ン:旭硝子株社製)の1%溶液を用いて、上記各布帛
を、絞り率70%でパッドし、70℃で乾燥した。
なお、レーヨンベルベットについては、トリクロロ酢
酸ナトリウム10%水溶液でアルカリ固着したものを用い
た。
なお、上記サーフロン S−133の25℃、0.1%濃度の
ウィルヘルミー式表面張力計で測定した表面張力は18.4
dyn/cmであった。
(C)インクジェット染色 (イ)レーヨンベルベット用インク組成 *染料(反応性染料) 40% エチレングリコール 20% イオン交換水 40% *使用染料 a.レマゾール・ターキスブルーG リキッド(Remazol
Turquoise Blue G Liquid) (ヘキスト社製) b.シバクロン・レッド−6B リキッド (Cibacron Re
d 6B Liquid)(チバ・ガイギー社製) いずれも1ミクロンのフィルターで過後、減圧下で
脱気したものを使用した。
(ロ)ポリエステルカーシート用インク組成 *染料(分散染料) 5% 1.4ブタンジオール 20% イオン交換水 75% *使用染料 a.C.I.デイスパース イエロー 42 b.C.I.デイスパース レッド 186 *染料は染料原体に対し、20%のトリスチレン化フェノ
ールEO付加物のスルホン酸塩を用い、サンドグラインダ
ーで40時間分散させたものであり、染料組成の数字
(%)は、その時の固形分量で示した。
上記染料は、いずれも1ミクロンのフィルターで濾過
後、減圧下で脱気したものを使用した。
(ハ)インクジェット条件 インクジェット方式:オンデマンド型 印加電圧 :60V 駆動周波数 :4000Hz 解像度 :8ドット/mm 上記(A)で得られたインクジェット用の前処理布お
よび未処理布を用いてインクジェット染色した。
なお、布帛の目付の大きいものは4回および6回重ね
てインクジェットを行った。
(D)固着−ソーピング条件 レーヨンベルベットは飽和水蒸気100℃で15分間スチ
ーミング処理、次いで水洗し、80℃で5分間ソーピング
処理し、乾燥した。ポリエステルカーシートは飽和水蒸
気130℃で25分間スチーミング処理し、次いで通常のRC
を行い乾燥した。
(E)均染性および滲みの評価 均染性は肉眼判定により、上部(表面)、中央部(布
帛内部)ならびに下部(裏面)の均染性をみた。上部
(表)の均染性とは、上部から見た場合の未染色な部分
があるかどうかを判定し、中央部は、布帛を折り曲げた
時、中央部に未染色な部分があるかどうかを判定し、下
部(裏)は、均一にインクがとどいているかどうかを判
定した。
つまり、いずれも未染色な部分があるかどうかで判断
した。
下柄は、下部(裏)の柄が上部(表)と同じように絵
際が繊細かどうかを判定した。
均染性および滲みの結果を第1表に示した。
なお、立毛品のインクジェットにおいて大切なことは
下記に示す、である。
上部(表)、中央部、下部(裏)が均染であること
(パイル、他とも均一に染まる)。
下部(裏)の柄が繊細であること。
第1表から明らかなように、立毛品のインクジェット
は、いずれも上部は比較的均染性に優れているが、特
に、中央部はインクがたまり難く均染性が最も悪い。こ
の傾向は、親水性繊維のレーヨンに比較し、疎水性繊維
のポリエステル繊維が顕著にあらわれる。
親水性繊維のレーヨンの場合、実施例1は、比較例1
に比べ全体的に優れている。
これに対し、比較例2、3の疎水性繊維のポリエステ
ル繊維の場合は、インク付与量が多くなると、下部の均
染性は向上するが、柄がボケてほとんど見えなくなる。
すなわち、実施例1の親水性繊維に界面活性剤が付与
されたものは、少量のインク付与量で均染性が得られ、
その結果、下柄も繊細となることが確認された。
なお、下柄は、下部(裏)の柄が上部(表)と同じよ
うに絵際が繊細かどうかを示す。
実施例2〜3、比較例4〜6 実施例1と同じく、下記(A)の布帛(B)のフッ素
系界面活性剤と水溶性高分子の水溶液から成る液で前処
理を施し、(C)のインクジェット処理でインクジェッ
ト染色し、(D)の条件で固着−ソーピングして製品化
した。この製品について(E)の評価をし、その結果を
第2表に示した。
(A)使用布帛 実施例2:糊抜、精練、漂白およびシルケット加工された
木綿織物(組織:ブロード、目付:81g/m2)。
実施例3:精練、漂白された絹織物(組織:羽二重、目
付:53g/m2)。
比較例4:精練、シボ立て、セット、減量加工されたポリ
エステル織物(組織:デシン、目付:92g/m2) 比較例5:実施例1の木綿織物で、下記の前処理において
フッ素系界面活性剤を含まないもの。
比較例6:絹織物で、下記の前処理においてフッ素系界面
活性剤を含まないもの。
比較例7:ポリエステル織物で、下記の前処理においてフ
ッ素系界面活性剤を含まないもの。
(B)前処理 サーフロン S−111(パーフルロロアルキルカルボ
ン酸:旭硝子株社製)の1%と、アルギン酸ナトリウム
M(鴨川化学株社製水溶性高分子)の2%とからなる
溶液を用いて、上記各布帛を、絞り率65%でパッドし、
70℃で乾燥した。
なお、木綿織物および絹織物については、トリクロロ
酢酸ナトリウム10%水溶液でアルカリ固着したものを用
いた。
なお、上記サーフロン S−111の25℃、0.1%濃度の
ウィルヘルミー式表面張力計で測定した表面張力は19.8
dyn/cmであった。
(C)インクジェット処理 (イ)木綿、絹織物用インク組成:実施例1のレーヨン
に同じ (ロ)ポリエステル織物用インク組成:実施例1のポリ
エステルに同じ (ハ)インクジェット条件 実施例1に同じ、ただしインクジェットはいずれも1
ドット(重ね無し)。
(D)固着−ソーピング 実施例1に同じ。
(E)評価方法 a.発色性 下記の式より、表、裏のK/Sを求めた。
K/S=(1−R)2/2R K/Sは値が大きいものほど発色性が高い。(Rはレッ
ド測定し、最大吸収波長の反射率を示す)。
また、裏/表は、表裏の発色差を示し、裏/表が1に
近づくほど裏通りがよいことを示す。
b.滲み 滲みは、インクの移動距離(mm)を表し、異なる色の
境界に、どれだけインクが広がっているかを示したもの
である。0.6mm以下であれば布帛に繊細画像が付与出来
る。
c.インクの吸収速度 インクの吸収速度は5μを布帛に落とし、吸収に要す
る時間(sec)を測定した。
第2表から明らかなように、実施例2、3のものは、
いずれも滲みが小さく、しかも裏の発色性が向上してお
り、表の発色性が同じで裏の発色性が向上していて、イ
ンクが有効に利用されていることがわかる。すなわち、
繊維内部にインクが溜まらず、裏面に移動している。
一方、界面活性剤が付与されていない比較例5〜6の
ものは、滲みがやや大きく、しかも、裏面の発色性が悪
い。また、比較例4、7(ポリエステル)のものは、界
面活性剤が付与されているので、裏通りは若干向上する
が、逆に滲みが大きくなる結果を示した。
このように、界面活性剤が付与されたものは親水性繊
維、疎水性繊維ともインクの吸収速度は向上するが、疎
水性繊維においては滲みが大きくなる。つまり、滲み防
止はインクの吸収速度も重要であるが、インクがいかに
して移動するかが最も重要であることがわかる。
本発明の界面活性剤が付与された親水性繊維の場合、
内部拡散でインクが移動するため、均染性、裏通りおよ
び滲み防止が向上するのである。
実施例4〜7、比較例8〜9 精練、漂白された絹織物(組織:サテン,目付:102g/
m2)を下記に示す界面活性剤および水溶性高分子の水溶
液から成る液で実施例1と同じ方法で前処理した。
(前処理液組成) 界面活性剤(第3表) X% カルボキシメチルセルロース 2% 上記前処理液の25℃、0.1%濃度の表面張力は第3表
に示す。
(インク組成:酸性染料) (a)C.I.Acid Yellow 111 (b)C.I.Acid Blue 168 をそれぞれ5%用いた以外は実施例1と同じ。
また、インクジェット条件、固着−ソーピング条件
は、いずれも実施例1と同様な方法で処理し、製品化し
た。
なお、比較例8は界面活性剤が付与されていないもの
であり、比較例9は界面活性剤の付与量が少ないもので
ある。
以上の結果を第3表に示した。
第3表に示した通り、比較例8(界面活性剤が付与さ
れていない)に比べ、実施例4〜7のものは、滲み防止
性が優れ、特に表面張力が低いほど著しく向上してい
る。しかし、比較例9のように界面活性剤の付与量が少
ないものは、表面張力が低くても、効果はほとんどな
い。
したがって、布帛に界面活性剤量として0.1%以上必
要であり、界面活性剤量が多くなるほど滲みは小さくな
る。
(発明の効果) 本発明は、滲み防止、高発色性、均染性、裏通り性が
同時に優れたインクジェット染色品を提供することがで
き、特に裏通りが要求される分野、たとえば、スカーフ
ならびにハンカチなどに、従来にない繊細かつ高品位な
画像が付与することができる。
また、本発明は、インクに特別な添加剤を必要としな
いため、吐出性能を損なうことがないので、画像形成性
の信頼性が高いという効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06P 5/00 111 D06P 5/00 102

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】親水性繊維素材からなる布帛であって、か
    つ、該布帛が、フッ素系の、アニオン性界面活性剤、非
    イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれ
    た1種以上のフッ素系の界面活性剤を0.1〜3重量%の
    範囲で含有することを特徴とするインクジェット染色用
    布帛。
  2. 【請求項2】フッ素系の界面活性剤が、25℃、0.1%濃
    度の水溶液における表面張力が25dyn/cm以下の界面活性
    剤であることを特徴とする請求項1記載のインクジェッ
    ト染色用布帛。
  3. 【請求項3】該布帛が、水溶性高分子を含有することを
    特徴とする請求項1記載のインクジェット染色用布帛。
  4. 【請求項4】親水性繊維素材が、植物繊維、動物繊維、
    再生繊維、半合成繊維およびポリアミドから選ばれた少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット染色用布帛。
  5. 【請求項5】フッ素系の、アニオン性界面活性剤、非イ
    オン性界面活性剤、または両性界面活性剤から選ばれた
    1種以上のフッ素系の界面活性剤を0.1〜3重量%の範
    囲で付与されてなる親水性繊維素材で構成された布帛
    を、アニオン染料からなるインクで染色することを特徴
    とするインクジェット染色方法。
  6. 【請求項6】アニオン染料が、酸性染料、錯塩酸性染
    料、反応性染料または直接染料であることを特徴とする
    請求項5記載のインクジェット染色方法。
JP2173303A 1990-06-28 1990-06-28 インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法 Expired - Fee Related JP2932621B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2173303A JP2932621B2 (ja) 1990-06-28 1990-06-28 インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2173303A JP2932621B2 (ja) 1990-06-28 1990-06-28 インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0459282A JPH0459282A (ja) 1992-02-26
JP2932621B2 true JP2932621B2 (ja) 1999-08-09

Family

ID=15957947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2173303A Expired - Fee Related JP2932621B2 (ja) 1990-06-28 1990-06-28 インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2932621B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3299516A1 (en) * 2016-09-21 2018-03-28 Konica Minolta, Inc. Inkjet textile printing ink and inkjet textile printing method

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2895695B2 (ja) * 1992-12-17 1999-05-24 キヤノン株式会社 インクジェット捺染用布帛、インクジェット捺染方法及び捺染物
JP2895696B2 (ja) * 1992-12-17 1999-05-24 キヤノン株式会社 インクジェット捺染用布帛、それを用いたインクジェット捺染方法及び捺染物
US5867197A (en) * 1994-07-21 1999-02-02 Canon Kabushiki Kaisha Ink-jet printing cloth, ink-jet printing process and production process of print
JPH08176973A (ja) 1994-10-25 1996-07-09 Canon Inc インクジェット捺染方法および捺染物
JPH09279489A (ja) * 1996-02-15 1997-10-28 Canon Inc インクジェット捺染用布帛、インクジェット捺染方法および捺染物
JP3673610B2 (ja) 1996-02-15 2005-07-20 キヤノン株式会社 インクジェット捺染用布帛、インクジェット捺染方法および捺染物
JP2002264483A (ja) * 2001-03-14 2002-09-18 Mitsubishi Paper Mills Ltd インクジェット記録シート
EP1597424A1 (en) * 2003-02-06 2005-11-23 INVISTA Technologies S.à.r.l. An effectively printable polyamide yarn, process for making the same, and fabric produced therefrom
JP2005314845A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Seiren Co Ltd インクジェット捺染用布帛およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3299516A1 (en) * 2016-09-21 2018-03-28 Konica Minolta, Inc. Inkjet textile printing ink and inkjet textile printing method

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0459282A (ja) 1992-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3584094B2 (ja) インクジェット捺染用布帛、捺染方法及び捺染物
US6156072A (en) Manufacturing method of fabric for ink jet printing and ink jet printing method
JP2932621B2 (ja) インクジェット染色用布帛ならびにそれを用いてなるインクジェット染色方法
JPH0360951B2 (ja)
JPH05209378A (ja) カラー捺染方法
JP3856407B2 (ja) 捺染物の製造方法および捺染物
JPH07119047A (ja) インクジェット染色方法
JP2929616B2 (ja) インクジェット染色用布帛の製造方法および染色法
JP2803105B2 (ja) インクジェット用布帛およびその製造方法
JP3234719B2 (ja) インクジェット捺染用布帛、その製造方法およびその布帛を用いる捺染方法
JP2968286B2 (ja) インクジェット染色用布帛の製法および染色法
JPH0284593A (ja) インクジェット用布帛の製造方法
JPH02112489A (ja) インクジェット用布帛の製造法
JP2535406B2 (ja) インクジェット染色用布帛および染色法
JPH05148775A (ja) インクジエツト方式による布帛の捺染方法
JP2593830B2 (ja) 布帛の捺染方法
JPH10183481A (ja) インクジェット捺染用布帛及び捺染方法
JP3240776B2 (ja) 立毛布帛の染色方法
JPH11302986A (ja) セルロース系繊維材料のインクジェット捺染方法
JP3084745B2 (ja) インクジェット染色用布帛およびその製造方法
JPH06123086A (ja) インクジェット捺染用布帛およびその捺染法
JP2959692B2 (ja) インクジェット捺染方法
JP3971133B2 (ja) インクジェット捺染用布帛の製造方法
JP3235684B2 (ja) インクジェット染色用繊維構造物及びそれを用いた染色方法
JP2581083B2 (ja) インクジェット染色用布帛

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees