JP2922920B2 - オートマチックトランスミッションのコントロールデバイス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車等に用いられるオートマチックトラ
ンスミッション（以下本明細書ではA/Tという）のコン
トロールデバイスの構造に関し、特にパーキングレンジ
（以下Ｐレンジという）でイグニッションスイッチがON
である時には、フットブレーキを踏み込んでないと他の
レンジへシフトチェンジ出来ないようにしたA/Tのコン
トロールデバイスの構造に関する。

〔従来技術と、本発明が解決しようとする課題〕

従来の自動車等に用いられるA/Tのコントロールデバ
イスとしては、例えば実開昭60−185750号公報に示すよ
うなものがある。

しかしながら、かかる従来技術によれば、ロック状態
でシフトしようとしてシフトレバーを操作すると、その
入力をソレノイドのソレノイドピンで受ける為、ソレノ
イドピンが変形して作動不能になる虞がある。また、変
形しないように強度を増大させると、ソレノイドが大型
化し、原価高騰・重量増加・レイアウトの成立性等が悪
くなる虞がある。

そこで、本発明によれば、かかる従来の課題に鑑み、
ポジションピンの動きを阻止する力を制御手段たるコン
トロールボタンを押す力にだけ抗すれば良いようにする
と共に、イグニッションキイをイグニッションスイッチ
より抜いた後も常にシフトレバーの位置がＰレンジに保
てるようにすると共にそれ以外のレンジでは、シフトロ
ックしないようにして、ソレノイドへの通電時間を短く
すると共に作動時に異音が生じないようにすることを目
的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、かかる目的を達成するため、A/Tのコント
ロールデバイスとしては、車体に前後揺動自在に支持さ
れたシフトレバーと、該シフトレバーのレンジ位置を規
制するように形成され且つ前記車体に立設され少なくと
もパーキングレンジ位置とその後方の他の複数のレンジ
位置とを備えたポジションプレートとよりなるオートマ
チックトランスミッションのコントロールデバイスにお
いて、前記シフトレバーには、前記ポジションプレート
の前記各レンジ位置に係合可能なると共に該位置に規制
されるよう上方に付勢されたポジションピンと、前記ポ
ジションプレートの前記各レンジ位置からの係合を解除
可能なるように前記ポジションピンを下方に移動せしめ
得る制御手段と、略円筒状に形成されて前記シフトレバ
ーの周面に回転自在に支持され且つ前記ポジションピン
に合致した位置でのみポジションピンの上下移動が可能
なる凹溝が形成されると共に前記ポジションピンに合致
しない位置に凹溝がある時には前記ポジションピンの下
方への移動が阻止される上面部が形成された回転ブッシ
ュと、イグニッションスイッチがONでしかもフットブレ
ーキを踏み込んだ時のみONになるようにすると共に該ON
の時に該回転ブッシュの凹溝の位置が前記ポジションピ
ンの位置に合致して前記ポジションピンの下方への移動
を許容するように該回転ブッシュを回動させる一方、OF
Fの時に該回転ブッシュの凹溝の位置を前記ポジション
ピンに合致しない位置へ回動させ得る回動力を該回転ブ
ッシュに付勢作用させるソレノイドとを備えてなり、前
記回転ブッシュは、少なくとも前記凹溝を含めて円筒状
の前記シフトレバー周面に面する側全てが軟質合成樹脂
材で形成された本体と、前記凹溝の位置が前記ポジショ
ンピンに合致しない位置へ回動された際の該ポジション
ピンの少なくとも下方移動方向に相当する位置で前記本
体に一体的に設けられて前記ポジションピンの下方移動
を阻止し得る張り部材とよりなることを特徴とするもの
である。

〔作 用〕

本発明は、かかる構成よりなるから、次に作用を説明
する。

前記シフトレバーをパーキングレンジ位置以外のレン
ジ位置に回転制御させてあって、前記ソレノイドがOFF
状態の時には、前記回転ブッシュはその凹溝の位置がポ
ジションピンの位置に合致する位置に保たれる。

次に、その位置から前記シフトレバーをポジションピ
ンがパーキングレンジ位置に係合する位置まで回転制御
すると、回転ブッシュにソレノイドが付勢作用して該回
転ブッシュが回転されて、前記ポジションピンの位置か
ら前記凹溝の位置が合致しないようになる。この回転時
に回転ブッシュは軟質合成樹脂材で形成されているの
で、シフトレバーとの擦れ音が生ぜず、異音の発生がな
い。

この状態で、制御手段を操作するとポジションピンは
下がって来て回転ブッシュの上面に干渉するが、前記回
転ブッシュの張り部材がポジションピンの下方への力に
耐えるのでたわまず、その位置を保ち、それ以上は下が
らず、ポジションピンがパーキングレンジ位置から外れ
ることがない。

次に、この状態でイグニッションスイッチをONにし、
しかもフットブレーキを踏み込むと、ソレノイドがONに
なり、該ソレノイドが回転ブッシュに付勢作用するの
で、該回転ブッシュは回転させられて、回転ブッシュの
凹溝の位置がポジションピンの位置と再び同じになる。
そこで、制御手段を操作すると、ポジションピンが下方
に移動して回転ブッシュの凹溝内を通過して、ポジショ
ンプレートのパーキングレンジ位置から外れるよう移動
し、シフトレバーをドライブレンジ（以下Ｄレンジとい
う）等他のレンジへ移動させることが可能となるように
してある。

前記ソレノイドは一定の時間が経過すると、OFFにな
り、ソレノイドに負担がかからない。従って、フットブ
レーキを踏み込んでソレノイドをONにした後にシフトレ
バーをＰレンジから移動させないまま一定時間が過ぎる
と、ソレノイドは再びOFF状態になり、フットブレーキ
を再び踏み込まないとソレノイドがONにならないことに
なる。

〔実施例〕

以下、図面を用いて本発明の実施例の構成を説明す
る。

第１図乃至第３図は、本発明の一実施例を示す図で、
符号１はフロアパネル等の車体２に固設されたプレート
40に軸支された軸2aを中心に揺動自在に支持されたA/T
の制御用のシフトレバーで、符号３は該シフトレバー１
のＰレンジＰを含むシフト位置を規制するように形成さ
れ且つ前記車体２に立設されたポジションプレートであ
る。

該ポジションプレート３は、断面Ｌ字状に形成され、
略水平面が前記車体２に配設され且つ立設した立ち上が
り面４に係合口５が形成され、該係合口５には前記Ｐレ
ンジＰと、リバースレンジＲと、ニュートラルレンジＮ
と、前記ＤレンジＤと、２速レンジＳと、１速レンジＦ
とよりなる溝P,R,N,D,S,Fが形成されている。

前記シフトレバー１には、ポジションピン７と、レバ
ー本体９と、コンプレッションロッド10と、制御手段た
るコントロールボタン13と、回転ブッシュ14と、ソレノ
イド15とを備えている。

前記ポジションピン７は、前記ポジションプレート３
の前記各レンジP,R,N,D,S,F位置に係合可能なると共に
該位置に規制されるようリターンスプリング６により上
方に付勢されている。

前記レバー本体９は、前記ポジションピン７を上下移
動可能なるよう長孔８を有する中空状の部材である。

前記コンプレッションロッド10は、前記レバー本体９
内で上下動自在に支持され且つ下端部に前記ポジション
ピン７を支持した部材である。

前記制御手段たるコントロールボタン13は、前記レバ
ー本体９の上端部に支持されたノブ11内にあって略水平
方向に進退自在に前記ロッド10の上端部のテーパー部12
が接して該コンプレッションロッド10を介して前記ポジ
ションピン７を前記ポジションプレート３からの係合を
解除するように前記ポジションピン７を下方に移動せし
める機能を有する。

前記回転ブッシュ14は、軟質合成樹脂材よりなり、上
面部14dを有する略円筒状に形成されて前記シフトレバ
ー１のレバー本体９の周面に回転自在に支持され且つそ
の一部に前記ポジションピン７に合致した位置でのみポ
ジションピン７の上下移動が可能なるよう凹溝14aが形
成されている。そして、該凹溝14aの位置が前記ポジシ
ョンピン７に合致しない位置に制御されている時にポジ
ションピン７が下方に移動してくる下方に相当する位置
に、該移動を阻止するよう上下に渡って金属板よりなる
張り部材14bがインサートされている。

前記ソレノイド15は、イグニッションスイッチ（図示
省略）がONでしかもフットブレーキを踏み込んでストッ
プスイッチ（図示省略）に通電してONになることによ
り、一定時間だけONになり、一定時間経過後再びOFFに
なるシステムで、OFFになっているときには内蔵された
バネ（図示省略）によりソレノイドピン15aを突出方向
に付勢すると共に、ONになっている時には内蔵されたバ
ネ力よりも強い力で前記回転ブッシュ14の凹溝14aが前
記ポジションピン７に合致するように前記ソレノイドピ
ン15aをソレノイド15内へ引くように回転ブッシュ14に
連結されている。

かかる構成により、自動車等が停車している状態で、
前記シフトレバー１をポジションピン７が第２図はＮレ
ンジにあることを示している。ＰレンジＰに係合する位
置に回転制御されていると、前記ソレノイド15がOFFに
なっていて、該ソレノイド15内のバネ力により突出する
ソレノイドピン15aは押される方向にある。そこで回転
ブッシュ14はソレノイド15の押圧力のみを受けるので、
回転してポジションピン７の位置と回転ブッシュ14の凹
溝14aとの位置とずれることになる。この為、制御手段
たるコントロールボタン13を操作してもポジションピン
７は回転ブッシュ14の張り部材14bの上面に干渉して、
それ以上下がらず、ＰレンジＰから外れることがない。

前記シフトレバー１をＰレンジＰ以外のレンジ位置に
回転制御させてあって、前記ソレノイド15がOFF状態の
時には、ソレノイド15内のバネの力よりも強い付勢力を
持つ手段により回転ブッシュ14は回転付勢されて、該回
転ブッシュ14の凹溝14aの位置がポジションピン７の位
置に合致する位置に回転ブッシュ14は保たれる。

この回転ブッシュ14の回転時に、該回転ブッシュ14を
覆う材料が軟質合成樹脂なので、シフトレバー１のレバ
ー本体９に擦れても異音が発生しない。

第４図は、本発明の他の実施例で、主に異なる点は、
回転ブッシュ14にインサートされている張り部材14bが
第１図に示すように一部でなく、全部に配設されている
ことである。

第５図及び第６図は、本発明の更に他の実施例で、主
に異なる点は、回転ブッシュ14の軟質合成樹脂材よりシ
フトレバー１のレバー本体９へ向けて舌片14c,14cを突
出させたことであり、前記シフトレバー１のレバー本体
９に線接触することで、回転時の異音発生が防止される
ことになる。

〔効 果〕

以上説明してきたように、この発明によれば、A/Tの
コントロールデバイスとしては、車体に前後揺動自在に
支持されたシフトレバーと、該シフトレバーのレンジ位
置を規制するように形成され且つ前記車体に立設され少
なくともパーキングレンジ位置とその後方の他の複数の
レンジ位置とを備えたポジションプレートとよりなるオ
ートマチックトランスミッションのコントロールデバイ
スにおいて、前記シフトレバーには、前記ポジションプ
レートの前記各レンジ位置に係合可能なると共に該位置
に規制されるよう上方から付勢されたポジションピン
と、前記ポジションプレートの前記各レンジ位置からの
係合を解除可能なるように前記ポジションピンを下方に
移動せしめ得る制御手段と、略円筒状に形成されて前記
シフトレバーの周面に回転自在に支持され且つ前記ポジ
ションピンに合致した位置でのみポジションピンの上下
移動が可能なる凹溝が形成されると共に前記ポジション
ピンに合致しない位置に凹溝がある時には前記ポジショ
ンピンの下方への移動が阻止される上面部が形成された
回転ブッシュと、イグニッションスイッチがONでしかも
フットブレーキを踏み込んだ時のみONになるようにする
と共に該ONの時に該回転ブッシュの凹溝の位置が前記ポ
ジションピンの位置に合致して前記ポジションピンの下
方への移動を許容するように該回転ブッシュを回動させ
る一方、OFFの時に該回転ブッシュの凹溝の位置を前記
ポジションピンに合致しない位置へ回動させ得る回動力
を該回転ブッシュに付勢作用させるソレノイドとを備え
てなり、前記回転ブッシュは、少なくとも前記凹溝を含
めて円筒状の前記シフトレバー周面に面する側全てが軟
質合成樹脂材で形成された本体と、前記凹溝の位置が前
記ポジションピンに合致しない位置へ回動された際の該
ポジションピンの少なくとも下方移動方向に相当する位
置で前記本体に一体的に設けられて前記ポジションピン
の下方移動を阻止し得る張り部材とよりなることを特徴
とするものであるから、ポジションピンの動きを阻止す
る力を制御手段たるコントロールボタンを押す力にだけ
抗すれば良いようにすると共に、イグニッションキイを
イグニッションスイッチより抜いた後も常にシフトレバ
ーの位置がＰレンジに保てるようにすると共にそれ以外
のレンジでは、シフトロックしないようにして、ソレノ
イドへの通電時間を短くすると共に作動時に異音が生じ
ないようにすることが出来るという実益的効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明の一実施例を示す図で、第１
図は回転ブッシュの斜視図、第２図はA/Tのコントロー
ルデバイスの外の側面図、第３図は同正面図、第４図及
び第５図は回転ブッシュの他の実施例を示す要部斜視
図、第６図は第５図の回転ブッシュとシフトレバーのレ
バー本体との関係を示す断面図である。 １……シフトレバー、２……車体、３……ポジションプ
レート、７……ポジションピン、13……制御手段たるコ
ントロールボタン、14……回転ブッシュ、14a……回転
ブッシュの凹溝、14b……回転ブッシュの張り部材、15
……ソレノイド、15a……ソレノイドピン、P,R,N,D,S,F
……ポジションプレートに形成したシフトレンジ位置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 靖 静岡県湖西市鷲津2028 富士機工株式会 社鷲津工場内 (72)発明者 山崎 広 神奈川県横浜市磯子区丸山１丁目14番７ 号 株式会社大井製作所内 (72)発明者 渡辺 卓見 神奈川県横浜市磯子区丸山１丁目14番７ 号 株式会社大井製作所内 (56)参考文献 実開 平１−62936（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−42823（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60K 20/00 - 20/08 F16H 59/00 - 59/12

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体に前後揺動自在に支持されたシフトレ
   バーと、該シフトレバーのレンジ位置を規制するように
   形成され且つ前記車体に立設され少なくともパーキング
   レンジ位置とその後方の他の複数のレンジ位置とを備え
   たポジションプレートとよりなるオートマチックトラン
   スミッションのコントロールデバイスにおいて、 前記シフトレバーには、前記ポジションプレートの前記
   各レンジ位置に係合可能なると共に該位置に規制される
   よう上方に付勢されたポジションピンと、前記ポジショ
   ンプレートの前記各レンジ位置からの係合を解除可能な
   るように前記ポジションピンを下方に移動せしめ得る制
   御手段と、略円筒状に形成されて前記シフトレバーの周
   面に回転自在に支持され且つ前記ポジションピンに合致
   した位置でのみポジションピンの上下移動が可能なる凹
   溝が形成されると共に前記ポジションピンに合致しない
   位置に凹溝がある時には前記ポジションピンの下方への
   移動が阻止される上面部が形成された回転ブッシュと、
   イグニッションスイッチがONでしかもフットブレーキを
   踏み込んだ時のみONになるようにすると共に該ONの時に
   該回転ブッシュの凹溝の位置が前記ポジションピンの位
   置に合致して前記ポジションピンの下方への移動を許容
   するように該回転ブッシュを回動させる一方、OFFの時
   に該回転ブッシュの凹溝の位置を前記ポジションピンに
   合致しない位置へ回動させ得る回動力を該回転ブッシュ
   に付勢作用させるソレノイドとを備えてなり、 前記回転ブッシュは、少なくとも前記凹溝を含めて円筒
   状の前記シフトレバー周面に面する側全てが軟質合成樹
   脂材で形成された本体と、前記凹溝の位置が前記ポジシ
   ョンピンに合致しない位置へ回動された際の該ポジショ
   ンピンの少なくとも下方移動方向に相当する位置で前記
   本体に一体的に設けられて前記ポジションピンの下方移
   動を阻止し得る張り部材とよりなることを特徴とするオ
   ートマチックトランスミッションのコントロールデバイ
   ス。